ハルヒ「キョンってなんだか大人だな…」


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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 09:41:57.31 ID:iTKhJMU50

ハルヒ「タダの人間には興味ありません」

キョン「お」

ハルヒ「この中に、宇宙人未来人超能力者異世界人が居たら私のところまで来なさい!以上!」

キョン「…若いなぁ」

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 09:46:42.69 ID:iTKhJMU50





キョン「自己紹介のアレ、本気か?」

ハルヒ「なによ、アンタ宇宙人?」

キョン「さぁな。俺はタダの人間だと思う」

ハルヒ「だったら話しかけないでちょうだい。時間の無駄よ」

キョン「涼宮さん」

ハルヒ「なによ」

キョン「もっと周りを見たらどうだ?」

ハルヒ「は?なによそれ、どういう意味?」

キョン「…」スタスタスタ

ハルヒ「…なによアイツ?不精髭はやして髪ぼさぼさだし…あいつ本当に高校生?」


11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 09:49:51.47 ID:iTKhJMU50

ハルヒ「…つまんない」はぁ…

キョン「そうため息ばっかりついてもしょうがないぞ?」

ハルヒ「話しかけないで」

キョン「そりゃ悪かった」

ハルヒ「…」

キョン「髪型」

ハルヒ「!」

キョン「そんな事したら宇宙人が気付いてくれると思ったのか?」

ハルヒ「いつから気付いてたの」

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 09:53:51.41 ID:iTKhJMU50

キョン「3日くらいだったかな」

ハルヒ「…すごいわねアンタ」

キョン「はは、若いって良いな」

ハルヒ「なに言ってんのよ同級生のクセに」

キョン「そうだな、悪かった。どうも人を上から見るクセがあるんだ、許してくれ」

ハルヒ「…いけ好かない奴」

キョン「手厳しいな」

ハルヒ「…まぁ良いわ。宇宙人が気付いてくれるなら髪形だってなんだって変えるわよ」

キョン「そうやって宇宙人が気付いてくれるのを待ってるのか。まるでシンデレラだな」

ハルヒ「むっ…なによ!悪いっての?」

キョン「悪くなんかないさ。女の子はそんくらいでちょうど良い」

14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 09:58:24.48 ID:iTKhJMU50

谷口「なぁアンタ、涼宮狙ってんのか」

キョン「うん?いや、もう俺もそんな青臭い真似はしないさ」

谷口「は?」

キョン「自分からがっつかなくても、自分に合った女性は自然とみつかるもんだよ」

谷口「はぁ…そうなんすか」

キョン「俺も若い頃はナンパだの合コンだの…色々遊びまわってたけどな」

谷口「今はしてないんすか?」

キョン「まさか。女に困る程若くもないさ」

谷口「…この人いくつなんだろう」

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 10:00:21.10 ID:iTKhJMU50

【次の日】

ハルヒ「…」

キョン「髪切ってきたのか。似合ってたのに」

ハルヒ「別に。ほっといてよ」

キョン「ああ、すまん」

ハルヒ「…」

キョン「さて、と」

ハルヒ「ちょっと待ちなさいよ!理由とか聞かないの?」

キョン「拒まれたならしょうがないさ。また気が向いたら教えてくれ」スタスタ

ハルヒ「…なんだってのよアイツは…」

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 10:03:56.74 ID:iTKhJMU50





キョン「涼宮さん、色んな部活に体験入部してるらしいな」

ハルヒ「そうよ。でも全然だめ。面白くない部活ばっかりだもん」

キョン「でもどこでも優秀な成績を収めてるんだろう?」

ハルヒ「…アンタもバカにする気?」

キョン「間違っても俺は一生懸命な奴を笑ったりしないさ。たとえ動機は不純でもな」

ハルヒ「…」

キョン「若いうちは何にでもチャレンジしたら良い。いくらでも可能性は広がるものだよ」

ハルヒ「…ふん。おっさんみたいな奴に言われても嬉しくないわよ」

キョン「おっさん、か…なかなかショックだ」

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 10:08:10.57 ID:iTKhJMU50





ハルヒ「部活は全部やめたわ。新しく自分で作ることにしたの」

キョン「開拓精神を持つのは良いことだな。頑張りなさい」

ハルヒ「アンタも協力しなさいよ!」

キョン「構わんよ、俺も暇な身だ」

ハルヒ「よし決まり!あんたは必要書類なんかをそろえてね」

キョン「ちょっと待て、一服させてくれ」

カチ

カチ

シュボ…

ハルヒ「え…あんたなに考えてんの!?」

キョン「ふぅー…なにって、一服だよ」

ハルヒ「停学になりたいの!?」

キョン「…問題ないさ。俺もこの学校に入学して長い」

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 10:11:03.16 ID:iTKhJMU50

キョン「ふぅ…」

ハルヒ「…入学して長い?留年してるってこと?」

キョン「かつては妹と同級生だったこともある」

ハルヒ「はぁ!?一体いつの話よ!?」

キョン「古い話だ。妹も高校、大学と出て結婚しちゃったからな」

ハルヒ「…妹さんは今いくつ?」

キョン「はは、詮索はしないで欲しいんだけどな。妹は今29だ」

ハルヒ「…はは」

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 10:15:28.02 ID:iTKhJMU50

ハルヒ「でもこんな所でタバコ吸って吸殻はどうするのよ。ポイ捨ては許さないわよ」

キョン「当たり前だろ。喫煙者の最低限のマナーだ。ほら」さっ

ハルヒ「携帯灰皿…」

じゅ…けしけし

キョン「さて…行こうか」

ハルヒ「そ、そうね。実は場所はもう確保してあるの。行きましょ」

キョン「すごい行動力だな…昔を思い出すなぁ。よっと」

ハルヒ「ほらほら、老けてんじゃないわよ!シャキッとする!」ぐいっ

キョン「はは、この年になって校舎を走り回るとね」

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 10:19:11.42 ID:iTKhJMU50

バタン!

ハルヒ「ここよ!」

キョン「文芸部室か。懐かしいな…俺が11年目のときに入部したことがある」

ハルヒ「ここを本拠地にするからね!」

キョン「だそうだが…良いのか長門さん?」

長門「!?」

ハルヒ「!?なんでアンタ名前知ってるのよ!?」

キョン「一つアドバイスをしといてやろう。コミュニケーションを円滑に行うにはまず名前を覚える事だ」

ハルヒ「…う」

キョン「初対面の相手に名前を呼ばれると、そいつは自分に興味を持ってくれてるんだと思ってくれるんだよ」

長門「…参考になる。よろしく」

キョン「ああ、よろしく」ニコ

長門「…」

ハルヒ「にこやかに握手すんな!ホントにおっさんに見えるわよ」

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 10:24:33.10 ID:iTKhJMU50

ハルヒ「あたしは部員探してくるからね!アンタは事務処理!わかってる?」

キョン「やれやれ…頑張るよ」

バタン!

長門「…」

キョン「ごめんな、長門さん。あ、ちゃんのほうが良いか?」

長門「…呼び捨てにしてくれて構わない」

キョン「そうもいかないさ、じゃあさんにしとこう」

長門「そう」

キョン「さて、必要書類の事書いとこうかね」

長門「ペン…貸す?」

キョン「はは、ボールペンくらいはいつでも持ってるよ。基本だ」

長門「そう。失礼した」

キョン「心遣いありがとう。今はボールペンでも公的書類書けるからな、便利になったもんだ」

カリカリカリカリ

長門「…そう」

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 10:29:37.77 ID:iTKhJMU50

ハルヒ「たっだいまー!」

みくる「ふぇぇ〜…なんで私連れてこられたんですか?なんでここに先生が居るんですか?」

キョン「失礼ながら俺は生徒なんだ、朝比奈さん」

みくる「…え。そうなんですか。失礼しました…っていうかどうして名前を…」

キョン「はは、慣れてるから良いよ。1年前の入学式で目立っていたからね」

みくる「え?え?」

ハルヒ「このおっさんはもうウン十年高1を繰り返してんのよ…」

みくる「…はぁ…もしかして、あんまり勉強できないんですか?」

キョン「…」

ハルヒ「みくるちゃん、ストレートすぎ!」

キョン「いやぁ、ばれちゃったかな。そう、俺はどうも因数分解が苦手でね」

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 10:34:46.03 ID:iTKhJMU50

みくる「髭生えてるし、髪の毛ぼさぼさ…」

キョン「すまん、もう身なりに気を使う歳でもないかと思ってな」

ハルヒ「そうは言っても、女の子の目とか気にならないの?アンタも男なのに」

キョン「まだお前達の歳じゃわからんかも知れんが、本当に良い女は外見なんか気にしないさ」

ハルヒ「言うことがいちいちおっさんね…」

キョン「外見で騒ぎ立てて恋愛するのはよくて30までだ」

ハルヒ「ふぅーん。アタシも外見にはこだわらないけど…」

キョン「はは、そのタイミングでそれを言うと俺へのアプローチに聞こえるぞ」

ハルヒ「ば…バカか!うぬぼれんじゃないわよ!」

キョン「うーん。若いなぁ」ニコニコ

51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 10:41:35.46 ID:iTKhJMU50

【次の日】

ハルヒ「キョン!聞いた!?この時期に転校生よ転校生!」

キョン「ああ、聞いたよ。いままでも何度かあった」

ハルヒ「これはもうアタシの興味をそそりまくりよ!絶対勧誘するわ!」

キョン「おい、ちょっと待て」

ハルヒ「なに?」

キョン「はぁ…良いか?この時期に転校したってことは何か特別な事情があるんだろう」

ハルヒ「そうでしょ!?だから勧誘するんじゃない!」

キョン「相手の気持ちを考えてみろ。事情が事情だったらどうする。相手はそれに踏み込まれて嬉しいか?」

ハルヒ「事情って…離婚とか?」

キョン「何とは言わんが、それに近いことがあったかも知れないだろう」

ハルヒ「…ごめん」

キョン「それでなくても今の転校なんて不安なんだ。もう少し相手の気持ちを考えられるようになりなさい」

ハルヒ「…わかった」

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 10:43:41.18 ID:iTKhJMU50

prrrrrrr

prrrrrrr

ガチャ

古泉「どういう事でしょう?彼女が僕に何の興味も示してくれないのですが…」

森『どういう事?この時期の転校生なんて不思議以外のなにものでもないのに…』

古泉「…困ったものです……せっかく転校してきたのに…」

61 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 10:46:13.84 ID:iTKhJMU50

【次の日】

ハルヒ「なんか部室にもっと備品が欲しいわね」

キョン「そうか?十分居心地がいいんだが」

ハルヒ「そうね…せめてPCが欲しいと思わない?」

キョン「ふむ。事務にはなにかと便利だな。どれ、ちょっと待ってろよ」

ハルヒ「あ、キョン!どこ行くのよ!!」

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 10:50:11.47 ID:iTKhJMU50

【コンピ研室】

コンコン

部長「はい、どうぞ開いてますよ」

ガチャ

キョン「やぁ、部長君。お久しぶり」

部長「キョンさん!お久しぶりです。この間はお世話になりました」

キョン「いいさ、プログラミングは昔かじったからなんちゃないよ」

部長「いえいえ、大助かりでしたよ」

キョン「実は頼みがあってな…いや、無理かも知れないんだが…」

部長「?なんです?」

キョン「いやぁ、さすがにこんな事は頼めないよ。すまん、邪魔したね。また何かあったらいつでも呼んでくれ」

スタスタ

部長「ちょ…ちょっと待ってくださいキョンさん!」

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 10:54:50.13 ID:iTKhJMU50

キョン「うん?」

部長「お世話になってるキョンさんの頼みならできる限り聞きますよ!」

キョン「いやぁ…こればっかりは悪いしね。また今度よろしく頼むよ」

部長「このままじゃ僕達の気持ちが収まりません!なんなりと言ってみてください!」

キョン「本当かい?いや…本当に申し訳ないんだが…」

部長「なんなりと!」

キョン「すまないんだが、PCを譲ってくれないかなぁと思ってね。一番古いので良いんだ。いや、やっぱり無理か…」

部長「なんだ、そんなことですか!どうぞどうぞ持っていってください!」

キョン「いやぁ、学生の君達から貰うわけにもいかないよ。俺も学生だが」

部長「いえいえ、旧式とは言わずこの最新式のをお使いください!」

キョン「良いのかい?なんだか悪いなぁ…」

79 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 10:59:07.27 ID:iTKhJMU50

【SOS団部室】

ハルヒ「で?なんでコンピ研の連中が最新のPCくれて、取り付け工事までしてくれてんの?」

キョン「旧式のを一台譲ってくれって言ったんだが、親切にここまでしてくれてな。ちゃんと部長君に感謝するんだぞ」

ハルヒ「一体どんな脅しを使ったのかしら…。まぁ良いわ、部長さん、ありがとね」

部長「いえいえ。お安い御用です」

部員「ねぇ部長…」

部長「なんだい?」

部員「よかったんですか?部長があのPC買って一番喜んでたのに…」

部長「しょうがないだろ、キョンさんにあんな頼み方されたら…」

84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 11:03:54.45 ID:iTKhJMU50

【次の日】

キョン「…」

カチ カチ シュボッ

チリチリ…

キョン「ふぅ…」

長門「…」

キョン「……」

長門「…」

キョン「…」

長門「美味しい?」

キョン「うん?」

長門「タバコ」

キョン「はは、まだタバコに興味を持つのは早いぞ」

長門「…」

キョン「…」ふぅー

91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 11:11:29.19 ID:iTKhJMU50

長門「…」パタン

キョン「お…今日はもう終わりか。今日は妹夫婦が帰ってくるって言ったか」

キョン「土産でも買って帰ってやろうか」

ハルヒ「キョン、帰り買い物いくなら着いてっていい?」

キョン「買い物っていってもケーキ屋だぞ?」

ハルヒ「行く行く!」

長門「…私も」

みくる「キョンさん、私も連れてってくださぁい」

キョン「買い食いは禁止なんだがなぁ…しょうがない、みんな行こうか」

95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 11:15:14.10 ID:iTKhJMU50

【ケーキ屋】

キョン「妹はあの歳でまだ甘いものに目がないからなぁ。姪もそれに似てケーキが大好きなんだ」

ハルヒ「アンタはまだこの歳で高校生だけどね」

キョン「はは、それもそうか」

みくる「うわぁ、このチーズケーキ美味しそう…」ぽわぁん

キョン「朝比奈さんはそれが良いのか?」

みくる「え?…もしかして買ってくれるんですか?」

キョン「ははは、期待して来たんだろう?」

みくる「えへへ…」

キョン「ほら、涼宮さんと長門さんも選びなさい」

ハルヒ「やったぁ!さすがキョン!」

長門「これとこれとこれとこれとこれ」

99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 11:17:31.24 ID:iTKhJMU50

みくる「キョンさん、ありがとうございましたぁ!」

ハルヒ「ふふん、当然よ!」

長門「…美味しそう」

キョン「それじゃあな、気をつけて帰るんだぞ」

ハルヒ「アンタに言われなくても大丈夫よ。今日はありがとね!」

キョン「ああ、じゃあまた明日な」ニコ

110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 11:22:10.60 ID:iTKhJMU50

ハルヒ「ふっふーん、ケーキ買ってもらっちゃった♪」

トテトテ

ハルヒ「なんかキョン、ただのおっさんだと思ってたけど結構良い男じゃない」

トテトテ

ハルヒ「って、これじゃあただの金持ちに集る安い女みたいだな…」

トテトテ

DQN1「おい、あの子でいいんじゃん?」

DQN2「うわ、可愛いな!良いじゃん、誘おうぜ!」

すたすたすた

DQN1「なぁ、今暇だろ?学校帰り?」

ハルヒ「は?なにアンタたち、気安く喋りかけないで」

DQN2「そう言うなって。俺ら今からカラオケかボーリング行くんだけどさ、一緒に行かない?」

DQN1「もちろん奢るしさ、行くよな?」

115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 11:26:26.29 ID:iTKhJMU50

ハルヒ「生憎あんたらみたいに暇じゃないの。帰ってケーキ食べなきゃなんないから」

DQN1「その辺にしとけって。ケーキくらい買ってやるよ」

DQN2「なぁ、ほら!」ぐいっ

ハルヒ「きゃっ」

ボトッ

ハルヒ「キョンに買ってもらったケーキが…」

DQN1「悪い悪い!ほら、弁償するからケーキ買いに行こうぜ!」

ハルヒ「あんたら、いい加減にしときなさいよ!」

スタスタ…

キョン「僕達、もう家に帰りなさい」

ハルヒ「キョン!!」

119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 11:29:38.03 ID:iTKhJMU50

DQN1「なんだおっさん?」

DQN2「なにこいつ?もしかして親?」

キョン「もう暗くなってきてるぞ。親も心配してるだろう」

DQN1「はぁ?なに言ってんのコイツ?」

DQN2「俺ら彼女と遊ぶから忙しいの。わかるよな?」

DQN1「良いじゃんもう。刈っちまおうぜ、金持ってそうだし」

DQN2「だな、おっさん。これに懲りたらもうしゃしゃり出てくんじゃねぇぞ!」

ブン

バキィッ

ハルヒ「キョン!!!」

123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 11:32:13.50 ID:iTKhJMU50

キョン「…」つーっ

DQN1「ははは、鼻血出しながら突っ立ってんじゃねぇよ!」

バキッ

DQN2「おらぁ!」

ハルヒ「キョン!!逃げなさいよ!私はいいから!!」

バキッ

ボカァ

ドゴッ

DQN1「なんだこいつ?反撃も抵抗もしないじゃん!」

パシッ

DQN1「な…」

125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 11:35:23.61 ID:iTKhJMU50

キョン「これで暴行罪が適応される。わかるか?」

DQN1「な…なに言ってんだこいつ!?」

DQN2「気狂ってんじゃね?」

キョン「君たちはまだ学生だろう。輝かしい未来を棒に振るようなことはするな」

DQN1「…なに言ってんのこいつ」

DQN2「関係ねぇよ!やっちまおうぜ」

ブンッ

パシッ

キョン「言ってもわからんか?これで俺に正当防衛が成立したんだ」

134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 11:39:36.98 ID:iTKhJMU50

キョン「最後だ。やめろ」

DQN1「う…」

キョン「そうだ、良い子だな」

DQN2「なんだよ…そんな目で見るな!」

キョン「見るさ。君たちは今人生を棒に振ることだった。もったいないとは思わないか?」

キョン「いくらでも可能性は広がるのに、どんな人間にでもなれるのに、今ここでチンケな事でそれを無駄にする」

キョン「もったいないと思わないか?」

DQN1「う…ううぅ」

キョン「さぁ、悔いるなら頭を下げろ。そして家に帰って親の手伝いでもしてやるといい」

DQN「………すみませんでした」

キョン「よし、よくやった。さぁ帰りなさい」

ハルヒ「………」

149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 11:45:21.49 ID:iTKhJMU50

ハルヒ「……グス」

キョン「危なかったな涼宮さん。もう泣くな」

ハルヒ「…うっさい!怖かったのよ…!!」

キョン「ほら、ハンカチを貸してやろう。顔を拭きなさい。綺麗な顔が台無しだぞ」

ハルヒ「…うん、でもアンタも鼻血が…」

キョン「…先に使って良いから」

ハルヒ「…うん」

キョン「…」

カチッ シュボ…

キョン「…ふぅ………」

156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 11:47:58.52 ID:iTKhJMU50

ハルヒ「ありがと。ハンカチ汚しちゃったけど…」

キョン「良いさ。じゃあ行こうか」

ハルヒ「へ?」

キョン「ケーキ屋だ。さっきのはつぶれちゃったんだろう?」

ハルヒ「…うん。ありがと」

キョン「よし、行こうか」

ハルヒ(…大人って……今までつまんない奴ばっかりだと思ってたけど…)

ハルヒ(……かっこいい)

161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 11:51:10.68 ID:iTKhJMU50





ガチャ

キョン「ただいま」

妹「おかえりなさい。遅かったわね」

キョン「ああ、ちょっと学校帰りに色々あってな」

妹「…もう。いい加減に卒業しなよ」

キョン「卒業には最短であと3年かかる」

妹「やれやれだわ」

キョン「そう言うな。ほら、お土産。あそこのケーキ屋、好きだっただろ?」

妹「まぁ。私の好物覚えててくれたんだ!ありがとうキョン君」

170 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 11:55:13.97 ID:iTKhJMU50

姪「おじちゃーん!!」トテトテ

キョン「おー。よちよち、久しぶりだな。おっきくなったなぁ」ニコ

姪「えへへー、キョンおじちゃん、ダッコ♪」

キョン「どれどれ。おお、重くなってる重くなってる。もう抱っこにも一苦労だ」

妹「ふふ、私も久しぶりに抱っこしてもらおうかな」

キョン「はは、勘弁してくれ」

妹「あはは、旦那に怒られちゃう」

夫「お兄さん、お久しぶりです。今学校帰りですか?」

キョン「おう、久しぶり。そうなんだ」

184 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 12:03:43.72 ID:iTKhJMU50

キョン「どうだ、最近調子は?」

夫「上々ですよ。また昇給ありそうです」

キョン「そりゃあよかった。お前に妹を任せて正解だったな」

夫「はは、照れますよ。お兄さんは勉強のほうはどうです?」

キョン「おう、そうなんだ、ちょっと聞いてくれ!この前中間考査があってな」

夫「そうですか、結果は?」

キョン「なんと数学21点だ!前回の4倍だぞ」

夫「やりましたね!今年は進級も夢じゃありませんよ!」

209 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 12:13:05.50 ID:m/SkGoRhO

携帯に移行


妹「キョン君、今日は晩御飯私も作ったのよ」

キョン「そうなのか。そりゃ楽しみだな」

妹「ふふ、久しぶりね。また腕上げたから期待してて」

キョン「ああ。俺は姪と遊んどくよ」

妹「うん、よろしくー」

キョン「ほら、おいで」

姪「わぁい!キョンおじちゃんの制服ー」

キョン「ネクタイ引っ張っちゃダメだぞー。ボロボロなんだから」

姪「あれー?キョンおじちゃん、服に血がついてる…」

キョン「本当だ。鼻血出ちゃったかな」

213 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 12:20:39.38 ID:m/SkGoRhO





キョン「ごちそうさま。うん、うまかった」

妹「ふふ、よかった」

母「結婚してから本当に良い女になっちゃったわねぇ」カチャカチャ

キョン「ああ、お母さん。皿洗いは俺がやるよ」

母「そう?じゃあお願いね」

キョン「この歳まで置いてくれるんだから手伝いくらいしないとな」

カチャカチャ

221 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 12:26:20.38 ID:m/SkGoRhO

【次の日】

キョン「…」カチ カチ

シュボッ

キョン「…すぅ…」

ちり…ちり…

キョン「ふぅ…」

長門「…」

キョン「…すぅ」ちり…ちり…

長門「灰が落ちる」スッ

キョン「お、ありがとう長門さん」

長門「…どうしたの」

キョン「うん?」

長門「そんな顔をしてタバコを吸うのは珍しいから。何かあったの」

キョン「いや、何もないさ」

229 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 12:38:33.35 ID:m/SkGoRhO

長門「…これ、貸すから」

キョン「ハイペリオンか。昔読んだな」

長門「もう一度読める?」

キョン「長門さんに薦められたんだしな。ありがたく読ませてもらうよ」

長門「そう…それを読んで、元気を出して」

キョン「はは、ありがとう。本を読むのは良い事だ。様々な人生観を吸収できる。長門さんも続けなさい」

長門「わかった。読む」

234 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 12:42:52.43 ID:m/SkGoRhO





キョン「たまにはSFも良いもんだな。懐かしい」

ぴらっ

キョン「ん?栞か」

キョン「…公園で待つ、か。久しぶりだなこういうの」

キョン「…困ったなぁ」

236 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 12:45:23.92 ID:m/SkGoRhO

キョン「行かないのも失礼か。電話番号も知らないしな」

キョン「時間は…20分前。車で行けば間に合うか」

スタスタ

母「あら、どこか行くの?」

キョン「呼び出しだよ」

母「まぁ。やっと落ち着くつもりになった?」

キョン「はは、そんなんじゃないさ。行ってくる」

バタン

ブォォォォン

244 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 12:49:54.37 ID:m/SkGoRhO

キキィッ

バタン

長門「!」

キョン「栞見たよ。待たせてすまんな、長門さん」

長門「初日に来てくれるとは思わなかった。車?」

キョン「ああ、間に合いそうになかったんでな。ギリギリだった」

長門「…そう。こちらこそ呼び出して済まない」

キョン「良いさ。話はなんだ?」
長門「…私の家で」

キョン「いや、それは遠慮しとくよ」

251 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 12:53:51.07 ID:m/SkGoRhO

長門「大丈夫。家には誰もいない」

キョン「そういう意味でもない。…長門さんは一人暮らしなのか」

長門「そう」

キョン「…そうか。よし、車に乗りなさい」

長門「?わかった」

ガチャ

キョン「さぁどうぞ」

長門「…失礼する」

バタン

ブォォォォン

254 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 12:58:10.62 ID:m/SkGoRhO

【高速道路】

ブォォォォン

長門「…綺麗」

キョン「景色がか?そうだな、俺もこの夜景は好きだ」

長門「…」

キョン「…タバコ良いか?」

長門「構わない」

カチ

シュボッ……

長門「………………素敵」

264 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 13:04:55.93 ID:m/SkGoRhO

キィィ…

バタン

キョン「さぁ着いた」

ガチャ

長門「ここは?」

キョン「市内の行きつけの店だ。晩御飯まだだろう?」

長門「…良いの?」

キョン「良いさ。入ろうか。話はここで聞こう」

ガチャ

274 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 13:07:20.86 ID:m/SkGoRhO

キョン「よう、久しぶり」

店員「いらっしゃいませ。ご予約はされていますか?」

キョン「あー…オーナーを呼んでくれ」

店員「失礼ですが、お名前は…」

キョン「手間を取らせて済まん。呼んで来てくれ」

すっ

ぎゅ

店員「!」

店員「畏まりました。少々お待ち下さいませ」

287 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 13:14:34.23 ID:iTKhJMU50

オーナー「キョン様、失礼いたしました。私どもに不手際があったようで…」

キョン「いや、全然そんな事ないんだ。急にすまんな」

オーナー「とんでもございません。すぐにお席をご用意いたします。いつもの個室でよろしいですか?」

キョン「ああ、よろしく。悪いけど帰りの送りも頼む」

オーナー「かしこまりました。ごゆっくりどうぞ」

キョン「さぁ、行こうか長門さん」

長門「…」そわそわ

キョン「どうした?」

長門「…私の格好。制服でいいの?」

キョン「そんなことか。心配しなくていいよ、俺も普段着だ」ニコ

297 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 13:18:45.25 ID:iTKhJMU50





長門「…美味しい」

キョン「意外だな。長門さんはもっと食べるのかと思ってたよ、なんとなく」

長門「…私は、そんな大食いの女ではないから」

キョン「そうか、ごめんな。さぁ、話を聞こう」

長門「…情報の伝達に齟齬が発生するかもしれない」

キョン「理解できる努力はするよ」ニコ

長門「そう。では聞いて」

長門「この銀河を統括する情報統合思念体によって作られた対有機生命体用ヒューマノイドインターフェイス。それが私」

317 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 13:24:28.12 ID:iTKhJMU50





キョン「…」

長門「信じて」

キョン「嘘を言っている目じゃないね」

長門「本当。そしてあなたは鍵となる存在」

キョン「…」

長門「……信じてくれない?」

キョン「うん?いや、面白いと思ってな」

長門「おもしろい?」

キョン「ああ。涼宮さんの自己紹介を思い出してた」

キョン「宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら…か。これは偶然か?」

キョン「朝比奈さんや例の転校生、古泉一樹だったか?もしかしたら俺も、か。面白いな」

キョン「もちろん、長門さんの話が本当だったらの話だけどな」

長門「本当。信じて」

333 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 13:30:26.08 ID:iTKhJMU50

キョン「…なるほど。面白かったよ」

長門「…帰るの?」

キョン「そうだな。あんまり遅くまで付き合わせるわけにもいかない」

長門「…帰りたくない」

キョン「ははは、さぁ車に戻ろう。オーナー、会計を頼む」

オーナー「かしこまりました。代金はこちらになります」

キョン「ん、これで頼む。おつりはいいよ。ご馳走様」

オーナー「ありがとうございます。また是非ご来店くださいませ」

キョン「ありがとな。運転手は?」

オーナー「表で待機しております」

347 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 13:35:20.18 ID:iTKhJMU50

キョン「○○マンションに寄ってくれ」

運転手「かしこまりました」

長門「…私も、すこしだけなら払う。奢ってもらうのは悪い」

キョン「うん?ああ、良いんだ。素敵な話を聞かせてくれたお礼だ」ニコ

長門「…そう。ご馳走様」

キョン「どういたしまして。遅くまでつき合わせて悪かったな」

長門「…楽しかった」

キィィ

バタン

キョン「じゃあお休み。また明日な」

長門「…」コク

ブオォォォン

長門「………」

350 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 13:37:45.19 ID:iTKhJMU50

【次の日】

キョン「ふぁ…眠いな」ぼりぼり

キョン「この20年以上慣れ親しんだ靴箱…」

パカ

ぱさっ

キョン「…はぁ」

キョン「放課後、教室で…。困ったもんだな」ぼりぼり

359 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 13:43:46.75 ID:iTKhJMU50




キョン「…今日の部活ももう終わりか」カチ シュボッ

ちり…ちり…

長門「灰皿……どうぞ」

キョン「ああ、すまん。ありがとな」

長門「別に、いい」

キョン「…あ、タバコ切れたな」

ハルヒ「キョン、買ってこようか?」

キョン「高校生に買ってきてもらうわけにもいかんだろ。俺も高校生だが」

ハルヒ「いいわよ別に。あたしもたまに親の買いに行くし」

キョン「悪いな、自分で吸うもんは自分で買うことにしてるんだ」

ハルヒ「なによ、つまんない」

長門「…」パタン

ハルヒ「あ、部活終わりね」

366 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 13:47:47.26 ID:iTKhJMU50

キョン「俺はタバコ買いに行くから、ここで。じゃあな」

ハルヒ「なんでよ!またあたしが絡まれたらどうする気?」

キョン「…涼宮さん。あれはたまたまだ。いつでも傍にいれるわけじゃない」

ハルヒ「……なによ」

キョン「自分で危険に会わないようにするのも大切なことだぞ」

ハルヒ「…もう、守ってくれないっての?」

キョン「それでも危険な時は助けるさ。だから、気をつけて帰りなさい」

ハルヒ「もう、わかったわよ!じゃあね!」

長門「…」

376 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 13:53:09.27 ID:iTKhJMU50

キョン「…委員長さんか」

朝倉「そう。意外でしょう?」

キョン「意外といえば意外かな。何の用だろう?」

朝倉「ふふ。なんだと思う?」

キョン「…すまん、タバコいいか?」

朝倉「…私、一応委員長だから良いとは言えないわね」

キョン「すまん、そうだな。じゃあ目を閉じて、聞かなかったことにしてくれ」

カチ シュボッ…

キョン「…で、話は」チリ…ちり…

朝倉「…教室でタバコはいただけないわね。まぁ良いわ」

朝倉「よくさ、やらずに後悔せずにやって後悔した方が良いっていうよね?これってどう思う?」

キョン「…若いうちにだけ許される特権だな。大人になれば責任が付きまとう」

朝倉「…」

389 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 13:58:32.53 ID:iTKhJMU50

キョン「そういう我侭が許されるのは子供のうちだけだ」

朝倉「…ふぅん」

キョン「だがそれはとても幸せなことだと思うぞ」

朝倉「あら、我侭が言えるのは幸せなことなの?」

キョン「そのとおりだ。いずれ大人になればわかる」

キョン「自分が今までいかに大人の手のひらの上で転がされてたか」

キョン「そしてそれに感謝する日が来るさ。だから、若いうちはそれに甘えると良い」チリ…ちり…

朝倉「タバコ…灰、落ちるわよ」

キョン「お、すまん。いやぁ悪い癖だ。語りだすと夢中になっちまうんだよ、はは」

朝倉「…貴方もまだ子供じゃない」

キョン「そのとおりだ。人間は死ぬまで成長、学習していくもんだろ」

朝倉「!」

400 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 14:03:20.43 ID:iTKhJMU50

朝倉「…成長、学習、か」

キョン「ああ。それを忘れちまうともうお終いだ。そんな人生面白くもなんともない」

朝倉「伸び白がなくなったらどうしたら良いの?」

キョン「そんな事はあり得ないさ。自分で自律進化の可能性を信じなくなったらもう終わりだけどな」

朝倉「…私の知ってる大人にね。成長の可能性を信じられなくなった人がいるの。どうしたら良い?」

キョン「朝倉さんが言ってやれば良い。本当にもう成長できないの?ってな」

朝倉「……」


417 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 14:09:05.31 ID:iTKhJMU50

朝倉「じゃあね。お仕事の話、聞いてもいいかしら」

キョン「高校生の俺でよければな」ニコ

朝倉「上の人間は頭が固くって、現場のことをなんにもわかってないのにね?それで、」

キョン「もういい、わかった」

朝倉「え?」

キョン「朝倉さん、君の言っていることは…。冷たい言い方だが、言い訳だ」

朝倉「どうして!?」

キョン「わからんか?少し厳しいことを言うけど大丈夫だな?」

朝倉「…ええ、教えて」

426 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 14:12:33.65 ID:iTKhJMU50

キョン「現場の事を100%理解してる上司なんてのは居ない」

朝倉「そうかもしれないけど…」

キョン「やりたい仕事が出来ない、やりたくない仕事ばかり…それは本当に上司のせいか?」

朝倉「そうじゃない!だって上司がやらせてくれない、わかってくれないんだもの!」

キョン「本当か?」

朝倉「本当よ」

キョン「上司に『この部下になら自由に仕事を任せて大丈夫』と思わせられない部下に原因はないか?」

朝倉「え?…え?」

433 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 14:16:15.51 ID:iTKhJMU50

キョン「よく考えて見なさい」

朝倉「はい」


キョン「部下が有能で、部下の意見が確実に会社に利益をもたらして、そして部下にその仕事をこなす能力があったら」

朝倉「…」

キョン「上司は本当にその仕事を部下にさせないだろうか?君が上司ならどうだ?」

朝倉「…させるわ」

キョン「そうだ。わかったか?部下がすべて悪いわけじゃない。でも部下にも原因は必ずある。上に立つ人間になればそれが見えるさ」

朝倉「…」

キョン「はは、朝倉さんにはまだ早い話だったかな」

441 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 14:21:28.32 ID:iTKhJMU50

朝倉「…あなた、なんなの」

キョン「俺はただの高校生だ」

朝倉「…」

ガッシャーン!!!!

キョン「!」

長門「…」

朝倉「!?」

長門「情報制御が甘い。だから私に気づかれる。進入を許す」

朝倉「…!!」

キョン「長門さん、どうしたんだいきなり」

長門「彼女は貴方を殺すつもりだった」

465 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 14:31:52.73 ID:iTKhJMU50

キョン「本当か、朝倉さん」

朝倉「え…そ、そうよ。だってなにか変革がないと現状は変わらないんだもん。仕方ないじゃない」

長門「彼女は危険。避難して。彼女の情報連結を解除する」

朝倉「…くっ」

キョン「長門さん、待て」

長門「…」ピタ

朝倉「…?」

長門「どうして?危険因子は排除すべき」

キョン「部下のミスは成長の種だ。許すことも大切だよ」

長門「…私は彼女の上司ではない。彼女はバックアップ。いわば同等の立場」

朝倉「消されちゃうの、私…?あーあ、残念…」

長門「…」

キョン「…許そう、長門さん」

長門「私にその権限はない」

キョン「俺が許す」

475 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 14:37:35.46 ID:iTKhJMU50

朝倉「…許す?」

キョン「くだらない大人だと思っただろう?」

朝倉「…すこし」

キョン「君もまだ若い。まだまだ汚いものを見慣れていない」

朝倉「…汚いもの」

キョン「そうだ。でも、無垢なのは恥ずべき事じゃない。チャンスはまだまだある。失敗は成長の種だ」

朝倉「…」

キョン「もう二度と同じ失敗はするな。わかったか、朝倉さん」

朝倉「…わかったわ。キョン君、ありがとう」

キョン「はは。君、か。もうそんな呼び方をしてくれるのは妹だけだと思っていたよ」

長門「…いいの?」

キョン「いいさ。長門さんも許してやってくれ」

486 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 14:41:06.03 ID:iTKhJMU50

朝倉「…うぐ…ひぅ…」

キョン「…」

朝倉「うぅぅうぅ…」ぽろぽろ

キョン「長門さん。後ろを向いていなさい」

長門「どうして」

キョン「…頼む」

長門「…」くるっ







朝倉「うえぇぇぇぇん…」

501 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 14:47:41.94 ID:iTKhJMU50

キョン「…落ち着いたか?」

朝倉「…はい。ありがとうございます…」ぐす

キョン「よし、長門さん、もういいぞ」

長門「………」ムス

キョン「さぁ、長門さん。委員長さんを連れて帰ってあげなさい」

長門「わかった。行く」

ぐいっ

朝倉「きゃっ!?」

キョン「おいおい、乱暴にしてやるな。かわいそうだろ」

ガラガラガラ

谷口「WAWAWA忘れも……の……」

長門「あ…」

朝倉「うぐ…ひっく…」


508 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 14:51:17.86 ID:iTKhJMU50

谷口「泣いて出てきた朝倉と長門さん…中にはキョンさん」

谷口「ご…ごゆっくりぃ〜!!」

キョン「あー、谷口君。ちょっと待ってくれ」

谷口「は、はい!なんすか!?」

キョン「長門さん、朝倉さん、帰りなさい」

長門「…はい」

谷口「…」

キョン「谷口君、中に入ってきてくれるか?」

谷口「あの…なんかすみません、お取り込み中に…」

514 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 14:54:25.23 ID:iTKhJMU50

キョン「ああ、いいんだ。そんなことより」

谷口「…なんすか?」

キョン「飯でも行こうか」ニコ

谷口「は?飯…?」

キョン「うん、飯だ。付き合ってくれるか?」

谷口「はい、わかりました…」





キョン「さぁ、食おうか」

谷口「あの…なんでいきなり飯誘ってくれたんすか?」

キョン「おいおい、男同士の飯に遠慮もアポも必要ないだろ。さぁ好きなもの頼むといい」

523 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 15:00:09.47 ID:iTKhJMU50

谷口「うっま!おれこんなうまいもん食ったことないっすよ!」

キョン「はは、そりゃよかった。ところでさっきの話なんだが」

谷口「…」ぎく

キョン「勘違いさせるような場面を見せてしまってすまなかった。忘れてくれるか?」

谷口「あの、やっぱ…キョンさん、二人とも…」

キョン「はは、まさか。そういう噂が広まるとあの二人もかわいそうだろ?」

谷口「な、なんだちがったんすね」ほっ

キョン「そこでだ。男同士の約束だ。今日見た事は誰にも言わない。どうだ?」

谷口「はい、もちろん約束します!男同士か…くぅぅ、なんかいいなぁ」

キョン「よかった。俺は友人選びは自信ががあるからな」ニコ

谷口「はは…」(なんかすげぇ緊張するな…)

キョン「よし、じゃあそろそろ遊びに行こうか」

谷口「え?」

536 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 15:04:23.76 ID:iTKhJMU50

【週末】

ハルヒ「おっそいわよキョン!!罰金!」

キョン「すまん、まだ20分前だし最後じゃないと思ったんだが…」

ハルヒ「さぁ奢りも決まったしさっそく喫茶店行くわよ!!」

キョン「やれやれ…」

ウィーン

ハルヒ「4人、喫煙席でお願いします」

店員「かしこまりました、奥のお席どうぞー」

547 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 15:08:16.93 ID:iTKhJMU50

ハルヒ「探索は2班に分かれて行います!班分けはくじ!いいわね?」

みくる「了解ですぅ」

長門「了解した」

キョン「さて、誰となるか」

すっ

ハルヒ「!!」

みくる「あ、キョンさんとですね。よろしくお願いしますぅ」

キョン「こちらこそよろしく、朝比奈さん」

ハルヒ「…」

長門「…」

557 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 15:14:12.07 ID:iTKhJMU50

みくる「えっと、その…どこ行きましょうか?」

キョン「俺に任せてくれるのか?」

みくる「えへへ、じゃあお願いします♪」

キョン「では…」

みくる「あれ?どこ行くんですか?」

キョン「いや、タクシーを止めただけだよ。さぁ行こうか」

みくる「は、はい…」

バタン

運転手「どちらまで?」

キョン「海までお願いします。20分で」

すっ ぎゅ

570 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 15:17:49.46 ID:iTKhJMU50

みくる「ひやぁぁ〜!!こ、怖いです…」ぎゅ

キョン「大丈夫か?」

みくる「ひえぇ…と、飛ばしすぎですようぅ…!!」ぎゅぅぅ

運転手「…もうじき着きます。どちらで降りられますか?」

キョン「ああ、そこでいいですよ。それから1時間待っててください」

運転手「はいよ。わかりました」

ガチャ

キョン「はいどうぞ」

みくる「は、はぇぇ…ありがとうございます…」

577 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 15:20:12.44 ID:iTKhJMU50

ざざぁーっ…
ざざぁーっ…

みくる「これが海…きれい…」

キョン「そうだな。綺麗だ」

みくる「………」

キョン「…」

カチ

シュボ…

みくる「…吸殻、捨てちゃだめですよ?」

キョン「はは、そうだな。わかってる」

ざざぁーっ…
ざざぁーっ…

582 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 15:23:38.09 ID:iTKhJMU50

みくる「…ね、綺麗ですね」

キョン「朝比奈さん。こっちを向いて」

みくる「は、はい?」

キョン「さぁ、話をする環境は整ったかな?」

みくる「え…と、知ってたの?」

キョン「それを聞かせてもらうためにここに連れてきたんだよ」ニコ

みくる「話しますね…ええっと、私は実は」

キョン「未来人、かな」

みくる「ひょえ!?」

587 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 15:26:35.58 ID:iTKhJMU50

キョン「ハハ、やっぱりか。さっきの台詞で確信したよ」

みくる「さっきの?」

キョン「これが海…」

みくる「あ」

キョン「で、いつから来たんだろうな?」

みくる「えっと、禁則事項…」

キョン「言えないのか、残念だなぁ。未来への影響を配慮して?」

みくる「そうなんです…ごめんなさい」ペコ

キョン「はは、こっちこそごめん。意地悪な質問だったな」

598 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 15:30:24.36 ID:iTKhJMU50

ざざぁ…

キョン「……」ふぅぅ…

みくる「どうしたんですか?そんな悲しい顔して」

キョン「うん?悲しい顔してたかい?」

みくる「うん。悲しいっていうか、切ないっていうか…なんだろう」

キョン「…感慨深くてね。高校に入学してうん十年、求めていた不思議がやっと目の前に現れた」

みくる「…」

キョン「かつての同級生は皆卒業して大人になり、家庭を持ち、人としての幸せをつかんでいった」

キョン「俺自信焦りを感じた事がなかったというと嘘になる」ふぅぅ…

611 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/08(日) 15:35:43.58 ID:iTKhJMU50

みくる「キョンさんってホントは普通に卒業できたんじゃ…」

キョン「はは、それはないさ。未だに英語は不定詞がわからないからね」

みくる「…」

キョン「だけどな。今は高校生でよかったと思うんだ」

キョン「涼宮さんと出会い、長門さんと出会い、古泉君が転校してきて、そして朝比奈さんと出会えた」

みくる「キョンさん…」きゅん

キョン「高校生じゃなかったら、こんな楽しい事を知らずに生きていたんだと思うとな。留年も悪くないさ」

キョン「男に一番大切なのはロマンだと思うんだ。子供っぽいと笑うか?」ニカ

みくる「そんなこと…ないです!」

624 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/08(日) 15:39:19.64 ID:iTKhJMU50

急用。本当に申し訳ない、本当に。
残ってたら、再開はするけど時間かかると思う。
一応トリつけときます。保守・支援thxでした!
申し訳ない…本当に!

936 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 00:41:53.26 ID:pf7DTAIy0

みくる「キョンさんを笑える人なんて居ませんよ、きっと」

キョン「そう言ってくれると気が楽になるよ。朝比奈さんに話してよかった」ニコ

みくる「…キョンさん」

キョン「さぁ、話の続きを聞かせてくれるか?集合時間まではまだある」

みくる「はい。さっきおっしゃった通り、私は未来から来ました」

キョン「理由は聞いても良いのかな」

みくる「実は、ある時から過去に戻れなくなってしまって…」

キョン「その時というのが涼宮さんに関係しているんだな」

みくる「そうです。信じてくれますか?」

キョン「勿論だ。心から思うよ、留年してよかった。人生を棒に振ってまで待った甲斐があった」

みくる「人生を棒に振るなんて…そんな事ないですよ」

942 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 00:49:49.10 ID:pf7DTAIy0

みくる「だってキョンさんは、こんなに素敵な男性に…」

キョン「…君たちの目にどう写ろうと、俺は社会不適合者なんだよ」ニコ

みくる「…キョンさん」

ざざぁー…ざざぁー…

キョン「…」 カチ シュボッ…

キョン「…」ちり…チリ…

キョン「いくら稼ごうが、いくら歳を食おうが…周りからは白い目で見られる」

みくる「キョンさんは皆から慕われてるじゃないですか!」

キョン「はは。でもな、自覚はしているよ。俺がどれだけ家族に迷惑をかけているか」

みくる「…」

キョン「それでも俺は待ってよかった。高校に入ってウン10年…ようやく出会えた」チリ…ちり…

キョン「朝比奈さん」

みくる「…はい」

キョン「俺に会いに来てくれてありがとう」ニコ

みくる「……はい…」きゅん

954 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 00:56:08.02 ID:pf7DTAIy0

キョン「さぁ、帰ろうか」

みくる「…キョンさん」

キョン「うん?」

みくる「…海、連れてきてくれてありがとうございました」ペコ

キョン「はは、どういたしまして。心ばかりのお礼だと思ってくれ」

みくる「あの…また…。また連れてきてください」

キョン「そうだな、またくじで一緒になるといいな」

みくる「え…」

キョン「運転手さん、待たせて済まん。駅前まで安全運転で頼む」

運転手「はいよ」

キョン「さぁどうぞ、朝比奈さん」

みくる「…ありがとうございます」

バタン

ブゥゥゥゥン…

976 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 01:08:04.97 ID:pf7DTAIy0

キョン「時間、ぎりぎりになりそうだな」

みくる「そうですねぇ。涼宮さんに怒られちゃうかなぁ」

キョン「大丈夫、怒られるとしたら俺だよ」

みくる「…そうかな」きゅううぅ

キョン「はは、腹減ったか?」

みくる「…はい」かぁぁ

キョン「朝比奈さんは何が好きだったかな」

みくる「えっとぅ…パスタとか好きですよ。キョンさんはあんまり好きじゃなさそうですけど」

キョン「はは、まぁな。お、そろそろだ。運転手さん、そこで」

983 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 01:11:03.55 ID:pf7DTAIy0

【昼・駅前】

ハルヒ「キョン、遅いじゃない!どこ行ってたの?!」

キョン「済まん。どこって、不思議探しだろう?」

ハルヒ「どこに行ってたのか聞いてんの!」

キョン「少し遠くにな。そっちは何か収穫は?」

ハルヒ「…なんもなし。キョン達は何か見つけた?」

キョン「済まん。次は見つけられるように努力するよ」

ハルヒ「ま、良いけど。じゃあお昼ご飯食べましょ!キョン、何が良い?」

キョン「俺が決めていいのか?」

ハルヒ「特別にアンタに決めさせてあげるんだから早くしなさいよ」

キョン「そうだな。パスタでも食べようか」

みくる「!」

34 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 01:24:28.34 ID:pf7DTAIy0

ハルヒ「パスタね。悪くないわ、さっさと行きましょう」

キョン「そう走るな。俺ももう若くないんだ」

ハルヒ「なに老けた事言ってんの、まだ30過ぎでしょ!ほら急ぐ!」

キョン「…やれやれ」

ウィーン

ハルヒ「すいません、4人喫煙席で」

店員「かしこまりました。テーブル席にどうぞ」

ハルヒ「よし、キョンはここ」

キョン「で、隣に涼宮さんか?」

みくる「す、涼宮さんずるいですぅ!!」

長門「…平等にじゃんけんで決めるべき」

キョン「…待ってくれ。俺はカウンターで食うよ、タバコ吸うしな。お前達に受動喫煙は良くないだろう」

63 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 01:32:27.53 ID:pf7DTAIy0

ハルヒ「…午後こそはキョンと一緒になるわよ」

長門「彼と図書館に」

みくる「…もう一回おねがいします…」

ばっ

ハルヒ「よっし、アタシがキョンとね!」

キョン「みたいだな。よろしく涼宮さん」

ハルヒ「ふふん、さぁ行くわよキョン!」ぐいっ

キョン「おい、ちょっと待て。先に出ててくれるか」

ハルヒ「なによ?みくるちゃん達に別れの挨拶でもしたいの?」

キョン「涼宮さん、頼む」

ハルヒ「…むぅ。わかったわよ」トテトテ

ウィーン…

キョン「やれやれだ。さて、俺も行くか。じゃあな長門さん、朝比奈さん」ぱっ

長門「あ」
みくる「私達の伝票を…」

90 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 01:37:38.65 ID:pf7DTAIy0

トテトテ

スタスタ

ハルヒ「ねぇキョン。あたし、こういう街中にこそ不思議ってあると思うのよね」

キョン「どうしてだ?」

ハルヒ「んん、なんとなく。意外に身近なところに居るんじゃないかなって」

キョン「そうだな。あながち間違いでもないさ」

ハルヒ「え?それってどういう…」

警察官「すみません、ちょっと良いですか?職務質問をさせていただきたいのですが」

ハルヒ「!」

106 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 01:42:28.86 ID:pf7DTAIy0

キョン「…」

警察官「親子ですか?今日はショッピングに?」

ハルヒ「ちょっとアンタ、何の権限があってあたし達を…」

キョン「こら、涼宮さん。警察官に食って掛かってどうする」

ハルヒ「む…だってコイツが貴重な時間を…」

キョン「コイツじゃない。俺の後輩だ」

警察官「え?」

ハルヒ「え?」

キョン「久しぶりじゃないか。頑張ってるようだな」ニコ

警察官「キョンさん!お久しぶりです!まだ高校生だったんですね」

キョン「ああ、おかげさまでな。この子は同級生だ。許してやってくれ」

警察官「いえいえ、全然気にしてないですよ。いやぁでも久しぶりですね」

ハルヒ「…」

129 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 01:48:44.80 ID:pf7DTAIy0

キョン「ま、頑張れよ。時間取らせて悪かった」

警察官「いえ、僕のほうこそ」

キョン「またいつでも連絡して来い。飯でも行こう」

警察官「はは、高校生に飯連れてってもらう警察官もなかなか居ませんよ」

キョン「まったくだ」ニコ

警察官「あ、お嬢ちゃん、さっきは失礼したね」

ハルヒ「良いのよ、キョンの後輩なら」

警察官「この人は僕が世話になった人でね。人物は保障するよ」

キョン「こら、その辺にしとけ」

ハルヒ「アンタに言われなくてもわかってるわよ!」いー

警察官「はは。それじゃあキョンさん、また」

キョン「ああ、またな」ニコ

142 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 01:58:32.89 ID:pf7DTAIy0

ハルヒ「…キョンってさ」

キョン「うん?」

ハルヒ「後輩から尊敬されてんのね」

キョン「はは、そんな器じゃない」

ハルヒ「でもあんな若い人にも顔知れてるじゃない」

キョン「まぁ…慕ってくれる後輩は可愛いもんだ」

ハルヒ「キョンにとって、私たちもただの可愛い後輩なの?」

キョン「うん?そりゃあ可愛いさ」

ハルヒ「そうじゃなくて!その…女の子として見てくれてんのかってこと!」かぁぁ

キョン「はは、そっちか」

ハルヒ「わかってるくせに言わせるな!」かぁぁ

キョン「後輩だなんて思ってないさ」

ハルヒ「…え」

キョン「俺にとって大切な同級生だからな」

160 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 02:05:53.04 ID:pf7DTAIy0

トテトテ
スタスタ

ハルヒ「ねぇキョン」

キョン「うん?」

ハルヒ「アンタってさ、どんなのが好みなの?」

キョン「わからんな」

ハルヒ「…じゃあ、どんな人と付き合ってきたの?」

キョン「色々さ」

ハルヒ「……多いんだ?」

キョン「多くはないと思うぞ」

169 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 02:11:44.73 ID:pf7DTAIy0

ハルヒ「……」

キョン「涼宮さんはどんな男が好きなんだ?」

ハルヒ「大人な人よ」

キョン「うん、良いじゃないか。涼宮さんには合いそうだ」

ハルヒ「そう思う!?」

キョン「ああ。涼宮さんは本当に誰かに引っ張って欲しいんだろう?」

ハルヒ「…そう、かも。そうなのかしら。なんでそう思うの?」

キョン「そんな顔をするからさ」

ハルヒ「…!」

177 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 02:16:50.83 ID:pf7DTAIy0

ハルヒ「そんな人、なかなか居なかったけどね」

キョン「まだ15年しか生きてないんだ。まだまだ世間は広い」

ハルヒ「そうね。15年目にしてまさかの出会いだわ」

キョン「そうか」ニコ

ハルヒ「…そうよ」

キョン「…」カチ シュボ…

ハルヒ「なんでその後は聞かないのよ!?」

キョン「大事にして欲しいからだ。軽々しく人に言うもんでもないだろう」ふぅ…

ハルヒ「…あんまり女を手玉にとってると痛い目見るわよ」

キョン「はは、気をつけるよ」ニコ

184 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 02:23:38.44 ID:pf7DTAIy0

キョン「もうこんな時間か。そろそろ集合時間だ」

ハルヒ「…ねぇ、解散してからどっか連れてって」

キョン「遊びに行きたいのか?明日は学校だぞ」

ハルヒ「休んだって良いわ」

キョン「…やれやれ。勉強は俺達学生の本分だぞ」

ハルヒ「関係ないわ!ね、行くでしょう?」

キョン「そうだな、皆に聞いてみよう」

ハルヒ「なんではぐらかすの、卑怯者!」

キョン「卑怯?」

ハルヒ「卑怯よ。大人は皆卑怯。アンタも一緒だわ!」

キョン「……そうだな。なら言おうか」

ハルヒ「なにをよ」

キョン「今日は帰りなさい」

190 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 02:28:50.49 ID:pf7DTAIy0

ハルヒ「…!」

キョン「そんな顔しないでくれ」

ハルヒ「だってアンタが…!」

キョン「もう暗くなる。親御さんが心配するだろう」

ハルヒ「親なんて…」

キョン「本当にどうでも良いか?」

ハルヒ「……良くない」

キョン「よし。だったら今日は帰りなさい。また明るいうちにどこか遊びに行こう」

ハルヒ「絶対よ!?約束しなさい!」

キョン「約束は守るさ。指きりでもするか?」ニコ

ハルヒ「する!」

キョン「はは、ほら、もう皆集まってるぞ。解散の合図をかけてやれ」

198 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 02:34:56.37 ID:pf7DTAIy0

【次の日・授業中】

キョン「…」かりかりかり

ハルヒ「すーっ…ぐぅ…」

キョン「…」かりかりかり





キョン「先生」

先生「ん?どうしたキョンさん」

キョン「便所に行ってきます」

先生「…わかった、行きなさい」

キョン「失礼します」

スタスタ

ガラガラ

208 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 02:40:03.60 ID:pf7DTAIy0

キョン「…」スタスタ

古泉「こんにちは、やっとお話する事ができましたね」

キョン「こんにちは。古泉君か」ニコ

古泉「おや、僕の事をご存知でしたか」

キョン「涼宮さんがしきりに気にしていたからな。学校にはもう慣れたかい?」

古泉「おかげさまで。いやはや、貴方には驚かされます」

キョン「うん?」

古泉「少しお話したいことがありまして。ここではなんですし、場所を変えましょう」

キョン「わかった。その前に便所だ」

古泉「おっと、これは失礼しました。どうぞお済ませください」ニコ

219 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 02:45:16.51 ID:pf7DTAIy0

ざざぁー…

キョン「待たせたな、少しついてきてくれ」

古泉「どちらまで?」

キョン「教室だ。便所と言って出てきたから断りを入れておくよ」

古泉「律儀ですね」

キョン「当然だ。俺のせいで授業がストップしていたらどうする」

古泉「正論ですね」

キョン「まして今の授業の担当教員は若い。俺に気を使わせたら悪いしな」

古泉「なるほど。そういうことでしたら付き合いましょう」

キョン「うん、助かるよ」ニコ

ガラガラ

キョン「先生、少し空けます。授業は出られません」

先生「…早く帰って来るんだぞキョンさん」

キョン「わかりました。すみません」

233 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 02:50:26.67 ID:pf7DTAIy0

古泉「先ほどの教師は変わった方ですね。さん付けなのに敬語を使わないとは」

キョン「ああ、あれは俺がそうしてくれるよう頼んだんだ」

古泉「あなたが?」

キョン「ああ。いくら年上とは言え立場はあちらが上だ」

キョン「俺は教えを請う者としての礼儀を弁えたいし、敬語を使われては周りの学生の混乱も招くだろう」

キョン「それでも呼び捨てにはできない、と言ってさん付けにされたけどな」

古泉「なるほど。納得しましたよ」

239 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 02:56:07.47 ID:pf7DTAIy0

古泉「それで、話ですが」

キョン「まぁ食堂で話すことでもないだろう。飯行くか?」

古泉「良いんですか?ではご一緒させてもらいましょう」

キョン「この近くに行きつけの蕎麦屋があるんだ。そこで良いかな」

古泉「ええ、ぜひ」





【蕎麦屋】

キョン「親父、ざる大盛りを二つくれ」

親父「あいよぉ。いつもありがとなキョンさん!」

古泉「…ご馳走様です」

キョン「良いさ。まぁ食べなさい」ニコ

243 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 03:00:24.24 ID:pf7DTAIy0




古泉「いやぁ、こんなに美味しいそばやさんがあるとは知りませんでしたよ」

キョン「喜んでもらえたようで良かった」

カチ カチ…シュボッ…

キョン「よし。話を聞かせてくれるか?君は一体何者だろう」

古泉「…僕は、超能力者です」

キョン「なるほど。面白いな、続けてくれ」

古泉「簡潔に言いましょう。涼宮さんには、願望を実現する能力があります」

キョン「おお、やっと繋がったな」

246 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 03:04:51.62 ID:pf7DTAIy0

古泉「繋がった?という事は、あの二人からもアプローチを?」

キョン「ああ。偶然で済ますにはあまりにもと思っていた」

古泉「…まったく、貴方には驚かされてばかりです」

キョン「『人間原理』というものがあってな」

古泉「え」

キョン「知っているか?」

古泉「…はい、知ってます」

キョン「博識だな君は」ニコ

古泉「恐れ入ります…」

キョン「要するに、涼宮さんの前では確率論は成立しない…で良いか?」

古泉「仰る通りでございます」

255 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 03:09:52.71 ID:pf7DTAIy0

キョン「素晴らしいな。本当に」

古泉「ええ。それと同時に危険でもあります」

キョン「危険?どうしてだ?」

古泉「願望が実現する…それは同時に、彼女の機嫌一つで世界崩壊の危険性すら孕んでいるのです」

キョン「はは、なるほどな」

古泉「笑い事ではありませんよ。もしかしたらこの世界自体がすでに…」

キョン「はは…」

カチッ シュボ…
すぅー…ふぅぅ…

キョン「古泉君」

古泉「はい」

キョン「大丈夫だ」ニコ

265 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 03:17:29.09 ID:pf7DTAIy0

古泉「…貴方が言うのならば大丈夫なのでしょうが…なぜ確信がもてるのでしょうか」

キョン「彼女はそんなに子供じゃない」ふぅぅ…

古泉「しかし」

キョン「古泉君」

古泉「…」

キョン「小心者は男を下げるぞ」ニコ

キョン「俺はこの学校で長いこと過ごしたが…彼女ほど純粋で優しい子はなかなか見ない」

キョン「あの子が世界を崩壊させるような事はないさ」

古泉「確かに…ここ最近はほとんど閉鎖空間も発生していませんしね」

キョン「少しは彼女を信用してくれたかな?」

古泉「ええ。しかし、可能性はゼロではありませんよ」

キョン「心配ないよ」

古泉「なぜ」

キョン「俺がいる」ニコ

275 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 03:24:09.97 ID:pf7DTAIy0

古泉「いや、参りました。心配はなさそうだ」

キョン「彼女はそんなに子供じゃないさ」

古泉「そのようですね。…一つお願いがあるのですが」

キョン「なんだ?言ってみなさい」

古泉「僕もぜひ、SOS団に入団させてもらえませんか」

キョン「それは涼宮さんに言ってみると良い。彼女が団長だ」

古泉「では今日の放課後、部室に行っても良いですか?」

キョン「もちろんだ。彼女も喜ぶだろう」ニコ

403 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 10:55:47.90 ID:pf7DTAIy0

古泉「今日はご馳走様でした」ペコ

キョン「ああ、俺も面白い話を聞かせてもらって満足だ。じゃあ授業に戻ろう」

古泉「そうですね。涼宮さんの機嫌を損ねるのも良くないですし」

prrrrr
古泉「!」

キョン「出て良いぞ」

古泉「はい、すみません。……もしもし」

キョン「…」

古泉「わかりました。…久しぶりですね、すぐに向かいます」

ピッ

キョン「?」

古泉「ちょうど良い機会です。もう少しお時間頂いてもよろしいですか?」

キョン「俺は良いけど、何かあったのか?」

古泉「どうやら貴方の帰りが遅いので彼女の機嫌を損ねてしまったようですよ」

キョン「ああ、さっき話してた閉鎖空間か」

古泉「ええ、では外に迎えが来ます。僕の能力をお見せしましょう」

412 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 11:03:40.29 ID:pf7DTAIy0

ブゥゥゥゥン…キキッ

古泉「どうぞ、キョンさん」

キョン「うん、ありがとう」

バタン

新川「お待たせいたしました」

キョン「おう、新川」

古泉「!」

新川「うん?おう、キョンさんか!久しぶりだな」

キョン「まったくだ。元気にやってるか?」

新川「見ての通りさ。忙しい毎日を送ってるよ」

キョン「はは、みたいだな。車内は禁煙か?」

新川「一応禁煙車だが構わんよ」

キョン「禁煙ならやめとくよ」

古泉「…」

419 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 11:11:14.20 ID:pf7DTAIy0

古泉「キョンさん、新川さんとはどういった間柄で…?」

キョン「ああ、済まん。新川には昔良く遊びに連れてってもらってな」

新川「ははは、昔の話だ」

キョン「まぁそうだな。俺が若かった頃の話だ」

古泉「はぁ…」

新川「どうだキョンさん、今日仕事が終わったら一杯」

キョン「良いぞ。久しぶりに街に出るか」

新川「相変わらず元気だな。さっさと終わらせよう」

キョン「そうだな。古泉君、目的地はどこだ?」

古泉「あ、もうすぐです……」

425 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 11:18:16.20 ID:pf7DTAIy0

古泉「ここです」

キョン「…普通の街並みだな」

古泉「ええ。それではお連れしましょう。手をつないでいただけますか」

キョン「うん、これで良いかな」

ギュ

古泉「!」

キョン「ん?」

古泉「いえ、手…おおきいんですね。まるで父親のような…」

キョン「君の父親にしては若すぎるさ」

古泉「…失礼しました。それでは目を瞑ってください」

キョン「はは、何が始まるんだろうな」

すっ

433 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 11:27:13.55 ID:pf7DTAIy0

【閉鎖空間】

キョン「すごい。これが閉鎖空間か」

古泉「そう。どうですか、感想は」

キョン「素晴らしい。俺の人生で初めての経験だ」

古泉「…嬉しそうですね」

キョン「嬉しいさ。今まで有り得ないと思ってたものが目の前にある。ロマンじゃないか」

古泉「キョンさんって、意外と子供みたいな一面もあるんですね」

キョン「勿論だ。高校生だからな」

古泉「ふふ、ごもっともです」

437 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 11:33:54.34 ID:pf7DTAIy0

古泉「それではお見せしましょう、僕達の能力を」

キョン「ここでだけ発動される超能力、か」

古泉「そう。あれを倒すのが僕達の役目です」

神人「ぐおおおおお」

ズガーン

キョン「…凄いな」

古泉「では、少しここで見ていてください」

キョン「頑張ってな」ニコ

古泉「ありがとうございます。すぐに戻りますよ」

ひゅーん

469 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 11:45:49.19 ID:pf7DTAIy0





古泉「お待たせしました、ただいま帰りましたよ」

キョン「うん、お疲れさん」

古泉「驚かれたでしょう?」

キョン「ああ。君が羨ましい」

古泉「…貴方に羨ましいなんて言われるとくすぐったいですね」

キョン「羨ましいさ。俺も憧れていたことがある。世界を救うスーパーヒーローってもんにな」

古泉「ふふ、苦労もしますけどね」

キョン「そうだな、軽率だった。すまん」

古泉「いえ。それに、僕は貴方が羨ましいですよ」

キョン「俺はしがないおっさんだ。若いうちからそんなもんに憧れるもんじゃない」ニコ

482 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 11:54:46.57 ID:pf7DTAIy0

【学校】

キョン「すっかり遅くなったな」

古泉「付き合っていただいてありがとうございました」ペコ

キョン「礼を言うのは俺のほうだよ」ニコ

古泉「…すごい人ですね」

キョン「ありがとう。部室に来るんだろ?」

古泉「ええ。迷惑でなければ是非行かせてください」

キョン「俺は大歓迎だ。じゃあ後でな」

古泉「はい!」

490 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 12:14:50.88 ID:pf7DTAIy0

【放課後】

コンコン

キョン「…」

みくる「はーい。どうぞぅ」

ガチャ

キョン「遅くなってすまん。皆揃ってるな」

ハルヒ「ちょっとキョン!アンタどこ行ってたのよ?」

キョン「すまん、少し知り合いと出かけてたんだ」

ハルヒ「人に学校は休むなーなんて言ってたくせに」

キョン「はは、すまん。許してくれ」

ハルヒ「しょうがないわね…今回限りよ!」

キョン「気をつけるよ。ところで涼宮さん、面白い話があるんだが」

ハルヒ「なになに?」

キョン「入団希望者が居るんだが」ニコ

495 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 12:20:07.65 ID:pf7DTAIy0

ハルヒ「ふぅーん。どんな人?」

キョン「有能な子だよ」

ハルヒ「あんたが言うなら大丈夫でしょうね。今日来るの?」

キョン「来るはずだぞ」

ハルヒ「女の子?」

キョン「気になるか?」

コンコン

キョン「噂をすればだな。空いてるよ」

ガチャ

古泉「失礼します。すみません、急にお邪魔して」

キョン「涼宮さんに話はしてあるよ」

ハルヒ「へぇ、男の子ね。良いわよ、キョンのお墨付きだし」

502 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 12:31:19.45 ID:pf7DTAIy0

キョン「よかったな」

古泉「ええ、おかげさまで。よろしくお願いします」

キョン「さて…涼宮さん。俺は悪いが先に帰らせてもらって良いか?」

ハルヒ「えー?なんでよ?」

キョン「古い友人と飯に行く約束してるんだ。もうじき迎えに来る」

ハルヒ「あたしも行って良い?」

キョン「今日はなぁ…大人の話もあるから」

ハルヒ「…うー…」

キョン「…」

ハルヒ「…」

キョン「…やれやれ。一緒に行くか?皆も」

みくる「ふぇ?い、良いんですか?」

長門「行く。ぜひ」

古泉「すみません、ご一緒させていただきます」

511 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 12:47:07.05 ID:pf7DTAIy0




キョン「というわけだ。すまんな」

新川「はは、相変わらずだな。構わんよ」

キョン「ほら、お前達は後ろに乗せてもらいなさい」

ハルヒ「ん、よろしくねおじさん!」

みくる「し、失礼しまぁす…」

長門「…」ペコ

古泉「お願いします」

バタン

ブゥゥン…

キョン「すまんな、久しぶりなのに」

新川「良いさ。キョンさんは後輩の頼みは断れないもんな」

キョン「後輩じゃない、同級生だよ」

新川「はは」

514 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 12:55:54.36 ID:pf7DTAIy0




キョン「で、最近はどうなんだ」

新川「落ち着いたもんさ。キョンさんはどうだ」

キョン「楽しい学生生活を送ってるよ、この子達のおかげでな」

新川「みたいだな。前会った時より若々しいよ」

キョン「新川には敵わないよ」

新川「それは褒めてるのか?」

キョン「はは、当然だろ。さて、そろそろ行くか。遅くなっても良くない」

新川「そうだな。この子達は送ってくのか?」

キョン「そうしよう。親御さんに心配かけてもいけないしな」

ハルヒ「キョン!あたし達も行くわよ!」

新川「…だそうだぞ」クス

キョン「……やれやれだ」はぁ

516 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 13:01:33.89 ID:pf7DTAIy0

キョン「俺達は風呂でも入りに行くつもりなんだが、行くのか?」

ハルヒ「行くわ!有希もみくるちゃんも行くわよね?」

みくる「はい、行きますぅ!」

長門「行く」

新川「まぁ風呂くらい良いんじゃないか?そんなに遅くもならんだろうし」

キョン「…すまんな、じゃああそこの温泉で良いか?」

新川「あそこか。懐かしいな」

キョン「よし、決まりだな。古泉君、お前達は先に車乗っててくれ」

古泉「はい、わかりました。どうもご馳走様です、お昼に続いて…」

キョン「はは、気にするな」

518 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 13:04:58.17 ID:pf7DTAIy0




【温泉】
キョン「じゃあまた後でな」

ハルヒ「うん。ゆっくり入ってても良いよね?」

キョン「ああ、ゆっくりしてきなさい」ニコ

ハルヒ「じゃあまた後でね!」

トテトテ

トテトテ

スタスタ

スタスタ

522 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 13:12:31.56 ID:pf7DTAIy0

ヌギヌギ ヌギヌギ

古泉「…キョンさんって結構筋肉質なんですね」

キョン「そうか?まぁスポーツも色々経験したからな」

ヌギヌギ ヌギヌギ

パサッ

古泉「おぉ…」

キョン「じゃあ行くか」

新川「おう。懐かしいな、よく昔は二人で飲んでから来たもんだ」

キョン「そういえば泥酔してて追い出されたこともあったよな」

新川「あったあった。若かったな…」

549 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 14:04:30.77 ID:EH8fer1HO

【女湯】

ハルヒ「結局お風呂までついて来ちゃったわね」

みくる「気持ち良いなぁ…」ぽーっ

長門「……良い気持ち」

ハルヒ「キョンってさ、はじめはいけ好かないおっさんだったけど」

ハルヒ「…やっぱり、カッコイイわよね」

みくる「はい。私も…憧れちゃいます」

ハルヒ「憧れかぁ…。やっぱり、ただの年上に対する憧れなのかしら」

みくる「え?もしかして涼宮さん…」

ハルヒ「べ、別に変な意味じゃないわよ?あたし達の倍も生きてるおっさんなんだし…」

長門「…」

554 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 14:13:03.92 ID:EH8fer1HO

長門「この仕切りの向こう」

みくる「ふぇ?」

長門「彼が居ると予想される」

ハルヒ「な!なに言ってんのよ有希!修学旅行に来た中学生じゃないんだから」ドキドキ

長門「…登る事は可能。そして他の客はいない」

みくる「…なに言ってるんですか長門さん、ダメですよぅ」ドキドキ

長門「…興味深い」

ハルヒ「登れるかしら…」

みくる「涼宮さんまで…バレたらキョンさんに怒られますよ」

560 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/09(月) 14:20:08.34 ID:EH8fer1HO

ハルヒ「あら、じゃあみくるちゃんは見たくないのね?」

みくる「み、見たくありません」かぁぁ

ハルヒ「わかったわ。有希、登るわよ」

長門「わかった」コク

みくる「…ちょっと待ってぇ。私も行きます!」

ハルヒ「やっぱり見たいんじゃない。大丈夫、チラッとだから怒られないわよ」

よじ…
よじよじ…

618 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/09(月) 17:07:43.84 ID:EH8fer1HO

【男湯】

かぽーん…

キョン「どうした古泉君。さっきから静かだな」

古泉「すみません、少し尻込みしてしまって」

キョン「はは、何をだ。遠慮する事ないぞ?」

新川「らしくないじゃないか、古泉」

古泉「貴方達のような大人の男性に挟まれるとどうも緊張してしまって…」

キョン「俺達はまだ子供だよ。なぁ新川?」

新川「はは、まったくだなキョンさん」

古泉「…」

627 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/09(月) 17:20:44.21 ID:EH8fer1HO

新川「古泉、前を隠すな」

古泉「え?いや、そういう訳にも…」

新川「恥ずかしいか?」

キョン「おい、あんまり虐めてやるなよ新川」

新川「はは、すまんすまん」

古泉「はぁ…助かりますキョンさん」

キョン「良いさ。でもな古泉君」

古泉「なんでしょう」

キョン「タオルを湯舟に浸けるのはマナー違反だな」

古泉「…いや、貴方達のを見せられた後には出せませんよ」

キョン「なんだ、そんな事を気にしてたのか?」

新川「男の価値はそんなもんで決まらんよ。なぁキョンさん」

キョン「こら新川、なんて事言うんだ。仕切りの向こうには女の子も居るんだぞ」

ハルヒ・長門・みくる『!?』ギクッ

630 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/09(月) 17:25:33.63 ID:EH8fer1HO

【女湯】

つるっ

ハルヒ「!」

みくる「きゃあーー!!」

長門「…っ!」

ボッチャーン!!!

【男湯】

『きゃー!』

『ぎゃー!!』

ボッチャーン!

キョン「…」

新川「…」

古泉「…」

キョン「はは、若いなぁ」

新川「良いじゃないか、青春真っ只中で」

631 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/09(月) 17:29:16.08 ID:EH8fer1HO

【30分後】

古泉「ふぅ…すみません、先に上がっていいですか」

キョン「のぼせたか?良いよ、上がりなさい」

新川「すまんキョンさん、先にあがる」

キョン「新川もか。俺はもう少し暖まってくよ」

新川「おう、お先」

古泉「お先です」ペコ

キョン「おー」ひらひら

キョン「…」

キョン「…あぁ、良い湯だ」

かぽーん…

632 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/09(月) 17:32:50.66 ID:EH8fer1HO

【20分後】

キョン「…そろそろ上がるか」

ざばぁっ

ガラガラ

キョン「…」

ふきふき

キョン「涼宮さん達を待たせてしまったかな…行くか」

スタスタ

スタスタ

スタスタ

「おや、珍しい事もあるものだね」

キョン「!」

640 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/09(月) 17:40:27.07 ID:EH8fer1HO

キョン「おう佐々木」

佐々木「くつくつ、相変わらずだね君は。久しぶりの再会なのに昨日別れたばかりのような挨拶だ」

キョン「そりゃ悪かったな」

佐々木「悪くないさ。僕は好きだよ。僕達の間だからこそ許される行為がね」

キョン「俺もお前じゃなかったらきちんと挨拶するさ」

佐々木「くつくつ、嬉しいね」

キョン「お前も風呂上がりか?」

佐々木「そうなんだ。どうかな、少しは女が上がって見えるだろう」

キョン「ああ、見違えたよ」ニコ

647 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/09(月) 17:46:58.04 ID:EH8fer1HO

佐々木「今日は一人かい?」

キョン「いや、古いダチとな。あと同級生も連れて来てる」

佐々木「残念だよ。学校は楽しいかい?」

キョン「皮肉たっぷりだな。ああ、今年は入学して1番の年になりそうだ」

佐々木「僕としてはあまり面白くない話だね。僕と過ごした青春は楽しくなかったかい?」

キョン「楽しかったさ。お前は俺の初めての同級生だからな」

佐々木「あれからもう何年経つのかな。……若かったね」

キョン「ああ、若かった」

669 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/09(月) 18:03:48.25 ID:EH8fer1HO

佐々木「今は何年生なんだ?」

キョン「一年生さ。今年は進級できると良いな」

佐々木「いくら誘っても進級しようとしなかった君がそんな事を言うとはね」

キョン「ああ…。お前には悪い事をしたな」

佐々木「殊勝だね。良いんだ。君の生き方を許容できなかった僕が悪いんだよ」

キョン「佐々木」

佐々木「許容じゃないな。僕は普通の人間だからね。君のように社会に刃向かう事は出来なかった」

682 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/09(月) 18:21:45.29 ID:EH8fer1HO

佐々木「進級するつもりと言う事は、君は見つけたのか」

キョン「ああ。やっと見つけた」ニコ

佐々木「くつくつ。嬉しそうな顔をして。心はあの時のままのようだね」

キョン「身分も高校生だがな」

佐々木「それもそうだ。その少年ぽさも含めて、僕は君が好きだった」

キョン「佐々木」

佐々木「そんな顔をしないでくれ。君の選択は正しかった。そうだろう?」

キョン「ああ。高校生で本当によかったと思ってる」ニコ

696 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 18:40:37.69 ID:pf7DTAIy0

佐々木「時間が経つのは早いね」

キョン「はは、まったくだ」

トテトテ

ハルヒ「キョーン!なにやってんの!?遅い!」

佐々木「おや、あれが今の君の女神さまだね」

キョン「はは、そうかもな」

トテトテ

ハルヒ「キョン!ん?……誰それ」

キョン「こらこら、失礼なことを言うんじゃない。コイツは佐々木だ。すまんな佐々木」

佐々木「構わないよ。よろしくね、お嬢さん。私は佐々木。キョンの最初の同級生です」ニコ

ハルヒ「む…」

ハルヒ(綺麗……)

ハルヒ(キョンの事を呼び捨てに…)

702 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 18:51:42.04 ID:pf7DTAIy0

ハルヒ「で?」ムスッ

キョン「で?どうした?」

ハルヒ「この佐々木さんとはどういう間柄なのよ」

佐々木「ふふ、親友よ」

ハルヒ「親友…友達じゃないの?」

キョン「ほら涼宮さん。そんなに突っかからない」ニコ

佐々木「くつくつ。これ以上彼女を妬かせると罰が当たりそうだ」

キョン「帰るのか?」

佐々木「ああ。積もる話もあるが、また今度」ニコ

キョン「ああ、これが番号だ。またいつでも連絡してくれ」すっ

佐々木「ありがとう。また会おうね」

ハルヒ「…」

709 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 18:57:57.43 ID:pf7DTAIy0

ハルヒ「…」トテトテ

キョン「…」カチッ シュボ…

ハルヒ「…」トテトテ

キョン「…」ちり…

ハルヒ「綺麗な人ね」

キョン「綺麗だな」

ハルヒ「…高校の頃は世話になったんでしょ?帰らせてよかったの?」

キョン「…」ちり…

ハルヒ「……ねぇ」

キョン「…昔の女だ」ふぅ…

ハルヒ「…そっか。うん…そっかぁ…」

724 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 19:11:01.56 ID:pf7DTAIy0

ちり…

チリ…

ポロ…

ハルヒ「キョンのそんな顔、初めて見る」

キョン「…!」

ハルヒ「…ごめんね」

キョン「すまんすまん。怖い顔してたか?」ニコ

ハルヒ「うん。ちょっとだけ」

キョン「はは…ごめんな。さぁ帰ろうか。皆待ってる」

ハルヒ「そ、そうね。遅くなっちゃったな。あはは」

726 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 19:14:40.96 ID:pf7DTAIy0

ハルヒ「皆、キョン出てきたわよ!」

みくる「もう。遅いですよぅキョンさん」

長門「…ゆっくり」

キョン「はは、すまん。皆怪我しなかったか?」

みくる「ふぇ?」

長門「…!」

みくる「あ…だ、大丈夫です」かぁぁ

キョン「そりゃよかった」ニコ

新川「さぁ、皆さん。もう10時です。自宅までお送りしましょう」

732 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 19:18:20.65 ID:pf7DTAIy0





ハルヒ「今日はありがとう、キョン」

キョン「ああ、遅くなってしまってすまんな」

ハルヒ「おやすみなさい」

キョン「ああ、お休み」ニコ

ハルヒ「…あたしにはやっぱり、子供を見る目なの?」

キョン「うん?」

ハルヒ「ううん、なんでもない。おやすみ!」





744 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 19:27:04.16 ID:pf7DTAIy0

【深夜1時・居酒屋】

新川「…なるほどねぇ。佐々木さんか」

キョン「ああ。もう会うこともないと思ってた」

新川「人生は長い。いくらでもめぐり合わせはあるさ」

キョン「…そうだな。アイツのおかげで今の俺がある」

新川「佐々木さんか。高校の頃から良い女だったんだな」

キョン「…」カチ…

新川「…どうした?」

キョン「アイツの過去を語る資格なんてない」

新川「キョンさん」

キョン「うん?」

新川「タバコ。火ぃ付いてないぞ」カチッ

キョン「…すまん」シュボッ

763 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 19:45:01.57 ID:pf7DTAIy0

キョン「…」ふぅ…

新川「今でも好きなのか?」

キョン「それはない。俺が拒絶したんだ」

新川「彼女は?キョンさんの事を忘れて生きてるのか」

キョン「…忘れてるさ」チリ…ちり…

新川「…そうか」

キョン「人生ってやつは、一度選択肢から外したら二度と選べない道があると思わないか?」

新川「難しい質問だな」

キョン「俺にはもう選べない道がある。そして俺にはもう新しい道がある」

新川「それもまた人生だろうよ。飲もうぜキョンさん」

キョン「そうだな。すまん、魔王ロックを頼む」

783 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 20:14:21.48 ID:pf7DTAIy0





キョン「久しぶりに酔った。新川、今日はありがとうな」

新川「ああ、久しぶりにキョンさんと飲めて楽しかったよ」

キョン「ふぅ…昔を思い出した。今日は色んな巡り会わせがあった。これだから高校生は良い」

新川「はっは。じゃあな、また近いうちに」

キョン「うん、またな。お休み」

785 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 20:18:45.63 ID:pf7DTAIy0

ガチャ

キョン「…ただいま」

シーン…

キョン「もう寝てるか。…今日は疲れたな」

スタ…

スタ…

カチャ…

ぽふっ

キョン「……」

カチ

カチ

キョン「ライター…つかない…な……」

キョン「……」

キョン「…」

790 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 20:32:02.98 ID:pf7DTAIy0

【閉鎖空間・北高グラウンド】

キョン「…」

キョン「閉鎖空間か…」

キョン「俺の学校が閉鎖空間になってる」

キョン「やれやれだ…ん?」

ハルヒ「…」

キョン「涼宮さん?…おい、大丈夫か」

ゆさ  ゆさ

ハルヒ「…んんぅ…」ぴく

キョン「よかった、寝てるだけか」ほっ…

797 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 20:40:35.54 ID:pf7DTAIy0

カチ カチ

キョン「お、ライターが付くようになってるな」

シュボッ…

キョン「…」チリ…ちりちり…

キョン「ふぅ…」

ハルヒ「…ふぇ?キョン…?あたしの家…来て…あれ?」

キョン「大丈夫か?」

ハルヒ「うん…え?ここは?」

キョン「俺達の学校だ」

ハルヒ「あたし…夢見てるのかしら?」

キョン「夢だと良いと思うか?」

ハルヒ「……ううん」

802 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 20:52:54.94 ID:pf7DTAIy0

スタスタ

トテトテ

キョン「…」

ハルヒ「暗い…なんなのこれ」ぎゅ

キョン「涼宮さん」

ハルヒ「…なによ」

キョン「心配するな」

ハルヒ「…うん」

スタスタ

トテトテ

キョン「!」

ハルヒ「なにこれ?壁?」ぷにぷに

キョン「みたいだな。ここからは出られないみたいだ」

ハルヒ「…みたいね」

815 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 20:59:36.87 ID:pf7DTAIy0

キョン「仕方ない。携帯電話は持っているか」

ハルヒ「ないわ。寝る前は持ってたんだけど…」

キョン「ついてきなさい。学校の中に入ってみよう」

ハルヒ「…はい」

ガチャ

スタスタ

キョン「…ダメだ。電話も通じないな」

ハルヒ「どうするの?ねぇ…」

キョン「よし、部室に行くぞ。大丈夫か?」

ハルヒ「…一緒だから」

キョン「よし、良い返事だ。行こう」

824 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 21:07:44.26 ID:pf7DTAIy0

ハルヒ「ねぇキョン」トテトテ

キョン「どうした?怖いか?」

ハルヒ「…楽しいね」ぎゅ

キョン「…」

ハルヒ「えへへ」トテトテ

キョン「…さぁ部室だ。涼宮さん、ここでしばらく待っててくれ」

ハルヒ「え?なんでよ?あたしも行く!」

キョン「何があるかわからん。とにかく様子を見てくる。待てるな?」

ハルヒ「…でも」

キョン「女の子に怪我をさせたくないんだ。頼む」

ハルヒ「…はい」

ガチャ

バタン!

839 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 21:22:08.78 ID:pf7DTAIy0




キョン「遅かったな、古泉君」

古泉「すみません。予想外の出来事です」

キョン「予想外?」

古泉「ええ、新川さんから聞きましたよ。貴方の昔の恋人との再会、それを涼宮さんが目撃したことも」

キョン「…すまん、迷惑をかけたな」

古泉「いえ、とんでもない。…どうやらそちらの世界にはお二人しか居ません」

キョン「古泉君たちはどうなる」

古泉「どうでしょう。消滅するのか、それとも彼女とキョンさんを除いた世界が続くのか」

キョン「…そうか」

古泉「いわばアダムとイヴですよ。産めや増やせでもよろしいのでは?」

キョン「古泉君」

古泉「…はい」

キョン「その冗談はいただけない」

古泉「……すみません」

855 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 21:38:11.07 ID:pf7DTAIy0

古泉「朝比奈みくると長門有希から伝言があります」

キョン「あの子達から?…なんだ」

古泉「あくまで伝言です。強制ではありません」

キョン「言ってみなさい」

古泉「『帰ってきて』と」

キョン「…」

古泉「そして新川さんと…これは僕からの伝言でもあります」

古泉「貴方を支えた佐々木さん、貴方が待っていた涼宮さん。どちらの道を選んでも、貴方を恨みはしない」

古泉「ここまですべて自分で決めてきた貴方です」

古泉「貴方の決断にすべて委ねます」

古泉「以上です。それでは…またご縁があれば」

キョン「古泉君、ありがとうな」

古泉「これくらいの事しかできませんが…どういたしまして」

ふっ…

860 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 21:45:40.56 ID:pf7DTAIy0

キョン「…」カチ

シュボッ…

コンコン

ハルヒ「キョン?」

ガチャ

キョン「待たせたな。大丈夫だったか?」

ハルヒ「うん。怖かったけど…」

キョン「すまなかった。ハルヒ、大事な話がある」

872 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/09(月) 21:55:04.31 ID:EH8fer1HO

ハルヒ「え…え?キョン、今ハルヒって」ドキドキ

キョン「そうだな」

ハルヒ「もう一回…もう一回呼び捨てにして」

キョン「ハルヒ。聞いてくれ」

ハルヒ「…はい」きゅん

キョン「俺が高校に入学したのはもうずいぶん昔、まだハルヒが生まれてない時だ」

ハルヒ「…うん」

キョン「正直に言う。実は俺はいつでも進級は出来たんだ。だがしなかった」

ハルヒ「そう、そうよ。なんで?だってキョンは頭良いのに」

キョン「待ってたんだ」

ハルヒ「待ってた?」

877 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 22:01:23.65 ID:EH8fer1HO

ハルヒ「待ってたって…何」

キョン「ハルヒと同じだ」ニコ

ハルヒ「…不思議?」

キョン「宇宙人、未来人、異世界人、超能力者…。きっと居るはずだ、ってな」

キョン「そんな事を言ってる間に周りの友人は卒業していき、そして離れて行った。…恋人もだ」

ハルヒ「佐々木さん…?」

キョン「…そして十数年、やっと見つけた。ハルヒ、お前を見つけたんだ」

ハルヒ「あたしを?でも、あたしなんか普通の人間…」

884 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 22:08:49.69 ID:EH8fer1HO

キョン「これから俺が話す内容を信じるか?」

ハルヒ「…うん。信じます」

キョン「ハルヒ。お前には願望を実現する能力がある」

ハルヒ「………え?」

キョン「信じてくれるか?」

ハルヒ「キョンの言う事なら…。でも…本当なの?」

キョン「本当だ。その証拠に、俺が今ここにお前と居る」

ハルヒ「あたしがキョンと一緒に居たいって思いながら寝たから?」

キョン「そうか。…これだけじゃまだ信じられないな」

ハルヒ「…うん」

キョン「信じさせてやろう。目を閉じなさい」

ハルヒ「…はい」

896 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 22:14:18.73 ID:EH8fer1HO

ハルヒ「…ん」ぴく

キョン「信じたか?」

ハルヒ「……信じた」

キョン「…願望の続きを叶えてあげよう。こっちに来なさい、ハルヒ」ニコ

ハルヒ「…はい」

911 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 22:22:25.68 ID:EH8fer1HO





キョン「…」カチ

シュボ…

ハルヒ「…」

キョン「…」チリ…ちり…

ハルヒ「…あたし、ずっとここに居たい」

キョン「…ハルヒ。俺にとってお前は…」

キョン「卒業を避け続けて待っていた女性だ」

ハルヒ「…うん。ありがとう」

キョン「帰って、一緒に卒業しよう。ハルヒ」

918 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/09(月) 22:27:59.01 ID:EH8fer1HO

ハルヒ「わかったわ。もう留年しないのよね?」

キョン「はは、努力はするさ」ニコ

ハルヒ「…連れて帰ってあげる。でも…」

キョン「うん?」

ハルヒ「もうちょっとこうしてて」

キョン「はは。疲れただろ?少し寝なさい」

ハルヒ「…夢の中で寝るなんて、変な感じね…」

キョン「夢、か。そうかもな」なでなで

ハルヒ「おやすみなさい、キョン」

キョン「おやすみ」ニコ

チリ…ちり…

925 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/09(月) 22:35:52.80 ID:EH8fer1HO

【次の日・学校】

古泉「おはようございます、キョンさん」

キョン「古泉君、おはよう」ニコ

古泉「朝目覚めた時は思わず自分が生きているか確認してしまいましたよ。…ありがとうございます」

キョン「礼を言うのは俺の方だ」ニコ

古泉「貴方には本当に助けられますよ。ではまた放課後に」

932 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/09(月) 22:40:49.68 ID:EH8fer1HO

ハルヒ「キョン、おはよ」

キョン「ああ、おはよう。気分はどうだ?」

ハルヒ「すごく良いわ。良い夢を見たからかしら」

キョン「そうか、そりゃよかった」ニコ

ハルヒ「…」チラ

キョン「うん?どうした?」

ハルヒ「一回、呼び捨てで呼んでみて」

キョン「はは、なんだそりゃ」

キョン「……綺麗になったな、ハルヒ」



キョン「………」カチ

シュボッ…

キョン「やっと卒業だ」ふぅ…

938 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 22:43:15.57 ID:EH8fer1HO

終わりです。保守thxでした。
長くなってしまい申し訳ありません。
本当はもっと書きたい事あったけどレス足りないし自重します。鶴谷さんとか
長い事お付き合いありがとうございましたー

961 名前: ◆r3yksmPHg2 [] 投稿日:2009/02/09(月) 22:45:20.02 ID:EH8fer1HO

オチについては済まんかったとしか言いようがないな。
ギャグオチかハルヒエンド(事後orキス)か佐々木エンドで迷ったんだけど
期待裏切ってすいませんでした。

995 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/02/09(月) 22:48:44.53 ID:EH8fer1HO

けして手を出さなかったキョンがハルヒを抱いた事に意味を感じとってほしかった!
力量不足すまん



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