ハルヒ「だって、嘘つきなんだもの」


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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 22:42:41.39 ID:15RfueEt0

Side-K-

「おっはよー!キョン、あんた昨日のニュース見た!?」

教室に入り俺の顔を見るなり、ハルヒは大声でそう叫んだ。
おはよう、朝から随分と元気だな。
それから昨日のどのニュースだ。俺はお前の心の中は読めないぞ。
ハルヒは少し申し訳なさそうな顔で、それでも早口に言った。

「あれよ!中学生の女の子が同級生殺害しちゃったって事件。三人だったっけ、忘れたけど」

あぁ・・・・あれ可哀想だよな。全く、近頃の中学生は何考えてるんだか。
俺の言葉に、ハルヒはにやりと笑った。

「よく専門家がゲームやアニメの影響とか言ってるけど、結局自分自身よね」

まぁそうだな。そんなもんキッカケでしかないだろ。
俺が言うと、ハルヒはまじまじと俺の顔を見つめた。
なんだ?俺の顔になんかついてるのか?
ハルヒは長門並の無表情で俺を見つめていたかと思うと、機械的な動きで口を開いた。

「あんた、誰か殺したいと思ったことある?」

3 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 22:44:53.35 ID:15RfueEt0

ごめん違うんだ。
・・・・・吃驚した、突然何を言い出すんだ。
神様ってのは何考えてるんだ?茶化そうと思ったが、ハルヒの表情は至って真剣だった。
もしかしてこれは選択を間違えたら一気にバッドエンド、とかそういう物か?
攻略本はどこで売ってるんだ、俺は必死に答えをシミュレートするが全く分からない。

「突然も何もないわ。いまの流れで、純粋な疑問よ」

そんな顔には見えないがな。まぁない。
俺が言うと、ハルヒはただ「ふぅん」とだけ言って窓の外を向いた。
全く何だって言うんだろうね、本当に。


4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 22:46:58.30 ID:15RfueEt0

結局その日の昼は何もなく、俺は谷口や国木田と適当に話していた。
ハルヒはといえばどこかに行ってしまったし、授業中は静かだったしで何もない。
放課後、掃除があるから遅れるわ、とだけ俺に言って音楽室へと向かってしまった。
俺は大人しいハルヒを少し不気味に思いながらも、SOS団部室へと向かった。
部室のドアを開けると、珍しく長門だけでなく朝比奈さんや古泉の全員が集まっていた。
おいおい、なんだパーティーか?

「いま僕たちの顔を見てパーティーと思えるのなら、僕は貴方の感覚を疑います」

冗談だ、悪かった。だが一体どうしたっていうんだ?
長門は相変わらずの無表情だが微かに困惑が浮かんでいるし、朝比奈さんは涙ぐんでいるし、古泉は窶れている。
古泉の声にも疲労感が漂っている。

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 22:48:37.66 ID:15RfueEt0

またハルヒが何かしたのか?
閉鎖空間でも生まれたか?情報改変か?

「どちらでもありませんよ。ただ、涼宮さんの力による物というのは間違っていません」

じゃあ何だ?
全く予想が付かない俺は、仮定も想像もせずにただ疑問を口にする。

「能力が突然消えたんです」

・・・・・・はい?

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 22:50:20.67 ID:15RfueEt0


「僕は機関との連絡は取れるのですが、閉鎖空間にも入れず超能力も使えず、といったところです。
 機関の方に聞いたところ、涼宮さんの力が消えたという訳ではありません」
「ぐすっ・・・・わ、わたしはっ、未来との連絡がとれなくなって・・・・・・っ。
 禁則事項とか禁則事項とかしてみたんですけどっ・・・・・・ぐしゅっ・・・・だめ、でしたぁ・・・・」
「私は情報統合思念体との連絡が不可能。意思の伝達が遮断されている。私自身の能力も制限されている」

それはハルヒのせいなのか?
というか全員の能力が消えるってのもおかしな話だ。
それに中途半端な消え方だな・・・・、一番いまのところそんなに変化が無いのは長門か。

「正直困りましたね。いつ閉鎖空間が発生するか分かりませんし」
「わたしも、未来と連絡が取れないと禁則事項が禁則事項で困るんです・・・・」

長門は無言で頷く。


7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 22:51:42.17 ID:15RfueEt0

「涼宮ハルヒが望んだのは、全員が普通の人間であること」

でもハルヒにとっちゃあ、お前らは全員普通の人間だろ?
今更どうこうってこともないと思うんだが・・・・・・。

「涼宮ハルヒに喫茶店で私たちのことを告げたのは、貴方。あの時涼宮ハルヒは私たちが宇宙人、未来人、超能力者である場合を想像した」

もしそうなら、って考えたってことか?

「そう。涼宮ハルヒはそれを深層心理で真実だと考えた。結果、いま私たちは望まれて普通の人間になっている」

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 22:52:42.20 ID:15RfueEt0

ハルヒが・・・・?
宇宙人未来人超能力者と会いたがってる、あのハルヒが普通の人間であることを望んだってか?
俺は意味が分からず頭を抱えた。
古泉は肩を竦めて溜息を吐いているし、朝比奈さんは可愛らしいその顔を歪めて泣き続けている。
長門でさえ困ったように、ほんの数ミクロン眉を顰めている。

「原因は不明。私はいま、何の能力も持たない」

いや、お前は悪くない。というか誰も悪くないさ。
それにハルヒの気まぐれだろ、どうせ。明日になれば戻ってるだろ。
だから長門も朝比奈さんも古泉も、いつも通り、ね?

「キョン君・・・・ぐす、そうですね。が、がんばります・・・・」
「涼宮さんが不審に思うかもしれませんしね」
「・・・・了解」

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 22:54:35.12 ID:15RfueEt0

バン!と大きな音を立てて、タイミング良く扉が開いた。
当然入ってきたのは我らが団長様ハルヒである。
ハルヒはさっきまでの暗さが嘘のように、にこにことして部室に入ってきた。

「あら、みんな早いのね!感心感心っ、それでこそSOS団団員だわ」

随分と機嫌がいいんだな。

「分かる?あ、そうそうあたしみんなに聞きたいことあったのよ」

ハルヒが笑顔のままで言葉を続けた。

「みんな、誰かを殺したいと思ったことある?」

ぞくり、と背中を何千匹もの虫が這い回る感覚を覚えた。

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 22:56:11.00 ID:15RfueEt0

三人とも絶句、といったように表情を強ばらせている。
ハルヒは笑顔のままで、俺を指差した。

「こいつに朝聞いたら、ないって言うのよ。つまらない、恨みも何も無い人間なんているのかしら」

おい、人の命に関してその言いぐさは無いだろう。
そう、一般人が、平凡な人間がそれくらい言うのはどうだっていい。
ただハルヒが、神が言うのは――――。
俺の言葉に、ハルヒは不機嫌そうに眉を顰めた。

「だって、まぁ優しいのはいいことでしょうけど?でもいない人間なんていないわよ」

それで、とハルヒは三人に目線を移した。

「あるわよね?」

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 22:57:48.60 ID:15RfueEt0

「僕は・・・・・・、無いです」

最初に口を開いたのは古泉だった。
少し引きつった笑顔で、そう答える。
ハルヒは一瞬だけ冷たい目で古泉を見据えると、すぐに笑顔に戻った。

「そう。まぁ古泉君は無さそうよね」

俺はあるっていうのか、失礼な奴め。

「あら、そういう意味じゃないわよ。ただ普通ならありそうでしょ?古泉君ってそういうの無さそうじゃない」

なるほどね。まぁ分からないでもないか。
実際、古泉ほど苦労していれば殺意くらい覚えてもいい気がするがな。

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 22:58:52.30 ID:15RfueEt0

「私も無い」

長門の言葉に、ハルヒは表情を変えずに頷く。

「うんうん、有希も無いでしょうね」

それは本当だろう。
そもそも長門は宇宙人だし、感情が芽生えたと言っても良い感情だけだ。
ハルヒは急に表情を無くすと、無言で朝比奈さんを見つめた。
朝比奈さんが「ひぃっ」と小さく声をあげて、肩をビクッと震わせる。
朝見たのと同じ、恐ろしいくらいに冷たい表情だった。

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 23:00:44.50 ID:15RfueEt0

「みくるちゃんは、ある?」

地を這うような、低い声。
俺は何故か、その場から動けなくなっていた。
朝比奈さんをフォローする言葉も、ハルヒに何か話題を提供してやることも出来ない。
朝比奈さんは目尻に涙を浮かべながら、弱々しく首を横に振った。

「な、ないです・・・・っ」

ほっと息を吐いたのも束の間、ハルヒが強く机を叩いた。

「あるでしょっ!!」

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 23:02:35.28 ID:15RfueEt0


あまりに大きな声だったため、俺も古泉も、長門でさえ目を見開き驚愕の表情を浮かべていた。
机が割れるなんてことは無かったが、凄い音がしただけあってハルヒの手は赤くなっていた。
ハルヒは言葉の通り鬼のような形相で朝比奈さんを睨み付けていた。
お、おいハルヒ・・・・、朝比奈さんだって怯えてるだろ。一体どうしたんだ。

「キョンは黙ってて!あたしはみくるちゃんと話してるのよ・・・・!」

言葉だけで硝子が割れそうな鋭さだった。
俺は思わず黙り込み、心の中で朝比奈さんに謝った。
だが全く状況が理解出来ない。何だってこんなにこいつは朝比奈さんを疑うんだ?
俺が助けを求めようと長門と古泉を見ると、古泉は同じく困ったように長門の方を見た。

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 23:04:01.36 ID:15RfueEt0

『帰り、私の家に』

長門が口パクで俺と古泉にそう告げる。
俺と古泉は頷き、またハルヒと朝比奈さんに目線を戻した。
朝比奈さんは完全に怯えきって、腰を抜かして床に座り込んでいた。
助けてやりたいが、いまヘタに庇えばやぶ蛇な気がする。
ハルヒは突然優しく微笑み、しゃがんで朝比奈さんと同じ目線に立った。
「ひっ」と朝比奈さんは身じろぎし、ハルヒから離れようとする。

ハルヒは確かに笑顔だったが、目は笑うどころか冷たく淀んでいた。

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 23:06:15.87 ID:15RfueEt0

「ねぇみくるちゃん、誰かを殺してやりたいって思ったこと無い?あるでしょう?」

だって、とハルヒは言葉を紡ぐ。

「あたし聞いちゃったの。みくるちゃんが言っていたこと」

ハルヒは朝比奈さんの耳元に唇を寄せて何かを囁いた。
途端に、朝比奈さんが焦点の合わない目で闇雲に手を振り回す。
ハルヒは立ち上がると、にっこりと微笑んだまま朝比奈さんに近寄っていった。

22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 23:09:10.76 ID:15RfueEt0

「ねぇ、みくるちゃん?」
「ごめんなさい、違うんです、ああ、どうして?嘘、ちがっ・・・・ちがうううううううううう!」
「嘘じゃないわよね、本当のことでしょ?」

ハルヒはそう言うと、ポケットからナイフを取り出し朝比奈さんの目に突き刺した。
そのまま抉るような手つきでナイフを動かすと、勢いよく引き抜く。
ヌチャ、と嫌な音が部室内に響いた。
俺は胸から込み上げる嘔吐感に口を手で無理矢理押さえた。

「ひ、ひぎいいいいいいいいいいいいいい!!ぐあああああ、いたいいいいいいた、いやっ、ああああああ!」

「五月蠅いわよ、みくるちゃん」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 23:10:35.32 ID:15RfueEt0

ハルヒはナイフを今度は唇に、縦に斬り付けた。
そのまま舌を掴み出すと、勢いよくナイフを振り下ろす。
上手く切れなかったからか、何度も何度も引いた。
朝比奈さんは声にならない悲鳴をあげると、そのまま白目を剥いて倒れた。
ぴくぴくと体が痙攣している。
気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い――――!
何でこんなことをする?何でこんなことになったんだ?
ハルヒ、答えてくれよ・・・・・・・・!

「だって」

ハルヒがにっこりと笑う。

「だって、嘘つきなんだもの」

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 23:11:16.26 ID:15RfueEt0

Side-I-

僕は昨日から数えて76回目の溜息を吐いた。
溜息の原因が例えば恋人に振られたとか親友と喧嘩したとかという、解決や忘却に委ねられる類の物ならどんなにいいだろう。残念ながらそうではなかった。
異変に気づいたのは昨日だった。いつものように森さんと一緒に閉鎖空間で神人と戦っていると、突然消えた。
神人がではない。

僕が、だった。

消えたと言っても存在がではなく、元の世界に戻ってきていたのだ。
その後は何をやっても超能力は使えないし、閉鎖空間にも行けなかった。
結果それは涼宮ハルヒが望んだことであって、神の力が無くなった訳ではなかった。

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 23:12:24.96 ID:15RfueEt0

正直僕は落胆と同時に安堵を覚えていた。
力が無くなっていないと言うことは、まだ僕はここにいれる。
成り行きとはいえ何だかんだ言ってSOS団の活動は楽しい。
学校へ向かってみると、朝比奈さんや長門さんも同じように能力を失っていた。
次は何をしようとしてるんだろうか。
閉鎖空間が生まれていないことが唯一の救いだった。

「・・・・一体、何でしょうね」
「・・・・・・分からない。彼が心配」

長門さんが僕の独り言に答えてくれた。

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 23:13:26.86 ID:15RfueEt0

数分後、彼が部室にやって来た。

「おいおい、なんだパーティーか?」
「いま僕たちの顔を見てパーティーと思えるのなら、僕は貴方の感覚を疑います」

どっと疲れが溢れた。
正直いまは冗談を聞いているような時ではない。

「またハルヒが何かしたのか?閉鎖空間でも生まれたか?情報改変か?」

先ほどとは違い、真剣な表情で彼が言った。
微かに困ったような、それでいて呆れたような表情。
在る意味では巻き込まれた存在として、彼は一番不幸なのかもしれない。

「どちらでもありませんよ。ただ、涼宮さんの力による物というのは間違っていません」

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 23:15:58.75 ID:15RfueEt0

「じゃあ何だ?」
「能力が突然消えたんです」
「・・・・・・はい?」

彼の驚きも尤もだ。
僕は涼宮さんが来る前にと言葉を続けた。

「僕は機関との連絡は取れるのですが、閉鎖空間にも入れず超能力も使えず、といったところです。
 機関の方に聞いたところ、涼宮さんの力が消えたという訳ではありません」
「ぐすっ・・・・わ、わたしはっ、未来との連絡がとれなくなって・・・・・・っ。
 禁則事項とか禁則事項とかしてみたんですけどっ・・・・・・ぐしゅっ・・・・だめ、でしたぁ・・・・」
「私は情報統合思念体との連絡が不可能。意思の伝達が遮断されている。私自身の能力も制限されている」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 23:16:54.36 ID:15RfueEt0

全員の言葉に疲労と困惑が現れていた。

「それはハルヒのせいなのか?」

彼が思ったより動揺した様子で呟いた。
彼に長門さんはさらなる説明を加える。
時間列で一番最後に能力を失ったのは長門さんだから、直前に原因を調べられてよかったのかもしれない。
まぁその原因は何の役にも立たない物なのだが・・・・・・。

「涼宮ハルヒが望んだのは、全員が普通の人間であること」

「でもハルヒにとっちゃあ、お前らは全員普通の人間だろ?
 今更どうこうってこともないと思うんだが・・・・・・」

彼の言葉は尤もだった。
その後、長門さんは彼の言葉にいまの現状を説明していた。

31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 23:17:53.23 ID:15RfueEt0

僕はぼーっと彼と長門さんを眺めていた。
正直会話が頭に入ってこない。
何だろう、この不安は。
嫌なことが起こりそうな、いや実際現在起こっているのだが、それよりももっと。
生々しくて、じっとりとしたこの不安。

「いや、お前は悪くない。というか誰も悪くないさ。
 それにハルヒの気まぐれだろ、どうせ。明日になれば戻ってるだろ。
 だから長門も朝比奈さんも古泉も、いつも通り、ね?」

彼なりの励ましの言葉なのだろうか。
それでも僕は少し嬉しかった。
途端に扉が勢いよく開く。
当然、勢いよく入ってきたのは涼宮さんだった。

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 23:19:21.67 ID:15RfueEt0

「あら、みんな早いのね!感心感心っ、それでこそSOS団団員だわ」

涼宮さんは機嫌が悪いかと予測していたけれど、機嫌はとても良さそうだった。
笑顔の涼宮さんを見て、彼が驚いたように頷いた。

「随分と機嫌がいいんだな」
「分かる?」

涼宮さんの顔が微かに紅く染まった。
だが彼は全く気づかない様子でいる。
全く、どうしてここまで鈍感でいられるのだろう。


34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 23:20:11.37 ID:15RfueEt0

「あ、そうそうあたしみんなに聞きたいことあったのよ」

涼宮さんが誤魔化すように僕たちを見た。

「みんな、誰かを殺したいと思ったことある?」

僕は刃物を首筋に当てられているような感覚を覚えた。


35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 23:21:03.76 ID:15RfueEt0

自分の表情が強ばっているのが分かる。
笑おうとしても上手く笑えない。
神が殺意を持つと言うことは、そのモノの破滅ではないか。
もしその矛先が自分だったら――――、全身にぶわりと鳥肌が立った。

「こいつに朝聞いたら、ないって言うのよ。つまらない、恨みも何も無い人間なんているのかしら」

涼宮さんは聞き分けの悪い子供を宥める母親のように、しょうがないわねといった感じで彼を指差した。

「おい、人の命に関してその言いぐさは無いだろう」

彼の言葉に涼宮さんは困ったように眉を顰めた。
哀しそうに見える。大丈夫か?この話題は僕らの変化と関係無いのか?


36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 23:23:03.27 ID:15RfueEt0

「だって、まぁ優しいのはいいことでしょうけど?でもない人間なんていないわよ」

焦ったように、彼を不器用にフォローしつつ涼宮さんが言った。
大丈夫だろうかと安堵したのも束の間、それで、と僕らに目線をうつした。

「あるわよね?」

答えなくては。
どう答えれば神が満足する“古泉一樹”なのだろう。
答えろ、あくまで涼宮ハルヒにとっての、SOS団副団長としての“古泉一樹”として。


37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 23:24:17.95 ID:15RfueEt0

「僕は・・・・・・、無いです」

少し引きつった笑顔で、そう答える。
涼宮さんは一瞬だけ冷たい表情を見せると、すぐに笑顔になった。
よかった、選択を間違わなかったようだ。

「そう。まぁ古泉君は無さそうよね」
「俺はあるっていうのか、失礼な奴め」
「あら、そういう意味じゃないわよ。ただ普通ならありそうでしょ?古泉君ってそういうの無さそうじゃない」
「なるほどね。まぁ分からないでもないか」

二人のいつも通りのやり取りが、妙に優しく素敵なモノに感じる。
このままずっとこうしてくれればいいのに、とさえ思う。


38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 23:25:57.13 ID:15RfueEt0

「私も無い」

長門さんが相変わらずの無表情で言う。
羨ましい。
何の動揺も困惑もなく咄嗟に答えられることが、とても羨ましく感じた。

「うんうん、有希も無いでしょうね」

涼宮さんは満足げに頷いた。
が、突然涼宮さんの表情が冷たく暗いものになる。
どこかスイッチでもあって押されたかのように、突然の出来事だった。



ゲームしたくなってきたな、どうしよw


39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 23:26:44.92 ID:15RfueEt0

その目線の先にいたのは朝比奈さんだった。
朝比奈さんが「ひぃっ」と小さく声をあげて、肩をビクッと震わせる。
涼宮さんの表情は驚くくらいに冷たかった。

「みくるちゃんは、ある?」

地を這うような、低い声。
言葉が、出て来ない。
彼も同じようで、目を見開いたまま瞬きもせず二人を見つめている。
朝比奈さんは目尻に涙を浮かべながら、弱々しく首を横に振った。

「な、ないです・・・・っ」


40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 23:27:37.31 ID:15RfueEt0

「あるでしょっ!!」

大きすぎる怒鳴り声に、思わず驚いて息を飲み込む。
横を見れば長門さんも彼も驚きを隠せずにいた。
人ひとり殺せそうな勢いで、涼宮さんは朝比奈さんを睨み付けている。
閉鎖空間が発生していないことが、奇跡だった。

「お、おいハルヒ・・・・、朝比奈さんだって怯えてるだろ。一体どうしたんだ・・・・・・・」
「キョンは黙ってて!あたしはみくるちゃんと話してるのよ・・・・!」

涼宮さんの朝比奈さんを睨み付ける力が強くなった。
ああ、彼女は嫉妬しているのか。
僕はこんな状況なのに冷静にそんなことを考えていた。
彼が困ったように僕の方を見た。
だが、僕もどうしたらいいか分からない。僕が長門さんの方を見ると、彼も長門さんを見た。

『帰り、私の家に』

長門さんが口パクでそう言った。
彼と目を見合わせて頷くと、いつの間にか涼宮さんは朝比奈さんの近くにいた。
朝比奈さんはしゃがんで怯えきっている。

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 23:29:17.46 ID:15RfueEt0

「ねぇみくるちゃん、誰かを殺してやりたいって思ったこと無い?あるでしょう?」

だって、と涼宮さんが笑う。
その目は、朝比奈さんに向けるその目は、憎悪と侮蔑に満ちていた。

「あたし聞いちゃったの。みくるちゃんが言っていたこと」

涼宮さんは朝比奈さんの耳に唇を寄せて囁いた。

「・・・・て、・・・・・・・ね?」

よく聞き取れなかったが、朝比奈さんはそれを聞いた瞬間ひっと息を呑んだ。
手を闇雲に振り回し、完全に自我を失っているようだった。
助けようとしても、声が出ない。体が動かない。
それは彼も長門さんも同じようだった。


44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 23:30:43.18 ID:15RfueEt0

「ねぇ、みくるちゃん?」
「ごめんなさい、違うんです、ああ、どうして?嘘、ちがっ・・・・ちがうううううううううう!」
「嘘じゃないわよね、本当のことでしょ?」

何が起こったのか分からなかった。

「ひ、ひぎいいいいいいいいいいいいいい!!ぐあああああ、いたいいいいいいた、いやっ、ああああああ!」

「五月蠅いわよ、みくるちゃん」

彼は真っ青な顔で、口元を押さえながら涼宮さんに何か言っていた。
僕は何も言えずにただその光景を眺めていた。

「だって」

涼宮さんがにっこりと微笑んだ。

「だって、嘘つきなんだもの」

彼はその言葉を聞いた瞬間、僕と長門さんの腕を掴んで走り出した。
僕はそこでやっと我に返る。
朝比奈さんは目を抉られていた。その後、だって嘘つきなんだものと涼宮さんが言った後、喉にとどめをさすようにナイフを突き立てられていた。途端に彼は僕と長門さんの腕を掴んで――――。

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 23:31:32.00 ID:15RfueEt0

「なんだよっ・・・・なんなんだあれはっ・・・・・・!」

彼は玄関に向かって、決して僕たち二人の手を離さずに走るとそう叫んだ。

「分かりませんっ・・・・!」

怖かった。
神が、はじめて、怖いと感じた。


48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 23:32:41.27 ID:15RfueEt0

「涼宮ハルヒは追ってきていない」
「なんでわかるっ・・・・!?」
「後ろを確認した。このまま私の家まで、走って」
「・・・・っ、分かったっ!」

彼は、当然僕らも上靴のままで走った。
神が何を望んだ結果こうなったんだろう。
何故僕らが普通の人間になって、彼女は殺されたのだろう。
彼女はどんな嘘を吐いたのだろう?

「古泉、長門・・・・」
「何でしょう」

声が震えていた。
彼も、僕も、長門さんも。

「朝比奈さんのことは・・・・いまは、忘れよう」

まるで自分に言い聞かせてるみたいに彼は言った。


50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 23:34:19.50 ID:15RfueEt0

長門さんのマンションに着くと、僕らは何も言わずに小さなテーブルを囲んだ。
彼はぼろぼろと涙を流しながら頭を抱えた。

「なんなんだよ・・・・なんで、あんなことに・・・・・・っ!」
「これは、想像ですが・・・・。彼女は嘘つきだから、と言っていました。朝比奈さんは・・・・、神が殺意を覚える程の嘘を、吐いたのではないでしょうか・・・・・・。当然、嘘だけで殺人が成り立つとは思っていません。でも、いまのところ考えられるのはそれくらいです」

僕は頭を下げた。

「すみません、役に立たなくて」
「いや、いい。お前らだって辛いのに、聞かれたって困るよな。ともかく俺らが分かってるのはそれだけだ」
「朝比奈みくるの」

長門さんの言葉がぽつりと部屋に浮かんだ。

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 23:35:39.06 ID:15RfueEt0

「嘘の内容を知る必要がある」

僕は顔をあげた。

「嘘の内容を知ることが、状況打破の一歩」
「・・・・・・そうだな。だけど、朝比奈さんがあんなになる程の嘘って何だろう」
「・・・・・・・・嘘、ですか」

未来人であること?いや、それはない。
まず何故普通の人間でなければいけなかったのか。
殺せなかったから?
神が自らの手で殺したいと感じ、だが未来人なら殺せないかもしれないと考えて―――。
僕はその考えを二人に告げた。

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 23:36:30.05 ID:15RfueEt0

「その可能性はある」

長門さんが頷いた。

「ただ、その理屈で行くと次も殺人は起こる。そして、殺されるのは私と古泉一樹、貴方」

忘れていた。
僕らも、普通の人間となってしまっているのだ。
彼が忌々しげに顔を歪めて、乱暴に机を叩いた。

「させるかよ・・・・、殺させる訳無いだろ・・・・・・っ!お前らまで死んだら、俺は・・・・俺は・・・・・・」
「もし」

長門さんが僕と彼を交互に見た。

「私が死んだら、私はいま普通の人間。再構成が出来ない。貴方達だけでも、どうか真実に辿り着いて」

そう言うと、ポケットから一枚のメモを取り出した。

「最後のひとりが、これを読んで」

メモが机の上に置かれた。


55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 23:40:34.03 ID:15RfueEt0

「・・・・・・これは、貴方が持っていて下さい」

僕は笑顔で言った。

「もし貴方が・・・・有り得ないと思いますが、貴方が死んだときは僕が貴方からメモを貰い、真実を知り皆さんを助ける方法を、皆さんと元の世界に戻る方法を見つけます」
「・・・・・・俺が、残ったときもそうだ。必ず全員が元に戻る方法を考える」

何となく、彼なら出来るのではないかという考えがあった。
同時に、神の決めたことならば逆らえる訳がないという確信があった。
僕は、彼がブレザーの右ポケットにメモを入れるのを見届けてからテーブルに目線を移した。


56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 23:41:25.22 ID:15RfueEt0

side-Y-

彼がメモをブレザーの右ポケットにいれた。
あのメモは、私が知った真実。

何故二人に言わないのか。

私はきっと彼にだけ真実を知って欲しいと思ったんだ。
例え古泉一樹が真実を知っていても、私から伝えるのは彼であって欲しかったんだ。
きっと次に殺されるのは私。
彼女に私は嘘を吐いた。
その次はきっと――――。


58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 23:42:27.11 ID:15RfueEt0

メモに書いてあるのは、別に大したことではない。
ただ、最後に残ったひとりが何故全員が殺されたかを知ることが出来るというだけ。
二人は皆が元の世界へ、と言っているけれど、そんなことは不可能。
あと数分もすれば彼女は此処へやって来てしまう。
その前に私は二人をどこかに逃がさなくてはならない。

「・・・・・・お願いがある」

私の言葉に、彼と古泉一樹が顔をあげた。

「近くの、コンビニへ・・・・行って欲しい。絶対に、戻ってこないで」

二人の瞳に不安の色が浮かぶ。
それはそうだろう、この状況で外へ出ろと言っているのだから。
けれど、いまは絶対二人に彼女が危害を加えることはない。

59 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 23:44:21.07 ID:15RfueEt0

「安全は保証する。お願い」

私の言葉に、彼は何も言わずに頷くと古泉一樹を連れて外へ出た。
玄関で、彼が振り向く。

「長門、待ってるからな。ちゃんと、戻ってこい」

その言葉は、人間の感情で言えば嬉しい、というのだろう。
けれど、いまのわたしにとってその言葉は「痛い」ものだった。

60 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 23:46:27.10 ID:15RfueEt0

二人が出て行ってから、状況を整理する。
朝比奈みくるが殺されたのは嘘を吐いたせい。
そして私も嘘を吐いている。
意味のない、気まぐれでの会話だと思った数日前の会話はしっかりとした意味があった。
そしてそれに私と朝比奈みくると古泉一樹は、彼女の精神安定を思い嘘を吐いた。
古泉一樹にされた質問は少しベクトルが違うけれど・・・・・・・。

ガチャリ、という聞き慣れた音が不気味に聞こえる。

鍵が勝手に開いて、ずるずるという音と共に何かが―――涼宮ハルヒが入ってくる。
私は自分の体が震えるのが分かった。
これは怖いという感情、畏怖を覚えている?

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 23:50:43.16 ID:15RfueEt0

涼宮ハルヒは私を見つけると、にたりと笑った。
返り血を浴びて、不気味な姿になっている。
人間の言葉を借りるなら、「怪物」だった。

「あらぁ・・・・有希ぃ、キョンと古泉君はぁ?」
「いない」
「ふぅん・・・・まぁいいわ」

彼女がばさりとそこらへんに何かを落とした。
茶色い―――恐らく朝比奈みくるの頭髪。
切り落としたと言うよりは、引っこ抜いたという表現の方が正しいだろう。
先端には血と肉がこびり付いている。

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 23:51:38.35 ID:15RfueEt0

可哀想な彼女。
ただ、涼宮ハルヒを気遣ってついた嘘で、彼女に殺されるなんて。
それは私も同じか。
私もどうせここで殺されてしまうのだから。

「有希は、もう分かってるのね」
「・・・・すまない」
「・・・・・・今更謝ったって遅いわ。あのね、有希」
「・・・・・・何」
「みくるちゃんはあたしに嘘を吐いたからだけど、有希はね」

じりじりと彼女が近くに寄ってくる。

「有希は、純粋に許せなかっただけなのよ」

私は、どうして、と言おうとした。
だけど、その言葉は出て来なかった。
何故って、頭から硫酸を掛けられて、私の意識はそこで消えてしまったから。

64 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 23:52:25.93 ID:15RfueEt0

『最後に残ったのが貴方であることを祈って。
 涼宮ハルヒに私は嘘を吐いた。
 数日前涼宮ハルヒは私と朝比奈みくるに「好きな人いる?」と質問した。
 私は貴方が好きだった。そして朝比奈みくるも同様に貴方が好きだった。
 けれど、涼宮ハルヒの精神安定を考慮し「いない」と答えた』
『古泉一樹は涼宮ハルヒに「みくるちゃんと有希の好きな人知ってる?」と聞かれ「知らない」と答えた。
 それは事実。ただ予測はついていた。
 だが彼女は納得しなかった。古泉一樹が私たちを庇っているのだと勘違いした』

『切欠は朝比奈みくるが涼宮ハルヒのいないところで言った一言』

『また、図書館に』



65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 23:53:33.26 ID:15RfueEt0

side-M-

私だって、キョン君が好きだった。
涼宮さんなんて死んじゃえばいいのにって、そう思った。
だから私、あの日涼宮さんに「好きな人いる?」って聞かれたとき、何かが崩れた。
狡い狡い狡い。
だってキョン君が涼宮さんのこと好きになるのも、その力のおかげかもしれないのに。
キョン君が他の子好きになったら世界壊しちゃう癖に。
酷いよ、狡いよ涼宮さん。


67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 23:55:14.07 ID:15RfueEt0


だから私は鶴屋さんにその日泣きながら全てを話した。
涼宮さんを―――したい、って。
でも、でも、本当にその場限りの、勢いに任せちゃっただけだった。
まさか、涼宮さんが聞いてたなんて思わなかったの。

涼宮さんが笑顔で、でも怖い目をして私の方へ来る。
未来と連絡もつかなくなっちゃったし、私死んじゃうのかな?

「あたし聞いちゃったの。みくるちゃんが言ってたこと」

涼宮さんが私の耳元に唇を寄せて囁いた。

「あたしなんか死んじゃえって、ね?殺してやりたいって言ったんでしょ?」

どうしてどうしてどうしてごめんなさいごめんなさいそんなこというつもりなかったそれなのにごめんなさいどうかゆるしてくださいごめんなさいどうしてきいていたのわたしのせいどうしてあなたがわるいごめんなさいごめんなさい。

69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 23:56:53.55 ID:15RfueEt0

でもね、私思うんです。
だって普通に好きな人も作れないんでしょう?
キョン君が他に好きな子欲しくても、涼宮さんが殺しちゃうかもしれない。
私より、長門さんより、古泉君より、涼宮さんが誰より殺したい相手がいるんだよ。


自分とキョン君以外の人間、ね。

71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/28(土) 23:57:58.65 ID:15RfueEt0

おまいらありがとうw
やっと最後です、ハルヒ視点でENDなんであと少しだけお付き合い下さい。


Side-H-

世界で必要なのはあたしとキョンだけ。
だってキョンはあたしのことが好きなんだから。
なのに、なのにあいつらはあたしのキョンに近づく。

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/29(日) 00:00:05.75 ID:8vu2kII80


キョンもあたしに構って欲しいからって、嫉妬させるためあんな女の相手しなくて良いのに。
演技って分かってても哀しくなるのよ?
朝比奈さんのお茶は美味しいですね、なんて言わないでよ。
本当はあたしのお茶が飲みたいんだよね、でも可哀想だから言ってやってるの。
勘違いしてるんじゃないわよ、あたしの奴隷の癖に。

有希だって、特別視してもらってるつもりかもしれないけど・・・・・でも・・・・・・・・。
もしかしたらキョンは、ああそう、有希を妹みたいに思ってるのよ。
あの子感情あんまり出さないしね、キョンは優しいから。
もしかして子供は有希みたいな子が欲しいのかしら、でもあたしのこと好きなんだもん。
キョンはあたしを好きだし、あたしはキョンが好き。
だからどんな子が生まれたって愛せるわよね。

79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/29(日) 00:02:32.12 ID:8vu2kII80

古泉君も二人の気持ち知ってるのに嘘吐いた。
もしかしてあたしとキョンの邪魔をしようとしてるの?
何よ何よ何よ何よ!
みんなしてあたしからキョンを奪おうっていうの?
あたしは、その後聞いてしまった。
教室で大声で泣きながら、鶴屋さんにあたしのことを話すみくるちゃんを。

・・・・ふぅん。
なんだ、そうなの。
あたしの勘違いって思いたかったのに。
キョンのこと好きなんて勘違いしてごめんねって謝れたらよかったのに。
なんだ、そういうこと。

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/29(日) 00:03:25.09 ID:8vu2kII80

分かったわ。
古泉君も有希もグルになってあたしを殺そうとしてるのね。
その手には乗らないわ。
だって、あたしとキョンは運命の相手だもん。
あたしがキョンに愛されてるからって、そんなことひどい。
あたしみんなのこと結構好きだったのに。

みくるちゃんに言ったら、すっごい怯えてた。
ふふ、・・・・っふふう、あはは、・・・・・・・あれ?
キョン?どこ・・・・・・?
分かった、あの女が自分の家に連れ込んだんだわ。
嫌がるキョンを無理矢理連れて・・・・・!

「待っててね、キョン。あたし、いま助けにいくから」


81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/29(日) 00:05:42.48 ID:8vu2kII80


あの女も殺してやった。
焼けて爛れて醜い顔、元々だけどね。
でもキョンはどこ?ねぇ、どこいったの?
もしかして古泉君がもう殺そうとしてるの?
待ってて、絶対あたしがキョンをまもるから。

歩き回ったら、公園に二人がいた。
古泉君とキョンは何か言い合って、古泉君が何か叫ぶとキョンは走って遠くに逃げてった。
どうして?
ああ・・・・・古泉君に変なこと吹き込まれたんだ。
許せない、何てことするの。あたしの、キョンに。

「あなたは、狂ってます」

なにっいってるのおかしいのそっちじゃないどうしてあたしがおかしいのよ!

「・・・・・僕は、あなたが許せない」

83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/29(日) 00:06:29.93 ID:8vu2kII80

あたしとキョンの邪魔するやつは消えちゃえばいいの。
キョンはどこにいるの?
キョン、待っててね。あと少しだよ、もう二人っきりなんだよ。

84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/29(日) 00:07:44.39 ID:8vu2kII80


ありがちで申し訳ないorz
暇つぶし程度に読むか全力でスルーしてやってw



グラウンド。
あたしとキョンがはじめてキスしたところ。
キョンがあたしの髪型褒めてくれたんだよね、次の日。
嬉しかったな、ほんとに。
キョンは、そこにいた。

「キョン!」

あたしを見て、キョンは驚いた顔して、怒った顔してた。
何で怒ってるの?
もしかしてあたしが古泉君といたから?ただ殺しただけだよ?
ごめんね、嫉妬するなんて思わなかった。

「なんでだよ・・・・・・・」
「キョン、どうしたの?」
「なんであいつら殺したんだよ!」

なんで怒ってるの、怖いよぅ・・・・・・。
あたしは泣いた。だって、キョンが怒ってる。
あたし悪くないのに。あたしとキョンのためなのに。

85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/29(日) 00:09:20.66 ID:8vu2kII80


「なに泣いてんだよ!お前・・・・最低だな」

ひどい。
あたしのキョンはそんなこといわない。
優しく仕方ないなっていって頭撫でて、それでキスしてくれるの。
分かった、このキョンは偽物なんだ。
三人に色々言われて、キョンおかしくなっちゃったんだ。

「あたしのことっ・・・・好きって言ったじゃない」
「言ってねぇよ・・・・」
「キスしたのに!どうしてよ!」
「あんなの夢だろ!なんで、なんで、大切な奴らを殺した奴を好きになるんだよっ!」

86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/03/29(日) 00:10:46.71 ID:8vu2kII80

やっぱり。
あたしは持っていたナイフをキョンの喉に突き刺した。
何度も何度も、強く突き刺した。

死んじゃった。
苦しそうな顔で、あたしのこと睨み付けながら死んじゃった。
あいつらに吹き込まれて、勘違いしちゃうキョンが悪いんだよ。
あたしはキョンのこと愛してるけど、あそこまで言われたら哀しいよ。

あたしはそっとキョンの頬を撫でた。

「だって、嘘つきなんだもの」

だから、だから、こうなったんだよ。
そして二度目のキスをした。



ここまで読んでくれた人ありがとう!
安易な病みルートに落ちで申し訳ないorz
暇つぶしにでもなれば幸いです。
それではおやすみノシ
目汚しごめんよ。



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