佐々木「たまには藤原と九陽のSSでもどうだい?」


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4 名前:IDにSS どうでもいい[] 投稿日:2009/04/14(火) 20:18:33.24 ID:Ygy2Q5SSO

駅前にある喫茶店。

四人の会合とは既に名ばかりで、対面に座る橘京子と佐々木の親睦会と呼んだほうが相応しい。
他愛ない会話を続ける二人を横目に、頬杖を突いて外を眺めているのは藤原だった。

『ふん、くだらない』

直接観測者としての義務が煩わしいと感じていた。

――さて、この退屈で無意味な時間を如何に過ごそうか――

窓越しに見る外の風景に飽きるのに数分もかからず、店内に目を戻した。

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/14(火) 20:20:13.19 ID:Ygy2Q5SSO

会話を楽しむ橘京子と佐々木。

その二人と対称的に、無言のまま人形のよう表情を変えずじっと座っている少女をなんとなく見つめた。

周防九曜。

広帯域宇宙存在『天蓋領域』から遣わせられたTFEI端末――改変に気付かず、光陽園学院の生徒になり、『鍵』と間違えて谷口とか言うアホな現地民と付き合っていたと言う噂があるが本当か――?

等とくだらない事を考えていた藤原だが、ふいに九曜が取った行動に目を奪われた。




九曜は先程受け取ったばかりの、まだ湯気の立っている熱い紅茶を口を付けると、音も発てずに一瞬で空にして見せた。

口に含んでいる様子も、紅茶を飲み込む喉の動きも感じられない。

そして空にした陶器のティーカップを無音のままソーサーに戻した。何事も無かったように。

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/14(火) 20:21:44.79 ID:Ygy2Q5SSO

――本当に飲んだのか?
藤原は瞬間的に頭に浮かんだ疑問を、思わずそのまま周防九曜に問い掛けた。

「九曜、ちゃんと飲んだのか?味はどうだ?」

「――味覚は――好む――」

「……熱くはなかったか?」

「――液体は――適温――」

「くっくっ」

九曜と藤原のやり取りをが聞こえたのか、佐々木が笑い声を漏らした。

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/14(火) 20:23:14.03 ID:Ygy2Q5SSO

「彼女はそうやって『水分を摂取』するらしい。僕も初めて見た時は驚いたがね。慣れれば気に止める事でも無いよ。
彼女なりに『観測を最優先としているので食事等には時間をかけれない』とでも考えているんじゃないかな?」

確かに周防九曜は人間では無い。人間に似た別の存在。

ふん、気にするだけ無駄か――


いや


まてよ


人間に似せた存在か


ふっくっくっ


禁則事項には該当していない。


試して見る価値はあるな。




退屈しのぎの遊びを思い付いた藤原は、周防九曜を見つめながらつい口元が緩んだ。

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/14(火) 20:24:22.64 ID:Ygy2Q5SSO

「少し席を離れる」

「急用?」

橘京子が席を立った藤原問いかける。

「何、大した事ではない。直ぐに戻る。すまないが少し待っててくれないか?」

そう言って席を離れ、外に向かうふりをしながら店内を見渡す。

ふん、あいつでいいか。

藤原は若い男性店員を呼び止めた。

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/14(火) 20:26:11.17 ID:Ygy2Q5SSO

「少し頼み事がある」

「どのようなご用件でしょうか?」

「個人的な事だ。そうだな……『どこぞの道楽息子による暇潰し』とでも考えていただこうか」

そう言って男性店員の手を掴むと、一ヶ月分の給与に相当するであろう金額を、周囲に見えないよう無理矢理握りしめさせた。

「お、お客様……!?」

困惑する男性店員に藤原は笑みを浮かべながら耳打ちした。



「…………というちょっとした悪戯さ。
聞いての通り、君の協力が必要だ。わかるだろう?ふっくっくっ」

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/14(火) 20:31:13.58 ID:Ygy2Q5SSO

戸惑う素振りを見せる男性店員に藤原は続けた。

「報酬の金額を考えれば、僕が特別な立場にある者と安易に推測出来るだろう?案ずるな。もしもの時は責任は取ろう」

男性店員は少し考えるようにした後、藤原に営業的ではない笑みを返した。

「かしこまりました、お客様」

そう言って金を受け取ると他の店員の元へ向かい、一頻り相談した後で店を出て行った。

――さて、僕も外で待つか。

チラリと後ろを見て、話に夢中の二人と人形のように座る周防九曜の姿を確認し、店を出た。

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/14(火) 20:32:56.14 ID:Ygy2Q5SSO



「お待たせしました」

店頭で待っていた藤原の元に、向かい側にある酒屋から急ぎ足で息を切らしながら来た男性店員は、『スピリタス』という商品名を緑色の文字で描かれている小瓶を見せた。

「では、僕は席に戻る。後は手筈通りにな」

「かしこまりました」

深々と頭を下げたのは、営業的な物なのか本心なのか。

臨時ボーナスが手に入った男性店員は、意気揚々と店内に戻った。





――ふん、それほどまでにあの紙切れに価値があるのか。現地民の考える事は時折理解の範疇を超えるな。


店員を卑下しながら藤原も店内に戻った。

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/14(火) 20:36:03.66 ID:Ygy2Q5SSO

「何をしてきたの?フフッ、藤原君の返答を当てて見せようか?」

席に着いた藤原に、ちょっとした悪戯心を持った幼い子供のような笑顔で橘京子が頬杖をついて呟いた。

「ふふん、禁則事項、だ」

藤原の口調を真似た橘京子を見て、くっくっと佐々木が笑いを堪える。

そのまま橘京子は少し芝居じみた口調で、

「紅茶が冷めるまでうら若き三人の女性を待たせて、詫びの一つもよこさず着席するなんて。それが藤原君の本来存在すべき時代における一般男性のマナーとなっているのかしら?だとしたら私は未来を変えるべく、行動を起こさなければいけなくなるけど?」

と微笑を浮かべながら、返答をどうぞと言わんばかりに手のひらを向けた。

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/14(火) 20:37:49.73 ID:Ygy2Q5SSO

「ふん、回りくどい言い方をするな……遅くなってすまなかったな。今日の支払いは僕が持とう。好きな物を頼むといい。変わりの飲み物でも何でもな」


藤原は橘京子にメニューを手渡した。


藤原は、自然に笑みを浮かべながら、注文を選ぶ橘京子と佐々木を見ていた。

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/14(火) 20:41:07.65 ID:Ygy2Q5SSO



「九曜も何か頼む?」

「私は――水分だけを――望む――」

「じゃあさっきと同じ」

「九曜」

藤原が割って入った。

「このレモンソーダとかどうだ?透明なグラスで先程のように飲んで見せてくれないか?勿論、ストローを使わずにな」

くっくっと佐々木が笑う。

「それは僕も興味があるね」

「それで――構わない――」

「藤原君は珈琲でいいでしょ?」

ああ、とだけ頷いた。

「じゃあ決まりね。あ、すいません」

橘京子は店員を呼び止め注文を伝えた。

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/14(火) 20:43:46.69 ID:Ygy2Q5SSO



「お待たせ致しました。ケーキセットで御座います」

あの男性店員が、卓上にケーキセットを二つ並べた。


――橘京子は苺のショートケーキ、佐々木はモンブランか。ふん、どうでもいい、それより今は。


「お飲物をお待ちのお客様」

男性店員は藤原の前に珈琲を置きながら目で合図し、周防九曜にグラス一杯に注がれた『スピリタス』を置いた。

――さて、どうなるかな。

どうぞごゆっくりと会釈した男性店員をよそに、藤原は周防九曜の動向を観察するようにじっと見ていた。




『スピリタス』と呼ばれるアルコール度数96度のウォッカ注がれたグラスだとは露知らず。
周防九曜はそれを手に取ると少し匂いを気にするような顔をしたが、そのまま先程と同じように一瞬で体内に摂取した。

21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/14(火) 20:46:27.52 ID:Ygy2Q5SSO

一瞬でグラスから消え去る様を見て、佐々木が冗談っぽく呟いた。

「くっく、まるで手品のようだ。僕も今度練習でも……」

「――ひうっ――」

「九曜?」

見る見る内に周防九曜の顔が紅潮していき、

「―――みゃ」

と小猫の鳴き声みたいな声を出してガクッと項垂れた。

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/14(火) 20:51:01.91 ID:Ygy2Q5SSO

「ちょっと、九曜さんどうしたの?大丈夫?」

心配そうに声をかける橘京子をよそに、佐々木は空になったグラスを手に取って調べ始めた。

「この匂い……君か。こんな幼稚な悪戯をするとはね。心外だよ」

グラスを手に佐々木は藤原を見た。

ふっくっくっ、と笑い、いつもより肩を大きく揺らしている。

「ちょっとした実験だ。TFEI端末に純度に近いアルコールを摂取させるとどうなるか。佐々木も知的探求心をそそられないか?」

「そう言うのを幼稚だと僕は……九曜?」


26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/14(火) 20:53:49.54 ID:Ygy2Q5SSO

>>25

項垂れていたはずの周防九曜が消えていた。

しかし次の瞬間、

「うお」

藤原におんぶをしてもらうように後ろから腕を回し、抱き付いている周防九曜の姿があった。

一瞬の出来事に驚いた藤原は、

「よせ、九曜。冗談が過ぎた。素直に謝罪しよう。だから離れてくれないか?」

「うふ―――」

藤原の左耳を周防九曜は小さい舌でペロッと舐めた。

「うっ……ちょっと待て九曜!いきなり何をする!」

「―――ちゃん」

「は?」

「『くーちゃん』と――呼んで――」

ゲホッと佐々木が咳き込んだ。

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/14(火) 20:55:12.31 ID:Ygy2Q5SSO

「何がくーちゃんだ九曜……くっ……!
悪かった、悪かったから耳を舐めるのをヤメロ!」

普段の冷静さの欠片も無く周防九曜を引き剥がそうと暴れる藤原を見て、

「くっくっ、実験結果は満足の行く物となったかい?」

と唇を歪ませて佐々木が笑いだした。

状況を理解した橘京子もクスクス笑いながら、

「藤原君って耳がウィークポイントなのかしら?九曜、もっと舐めちゃっていいわよ」

「――くーちゃん――」

「ああ、そうね。くーちゃん、藤原君が悪いからいじめちゃっていいわ」

「はあ――い――」



28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/14(火) 20:57:30.19 ID:Ygy2Q5SSO

「九曜いや、くーちゃん!頼むから離れてくれ!」

「やらあ―――はむ――」

藤原の耳たぶを小さい唇で噛みだす周防九曜。

「くっ……うっ……おい、佐々木、橘!」

細かく震え赤面で懇願する藤原。

「自業自得ね」

「くっくっ、まあ、このままじゃ確かに周囲に迷惑だね」

佐々木は店内を見渡しながら

「ええと、くーちゃん、そろそろ藤原君から離れてくれないか?」

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/14(火) 21:03:04.73 ID:Ygy2Q5SSO

解放された藤原は下を俯き、左耳を押さえながら肩で息をしていた。

橘京子はそれを見てクスクス笑いながら、

「『くーちゃん』って誰かが呼んでたの?それとも、そう呼ばれたかったのかしら?」

「谷口が――そう――呼んでた――くーちゃん――お気に入り――」

「谷口って?」

「九曜が何故か付き合っていた北高の生徒よ佐々木さん。12月頃だったかしら?
クリスマス前に破局したらしいけどね」

「みみを――なめる――おとこのこ――喜ぶ――谷口が――教えて――くれた――」



よし、谷口を殺そう。
藤原は決意した。

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/14(火) 21:05:51.43 ID:Ygy2Q5SSO

補足みたいなもの

消失の時の谷口の彼女は周防九曜説を元に妄想。

長門が改変したと気付かずに、ハルヒがいると勘違いして光陽園に。

そしてキョンと谷口を勘違いして付き合ったって説。

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/14(火) 21:07:39.10 ID:Ygy2Q5SSO

橘京子と佐々木は暫く周防九曜を観察していた。

機械的な声だが、真っ赤な顔で表情豊かに話す周防九曜。

「ケラ――ケラ――ケラ――ケラ――」

「これは笑い声なのだろうか?」

「そうだと思います佐々木さん。「ケラ」って直接言ってますけど」

「う――ふ――ふ――」

「これもかな」

「だと思います。笑顔ですし」

ゆらゆら揺れながら虚ろな目で、周防九曜が橘京子と佐々木を笑顔で見つめていた。

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/14(火) 21:11:17.96 ID:Ygy2Q5SSO

「くっくっ、笑い上戸のようだね。くーちゃんは」

「橘京子――あなたは――」

ふいに周防九曜が笑顔で橘京子に喋り出した。

「なあに?くーちゃん?」

「佐々木が――好き――」

「へ?」

「くーちゃんは――心が――読める――佐々木と――肉体関係を――望んでいる――」

「なな何を言ってるの!酔ってるからって言っていい冗談と悪い冗談が……って佐々木さんも藤原君も何でそんな目で私を見てるんですか!?違いますから!私はそんな趣味ありませんから!」

「ケラ――ケラ――ケラ――ケラ――」

赤面で弁明し始めた橘京子を、佐々木と藤原は冷めた目で見ていた。

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/14(火) 21:14:34.98 ID:Ygy2Q5SSO

「ううっ……私は男性が好きです!レズじゃないです!ノーマルです!百合とか興味ないです!佐々木さんは信じてくれますよね!?」

「え?あ、その」

佐々木は少し困ったような顔をした。

「ケラ――ケラ――ケラ――ケラ――」

「くよっくーちゃん!笑わないでくださいよう!冗談だって言ってくれない!?」

周防九曜は笑顔で答えた。

「でも――ざん――ねん――」

「佐々木は――キョンと――呼ばれる――個体に――だかれもがもが」

「黙りなさい」



43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/14(火) 21:18:31.12 ID:Ygy2Q5SSO

周防九曜の口を佐々木が手でふさいだ。

藤原はその佐々木の今まで見た事の無い冷酷な表情に冷や汗をかきながら、

「み、水を貰ってこよう。飲ませばなんとかなるかも知れん」

と逃げるように席を立った。しかし佐々木は冷酷の表情のまま、

「藤原」

――呼び捨て?

「後で覚悟しておくんだね。君は僕を怒らせたようだ」

―――っ!

藤原は自らの行いを後悔しながら、水を貰いに席を離れた。

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/14(火) 21:23:41.98 ID:Ygy2Q5SSO

「まったく、悪意が無いから困るよ。アルコールが抜けるまでどうひゃあんっ!?」

すっとんきょうな声をあげて、佐々木は周防九曜の口を押さえつけていた手を引っ込めた。

「佐々木さん!?」

「指は――舐める――谷口が――教えた――」

「……指は舐めるモノじゃないよ。九曜、少し落ち着いてくれないか」

「くーちゃんと――呼んで――ケラ――ケラ――ケラ――ケラ――」

更に機械的な声で笑う周防九曜の姿に佐々木は頭を抱えた。

「……いいなあ」

橘京子は心の中で呟いたつもりだろうが、佐々木の耳にはしっかりと入っていた。

「……まったく、君たちは……」

はぁ、と頭を抱えながら深い溜め息を佐々木はついた。

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/14(火) 21:30:27.47 ID:Ygy2Q5SSO

さて、どうしたものかと悩む佐々木の目に、ペットボトルを持って走る藤原が飛び込んで来た。

そして、そのままケラケラ笑う周防九曜に

「水だ、飲め」


と無理矢理ペットボトルを口に突っ込んだ。

しかしそれは一瞬で無くなる。

「なっ……2リットルだぞ?」

「う――ふ――ふ――」

一瞬で水を摂取した周防九曜は、虚ろな目で

「くーちゃん――会わなければ――ならない――キレイな――瞳の――彼に――」

「いきなり何を言い出す」

「ケラ――ケラ――ケラ――ケラ――」


藤原を無視して笑いだした。

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/14(火) 21:34:06.74 ID:Ygy2Q5SSO

一頻り笑い終わると、藤原の腕を掴んだ。

「くーちゃんの――手伝い――」

「やめろ九曜!その転移は………!?」














あっけに取られる橘京子と佐々木。

空のペットボトルを残して周防九曜と藤原は目の前から一瞬で消えてしまった。

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/14(火) 21:46:47.99 ID:Ygy2Q5SSO

「……その、佐々木さん?」

「さっき九曜さんが言ってた事、全部嘘ですから?」

二人が消えた後、弁明する橘京子の下唇に佐々木は人差し指押しあてて、歪な微笑を浮かべた。

「くっくっく、そんなに僕の指が舐めたいのかい?」

「佐々木さん……?」
橘京子は驚いた表情で佐々木に問い掛けた。

「…………」

歪な微笑を浮かべながら、佐々木はじっと橘京子の目を見つめる。

「私は……その、」

「…………」

佐々木は無言のまま見つめ続けた。







そして観念したかのように橘京子は目を閉じ、震える小さな舌を佐々木の人差し指に向け―――

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/14(火) 21:49:49.20 ID:Ygy2Q5SSO



「さて、藤原君と周防九曜の行方を探さないと」

そう言って、佐々木は橘京子の舌が触れる寸前で指を引っ込めた。

「あう……!」

「くっくっ、もちろん、君も協力してくれるのだろう?」

そう呟いた佐々木は橘京子の唇に触れていた人差し指を、そっと自分の唇あてた。

橘京子はそれを見て少し紅潮しながらも、

「わか、わかりました佐々木さん。『組織』に協力を要請します」
と携帯電話を手にした。

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/14(火) 23:15:46.81 ID:Ygy2Q5SSO

「今日こそ何か見つけてくるのよ!わかったわねバカキョン!みくるちゃんと二人っきりだからって変な気は起こさないように!いいわね!」


涼宮ハルヒの言葉を思い出しながら、

――すまんハルヒ、変な気を起こしてしまいそうだ――

と、公園で楽しそうに桜を眺めている朝比奈みくるを口元を緩めながら見つめながら心の中で呟いた。

82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/14(火) 23:24:42.22 ID:Ygy2Q5SSO

「うふふ、キョン君と不思議探しに出かけるのは久しぶりですね。」

「ええ、朝比奈さんと公園を歩くのはあの時以来だったかな」


週末恒例のSOS団による不思議探し。

涼宮ハルヒ特製のくじ引きの結果、キョンと朝比奈みくるは二人組で不思議探しをする事になった。

もちろん、不思議探しをするつもりはキョンは微塵も思っていなかった。

85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/14(火) 23:43:11.05 ID:Ygy2Q5SSO

――時折散ってくる桜の花びらを気にしながら、笑顔を振りまく朝比奈さん。

この光景を眼前に今更不思議探しだなんだの言ってられんだろう?

限られた二人っきりの時間を朝比奈さんとデート気分で公園を歩いたとしても罰は当たらんだろうよ。

春、桜、朝比奈さん、黒いモヤモヤしたもの。これだけ揃えばってちょっと待て。黒い?おい、まさかこれは――

水の上に黒いインクを落としたようなモヤモヤした物が、キョンの目の前の空間に突然出現した。

87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/14(火) 23:56:12.21 ID:Ygy2Q5SSO

キョンは冷や汗をかいていた。

目の前にある滲んだ靄のような物が、例えようの無い変化を起こしていく。

――周防九曜か――!

気付いた時には、既に眼前に出現していた。

「ケラ――ケラ――ケラ――ケラ――」

「きゃあっ!?」

ケラケラ笑う周防九曜が突然出現した事に驚いた朝比奈みくるは、すっとんきょうな声をあげた。

「朝比奈さん、こっちへ……!!」

キョンは驚愕した。朝比奈みくるの目の前にもう一つ、黒い滲んだ靄のような物が出現していた。

88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/14(火) 23:58:42.78 ID:Ygy2Q5SSO

そしてそれは同じように変化していき――


「おい九曜!無理な強制転移は禁則……!?」

藤原が朝比奈みくるの前に出現した。

89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/15(水) 00:08:07.05 ID:1sA9qORfO

「貴方はあの時の……え?どうして?」

困惑する朝比奈みくるの手を藤原は力を込めて掴んだ。

「ひゃあ!?」

「説明している時間は無い。『申請』を行え。これは規定事項では無い」

「ふえ?あ、あなたはもしかして……」



91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/15(水) 00:17:19.71 ID:1sA9qORfO

「このままだと少し不味い事に……!?」

「キョン君!」

藤原と朝比奈みくるの目の前で、キョンは周防九曜に抱き付かれていた。


「見つけた――キレイな――瞳――」

「いきなり何を……おい、藤原!説明しろ!」

「今から――する――肉体関係を――築く――」

「谷口が――教えて――くれた――親密に――なれる――」

「肉体関係?谷口?おい、なんの事だ!?」

「ケラ――ケラ――ケラ――ケラ――」

「それは笑っているのか?っておい、藤原!このイカれた日本人形をなんとかしやが……!?」

藤原と朝比奈みくるの前で、キョンは周防九曜と共に姿を消してしまった。

115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/15(水) 07:27:46.32 ID:1sA9qORfO

「キョ……キョン君……」

「おい」

「キョン君が……そんな……」

「おい!」

「ひゃあ!いたた、いたいですう!?」

藤原は狼狽する朝比奈みくるの掴んでいた手に、少し力を込めて捻りあげた。

「ふん、説明するから落ち着くんだ。朝比奈みくる。」

「ふええ、いったいなにがおきてるんですかぁ!?」

「大声を出すな。説明すると言っただろう。周囲に勘違いされたら困る」

「いたっ……わか、わかりました!わかりましたから手を離してくだささいっ!」

116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/15(水) 07:32:00.24 ID:1sA9qORfO

藤原の手形がうっすら赤く付い手首を痛そうに擦りながら、うるっと目に涙を浮かべ

「……キョン君はどこに……それに、あの女の子は確か……説明してもらえますか?」

「ふん、そうだな、どこから説明しようか……」

全て話す訳にはいかない藤原は、ある程度省いて説明を行なった。
時には嘘を混じえながら。

118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/15(水) 07:48:49.88 ID:1sA9qORfO

「……原因不明で暴走したTFEI端末、ですかあ?」

「ああ、そちらの……長門有希、だったかな?彼女が暴走した物と考えてよかろう……ふむ、今彼女はどこにいる?」

「ええと、別行動ですが……あと30分後には合流する予定です」

「……涼宮ハルヒも一緒か?」

「あ、はい。あとは古泉君も……あ、古泉君っていうのは」

説明を拒否するように朝比奈みくるに手のひらを向け

「君たちSOS団の事は大抵知っている。ふん、長門有希の協力が不可欠、か。さてどうするか……」

そう言って藤原は深く考え込むように腕を組んだ。

123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/15(水) 08:51:32.47 ID:1sA9qORfO

――涼宮ハルヒとの接触はなるべく避けたいが……ちっ、遡行の許可が降りん。
『審査』か。朝比奈みくるも同様のようだな――?

プルルルルッと、電子的な音がふいに鳴り出した。

「はわ、はわわ。すすいません。私みたいです……」

朝比奈みくるが慌てて携帯電話を取り出した。

「ふん、構わん。出るといい」

「すいません……あ、もしもし……!?」

携帯電話を耳に朝比奈みくるは、無言のまま表情が青ざめていく。

「おい、どうした?」

ピッと携帯電話を切った朝比奈みくるは涙声で藤原に訴えた。

「長門さんが……急に意識を失って……倒れたって……」

124 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/15(水) 09:04:03.61 ID:1sA9qORfO

「……急ぐぞ。場所はどこだ」

藤原は朝比奈みくるの腕を掴んだ。

「え、駅前です……長門さん……どうして……」

――強制的にオーバーフローでも引き起こしたのか?くそっ、あの状態で抜け目の無いヤツだ――

舌打ちをしながら藤原は朝比奈みくるの手を引っ張り、駅前に急いだ。

126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/15(水) 09:31:26.57 ID:1sA9qORfO

息を切らしながら駅前に着いた二人を待っていたのは、倒れている長門有希を介抱する涼宮ハルヒと古泉一樹だった。

朝比奈みくるは

「な、長門さん!」

と、急いで駆け寄ろうとしたが藤原に静止された。

――あの調子じゃ長門有希は使い物にならん……ならば無理に涼宮ハルヒと接触する必要は無い……ふむ、古泉一樹か――

「はな、離してくださいっ!長門さんが……!」

「よく聞け。古泉一樹に此所に残るように伝えろ。理由は君がなんとか考えろ。そうで無ければあの壊れたTFEI端末も、キョンと呼ばれるヤツも助ける事は出来ん」

「………!?」

「いいから言う通りにしろ。わかったら行け」

128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/15(水) 09:52:53.70 ID:1sA9qORfO

少し考え込むように下を向いた朝比奈みくるだったが、直ぐに藤原の目をうるんだ瞳で見つめ

「わかりました……貴方を信じます……ですから、キョン君と長門さんをお願い……」

と呟いて、倒れている長門有希の元に走っていった。

134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/15(水) 11:20:13.35 ID:1sA9qORfO

………

……



到着した救急車に運ばれる長門有希に付き添い、涼宮ハルヒと朝比奈みくるは一緒に乗り込んだ。

「有希がこんな時に……あのバカキョン!古泉君!見つけたら耳を引っ張ってでも連れて来るのよ!」

乗り込む際に涼宮ハルヒが叫んだ。

古泉一樹は、

「わかりました……涼宮さん、朝比奈さん、僕達が来るまで、長門さんをお願いします」
三人を乗せた救急車が遠くに行くのを見送り、

「やれやれです……さて」

周囲を見渡す。

散り出す野次馬の中、一人じっと動かずに自分を見る藤原の姿を確認した古泉一樹は、軽く溜め息をつくような仕草をして藤原に歩み寄った。

「貴方が藤原君ですね。さて、詳しい説明をして頂きますか?」



139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/15(水) 12:22:53.42 ID:1sA9qORfO

「時間が無い。簡潔に説明するぞ」

藤原は古泉一樹に、一通り説明をする。

「……周防九曜、ですか」

「ああ、君と君の『機関』の協力を得たい。橘京子の『組織』だけでは、今の九曜の居場所を特定する事すらままならんはずだ。
ふん、禁則事項を無視して暴走しているからな。
世界の安定を求める君達だ。この件は最優先に処理すべきだろう?」

140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/15(水) 12:27:44.71 ID:1sA9qORfO

「ふむ、確かにそうですが……」

頭に浮かんだ幾つかの疑問を、古泉一樹は素直に藤原にぶつける。

「何故、周防九曜は彼を拉致したのでしょうか?」

「ふん、目的は性行為だ。実にくだらない」

「性行為……冗談でしょう?」

「ふん、冗談で済ませればいいのだがな……それに『性行為の阻止』は君達『機関』にとっても優先事案だったはずだ。
今の涼宮ハルヒに、ヤツが他の女性と性行為をした等の情報が耳に入ってみろ」

「……考えただけでも恐ろしいですね。大規模な閉鎖空間が発生するでしょう」

142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/15(水) 12:32:51.16 ID:1sA9qORfO

古泉一樹は今まで以上に凶悪に暴れる〈神人〉を想像したが、直ぐに頭から打ち消した。

「今の暴走した九曜は無邪気な子供のような一面も持っている。行為の後、涼宮ハルヒの前に現れて自慢気に話す可能性も否定出来ん。
……それはそれで見てみたい気もするがな」

ふっくっくっ、と藤原は笑い出した。

「僕は全く笑えませんね。それは僕にとって、命を落としかねない事態ですよ」

145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/15(水) 12:53:10.73 ID:1sA9qORfO

「ふん、わかっただろう?これは最優先事項だ。四の五の言っている場合では無い。我々が共闘しなければ解決は出来まい」

「もちろん協力はしますよ。しかしですね……解決策はあるのですか?」

古泉一樹の問いに藤原は少し考えて

「ふん、『禁則事項』、だ。
要は僕と彼女の為の時間稼ぎさ。
……君ならこの言葉だけで安易に推測出来るだろう?」

笑みを浮かべて藤原は返答した。

173 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/15(水) 14:09:53.30 ID:1sA9qORfO

「成る程……わかりますがね。しかし……長門さんを無力化させる存在に対して、我々の機関と橘京子の属する組織が共闘したとしても、何処まで敵う事が出来るんでしょうか?」

「正気を保っていない所が唯一の救いだ。そこを突くことが出来れば……!?」


「ケラ――ケラ――ケラ――ケラ――」


藤原と古泉一樹を嘲笑うように、それは突然目の前に現れた。

「九曜!」

「くーちゃん――と――呼んで――」

「……確かに正気では無いようですね」

174 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/15(水) 14:14:44.72 ID:1sA9qORfO

重力を感じさせず、ゆらゆらと揺れる周防九曜は、笑顔で藤原に

「くーちゃんは――わからない――だから――手伝う――」

「彼の――耳と――指――舐めた――その後が――わからない――」

「ふん、まだのようだな……」

藤原と古泉は少し安堵の表情を浮かべた。



176 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/15(水) 14:20:41.84 ID:1sA9qORfO

「藤原君どうです?ここは一つ、君が手取り足取り教えて時間を稼ぐと言うのはいかがでしょう?」

「くだらん冗談を言っている場合か」

「いえ、結構真剣な相談ですけどね」

「……ふん、禁則事項だ。それよりこの場を何とか……?」

「う――ふ――ふ――」

笑い声なのか何なのかわからない機械的な声をあげた周防九曜。
その両手にはいつの間にか自身の身長と同じくらいの長さの槍を手にしていた。

178 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/15(水) 14:35:20.03 ID:1sA9qORfO

それを目にした藤原と古泉は冷や汗をかいた。

「あれは……!?」

「古泉一樹――橘京子の――嫌いな――人――」

「くーちゃんは――敵性と――判断――」

周防九曜は両手に持った二本の槍の矛先を、古泉に向けた。

「どうだ古泉―樹、ここは一つ君と九曜で異能者同士で闘い時間を稼ぐと言うのは」

「僕が、閉鎖空間以外で力を使えないのはご存知でしょう?冗談言ってる場合ですか。それより彼女を説得してください。」

180 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/15(水) 15:08:46.86 ID:1sA9qORfO

「……あれが説得に応じると思うのか……来るぞ。なんとか避けろ」

藤原は古泉から距離を取り踵を返す。

「やれやれです……なんとかなりますかねぇ」

目の前の周防九曜を見て冷静な言葉とは裏腹に古泉は緊張した表情で身構えた。

「う――ふ――ふ――いきま――す――」

183 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/15(水) 15:11:53.92 ID:1sA9qORfO

一瞬で古泉の視界から周防九曜の姿が消えた。

「………!?」

「ケラ――ケラ――ケラ――ケラ――」

周防九曜の笑い声だけがこだまする。

「ああ……これは無理ですね」

古泉は死を覚悟した。

188 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/15(水) 15:30:03.82 ID:1sA9qORfO

古泉は目を閉じて腕を組んだ。

「なるべく一瞬で楽にしてくれませんか?周防九曜さん」

「――くーちゃんと――呼んで――」

はぁ、と古泉は溜め息をついた。

「どうせなら、もう少しまともな相手に殺られたかったですね。藤原君、僕はどうやらここまでのようです」

「ばあ――」

古泉の眼前に周防九曜が現れ、

「さよ――なら――」

二本の槍を古泉の心臓に目掛け―――

195 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/15(水) 16:22:07.06 ID:1sA9qORfO

ドンッと蹴られたような衝撃を胸に受け、古泉は目を閉じたまま、後ろから地面に倒れた。

――意外と痛みは少ないですね……打撃を受けたような……僕はもうすぐ死ぬ――

そのまま無意識に二本の槍で貫かれたであろう自らの胸に手を当てた。

――血が溢れて……いない――!?

「起きろ古泉!」

藤原の声で古泉はハッと目を開け起き上がった。

周防九曜に貫かれたと思っていた胸元は無傷、そして目の前には――

「ふふ、よかった間に合って」

196 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/15(水) 16:29:53.71 ID:1sA9qORfO

「貴女は……朝倉……涼子……?」

朝倉は古泉を庇って胸を二本の槍に貫かれながらも、周防九曜の次の行動を静止するように、両腕を掴んでいた。

「藤原君の元へ急いでもらえるかしら。ここから逃げるわよ」

「くーちゃんの――じゃま――しないで――」

「そうはいかないの。長門さんと喜緑さんの頼みだから」

198 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/15(水) 16:50:25.11 ID:1sA9qORfO

藤原の元に向かう古泉を横目に、朝倉涼子は高速で詠唱を開始した。

胸を貫いていた二本の槍が消滅する。

「くーちゃんの――消す――だめ――」

ケラケラ笑いながら周防九曜も詠唱を開始。しかし一瞬で笑顔が消えた。

「――どうして――これは――?」

「今の私はちょっと違うの。ごめんね」

朝倉涼子はそのまま周防九曜から両手を離し、ゆっくり後退する。

周防九曜は行動を起こさず、困惑した顔で訳のわからない言葉を発した。

「これ――これ――違う――どれ――?」

「ふふふ、さあ、どれでしょうね?」

その場に固定されたように動かなくなった事を確認し、朝倉涼子は藤原と古泉の元へ向かった。

199 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/04/15(水) 16:57:29.05 ID:1sA9qORfO

「……どうやら今は味方のようですが、いったいこれはどういう事でしょうか?」

「説明はこれからするわ。とりあえず手を握って貰えるかしら?ほら、貴方も」

朝倉涼子はそう言って藤原と古泉の手を握り締めた。

「ふん、また転移か。今度はどこだ?」

「……長門さんの元へ」


三人は一瞬で姿を消した。



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