佐々木「『信者無き神の証言(ブラック・ハイプリーステス)』発動っ!!」


メニュー
トップ 作品一覧 作者一覧 掲示板 検索 リンク SS:アスカ「シンジ、あんたって『アスカ派?綾波派?』」

ツイート

1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/31(金) 08:34:27.60 ID:ZzP0anQKO

佐々木「やあキョン、待たせたかい?」

キョン「いや、今ついたばっかりだ」

佐々木「そうか、それじゃあ先に罰ゲームをどっちがするか決めてしまおう」

キョン「今日は負けん」

佐々木が親指でコインを弾く。
コインは垂直に頭上まで跳ね上がり、落ちてきて、佐々木が素早くそれを左手の中に閉じ込めた。

キョン「……ところで佐々木」

佐々木「なんだい?」

キョン「さっき入り口で取ってたポーズはなんだ?」

佐々木「見ていたのか……コインの裏表を当てるおまじないみたいなものさ」

キョン「ああそうかい」

佐々木「おや、信じてないね?」

キョン「信じているとも、そういう訳で俺は裏だ」

佐々木「くつくつくつ、レディーファーストって知ってるかい、キョン?」

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/31(金) 08:37:28.09 ID:ZzP0anQKO

佐々木「僕は神様になるよ」

佐々木はそう言ってからコーヒーを一口飲み、カップをテーブルに置いた。

キョン「な、なんだって?」

佐々木「おや、わからなかったかな? 僕は神になるんだ」

キョン「神って……つまり、いや、どういう事だ?」

佐々木「キョン、僕達の間で『神』といったらそれがどういうもので、どういう事を指すのかわかるだろう?」

キョン「……ハルヒにでもなるっていうのか?」

佐々木「キョンは大きな勘違いをしている様だね」

キョン「いや、だがしかし…」

佐々木「神の器は彼女だけかい?」

キョン「?」

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/31(金) 08:40:30.81 ID:ZzP0anQKO

佐々木は柔らかく微笑むと、演技めいたように胸元を軽く抑えて言った。

佐々木「ほら、ここにもう一つ」

キョン「……ま、まさか」

佐々木「くつくつくつ、やっと分かったのかい?」

キョン「マジか?」

佐々木「えらく、マジです」

キョン「ハルヒをどうにかするとでも言うのか!?」

佐々木「落ち着きたまえよ、キョン」

キョン「……すまない、しかしなんでまた」

佐々木「本来在るべき所に、本来在るべき力が戻るだけさ」

キョン「つまり元々の神はお前だった、とでも言いたいのか?」

佐々木「当たり前さ」

そう言うと佐々木は自らの控えめな胸を威張るようにして張り、しかしすぐにくだけた調子になった。

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/31(金) 08:44:53.09 ID:ZzP0anQKO

佐々木「……くつくつくつ、冗談だよ」

キョン「オイ」

佐々木「まさか君が僕にそんな顔をするとはね、思わず縮みあがったよ」

キョン「顔?」

佐々木「おや、無意識かい? なら尚更気をつけた方がいい、不用意に話し相手を怖がらせてしまうからね」

キョン「目つきが悪かったか? そんなつもりは微塵も無いんだが」

佐々木「構わないさ、しかしより一層神の力が欲しくなったよ」

キョン「なんでそう力を欲しがるんだ」

佐々木「僕は君と仲良くなりたいからさ」

思わずコーヒーを吹いた。

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/31(金) 08:49:36.71 ID:ZzP0anQKO

キョン「な、仲良くって……」

佐々木「む、何がおかしいんだい?」

キョン「今の関係は仲が良いとは言えないのか?」

佐々木「今の関係もやぶさかではないが、僕は君ともっと親密な関係になりたいんだ」

キョン「難しいな……つまりどんな感じだ?」

佐々木「キョーンっ!」
キョン「!?」

佐々木「そちらの涼宮さんはこんな感じだろう?」

キョン「あ、あぁ、そうだな」

佐々木「キョンくんっ」

キョン「〜〜ッッ!?」

佐々木「朝比奈さんはこんな感じだ」

キョン「あ、あぁ」

佐々木「どう感じた?」

キョン「正直たまりません」

佐々木「そうなんだ、僕は君と、こういう何かちょっとした間違いがあれば男女の関係に滑り込んでしまうような危うい関係になりたいんだ」

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/31(金) 08:58:54.95 ID:ZzP0anQKO

キョン「佐々木」

佐々木「なんだい?」

キョン「お前は何か勘違いをしているぞ」

佐々木「おや、そうかな?」

キョン「ハルヒや朝比奈さんとはそんな関係じゃないし、なる気配すらない」

佐々木「今は、だよ、きっかけさえあれば君は抵抗もなくするりとおちてしまうさ」
キョン「フフン、俺をそんな意志の弱い男だと思っているのか?」

佐々木「あぁ、もちろんだとも」

キョン「ぐ……だがしかしそんな事にはならないさ」

佐々木「確証があるとでも言うのかい?」

キョン「ああ、なぜなら俺はそのチャンスに気が付ける自信すら無いからな」

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/31(金) 09:07:33.18 ID:ZzP0anQKO

佐々木「……な、るほど……なるほど…なるほどね、くつくつくつ」

キョン「?」

佐々木「ああ、確かに君はするりと女性の手におちる所か、するりとアプローチ躱してしまうような性質だった」

キョン「不本意だが、古泉にも似たような事を言われた」

佐々木「しかし、簡単におちてしまうという点は弁解しないんだね?」

キョン「美女に迫られて折れない、なんてそれこそ断言しにくいものはないさ」

佐々木「くつくつくつ、確かに男性はそうだろうね」

キョン「ああ、そうだとも」

佐々木「……例えば、の話をしてもいいかな?」

キョン「例えば、だな」

佐々木「例えば……僕が君に迫ったとして、君は折れてくれるのかい?」

キョン「ああ、一秒保つかわからないな」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/31(金) 09:14:34.35 ID:ZzP0anQKO

佐々木「……くつくつくつ」

キョン「しかし本当に例えばの話だな、佐々木が俺に、ましてや迫ってくるなんて」

佐々木「それは……一体どういった意味だい?」

キョン「神様が逆立ちしても有り得てくれそうにはないって意味だ、イエスとブッダが立川のアパートで共同生活してるって言われた方がまだ信じられる、ハハ」

佐々木「……は〜」

キョン「なんでここで溜め息なんだ?」

佐々木「いや、まあいいんだよ、分かってた事さ」

佐々木「ところでキョン、こういう話は知ってるかい?」

キョン「どんな?」

佐々木「女性は自分の問題をしばしば友人の問題と置き換えて人に相談する事があるそうだ、わざとらしい程余計に念を押しながらね」

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/31(金) 09:16:36.22 ID:ZzP0anQKO

キョン「ああわかるぞ、男にもそういう奴を一人知ってるが面倒だ、直接言えばいいものを」

佐々木「わかってくれ、女の子はみんな恥ずかしがり屋さんなのさ、キョン」

キョン「ふむ……なるほどな、まあその気持ちも分からなくもないさ」

それから佐々木は話し続けて渇いた口を潤すかの様にカップに口を付け、一呼吸置き、咳払いを一つしてからわざとらしいほど重々しく語り出した。

佐々木「これは僕の友達の話なんだけどね?」

キョン「うむ、友達か」

佐々木「……えーと、その友達は大好きな男の子が居るらしいんだ。」

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/31(金) 09:19:49.98 ID:ZzP0anQKO

キョン「青春、いいじゃないか」

佐々木「……しかしその男の子というのが実に鈍感でね」

キョン「まて、俺はその友達の話を聞いてしまっていいのか?」

佐々木「もちろんだとも、個人名は出さないしね、ついでにアドバイスでもしてくれたら僥倖だ」

キョン「アドバイスか、自信は無いが努力してみよう……続けてくれ」

佐々木「ああ、その男の子はあまりに鈍感なんだがやたらと周りの女性にモテていてね、まあ本人は気が付いてもいないようなんだけど……」

キョン「羨ましい限りだな……」

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[誰も見てないってオチ?] 投稿日:2009/07/31(金) 09:23:04.77 ID:ZzP0anQKO

佐々木「しかも部活の女性を全員虜にしていると同部活内の男子生徒からも泣きが入る始末なんだ」

キョン「あぁ……そいつには同情するよ」

佐々木「……それで彼女、まああくまでも僕の友達なんだが、彼女は彼を押しても引いてもビクともしないどころかいつも躱されてしまうと嘆いているんだ」

キョン「ふむ……難しい話だな」

佐々木「まあ、僕の友達の話だけどね!?」

キョン「ああ、分かってる」

佐々木「ほ、本当かい?」

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[ちょっと安心した] 投稿日:2009/07/31(金) 09:26:03.25 ID:ZzP0anQKO

キョン「な、なんでいきなり興奮してるんだ?」

佐々木「え、あ……す、すまないね」

キョン「友達の話なんだろ?」

佐々木「……うん……まあ、そうなんだけどね……あ!」

キョン「今度はなんだ?」

佐々木「キョン、もしかして君は僕の性別が分かっていないんじゃないかい?」

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/31(金) 09:29:14.33 ID:ZzP0anQKO

キョン「ハハハ、いくら佐々木の一人称が僕だからってそれはないぞ?」

佐々木「なら言ってみてくれ」

キョン「そりゃどうして?」

佐々木「いいから、僕の性別を声にだして言うんだ」

キョン「う……佐々木は女の子だ、違うか?」

佐々木「ふー……良かった」

キョン「なんなんだ一体」

佐々木「いや、いいんだ」

キョン「今日は少しおかしいな」

佐々木「失礼だな、君は」

キョン「スマン」

佐々木「あ……そうか、そうだね」

キョン「今度は何を閃いた?」

佐々木「キョン、僕が女の子だ、という事を意識して先程の話を一から辿ってみてくれないか?」

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/31(金) 09:31:09.96 ID:ZzP0anQKO

キョン「わ、わかった、わかったから落ち着いて椅子に座ってくれ」

佐々木「ああ、もちろんだとも」

キョン「ん〜…………」

佐々木「……」

キョン「む…………」

佐々木「……まだかい?」

キョン「…………くっくっくっ、なるほど、なるほどな、わかったぞ」

佐々木「……!」


20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/31(金) 09:34:06.12 ID:ZzP0anQKO

キョン「その友達というのは……」

佐々木「……うん…うん!」

キョン「橘だな?」

佐々木「」

キョン「そして友達の友達というのが周防で、男はあの藤原とかいう奴だろう!?」
佐々木「……え?……え?」

キョン「そうかー、あいつらがなぁ」

佐々木「キョン、一つ聞きたいんだが」

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/31(金) 09:39:56.42 ID:ZzP0anQKO

キョン「なんだ」

佐々木「その迷推理は僕が女の子であるという事とどう関係しているんだい?」

キョン「ハハハ、名推理だなんて照れるな」

佐々木「そこはどうでもいいんだ、答えてくれ」

キョン「あ、ああ、つまり佐々木は女の子として同じ女の子である橘から相談を受けた、それが嬉しかったから俺に話してくれたんだろ?」

佐々木「なるほどね、そうなったか……」

キョン「ど、どうした?」

佐々木「……ああ、いや構わない、気にしないでくれ」

キョン「いや、いいんだ……しかし良かったな佐々木、俺もお前がこんな話をしてくれてなんだか嬉しいぞ」

佐々木「……そうかい、それは良かったね、キョン」



……おかしいな、いつも難解な話をしてくれる佐々木だが今日は別次元でおかしい。

そもそも佐々木が精神的に不安定になるなんてそう無い事だ。

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/31(金) 09:45:07.54 ID:ZzP0anQKO

キョン「まあなんだ、その……」

佐々木「……なんだい?」

キョン「佐々木から相談を受けるというのも悪い気はしないさ」

佐々木「……くつくつくつ、素直に嬉しいと言ったらどうなんだい?」

キョン「う……お、男は照れ屋なんだ、分かってくれ」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/31(金) 09:46:48.90 ID:ZzP0anQKO

そういって彼は顔をよそに向けて赤くなった頬を隠した。

「くつくつくつ、まあ分からなくもないよ」

そこで私は最近定番になっているデートコース、まあデートだと思っているのは自分だけかも知れないが、それを彼に提案してみる。

「さて、そろそろ君の部屋に行こうか」

「ん? ああ、もういい時間だな、今日はなんの映画を借りるんだ?」

「まあそれは道中で決めよう……しかしキョン、罰ゲームを忘れてはいないね?」

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[もうこんなの終わらせてやる!] 投稿日:2009/07/31(金) 09:49:09.39 ID:ZzP0anQKO

「やれやれ、今日も俺が椅子役か」

「くつくつくつ、キョンの胡座の上は座り心地がいいし安心するんだ、知ってるかい?」

「そいつは知りようがないな」

自分が提案した、「勝者のペナルティ」として課せられたコーヒー二杯分の代金を会計し、通りを歩いていると彼は言った。

「なあ」

「ん? なんだい?」

「佐々木も……その、藤原が好きなのか……?」

思わず立ち止まって振り返った。

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/31(金) 09:50:13.30 ID:ZzP0anQKO

「どうして……そんな事を聞くんだい?」

「べ、別に……ん? あれ? なんでだ?」

あからさまに動揺する様がおかしくて自然と顔がにやけてしまう。

「……なんだ、その顔は」

「くつくつくつ、別に?」

「む……」

それに彼はどうやらとことん鈍感らしい。

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/31(金) 09:54:22.17 ID:ZzP0anQKO

「キョン、安心してくれたまえ」

腕を絡ませてから、少し高い所にある彼の顔を見上げながら私は言った。

「……なんの話だ?」

またまたあからさまに彼の目が宙を泳ぐ、どうやら彼が堕ちるのはあと少しのようだ。


「キョン、借りたい映画を思いついたよ」

「どんな映画だ?」

「エロいやつさ」

「なにぃ!? ア、アダルトは無しだ!」

「もちろんだとも、とってもロマンチックで、それでいてちょっと官能的ならそれで十分事は足りるのさ」

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/31(金) 09:58:05.16 ID:ZzP0anQKO

糸冬

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/31(金) 10:06:50.33 ID:ZzP0anQKO

古泉「僕が交渉してくるんですか?」

SOUND ONLY「そうだ」

古泉「しかし、もっと話術の巧みな方が適切ではないでしょうか?」

さお「そうだな」

古泉「では僕は新川さんを推します」

さお「ダメだ」

古泉「じゃあ森さんなら、彼女の圧力は相当なものかと」

さお「あれは交渉向きじゃない」

古泉「肉体言語で物を言わせてくれますよ」

さお「それじゃダメなんだ」

古泉「……僕ですかぁー?」

田丸兄「行くのだ、交渉人古泉一樹!」

古泉「わかりましたよ、全く」

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/31(金) 10:11:36.50 ID:ZzP0anQKO

-魔の巣-

橘「……げ」

古泉「それを言いたいのは僕の方ですよ」

橘「私あなた嫌いです、帰ります」

古泉「まあそう言わずに、今回の会合は機関と組織の関係を緩和する重要な取り引きのハズです、違いますか?」

橘「くっ……仕方ないですね」

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/31(金) 10:20:47.76 ID:ZzP0anQKO

古泉「それで取り引きというのは?」

橘「単刀直入に言いましょう」

古泉「どうぞ」

橘「我々に神の力はもう必要ありません、というかいりません」

古泉「……これはこれは」

橘「しかしこちらが神の力を譲る代わりに、そちらから対価を貰おうと思っています」

古泉「……んふっ、そう来ると踏んでいましたよ。 こちらが小切手です、お好きなだけ金額を書き込んで下さい」

橘「そんなものでは対価になりえませんねぇ、神の力を金で買えるなら誰も苦労しませんよ?馬鹿ですか?」

古泉「お……おやおや、これは手厳しい」

古泉「では何を差し出せば宜しいのでしょうか?」

橘「こちらです」

古泉「……転入願い……?」

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/31(金) 10:25:40.77 ID:ZzP0anQKO

橘「キョンくんくださいな」ニコッ

古泉「」

橘「あ、もちろんただでとは言いません、神の力にこちらの藤原も付けます、あいつ口が悪くてムカつきますし」

古泉「…………」

橘「一応未来人なんでバラしたら何か変なものが出てくるかもしれませんよ? そちらの未来人の代わりにバラしてみてはどうでしょう」

古泉「小娘が……」

橘「……なんですって? この召使い野郎

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/31(金) 10:29:56.99 ID:ZzP0anQKO

古泉「藤原とか要りませんよ!」

古泉「大体神と彼は常にワンセット、そうでなくてはならないのです!!」

橘「そうはいってもこれがこちらの神、つまり佐々木の意向、ひいては組織の意向です」

古泉「……どうやらこれ以上は無駄のようですね、帰らせていただきます」

橘「……ふふふ、既に手遅れですよ」

古泉「……なんですって?」

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/31(金) 10:35:46.18 ID:ZzP0anQKO

―――――――
ピンポーン

佐々木「やあ、キョン」

キョン「佐々木か? 珍しいな連絡も寄越さずに来るなんて」

佐々木「……邪魔だったかい?」

キョン「邪魔なんてことはないさ、大歓迎だ」

佐々木「ありがとうキョン、上がらせてもらおう」

―――――――

橘「佐々木さんは既に彼の家に投入してあります」

古泉「!?」

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/31(金) 10:42:16.84 ID:ZzP0anQKO

橘「クスクス」

古泉「クソッ! 出ろ!出ろ!出てください!」

―――――――
prrrr、prrrr

ハルヒ「zzz」

ハルヒ「zzz」

prrrr、prrrr

ハルヒ「ん……ジュルんむ、もひもひ?」

古泉『涼宮さんですか!?いそいd』

ハルヒ「耳元でうっさいバカキョン」ブチ

ハルヒ「……zzz」

――――――

古泉「くっ……」
橘「クスクス」

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/31(金) 10:49:13.53 ID:ZzP0anQKO

橘「佐々木さんの勝ちですね……」

古泉「まだきまった訳では……」

橘「本日佐々木さんにはコレを持って行ってもらいました」ピラ

古泉「コンドー…ム」

橘「クスクス」

――――――
キョン「ん?」

佐々木「なんだい?」

キョン「その小さな手提げはなんなんだ?」

佐々木「ああ、橘さんに持たされたんだ、手作りのクッキーだからキョンと一緒に食べてくれって」

キョン「クッキー?」

佐々木「なんでもお詫びだそうだよ、なんのお詫びかは知らないけどね」

キョン「……まあ分かる、とりあえず開けてみよう罠かもしれん」

佐々木「キョン、君は時折真面目にユニークだね」
――――――――

古泉「だがしかしっ!」
橘「まだ足掻くんですか?」

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/31(金) 10:54:43.85 ID:ZzP0anQKO

古泉「……」prrrr
橘「今度は誰に電話ですか?」

―――――――
prrrr
キョン「ん?古泉から電話だ、ちょっと外すぞ」スタスタ

佐々木「どうぞ」

佐々木「……どんなクッキーかな」

シュル……

佐々木「…………」

……キュ

キョン「なんなんだ古泉の奴……お、待たせたな佐々木」

佐々木「え!?」

キョン「……顔が真っ赤だぞ?」

―――――――
古泉「よし、フラグを回避させたような気がします」

橘「卑怯ですよ……」

古泉「どの口が言うんですか?」

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/31(金) 10:56:25.59 ID:ZzP0anQKO

ちょっとご飯たべてくる

みてるひといるかしらんけど

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/31(金) 12:42:10.64 ID:ZzP0anQKO

キョン「貰ったクッキーでも食べるかね」

佐々木「えぇ!?」

キョン「何を驚く」

佐々木「え、いや……」

――――――

古泉「くっ、この……携帯を!」

橘「ふぬぬぬ!!」

古泉「痛い痛い痛い痛い!!爪立てるのは無しです!!」

prrrr、prrrr

橘「!?」

古泉「!!」

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/31(金) 12:50:40.75 ID:ZzP0anQKO

着信:涼宮さん

prrrr

古泉「キタァァァァ」

橘「させませんっ!!」ピッ

古泉「あ、ちょっと!!」

ハルヒ『も、もしもし古泉くん? ごめんね!寝ぼけてキョンと間違っ』

橘「……アンタ誰よ」

古泉「んむー!!むー!」

ハルヒ『え……?』

橘「アタシのカレに何の用よ?」

ハルヒ『え……あの……』

橘「用もないのに電話してくんじゃないわよ、このドヴス!!……えいっ」ピッ
古泉「ち、ちょっとぉぉ!?何してくれてんですかあなた!?」

―――――――――

ハルヒ「……顔も知らない人に怒られた挙げ句ブス扱いされたわ……」

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/31(金) 13:04:31.60 ID:ZzP0anQKO

橘「涼宮さんに個人的な恨みはありませんがざまーみろです」

古泉「あー、ちょ、も、あー!もー!」
prrrr
着信:新川さん
ピッ
古泉「……はい」
新川『閉鎖空間です、緊急出動を』
古泉「わかりました」

橘「……」ニヤニヤ
古泉「……」ガッ

橘「いたっ! いったぁ〜、女の子の足を蹴りましたね!?」
古泉「この借りは絶対返します!」スタタタタタ

橘「逃げ足の早い……でもこれであとは佐々木さん次第、うふふふふふふ」
――――――――

キョン「俺にも見せてくれよ、橘の作ったクッキー」

佐々木「……や、やだ」

キョン「やだって……いじわるか?」
佐々木「いや、違うよ」

キョン「じゃあ見せてくれ」
佐々木「それとこれとは話が別だろう!? 全くキョンは!全くキョンは!!」

キョン「……なぜ俺は佐々木に怒られているんだ、話がまったく見えん」

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/31(金) 13:11:58.24 ID:ZzP0anQKO

『キョンは!全くキョンは!!』

橘「……いけませんね、佐々木さん珍しくテンパってます」

―――――――

キョン「ま、まぁ落ち着け佐々木、な?」

佐々木「ふぅ、ふぅ、そ、そうだね、取り乱してしまった」

キョン「なんでそんなに怒っているんだ、俺が何かしてしまったのか?」

佐々木「………………うぅ」

キョン「さ、佐々木?」


俯いた佐々木の目から涙が一筋頬を半ばまで伝って、床に小さな音を立てて落ちた。

佐々木「た、橘さんが……うくっ」

キョン「橘が?」

佐々木「ひくっ……ぜ、ぜんぶわるいんだ」

キョン「より一層わけがわからん」

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/31(金) 13:16:51.38 ID:ZzP0anQKO

古泉「遅れてすいません!!」

森「古泉か」

古泉「…………あれは」

新川「目立った破壊活動もせず、基本的には体育座りで手に持った丸いものを覗きこみ、時折思い出したように足元にあるものを投げる……彼女に何があったんでしょうね」

古泉「多分鏡を見ているのではないかと……」

森「鏡……?」

―――――――

ハルヒ「…………」

ハルヒ「……ぶすかしら?」

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/31(金) 13:23:18.78 ID:ZzP0anQKO

ハルヒ「中学生の時たまにシカトとかされたけど……ブスって言われた事は無かったわ」

ハルヒ「……案外ショックね」

ハルヒ「…………おかーさーん」

――――――――

佐々木「…………」

キョン「…………」

佐々木「…………」

キョン「……もう、橘のクッキーを見せろとは言わないさ」

佐々木「………ごめんね、キョン」

キョン「ん?」

佐々木「急に家に押しかけといていきなり怒ったりいきなり泣いたり、我ながら迷惑な人間だよ」

キョン「はは、気にするな」

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/31(金) 13:38:28.56 ID:ZzP0anQKO

古泉「く……強い、すごく強いぞ!!」

青白く発光する神人は手に持った手鏡を蠅たたきの様に振り回す。
腕はまるで関節がないかのようにしなり、それによる鞭のような攻撃に超能力者達は苦しめられていた。

新川「うぐっ!?」

音速に至る手鏡の縁が新川の肉体に突き刺さる。

新川「む……無念…!」

古泉「新川さん!!」

森「きゃあ!?」

次に森が手鏡に直撃し、逃れる事が出来ないままビルに叩きつけられた。

古泉「森……さん」

今、宙に浮かぶ赤い球体は古泉一人のみになった。
在るはずのない青白い巨人の目が、自分を捉えたのを古泉は感じていた。

――――――――

『ひくっ……ぜ、ぜんぶわるいんだ』

橘「……なんで?」

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/31(金) 13:46:01.91 ID:ZzP0anQKO

佐々木「……キョン」

キョン「なんだ?」

佐々木「中を見てもいいよ」

キョン「いや……」

佐々木「構わないよ、キョン」

キョン「でも佐々木が…」

佐々木「いいから、見てくれ」



キョン「こ、これはあの、あー」

佐々木「クッキー」

キョン「じゃないよな」

佐々木「くつくつくつ」

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/31(金) 13:55:45.87 ID:ZzP0anQKO

佐々木「……全く、橘さんは余計な気を回してくれるよ」

キョン「ど……どういう事だ?」

佐々木「僕は君を好きだって事さ、キョン」
――――――――

ハルヒ「でも用事とかないし」

ハルヒ「いきなり行って『わたし可愛い?』も引くわ」

ハルヒ「……古泉くん彼女いるんだ」

ハルヒ「……いーなー」

ハルヒ「キョーン…」

68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/31(金) 14:05:10.34 ID:ZzP0anQKO

両腕は地におちた。
切断された頭部が地面をバウンドし、血液に似たものが切断面から噴出する。
天には亀裂が入り、卵の殻のように瓦解していく。

左右の手に森と新川を抱えた古泉は呟いた。
古泉「ちょっとしたスペクタクルですね」


紅のスーパーボール誕生の瞬間であった。




糸冬

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/31(金) 14:10:42.42 ID:ZzP0anQKO

『僕は君を好きだって事さ、キョン』

橘「こ……告白した」

橘「きゃーきゃー!」

『………』

橘「……あれ? 続きは? ジュルッポズチュヌチュは?」

周防「――――――――」

橘「あ、周防さん」

周防「――――無―――粋」

橘「……ちぇ」

72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/31(金) 14:23:17.01 ID:ZzP0anQKO

キョン「佐々木が? 俺を?」

佐々木「そうだよ」

キョン「す、す、好きだって!?」

佐々木「最早愛しているといっても過言ではないよ」

キョン「」

佐々木「しかしこの思いが実る事はないんだ、それも分かってる」

キョン「……ハルヒか」

佐々木「そう、世界を盾に取られてるからね、かないっこないのさ……だからこんな真似をされても迷惑なんだよ、橘さん」

74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/31(金) 14:26:11.44 ID:ZzP0anQKO

周防『迷惑なんだよ、橘さん』

橘「盗聴がバレてた……?」

周防「――――――――」

橘「え、ていうか佐々木さんあんなに……!」

周防「―――まず――――土――下座」

橘「ごめんなさいでした」

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/31(金) 14:32:33.64 ID:ZzP0anQKO

キョン「え? 橘?」

佐々木「くつくつくつ、こちらの話さ」

キョン「あ、ああ……」

キョン「いや、佐々木っ!」

佐々木「キョン」

キョン「なんだ」

佐々木「もう僕の名前を呼ばないでくれ、決意が揺らいでしまうよ」

76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/31(金) 14:39:07.53 ID:ZzP0anQKO

キョン「……なんと言ったらいいものか」

佐々木「そこは『分かった』、とだけ言ってこの手を離せばいいのさ」

キョン「離したらどこかに行くんだろ?」

佐々木「当たり前だよ、愛しい男が他の女に連れ去られて喜べるほど出来た人間じゃないんだ、僕はね」

キョン「む……言える事がなにもない」

佐々木「だから離せばいいのさ」

キョン「……」

佐々木「キョン、痛いよ」

79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[お昼寝してた、すまんこ] 投稿日:2009/07/31(金) 15:09:32.46 ID:ZzP0anQKO

右手は佐々木の手首を掴んでいる。

「キョン」
「……」
「早く離すんだ」

佐々木が初めてみせる冷たい目に背筋が凍った。
それでも俺は佐々木の手を離そうとはしなかった。

「……佐々木」

「……」

「俺は……佐々木を選ぶ事はできない」

「当たり前だよ、それでいいんだ……世界の全てを捨てて僕を選ぶなんて自己中心的過ぎる、そんな事をしたら見損なう所だった」

「だがこの世界に佐々木以上大切なものも在りはしない」

「……なんだって?」

佐々木の顔が変な物でも見るかのように歪む。

「つまり、だ」

「俺は世界も捨てられないし、佐々木はもっと捨てられないって事だ」

「……あきれたやつだな、君も」

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/31(金) 15:14:56.57 ID:ZzP0anQKO

「心底見損なったよ、キョン……さよならだ」

「おっと、行かせないぞ」

「離せよ、離してくれ!」

佐々木は必死に振り解こうとする。
端から見たら変態だな、これは。

「僕を捨てるって言え」

「断る」

「僕を嫌いだって言え」

「いやだね」

佐々木は目を真っ赤にして、また泣いていた。

83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/31(金) 15:21:29.88 ID:ZzP0anQKO

「まるでだだをこねる子供の言いぐさだね」

「だだをこねればお前が居なくならないって言うなら、だだでもなんでもこねるさ」

「くそ」

「汚い言葉遣いはよせ」

「うるさいぞキョン」

「今日はよく泣く日だな」

「うるさい」

「なんで泣いてるんだ?」

「嬉しいからに決まってるだろ、キョンは心底馬鹿だな」

85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/31(金) 15:28:52.01 ID:ZzP0anQKO

しばらくの沈黙の後、佐々木は体を突き放してから言った。

「良し分かった、君が僕を捨てないって言うなら僕が君を捨てよう」

「できるのか?」

「できるとも、全ては君の事を思えばこそさ」

「捨てたら死んでやる」

「なっ!?」

「佐々木が俺を捨てても、俺がその後死んでちゃ本末転倒だよな?」

これはさすがに自分がいやらしく笑っているのが分かった。
反対に佐々木の頬は紅潮して、苦々しい表情に変わる。

「……ふ、普通そういうのは女の最終手段だろう?」

「手段を選んでる余裕なんてないんだよ」

87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/31(金) 15:35:12.02 ID:ZzP0anQKO

「くそっ」

「おい」

「馬鹿!」

「なんだと」

「しね!」

「ああ、お前が俺を捨てたらな」

佐々木はその場しばらく逡巡した後、胸に飛び込んできた。
というか鳩尾にタックルをきめた。

「おうふ」

「屈辱だ」

「そうかい」

「……僕の負けだ、キョン」

89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/31(金) 15:42:26.29 ID:ZzP0anQKO

佐々木の細い腕はそのまま背中にまわされる。


「キョン」

「なんだ?」

「僕を捨てたら死んでやる」

佐々木は微笑みながらそう言った。








佐々木さんの共依存

糸冬

90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/31(金) 15:43:53.10 ID:ZzP0anQKO

レロジュプなくてすいませんでした

つぎこそはレロジュプ書きます

95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/31(金) 16:05:21.64 ID:ZzP0anQKO

かむーとふにゃんにゃん



ツイート

メニュー
トップ 作品一覧 作者一覧 掲示板 検索 リンク SS:キョン「そういう事か……そういう事かハルヒ!」