ハルヒ「転校生連れて来たわよ!」


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2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 15:31:54.34 ID:yG1tfAnoO

気怠い春の午後。文芸部の部室でうとうとしていると。

ハルヒ「転校生連れて来たわよ!」

大声を出して涼宮ハルヒがドアを蹴破ってきた。
やれやれ。もう少し静かに出来ないもんかね。

ハルヒ「さ、入った入った」

ハルヒに腕を引かれ、入ってきた人物を見て俺は言葉を失った。
……なんで男装なんかしているんだ。
普通に女子の制服を着ればいいだろうに。

古泉「古泉一樹と申します。どうぞよろしくお願いします」

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 15:39:47.50 ID:yG1tfAnoO

キョン「えっと……」

ハルヒ「どう、キョン!? 謎の転校生よ!」

ハルヒは得意気にふんぞり返っている。
いや、確かに謎は謎だがな。

キョン「あー、ハルヒ? 古泉さんのどのへんが謎だって言うんだ」

ハルヒ「は? 一年生で新学期が始まったばっかで転校してくるなんて謎でしかないじゃない!」

ハルヒ「それに見なさい!」

ハルヒは古泉さんの肩に腕をかけ、引き寄せる。
む。これはなかなかいい光景だな。

ハルヒ「こんなに可愛いのに男の子なのよ!? 不思議じゃない!」

キョン「は?」

俺は開いた口が塞がらなかった。

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 15:48:11.43 ID:yG1tfAnoO

キョン「いやいやいや」

んな訳がないだろう。
いくら男子の制服を着ているからってそんな。
そうか。古泉さんも無理やりハルヒに着せられているんだろう。

キョン「古泉さん。ハルヒに付き合う必要なんかありませんよ。今すぐにでも女子の制服に着替えた方がいい」

古泉「え……いや、僕は」

む。この外見で僕っ娘か。佐々木もそうだったが古泉さんの一人称が僕ってのはなかなか……。

ハルヒ「なに言ってんのよキョン! こんなに可愛い子が女の子な訳ないでしょ!」

ハルヒ。お前は落ち着け。

長門「…………」

気付くと長門がこっちを凝視していた。
ああ、すまんな、騒がしくしちまって。

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 15:54:05.68 ID:yG1tfAnoO

キョン「さあ、古泉さん。どうぞ着替えに戻ってくれ。それと、自分で言うのもなんだがここには近付かない方がいい」

俺は今にも噛みついてきそうな表情のハルヒを見ながら続ける。

キョン「そこの涼宮ハルヒに何をされるか分かりませんよ?」

ハルヒ「な、何言ってんのよ、このバカキョン!」

古泉「あの、僕は本当に男性で」

へ?
古泉さん、今なんと?

古泉「そして、この部活には自分の意志で入りたいと思っているのですが」

なんてこったい。

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 16:04:26.14 ID:yG1tfAnoO

古泉さんが、男……?
こんなに可愛いのに?
下手するとあの二年生の朝比なんとかさんよりも可愛いのに?
確かに胸は長門並みに残念だが、そんな事を感じさせないくらい可愛いのに……。

長門「…………」

古泉「あの、大丈夫ですか?」

ハルヒ「分かる……分かるわ、キョン。私もショックだったんだもの」

俺のショックとお前のショックはベクトルが逆だと思うぞ。
なんとか気を取り戻した俺は古泉、君に問いかける。

キョン「なあ、君はこの部活が何をする部活なのか分かっているのか?」

古泉「ええ。先ほど涼宮さんから説明を受けましたので」

ハルヒ「この部活はね!」

ハルヒ「宇宙人とか超能力者とかと友達になって遊びまくる部活よ!」

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 16:13:16.05 ID:yG1tfAnoO

と言う訳で。
古泉が入ってSOS団は本格的に活動を開始するらしい。

だが、少し待って欲しい。
ハルヒ、長門、古泉、俺。
四人しかいないのだから、まだ部活として認められていないんじゃないか?

ハルヒ「人数ならどうにでもなるわよ!」

そう言うとハルヒはどこかへと出かけて行った。
毎度毎度、無駄に元気なやつだな、アイツも。
さて、長門はいつものように読書だろうし何をするかね。

古泉「あの、もしよろしければオセロでもしませんか?」

古泉はカバンからポータブルのオセロを取り出す。
……なあ、上目遣いは反則じゃないか?
長門が差し出してくれたティッシュを鼻に詰めながら、俺は古泉の向かいの席に座った。

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 16:28:41.68 ID:yG1tfAnoO

古泉が入団してからしばらくたった。
今では放課後は古泉とこうやってオセロをするのがお決まりだ。

古泉はオセロがあまり上手くはないらしい。
これで俺の三連勝が決まった。

古泉「いやはや、お強いですね」

キョン「いや、そんな事はないぞ」

実際、今のゲームでも俺は何度もミスをしている。
まあ、悩んでいる古泉に目を奪われていた訳だが。
次のゲームの準備をする古泉を見ていると、ハルヒが何かを持ってやって来た。

ハルヒ「待たせたわね!」

キョン「それはなんなんだ、ハルヒ」

ハルヒ「ふふ、これはね?」

ハルヒ「古泉君に着せる為のメイド服よ!」

ハルヒ、GJ。

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 16:40:59.92 ID:yG1tfAnoO

古泉「あの、ちょっと待って下さい」

ハルヒ「何かしら? 古泉君」

古泉「僕の記憶が正しければ、その服は女性が着るものですよね?」

ハルヒ「あら? そうだったかしら?」

惚けるハルヒ。
分かる。分かるぞ、お前の考えが。

ハルヒ「どうだったかしらね、キョン」

古泉「あなたも、女装なんか見たくないですよね?」

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 16:44:26.92 ID:yG1tfAnoO

キョン「あー」

俺は頭を掻いて、窓の外を見る。

キョン「男だろうが女だろうが関係なかった気がするな、その服」

古泉「な……」

絶句する古泉。
だが、まだだ。

キョン「長門はどう思う?」

長門「…………」

本から顔を上げてこちらを見る長門。
相変わらずの無言だが、その瞳はこう言っていた。

着ろ。

と。問答無用の圧力を受け、古泉はその場にへたり込んでしまった。

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 16:50:53.91 ID:yG1tfAnoO

ハルヒ「むふふ、覚悟しなさい、古泉君」

長門「…………」

手をわきわき動かすハルヒと、無言で古泉を確保する長門。
古泉は俺の足を掴み、必死に訴えかけてくる。

古泉「助けて下さい! 僕は、僕は!」

キョン「あー、すまんな、古泉」

古泉「え?」

キョン「俺も見たいんだ、お前のメイド服姿」

俺がそう言うと、何故かハルヒの表情が曇る。
一体どうした。

ハルヒ「キョンは出て行きなさい」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 16:55:22.73 ID:yG1tfAnoO

キョン「は? どうして」

ハルヒ「今から古泉君が着替えるのよ?」

だからなんだと言うんだ。
流石にハルヒや長門が着替えるというのなら出て行くさ。
だが古泉だぞ。
男同士なんだから別に気にしなくても……。

ハルヒ「いいから出てけえっ!」

キョン「ギャンッ!」

いってえな、ハルヒのヤツ。別に思いっきり蹴る必要はないだろうが。


…………あー、着替え見れねえのかよ……。

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 17:04:57.39 ID:yG1tfAnoO

俺が部室の外にいると、通りすがりの上級生が声をかけてきた。

上級生「おんやあ? 君は部室に入らないで何してるんだいっ?」

キョン「え、っと」

上級生「まさか追い出されちゃったのかなっ? よかったらお姉さんが一緒に謝ってあげようか?」

なんなんだろうか、この人は。
なんでこんな美人が俺に声をかけてくれたんだろう。
こんな所で美人局なんてあるわけないよな……?

上級生「君?」

上級生が俺の顔を覗き込んでくる。
ああ、流石にぼけっとしすぎたか?

キョン「いえ、大丈夫ですよ」

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 17:10:15.02 ID:yG1tfAnoO

上級生「本当かい?」

キョン「ええ。今、中で着替えているので、その間追い出されたって訳でして」

上級生は俺の目を覗き込んできた。
近い近い! ちょ、惚れる! 惚れちゃうから!

上級生「嘘じゃないみたいだねっ」

上級生はそう言うと、手を振って去っていった。
危なかった。あと数秒遅かったら確実に惚れていた……。

ハルヒ「入っていいわよー!」

キョン「おう」

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 17:16:19.05 ID:yG1tfAnoO

部室のドアを開けると、そこにはメイドがいた。

ハルヒ「ちょっとキョン! 鼻血鼻血!」

長門「…………」

俺は長門が差し出してくれたティッシュを鼻に詰める。
毎度毎度、すまないな長門。

古泉「うう……」

キョン「古泉」

古泉は涙目でこっちを見る。
クソ、なんで俺はこんな時にデジカメを持ってないんだ!

古泉「何でしょう」

キョン「似合ってるぞ」

古泉「うわーん!」

何故か古泉は泣き出してしまった。
結局、この日は古泉が泣き止む事はなく部活は終了となった。

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 17:25:04.13 ID:yG1tfAnoO

谷口「なあキョン」

キョン「なんだよ」

谷口「お前らの部活に、あの古泉が入ったって本当か?」

キョン「本当だが」

しかもメイド服だ、とは言わなかった。
そんな事をしたらこいつもSOS団に入るとか言い出しかねんからな。

谷口「俺もお前らの部活に」

キョン「却下だ」

谷口「そんなー」

国木田「まあ元気だしなよ、谷口」

谷口「国木田……」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 17:31:11.84 ID:yG1tfAnoO

国木田「それにしても、キョン」

キョン「なんだ?」

国木田「古泉君って本当に男子なのかい?」

谷口「なあ、本当は女だったりしないのか?」

キョン「いいや、あいつは男だ」

キョン「正真正銘、本物の男だ」

そう。
誰よりも俺がその事を知っている。

何故なら。
俺は見てしまったんだ。
男子トイレで用を足す古泉と、そのビッグマグナムを。

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 17:40:26.75 ID:yG1tfAnoO

部室に入ると、古泉がメイド服に着替えている所だった。

古泉「おや。こんにちは」

キョン「すまんっ!」

俺は急いで部室を出る。
まあ、なんだ。
いくら男だと分かっていても割り切れるもんじゃあないらしい。

ハルヒ「あら、何で入らないのよキョン」

キョン「ん、ああ。古泉が着替え中でな」

ハルヒ「ふーん」

そう言うと、部室に入っていくハルヒ。
……は?

古泉「え? ちょ」

ハルヒ「古泉君の制服借りるわよ!」

どうやらまだ暫くは部室に入れないらしい。

34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 17:46:17.04 ID:yG1tfAnoO

部室に入ると、そこは異空間だった。

ハルヒ「ふーん、やっぱり古泉君も男の子なのねー。ぶかぶかだわ」

古泉「はあ……」

メイド服の古泉はまだいい。もう見慣れたしな。
だがハルヒだ。
ぶかぶかな男子の制服を着て、何故か髪型を前髪を上げている。

ハルヒ「オールバックって難しいわね」

キョン「ワックスもなんも無しに出来るもんじゃないからな」

ハルヒ「へえ、そうなの。ま、いいわ。古泉君お茶!」

古泉「はい、ただいま」

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 17:55:14.44 ID:yG1tfAnoO

ハルヒ「で、キョン」

キョン「なんだ?」

ハルヒ「何か言う事はないの?」

は? なんだ、何の事だ。
あれか? この前ハルヒのプリンを食った事か?
それとも長門がハルヒのプリンを食った事か?
それとも長門がハルヒのゼリー食った事か?
それとも長門が……。

ハルヒ「ちょっとキョン、それ本当なの?」

キョン「何の事だ?」

ハルヒ「あんたと有希が私のプリン食べたとか」

しまった。声に出ていたか。
背後から視線を感じ振り向くと、長門がこっちを睨んでいた。
いたのか、長門。

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 18:00:42.74 ID:yG1tfAnoO

ハルヒ「って、そんな事はどうでもいいわ! あ、やっぱり良くないけど!」

ハルヒ「この格好見て何かないかって言ってんのよ!」

ハルヒは顔を赤くしてまくし立てる。
しかしなあ。何かと言われても。

キョン「うーむ」

ハルヒ「…………」

長門「…………」

古泉「お茶が入りました」

キョン「ぶかぶかだな」

ハルヒは湯のみをひっつかみ、お茶を一気に飲み込んで立ち上がった。

ハルヒ「帰る!」

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 18:06:35.34 ID:yG1tfAnoO

おい待て、それは古泉の制服だぞ。
そんな事を言う暇もなく、ハルヒは走って出て行ってしまった。

キョン「なんなんだ、一体」

古泉「僕の制服……」

突然、ガツンとした衝撃が頭に走る。
振り向くと、長門が手に持ったハードカバーを振り下ろした所だった。
そりゃあ痛いわけだぜ。

キョン「長門? プリンの事ハルヒにバラしたの怒ってるのか?」

長門「…………」

長門は俺に本を押し付けると出て行った。
貸してくれるって事なのか?

古泉「僕もバイトが……」

こうしてこの日の部活は終了となった。

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 18:14:06.99 ID:yG1tfAnoO

長門から借りた本に挟んであったしおりには、公園に来るように書いてあった。

めんどくさいが行くしかないか。

キョン「ちょっと出掛けてくる」

妹「遅くならないうちに帰ってくるのよー」

キョン「へいへい」

まだ小学五年生だってのになんだってしっかりしてるんだ、俺の妹は。
多分俺よりしっかりしてるだろうな。

自転車に跨り、公園を目指す。
さて、一体何の用なんだろうな。

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 18:19:25.18 ID:yG1tfAnoO

朝倉「お茶で良かった?」

キョン「あ、はい」

俺は今、何故か長門の家に居て、さらに何故か朝倉にお茶を出してもらっていた。
家主の長門は、俺の向かい側で黙々と本を読んでいる。
おい、呼び出したのはお前じゃないか。何か用があるんだろう?

朝倉「はい、どうぞ」

キョン「あ、どうも」

朝倉「それで、キョン君。長門さんからはどこまで聞いたの」

キョン「いや、何にも」

44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 18:24:43.96 ID:yG1tfAnoO

朝倉「え? ちょっと長門さん?」

長門「…………」

長門は本から顔を上げない。
むしろ、やることやったんだから後はお前に任せた、って感じのオーラが出ているように見える。

朝倉「まったく……仕方ないわね」

キョン「あ、なんか都合悪いなら今日は……」

朝倉「キョン君」

キョン「はい!」

朝倉「涼宮さんの事なんだけど……」

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 18:31:02.65 ID:yG1tfAnoO

朝倉からされた説明はこうだ。

涼宮ハルヒは普通の人間ではない。
涼宮ハルヒは情報爆発とやらを起こす、進化の可能性なんだそうだ。
で、長門と朝倉はそれを観測しにきた宇宙人。
正しくは、情報統合思念体とやらに作られた、対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェースなんだそうだ。
あと、トリコロの作者のサイトでなんだか不穏な事が書いてあり、情報統合思念体としてはそれも見逃せない事の一つなんだそうだが、それは今は関係ない。

キョン「そんな……」

普通なら信じられる事ではない。
だが、目の前で朝倉がスプーンを砂に変えてしまっては信じるしかないだろう。

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 18:36:44.99 ID:yG1tfAnoO

朝倉「信じてくれたかしら?」

キョン「ああ」

朝倉「良かった。……長門さんってば本当に何もしてないのね」

キョン「そんな事はないぞ」

長門「…………」

長門が俺を見る。
任せとけ。ちゃんとフォローしといてやるさ。

キョン「長門は昨日もハルヒのコーヒーゼリーを食ってたぞ」

朝倉「長門さん!?」

長門「…………」

目の前に飛んでくるハードカバー。
そいつはやすやすと俺の意識を刈り取っていった。

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 18:40:17.71 ID:yG1tfAnoO

週末。
俺は不思議探索とかいう事で街に出掛けていた。

ハルヒ「キョン、有希」

キョン「なんだ」

長門「…………」

ハルヒ「プリンの分返してもらうからね」

ハルヒはそう言って喫茶店に入っていく。
つまりあれか?
俺達が奢れって事か?

ハルヒ「早くしなさい!」

やれやれ。

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 18:45:03.54 ID:yG1tfAnoO

ハルヒ「さ、くじ引きするわよ!」

古泉「印有りですね」

長門「…………」

長門は印なしか。
つうか長門。
財布忘れるとかワザとだろ?

ハルヒ「私は印無しね……」

キョン「印有りだな」

ハルヒ「それじゃあ散開! 遊びじゃないんだからね!」

キョン「はいはい」

古泉「それじゃあ行きましょうか」

キョン「そうだな」

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 18:57:19.38 ID:yG1tfAnoO

適当に歩いて来たが、よく考えたら目的地があるわけでもないな。
どうするか。

古泉「まあこうやってのんびり歩くのもいいじゃありませんか」

キョン「うむ、まあ確かに」

こうやって、のんびりと川沿いを古泉と歩く。
慌ただしさもなく、久々にゆったりと出来るのはいいかもしれん。
これで古泉が男装してなきゃ最高だったんだがな。
いやいや、古泉は男、そう、男なんだ。

古泉「おや、ベンチがありますね。どうです? 一休みでも」

キョン「お、おう」

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 19:04:57.52 ID:yG1tfAnoO

古泉「あなたに話さなければいけない事があります」

何だ、いきなり。
まさか、実はあのビッグマグナムは偽物で本当は女だとか?

古泉「僕は普通の人間ではありません」

古泉「僕は超能力者です」

キョン「はい?」

つまり、古泉も長門達と似たようなものらしい。

涼宮ハルヒは神様で、自分の願望を叶えられる力を持つらしい。しかし、本人はそれを自覚していない。
古泉達はハルヒに力を与えられた超能力者で、その能力は今度見せてくれるそうだ。
で、超能力者達もトリコロの事は気になっているらしい。雑誌を移籍しなければ、アニメ化していたのはひだまりスケッチではなくトリコロの方だった、とまで言っている。
それには俺も同感だ。しかし、今はそれは関係ない。

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 19:09:34.90 ID:yG1tfAnoO

古泉とトリコロについて熱く語っていると、ハルヒから電話がかかってきた。

ハルヒ「どこで何やってんのよ! もう時間よ!」

古泉「おや、もうこんな時間ですか」

キョン「戻るか」

古泉「ですね」

先を行く古泉の後ろ姿を見て、俺はこう思った。
古泉にハイエナの耳と尻尾付けてえなあ、と。

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 19:13:46.59 ID:yG1tfAnoO

ハルヒ「さ、午後の班決めよ!」

くじを引いた結果、俺は長門とペアになった。
ハルヒは何故かくじを睨みつけている。
なんなんだ、一体。

ハルヒ「デートじゃないんだからね! 真面目にやりなさいよ!」

へいへい。

キョン「で、長門はどこに行きたい?」

長門「…………」

またもや無言。
そう言えば、俺こいつの声聞いた事ないぞ?

長門「…………」

キョン「…………」

長門「…………」

キョン「……図書館でも行くか」

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 19:19:58.92 ID:yG1tfAnoO

週明けの月曜日。
学校に着いたとたん、俺は朝倉に問い詰められた。

朝倉「週末、何もなかったでしょうね!?」

キョン「朝倉?」

朝倉「見たって人がいるのよ。あなたと長門さんが二人で歩いてる所を」

ああ、なんだ。不思議探索の事か。
まあ確かに誰かに見られててもおかしくはないだろうけどな。

朝倉「長門さんに聞いても何も答えてくれないし……何にもしてないでしょうね!?」

キョン「は、はい」

怖いよ朝倉さん。

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 19:24:58.20 ID:yG1tfAnoO

谷口「おー、なんだキョン!」

助かった。
この空気をなんとかしてくれ、谷口!

谷口「朝倉にまで手ェ出してんのか? 週末は古泉とデートしてたくせによ!」

キョン「F〇ck!」

なんて事言いやがる、このド腐れ野郎!

朝倉「あ、なんだそうだったの」

はい?
なんでそんないい笑顔してらっしゃるんですか、朝倉さん。

朝倉「あら、涼宮さん。おはよう」

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 19:29:26.21 ID:yG1tfAnoO

ハルヒ「…………」

ハルヒは何が気にくわないのか、無言で席に付く。
一体どうしたんだ、今日は。

朝倉「あ、じゃあ私そろそろ……」

谷口「wawawa」

逃げやがった。
二人とも、覚えてやがれ。

ハルヒ「……何よ……古泉君ならまだしも朝倉なの……?」

キョン「ん? 何か言ったか?」

ハルヒ「うるさい!」

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 19:30:11.76 ID:yG1tfAnoO

一休み

飯食います

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 19:55:41.31 ID:yG1tfAnoO

その日の部活が終わり、帰り道を歩いていると。

古泉「ちょっとお時間よろしいでしょうか」

キョン「なんだ、古泉?」

古泉「僕の超能力をお見せしようかと思いまして」

そう言うと、古泉は黒塗りの車のドアを開け、俺を呼ぶ。

古泉「さ、どうぞ」

正直言って、怪しさ抜群だが、乗らないわけにもいくまい。

キョン「どこに行くんだ?」

古泉「その内分かりますよ」

72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 20:03:34.72 ID:yG1tfAnoO

車を降り、古泉に案内されて来たのは変哲もない交差点だった。

古泉「涼宮ハルヒが不機嫌になると、異空間を作り出します。我々はそれを閉鎖空間と呼んでいます」

キョン「ほう」

古泉「それが、今日、この時間この場所に発生するのです。何故か、と問われても分かってしまうとしか言えません」

キョン「なるほど」

古泉「さ、行きましょう。失礼します」

古泉が俺の手を握る。
男にしては小さく、少しひんやりとした手だな。

古泉「男同士で手をつなぐなんて嫌かもしれませんが、我慢していただけますか?」

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 20:10:25.65 ID:yG1tfAnoO

我慢なんてとんでもない。
こうして手を繋ぐ事があるなんて思いもしなかったがな。

キョン「気にするな。別に友人と手をつなぐなんて普通の事だろう?」

古泉「ははは、そう言って頂けると救われます」

古泉と手をつなぎ、交差点の真ん中まで歩いていく。
何やらおかしな感じがしたと思ったら、そこはもう俺達の世界じゃなかった。

古泉「ようこそ、閉鎖空間へ」




谷口「あ、涼宮か? wa〜切るな切るな! そんな事よりもよ、キョンが古泉と手ェ繋いでたぜ?」

谷口「……涼宮? お〜い」

谷口「っかしーな、圏外にでもなったか?」

74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 20:16:01.70 ID:yG1tfAnoO

閉鎖空間では神人とかいう化け物が暴れていた。
なんでも、ハルヒの破壊衝動の塊なんだそうだ。
で、古泉はというと。

キョン「似合ってるぞ、その格好」

古泉「気持ち悪いだけですよ。男の魔法少女姿なんて」

なんでも、ハルヒの超能力者のイメージが魔法少女らしい。
たしかにさっき見た、ナイスミドルな魔法少女は引いたが、古泉ならアリだな。
ハルヒ、GJ。

古泉「では、そろそろ僕も神人を倒しに行ってきます」

キョン「ああ。ケガするなよ」

古泉は魔法の杖? らしき物に乗って飛んで行った。

79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 20:32:52.18 ID:yG1tfAnoO

ハルヒ「起きなさいよ、このバカキョン!」

キョン「うぇ? ハルヒ?」

なんだ、こりゃ。
俺は部屋で寝てたんじゃなかったか?
どこだよ、ここは。

ハルヒ「学校よ。それより、あんた何か知らないの?」

キョン「いんや、なんも知らん」

ハルヒ「ですよねー」

ハルヒにはそう言ったが、この空間には見覚えがある。
閉鎖空間。
涼宮ハルヒによって作り出される、閉じられた世界。
化け物が跋扈し魔法少女がそれを狩る、その為だけの舞台。

ハルヒ「こんな所に居ても仕方ないわね」

ハルヒ「あんたは部室にいなさい! 私はちょっとそこら辺見てくるから!」

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 20:39:09.25 ID:yG1tfAnoO

言うが早いか、ハルヒは駆け出して行ってしまった。
なんつー行動的なやつだ。
少しは怯えたりしないのかね。

ふと、部室の窓から外を見ると赤い玉が漂って来た。

古泉「かくかくしかじかの」

キョン「まるまるうまうまって事か」

古泉「長門有希と朝倉涼子から伝言があります」

古泉「長門有希からは『白雪姫』と。朝倉涼子からは『眠り姫を起こしてあげて。後谷口は処理しといたから』と」

なにしたんだ、谷口……。

古泉「もう、限界のようです……。……また、会いましょう」

ああ、勿論だ、古泉。

83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 20:43:26.94 ID:yG1tfAnoO

ハルヒ「ちょっとキョン! 外見なさい!」

キョン「なんだよ、ハルヒ!?」

外にはあいつがいた。
青白く光る体、凹凸がない顔。
巨大な体で破壊活動を行う神人がそこにいた。

ハルヒ「ねえ、なにかしらアレ! あんた何か知ってる!?」

キョン「逃げるぞ、ハルヒ!」

俺はハルヒの手を取り、走り出す。
くそ、どうすりゃいいんだ。

84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 20:49:24.26 ID:yG1tfAnoO

ハルヒ「ちょっとキョン!?」

キョン「なんだ! いいから逃げるぞ!」

ハルヒ「なんでよ!」

何言ってるんだ、こいつは。
あんな化け物に襲われたらイチコロだろうが。
そうでなくとも瓦礫に押しつぶされてもお終いだ。

ハルヒ「私、アレが悪い奴には思えないのよ」

そりゃそうだ。
もともとはアレもお前が作り出したんだからな。

ハルヒ「それに、ここから逃げてどうするの? またあの退屈な世界に逆戻り? 嫌よそんなの」

85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 20:54:52.05 ID:yG1tfAnoO

キョン「ハルヒ……」

ハルヒ「宇宙人もいない、超能力者もいない! トリコロは休載してばっかり!」

ハルヒ「もう嫌なのよ! 待っててもどうにもならない! 自分から行動してもどうしようもない!」

ハルヒ「そんな世界、私は嫌なの!」

そうか、こいつは……。
こいつは今、嫌な事から逃げてふてくされて寝てるわけだ。
白雪姫、眠り姫。そういう事かい。

キョン「ハルヒ」

ハルヒ「何よ!」

86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 21:00:44.71 ID:yG1tfAnoO

キョン「元の世界に帰ろう」

ハルヒ「は?」

キョン「お前は長門の声を聞いた事はあるか? 俺は無い」

キョン「古泉にメイド服以外を着せるのもいいじゃないか」

キョン「それに、宇宙人やら超能力者やらも、お前が気付いて無いだけで近くにいるのかもしれないぞ」

ハルヒ「キョン?」

キョン「それとな、ハルヒ」

キョン「トリコロは今月の大王には掲載予定らしい。俺は絶対にそれを読みたい」

キョン「だから、帰るぞ」

そう言って俺はハルヒの唇を塞ぐ。
白雪姫、眠り姫。
これでいいんだろう?

87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 21:05:22.02 ID:yG1tfAnoO

気づいたら俺は自分のベッドの上だった。

……なんつー夢みてんだ畜生!
フロイト先生も爆笑だっぜ!


俺は朝まで寝る事が出来なかった。




国木田「お早う、キョン。……どうしたのさ、ひどい顔だよ」

キョン「おう、国木田。まあちょっと、な」

国木田「そう。それより聞いた? 谷口がキャナダに転校したんだって」

キョン「は?」

国木田「いきなりだもんね。何か言ってってもいいのにさ」

谷口……本当にお前は何をしたんだ。

88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 21:08:10.20 ID:yG1tfAnoO

教室に付くと、そこにはハルヒがいた。

ふうむ、ツインテールね。

キョン「よう、ハルヒ」

ハルヒ「あによ、キョン」

キョン「いや、なんか期限悪そうだからな」

ハルヒ「ふん、嫌な夢見たのよ」

キョン「そうかい。……ハルヒ」

キョン「それ、似合ってるぞ」

89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 21:13:17.69 ID:yG1tfAnoO

長門「…………」

部室に行くと、そこには長門と朝倉がいた。

朝倉「お疲れ様、キョン君」

朝倉「あなたは二時間15分この世界から消失していたわ」

キョン「そうか。……アドバイス、ありがとうな二人とも」

長門「別に、いい」

朝倉「え?」

キョン「長門?」

まさか、今のが長門の……?

長門「…………」

長門は素知らぬ振りで本へと目を落とす。
朝倉はと言うと。

朝倉「ど、どうしよう、キョン君! お赤飯? お赤飯炊いた方がいいの?」

キョン「落ち着け朝倉! 取り敢えずはケーキの準備だ!」

92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 21:20:58.70 ID:yG1tfAnoO

古泉「ありがとうございました。あなたのおかげで世界は救われた」

古泉は頭を下げる。

キョン「よせよ。俺は大した事はしちゃいないさ」

古泉「ですが、あなたが世界を救ったのは事実です」

俺は古泉を見て考える。
こいつは今まで、一体何度世界を救って来たのだろう。
この、華奢な体で。
誰にも感謝もされず、ただ必死に闘って。

キョン「古泉。今回の事でお前の苦労が分かったよ。世界を守ってくれてて、ありがとうな」

古泉は顔を上げる。
それは今まで見たこともないような笑顔で。
俺はそれに目を奪われてしまった。


終わり

95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 21:24:16.06 ID:yG1tfAnoO

みくる「今回本当に出番が無かった……」

長門「私も……」

みくる「長門しゃんはいいでしゅよ、出番があっただけでも」

みくる「ましゃか描写すら無いとは思いましぇんでしゅた」

みくる「は、ははははははは」

長門「うふふふふふふ」



終わり

96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 21:29:04.66 ID:yG1tfAnoO

お疲れ様でした

取り敢えずこれで、
ハルヒ「ごきげんよう…」
からの神様ルート、宇宙人ルート、未来人ルート、超能力者ルートが終わりました

もう憂鬱ベースになんて書かないよ!

次回は、お嬢様ハルヒとかターミネーターみくるとかその辺を集合させたやつ書きたいかなあとか考えてます


予定は未定ですが

朝倉は俺の嫁
パイナポゥでした

100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 21:43:45.79 ID:yG1tfAnoO

ハルヒ「暇ねえ……」

うららかな春の午後、部室で暇をつぶしていると、ハルヒがそんな事を言い出した。

キョン「暇な事はいい事じゃないか。無駄に忙しくて休む暇もないよりマシだ」

ハルヒ「そんな事言ってるんじゃないのよ、バカキョン」

ハルヒ「そうだ、古泉君!」

古泉「はい、なんでしょう」

ハルヒ「女装しなさい!」




時間が止まった。
何考えてるんだ、こいつは。
古泉が女装なんかしても気持ち悪いだけだろうが。

101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 21:49:48.42 ID:yG1tfAnoO

キョン「何言ってるんだお前は」

ハルヒ「いいじゃない! 昨日そんなかんじの夢見たのよ!」

古泉「夢、ですか?」

ハルヒ「そう! 古泉君が魔法少女で、でっかい化け物と戦う夢!」

みくる「なんでしゅか、しょれ……」

長門「きも……」

キョン「ハルヒ、常識で物を考えろ。魔法『少女』だぞ? 男じゃ少女じゃあないだろう」

ハルヒ「うっさい!」

ハルヒは顔を真っ赤にしてマッハ突きを繰り出してくる。
ああ、壁にめり込むの何回目だっけかなあ……。

102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 21:54:44.68 ID:yG1tfAnoO

ハルヒ「で、古泉君!」

古泉「は、ははは」

ハルヒ「ここに衣装があるんだけど」

古泉「あの……」

ハルヒ「何かしら?」

古泉「今日はバイトがあるのでこれで!」

古泉が振り返り、ダッシュする。
あんな引きつった笑顔の古泉なんて初めて見たな。

ハルヒ「逃がさないわよ!」

ハルヒがどこからともなく出てきた紐を引くと、何故か天井から檻が降ってきた。
いや、おかしいだろ。
どこにんなスペースがあるんだ。

103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 21:59:13.84 ID:yG1tfAnoO

古泉「だ、出せ! 出してくれえ!」

ハルヒ「あら、いいのよ、すぐに出してあげても」

ハルヒが笑顔で古泉に近付く。
その手には魔法少女の衣装を抱えながら。

ハルヒ「これに着替えてくれるなら、ね」

古泉「うわあああああ!」

キョン「おい、ハルヒ!」

ハルヒ「何よ、バカキョン」

キョン「古泉が嫌がってるだろ、やめてやれよ」

ハルヒ「ならあんたがコレ着る?」

キョン「すまん、古泉」

古泉「ちくしょおおおお!」

105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 22:02:23.15 ID:yG1tfAnoO

みくる「あのー、しゅじゅみやしゃん」

ハルヒ「何、みくるちゃん」

みくる「古泉君も嫌がってましゅし、やめた方が」

ハルヒ「みくるちゃんまでそんな事言うの?」

みくる「だって……」

長門「私も朝比奈みくると同意見」

ハルヒ「有希まで……」

みくる「わたしたちは」

長門「はみ出るすね毛が見たくないだけ」

106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 22:08:31.05 ID:yG1tfAnoO

キョン「す」

ハルヒ「すね、毛?」

古泉「出せぇぇぇ!」

長門「そう、すね毛」

みくる「考えてもみてくだしゃい」

みくる「魔法少女の衣装といったらミニスカが基本なんでしゅよ?」

長門「そこから伸びる脚。びっしり生えているもも毛とすね毛」

みくる「おぞましいにも程がありましゅ」

想像してみよう。
そこで泣きわめいている、似非スマイルな優男。
それが、すね毛丸出しでミニスカを履いていたら……。
勿論衣装はピンクが基本、手には謎のステッキが……。

古泉(魔法少女)『魔法少女イツキンさんじょー!』

うげえ。
なんだこのクリーチャー。

107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 22:12:47.38 ID:yG1tfAnoO

ハルヒ「…………」

ハルヒも俯いて震えている。
そりゃあそうだ。
んなキショいもん見たくもないもんな。

みくる「しゅじゅみやしゃん……」

キョン「ハルヒ……」

古泉「涼宮さん……ほら、やっぱり見たくないですよね? 早くここから僕を出して……」

ハルヒ「いい!」

はい?
ハルヒさん?

ハルヒ「いいじゃない! それ! 新しい、新しいわよ!」

うっわ、すっげえいい笑顔。

111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 22:19:39.81 ID:yG1tfAnoO

ハルヒ「みくるちゃん! 有希!」

みくる「ひゃい!」

長門「何」

ハルヒ「古泉君を押さえつけなさい! 無理矢理にでも着せ替えるわ!」

古泉「そんな……」

古泉はもはや抵抗する気力もないようだ。
朝比奈さんと長門に抱えられ、力なく笑っている。

ハルヒ「さあ覚悟しなさい古泉君!」

さらば古泉、フォーエバー。

112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 22:25:48.96 ID:yG1tfAnoO

その日の部活は、魔法少女になった古泉の撮影会で終わった。
朝比奈さんの言った通り、すね毛が生えまくっている魔法少女は最悪の一言に尽きるな。

最初こそ抵抗していた古泉も撮影が進むにつれ、キチンとポーズを取るようになっていった。
乾いた笑い声と光の無くなった瞳が気になったが、仕方のない事なのだろう。

俺も止めてやりたかったが、壁に埋まっていては何も出来ない。
結局、撮影が終わるまで見ている事しか出来なかった。



だが、悪夢はコレで終わりじゃ無かったんだ。

113 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 22:30:49.61 ID:yG1tfAnoO

古泉「起きて下さい」

キョン「あと五年……」

古泉「どれだけ寝るつもりですか」

キョン「ぅぇ?」

古泉「おはようございます」

目を覚ましたらそこは見覚えの無い空間で、目の前には古泉がいた。

魔法少女姿で。


キョン「なんだお前、ついに変態になったのか」

古泉「違いますよ。これも涼宮さんのせいです」

キョン「ハルヒの?」

114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 22:34:48.58 ID:yG1tfAnoO

新川「そうなのでございます」

渋い声に振り向いたら、そこには新川さんがいた。
魔法少女姿で。

キョン「うぉぇええ」

古泉「大丈夫ですか?」

キョン「逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ」

新川「どうしました?」

キョン「うぷ」

古泉「げえ……新川さん、すいませんが、あちらへ」

新川「ふむ、分かりました」

キョン「う……古泉」

古泉「はい」

キョン「なんだ、あのクリーチャーは」

古泉「新川さんです」

116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 22:41:24.90 ID:yG1tfAnoO

キョン「どういう事だ」

古泉「涼宮さんのせいですよ」

古泉「涼宮さんが、すね毛の魔法少女がありだと思った」

古泉「だから、魔法少女に近い我々超能力者がこのような姿になってしまった」

キョン「なんてこった……」

古泉「問題は新川さんです。あの年齢であんな姿に……」

キョン「くっ……」

古泉「これは一種の悲劇ですよ」

117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 22:45:18.18 ID:yG1tfAnoO

キョン「それで、なんで俺はここにいるんだ?」

古泉「…………」

キョン「古泉?」



古泉「ついかっとなって連れてきた。反省はしていない」

キョン「てめえ!」

古泉「あのクリーチャーに耐えられないんですよ! 道連れは多い方がいい!」

キョン「だからって俺を道連れにするな!」

新川「どうしました?」

キョン「うえええええ」

古泉「おろろろろろろ」





終わり

120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/25(土) 22:48:36.49 ID:yG1tfAnoO

本当になんだコレ

んじゃまた



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