古泉「森さん、何ですか、これ」


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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 17:54:53.02 ID:rv2bB5bv0

森「バーベキューセットよ」

古泉「まあ、見ればわかりますけどね」

森「青葉公園でフリマやってて、1000円だっていうから思わず」

古泉「いつだかのボディブレードよりはまだマシですけど……」

森「あんたたちの夏の行楽に使えないかなーと思って」

古泉「バーベキュー大会ですか」

森「悪くないでしょ?」

古泉「ふむ」

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 18:01:52.46 ID:rv2bB5bv0


………

キョン「バーベキューなあ」

ハルヒ「いいじゃない、バーベキュー。今年はまだ何するか決めてなかったし」

古泉「わりと立派な器具ですから、皆さんで楽しめますよ」

みくる「バーべキュウ……」(って何だろう……)

キョン「しかし、どこでやるかね。去年花火した河原あたりか」

ハルヒ「何言ってんのよ、そんな近場でやったって面白くないじゃない」

キョン「……まさか泊りがけでやる気か」

ハルヒ「キャンプよキャンプ、どっかそこらの山で」

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 18:17:05.47 ID:rv2bB5bv0

キョン「キャンプっつったって、バーベキューセット持参だぜ? 車でもなきゃきついだろ」

ハルヒ「そんぐらい何とでもなるわよ。そだ、鶴屋さんも誘いましょうよ。免許取ったって行ってたし。
    鶴屋さんなら車ぐらい用意できるでしょ。駄目ならレンタカーでも借りればいいし」

キョン「レンタカー代はどっから出るんだよ。それに、キャンプするってんならテントだのなんだの、色々要るだろ」

古泉「一つなら、うちの実家にありますよ。昔、天体観測用に買ったんです」

ハルヒ「あたしの家にも確か一つあったわ。男女に分かれれば、二つありゃ十分でしょ。
    あ、でも、どうせならまた妹ちゃんも誘うわよね? そしたら、三つぐらいあったほうがいいかしら……」

キョン「とりあえず、もう少し煮詰めてから考えないか。みんなの予定が会うかもわからんのだし」

ハルヒ「みんなの都合が会う日にすればいいじゃない。それに、少なくともあたしたちはどうせ暇でしょ?」

キョン「まあ、暇っちゃ暇か」

長門「……問題ない」

みくる「あ、はい。私も、とくに予定はないです」

ハルヒ「じゃ、とりあえず、鶴屋さんに声かけてみましょ。行き先は……」

古泉「僕が近場でいい場所がないか調べておきますよ」

ハルヒ「おっけー、じゃ、今日はこれで解散ね。
    そだ、どうせなら賑やかなほうがいいし、みんな、参加できそうな知り合いに声かけといて」

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 18:25:23.55 ID:rv2bB5bv0


………

古泉「そんなわけで、とんとん拍子に話が大きくなってしまいました」

森「ま、多分そうなるとは思ってたから、適当に近場調べといたわよ。この辺だと、日ヶ奥渓谷あたりがいいんじゃない?」

古泉「公共のキャンプ場ですか?」

森「も、近くにあるけど、ちょい離れたとこに穴場があんのよ。周りにうじゃうじゃいるより、あたしらだけのがいいでしょ」

古泉「勝手にキャンプして文句言われませんかね……って、あたしらって、森さんも来るんですか?」

森「そらそーよ、子どもだけでキャンプってのも問題でしょ。あんたの親戚ってことにでもすりゃ問題ないわよ」

古泉「怪しまないですかね、涼宮さん」

森「あの子がそんな細かいこと気にするわけないって」

古泉「……そうかも」

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 18:29:58.47 ID:rv2bB5bv0


………

キョン「妹は大喜びで参加表明してくださいました」

pipipi

キョン「ん」

佐々木『やあ、キョン。起きてたか』

キョン「そらまだ九時だしな。どうかしたのか」

佐々木『キャンプをするそうだね、さっき涼宮さんから電話があったよ』

キョン「ああ、そうだ。……は? ハルヒからお前に電話?」

佐々木『ああ。参加しないかとね』

キョン「……お前、ハルヒと何が有ったんだよ」

佐々木『さあ、なんだろうね。彼女が僕の友人であることに、何か問題でも?』

キョン「……まあ、いいが。つか、お前が来るってことは」

佐々木『大所帯になりそうだね』

キョン「……何もなきゃいいが」

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 18:35:43.24 ID:rv2bB5bv0


………

森「古泉、トマトジュースなかったっけ」

古泉「野菜室にあります。タバスコと黒コショウはそこの棚です」

森「はいは〜い」

pipipi

古泉「あっと……すいません、森さん、そこのケータイ取ってください」

森「ん。……コレからね」

古泉「コレ? ……はは」

pi

橘『もしもし』

古泉「やあ、どうも」

橘『あたしんとこにもテント一つありますよ』

古泉「ああ、それは丁度よかった。……は?」

橘『あと、藤原君から車貸してもらえると思います。本人は、暑いのイヤだし、標高高いと喘息でるから行かないそうですけど』

古泉「え、いや、何故貴女がキャンプのことを?」

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 18:41:10.79 ID:rv2bB5bv0

橘『佐々木さんが教えてくれました。涼宮さんからお誘いがあったんです』

古泉「涼宮さんが、佐々木さんを誘われたんですか?」

橘『そうですけど』

古泉「……何でまた」

橘『あれ、知らなかったんですか? あの二人、仲良しなんですよ』

古泉「マジですか?」

橘『えらくマジです。あ、当然ですけど、周防さんも行きますからね。あたしたちみんな当分暇ですから、日取りきまったら教えてくださいね。じゃ、おーばー』

古泉「あ、ちょ」

古泉「……なんですかこれ」

森「どしたの?」

古泉「ああ、いえ……なんか、知らない間に佐々木さんと涼宮さんが仲良くなってるみたいで」

森「いい事じゃない?」

古泉「……まあ、険悪なよりはいいですけど」

古泉「大丈夫かな……なんか」

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 18:48:50.32 ID:rv2bB5bv0


………

朝倉「え、それ、私も行っていいんですか?」

長門「むしろ、強制する」

朝倉「……べつに私は構わないですけど、なんでまた?」

長門「念のため」

朝倉「涼宮さんのこと?」

長門「そう」

朝倉「うーん……でも、みんなで楽しくキャンプするぐらいじゃ、何もないと思いますけど」

長門「周防九曜が同行する予定」

朝倉「天蓋領域の?」

長門「周防九曜の動向に奇妙な点がある。数ヶ月前から」

朝倉「……そうでしたっけ?」

長門「あなたの同行を願う」

朝倉「はいはい、わかりました」

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 18:52:26.58 ID:rv2bB5bv0


………

ハルヒ「誘っちゃった……」

ハルヒ「キョン……佐々木さん」

ハルヒ「……んー」

ハルヒ「……橘さんも来るわよね、多分」

ハルヒ「……単に、いっぱいのほうが楽しいものね」

ハルヒ「……あ、そだ。鶴屋さんに電話しなきゃ」

pi pi pi

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 18:56:09.53 ID:rv2bB5bv0


………

みくる「あ、鶴屋さんですか?」

鶴屋『ほいほい、鶴屋さんだよ。もしかして、キャンプの話かな?』

みくる「あ、はい、そうです。涼宮さんから聞きました?」

鶴屋『うん、ちょうど今まで電話してたよ。喜んで参加するよ』

みくる「よかった、ありがとうございます。……それで、お願いがあるんですけど」

鶴屋『うん?』

みくる「その、当日までに、私に教えて欲しいなって……ぜんぜんやり方わからないんで」

鶴屋『何の?』

みくる「そのバーベ球っていうの……野球より難しいですか?」

鶴屋『』

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 18:59:42.14 ID:rv2bB5bv0

いままでのあらすじ

http://www.vipss.net/haruhi/1243609228.html(前半だけ)
http://www.vipss.net/haruhi/1244451026.html
http://www.vipss.net/haruhi/1246426547.html
http://www.vipss.net/haruhi/1246911264.html

番外
http://www.vipss.net/haruhi/1246780720.html

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 19:11:32.59 ID:rv2bB5bv0


………

キョン「どうしてこうなった」

古泉「総勢12人ですね」

ハルヒ「鶴屋さんの車と、佐々木さんたちが用意してくれる車とで乗り切れるかしら」

鶴屋「あたしのは6人乗れるからね。妹ちゃんも入れたら7人はヨユーだよっ、なんとかなるんじゃないかい?」

森「じゃ、そっちに7人乗ってもらって、もう5人はもうかたっぽの車で買い物組ね」

キョン「12人分(内TFEI3人)か……えらい量になりそうだな」

みくる「あ、あのミニバンじゃないですか? 佐々木さんたちの」

ガチャ

橘「おはようございまーす」

九曜「――お―――は――」

佐々木「やあ、今日はよろしく」

キョン「ああ、よろしくな。えらいにぎやかで悪いが」

佐々木「何、こういうのは大勢で楽しむのがいいんじゃないか」

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 19:18:47.93 ID:rv2bB5bv0


バタン

藤原「じゃ、僕は帰るぞ。ガソリン入れてから返してくれよ」

橘「はいはい、どうもありがとうございました」

キョン(徒歩で帰らすんかい)

ハルヒ「これなら5人は余裕で乗れるわね」

森「じゃ、私はこっちの運転手をすればいいわね?」

橘「お買い物してくんですよね? わたし、そっちにします」

古泉「では、力仕事も要るでしょうから、僕も」

九曜「あなた―――は―――こっち―――」

古泉「へ?」

鶴屋「おや? いっちゃん、なんだか気に入られてるみたいだね?」

古泉「はは……」

ハルヒ「となると、あんたが買い物組の荷物運び担当ね」

キョン「あー、わかったよ」

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 19:31:04.36 ID:rv2bB5bv0


………買い物組:森、キョン、橘、みくる、朝倉

キョン(しかし、この大人数にもかかわらず男が俺と古泉だけってのはまた)

橘「お買い物、どこでします?」

森「ホームセンターで炭とかテント買い足して、あと食材買うのに業務用スーパーね

朝倉「……あたし、なんか居心地悪くない?」

みくる「私もなんとなく……」

キョン(俺もだよ畜生)

キョン「つか、朝倉。よく長門がお前来るの許したな」

朝倉「許すも何も、来てくれって頼まれたのよ、長門さんのほうから」

キョン「マジか。何でまた」

朝倉「……よくわからないのよね。ただ、周防九曜がどうだとか……」

キョン「九曜が?」

朝倉「最近何かおかしいらしいのよ。詳しい話はしてくれないんだけど。あなた、なんか心当たりないの?」

キョン「何かおかしい、か……」

キョン(……心当たりが無いわけじゃないが、九曜は関係ないんじゃないだろうか)

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 19:40:15.66 ID:rv2bB5bv0


………

キョン「テント、テント……あった。できるだけでかいのがいいよな」

森「ああ、そういえば、キョンさん」

キョン「はい?」

森「橘にえらいことしたらしいわね」

キョン「」

森「……若いわね」

キョン「……誰から」

森「本人」

キョン「」

森「別に泣きながら打ち明けられたわけじゃないから安心していいわよ。さらっと聴いただけ」

キョン(それは安心していいんだろうか……)

森「ま、あたしはそういうの理解あるほうだから。古泉から聞いたでしょ?」

キョン「え、ええ、まあ」

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 19:43:34.48 ID:rv2bB5bv0

森「ま、ほどほどにしておきなさいって言いたかっただけですよ」

キョン(にっこりされた)

みくる「炭ありましたあ」

朝倉「二袋もあったら足りるかしら」

森「炭はそんなじゃんじゃん使わないわよ?」

橘「森さん、チェリーチップってこれですか?」

森「ああ、そうそう。これがあると色々できるのよ」

キョン(……古泉も知ってるんだろうか)

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 19:56:11.35 ID:rv2bB5bv0


………

橘「……お肉多くないです?」

キョン「ん? ああ、長門がいるし、大丈夫だろ。それに、九曜もけっこう食いそうだし」

橘「ふうん」

森「野菜は事前にかっといたから。あと、小麦粉とソース。古泉にお好み焼きやらすから」

朝倉「お好み焼き、バーベキューで?」

森「鉄板で焼けりゃなんだってできるのよ」

みくる「も、森さん、24缶パックってこれでいいんですかぁ?」

キョン(俺、完全に蚊帳の外)

キョン「……なあ、橘」

橘「何ですか?」

キョン「ハルヒと佐々木、いつの間に仲良くなったんだ?」

橘「さあ、あたしも詳しくは知りませんけど……あの日からじゃないですか?」

キョン「あの日……っつーと」

橘「あたしがどっかの誰かにレイプされた日ですよ」

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 19:59:10.97 ID:rv2bB5bv0

キョン(……言い返せない)

橘「あの日、世界が滅びませんでしたよね」

キョン「……まあ、滅びてたら、今頃こんなして行楽の準備なんかしてなかっただろうからな」

橘「佐々木さんが止めたんですよ、世界の崩壊」

キョン「……は?」

橘「そうとしか考えられないじゃないですか?」

キョン「……」

キョン(ハルヒと佐々木が?)

キョン(……想像できん。いや、したらいけない気がする)

橘「テント、全部で四つでしたっけ」

キョン「? ああ」

橘「どうなるんでしょうね、今夜」

キョン「……お前、死ぬほど悪趣味だな」

橘「どっちが」

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 20:04:33.71 ID:rv2bB5bv0


………先行チーム:鶴屋、ハルヒ、古泉、長門、妹、佐々木、九曜

鶴屋「ほいさ、到着だよっ」

ガラッ バタン

妹「わー、湖きれーい!」

ハルヒ「んー、山の空気って感じね」

長門「正しくは渓谷」

ハルヒ「細けぇこたぁいいのよ! よっしゃ、妹ちゃん、遊ぶわよ!」

妹「わーい!」

佐々木「さて、僕らは先にテントを張っておこうか。古泉君、手伝ってくれるかい?」

古泉「ええ、もちろん」

鶴屋「あたしも手伝うよっ。その後は、渓流釣りだね。ちょっと行くと、いい感じの流れのとこがあるんだよ」

九曜「釣り―――針―――」

古泉「でかすぎます」

佐々木「それはテントを地面に押さえるピンだよ、周防さん」

九曜「グランダ―――九――曜―――」

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 20:17:30.18 ID:rv2bB5bv0

妹「ハルにゃん、見て、お魚いるよー」

ハルヒ「あ、ホントだ。ボートでも持ってくればよかったわね」

キョン「ゴムボートじゃ船釣りはできねーよ」

ハルヒ「あ、キョン! 遅かったわね」

キョン「えらい量になっちまってよ。12人分の昼飯と晩飯だぜ、荷台にぎりぎりだったわ」

ハルヒ「よっしゃ、妹ちゃん。バーベキューの用意手伝いいこっか」

妹「うん!」



森「炭は立てて……そうそう、それで新聞紙に火つけたやつをね」

ハルヒ「見てみてキョン、漫画みたいなバーベキュー串!」

キョン「おい、とうもろこし全部切るなよ。皮のまんま焼く分残しとけ」

森「あれ、そういえば、古泉は?」

佐々木「彼なら、周防さんと鶴屋さんと一緒に魚釣りに行ったみたいですよ」

キョン(体よく準備を逃げやがったな)

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 20:25:36.14 ID:rv2bB5bv0


九曜「―――ボウ―――ズ―――」

古泉「はは……まあ、初めてでしたらこんなものでしょう」

鶴屋「めがっさー! 12匹目ー!」

古泉(何であの人はああもイケイケなんでしょうか)

長門「……古泉一樹」

古泉「うわっと!? びっくりした……長門さんでしたか。どうかなさいましたか?」

長門「……」

九曜「―――」

長門「……特に」

古泉「そ、そうですか」

長門「……」

九曜「―――」

長門「気をつけて」

古泉「は、はあ……」

古泉(……なんったんだろう)

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 20:51:12.23 ID:rv2bB5bv0


キョン「あ、おい、その串もうやばいって」

ハルヒ「あんたがさっさと食べないからでしょ!?」

妹「りょ、涼子ちゃん、これからいよ!?」

朝倉「え? あっ、しし唐の当たり引いちゃったの!? ちょ、水飲んで水!」

古泉「おや、盛り上がってるようですね」

森「お、帰ってきたわね。で、釣果はどうでした?」

鶴屋「ばっちし16匹っさ! ヤマメが10匹と、ニジマスが6匹だね」

森「じゃ、あとで燻製しますから、その釣った魚入れて水に漬けとく網ごと、そこのバケツに入れといてください」

鶴屋「オッケー、この釣った魚入れて水に漬けとく網ごとおいとくからねっ」

橘「どうせ古泉さんの釣果はゼロなんでしょう?」

古泉「よくご存知で」

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 21:01:23.66 ID:rv2bB5bv0

古泉「豪勢ですね。夜ご飯、入りますかね」

橘「カレーやるそうですよ、夜は。はいお皿」

古泉「鉄板ですね。どうも」

森「古泉、夜にお好み焼き作んなさいよ」

古泉「いいですね。腕を振るわせていただきます」

キョン「え、夜もバーベキューするんですか?」

森「ま、おまけ程度に。野菜を焼いてカレーの具にするんです」

キョン「ああ……なんか、キャンプっぽいですね」

古泉(えらい慣れてるなあ、森さん)

ハルヒ「妹ちゃん、ピーマン食べる?」

妹「辛いからいい……」

キョン(しし唐とピーマンは似てるが別だぞ)

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 21:13:54.91 ID:rv2bB5bv0


………

キョン「長門の活躍で、昼飯はすっかり片付きまして」

ハルヒ「きたーっ、6匹目!」

妹「きゃはははは!」

キョン「おい、あんま騒ぐなよ、魚逃げるだろ! ……まあ、どうせ俺はこのまま坊主だろうけど」

橘「釣りにも向き不向きってあるんですねえ」

キョン「お前は何で釣らねーのにこっちに来たんだよ」

橘「なんとなくですよ」

キョン「アレだろ、カレー作りの手伝いがイヤだったんだろ? お前、料理出来なさそうだしな」

橘「料理ぐらいできますよ、あたしだって」

キョン「だったらたまには、古泉んちでも手伝えばいいじゃねえか。ご馳走になるだけじゃなくてよ」

橘「古泉さんが作ったほうが美味しいんです」

キョン「だろうな」

橘「…………」

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 21:18:32.17 ID:rv2bB5bv0

キョン「何だよ」

橘「ハラの底からむかついてるだけです」

げしっ

キョン「うおあ!?」

どぼん

ハルヒ「……キョン、あんた何やってんの?」

キョン「げほ、げほっ! 橘、てめ何すんだ!?」

橘「佐々木さんと遊んでこよーっと」

キョン「待てこのやろ……いててて!?」

ハルヒ「あっ、また釣れた……って、なにこれ、すごい重い!?」

キョン「それは俺の左腕です! 引っ張るな、外せねーだろ!」

ハルヒ「邪魔しないでよ、愚図ね! このまま心臓まで掘り進めるわよ!?」

キョン「ジッパー! 誰かジッパーつけて! 俺に!」

妹「キョン君たのしそー」

キョン「楽しくねえ!」

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 21:27:19.44 ID:rv2bB5bv0



古泉「おや、釣りはもういいんですか?」

橘「飽きました。あれ、佐々木さんは?」

古泉「あちらです」

橘「? ……あ、ゴムボート。あんなの持ってきてたんですか?」

古泉「僕の私物ですよ」

橘「私物多いですね、あなた」

古泉「実家から持ってきたんです。父がわりとアウトドア志向だったんで、いろいろあるんですよ」

橘「あたしも乗りたかったです……ていうか、佐々木さんと長門さんの二人でボートって、楽しいのかな」

古泉「はは、どうでしょうね。わりに馬が合うんじゃないでしょうか」

橘「佐々木さんならあり得るかも……あれ、あなたはカレー作りしないんですか?」

古泉「まあ、ここは森さんを立てるということで」

橘「森さん、お料理できるんですね」

古泉「実はお上手なんですよ。めったにしてくれませんけどね」

橘「ふーん」

68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 21:37:36.06 ID:rv2bB5bv0

橘「水着でも持ってくれば良かったな」

古泉「おや、持ってこられなかったんですか?」

橘「だって、湖畔でやるなんて聴いてなかったんですもん」

古泉「お貸ししましょうか」

橘「ディ・モールト結構です」

古泉「はは」

橘「このキャンプって、機関とは関係ないんですよね?」

古泉「ええ。まあ、焚きつけたのは森さんですが、機関そのものの強力は得てません。買い物代は経費で落とすつもりですがね」

橘「やっぱり機関ってヒマなんですね。森さんと古泉さんと二人して遊んでられるなんて」

古泉「正直、最近は割りとヒマですね。閉鎖空間もちっとも出ませんし」

橘「……ここ一月ぐらいですか?」

古泉「はい。不思議なほどにね。……考えてみれば、僕らとあなたがたとの交流が深まり出してから、でしょうか」

橘「涼宮さんと佐々木さんが仲良しになるなんて思いませんでした?」

古泉「正直、ね」

69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 21:41:43.36 ID:rv2bB5bv0

橘「何が有ったんですかね」

古泉「何が有ったんですか?」

橘「知りませんよ」

古泉「ウソですね。あなたが佐々木さんのことでご存じないことなど、あるはずがありません」

橘「……残念ですけど、ホントに詳しいことは知らないんです。その前後ぐらいは知ってますけど」

古泉「できるなら、お聴きしたいのですが」

橘「…………」

橘「あいつの部屋から、佐々木さんの匂いがしたんです」

古泉「……彼ですか」

橘「あのヤローが悪いんですよ」

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 21:49:11.24 ID:rv2bB5bv0



佐々木「気をつける……って言っても、何に気をつけたらいいのかしら?」

長門「あなたの周囲で起きている異変」

佐々木「……平穏に暮らせていると思うけど」

長門「涼宮ハルヒに刺激を与えたのは貴女」

佐々木「……お見通しなのね」

長門「エラーが発生している。涼宮ハルヒや貴女だけではない。彼や、橘京子。古泉一樹もそう」

佐々木「エラー。あなたにとっては、エラーっていうのが一番わかりやすい表現なのね」

長門「そう」

佐々木「エラーがなかったら、人は生きられないのよ」

長門「……」

佐々木「私はそのエラーが、人より少し多かっただけ」

佐々木「あなたには、わかりにくいかしら?」

長門「…………」

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 21:56:25.71 ID:rv2bB5bv0


………

長門「その手を放して」

九曜「―――」

長門「放して」

妹「すー…………」

長門「やはり貴女が原因」

九曜「―――あなた――は―――興味を――持た――ない――?」

九曜「人は―――誰もこれを求める―――のに―――」

長門「それは彼女には未だ必要ではない」

九曜「必―――要―――?」

九曜「―――誰も――同じ――人―――でも―――?」

長門「その手を放して」

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 22:01:54.19 ID:rv2bB5bv0

ジィィィ

キョン「……何だ?」

佐々木「おや、起きていたのかい」

キョン「寝にくいんだよ、暑いしな」

佐々木「古泉君は?」

キョン「散歩に行ったよ」

佐々木「そうかい。僕も、目が覚めたら、橘さんも長門さんも居なくなっていてね」

キョン「……散歩だろ」

佐々木「きっと君も一人だろうと思って、暇つぶしに来たんだ」

キョン「……」

佐々木「隣に居てもいいかな?」

キョン「……どうなっても知らんぞ」

74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 22:05:49.12 ID:rv2bB5bv0

佐々木「長門さんから釘を刺されてしまったよ」

キョン「あいつと話したのか?」

佐々木「エラーが起きているそうだ。色んなところでね」

キョン「エラー、な」

キョン「確かに俺たちは、ちょい前より、随分と爛れちまった気はするな」

佐々木「こういうのは嫌いかい?」

キョン「どうだろうな」

キョン「悪くないと思ってるのも、エラーかもしれん」

佐々木「僕らは生まれつきこうだったんだよ」

キョン「俺には区別が付かないな」

佐々木「なあ。僕らも、『散歩』しないかい?」

キョン「……」

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 22:12:29.56 ID:rv2bB5bv0




古泉「寒くはないですか?」

橘「暑いぐらいですね」

古泉「すみません」

橘「ムシとか……いないですかね?」

古泉「苦手ですか?」

橘「苦手ですよ、当たり前じゃないですか」

古泉「こういうのも何ですが。貴女は時々、ムシのように見えますよ」

橘「喧嘩売ってます?」

古泉「いいえ。本当にそう思えるんです」

橘「……テント帰らないと、佐々木さん、びっくりするかなあ」

古泉「どうでしょうね。僕にはわかりません」

橘「このまま世界が終わればいいのに」

古泉「……悪くありませんね」

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 22:14:51.16 ID:rv2bB5bv0




ハルヒ「……キョン?」

キョン「……ハルヒ」

ハルヒ「……何やってんの?」

佐々木「見て、わからないかい?」

ハルヒ「……」

キョン「……ハルヒ、これは」

佐々木「おいで」

ハルヒ「……」

キョン「佐々木?」

佐々木「大丈夫だよ、キョン。彼女は、もう知ってる」

佐々木「おいで、涼宮さん」

78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 22:18:52.45 ID:rv2bB5bv0


……

キョン「ふあ」

キョン(……えらいことになったな、昨日は)

妹「んー……」

キョン「ん。おはよう、寝れたか?」

妹「あんまり……夢みた……」

キョン「夢?」

妹「……なんだろ……おかしかった……ユキちゃんも、くーちゃんも」

キョン「……」

妹「……キョンくん、あたし、ヘン?」

キョン「なあ、何が有った?」

妹「……わかんない」

妹「……でも、すごい気持ちいい夢みたの」

79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 22:21:08.36 ID:rv2bB5bv0


………

朝倉「……長門さん」

朝倉「今でもちょっと腑に落ちないんですけど、なんで私、あのキャンプに呼ばれたんですか?」

朝倉「……聞いてる?」

朝倉「っていうか、長門さん、あれからおかしくないですか?」

朝倉「……ねえ、長門さん?」

朝倉「きゃっ!?」

朝倉「な、長門さん? どうしたんですか?」

朝倉「ちょ、ちょっと―――」

81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 22:23:54.65 ID:rv2bB5bv0


……

九曜「―――わから―――ない」

九曜「――人が求―――めた―――もの」

九曜「綺麗―――ね―――でも―――――これほど―――醜い―――」



――キョン、キョン……あう、キョンっ!
――ハルヒ、悪い―――ハルヒ、ハルヒ

―――ユキちゃん? 何するの―――?
―――いた―――痛いよ、ユキちゃ―――あ、あ、あ―――



九曜「―――わから―な―――い――」








もう変態ならなんでもいいやEND

86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/07/26(日) 22:28:25.35 ID:rv2bB5bv0

九曜が妹襲うとこだけ書ければ何でもよかった
ごめん

87 名前: ◆1e9vlX1dHk [] 投稿日:2009/07/26(日) 22:32:36.23 ID:rv2bB5bv0

鳥忘れてた
これがなきゃ作者一覧でまとめてもらえない



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