古泉「まあ機関のメンバーは大体マゾなんですけどね」


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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 00:00:28.82 ID:yUeoTkBt0

キョン「何そのカムアウト」

古泉「え、むしろ納得しません?」

キョン「何が」

古泉「美少女の気分に合わせてあっちで命掛けて戦ったりこっちでパーティーの準備したりって」

古泉「マゾじゃなかったら謀反起きますって」

キョン「あー」

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 00:03:23.82 ID:yUeoTkBt0

古泉「あの神人戦とか結構死ねますからね」

キョン「俺に見せたときは随分楽そうだったが」

古泉「あれはレベルでいうと歩くキノコぐらいのやつなんで」

キョン「それをあの人数でフルボッコにしてたのか」

古泉「やばいときとか悪魔のディープキスレベルが4〜5隊出るんですよ。そうすると結構死闘ですよ」

キョン「死人がでるのか」

古泉「たまに出ますね。マゾでも死ぬ時は死にますから」

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 00:07:43.48 ID:yUeoTkBt0

古泉「マゾッつったってダメージ受けるたびにヨガってるわけじゃないですよ」

キョン「そりゃそれじゃ戦いにならないだろう」

古泉「あえて言うなら、相手の攻撃のダメージの大きさに対する恐怖心を持たずに戦えることが利点ですね」

キョン「どんな大ダメージが来るかwktkしてるってことか」

古泉「ええ、心のどこかで期待してるんです」

キョン「マゾに守られる世界とは悲しいな」

古泉「人間誰しもマゾかサドなんですから」

キョン「大きく出たな」

古泉「強い神人出たときとかみんな飛び回りながらフル勃起ですよ」

キョン「わあききたくねえ」

古泉「ダウンして気絶してる人とか大体みんな射精してますし」

キョン「人間の本能か」

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 00:11:09.36 ID:yUeoTkBt0

古泉「でもあの神人が涼宮さんの鬱憤だと思うとイケるんですよね」

キョン「いけるって」

古泉「ある意味オナニーのお手伝いじゃないですか」

キョン「お前ハルヒのこと好きなの?」

古泉「それは性的な意味でですか?」

キョン「なんでもいいけど」

古泉「もちろん彼女がいなければこうむらなかった徒労はたくさんありますが、それを差し引いても涼宮さんのことは好きですね」

キョン「まあマゾにはたまらん女だろうな」

古泉「でも涼宮さんマゾですよ」

キョン「マジで?」

古泉「ええ。だから本当の意味での愛称はよくないと思います」

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 00:15:17.12 ID:yUeoTkBt0

キョン「んでみんなマゾってことはあの夏に会った人たちとかも?」

古泉「死体役で放置プレイとか終始ビンビンだったそうですよ」

キョン「そいつらでなく」

古泉「森さんですか? 彼女はどちらかというとサドです」

キョン「え、なんで?」

古泉「表向きはと言いますか。マゾヒズムも大いにありますが、普段の役割は我々前線で戦うものの教育係ですから」

キョン「あー」

古泉「彼女の授業はなかなか来るものがありますよ」

キョン「ゴクリ」

古泉「でも彼女も一皮剥けたらマゾですよ」

キョン「どういうとき向けるんだ」

古泉「それは、教育係という名目が晴れた、素の状態で接しているときなどで無いでしょうか」

キョン「何でお前がそんな一面を知ってるんだ」

古泉「さーてね」

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 00:20:44.26 ID:yUeoTkBt0

古泉「あとたまに戦闘してる森さんを観察してるとむらむらしますよ」

キョン「kwsk」

古泉「あの人やたら重火器使えますし、波動球もでかいパワーファイターなんですが
    最初はいいんですけど、ちょっと一発ダメージ食らったりしただけでマゾスイッチ入っちゃうんですよ」

キョン「ほう」

古泉「そうすると見るからに上気した感じになって、攻撃の手にも熱が入ります」

キョン「それみたい」

古泉「でも大降りの攻撃にわざと当たりにいってすっ飛んだりとかしますよ」

キョン「生きてるのか」

古泉「こないだは生きてましたね、かっくんかっくん揺れながら飛んできて、アヘ顔で笑いながら神人の首切り取ってた」

キョン「ごくり」

古泉「あれは完全にイッてたと思いますよ」

キョン「イクって」

古泉「ああでもマジで逝きかけることもあって、前々回の神人戦なんか閉鎖空間の端まで飛ばされてました。
    救出にいったら、鼻血と耳血と吐しゃ物と小水と愛液にまみれながら仮死状態だったそうです」

キョン「想像したら泣けるんだけど」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 00:24:23.11 ID:yUeoTkBt0

古泉「でも最近昔ほど神人戦が楽しくないのも事実なんですよね」

キョン「楽しんでたのか」

古泉「機関入り当時はまだ未熟で、痛みを受けることへの恐怖と期待が入り混じったピュアな少年でしたから」

キョン「それはピュアとはいわないな」

古泉「おまけに、もし自分が負けたら世界が終わるかもしれないなんていわれてそのプレッシャーがまた」

キョン「きつかった」

古泉「よかったんです」

キョン「絞首オナニーか」

古泉「まあぶっちゃけ神人に殺されたら、そのあと世界がどうなろうと同じだなーとか気づいたら、そういう良さはなくなっちゃいましたね」

キョン「嫌な生死の悟り方だな」

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 00:34:30.00 ID:yUeoTkBt0

古泉「大体マゾのほうがああいうのって向いてるんですよ」

キョン「そうなのか」

古泉「ハングライダーとかパラグライダーとかあるじゃないですか」

キョン「ああ」

古泉「ぶっちゃけああいうのってマゾ専用競技じゃないですか」

キョン「やったことはないのでわからが」

古泉「ただ空を飛ぶにしたってマゾのほうが都合がいいんですよ」

キョン「なんかきに食わないが分かるような」

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 00:39:10.45 ID:yUeoTkBt0

古泉「多分長門さんもマゾじゃないかと思うんですよね」

キョン「あいつに性的嗜好なんてもんがあったらの話だが」

古泉「ええ、あくまでもあったらの話です。たとえば彼女、大食漢じゃないですか」

キョン「ああ」

古泉「食べ物の好みもある。つまり、味覚はあるわけですよ。多分、オフにもできるんでしょうけど」

キョン「それと同じように性感もオンオフにできるってわけか」

古泉「彼女でしたら痛覚レベルを操作もできますし、痛みと快楽のギリギリの至福とかも知ってそうなんですよね。うらやましい」

キョン「全部お前の妄想だけどな」

古泉「彼女もなんだかんだ涼宮さんに遊ばれる側じゃないですか」

キョン「まあな」

古泉「涼宮さんの相手を出来るのってマゾだけだと思うんですよね」

キョン「じゃあ俺もマゾか」

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 00:41:59.27 ID:yUeoTkBt0

古泉「いや、あなたは多分サド寄りでしょうね。だから涼宮さんに文句が言えるんです」

キョン「なるほど」

古泉「そのおかげで閉鎖空間が発生する。貴方のおかげで幾千のマゾが生きがいを覚えているのですよ」

キョン「ショッキングすぎる」

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 00:46:43.71 ID:yUeoTkBt0

古泉「ぶっちゃけこのオセロだってマゾ故の遊びですよ」

キョン「そりゃまたなんで」

古泉「考えてた計画が相手の一手で崩壊し、自分が相手の色に染められてくとかセクシャルすぎると思いません?」

キョン「もう俺二度とお前とオセロしねえ」

古泉「こないだ森さんとやったんですよ」

キョン「えっ」

古泉「オセロですよ」

キョン「ああオセロ」

古泉「そしたら彼女僕よりも弱くって、僕に四隅取られたときからなんか上気してました」

キョン「森さんとオセロしてえ」

古泉「最後のほうなんか確実に濡れてましたね、妙な汗もかいてましたし」

キョン「多分オセロでそんなに性的なやりとりしてるのお前らぐらいだよ。俺明日からオセロがSMプレイ用の道具にしか見えないよどうしてくれんだ」

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 01:08:23.04 ID:yUeoTkBt0

古泉「で、涼宮さんもマゾってことには突っ込まないんですか?」

キョン「あいつは朝比奈さんをおもちゃ宣言するようなやつなのにマゾなのか」

古泉「僕が思うに、あれって、相手がどこまで自分のいうとおりにするか量ってる節がありますね」

キョン「ほう

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 01:15:45.69 ID:yUeoTkBt0

古泉「一度あなたがマジで殴ろうとしたじゃないですか」

キョン「あったな」

古泉「涼宮さんあんとき濡れてましたからね」

キョン「ショックすぎる」

古泉「あなたを連れて行った閉鎖空間だって、あの場でひっぱたくってのが正規ルートだったんですよ」

キョン「マジで? キスじゃなくて?」

古泉『強引にやっただけうまくいきましたが、あんまり温いキスだったら世界崩壊してましたよ」

キョン「なにそれこわい」

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 01:25:43.26 ID:yUeoTkBt0

キョン「え、ハルヒって俺に発情してるの?」

古泉「わりとふつうにしてますよ」

キョン「びっくり」

古泉「あなただって涼宮さんに発情してるんじゃないんですか?」

キョン「たまに可愛いなとかはあるけど」

古泉「じゃ無くてストレートに勃起とか」

キョン「わりとふつうにはしてないぞ」

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 01:30:23.40 ID:yUeoTkBt0

古泉「びっくりですね。僕はわりとふつうにありますよ」

キョン「それショッキングすぎんだが」

古泉「だって可愛いじゃないですか涼宮さん」

キョン「かわいいだけで勃起はせん」

古泉「この可愛い少女が欲求不満的むらむらが具象化したものに常日頃からいたぶられていると思うと……」

キョン「うわ」

古泉「この右首筋の青あざもキスマークに思えてきます」

キョン「どんなくちびるおばけだ」

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 01:34:35.42 ID:yUeoTkBt0

古泉「ある意味機関って涼宮さんファンクラブみたいなところありますからね」

キョン「俺はもっと固いところだと思ってたわ」

古泉「わりと休憩時間とかフレンドリーですよ、マゾが一堂に会すわけですから、会話に花も咲きます」

キョン「バラかすずらんでも咲いてそうだな」

古泉「こないだも、出撃前に非番だった森さんに呼び止められて、その日はボールギャグ噛んだまま戦いました」

キョン「野外プレイなのか引きこもりプレイなのか」

古泉「自分の声が全部あえぎ声に思えてきてなかなかよかったですよ」

キョン「その報告はいりません」

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 01:46:21.43 ID:yUeoTkBt0

キョン「つーかお前森さんと仲いいの?」

古泉「そりゃ同居してますしね」

キョン「なにそれ初耳」

古泉「社員寮にですよ」

キョン「理由になってないだろ」

古泉「といっても、おかしな関係とかじゃありませんよ」

キョン「いや、ありえないだろここまでの流れからして」

古泉「まあお互いのオナニーを手伝うぐらいはしますが」

キョン「もうなんなのこれ」

50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 01:53:59.62 ID:yUeoTkBt0

古泉「だって3年の付き合いですし、お互いの性欲も知り尽くしてる中ですよ?」

キョン「ああ、そりゃ完全に出来上がってておかしくないな」

古泉「じゃなくて……なんていうかお互いが神人に殴られてイキながらすっ飛んでくとことか見合ってるんですよ?」

キョン「……無いか」

古泉「僕は若干無いと思いますね」

キョン「でもさっき閉鎖空間で喘ぎまくってた人が今目の前にとかって興奮しない?」

古泉「そういうときの様って美しくはあれど醜くもありですからねえ」

古泉「ぶっちゃけむしろちょっと引きます。森さんレベルは」

キョン「そんなすごいのか森さん」

古泉「せめて裕さんぐらいならまだいいんですが」

キョン「その報告はせんでいい」

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 02:11:20.86 ID:yUeoTkBt0

古泉「でもまあなんだかんだいって好きですよ。森さんのこと。性的な意味はひとまず置いておいて、ですが」

キョン「お前が機関に入ったときから仲いいのか?」

古泉「まあ、僕の教育係についてくださったのが彼女でしたから。ですから彼女にはいろいろとお世話になりました」

キョン「お世話か」

古泉「下世話な意味でなくともですよ。命をたすけてくれたこともありましたしね、最初のころ」

キョン「閉鎖空間でか」

古泉「ええ、僕がまだ未熟だったころです」

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 02:30:29.00 ID:yUeoTkBt0

古泉「たしかそのときは涼宮さんが中学校の合宿で新潟に行っておられまして、閉鎖空間も新潟に出たんですよ」

キョン「新潟まで遠征とか機関って結構人員不足だよな」

古泉「そのとき出たバケモノイカ神人がまた強くて、僕、一秒後殺られるような状態になったんですが」

キョン「助けてくれたと」

古泉「ええ、森さんが僕の前に躍り出てくれて、二人仲良くすっ飛ばされました」

キョン「助けてくれてないよ!」

古泉「まあ間に1クッションあったんで僕のダメージも随分少なかったんですよ」

キョン『クッションて」

古泉「華奢ですけどやわらかかったですよ」

キョン「ごくり」

古泉「で、二人して地面にたたきつけられたんですが、僕は軽い脳震盪で済みました」

キョン「森さんは」

古泉「口腔から危険な量の血を吐きながらイッてました」

キョン「うわあ」

古泉「それっきりなんか森さんって、好きだけど、どうしてもなんか違うんですよね」
キョン「そりゃなんか違うわ……」

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 02:36:49.93 ID:yUeoTkBt0

古泉「でも、それ以前に、森さん見てると、僕ってマゾとは言えまだまだ未熟なんだなと思うんです」

キョン「そりゃまあそのレベルに達してないがマゾという人はたくさんいるだろうしな」

古泉「あんなところであんな顔でいける人はそうそういませんよ、一歩間違えたら死ぬじゃないですか」

キョン「死ぬのは怖い」

古泉「そりゃそうです。ですから、僕は森さんを本当に好きにはなれないんです」

キョン「何故だ」

古泉「僕は心の痛みまで気持ちよくはなれないので」

キョン「好きに為ろうと思えば為れるのか、森さんのこと」

古泉「多分できると思いますが、世界の安寧が約束されるまではしないつもりです」

キョン「それが懸命だな」

古泉「はい。世界のこと、よろしくお願いしますよ」

キョン「善処するよ」

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 02:49:23.73 ID:yUeoTkBt0

キョン「でも閉鎖空間なくなったらお前ら滅茶苦茶欲求不満になるよな」

古泉「ええ、それは今から懸念されてますよ。僕らはまだいいですが、重度のバトルジャンキーになっている人員たちは……穴が開いたようになってしまうでしょうね」

キョン「森さんとかか」

古泉「ええ、当然彼女も」

キョン「なんというか、難儀だな」

古泉「森さんは今でもたまに救急車のお世話になってますからね」

キョン「何で」

古泉「ちょっと閉鎖空間が無いと欲求不満になって、ヤバイレベルの絞首プレーオナニーして仮死状態になったり」

キョン「もういかれてるじゃないか」

古泉「ええ、いかれてますよ」

キョン「閉鎖空間……なくしてよいものかどうかわからんな」

古泉「涼宮さんを女王虫としたら、僕らはその体液をなめる子アリのようなものです」

キョン「業だな」

古泉「業ですよ」

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 03:10:11.35 ID:yUeoTkBt0

古泉「たとえば僕なら、閉鎖空間がなくとも、ちょっとSな女の子とでも付き合えばそのうち順応できるでしょうが」

キョン「随分軽くいうな」

古泉「森さんは阿部定事件みたいの起こしかねませんからね」

キョン「リアルすぎる」

古泉「時々思うんですよね、閉鎖空間はひょっとして、涼宮さんのためでなく、僕らのためにあるんじゃないかと」

キョン「神様からのゴホウビってか」

古泉「何にしろ、僕らが矮小な存在であることはたしかですよ」

68 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 03:31:37.68 ID:yUeoTkBt0

古泉「オセロ負けましたね」

キョン「俺は勝ったけどな」

古泉「涼宮さんもそろそろ来るでしょう。今日もヨロシクオネガイシマスね」

キョン「なんだか、どっちに気を使うべきか決めかねる話を聞かされたんだが……」

古泉「いつもどおりで構いませんよ、なるようになるでしょう」


ハルヒ「おまたせー! キョンキョン、さっきそこで拾ったんだけど、これ何? 宇宙人の卵?」

キョン「そんな誰のどこから落ちたか分からんピンクローター捨ててきなさい!」


END

83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 07:12:33.19 ID:yUeoTkBt0

なんかこのスレ書いててもうちょっと森さんに踏み込んだSS書きたくなった
近日中に書いてスレ立てるかも
むしろこのスレが今日の夕方とかまであったらここで書くかも

96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 09:54:36.67 ID:yUeoTkBt0

じゃあ投下するか
数多のSSスレのなかでちょっとでも輝けるように願って
「まぞ☆もり」

97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 09:55:27.15 ID:yUeoTkBt0



 トキニヘイサクウカンデーノボクハー♪

 「む……」

 耳元で鳴り響く奇怪な音楽が、僕を夢の世界から現実へと引き戻した。
 音の発生源である携帯電話を手探りで取り、アラームを解除する。

 土曜日の朝7時。今日は定例、SOS団不思議探索の日。
 カーテンの間から陽光が射し込んでいて、布団越しの僕の体に、光の線を描いていた。

 「ふあーあ」

 あくびをしながら半開きになっていた襖戸を開け、廊下に出る。森さんの部屋から、ブーンと言う扇風機の音がする。
 初夏の熱気が篭った廊下を横切り、洗面所へ行き、歯を磨く。

 森さんはまだ寝てるのだろうか。それならば、朝食を僕が用意する必要がある。
 でもまあ、休日なんだし、森さんも外食する可能性もある。
 何にしろ話を聞こうと、手早く歯磨きを終えた僕は、森さんの部屋へ向かった。

98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 09:56:26.02 ID:yUeoTkBt0


 「あれ、森さん?」

 洋室のドアを開けた僕は、そこに探し求めていた人物の姿が見えないことに少しびっくりする。
 布団は敷かれてすらいない。珍しい、自分でたたんだのかな。
 早くから出かけてしまったのだろうかと思い、玄関を確認する。しかし、森さんの二種類の靴は、ちゃんとそこに揃っていた。

 再び森さんの部屋に戻った直後。僕は不審な点に気づいた。
 先ほどから聞こえ続けている、このブーンというくぐもった音。
 僕はこれが扇風機の音であると考えていた。しかし、室内の扇風機のスイッチは切られている。
 音は、別の場所からしていた。

 「……まさか」

 嫌な予感がして、僕はその音がどこから聞こえてくるのかを探し、室内を歩いた。
 探すまでも無く、音の発生源は見つかった。

99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 09:57:20.70 ID:yUeoTkBt0

 ……備え付けのクローゼットの中。
 よーく耳を澄ますと、むー、むーという、うなるような声が聞こえる。
 ……恐る恐る、クローゼットの扉に手を掛ける。


 「……何やってんですか、森さん」


 扉を開くと同時に、内側から立ち込めたのは、人間の体温によって温められた空気。
 そして、クローゼットのカビ臭い匂いの中に、汗のにおいと
 それとは別の分泌液との匂いとが混ざり合あった、形容し難い濃厚なにおいだった。



 「むー、むー……」

 森さんはそこにいた。
 クローゼットの床板の上に、細い体を丸めるようにして、半裸で横たわっていた。

100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 09:58:22.94 ID:yUeoTkBt0


 「……何言ってんだかわかんないですよ」

 何から手をつけたものか。とりあえず、森さんの口を覆い、頭の後ろで縛られている手ぬぐいを取り去る。

 「けほ、ひー、ひー……め、目、とって……」

 どれぐらいこうしていたのだろう、森さんの口の周りには、タオルの生地の跡がくっきりと残っていた。
 いわれるがままに、僕は続いて、目隠しになっているアイマスクを外してやる。
 森さんは空ろな目いっぱいに涙をためて、しばらく眩しそうに瞬きをした後で、僕を見た。

 「お、はよう、こいずみ……これ、とって……」

 これ、じゃあわかりません。
 僕はとりあえず、森さんの下半身……性器と、その後ろとに押し込められたまま、ブンブンと唸り続けている二つの獲物を引き抜いた。

 「あうっ」
 「この後ろで手縛るのとか、どうやって一人でやったんですか?」
 「ぜー、ぜー……いや、こう、前でやって……縄跳びみたいに……」

 体が柔らかいですね。
 僕は続いて、乳首の部分にガムテープで止められているピンクローターを外し、体中のいくつかの部分をつねり上げていた洗濯バサミを取り除いた。
 これでようやく、すこしはまともな姿になった。

101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 09:59:06.43 ID:yUeoTkBt0


 「や、昨日の夜、ふと思いついて……でもこれ、酸素うすくなってきて……やば……よかったあ……」

 後ろ手を拘束していたテープからも開放されたあとも、森さんは余韻に浸っているのか
 単に疲弊した体を休めているのか、クローゼットの中に横たわったままでいた。

 「僕が見つけなかったら、夕方までこのままでしたよ。……シャワーでも行きますか?」
 「ああ、うん、あとでいく……」
 「これは洗って洗面所に置いときますから」

 そう言って、先ほどまで森さんの体中に張り付いていたエモノたちを拾い上げ、洗面所へと運ぶ。

 「僕今日、不思議探索ですからね。朝ごはんとかどうしましょうか」
 「あー……どっかいく……てきとーにするー」

 どうやら朝食の準備に時間をとられる心配は要らないようだ。
 僕は森さんの愛用品たちを手早く水洗いした後、洗濯物の中から半そでのシャツを取り出し、袖を通した。
 いつもの服装に着替えを終え、バッグを肩に下げる。
 家を出る間際に森さんの部屋を覗くと、森さんは体を起し、裸のままクローゼットの床の上で、ぼんやりと虚空を見つめていた。

 「……気をつけてくださいね。じゃ、急ぐんで」

 そう言い残し、僕は機関の寮を後にし、いつもの駅前を目指して歩き出した。

103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 10:00:38.61 ID:yUeoTkBt0



      ◆


 「最近、閉鎖空間のほうはどうだ」

 午前中のゲームセンター。コーヒーを飲みながら、ガンゲームでゾンビ無双をしている長門さんを見ていると、不意に彼にそう尋ねられた。

 「ええ、最近はそれほど。安定状態にありますよ」
 「そうか。それならいいんだがな」
 「あなたと涼宮さんが大きな諍いを起したりもしていませんしね。感謝してますよ」
 「ま、あいつの機嫌がいいんだろうさ。俺はいつもどおりやってるだけだぜ」

 彼はそう言って、微糖の缶コーヒーに口をつける。
 彼に答えたのは事実だ。ここひと月ほどは、閉鎖空間の発生率はとても低く、週に1度、小さなものが有るか、無いかくらいのものだ。

 「前から思ってたんだが、訊いてもいいか」
 「はい、何でしょう?」
 「お前らの機関の、神人狩りをする連中ってのは、どういう基準で選ばれてるんだ? やっぱ、超能力の有無か?」
 「そうですね。それや、閉鎖空間への適正……色々とありますが、これらは訓練で多少、伸ばすことが出来ます」
 「超能力もか?」
 「ええ、能力の素養のある人というのは、意外といるものです。もっとも、貴方はその貴重な、素養ゼロの人間でしたが」
 「別にうらやましくも無い」
 「ですから、それらの能力は、素養が皆無でない限り、選定の枠に入りますよ。その中から、色々な点でふるいに掛けるのです」

 そう。機関が神人の狩り手を定めるにあたって、最も重要的な先天性の要素がある。

104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 10:02:15.96 ID:yUeoTkBt0


 「……先天的マゾヒズムの有無?」
 「はい。それが最も重要です。付け焼刃じゃなくて、生まれながらの、ドマゾってやつです」
 「……冗談で言ってるんだよな?」
 「いいえ、真実ですよ? 神人狩りを行う超能力者はみんな、被虐嗜好者なんです。……僕も例外ではありませんよ」
 「聞きたくも無いカミングアウトだな……」

 それは失礼。
 長門さんを見ると、今度は音楽にあわせてタップを踏むゲームで、汗一つ流さずに華麗な舞いを披露している。

 「……マゾと超能力者との間に、どんな関係があるんだ」
 「そうですね。率直に言うと、マゾのほうが強いんですよ。単純に」
 「どうして」
 「僕らは能力を使って身体能力を上昇させて戦いますので、まず、生来の肉体的な要素はあまり重要視されません
  チートを施した上で斗うにあたって、大事なのは、恐怖を感じるか否か、と言うことなのです」
 「恐怖」
 「はい。つまり……一般人は、危険。痛みを感じること。それに直面したとき、どうしてもそれを回避しようとしてしまう」
 「それはそうだろうな」
 「ですが……能力を持つマゾヒストならば。彼らは、自分の身体能力が上昇しており
 通常の人間よりも多くのダメージを受けても耐えられることを知っています。
  その上で……神人の攻撃に対して、恐怖を感じずに……むしろ、その攻撃が自分にもたらすダメージ、その痛みに、一抹の期待を持つんです。
  それによって、我々は神人という、常識を逸脱したモンスターを相手に、捨て身の攻撃を行える……お分かりいただけましたか?」
 「……ようは、痛いのが怖くない奴がいい、って事か」
 「ええ。ただ、単純に痛みへの恐怖が無いだけでなく、そこに快楽を求める精神がある。
  閉鎖空間、神人との戦いに対する期待。それが戦士たちを奮起させる原動力にもなっているんです」
 「……俺にはどうにもこうにも無縁の世界だってことだけは分かった」
 「ええ、貴方はマゾヒストじゃありません。それに超能力の素養も無い。閉鎖空間にはまったくもって向いていない人間ですよ」
 「安心したぜ」

105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 10:03:36.51 ID:yUeoTkBt0


 正午まではまだ大分時間がある。
 僕と彼は、長門さんに連れられて、太鼓のゲームがあるという一階へと場所を移された。
 お目当ての太鼓を前した長門さんは、バチを手に、ぱかぱかと軽快な打撃音を鳴らしている。

 「しかし、お前らが閉鎖空間を楽しんでるとは思いもしなかったな」
 「不思議でしょう? でも、ある意味、あの状況を楽しめるくらいでなければいけない……そういう方針なんでしょう」
 「でも、それじゃあ……閉鎖空間の出現率が減ってるってのは
  お前らにとって必ずしもいい事だとは言えないじゃないか」
 「はは、そこはさすがに。
  それほど強烈にあの空間に病みつきになってしまうものは……めったにはいませんよ」
 「……お前がそのめったにのヤツじゃなくて良かったよ」
 「ええ、僕もそう思います」

 温くなったコーヒーに口をつける。


 そう。閉鎖空間がもたらす快楽に取り付かれてしまう人間は、めったにはいない。
 そのめったにの内の一人を……僕は良く知っている。

107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 10:04:50.57 ID:yUeoTkBt0


 「おー、お帰り」

 不思議探索を終えて寮に戻ると、森さんはタンクトップにホットパンツといういでたちで、缶ビールを手にひらひらと僕を出迎えた。
 朝の疲れはもう取れたらしい。シャワーを浴びたばかりなのか、僅かな石鹸の香りがした。

 「飯」
 「あれから大丈夫でした? 何か食べたんですか?」
 「いや、結局昼過ぎまでボーっとしてたし、部屋の片付けと風呂とでまだ何も食べてない」
 「よく体力保ちますね。今作るから、ちょっと待っててくださいね」
 「なんか先におつまみね」
 「はいはい」

 シャツの上からエプロンを着け、今しがた持ち帰ってきた買い物袋から食材を取り出す。
 鍋に少量のお湯を沸かして、そこにヘタを取り除いて塩をまぶしたオクラを放り込み、数十秒加熱する。
 それをざるにとって、小鉢に並べ、脇に塩を盛り、鰹節をかける。

 「さんきゅー」

 既に食卓についている森さんは、僕が運んだ小鉢の内容に満足したらしく、塗り箸を手に食事を始めた。
 僕は続いて、メインディッシュに取り掛かる。先ほどから沸かしている、スパゲッティ用の大鍋の湯が、そろそろころあいだ。

109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 10:06:08.78 ID:yUeoTkBt0


 「……ねえ森さん、今朝みたいの、出来るだけ控えてくださいよ」
 「え? ああ、あれか。いいじゃんか、別に怪我もしないしさ」
 「今回は良いほうでしたけどね。前みたいにヘンなガス出して救急車のお世話になったり、窒息寸前まで首絞めたりとか」
 「わかってるわかってる、あれはやりすぎたって。ごめんごめん」

 僕は本気で心配していても、森さんはあっけらかんとした様子で、笑いながらビールを飲んでいる。
 その感覚の違いに、僕は少しあきれた気分になりながら、スパゲッティを茹でる。

 「……最近、閉鎖空間が少ないからですか?」
 「何が?」
 「今朝みたいのするのは」
 「……まあ、そりゃそうだけどな。でも、古泉」

111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 10:09:36.32 ID:yUeoTkBt0


 缶をテーブルの上に置き、森さんは少し、声のトーンを落として言う。

 「勘違いしちゃダメだ。涼宮ハルヒの精神が安定して、世界の崩壊が免れる。閉鎖空間も縮小する。
  それが私たちの機関が目指す世界の安定なんだ。
  その本文を忘れるほど、私もバカじゃない」

 ……口ではそう言ってくれますけどね。僕は声に出さず、ため息を漏らす。
 そう言いながら、閉鎖空間がご無沙汰になると、下手すりゃ死ぬかもしれないようなオナニーに走り始めるのは、森さん自身じゃないですか。

 「……こないだの夜なんか、覚えてます? あれ」
 「あ? 酔っ払ってるとき? だとちょっと覚えてないかも」
 「……そうですか、ならいいです」

 僕はため息をつきつつ、数日前の夜、泥酔した森さんに寝込みを襲われ、言われた一言を思い出す。


 "なあ古泉、これであたしのこと刺してくれないか?"

 

113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 10:12:53.50 ID:yUeoTkBt0

 ……森さん。アイスピックはバイブとは違うんですよ。
 そう言って僕は、森さんを自室へと運んだ後、森さんの部屋中から、怪我をする危険性のあるものを片っ端から排除し
 その後、ドアの前で一晩中見張り続けた。
 放っておけば、彼女が自分で、アイスピックやナイフで体を慰めはじめてしまうと思ったからだ。

 「……ほんと、ああいうの心臓に悪いんだから」

 ぼやきながら、茹で上がったスパゲッティをソースパンの上に移し、オイルを絡める。
 二人分のそれを大皿に盛り付け、専用のトングを添えた後、二人分の小皿と共に食卓へ運ぶ。
 小鉢をすっかり平らげた森さんは、三本目の缶ビールを手に取り、僕の運んだ料理を楽しそうに自分の皿へと取る。

 「うまいうまい、やっぱ古泉帰ってくるまで待っててよかったわ」
 「お粗末さまです」

 冷蔵庫から作りおきされていたポテトサラダを取り出し、タッパーのまま机に置く。
 イタリアかぶれのドイツ人のような食卓になったな。と、どうでもいいことを考える。

115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 10:15:08.73 ID:yUeoTkBt0



     ◆


 「それよりお前さ、ここんとこ……してないじゃないか?」
 「は?」

 食事を終えた後。ちゃぶ台の上で課題を広げていた僕に、森さんがそう言ってきた。
 見ると、もう4、5本はビールを飲んだらしく、肌は上気し、目が潤んでいる。

 「だからあ、あれよあれ。朝から目に毒なもの見せちゃったしさー」

 嫌な予感。それを感じると同時に、僕の右肩が、森さんの足の裏に蹴られ、体がぐるりと回転する。
 一瞬の抵抗の余地もなく、僕は仰向けに寝かされ、森さんにのしかかられてしまう。

116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 10:18:40.69 ID:yUeoTkBt0


 「閉鎖空間なくて溜まってるんじゃないかなーと思って」
 「そんな、別に……」
 「はいはい、抵抗しない、同居人のよしみで手伝ってあげようか」

 こうなった森さんは、誰に求められない。僕のシャツのボタンは彼女によって手早く外され、ベルトとショーツを一度に取り去られてしまう。
 森さんが僕の胸に口をつける。最初は、唇のやわらかな感触。
 その後に、すぐに硬い歯の感触がして、僕の背中に、快楽の波が押し寄せてくる。
 森さんは乳首を含む胸のあちこちに歯を立てながら、両手で僕の下半身をまさぐり、徐々に隆起しはじめた男性器の根元を掴み
 もう一方の手の指を、僕のアヌスへと宛がう。

 「森さん、ちょっと……あ、やめ……」
 「いまどきそんな声、女の子でも出さないぞ」

 そんなことはないだろ。なんてことを考えているうちに、森さんの指が、僕の直腸の中へと押し込まれる。
 冷たい感触。伸びた爪が腸壁に触れると、痛い。無造作にうごめくそれが、徐々に痛みから快感に変わって行く。

117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 10:20:12.95 ID:yUeoTkBt0

 腸を弄られながら、彼女は僕の胸につけた歯形を、一つづつ、今度は暖かい舌の先で愛撫する。
 森さんの指と舌が、一挙一動蠢く度に、背中を快感が走る。久々に受ける愛撫に、これ以上は保ちそうにない。
 彼女の舌が、僕の右耳の後ろに触れる。その直後、これまでよりもよほど強い痛みが走る。

 「あいっ……ちょっと、森さん!」
 「悪い、強すぎた。ここは閉鎖空間じゃなかったっけな」
 「こんな閉鎖空間、ないですよ……」

 森さんは最後まで楽しそうに、僕のからだ中を蹂躙していた。
 泥の中でもまれるような感覚の中で、僕は彼女の手の中に射精した。
 腰から何か大事な筋が引き抜かれてしまったような気がした。

119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 10:23:53.43 ID:yUeoTkBt0



     ◆


 「……森さんにとって」

 行為の後で。手を洗い終えて、居間へと戻ってきた彼女に話しかける。

 「閉鎖空間は……今してくれたよりも、気持ちのいいものなんですか?」

 彼女はきょとんとした顔で、僕を見る。
 僕の記憶の中にある、いくつかの森さんの顔……
 神人の攻撃を受け、地面に伏したときに浮かべていた、快楽の表情たちが重なり、フラッシュバックする。

 「さあ、そんなのお前にも私にも分からんだろ。自分で確かめるしかない」
 「……そんな勇気は、僕には無いです」

 神人の腕に体をへし折られながら、神人の足に体を踏み砕かれながら、オーガズムに喘ぐ。
 僕にそんなことが可能だとは思えなかった。


121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 10:30:14.67 ID:yUeoTkBt0



     ◆


 僕は思い出す。
 彼女と同じように、閉鎖空間に快楽を求め、閉鎖空間を天国とまで呼んだ人のことを。
 そして、やがて本当の天国へと旅立ってしまった、その人のことを。


     ◆


 「今日は不思議探索いかないの?」

 ベランダで洗濯物を干していると、ミネラルウォーターの容器を片手に、森さんが話しかけてきた。
 タンクトップにホットパンツのいつもの姿。僕はそれとなく、窓の外から森さんの姿が見えないように、立ち位置を調節する。

 「ええ、先週は特例だったんですよ。今日はお休みです。彼と涼宮さんはなにやら出かけられるそうですが」
 「デートってやつかあ。いいなあデート。調査対象のご機嫌も良好でなによりだな」

 森さんは笑う。
 確かに、彼と涼宮さんはこのごろ特に仲が良い。
 それ故に、安心だとは思う。けれど……彼と涼宮さんが外出するということは、一歩間違えれば、涼宮さんの心象を大きく変える可能性もある。
 何事も無ければ良いんだけどな―――僕は声に出さずにそう呟く。
 しかし、その直後。

 pipipi...

 通常の着信音とは異なる、専用の機械音が、僕と森さんの二つの携帯から、同時に鳴り響いた。

125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 10:33:58.42 ID:yUeoTkBt0



     ◆


 新川さんの車を降りた直後から、空は灰色に染め替えられていた。
 遠くに三体。繁華街を這うようにうごめく、大型の神人の姿がある。

 「こりゃ、でかいな。キョンめ、やってくれたな」
 「彼が原因と、決まったわけではないですよ」

 森さんの言葉に、友人としての一抹のフォローをしながら、全身に波動を纏う。
 僕が飛び上がると同時に、森さんもまた、赤い球体となり、空中に舞い上がった。

 「B班、E班が後に合流します!」
 「はいよっ」

 空中で別の超能力者にそう告げられ、僕は戦線を確認する。
 到着した僕ら二人を含めて、戦闘中の狩り手は5人。
 人数的には問題なかったが、何しろ神人がトップクラスの大きさのやつだった。
 キョン君。本当にやってくれましたね。と、心の片隅で、僅かに彼のことを呪う。

 「いっきまーす!!」

 確認もそこそこに、僕の隣の空間を貫き、森さんが戦線へと突撃して行く。僕もそれに続いた。

126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 10:36:37.27 ID:yUeoTkBt0

 程なくして、残りの超能力者も到着し、数は3vs9。一体に3人で取り掛かれば、そう難しい戦いでもなかった。
 僕はやがて、3体のうちの一体を細切れにすることに成功し、残る2体と戦う組へと合流しようとした。

 森さんとB班が対峙しているのは、さきほど形状を変え、東京タワーに触手を生やしたような、巨大な神人だった。
 僕はその触手に触れないように軽快しながら、波動球を撃つ。
 四度放ったうちの三発が胴体に命中し、神人の体は、その部分を境目に折れ、上半身が傾き始めた。そこに更に弾を撃ち込もうと、接近した瞬間だった。

 「古泉!」
 「!」

 背後で仲間の声がする。が、遅い。
 神人の体の折れた口から、新たな触手が生まれ、それが一直線に、僕に向けて放たれたのだ。
 攻撃は速く、確実に僕を標的としている。しかし、回避できない。間に合わない。
 やられる……のか?
 僕が覚悟を決め、両手を前に突き出し、攻撃を受けようとした瞬間。

 「てえ!」
 「えっ」

 左耳元、よく聴き慣れた声がした。それと同時に―――僕の体が急降下を始めたのだ。
 頭に鈍い痛みを感じる。体が落下してゆく。しかし、触手の攻撃を受けたならば、僕は後方へ吹き飛ばされるはずだ。
 抗いようのない衝撃の中で、無理に体をひねり、先ほどまで僕がいたはずの場所を確認する。
 そこには、伸びきった神人の触手と……その遥か遠くに、錐揉みになりながら飛ばされて行く、細い体が視認できた。


 「森さん!!」

 その名前を叫ぶと同時に、僕の体は地面へとたどり着き、周囲が土ぼこりを上げた。
 ずん。という重い衝撃が、全身を襲った。
 それを最後に、僕の意識は遠のいていった。

127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 10:39:39.38 ID:yUeoTkBt0



     ◆


 天井から壁、床、あらゆる面が白い室内。
 窓際のベッドに、森さんの姿があった。

 「よう」

 森さんは僕を見ると、いつものように微笑み、包帯まみれの手でふりふりを挨拶をした。
 僕はどんな顔をしたら良いか分からず、小さくお辞儀をした後、固まってしまう。

 「そこ座ればいいだろ」
 「……すいませんでした、僕の所為で」
 「いいって、お前は大丈夫だったんだろう?」

 僕の怪我は軽いものだった。ただ、森さんに突き飛ばされた衝撃で地面に墜落しただけだ。
 脳震盪と、全身の軽い打撲。一応、節々には湿布を張ってある程度だった。
 しかし、森さんは違う。神人の攻撃をまともに正面から受けた上に、波動を失ったまま空中を舞い、地面にたたきつけられた彼女は、重傷だった。

 「機関の医療なら、これぐらい、2、3週間あれば治るだろうさ。しばらく閉鎖空間にはいけないらしいけどな」
 「そりゃ、そうです」

 包帯まみれの森さんを見つめながら、僕はその一言を尋ねようかどうか迷っている。
 ……攻撃を受けたあと、波動を解いたのは、わざとだったのではないのか。
 ……しかし、その一言を繰り出す勇気が、僕にはない。

128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 10:41:41.57 ID:yUeoTkBt0


 「……お前が機関に入ってすぐのときも、似たようなことがあったな。あのときのあれはすごかった」
 「……あり、ましたね」

 それはたしか、新潟に閉鎖空間が発生したときのことだった。
 当時、まだ未熟だった僕は、今回と同じように……僕は神人の攻撃を食らわざるを得ない状況に陥った。
 そこを、森さんが僕を庇ってくれたのだ。
 二人まとめて飛ばされ、僕は軽症。森さんは重傷。
 あの時、僕と森さんが墜落した場所で。助けが来るまでの間、朦朧とする意識の中で、確かに見たのを覚えている。
 耳元で……今にも消えてしまいそうな声で、それでも確かに嬌声を上げる、彼女を。

 「……森さん」
 「どうした?」

 僕は彼女を見つめたまま、黙る。
 ……今回も。彼女は、あの顔をしていたのだろうか。
 肋骨と両手をへし折られ、地面にたたきつけられたその場所で。
 あの声をあげ、オーガズムに浸っていたのだろうか?

 「……なんだよ、つめたいぞ」

 気が付くと、僕は森さんの頬に触れ、包帯のない部分に指先を這わせていた。
 温かい。生きている。

 「気持ち悪いな。触るんじゃなく、つねってくれたまえ」

 森さんは笑う。あの快楽におぼれた笑顔ではない。五月の太陽のような笑顔。

 「古泉、お前……私が好きなのか?」
 

129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 10:43:30.40 ID:yUeoTkBt0

 そう訊ねられて、僕はしばらく考える。
 森さんが好きなのか。
 ……そうなんだろうか。

 「…………好きになんてなれませんよ」
 「なんだよ、随分な事いってくれるな。私はそんなにお前好みじゃないか?」

 僕は首を横に振る。

 「……僕は、心の痛みには耐えられません。森さんを好きになったら――」


 いつか、こころをへし折られる日が来てしまうような気がして。



     ◆


 僕は知っている。
 神人の狩り手が、マゾヒズムで無ければいけない理由。
 上層部にとって、僕らは捨て駒なのだ。
 能力の素養を持ったマゾヒズムは、この世に五万と溢れかえっている。
 世界の安定を守るために、閉鎖空間のとりことされた狩り手が、時々、死んで行く。
 しかし、その変わりとなる人間は、いくらだっているのだ。

130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 10:45:04.05 ID:yUeoTkBt0


 「すまんかった」

 月曜日の昼休み。彼は僕にコーヒーを差し出しながら、彼らしからぬ低姿勢で僕のもとへとやってきた。

 「大丈夫ですよ。しかし、なかなか大きなケンカをされたようですね?」
 「ああ、まあ……でも、出来るだけのフォローはしたつもりだ」
 「そのお言葉で、随分と安心できますよ」

 僕はコーヒーを受け取り、プルタブを引く。

 「……鳥と河馬のことを考えていました」
 「トリとカバ?」
 「はい。どこかの奥地で暮らすカバは、時折体を水上へと上げ、鳥に体の掃除をさせるそうです。
  それによって、鳥は食料を得る。カバは清潔を保てる。……そういう、生命の仕組みなんだそうです」
 「ふむ」

 彼は僕の言葉にこれといった感想を持たなかったのか、コーヒーを片手に、曖昧な言葉を漏らした。
 僕はなんて矮小な存在なんだろうか。晴れた空を眺めていると、そんなことを思った。

135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 11:00:06.20 ID:yUeoTkBt0



     ◆


 「なあ、古泉」
 「なんですか?」
 「それでさ、私のほっぺを、ちょっと切ってくれないか。ちょっとだけ」

 彼女の手は、僕がりんごを剥いている手元を示している。

 「……絶対ダメです」
 「なんだよ。それじゃあ、私がお前をぶっ刺すぞ」
 「両手骨折してる人が、どうやってですか」
 「あはは、冗談だよ」

 彼女は笑う。
 その笑顔に、僕は愛しさと、僅かな狂気を感じる。
 冷えた指先で、土曜日に森さんに付けられた、耳の後ろの傷に触れる。
 指が触れると、そこはズキリと痛み、やがて、じわりとした快感が背中に走った。


 もし、閉鎖空間がこの世から無くなる日が来たら。
 彼女は一体どこへ行くのだろうか。
 僕は彼女と共に行けるのだろうか。
 彼女と共に、この深い森の中から抜け出すことは、出来るのだろうか?



 END

136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 11:00:41.78 ID:yUeoTkBt0

最後にさるってた
以上で投下終わりです支援ありがとう
変体彗星席とかしらないよ

196 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 23:58:22.17 ID:yUeoTkBt0

完全にリアルタイムで書くから見てるほうもおそらくだるいよーそれでもいいなら付き合ってください
まぞ☆もり その後

197 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/30(土) 23:59:59.21 ID:yUeoTkBt0

 遠くで虫が鳴いている、蒸し暑い夜だった。
 赤信号の光に、僕がペダルを漕ぐ足を止めると、僕の右手にぶら下げられたコンビニエンスストアのビニールの袋が、カサカサと音を立てた。
 時刻は二十三時。信号機の赤い光の玉のすぐ隣に、僅かに書けた丸い月が浮かんでいる。
 信号が青に変わるのを待ち、横断歩道を渡る。交差点を右に曲がると、機関の寮の裏門に取り付けられた、オレンジ色の蛍光灯が光っているのが見えた。
 やがて、蛍光灯の光の元に、僕はたどり着く。
 自転車を止め、常温のスポーツドリンクが二本だけ入った袋を手に、急ぎ足で屋内へ向かう。
 エレベーターで四階へ移動し、一番奥の部屋。表札には何も書かれていない。僕と森さんの暮らす部屋だ。

 「森さん?」

 玄関に入り、室内に向けて声をかける。返事は無いが、居間の電気がついていて、そこからうー、うーと唸る声が聞こえる。
 ダイニングの食卓の上にスポーツドリンクを置き、居間を覗く。二人掛けのソファの上に、横になってうずくまる森さんの姿があった。
 月に一度。おそらくこの世で唯一の、彼女が恐怖する痛みが、彼女の体を襲う期間。
 今日はまさにその、佳境の日だった。

199 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 00:04:43.13 ID:SimMHWZw0


 「森さん、スポーツドリンク買って来ましたよ。今飲みます?」
 「……冷たくない?」
 「はい、大丈夫です」
 「薄くして」

 いつもの彼女と比べて、極端に口数が少ない。
 うずくまった体勢では、表情も見て取れないため、一瞬、長門さんあたりと会話をしているような気分になる。
 僕は言われたとおり、ガラスのコップに半分ほど、スポーツドリンクを注ぎ、そこに常温のミネラルウォーターを注ぎ、彼女の元に届ける。
 森さんは体を起し、ソファの背もたれに力なく体を預けて待っている。細い両手が、コップをしっかりと握ったのを確認し、手を離す。
 彼女がスポーツドリンクを飲んでいる間に、僕は洗面所からタオルを持ってきて、蛇口の水でぬらし、固く絞ったあと、電子レンジへ放り込んだ。

 「まだつらいですか?」
 「……少しマシになった」
 「何か食べます?」
 「それはまだいい」

 引き続き長門さんモードの森さんは、コップの中身にちびちびと口をつけながら、僕に掠れた声でそう返した。
 クーラーの風が、僕の足元とフローリングの床を一度に冷やしている。
 電子レンジが声を上げるのを待って、僕は彼女の元にタオルを届ける。

200 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 00:13:00.59 ID:SimMHWZw0


 「頭に乗せます?」
 「お腹がいい」

 そういうと、彼女はコップを右手に持ち替え、左手でタンクトップのすそをたくし上げる。
 白いお腹と、その中心にぽっかりと空いたくぼみに、一瞬僕の左胸が高鳴る。
 何を今更。と、心の中で呟き、僕は彼女の穿いているホットパンツのホックを外し、チャックを下ろし、下腹部を露出させる。
 黒い下着と白い肌の境目の辺りに、湯気を立てるタオルを乗せる。うー。と、森さんが唸る。

 「入院中のほうが楽だったなー」
 「退院していきなりこれですもんね」
 「お前はいいなー古泉、コレが無くて。私もコレが無いなら、男に生まれたかった」

 含み笑いをしながらそう言う口調は、最も過酷なときのそれと比べれば、随分と余裕を取り戻しているようだった。
 彼女の言うとおり、僕には生理の経験はない。よって、そのつらさがどの程度のものなのかは分からない。
 しかし、彼女のそれは同年代の女性たちが覚える症状と比べて、いささか重過ぎるものであるようなのは分かった。
 と、言うよりも、彼女自身がそう言うから、そうなのだろう。という程度のことなのだが。

 「この世にこの苦しみさえ無かったらなー」
 「この世で唯一、森さんが怖がる痛みですもんね」
 「ばか、他にも少しはあるよ。なあ、それよりもうちょっと味のあるもの飲みたい」
 「いいですよ、何がいいですか?」
 「レモネード。アメリカンなほう」

 彼女の唇がにやりと半月形を描く。彼女が所望しているのは、レモネードとは名ばかりの、レモンと砂糖とシナモンを入れたホットワインだった。

201 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 00:17:50.88 ID:SimMHWZw0


 「ワインがないんですよ、ザンネンながら」
 「じゃあ透明なほうでいいや。てか、そっちのがいい」

 そういって、森さんは再びソファに体を預けた。
 僕の見る限りも、彼女の体が今、アルコールを求めているとは思えない。
 冷蔵庫からレモンジュースの瓶を取り出し、きつめのレモネードを作る。

 「閉鎖空間が出なくて良かった、一昨日から」

 グラスにストローを添えたところで、彼女がぽつりと呟く。

 「もったいないもん、こんなときに出たら」

 僕はなんと返すべきか少し考えた後、それが彼女の独り言であるという事実に思い当たり、小さくため息をつく。

 「サンキュー」

 僕が無言でグラスを差し出す。彼女はストローに口をつけ、ふう。と息を吐く。
 手持ち無沙汰になった僕は、彼女の右隣のスペースに腰を下ろし、左手で、汗によって彼女の額に張り付いた髪の毛を指先で取り払う。
 上気した肌に触れていると、やがて彼女の上半身が、こつりとこちらへと倒れこんでくる。
 濃く濃密な匂いを孕んだ彼女の頭が、僕の左胸の辺りにくる。
 僕は心臓の音が彼女に聞こえてしまわないかと、下らない心配をする。

203 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 00:28:19.91 ID:SimMHWZw0

 先週まで続いた治療で、彼女の体は幾分軽くなっているようだった。
 強がってはいたものの、体中の傷を完治させるのに掛かった体力は、傷の重さ相応の、多くを要したようである。
 つい先日まで包帯に包まれていた彼女の肩に、僕はそっと手を乗せる。
 お互いの汗によって、濡れた肌同士がぺたりとはりつく。

 「最近優しいなお前」

 彼女が髪の毛の間から僕を見上げ、軽口をたたく。
 何か言葉を返す代わりに、僕はため息をつく。
 森さんの言うとおり、僕は近頃彼女に甘い。大概のわがままは聞き入れているし、自分で言うのもなんだが、日常生活では、彼女が女王様のようだった。

 「やっぱりお前、私が好きなんだな」

 その一言で、僕はあの日、彼女が入院した初日の病室でのやりとりを思い出す。
 そして、そのときとまったく同じ思考を走らせる。
 僕は森さんが好きなのだろうか?
 彼女の体から立ち上るにおいを嗅ぎながら、考える。
 やがて、前回と同じ答えに行き着き、僕は三つ目のため息をつく。

 「ええ、好きですよ」
 「あれ、素直になったな」
 「この状況でそれを聴くのはズルです」

 森さんが笑うと、彼女の体と僕のからだが触れたところを介して、彼女が揺れ動くのが伝わってくる。
 それが一瞬、彼女が体を痙攣させているような気がして、僕はひやりとする。

206 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 00:32:18.79 ID:SimMHWZw0


 「耳の後ろの傷、消えたな」

 彼女の指先が、僕の髪の毛を掻き分け、敏感な部分に触れる。
 ひと月前に彼女に噛まれたその箇所には、もう痛みはない。

 「新しいの、つけてやろうか」
 「元気になったらにしましょう」
 「そうだな。明日だな」

 そういって、彼女は再び体を僕に預ける。
 僕は不意に、今、携帯電話が鳴らないものかと心配になる。

 「あのさあ、さっき、私にも怖いものがあるって言っただろ」
 「ええ」
 「知りたくないか? 私の弱みだぞ」
 「罠っぽいですね。まんじゅう怖いですか」
 「あはは、そうかもな」

 短く笑った後

 「私さ、怖いよ。閉鎖空間が」

 彼女は、言った。

208 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 00:43:32.26 ID:SimMHWZw0

 窓の向こうで光る夜の街の光景が、一瞬、閉鎖空間を舞う狩り手たちのように見える。
 窓を開けたら、涼しい風が入ってきそうだった。

 「あそこにいるとさ、自分がどんどん取り返しが付かなくなってくのがわかるんだ」

 森さんはぽつぽつと、空中に風船を浮かべるように語った。

 「こないださ。あのイカみたいなのにやられたとき、武装を解いて落下したの。あれ、わざとだった」

 僕の記憶の中に、ひと月ほど前。彼女と共に戦った、あの三体の神人たちの姿が蘇ってくる。
 僕には東京タワーに見えたあの神人は、彼女にとってはイカの神人であったようだ。

 「吹っ飛ばされながら、このまま落ちたら、どうなるんだろうって思ったの覚えてるんだ。そしたらもう、体が言うこと利かなかった」
 「僕を助けてくださった、あの日、ですよね?」
 「助けたのかな。どうなんだろう」

 少しの沈黙の後

 「私はただ、あそこから落ちたかっただけかもしれない。そう考えると、怖くて怖くて仕方ないんだ」

 僕は黙っていた。

209 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 00:52:34.78 ID:SimMHWZw0


 「最高だったよ。お前も狩り手なら、わかるだろ? ドキドキした、頭からどんどん血が抜けてくのが分かってさ。
  全身がぞくぞくして、ドンドン体が軽くなって。ああ、こりゃイッたなって思ったよ、正直。
  だって、あんな最高の気分が、人生の最後じゃなかったら、そのあとの人生、何を求めて生きたらいいんだってぐらい良かった」

 僕は想像してみる。彼女の言う、自分が死へと駆け下りているときに生じるであろう快感を。
 それは僕の想像でしかなく、おそらく、本来のそれとはまったく違うものだろう。
 それでも、僕はその快感を想像することが出来る。
 自分のからだが傷つく快感を知っているのだ。

 「でも、私は生きてた。たったの三週間ですっかり元通りになっちゃった。
  なあ古泉。私さ、あのときのアレが愛しくてしょうがないんだよ。
  そのために、また同じことをやるかもしれない。
  でも、それでもまた、私は生きてるかもしれない。
  あと何回、こんなことが出来るんだろう?
  入院してる間、ずっとそんなこと考えてた。お前が来てくれてるとき以外」
 「森さん」

 それは、僕が何度となく考えたのと、まったく同じことだった。
 森さんが、どんどん閉鎖空間に捕らわれていく。
 僕から見てもわかるそのことが、彼女自身に分からないはずがなかったのだ。

 「おかしいよな。私はあの神人どもを倒して、神様ができるだけ閉鎖空間を作らないようにするためにいるのに。
  なのになんで……私が、あの空間がないと生きていけないみたいになってるんだろうな。
  ていうか、本気でさ。私、閉鎖空間が無くなったらどうなるんだろう?」
 「それは……」

 僕は黙り込んでしまう。

212 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 01:12:17.33 ID:SimMHWZw0


 「生理のときがさ、一番まともだよ、私は。このときだけは、普通の人間と同じように、痛みにうーうー言ってる。
  でも、明日の朝になったらそれもおわりだろうな。私は元気になって、またドマゾに戻ってる。
  もうさ、なんか疲れたなって思ったんだ。さっき、お前がコンビニ言ってるとき。
  このまま、生理で苦しんでるまともな女のままで死んだら――――」

 森さんの言葉は、そこで遮られる。
 僕が、彼女の体を抱き寄せたからだ。

 「……古泉?」
 「すいません」

 僕らの周囲の湿度が、僅かに上がったような気がした。
 彼女の体から漂う、月経のにおいで、頭がくらくらする。
 僕は彼女の言葉を、最後まで聴かずに済んだことを安堵した。

 「……お願いします。行ってしまわないでください」

 自分の言葉が、どこか遠くの世界で鳴く、虫の鳴き声のように聞こえた。

 「古泉」
 「すみません、でも……僕は、たとえ閉鎖空間がなくなっても。
  あなたがいなくなってしまったら……僕は、ダメなんです」

 それが、怖いんです。
 自分が何を口走っているのか、うまく整理が出来なかった。
 ただ、遥か前から、彼女に告げたかったいくつもの言葉や気持ちが、火蓋を切られた流水のように、頭の中に押し寄せていた。

213 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 01:23:11.24 ID:SimMHWZw0


 「あなたを失いたくないんです」

 あふれ出す。

 「僕はあなたのことが好きなんです」

 ひとしきりの気持ちが流れ出してしまうと、僕の頭は熱暴走を起したように、まったく回らなくなってしまった。
 クーラーの風がそよぐ部屋の中心で、僕は彼女を抱きしめたまま、しばらくの間放心していた。
 どれくらいの時間が経ったのか、それは一瞬、数秒であったようにも思えたし、一時間も二時間もそうしていたようにも思えた。

 「ふふ」

 やがて、僕の腕の中で、彼女が小さく笑った。
 それを合図に、僕の意識はゆっくりと動き出す。
 僕は今まで何をしていたんだっけ? ああ、そうだった。たしか、森さんのためにコンビニへ行って……

 「ありがとうな、古泉」

 ぽんぽん。と、彼女の手が、僕の頭をたたく。
 生理の発熱と、僕の体温とで、赤く上気した森さんの頬に、一筋、涙が伝っていた。
 絶頂のとき以外では見たことの無い、彼女の涙の意味が、僕にはしばらく分からなかった。

 「なんで、私とお前みたいのが、同じところにいるんだろうな」

 そう言いながら、彼女は僕の頭をなで続けた。
 彼女の言葉の答えを考えようとしたけれど、早くなった心音に邪魔されて、うまく考えることは出来なかった。
 ただ、今までで一番、僕から近い場所に、森さんがいる。その一つだけが理解できた。

220 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 01:32:37.98 ID:SimMHWZw0



     ◆


 僕は閉鎖空間の夢を見ている。
 どこかの街ではない、ただ、360度、地平線以外を見つけることが出来ない、空と地面だけの閉鎖空間だった。
 僕の目の前に、一体の神人がいる。あの日に戦ったのと同じ、イカ、あるいは東京タワーの姿に酷似した神人だ。
 僕の体は半ば自動的に、赤い波動を纏い、目の前の神人に攻撃を始める。
 僕は空中を大きく迂回しながら、赤い波動球を四つ放ち、そのうちの三つが神人の体に触れ、爆ぜる。
 神人の体が折れ曲がり、僕は更に攻撃をしようと、接近する。
 ……そこで、気づく。

 ああ。これはあの日と同じだ。
 このままでは、僕は――――

 気が付いたときには、もう時は遅い。神人の肉体から、まっすぐに、僕に向けて、新たな触手が放たれる。
 細い触手が、一瞬で僕の周囲を舞い、次の瞬間、首元につよい圧迫感を感じる。呼吸ができない。僕は、首を絞められている。

 「う……」

 触手は僕の首に強力に巻きついている。それを取り払おうと、両手で掴みかかるが、触手を引く力は強く、それはままならない。
 やがて、僕の脳は、ぼんやりとした、温かい水のようなものに包まれる。
 目の前が薄く曇っていき、今の今まで苦しみに満たされていた胸が、すっと軽くなる。

 ――ああ、これが。
 彼女の言っていたものなのだろうか。

 頭の中から、余計なものが一切抜けていき、ただ、体が軽くなって行く。
 上を向いているのか、下を向いているのかも分からない。喉の熱さと、頭を燃やすぼんやりとした快楽だけが、世界を包み込んでいた。

221 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 01:41:55.09 ID:SimMHWZw0


 「うっ……!!」

 泥濘に包まれた意識の中で、首に撒きつくそれを引き剥がしたのは、僕と言う人間の最後の本能だった。
 喉に張り付くやわらかいものを掴み、一心不乱にかきむしる。
 やがて、強力な力で僕の呼吸を遮っていた何かが、木の実が枝から離れるような感触と共に取り除かれる。
 求めていた酸素が、一気に僕の体に流れ込んでくる。それを上手く処理することが出来ず、僕は強く咳き込んだ。

 「はあ、はあ……」

 気が付くと、僕は仰向けに寝転がっていた。
 ここは閉鎖空間ではない。僕と森さんの暮らす部屋の、今のソファの上だった。
 酸素の供給と共に、ぼやけた視界がゆっくりと明確になってゆく。
 窓から差し込む朝の光が見える。そして、それを背に、僕のからだの上に、何かが圧し掛かっている。

 「……こいずみ」

 頭の上から、声が降りそそぐ。森さんの声だ。
 僕はたった今まで締め付けられていた首に両手を当て、もう三度、深く咳き込む。

 「も、り……さん?」

 やがて、僕の体の上に覆いかぶさっているその物体が、森さんの肉体であることに、僕は気づく。
 逆光で暗く焼きついた森さんの表情は、笑顔。
 どうして、森さんが、僕の上に乗っているのだろう。

 「古泉、お前も来いよ」

 森さんが何を言っているのか分からない。喉が痛い。もう一度咳をする。

222 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 01:45:08.44 ID:SimMHWZw0


 森さんは、僕の前で、更に笑顔を綻ばせて
 やがて、右手を僕のほうへと差し出してきた。
 何がなにやら分からずに、僕は差し出された手を見る。
 指の外側に、爪の跡のような傷がある。まだ新しいものだ。
 手のひらの中心に、何かが乗っている。
 それは、白い錠剤のように見えた。

 森さん?



 「古泉、一緒になろう」

 森さんが、笑う。




 「私と一緒に」





 END

227 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/31(日) 01:52:41.51 ID:SimMHWZw0

支援ありがとうございました
ラストは2パターンぐらいに取れると思う
ともかく思いつきに付き合ってくれてありがとうございました



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