シンジ「ここが雛見沢ってところか…」


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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 08:53:13.32 ID:IdJKaYwwO

魅音「どいてどいて〜!」

シンジ「?…うわぁっ!」

ゴチーン!

魅音「いたたた…あっ!マジで急いでたんだ〜!ごめんね〜!」

シンジ「(゜д゜)ポカーン」

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 10:13:12.03 ID:lQjL2HYq0

シンジ「なんだったんだ、あの子」

ズボンを手で払いながら立ち上がる。
ピリっとした痛みを手のひらに感じ、みれば血が滲んでいた。

シンジ「あーあ…」

一人ぼやきながら新しく通う事となる学校へと歩を進める。
東京よりも、日差しがきつい。

梨花「お兄さん、誰ですか?」

校門まで差し掛かったところで、声をかけられて振り返る。
そこには可愛らしい女の子がいた。

シンジ「えっと、あの、僕は」

梨花「新しい転校生なのですか?」

にぱー、と可愛らしく笑顔を浮かべる少女に、シンジは小さく頷いた。


こうですか!?わかりません><

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 10:24:34.00 ID:lQjL2HYq0

梨花「はじめましてなのです。僕は古手梨花といいますです」

シンジ「僕は碇シンジ」

梨花「シンジ、本当に、はじめまして」

梨花はそういってぴょこんと頭を下げる。

瞬間、その笑顔が消えたのに、シンジは気づかなかった。

梨花「シンジ!早くしないと遅刻なのです!」

ぱっと顔をあげて、梨花はシンジを追い越し駆け出していく。

シンジ「う、うん」

つられてシンジも校舎へと小走りにかけて行った。

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 10:33:02.78 ID:lQjL2HYq0

下駄箱で職員室へと向かうシンジと別れた後、梨花は深く眉根を寄せた。

梨花「どういう事?こんな事、今まで一度だってなかったわ」

何十、何百と繰り返したこの夏に、碇シンジなどという少年が登場した事など、ただの一度も無かった。

梨花「私が待っていたのは圭一なのに…」

でも、と梨花は思う。

梨花「もしかしたら、何か新しい事が起こるかもしれない」

この袋小路を抜け出せる、きっかけになるかもしれない。

梨花「碇、シンジ…」

レナ「おはよう、梨花ちゃん〜!」

教室の前でいつの間にか現れたレナに後ろから声をかけられ、梨花はびくりと肩を揺らす。




13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 10:41:13.77 ID:lQjL2HYq0

レナ「どうしたのかな?かなっ?」

梨花「レナ、おはようなのです。びっくりしたですー」

にぱー、と得意の笑顔を見せれば、レナは梨花の体を抱きしめた。

レナ「今日も梨花ちゃんかあいいよう〜!おっもちかえり〜!」

興奮気味に大声を上げるレナに、魅音と沙都子が近寄ってくる。

魅音「今日も朝から元気だなーレナは」

レナ「えへへー。ところでね、梨花ちゃん。碇シンジくんって、誰?」



14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 10:50:16.42 ID:lQjL2HYq0

魅音「あ、知ってる。今日来るっていう転校生だろ?」

沙都子「まあ、転校生!?それは丁重にお持て成ししなくてはいけませんわね」

レナ「シンジくんかぁ。かあいいといいなぁ〜」

梨花「今朝校門の前で会ったのです〜。たぶんもうじき来るですよー」

そう言うと、沙都子は慌てて黒板消しを掴み、丁重なお持て成しの準備に取り掛かった。

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 11:12:21.32 ID:lQjL2HYq0

知恵先生に連れられ、教室に向かうと、中からは楽しそうな笑い声が響いていた。

シンジ「うまく、やっていけるかな…」

小さく呟きドアに手をかけ開けると、お約束のように上から黒板消しが振ってきた。

チョークの粉に咽返るシンジに、いたずらっぽく沙都子が笑う。

沙都子「ほーっほっほ!ひっかかりましたわね!修行が足りませんわよ!」

魅音「あ、朝の!」

突然の出来事に、シンジは目を丸めるばかりだった。

とりあえず、足元に転がる黒板消しを拾おうと手を伸ばすと、それを見た沙都子がふっと笑みを消す。

沙都子「あっ、血が出てますわ!」

シンジ「いや、これは」

魅音「とりあえず洗いに行こうよ。知恵せんせー、流しいってきますねー」


21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 11:24:22.18 ID:lQjL2HYq0

魅音「ほらっ、行くよ」

シンジ「え、ちょっと」

魅音は先生の返事も待たずにシンジの手を引く。

連れて行かれた流しで手のひらを洗うと、魅音が申し訳なさそうな顔で謝ってきた。

魅音「ごめんなー。それ、たぶん私のせいだよね。ほら、今朝ぶつかった時」

シンジ「いや、大丈夫だよ」

魅音「そう?シンジくん、だっけ?」

シンジ「うん」

魅音「私は魅音。よろしく。さっきの黒板消しは、沙都子の挨拶みたいなモンだからさ、許してやってよ」

シンジ「うん、別に気にしてないよ」

キュッ、と蛇口を閉めると、魅音は白いハンカチを差し出した。

魅音「はい、使って」

シンジ「でも汚れちゃうよ」

魅音「いいからいいから」

遠慮するシンジの手を引っ張ると、魅音はその手をハンカチで包んだ。

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 11:37:09.79 ID:lQjL2HYq0

シンジ「あ…」

魅音「保健室行って絆創膏貰ってくるから、ちょっとここで待っててー」

魅音はそう言ってシンジを残し走っていった。

残されたシンジは、自分の血で少し汚れてしまった魅音のハンカチに目を落とした。

花の刺繍がしてある、女の子らしいハンカチだった。

しばらくそこで待っていると、魅音が戻ってきた。

魅音「超特急で行ってきた」

肩で息をしながら、へへっ、と笑ってみせる。

シンジ「気使わせちゃって、ごめん」

シンジがそう言うと、魅音はシンジの頭に手加減なしのデコピンをお見舞いした。


23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 11:41:34.77 ID:lQjL2HYq0

シンジ「痛っ!!」

魅音「謝んないの」

でも、と呟くシンジに、魅音はにっこりと笑って続けた。

魅音「友達のために何かするのって、普通でしょ」

シンジは照れくさそうに笑って、答えた

シンジ「じゃあ…、ありがとう」

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 13:00:27.17 ID:lQjL2HYq0

魅音「どーいたしましてっ」

魅音は満足そうに頷いて、シンジの髪をぐしゃぐしゃ撫でた。

シンジの手のひらの傷口に絆創膏を貼り、魅音はよし、と呟く。

くるりと踵を返し、シンジへと手を伸ばす。

「さ、さっさと教室戻るよっ」

知恵先生怒るとおっかないから、と笑う魅音に、シンジも声を出して笑った。


32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 13:13:05.55 ID:lQjL2HYq0

教室へ戻ると、沙都子が真っ先に駆け寄ってきた。

その後にレナと梨花が続く。

沙都子「ごめんなさい、私、怪我させるつもりなんてなくて…」

しゅん、と落ち込んだ表情を浮かべる沙都子の髪を魅音が撫でる。

魅音「沙都子のせいじゃないの。今朝おじさん学校来る途中でシンジとぶつかってね、そん時に怪我したんだよ」

沙都子「なっ!? じゃあ私の黒板消しは全く関係なかったんですの!?」

シンジ「う、うん」

魅音の言葉を聞き詰め寄る沙都子に、シンジはたじろぎながら首を縦に振る。

沙都子「謝り損ですわ!私の謝罪を今すぐ返しなさい!」

シンジ「ええっ」

恥ずかしいのだろう、沙都子が顔を真っ赤に染めてそう叫ぶと、クラスメートたちが笑い声をあげる。

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 13:25:41.01 ID:lQjL2HYq0

レナ「それにしても大したこと無くて良かったね。シンジくん」

シンジ「うん、ありがとう」

小首を傾げてそう言うレナに、シンジは頷く。

ふと視線を落とすと、梨花がシンジを見上げていた。

目が合うと、梨花は今朝と同じ笑顔を浮かべて見せた。

知恵先生「さあ皆席について!授業を始めます!」

そうして、シンジの雛見沢での生活が始まった。

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 13:39:24.81 ID:lQjL2HYq0

魅音に勧められるまま、部活に入部したシンジ。

魅音たちは毎日のように村を案内してまわった。

色々な場所を訪れ、シンジが雛見沢の地理にも多少明るくなった頃、魅音は部活のメンバーを集めてこう言った。

魅音「今日は、オヤシロ様に挨拶しに行こうか」

シンジ「オヤシロさま?」


36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 13:46:44.31 ID:lQjL2HYq0

聞きなれないその単語を復唱するシンジに、レナが腕を絡ませて言う。

レナ「そうだね!シンジくん、きちんとオヤシロさまに挨拶しなきゃ!」

梨花「オヤシロさまは雛見沢の守り神のような存在なのですよー」

"オヤシロ様"について話を進める魅音とレナに首をかしげるシンジ。

そんなシンジに梨花はにぱー、と笑いながらそう説明する。


37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 13:55:19.60 ID:lQjL2HYq0

シンジ「守り神?」

梨花「はいなのです」

ふうん、とシンジは呟く。

レナ「決定〜! 早く行こうっ」

待ちきれない、とばかりにレナはシンジの手を掴んで駆け出す。

その勢いに転びそうになりながらも、その手を振り解くことは出来ず、シンジは後に続く。


38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 14:06:28.00 ID:lQjL2HYq0

そうして到着した古手神社の長い階段を見上げ、シンジは顔をゆがめた。

シンジ「これ…、上るの?」

沙都子「シンジさんは男でしょう!しっかりしなさい!」

魅音「沙都子のいう通り!上まで競争だよ!負けた奴は罰ゲーム!」

レナ「競争だよ! だよ!」

梨花「頑張るのです〜」

魅音「いくよー! よーい、ドン!」

魅音の号令で、全員がいっせいに地を蹴る。

案の定、沙都子のトラップにかかり負けたのはシンジだった。


41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 14:15:57.90 ID:lQjL2HYq0

レナ「シンジくん、罰ゲームだよっ!だよっ!」

魅音「シンちゃん何やってもらおうかな〜」

シンジ「そんなぁ」

そう言って額の汗を拭いながら、シンジは呼吸を整えようと深呼吸をした。

顔を上げた先には、思ったよりも小さい神社がそこにあり、けれどもそこには深い歴史が感じられるようだった。

梨花「ここが、古手神社なのですよ」

シンジの横に立ち、梨花が囁くようにそう言う。

びっくりする程大人びたその声音に、驚いたシンジが梨花へと顔を向けると、梨花はシンジではなく社の方を向いていた。


42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 14:27:44.85 ID:lQjL2HYq0

魅音「罰ゲームの内容は今度考えるとして。さ、シンちゃん、お参りするよ」

沙都子「シンジさんはよーくお参りしなきゃ駄目ですわよー! どうかバチを当てないでくださいーって」

いたずらっぽくそう言う沙都子に、シンジは小さく笑う。

横一列に並んで手を合わせて目を閉じる。

すると、それまでの喧騒が嘘のように消え去った。

ちらりと目を開けて他の皆を横目で見ると、レナも魅音も沙都子も、真剣な表情で目を閉じ手を合わせている。

ただ、梨花だけは、手を合わせていなかった。

大きな目で、社を見つめていた。

(あれ、梨花ちゃん…)

そう、シンジが思った瞬間、梨花がこちらを向き、寂しそうに微笑んだ。

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 14:30:17.36 ID:lQjL2HYq0

と、ここまで書いたんだけど需要なさそうなんで終わりにしようかと

>>1戻ってこないし

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 14:51:20.72 ID:lQjL2HYq0

じゃあもう少し書く


48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 15:00:18.37 ID:lQjL2HYq0

魅音「さてと」

魅音のその言葉にシンジはハッと我に返る。

再び梨花に目を向けると、彼女はいつものように子供らしい笑顔で笑っていた。

魅音「そういえばシンちゃん、もうすぐここでお祭りあるんだよ」

シンジ「お祭り?」

レナ「そうだよ! 綿流しのお祭りだよっ!」

沙都子「梨花は古手神社の巫女として踊るんですのよ」

梨花「そうなのですー」

シンジ「へえ、皆行くの?」

レナ「行かないと、オヤシロさまに怒られちゃうよ?」

レナがにこりと笑って言う。


49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 15:08:53.86 ID:lQjL2HYq0

シンジ「怒られるって、お祭りに行かなかったくらいで?」

レナ「そう。オヤシロさまは怒ると怖いんだよ。どこまでもどこまでも付いてくるの」

そう言うレナの顔は笑顔のままなのに、シンジは何か寒気を感じた。

レナ「オヤシロさまを怒らせたら駄目だよ。怖いんだよ」

シンジ「でも、オヤシロさまって実在…」



レナ「オヤシロさまは、いるよ」



シンジの言葉を、レナは遮る。

背中を伝う汗が、シンジの体を冷やしていく。


50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 15:20:57.30 ID:lQjL2HYq0

魅音「ま、部員はみんな強制参加なんだよー」

魅音の明るい声が、空気を破る。

魅音「それに、シンちゃんだって見たいでしょ? 梨花ちゃんの舞」

シンジ「う、うん、そうだね」

梨花「頑張りますですー。にぱー」

レナ「巫女姿の梨花ちゃんかあいいよう〜」

沙都子「楽しみにしてますわ、梨花」

いつものレナに戻った。

シンジはそんなレナの姿に、ほっと胸をなでおろす。



51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 15:29:08.72 ID:lQjL2HYq0

その日の部活はそれで終わり、それぞれ家路につくこととなった。

自宅近くの道に差し掛かったところで、シンジは気づく。

足音、が。

レナの言葉が脳裏を過ぎり、心拍数が早くなる。

意を決して立ち止まると

じゃり、

舗装されていない田舎道を、確かに誰かが一歩歩いた音が聞こえた。

冷や汗が頬を伝う。

まさかとは思いつつも、嫌な妄想が頭から離れない。

夕日が恐ろしいほどに大きく、そして赤く感じられた。

52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 15:32:08.13 ID:lQjL2HYq0


「シンジ」

呼ばれて、弾かれたように振り返る。

そこにいたのは、梨花だった。

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 16:45:26.18 ID:lQjL2HYq0

シンジ「り、梨花ちゃん。どうしたの」

安堵のため息をもらしながら、シンジは梨花へと歩み寄る。

梨花「シンジと、もう少しお話がしたくて、追いかけてきました」

シンジ「話?」

梨花「歩きながらお話しましょう」

そう言って、梨花はシンジの手を引っ張った。

二人は夕焼けの道をゆっくりと歩いていく。


62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 16:56:19.67 ID:lQjL2HYq0

梨花「シンジは、ここに来る前はどんな生活だったですか?」

シンジ「ん?今とあまり変わらないかな。叔父さんの家で暮らしてたけど、一人暮らしみたいなものだったし」

梨花「そうなのですか」

シンジ「いつ死んだって構わないって、そう思ってた」

梨花「え…」

梨花がシンジを見上げる。

シンジ「生きてるのって、疲れるだろ。でも自殺する理由も勇気もなくて、結局無駄に生きてたよ」

そうシンジが言ったところで、梨花はぴたりと立ち止まった。

振り返ると、梨花は俯いていてその表情は伺えない。

シンジ「梨花ちゃん?」


65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 17:05:31.41 ID:lQjL2HYq0

梨花「私は、生きたいわ」

ぽつり、と呟いた言葉は、確かにシンジの耳に届いた。

シンジ「え…?」

その言葉の真意を尋ねようとしたところで、後方から眩しいフラッシュがたかれた。


シンジ「な…っ」

梨花「富竹…っ!!」

カメラを首から提げた男が、そこにはいた。

富竹「いやあ、夕焼けに少年と少女。あんまりいい絵だったから、撮らせてもらったよ」

はじめまして、と続ける富竹に、シンジは小さく眉根を寄せた。

シンジ「どうも」

富竹はそんなシンジをよそに、こんどは梨花に話しかける。


67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 17:16:30.02 ID:lQjL2HYq0

富竹「やあ梨花ちゃん。祭りの準備は順調かな?」

梨花「…はいなのです」

富竹「今年も祭りの夜に、誰かが犠牲になるのかな?」

その言葉に、梨花は柳眉を吊り上げた。

梨花「富竹、口が過ぎるのです」

富竹「怖いな、梨花ちゃんは。舞、楽しみにしてるよ」

そう言って、笑いながら富竹は去っていった。


70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 17:28:30.94 ID:lQjL2HYq0

シンジ「…梨花ちゃん」

梨花「話すわ、シンジ。信じてもらえないかもしれないけれど」

そう言って梨花は、シンジがいつだったか見た、あの哀しげな笑みを浮かべた。



梨花「綿流しの晩には、毎年誰か一人が死に、一人が消える」

梨花の口から語られたここ数年続く怪死と行方不明者の話に、シンジは小さく息を呑む。

そして続けられた言葉に、シンジはさらに目を丸くした。

梨花「きっと今年も、私は死ぬわ」

梨花の口から語られた話は、到底理解しがたいものだった。

何度も同じときを生き続けている、だなんて、信じられるはずが無い。

しかし、梨花の表情は、瞳は、真剣そのものだった。


72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 17:40:42.57 ID:lQjL2HYq0

梨花「私は、死にたくない。生きて、生きてこの夏を越えていきたい」

でも、と梨花は目を伏せて続ける。

梨花「貴方は、逃げられるかもしれない。

   もしかしたら、私たちが死んだとしても、村から逃げられるかもしれない」

シンジ「え?」

梨花「私は、あなたのことは何も知らないから、もしかしたら」

梨花は続ける。

梨花「逃げたいなら、逃げて。貴方が決めて」

シンジ「だけど…だけど僕に何が出来るって言うんだよ」

梨花「それは私にも分からないわ。でももしここに残るなら、お願い」

そこで梨花は一度言葉を切る。

梨花「信じて。仲間を信じて」

梨花の真剣な瞳に、シンジはそれ以上何も言えなかった。

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 17:50:42.23 ID:lQjL2HYq0

何の進展もないまま、祭りの日を迎えた。

あの後、梨花は何事も無かったかのように振舞っていた。

相変わらずの子供らしい笑顔で、しかしシンジはその心のうちを知ってしまっていた。

シンジ(信じられるわけが無い、だけど、あの時の梨花ちゃんの目は…)

魅音「シンちゃん、せっかくのお祭りに暗い顔してどうしたのー」

シンジ「うわぁっ! 」

不意に覗き込まれて、驚きに声を上げる。


80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 18:02:04.77 ID:lQjL2HYq0

魅音「そんなに驚かなくてもいいじゃん」

レナ「あははっ!びっくりしてるシンジくんかあいい〜」

沙都子「男のくせにだらしの無い人ですわね」

口々にそう言う友人たちに、シンジは苦笑する。

シンジ「いきなり覗き込まれたら、誰でもびっくりするよ」

詩音「じゃあ、いきなり魅音が二人になったら、もっとびっくりします?」

後ろから突然そう声をかけられて、ふりかえる。

そこには魅音が、もう一人いた。

82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 18:09:49.86 ID:lQjL2HYq0

シンジ「……えっ?」

魅音「もー、シンちゃん反応薄いよー」

詩音「はじめまして。魅音の双子の妹、園崎詩音です」

にっこりと笑って見せれば、それは魅音の笑顔と瓜二つだった。

83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 18:15:05.84 ID:lQjL2HYq0

挨拶もそこそこに、祭りへと繰り出し、途中見知った顔に何度か会う。

そのたびに立ち話をしていると、社のほうから雅楽のような音色が聞こえ始めた。

魅音「やっば!梨花ちゃんの舞始まっちゃうよ!」

レナ「走れば間に合うかな?かなっ?」

沙都子「そうですわね!行きますわよ!!」

シンジ「ま、待ってよ」

86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 18:24:23.48 ID:lQjL2HYq0

みんなの後について走り出そうとしたところで、手を引かれる。

そのまま人気の無い茂みに引きずられるようにして入っていく。

突然の事に、思考が付いていかない。

梨花の言葉、毎年出る犠牲者、死。

嫌な妄想で頭がいっぱいになる。

ようやく立ち止まると、そこには白髪の少年がいた。

90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 18:35:55.80 ID:lQjL2HYq0

シンジ「な…何ですか?僕急いでて」

カヲル「行っちゃだめだよ、碇シンジくん」

突然見ず知らずの少年にそう言われて、シンジは驚きに口をつぐむ。

シンジ「なんで僕のこと…」

カヲル「知っているさ、ずっと前からね」

穏やかな笑みをたたえたその少年に、シンジは不信感をあらわにした。

シンジ「僕本当にもう行かないと」

カヲル「行かせないよ。シナリオと違うんだ。君にここで死なれては困る」


93 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 18:43:22.23 ID:lQjL2HYq0

カヲルの言葉に、心臓が一際大きく鳴ったのが分かった。

カヲル「逃げるんだよ。今すぐこの村を出るんだ」

まるで何もかもを知っているかのようなカヲルの口ぶりに、シンジは身の毛がよだった。

シンジ「なんだよ!誰だ君! 離せよ!」

カヲル「離さない」

尚も食い下がるカヲルに、シンジは涙目になりながらその手を振り払った。

シンジ「いい加減にしろっ!」


95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 18:53:59.56 ID:lQjL2HYq0

肩で息をしながら、シンジはカヲルを睨みつける。

そんなシンジに、カヲルは穏やかな声音のまま続ける。

カヲル「どうして父親から逃げた。手紙を貰ったはずだ。君はミサトという女と、父親に会いに行くべきだったんだ」

シンジ「うるさいっ!!!」

そう叫んで、シンジはそこから一目散に逃げ出した。

99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 19:03:01.97 ID:lQjL2HYq0

カヲル「仕方の無い子だな」

梨花「誰のことを言っているの?」

カヲルの独り言に、梨花が尋ねる。

振り返れば、巫女姿の梨花がカヲルを冷たい瞳で見つめていた。

覗きなんて、趣味が悪いね、と苦笑する。

カヲル「シンジくんのつもりだったけど、君も十分仕方の無い子だよね」

梨花「何が言いたいの」

カヲル「君は死ぬべきだ。そういう運命なんだろう?」

ストレートに告げられた言葉に、梨花は一瞬口をつぐむ。


100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 19:11:00.49 ID:lQjL2HYq0

梨花「いやよ」

その言葉に、カヲルは小さくため息をつく。

カヲル「抗いたいのも分かるけどね。それに彼を巻き込むなよ」

梨花「私は、私は誰を利用してでも、この夏を越えたいの」

カヲル「駄目だよ。彼を殺させやしない」

僕は彼に、殺してもらうんだから。

そう呟いて、カヲルは林の中へと消えていった。


103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 19:21:26.78 ID:lQjL2HYq0

どのくらい走っただろうか。

視界が涙で滲む。

シンジ「なんなんだ、あいつ…」

自宅のドアを開け、中へと飛び込む。

後ろ手に鍵をかけると、一気に緊張が解けて体の力が抜けた。

そのまま玄関にしゃがみこむと、シンジは堪えきれずに泣いた。


106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 19:30:18.14 ID:lQjL2HYq0

翌朝、シンジはチャイムの音で目を覚ました。

酷い頭痛に眉間に深いしわを作る。

今日は学校を休もうと、布団をかぶる。

あきらめるだろうと思っていたチャイムは、五分経っても鳴り止まず、根負けしたシンジは玄関まで行き、チェーンをかけたままドアを開けた。



ガッ



滑り込むように、細く開いたドアを白い指が掴む。

シンジは驚きに目を見開き、その場にしりもちをついた。


109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 19:44:18.20 ID:lQjL2HYq0

レナ「シンジくん?学校いこ?」

ドアの隙間からレナがこちらを覗き込む。

早鐘のような心臓を押さえながら、シンジは立ち上がった。

シンジ「ごめん、レナ。僕今日は休むよ」

ドアの向こうで、レナが目を丸くしたのが分かった。

レナ「どうしたのかな?かな?」

シンジ「頭痛が酷くて」

レナ「そう…」

レナはそう言うと、黙った。


少し間を置いて、レナは続けた。

レナ「ねえ、昨日途中で帰っちゃったのも、頭が痛かったから?」


112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 19:54:56.31 ID:lQjL2HYq0

その質問に、シンジは小さく肩を揺らした。

そして、答える。

シンジ「う、うん」






レナ「 嘘だっ!!!!! 」








114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 20:00:37.42 ID:lQjL2HYq0

突然豹変したレナに、シンジは後ずさる。

永遠かと思うほどの静寂。

レナはゆっくりと微笑んで言う。

レナ「ねぇ、レナ言ったよね? お祭りは絶対行かなきゃ駄目って。オヤシロさまを怒らせたら駄目って。言ったよね? ねぇ、シンジくん。どうして途中で帰ったりしたの?どうしてオヤシロさまを怒らせるような事したの?」

シンジ「何言って…」

レナ「ねえシンジくん」

レナは穏やかな声音で続ける。

レナ「足音が聞こえたら、レナに教えて。きっと、助けてあげるから」

そう言って、レナはスッとドアから手を離した。


117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 20:10:41.07 ID:lQjL2HYq0

レナの言葉を、痛む頭で反芻する。

レナは、何といっていた?

オヤシロさまを、怒らせた?

まさか、とシンジは思う。

祟りなど、と。

でも、梨花はなんと言っていた?

白髪の少年は?

考えれば考えるほど思考は最悪の結末へと向かっていく。

つまりは、死。


118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 20:13:09.14 ID:lQjL2HYq0

シンジ「まさか、そんなはずないよ」

だって。

けれども、その後が続かない。

シンジ「そんなはず…」

そこまで考えて、シンジはその場に倒れこんだ。


121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 20:21:50.39 ID:lQjL2HYq0

目が覚めた先には、知らない天井があった。

入江「あ、目が覚めましたか?」

そこは病院だった。

シンジ「僕…どうして」

入江「ご自宅で倒れられたんですよ。でも心配要りません。風邪とストレスが重なったんでしょう。貴方のご友人がこちらまで運んで下さいました」

シンジ「友人?」

入江「ええ、白髪の男の子です」

その言葉に、シンジは言葉を失う。

だんだんと、思い出してきた。

そうだ、レナが去って、そして気を失った。

ドアは、チェーンをかけたままだったのに、どうして。

129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 20:40:17.69 ID:lQjL2HYq0

ふ、と。
シンジは気づく。
嫌な予感はした。尋ねるべきではないことも、知る必要など無い事もわかっていた。
けれども。

「ここって、先生ひとりでやってるんですか?」

「いや、看護婦さんがいるんだけど、無断欠勤。まいっちゃうよ」

さあっと、血の気が引いていくのが分かった。

137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 21:00:40.15 ID:lQjL2HYq0

顔色が悪いから、と休んでいく事を勧めた入江を断り、シンジは自宅へと歩いていく。

祟りは、起きた。

消されたのだ。

そんなシンジにさらに追いうちをかけたのが、大石だった。

「お兄さん、ちょっとお話いいかな」

覆面パトカーに乗った大石が、帰宅途中のシンジに声をかける。

警察手帳を見せ、助手席の鍵を開ける。

シンジは黙って車に乗り込んだ。



140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 21:10:28.87 ID:lQjL2HYq0

「いやぁ、すいませんねぇ。貴方、碇シンジさんですよねぇ?」

「はい」

「単刀直入にお話しますとね、富竹さん、ご存知ですよね?」

「はい」

「大変遺憾なんですがね、彼、今朝方遺体で発見されまして」


大石の言葉に、シンジは顔をあげた。

驚きと、安堵。

一人が死に、一人が、消える。

祟りは起こった。

そして、終わった。


141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 21:12:00.70 ID:lQjL2HYq0

けれども、この晴れない不安はなんだ?

「何か、ご存知な事ありませんかね?」

「いえ」

「本当、ですか?」

「はい」

「分かりました。残念です」

大石がため息をついて煙草に火をつけたその時、一本の無線が入る。

それは、鷹野三四の焼死体発見の知らせだった。

「参りましたね。今年は死者が二人だ」

その言葉に、シンジは祟りがまだ終わってない事を知った。



142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 21:18:18.62 ID:lQjL2HYq0

これ以上の聴取は無理と判断した大石は、シンジを自宅まで送っていった。

ドアノブに手をかけたところで、ふと、我に返る。

遅かった。

大石の車はすでに走り去っていた。

ノブをひねると、やはり鍵は開いている。

ゆっくりと玄関の中まではいり、立ち止まる。



と。






ひた






背中で足音が、聞こえた。


144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 21:22:38.03 ID:lQjL2HYq0

全身の毛穴が開き、一気に汗が吹き出たのが分かった。

シンジは自室へと走った。

今は、家の中に誰かが居る事よりも、背後の足音がどうしようもなく怖かった。


145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 21:23:47.74 ID:lQjL2HYq0

部屋のドアを開けると、そこにはレナと魅音がいた。

「なんで…」

「シンちゃん、おっじゃましてるよー。レナからシンちゃん具合悪いって聞いてさー、来てみたら鍵あけっぱで」

「シンジくん具合どうなのかな?かなっ?」

「やっぱ顔色悪いなー。長居しちゃわるいからね。レナ、帰るよ」

「うん。シンジくん、おかゆ作ったから、たべてね」

「うん、ごめん」

そう言いながら立ち上がるレナと魅音を玄関まで送るシンジ。

ドアが閉まる瞬間に、レナがささやくように尋ねたのが聞こえた。





「ねぇ、シンジくん。足音、聞いた?」




シンジはその質問には答えずに、ドアを閉じた。


150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 21:36:53.60 ID:lQjL2HYq0

「最悪のケースだよ、シンジくん」

振り返ればそこには昨夜の白髪の少年が立っていた。

なんで、とか、尋ねる事すらもうシンジはしなかった。

そんなシンジに構わず、カヲルは続ける。

「富竹が死に、鷹野と思われる焼死体の発見。しかしなによりも問題なのは君が疑心暗鬼に陥っているという事実だよ」
カヲルのその言葉に、シンジはその胸倉に掴みかかった。


153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 21:41:31.25 ID:lQjL2HYq0

「君に何が分かるんだよ!!僕が疑心暗鬼になってるだって!?君にっ!君に僕の何が…っ!!」

シンジの喉がヒュッとなる。

突然の過呼吸に、シンジは喉に手を伸ばし、爪を立てた。

「ああ、駄目だよ」

カヲルはその手を掴み、シンジの唇をふさぐ。


154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 21:42:25.09 ID:lQjL2HYq0

目を見開き、シンジはカヲルを突き飛ばした。

「なにすんだよっ!!」

そんなシンジにカヲルはケロッとした顔で返す。

「過呼吸、なおっただろ」

カヲルは続ける。

「さて、色々ぶっ飛んで少しは冷静になったその頭で考えてごらん」

カヲルは一歩シンジに歩み寄る。

「君はどうして、ここに残る事を決めたんだい?」


156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 21:52:04.19 ID:lQjL2HYq0

その問いが、シンジの頭の中の靄を一気に吹き飛ばした。

そうだ。逃げ続けていた僕が、ここに残ると決めた理由。

それは、父さんから逃げるためだけじゃ、なくて。

「仲間を、信じたいって、守りたいって、おもったから」

「もう、大丈夫だね」

カヲルはニッコリ笑ってシンジの髪を撫でる。

そんなカヲルにシンジはごめん、と呟く。

するとカヲルは笑顔のまま続けた。

「それも、教わったろ?」


157 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 21:53:44.83 ID:lQjL2HYq0

驚きに、カヲルの赤い瞳を見つめる。

そして

「あ…ありがとう」

「うん」

カヲルは満足そうに笑って、出て行った。



160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 22:05:56.41 ID:lQjL2HYq0

「さて」

シンジの家の前には、梨花が立っていた。

「非常に、不服と言わざるを得ないんだけどね」

不機嫌そうに眉根をよせ、カヲルは梨花を見る。

「結局シナリオはぐちゃぐちゃ。もう書き直せないところまで来てしまった」

「エヴァンゲリオンのパイロットとしての道は潰えたというわけ?」

「まあ、その可能性はゼロじゃないけどね」

「じゃあ、なにが」


161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 22:06:46.50 ID:lQjL2HYq0

「シンジくんが僕を殺す可能性が潰えたのさ!」

噛み付くように、カヲルは返す。

「僕は僕の望む死は手に入れられない。とんだ貧乏くじさ」

梨花は黙って口を結ぶ。

そんな梨花に、カヲルは尚も続ける。

「いつだって、誰かの望みの下で、別の誰かの望みが踏みにじられるんだ。正義とか悪とか、そんなのは関係ない」

突きつけられた言葉に、梨花は言葉返せない。


162 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 22:07:48.21 ID:lQjL2HYq0

「それを、忘れるなよ、百年の魔女」

そう言って、カヲルはあさっての方を向く。

一陣の風が、その白髪をなぐ。


163 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 22:08:28.78 ID:lQjL2HYq0

「仕方が無いから、皆まとめて守ってやるよ」

そう言ったカヲルを、梨花は見上げて。

「ごめんなさい」

「違うだろ」

梨花に視線を戻して、カヲルは言った。

そんなカヲルに、梨花は泣き笑いのような表情を浮かべて。


164 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 22:10:11.85 ID:lQjL2HYq0

「ありがとう」



その言葉から、夏の終わりは始まった。




おわり

166 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 22:12:16.01 ID:lQjL2HYq0

お付き合いありがとうございましたー
支援してくれた人たちありがとう

カナダの離島よりお送りいたしました

疲れた


■教訓■
乗っ取りは覚悟が必要

172 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 22:23:45.95 ID:lQjL2HYq0

書き忘れた
ID:HnCEBdvR0、おまえまじありがとう

もうすぐ朝六時半
ねる
みんなありがとう
>>1もありがとうwwwwwwwww

178 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 22:47:01.56 ID:lQjL2HYq0

みんなありがとう
だけど俺は>>1とは全くの別人です

182 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/08/02(日) 22:57:20.26 ID:lQjL2HYq0

だいぶ過疎ってたのにこんなに人がいるなんてなんか嬉しいわ、俺ww
別れ惜しいから試験終わったらまたなんか書くお(´∀`)
カナダで探してねんwww
みなさんお疲れーwwいい夢見てな



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