キョン「またハルヒからメールが着た…」


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9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/30(金) 00:11:11.69 ID:S41YTBlS0

朝、目が覚める。
外を見ると実に良い天気だ。
このような日は実に良いことがありそうだなと思ったが携帯のランプを見て憂鬱になる。
携帯のメールを見てみる。
30件も未着のメールが着ていた。全部ハルヒからだ。
昨日の夜ハルヒとメールしていたが途中で眠くなったから寝るとだけ送ったのにまだハルヒから着ている。
これまでもそこそこメールはしていたが、最近は量が多すぎる。
そろそろハルヒにガツンと言うべきだな、と俺はハルヒの顔を思い浮かべた。

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/01/30(金) 00:35:37.37 ID:S41YTBlS0

学校に着く。
どうやらハルヒはもう席にいるようだ。
さてハルヒにメールのことで苦情でも言おうかなと思ったらハルヒが声をかけてきた。
「キョンおはよ、昨日はあんた途中で寝ちゃったみたいね」
思いがけない挨拶で気勢がそがれる。
「あ、ああ。そうなんだ」
「寝るときはちゃんとおやすみなさいって送りなさいよ。じゃないとまだ起きてると思うじゃない」
ハルヒのいつもどおりの態度にあれだけ送ってきたメールは間違いなのかなと思ったもんだ。
「じゃあちょっとトイレ行って来るわ」
安堵したからか急に尿意が催してきた。荷物を机に置いてトイレに行くことにした。
「何よ別に言わなくて良いわよ」
ハルヒが面倒くさそうに返事を返す。

まあ確かにハルヒも慌てていたんだろう。ふとそう思ったとき携帯にメールが来た。
『私のメールは絶対に返事して』
おいおいどうなってるんだ…。これは。


24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/01/30(金) 00:46:49.73 ID:S41YTBlS0

教室に慌てて戻る。
ハルヒに先ほどのことを聞こうと思ったが、もう教師が来ていて授業が始まってしまった。
俺の腹の中に何ともいえない違和感を感じながら授業が進んでいく。
時折後ろをちらりと見るが、ハルヒは相変わらずつまらなそうな顔をしていた。
授業が終わり部活の時間。
掃除当番のためにハルヒだけ先に行く。
谷口と一緒だったため雑談で掃除に中々身が入らない。
知らない間に普段の掃除の時間よりも遅くなったようだ。
まあ部活に行く時間がちょっとくらい遅れても良いか。そう思ってたらかばんの中に入れてた携帯がゆれてる。
「おいおい携帯なってるぞ」
谷口がかばんのほうを指差す。少し嫌な予感がして携帯を見たらハルヒから20件も入っていた。
内容は『遅い』『今何してるの?』『早く来て』こんな短文ばかりのメールがずらっと並んでいた。
思わず鳥肌が立つのが分かる。

しかも俺が携帯を持っている間にもメールが着続ける。
「おいおいすげえメール着てるじゃねえか。もしかして彼女でもできたのか」
そう冷やかす谷口の声に思わず返事が出なかった。

33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2009/01/30(金) 01:01:00.79 ID:S41YTBlS0

慌てて部室へと向かう。
走っている間にも携帯が鳴り続ける。
部室が見えた。
乱暴にノックをして部屋に入る。
中には朝比奈さんと長門と古泉…そしてハルヒが団長席に座っていた。
「お、遅れてすまん」
大分走ったからか息が乱れて声が出にくい。
「キョン君そんなに走ってどうしたんですか?」
我がスイート園ジェル朝比奈さんが俺にそう声をかける、相変わらず優しい人だ。
そんな俺にハルヒが「キョン遅いわよ」と言った。
「あ、ああすまんな掃除が長引いて」
俺をちらりと一瞥したハルヒは「次遅刻したら罰金よ」とだけ言った。
メールのことは触れないんだろうか。
ハルヒのいつもどおりの態度とメールのギャップが俺は怖かった。

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/30(金) 01:13:27.26 ID:S41YTBlS0

下がるの早いからあげとく

42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/30(金) 01:16:30.28 ID:S41YTBlS0

「キョン君が走ってきたから冷たいお茶出しますね」
ああ朝比奈さんは相変わらず優しい。長門なんか本を読むだけで俺の心配なんかしやしない。
けしからんやつだ。
とりあえず古泉と一緒にゲームをすることにでもした。
「おや、僕が勝ちましたね。珍しいことでもあったもんです」
古泉が言う。本当はこんなことをするんじゃなくハルヒにどういうことかを聞かないといけないのだろう。
まるで頭に内容が入っていなかった。そのときである。
「キョン君どうぞ、きゃっ」
朝比奈さんがコードにでもひっかかったのだろうかお茶をこぼしてしまったみたいだ。
「ちょっとみくるちゃん何してるのよ」
ハルヒの罵声も飛ぶ。
さすがドジッ子、こういうハプニングを忘れない。
「朝比奈さん大丈夫ですか」
慌てて俺も一緒に床をふこうとする。
「いえいえ大丈夫ですよ、私がやりますから」
そうは言うがほっておけない。俺は一緒にふくことにした。
わざわざ俺のためにお茶を作ってくれたんだ。手伝わねば。

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/30(金) 01:30:44.81 ID:S41YTBlS0

この後は何事もなく部活は終わった。
バタン。
長門の本を閉じる音が部活の終わりの合図だ
「あ、キョン君今日は一緒に帰りませんか?」
朝比奈さんからの珍しいご提案だ。もちろんぜひ喜んでと条件反射で答えてしまった。
ふとハルヒを見る。窓の外を見ながら伸びをしていた。
一応団長だから許可を得ねばならん。
「ああ、ハルヒ今日は朝比奈さんと帰るわ」
「別に構わないわよ。みくるちゃんも襲われないようにしなさいね」
普段どおりの声に安堵する。許可を取ったから大丈夫だろう。
古泉と長門と別れて朝比奈さんとデートでもしゃれこもうか…そう思ったときまたメールがなった。
思わずびくりとする。
「おなか空いたからご飯でも食べに行きませんか?」
朝比奈さんは俺を笑顔で見ながら言う。
「あ、ああそうですね」
俺は引きつった笑顔で返す。
またメールが来る…。

怖い。この携帯が。
携帯にこんな感情を持つのは初めてだった。

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/30(金) 01:59:56.56 ID:S41YTBlS0

「どうしました?」
朝比奈さんが俺を覗き込むように見る。
「あ、すいません」
「キョン君顔色悪いですよ。大丈夫ですか?」
どうやら傍目から見ても分かるほど顔が白くなってたようだ。
「ちょっと気分が悪くなってきて」
「そうですか、残念ですね。じゃあまた今度にしましょうか」
俺を気遣ってくれたんだろう。相変わらず優しい方だ。
朝比奈さんと別れた後慌てて携帯を見る。またハルヒからだ。
さすがにこれには俺も腹が立ったので電話することにした。
ワンコールでハルヒとつながる

62 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/30(金) 02:03:09.74 ID:S41YTBlS0

「もしもし」
ハルヒの声はさっき話してたときと変わらなかった。
「もしもし、おいハルヒか?」
「何よ」
「何よじゃないだろ。お前どういうことなんだ?」
思わず怒気を含んだ声で言ってしまう。
「別にみくるちゃんと何してるのか気になったからメールしただけよ」
「ちゃんと帰るときにお前に言っただろ。何であんなにメールするんだ!」
「あんたがみくるちゃんに変なことをしないか心配だっただけよ!」
ハルヒも声が荒くなる。
「もう良い!俺にメールするな」
電話を切る。ふうこれで少しはハルヒのやつもこりただろ。
そう思ったらまたハルヒからメールが着た。
「あいつ人の話を聞いてたのか」
そうぼやきながら見る。
『ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい』
下までスクロールしてもぎっしりごめんなさいの一言のみ。
さすがにもう笑えなかった。

100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/30(金) 03:14:01.76 ID:S41YTBlS0

『ごめんね』
『許して欲しいの』
『私が悪かったから』
『ごめん』
『返事して』
『怒ってる?』
『まだ?せめて返信を』
『あくまで無視するのならこっちにも考えがあるわ』
『何故無視するの…』
家に着くまでどんどんとメールが増えてくる。一体どういうことなんだ。
俺は震える手で長門に電話する。
「もしもし俺だ、助けてくれ」
「どうしたの?」
いつもどおり無愛想な声だが今となっては誰よりも頼りになる。
「ハ、ハルヒのやつがおかしいんだ!何とかしてくれ」
「…涼宮ハルヒに異常は見られない」
馬鹿な!?そんなことはないはずだ。
「とりあえず家に来て欲しい」
俺は鳴り響く携帯を家に置いて長門の家に走り出した。

116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/30(金) 03:35:00.72 ID:S41YTBlS0

昔行った場所を必死に思い出して長門のマンションに着いた。
インターホン越しにチャイムを連打する。
周りに音が鳴り響くがそれどころではない。
「鍵はしていない。入って」
ドアを開けるといつも通り制服姿の長門がいた。
「長門!」
思わず長門を抱きしめる。暖かい。長門は俺の頭にそっと手を置く。
「落ち着いて」
「お、俺はどうなるんだ?教えてくれ」
抱きしめながら聞く。華奢な体だ。

「先ほども言ったように涼宮ハルヒに異常はみられない」
「そんなことはない!この携帯を…あ、家に置き忘れたか」
あまりにも鳴り響くので怖くなって家に置いたんだった。糞、何てことを。
「大丈夫。あなたは私が守るから」
長門の言葉が心に染みる。そうだ、普段こいつは無愛想だけど俺のことを思ってくれてるんだった。
「ありがとう…」
抱きしめる手に力が入る。長門は何も言わず俺に身を任せていた。
時計を見る。知らない間にもう9時になってたようだ。
「じゃあありがとうな長門。遅いしまた明日会おうぜ」
「分かった」
長門が俺をじっと見る。
「どうした?」
「困ったときがあればいつでも来て欲しい…そういつでも」
何か普段の長門と違和感があったような気がしたが俺は帰ることにした。
ドアを閉めた後の声にも気づかないで。
「エラーエラーエラーエラーエラーエラーエラー」

147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/30(金) 04:07:58.53 ID:S41YTBlS0

家に帰ると携帯の電池が途中で切れてしまってたのか電源が切れていた。
怖いので充電だけして寝る事にした。
明日ハルヒとどんな顔をして会えば良いのか分からなくて憂鬱だった。
夢を見た。
俺とハルヒが教室に二人きりでいる。
ハルヒが何か訳の分からない言葉で俺に叫んでる。
俺もなぜかハルヒに向かって怒鳴っていた。
ハルヒが泣き始める。俺はその姿に腹を立ててハルヒの顔を思い切り殴る。
ハルヒが鼻血を垂らしながら俺に謝り続ける。
しかしそれでもまだ怒りがとれない俺は机を持ち上げてハルヒのリボンが付いている頭を殴る。
殴り続ける。
一撃二撃…回数を重ねるごとにハルヒがだんだん静かになり、その代わりあふれ出んばかりの血が
俺に抗議するかのようにまとわりつく。
俺は顔を朱に染めながらハルヒを壊し続ける。
まだまだ…こんなもんじゃ俺の怒りは収まらない…。

155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/30(金) 04:18:04.63 ID:S41YTBlS0

「キョン君朝だよ!」
目が覚めた。
妹が俺のベッドの上に覗き込むように座っている。
何て夢だ…。体中汗を流していた。
「早くしないと遅刻しちゃうよ」
妹がランドセルを背負っている。そうだ急がねば。
慌てて支度をしようとすると俺に妹が言う。
「キョン君ひどくうなされてたね。寝言がすごかったよ」
制服に着替える手がぴたりと止まる。
「そうか…、俺何て言ってたんだ…?」
「う〜ん色々言ってたけど許してくれって言ってたよ」
許してくれ?何を?誰に?
先ほど見ていた夢との内容が不一致さに薄気味悪いものを覚えた。
妹のいってきますの声を尻目にふと携帯を見る。
充電は完了しているが電源をつける気にはならない。
そのままポケットに突っ込んで学校に行くことにした。

いつもきつい坂道を白い息吐きながら登っていく。
教室に着いた。またハルヒが俺より先にいる。
俺はゆっくりと自分の席に腰を下ろす。

171 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/30(金) 05:02:07.12 ID:S41YTBlS0

「キョンおはよう。今日も良い天気ね」
ハルヒが後ろから声をかけてくる。
「あ、ああ、おはよ」
あんな夢を見た後だからか、昨日のメールのせいか知らないがハルヒの顔をまともに見れない。
「何よ人の顔見てしゃべりなさいよ」
ハルヒが俺の肩をぐいっと掴む。一瞬びくっとしたがハルヒの顔はいつもと相変わらずの顔だった。
「その、昨日は確かに悪かったわ」
ハルヒが少し顔を染めて恥ずかしそうに言う。
「あの後、みくるちゃんに聞いて私も反省したの」
おやどういう風回しだ。
「あ、ああそれなら良いんだ。」
ふとハルヒの左手を見ると包帯を巻いてた。
「おいハルヒ。その手どうしたんだ?」
「あのね、昨日あんたみくるちゃんとご飯食べる予定だったんでしょ。それがなくなってあんた可哀想だからお弁当作ってあげたの」
そのときにちょっと怪我をしちゃって、もごもごとハルヒは言う。
何だこいつも可愛らしいところがあるじゃないか。思わず俺も笑ってしまう。
「な、何よ笑わなくてもいいじゃない」
「すまんすまん、分かった昼休み一緒に食べようか」
やっぱり全てはハルヒの勘違いなんだ。まあ飽きっぽいこいつのことだからもう治ったんだろ。
俺はそう思ったのだ、そう。

悩みがなくなったからかいつもの糞つまらない授業も楽しく思える。
昨日長門の家に行ったことを思い出した。
後で長門にも間違ってたって言っとくか。俺はニヤニヤしながらそう思った。

174 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/30(金) 05:05:54.00 ID:S41YTBlS0

昼休み昼休み。
食欲旺盛な10代にとっては学校の中でもっとも楽しい時間だ。
「おいキョン。飯食いに行こうぜ」
いつもは谷口と国木田と食いに行くが今日は先約が入ってる。
「悪いな、今日はハルヒと飯食うんだ」
俺の言葉に古泉みたいに肩をすくめながら谷口がやれやれとお熱いことですねとちゃかした。
国木田がまだ何か俺に言おうとする谷口を引っ張っていく。

ハルヒは部室に行ったそうだ。
別に教室でも良いかと思ったがハルヒが作った弁当を見られるのが嫌だかららしい。
ハルヒの意外な一面を見た感じだ。
まあ悪い気はしない。部室についたのでノックをする。
「どーぞ」
ハルヒのぶっきらぼうな声が返ってきた。
部室に入る。

180 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/30(金) 05:11:15.84 ID:S41YTBlS0

ハルヒがいつも俺と古泉がゲームしてる机に座っていた。
机の上を見ると赤色の布に包まれた弁当箱と青色の布に包まれた弁当箱がある。
多分青いのが俺に作ってくれたやつなんだろう。
「わざわざあんたのために作ったんだから感謝しなさいね」
へえへえ感謝しますと言いながら俺もハルヒと向かい合って座る。
ふたを開けると中にはタコさんウインナーや出し巻き卵、可愛い形のおむすびそしてウサギの形をした林檎
と作るのに手間のかかるものばかりだった。
正直ここまで頑張ったと思わなかったので少し驚いた。
「じゃあ食べなさいよ」
ハルヒが言う。言われなくても腹が減っていたので食うことにした。
まずは卵から手を伸ばす。うんうまい。
ふんわりした卵の食感と何か調味料を使っているのだろうか、妹の作ったやつよりはおいしい。
よし次はおにぎりだ。
このサイズなら一口で食えるだろ。そう思って食べる。
ご飯がモチモチしていておいしい。

しかし、何か噛み千切れないものがあった。
何だろうと思って口の中に手を伸ばすと俺の口から黒い糸のようなものが出てくる。
何じゃこりゃと思ってハルヒに言おうとしたら気づいた。
そう…これは……………髪の毛だ。
しかもハルヒの。
「…ねえキョン。おいしい?」
ハルヒが俺を下から突き刺すような目で見てくる。まるで視線で俺を刺し殺すかのように。
体の底から猛烈な吐き気が俺を襲う。

209 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/30(金) 05:40:19.70 ID:S41YTBlS0

思わず口の中にあったものを床に全部吐き出す。
何だこいつは!?何なんだ?何でこんなことをするんだ?
思考がぐるぐると回り続ける。
口の中がカチカチと鳴るのが聞こえる。

「あーあ…せっかく作ったのにこんなことしちゃ駄目でしょ」
床に落ちたものを拾い集めようとするハルヒ。
そのときに左手の包帯がはらりとずれる。
左手の巻かれている場所にすべて切り傷があった。
しかもかなり傷が深い。手の甲から白い脂身のようなものが見えている。
「ハ、は、刃、ハルヒ何だ…!?その手は!!?」
立ち上がって俺は怒鳴る。
ハルヒは俺を見てにっこりと答えた。
「…キョンに私の体の一部食べてもらおうとして削ったのよ。おいしかったでしょ?」
その笑顔はとても綺麗で透き通っていて、でも空気がかび臭く感じる。そんな笑顔だった。
ナニヲイッテイルンダコイツハ

213 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/30(金) 05:42:01.41 ID:S41YTBlS0

「キョンが昨日全然返事してくれないからずっと送ってたんだよ。写真つきで」
そうだ、携帯。震える手で電源を押す。センター問いあわせをしてみる。
着信あり:188件
新着メール:262件
怖い怖いこわいこわいコワイコワイ…………。
「キョンが相手にしてくれないから手首切った画像も送ったのよ」
そう言いながら左手をヒラヒラと動かす。
その動きにおびえて俺はどんどん後ずさる。知らない間に壁際まで来ていた。
携帯を見ると写真が添付されてる。
写真を見ると手首にも切り傷がどんどん増えている。横には血まみれのティッシュが写っている。
「知ってるキョン。人のお肉ってプニプにしてるのよ」
「キョンが反応してくれなかったからお弁当作ってあげようと思って」
「私思うのよね。愛の究極の形って一つになることだと思うの。もちろん比喩じゃなくて愛する人に食べて欲しいの。そして食べたほうは毎日ごめんなさいってその人のことを謝り続けるの。そうしたら食べられたほうもずっと覚えててもらえるから幸せでしょ」
動いて傷が開いてきたのだろうか、またハルヒの手が赤く染まってくる。
がしりとハルヒは俺の肩を掴みながら顔を近づける。俺の肩にハルヒの血がべっとりと付く。


「ネエ、キョン。私ノコト好キ?」


227 名前:糞虫 ◆YEqAxToOVE [] 投稿日:2009/01/30(金) 06:04:27.19 ID:S41YTBlS0

そろそろオネムです
すいません

400 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/30(金) 18:55:32.73 ID:S41YTBlS0

「うわああああああああああああああああああああああああああ」
近づいてきたハルヒを思い切り押す。
ハルヒが机にぶつかり派手な音をたてて転んだ。
さっきまで俺が食ってた弁当も床に落ちたがそんなことを気にしてる場合じゃない。
あちこち体をぶつけながら俺は部室から逃げた。
とにかく、ここから一刻も早く出ないと。
いや、でもどうしたら良い?このままいても午後からはハルヒと顔をあわせることになる。
こ、古泉はいるか?お、俺を助けろ。え、いない?用事ができた!?
糞、そ、そうだ長門だ。長門はいるか?いた。
な、長門。俺を助けて欲しい。周りに長門のクラスのやつがいるが人目なんか気にしてる場合じゃない。
「落ち着いて欲しい」
落ち着けないんだよ。こ、このままじゃハルヒに何されるかわからネエよ。
早く何とかしてくれ!長門!!俺を助けろ!!!

415 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/30(金) 19:51:22.07 ID:S41YTBlS0

きちがいのように訳の分からないことをわめき散らしている俺の手を長門はそっと掴む。
「私の家に帰ってあなたを保護する。それで良い?」
願ってもない言葉だ。
「ああ、すまねえ」
そのまま俺と長門は手をつないで帰ることにした。
幸か不幸か帰る最中、誰にも何も言われなかった。

マンションに着く。
「なあ長門…俺はこれからどうすれば良いんだ?」
「私が守る。あなたは気にしないで欲しい」
長門はそう言うと再び外出の準備を整えた。
「おい、長門お前どこに行くんだ?」
「今から涼宮ハルヒに会いに行く」
「俺をほっとかないでくれ」
長門にこんなことを言う俺は大分おかしくなってきてるんだろうな。
「大丈夫、安心して欲しい」
そんな俺に長門が少しだけ微笑んだ。
あれ?長門が笑ったことはあったか?俺の中で疑問が出来るがいつの間にか長門は出かけていた。

携帯が震える。
そうだ、あのときから電源を入れっぱなしにしてたんだ。
またハルヒなのか、震える手で携帯を見たら古泉からだった。
内容は何だ…。
『気をつけてください。……今、長門さんが壊れています』

421 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/30(金) 20:02:52.16 ID:S41YTBlS0

どういう意味だ?長門が壊れている!?
そんなことはない!?だって俺をこれだけ思ってくれているのに?
『長門さんの情報操作で涼宮さんの精神状態に異常を発生させたようです』
何だって?ということは今までのハルヒの行動は全部…
ぷるるるるるるるる
電話が鳴る。
長門からだ。
「もしもし」
「長門か……どうしたんだ?」
「すべて物事は解決したから安心して欲しい」
ぞくりとした。

無機質な声。
まるで機械が物を言っているかのような。
「そ、そうかすまなかった」
「いい。すぐに帰るから待ってて」
電話を切ったらすぐにまた鳴り響く。誰だ?古泉か。
「もしもし!あなたは今どこにおられます!?」
大分切迫している声だ。
「どうしたんだ?俺は長門のマンションにいるが」
「長門さんの家なんですか!?」
「古泉。どうしたんだ?」
「先ほど長門さんが涼宮さんを刃物で刺しました!」

431 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/30(金) 20:13:04.52 ID:S41YTBlS0

何だって!?
「どういう意味だ!?」
「先ほど教室で涼宮さんがいたところに長門さんが近づいて刃物で刺したんです!クラスはパニックに
なりましたが長門さんの姿が見えないのです」
俺は何を信じたらいいんだ。
「良いですか。良く聞いてください。先ほどメールしたように長門さんは壊れています。涼宮さんの方は機関が直行させますから命には別状はありません。ですが、長門さんの方はこのままだと危険ですので」
古泉は一息入れる。

「あなたが長門さんを殺してください」
こいつもこんな冷たい声が出せるんだな。
そういえば機関とやらの人間で普通のやつとは違うんだった。
そんなことを考えてしまう。
「我々の力では長門さんに対抗しようとしたら多大なる犠牲を払ってしまいます」
「その点あなたなら警戒されずに彼女を壊すことが出来ます」
「大丈夫です。あなたが始末した後も我々機関が処理します。それに彼女は人ではありませんから罪に問われることはありません」
「涼宮さんからは長門さんの情報を忘れさせます。なので長門さんの存在が再び涼宮さんに知れたらそのとき彼女は精神崩壊を起こして再び世界が危機に陥るかもしれません」
「ですからぜひ彼女を壊していただきたいのです」
今から我々も向かいますのでぜひお願いします。そう言うと古泉は電話を切った。
俺は俺は俺は俺は…。

439 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/30(金) 20:17:57.59 ID:S41YTBlS0

俺はどうしたらいいんだ。
がちゃり。
ドアの開く音が聞こえる。
「ただいま」
聞こえてくるは長門有希の声。
「お、おかえり」
どもらずに言えたのが不思議だった。
「終わった。褒めて欲しい」
そういう長門の服は真っ赤に染まってて。おそらくハルヒの返り血なんだろう。手にも血みどろの刃物が握ってあった。

愛してくれますか?


448 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/01/30(金) 20:24:57.15 ID:S41YTBlS0

「な、長門」
長門はゆっくり俺に近づく。
「これであなたを独り占めできる」
長門が俺をぎゅっと抱きしめる。新鮮な血の匂いが俺の鼻に焼きつくように残る。

愛してくれませんか?

「な…長門、すまん」
俺は抱きしめてる腕をゆっくり上げて長門の首を絞める。
長門はきょとんとした顔で俺を見て。そして分かったのだろう、ゆっくりと笑った。

そういえばあのときハルヒが言っていたよな。愛の究極の形は一つになることだって。
床に倒れてる長門を見る。刃物もある。
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい…ぐちゅり
ごめんなさいごめんなさい苦いごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいまずいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいでもごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさい許してくださいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさい俺が悪かったごめんなさいごめんなさいごめんなさい
ごめんなさいごめんなさい血ごめんなさいごめんなさいごめんなさいぐちゅぐちゅするごめんなさい
ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい
誰か俺を救え
fin

457 名前:糞虫 ◆YEqAxToOVE [] 投稿日:2009/01/30(金) 20:28:01.08 ID:S41YTBlS0

終わりです。
何か純愛書きたいなって思ったんですけど難しかったですね。
どうせヤンデレ出すなら元祖ヤンデレの朝倉さん出したかったけど
思い浮かばなかったのでかけませんでした。すいません。
また相変わらず書くの遅くて保守してくれた人にも色々迷惑かけました
次はもっと早く書きたいです。
また書いたらつまらないかもしれないけどぜひ見てください
それでは



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