キョン「ハルヒと古泉が付き合い始めて一ヶ月が経った」


メニュー
トップ 作品一覧 作者一覧 掲示板 検索 リンク SS:シンジ「巨大ヒーローでもいたら楽になるのに」

ツイート

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/02(火) 10:49:01.99 ID:Ze1v90dL0

こういうの初めてだからクオリティ低くても勘弁してね


それは何時からだったのだろうか、ハルヒと古泉が部室にあまり顔を出さなくなった。
いつも煩いと思っていた後ろの席から聞こえる声はいつの間にか響かなくなった。
ガランとした部室で、俺は一人佇んでいた。
長門も朝比奈さんも、ここにいる目的は結局ハルヒの監視。
ハルヒのいない部室にいる意味はないのだろう。
ふと、朝比奈さんが淹れてくれるお茶の味を思い出し、切なくなって窓際から空を眺めた。
するとそこに仲良く手を繋ぎながら帰る二つの影が見えた。
少しだけ肌寒い、秋の夕方の事だった。

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/02(火) 11:03:46.71 ID:Ze1v90dL0

ハルヒと古泉が顔を出さなくなり始めたのは一ヶ月ほど前からだった。
最初は平和を享受しながら日々に満足しいたのだが、さすがに2週間以上出てこないと文句の一つも言いたくなる。
ある日、休み時間に棘を隠さずに何をしているのか問い詰めた事がある。
ハルヒは遠くを見ながら、少し顔を赤くした後、「なんでもない」とだけ呟いた。
勝手に他人を巻き込んでおいて飽きたら顔も出さないハルヒに憤慨していたのは言うまでもないだろう。
同時期からあまり顔を出さなくなった古泉を問いただしても似た様な返事が返ってきただけだった。

静かな日々も、長く続けば退屈になり、騒がしかった日々が少しだけ懐かしく感じ始めた頃だった
放課後、部室に行くのも気が引けて何となく向かった屋上。
そこで唇を重ねるハルヒと古泉を見た瞬間、
俺の中の何かが、ピシッと音を立ててひび割れた。

ごめん、ウンコ休憩 直ぐ戻る

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/02(火) 11:32:37.38 ID:Ze1v90dL0

切れ痔のオレ涙目www
うんこにかかる時間ランキングが家族内ぶっちぎりNo1なのは秘密だ


告白はハルヒの方からだったと言う、気付いてみれば少し前から二人の態度は少し変わってたのかもしれない
ただ、それを二人の口からではなく、谷口から聞いたのが少し悲しかった。
長門と朝比奈さんも来なくなったのはその頃からだった。
部室の扉を開けると広がるガランとした空間はどうしようもない切なさと影をオレの心に落としていった。

独り部室で過ごすようになって1週間が過ぎた頃だ、
扉を開けるとそこには大きな椅子の上に踏ん反り返っているハルヒがいた。

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/02(火) 11:45:03.87 ID:Ze1v90dL0

少しの驚きと顔に出てきそうな嬉しい気持ちを必死に隠しながら俺は何時もどおり自分の席についた。
「随分と長い休暇をとってたんだな、団長さんよ」と皮肉を言いながらも顔が綻ぶのを隠せていた自信ない
だがハルヒは仏頂面で「別に」と吐き捨てた後、ずっと窓際を見つめていた。
ここ最近、孤独が染み付いていただけに、誰かと一緒にいる空間がとても暖かく感じられた
それがイライラ顔のハルヒでも、だ。
そんな事を考えていると突然、ハルヒが呟いた。

「ねぇ、やっぱり不思議とか心躍る体験って身近な所にあるのよね。
大切な物ほど近くにあって、失くして初めて気付くじゃない?」

「そうかもな、でも仕方のない事だし身近な幸せを大切にするより新しい体験とか冒険探し回ってる方がお前らしいと思うぞ」


似合わな過ぎる発言に目を丸くしながらも俺は思い浮かんだ言葉をそのまま紡いだ。

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/02(火) 11:59:19.94 ID:Ze1v90dL0

そう、と一言呟くとまたハルヒは空を見上げながら考え事を始めた。
一方俺はニヤつかない様にポーカーフェイスを保ちながらも、少なからずハルヒの事が心配だった
悩み事があるなら話ぐらい聞いてもいいぞ、と言おうとしたと時だった
ガラっとドアを開けて、またしても久しぶりの客が入ってきた。
古泉は相変わらずの爽やか笑顔で 久しぶりです、とだけ言うとハルヒの元へと歩いていった。
怒るハルヒに謝る古泉。その間、俺は 「ああ、痴話喧嘩ってこんな風なんだな」 とボーっと考えていた。
十分ほどたった時だろうか、「知らないっ!」と大きな声を上げると、部室を出て行った。
すれ違う時に見えた、涙が何故か心に引っかかり、
それを追いかけて出て行く古泉をみて、それはゆっくりと、だけど確実に俺の胸を締め付けた。

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/02(火) 12:11:15.77 ID:Ze1v90dL0

気が付くと俺は走っていた。
自分でも何がしたいのかわからない、仮にハルヒを見つけたとしてどうするつもりなんだろう
それでも足は止まらなかった、息を荒げながら運動会以外ほとんど走らないなまった体を引きずりながら探し続けた。
ふと、誰もいない筈の保健室で人の気配がするのを感じて、足をとめる。

そっと覗くとそこには古泉の胸の中ですすり泣くハルヒと、それを大事そうに抱きしめている古泉がいた。
古泉は「本当にごめん」と言うとそっとハルヒに優しく口付けをした。
冷たい雨に打たれる感覚、鋭い針で心臓を刺される感覚、何かが胸を締め付ける感覚。
それらが一斉に感じられ、中に入ることなど死んでも出来ない俺は気付かれない様にドアの前に座り込んだ。
窓から差し込む夕日をうけて、廊下にはハルヒと古泉の重なった影が映っていた。
そして、その影はしばらくした後、恐らくベッドがあるであろう方向に倒れた。

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/02(火) 12:23:01.17 ID:Ze1v90dL0

そこでは泣く事さえ出来なかった。
時々、聞こえるお互いを呼び合う甘い声を汚く盗み聞く事、それが俺にできる全てだった。
ふらふらとした足取りで、殆ど無意識にある場所を目指して歩いていた。
高校に入学してからずっと過ごして来た場所、
空を見上げながらくだらない事ばかり考えていた場所、
初めてあいつと出会った場所、
クラスにつくと、俺は自分の席に腰掛けた。
ゆっくりと後ろを向いても、席の主人はそこにはいない。
ふと、あの日の事を思い出していた。


「この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら私のところまで来なさい、以上!」

大切な物は失くして初めて気付く、と言うハルヒの言葉を思い出していた。
西から射す夕日がやけに眩しくて目にしみる、しょっぱい夕立が降る秋の終わりの事だった。

47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/02(火) 12:45:06.36 ID:Ze1v90dL0

>>27 続き ていうか俺書くの遅すぎだな

少し肌寒くなって来た晴れた冬の朝、俺はいつもの様に通学路である坂を上っていた。
あれから、俺は何度も頭にこびり付いたあの日の影を忘れようとしているが出来ずにいた。
あの事件から俺は部室に行かなくなった。否、いけなくなったの方が正しいだろう。
行こうと思う度に心臓を握りつぶされる様な痛みが走るようになったからだった。
谷口たちにも顔色が悪いと心配されるぐらい、もうそれを隠せないほど、俺の精神はボロボロになっていた。
空を見上げて、こみ上げて来る涙を我慢する度に、酷く孤独を感じた。
そう、俺にはもう誰もいない。
優しい笑顔で心を癒してくれる朝比奈さんも、困った時、最後はいつも助けてくれる長門も。
ふと、二人が残した言葉を思い出した。

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/02(火) 12:57:13.64 ID:Ze1v90dL0

続き


「涼宮ハルヒが我々の観察対象に値する存在では無くなった。
即ち、彼女の能力に一定の変化、もしくは消失が見られた。
統合思念体は決議の結果、私の観察有効範囲からの離脱、および時空干渉の凍結を命じた。
恐らく、私とあなたが会うのはこれで最後になる。朝比奈みくるも同様の状況下にいるとみていい」

二人きりの部室で放たれた彼女の言葉は何処か遠く、信じたくない物だった。
その日から今日まで二人の姿は見えない。
もう、死ぬまで会う事はないのだろう、彼女らとの不思議な体験もいつかは思い出の中に解けてなくなるのだろうと
そう思っていた。

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/02(火) 13:14:05.91 ID:Ze1v90dL0

だから登校する人ごみの中に彼女を見つけた時は無我夢中で走っていた。
柄にもなく彼女の名前を叫んで駆け寄って行ってもに恥ずかしさは感じなかった、
そこには校門の前で佇む長戸が居たから。
何ヶ月も一緒にいてやっと分かる様なとても小さい、でも暖かい笑顔で彼女はそこに居た。
放課後、長門に言われ彼女の家まで来ていた。
聞きたい事は山ほどあったのだが、長門の顔を見るとどうでも良くなってしまった。
孤独に打ちひしがれた心を暖めるには、彼女の帰還は十分すぎる物だった。
長門の淹れてくれるお茶も随分久しぶりだな、等と考えていると長門が沈黙を破った。


62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/02(火) 13:26:45.23 ID:Ze1v90dL0

「統合思念体の再決議の結果、現在の状態を安定させる事が最優先とされ私が再派遣された。
涼宮ハルヒに対する干渉は現在も禁止だが、観察範囲内に留まる事が正式にきまった。
それと、私個人としてもあなたの事が心配だった。」

長門独特の平坦な言い回しも何処か暖かく優しい物に感じられた。
安穏の涙、もしくは嬉し涙と言うのだろうか
とにかく喉からこみ上げて来る涙を必死に堪えていた。

心地よい沈黙が流れ、涙をお茶で流し込むと、俺は長門がいない間の事を少しづつ語り始めた。
ハルヒと古泉の関係、 色々な物を見てしまった事、 誰も居なくなった部室の事、 寂しかった事

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/02(火) 13:39:22.43 ID:Ze1v90dL0

ふと、あの秋の終わりの夕日と影が頭を掠めた。

「まぁ、なんだな。何だかんだ言ってやっぱり俺、ハルヒの事・・・」
一気にあの日、感じた感覚が蘇った、心臓を潰されるような、締め付けられるような、あの感覚。
続きを言おうとしても言葉がでなかった、胸が詰まる、どうしても言えない。
今まで抑えてきた物、耐えてきた物が一気に濁流となって俺の心を飲み込んだ。
その様子をコタツ越しにじっと見ていた長戸が、そっと立ち上がり俺の横に寄り添うように座った。

「大丈夫、私はずっと傍にいる」

絡みついた鎖がゆっくりと解かれる様な、
冷え切った心を暖かい体温で包まれる様な、
乾いた物が満たされる様な、
言葉では説明できない気持ち、想い、感情、心

「好きだったんだ」

そう、好きだったんだ。
ずっと考えないようにしていた。
こんなに胸が苦しい理由も本当は知っていた、
知っていたから言えなかった、認められなかった。

69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/02(火) 13:46:06.36 ID:6dVhydig0

文句を言いながらもいつも楽しかった。
どこにでもある様な部室の日々がとても好きだった。
その理由がハルヒがいるからだって事にも本当は気付いていた。

「ハルヒの事が好きだったんだ、思いを伝えようと思えばいつでも出来たのに。
いつでも出来ると思っていたのに、気付いたら遠くへ行ってもう見えなくなっていた。」
生まれて初めて、心の底から泣いた。
不条理、後悔の念を洗い流すかのように、俺は優しく抱きしめてくれる長門の胸の中でひたすら泣き続けた。
抱きしめる長戸の腕が、この世界で何よりも優しい物に感じられた。

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/02(火) 13:54:43.20 ID:k/XWZrDW0

数年後、俺たちは高校を卒業しそれぞれの未来を歩んでいた。
ついこの間、古泉と偶然会って飲みに行った時に古泉が言った。
あの時はすまなかったと、
ハルヒが俺を少なからず慕い、嫉妬心があった事。
俺の気持ちに気付いていたから合わせる顔がなかった事。
二人の仲は今も健在ですこぶる順調らしい。
全ては今となっては笑い話だ。
これでよかったんだろう、どこにでもある青春の追憶だ。

74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/02(火) 14:01:12.00 ID:QjX388M70

ふと、何時かのハルヒの言葉を思い出した。
大切な物はいつも身近にあり、失くしてからはじめて気付くと。
多分、そうなのだろう。 それをあの日の俺は身をもって体験した。

もしあの時、ハルヒが古泉と付き合っていなかったらどうなっていただろう
もしあの時、あきらめずに何か行動を起こしていたら
もしあの時、長門に再開できなければ

どの道を選んでも今とは違う道を歩いていただろう。
大切な物を失くした事に気付いたあの日、
俺は本当に大切な物に気付けた気がした。

俺の横でいつものように、分かりにくく、暖かい笑顔を見せる彼女をもう絶対に手放しはしないだろう。




糸冬

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/06/02(火) 14:06:34.36 ID:QjX388M70

うわぁわぁ、想像してたよりSS書くの大変すぎて死んだwww
途中で投げ出す人も居るのが良く分かるわww
結局、微妙な終わり方になっちゃったけどテンポ悪くなるよりいいかなと思った次第です
こんな駄文読んでくれた人、ありがとうね




ツイート

メニュー
トップ 作品一覧 作者一覧 掲示板 検索 リンク SS:レイ「心が…キュンキュンする…」