涼宮ハルヒの舞首


メニュー
トップ 作品一覧 作者一覧 掲示板 検索 リンク SS:リツコ「レイ・クローンズにも性欲はあるのよ。シンジ君」

ツイート

1 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 18:25:42.57 ID:jS72HnqG0


拝啓
死んだ父さん母さん、僕は高校生活をそれなりに楽しんでます。
嘘です。ゴメンナサイ
敬具

2 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 18:26:19.17 ID:jS72HnqG0

春うららかな今日という日。
僕は、文芸部部室前にいます。
少しドアを開けてみました
目の前にはメイドさんが居ます。
端っこで本を読んでる学生が居ます。
男二人がボードゲームをやってます。
なんなんでしょう。この空間

4 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 18:29:21.95 ID:jS72HnqG0

「何やってるのよ?貴方」

後ろから声をかけられました。
どう説明した物かと考えていたら、
蹴飛ばされました。
鋭いキックです。痛いです

「何をやってるんだ?お前は」

ボードゲームやっていた男が言いました。
声が渋いです。

5 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 18:31:18.46 ID:jS72HnqG0

「のぞきよ。キョン」
「どあほ。覗きでもいきなり蹴りを入れる奴がいるか」
「いるわよ。ここに」
居ましたね

7 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 18:35:35.79 ID:jS72HnqG0

「なるほど、相談ですか」
二人の言い争いをみて呆れたのか、もう一人の男が私の存在を思いださせてくれました。
男、古泉なんとかと言う名前でしたが私を机に座らせて、適当な質問を投げかけてくれました。
ので口べたな僕でもそれなりに話が出来ました。
「喜緑さんの紹介ですかぁ」
メイドさんがお茶を入れてくれました。
あ、美味しい。
「なら早く言いなさいよ」
口べたなんです。はい。ごめんなさい。
「話くらい聞いてやれ。ハルヒ」
「なによ。キョン。まぁ良いわ早く相談内容を話しなさい」
はぁ、何とも言いにくい話なのですが。

8 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 18:41:04.68 ID:jS72HnqG0


舞首、と言うお話はご存じですか?


9 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 18:42:35.00 ID:jS72HnqG0

「はぁ?」
「存じ上げませんね」
「昔話かなにかですかぁ?」
「聞いた事有るか?」
キョン、と周りから言われている渋い声の男が、本を読んでいる女性に聞いています。
この場合、少女の方が良いかな?非常に小柄な女の子です。
「知らない」
「ユキも知らないのね」
ハルヒでしたか、その女性が心底驚いています。
彼女は物知りなんですよ、そう古泉が私に言います。
「必要なら、ご説明願いますか?」

10 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 18:43:02.56 ID:jS72HnqG0

はぁ、舞首というのは怨霊の一種なのです。
江戸時代の本で、「絵本百物語」と言う、まぁ怪談やらなんやらを集めた本が有るのですが、それ曰く
鎌倉時代に小三太、又重、悪五郎という3人の武士居たのですが、祭りの席で酒を飲んで、口論をおきしたのです
えぇ、それで勢いもあってか刀を抜いて斬り合いになったのです。


11 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 18:43:26.44 ID:jS72HnqG0

それで五郎が小三太を斬り捨て、さらに又重を斬ろうとするが、又重は山中へ逃げ去った。五郎は小三太の首を切った後に又重を追いかけたのです。
又重は斬り合いに応じたところ、五郎がつまづいて転んだので、隙をついて五郎を斬りつける
五郎は斬られてなお起き上がって又重に立ち向かった。2人は組み合っている内に足場を踏み外し海に転げ落ちた。
水中で2人は互いの首に刀を当てて、2つの首が切り落とされました。

12 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 18:43:47.00 ID:jS72HnqG0

普通ならそこで終わりなのですが、話に続きがありまして
首だけになっても2人は水中で争い続け、
又重の首が五郎の首に噛み付こうとしたとき、
そこへ斬り落とされた小三太の首が躍り出て五郎の首に噛み付いたのです


13 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 18:44:04.05 ID:jS72HnqG0

こうしてこの海では3人の首が食い争い、夜には火炎を吹き、昼には海上に巴模様の波を起こしたので、巴が淵と名づけられたとか
まぁ、そんな話です。

14 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 18:50:22.65 ID:jS72HnqG0

「怪談」
まぁユキさんの言うとおりです。
「三つ巴を、話として表した。って所でしょうか」
そうなのでしょう。
「で、それが、どう、関係するのよ。まさか貴方の近くで首が飛び回るとでも言うわけ?」
………
「そうなのか!!」

15 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 18:50:44.06 ID:jS72HnqG0

私の家は、町はずれに有るのです。
なので、私は下宿しておりまして、そこに出ると言うのです。
争い事をする首が飛び回り夜な夜な争い事をすると近所の方が気味悪がるのです。

16 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 18:52:05.02 ID:jS72HnqG0

「意味がわからないですよ。廃墟って言う訳でも無いのでしょう?」
えぇ、確かに文化住宅ですから、一戸建てとは言え幽霊が出そうなほどおんぼろですけど
「文化住宅?」
えぇ、あぁ解りませんか
「大正時代中期以降に流行した、洋風生活を取り入れた一般向け住宅のこと。今風で言うモデルルームの一つ」
えぇ、そうです。ユキさんでしたか、ありがとうございます。
私の家は、昭和の初め頃に出来た奴だと聞きました。
まぁ、お陰で安上がりなのですが。
「でも貴方が住んでいる」
まぁそうです。それでで、困っているのです。

17 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 18:59:57.52 ID:jS72HnqG0

僕は初め、何かの間違いか中傷沙汰か、まぁ人為的な物だと思っていました。
なので放っておけば勝手に消えると。
ですが、噂は消えず、もっと悪い方向に動き出しました。
まず、怪談好きが集まり出しまして、それに連れ夜中に暴走族なんかも集まって来て
えぇ、警察にもお願いしたのですが、何故か逆に怒られました。
はい、怪談の相談など受けれないと
暴走族はどうにかして頂いたのですが、その後も悪戯や投石中傷の類が続きまして……

18 名前:ハルヒネタなら何でもスレが伸びる、そう思って{ry[] 投稿日:2008/12/04(木) 19:00:52.53 ID:jS72HnqG0

「なるほど、それの原因になった舞首を調べて欲しいと」
そうです。
「どうします?涼宮さん」
「俺は反対だ」
「行きましょ、怪談なんて最高に夏らしいじゃない」
受けてくれたのは嬉しいですが、人の不幸を夏らしいと言うだけで、そう言う話にされるとは…
「夏はまだ先だ。それにこれは俺達にどうこうできるレベルの話じゃないぞ」
「そうですよ」
メイドさんと、キョン、本名はなんて言うんだろ、が本来なら言うとおりです。
「私がやると言えばやるのよ。それに彼も困っているじゃない」
「そうです。警察も取り合わなかったのでしょう。それに喜緑さんの紹介ですから」


19 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 19:01:30.22 ID:jS72HnqG0


「それじゃぁ、舞首探しは決定ね」



21 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 19:05:06.85 ID:jS72HnqG0

 やれやれ、面倒な事になった。
 まぁ、いつもどおり俺は、団の解散後に集合をかける。
 どうせいつもの事だ。宇宙人か超能力者か未来人かが、神こと涼宮ハルヒをあれこれしたいんだろ。
「今回の事柄は、私たちは一切関与していません。そして閉鎖空間は観測されていません」
「私たちもです。むしろ今回の事柄を話したら上司が興味津々で」
朝比奈さんと古泉の言葉で、どうも雲行きが怪しくなった。
俺は、何とも言えない、神頼み的な目を長門に向けていたと思う。
「私たちも同じ。今回の事件は完全に沙汰の外」

22 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 19:05:49.14 ID:jS72HnqG0

つまりだ。
「超能力者も未来人も宇宙人も関わってないって事ですよね」
そうです。朝比奈さん。
「今回の件において、私は環境情報の改竄を許されていない。つまりは、私は普通の人間と同じ」
「それについては私もです。まぁ、私はいつも通りですけどね」
ありがとう。二人。そして古泉は顔が近い。
つまりだ。今回の事件に置いては、俺達は普通に探偵をしなくてはいけないという事か。
 やれやれ、面倒な事になった。

27 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 19:18:18.69 ID:jS72HnqG0

「早く来なさい。依頼者でしょう」
 そう言われても、言われた時間通り来たのですが
「気にしないでください。いつもの事です」
はぁ、まぁ解りました。とりあえず私の家に行きましょう。

28 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 19:23:57.58 ID:jS72HnqG0

「ボッロいわね」
「オンボロ」
「おいお前ら、家主を前に失礼な事を言うな」
はっは、気にしていませんよ。事実ですし。
「まぁ幽霊が出てきそうな雰囲気ではありますね」
まぁ、上がってください。普段は使ってない部屋なので、埃が積もってるかもしれませんが。


29 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 19:25:01.63 ID:jS72HnqG0

案の定、遠くから文句を言う声が聞こえる。
仕方ないだろう、一人暮らしなんだ。等と私を弁護している声を聞き、私は部屋に入った。
手には、お茶のセットとヤカン、あとはチョコやら何やらの、茶菓子。
「あ、私が入れますよ」
前、メイド服だった女性、名前はなんて言うのだろうか?がそう言ってお茶を入れてくれた。
みんなで一服する
やっぱり美味しい

30 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 19:25:32.06 ID:jS72HnqG0

やっぱり美味しい
「ふぅ、さて早速だけど調査の仕方を決めるわ」
そう、ハルヒさんは言った。

31 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 19:36:35.76 ID:jS72HnqG0

調査方法か、まず、目的を明確にするべきだろう。
「まず、私たちが何を調べるか決めるべきですね」
そう思ったら、古泉が代わりに言ってくれた。
まず調べるのは噂の出所だろ。
「そう、舞首の話がデマであっても真実であるかは噂の元が解れば有る程度解る」
長門の言葉にみんな同意した。一人を除いてだが。
「そんなモノは意味無いわ」
我らが団長、涼宮ハルヒ閣下だ

32 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 19:42:56.63 ID:jS72HnqG0


意味がないってどういう事だ
「意味がないって事よ」
「もっと、解りやすくいってくれませんかぁ」
朝比奈さんの言う通りだ。
「良い?噂って言うのは大概デタラメな物よ。噂が存在する意義と真実が書き換わるのよ」
「意義、ですか」
「意義というべきか理由というべきか、まぁそんな物を決めるのは学者だから、どちらでも良いわ。噂というそこに存在するだけの理由が必要なのよ」
「デタラメな噂話に理由なんて必要ない。面白ければいい」
これは長門だ。
「それも意義の内よ。誰と誰が付き合ってるなんてのも、学校のトイレの妖怪も、何かしらの理由と存在意義が有るのよ。そうね、あなたは幽霊とか信じる?」

33 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 19:43:18.27 ID:jS72HnqG0

そう言う話は嫌いなんです。とは依頼者、そう言えば名前を聞いてないな、の言葉だ。
「テレビ何かだと人を怖がらせよう、って作ってる事はよく解るんですけど、解っていてもどうにも怖くて」
「そうでしょ。それは人を怖がらせるという目的の上で作られてるのよ。絵の具で絵を描くのと同じで、その為に存在してる」
まぁ確かに絵の具で絵を書いたり色を塗るのは普通だが、絵の具を食う奴はそういない。
「そうでしょ。それが存在する意義、絵の具は色を塗るために存在するし、ミクルちゃんはマスコットとしてSOS団にいる、そう言う物よ」
ふぇ、朝比奈さんは普通に驚いてる。と言うか、お前は朝比奈さんを未だに某回転寿司の、中性子と同姓同名の名前のキャラクターとか某雑誌のウサギとかと同視してるのか。
「酷いです。非道すぎます。キョン君の事見損ないましたぁ」
「そうよ。せめて黄色い電気鼠と言いなさい」
ふぇ

35 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 19:51:13.25 ID:jS72HnqG0

「まぁ、話がそれてますよ。お二人」
ナイスフォローだ、古泉。
「涼宮さんの言いたい事は解ります。物には用途があるという事でしょう。ですが、噂の出所を探る意味がないと言うのとどう繋がるんですか?」
「事実が理由の為に書き換わるのよ。いや、理由が真実を浸食と言うのかしら」
「えっと、それは、それはつまり改良されるって意味ですかぁ」
「そう言う意味合いも含むわ。話は単純化されて、ステレオタイプ、用はキャラクター化していき、その意味を理解しやすくするために変わっていく。そうして出来た
話は事実である必要は無いの。伝言ゲームの課程で事実がすっぽり抜け落ちて、寓話になったり、怪談になったり、噂話になったりする」
「なるほど」
解ったんですか?
「まぁ、私なりには」

36 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 19:52:32.45 ID:jS72HnqG0

つまり、ハルヒさんが言いたいのは、
怪談は人を怖がらせるためにあるのだから怖くなっていく。
笑い話は人を笑わせるためにあるから、おもしろくなっていく。
そう言う目的の話は事実である必要はない。寧ろ、そう有るべき姿になって行くと言う所でしょうか。
「そうよ。貴方キョン何かより理解力があるわ」
ありがとうございます。


38 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 19:57:47.02 ID:jS72HnqG0

「それなら、噂の出所を探すのは難しい」
ユキさんの言葉だ。今まで殆ど喋ってない
「そうね。それをやるより、その噂が出回る理由を探すべきだわ」
これはハルヒさん。噂に違わず変人で、聡明な人みたいだ
「あぁと、つまりは舞首の話が怪談なのか笑い話なのか、もしくは……彼に対しての悪意ある中傷の話なのかもしくはその他なのか、それを見極めると言う事だな」
これは、本名不詳のキョンさんの言葉だ。恐らく彼も私の名前を知らない。
「ええ、その方が対策も打ちやすいでしょ」

39 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 20:04:54.61 ID:jS72HnqG0

その後は役割分担だった。
まず、私とユキさんで図書館で過去の事件を調べる。
メイド、ミクルと言うらしい、とハルヒさんで警察の方に話を聞きに行く。
そして、古泉さんとキョンさんで地域住民の方への聞き込み、探り入れのほうが正しい気もする。
「とりあえず、どんな風でも7時までにここに帰ってきましょう。何か事が有ったら、メールか電話で回しなさい」
「わかった」
「それじゃぁ、舞首探し、始めましょうか」


41 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 20:10:45.72 ID:jS72HnqG0

SOS団の人たちと、分かれてから、特別はなす事もなく、ユキさんと図書館に向かった。
そして着いた。本当に何も話してない。
「私は、郷土史を調べる。貴方は過去の新聞を調べて」
図書館前でそう言い、何か見つかったら知らせる事を約束して、分かれた

43 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 20:17:06.95 ID:jS72HnqG0

この町は、そんなに大きくはない。けれど、図書館はそれに反比例して立派だ。
それに何故か知らないが、ここは仏教系や古典の文献が揃っている。

元祖、孤雲、徹通三大尊公状記、永平寺三祖行業記、これは禅学の書き物の写しだ
竜樹の「中論」「十二門論」提婆の「百論」、吉蔵が始めた三論宗はこれを研究している。

そのほか何故かその類の、まぁ仏教徒が見たら宝の山、一般人から見たら頭が痛くなる古典、と言える書籍が大量に揃っている。
そして、勿論新聞の類も江戸の瓦版、明治初期の妖怪が一面を飾るような新聞、226事件を伝える物、大量に保管してあり、許可制だが閲覧できるそうだ。
何でも記事で検索できるシステムを作るとか言う話もあるそうだが、無理だろう。
仕方ないので私は、その年の新聞が全て載ってるという分厚い本を、昭和中期前半から読み始めた

44 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 20:21:00.33 ID:jS72HnqG0

読み始めたが、全く記事がない。
有ったとしても子供が生まれた、爺が死んだ、どぶに墜ちて子供が死んだ、そんな暢気な暗い話ばかりしか出てこない。
とてもじゃないが、首が飛び回りそうな話など無い。
そんな事を思っていたら、後ろにユキさんが居た。
「来て」
何か見つかった用だ。

45 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 20:27:05.98 ID:jS72HnqG0

地域の説話収集、から抜粋
〔中略〕町の年寄りの集まりで、このような話を複数の人間から聞いた。

彼らの幼少の頃、そこの町はずれでは首のみの幽霊が飛び回ると言う噂話が有ったのだという。
何でも彼らは、江戸の初めの頃、その当たりに大変仲が良かった三兄弟が居た。
しかし、その三兄弟は素行が悪く、村から追い出されて居た。
追い出された兄弟は、それでも素行が直らず、三人で暴れ回っていたのだそうだ。
そこで、村の人間はとある策略で、彼らの仲を裂き、同士討ちにさせた。
それは死んだ後も続き、彼らは首のみで飛び回り喧嘩をしているのだという。

 彼らは、これを子供の頃に聞いたという、何でも昔から町に伝わる話だそうだ。
〔以下略〕

47 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 20:34:45.32 ID:jS72HnqG0

「これ」
はい、恐らくこれが話の元でしょう。
しかし、何時の話なんでしょうか?
「奥付を見て、昭和の中頃の本」
中頃、と言う事は戦前か大正、下手すると明治前後ですか。
「恐らく、もっと昔から有る話、貴方が言った舞首が変形したのだと思う」
でしょうね。とりあえずこの事をみなさんに伝えましょう。

48 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 20:36:47.24 ID:jS72HnqG0

「これ」
はい、恐らくこれが話の元でしょう。
しかし、何時の話なんでしょうか?
「奥付を見て、昭和の中頃の本」
中頃、と言う事は戦前か大正、下手すると明治前後ですか。
「恐らく、もっと昔から有る話、貴方が言った舞首が変形したのだと思う」
でしょうね。とりあえずこの事をみなさんに伝えましょう。

49 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 20:39:02.91 ID:jS72HnqG0

「そうなんですか」
古泉の営業スマイルが奥さん方に冴えてる。
今、俺達は学校の研究の一環で都市伝説を集めている、恐ろしく真面目な優等生となっている。
勿論、目の前の超能力者もそうだし、その後ろで営業スマイルを浮かべている俺もそうだ。
「それでですね。とある人から聞いたのですが」
あぁ、さっきから色んな人に話を来てる。
そして大体全員が、首が飛びまわるのはあの家だ。と言う。
「ええ、都市伝説が伝わる間にどのような……」

50 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 20:41:05.01 ID:jS72HnqG0

あらすじが同じ場合は大体、同じ人間から聞いたと言う。
爺さんから聞いた、と言う子供が居たのでわざわざ探して話を聞いたら、バーで聞いた、そこでバーに行ったら、客が…
こんな事の繰り返しで、今は手当たり次第に聞いてる。
そうして、何処かで若干変わってるが解った。

51 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 20:41:44.76 ID:jS72HnqG0

ハルヒが言っていた事が、良く解った。
誰の首かと言えば、強盗、家を建てた大工、ヒッチハイカー、前の住民、侍。
何で喧嘩をしているのかと聞けば、不倫、兄弟げんか、山分けの割合、その他様々。
噂なんて、そんな物だと解っていたが、実際調べると酷い物だと思う。
誰も、住民の事を気にかけて等居ない。他人事だ。
だから、楽しめるんだろうな。

52 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 20:45:08.59 ID:jS72HnqG0

「ありがとうございます」
収穫は有ったか?と俺は聞く。帰ってくるのは、メリケンのジェスチャー、失望したと言う意味の行動だ。
「はぁ、方法を変えませんか?」
どう?と俺は聞くが、古泉からの返事はない。アイディアなんか、こいつにも無いんだ。

53 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 20:53:01.16 ID:jS72HnqG0


そうして、携帯が鳴った。


54 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 20:54:19.78 ID:jS72HnqG0

「予定変更。今すぐ集合。遅れたら市中引き回しの上斬首の上に晒し首」
発見を回してから、数十分でユキさんの携帯が鳴った。団長からの内容を見せて貰うと、内容は上記の物。
極刑じゃないか。
「行こう。さっきの本、借りてきて」
もう借りてあります。


55 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 21:05:11.23 ID:jS72HnqG0

「みんな集合したみたいね。ユキ達のチームの報告をおねがいするわ」
長門達の話は大体メールで見たから略そう。
「次は古泉君達ね」
これも略す、けれど二つを合わせたら、別の話が出来上がってくる。
つまり、昔からの怪談が都市伝説にとなった。
こうなると俺達に対処の仕様はない。
可哀想だが、引っ越すしかないだろう。土地に付く話なのだ。
「そう、で私たちの成果だけど」
来週からは、怠慢な学生に戻れるだろうか。
「この家で昔、殺人事件が有ったわ」
戻れないな。

62 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 21:45:57.03 ID:jS72HnqG0

昔と行っても十数年前だけど、そう前降り伏してハルヒは語り出した。
なんでも、ここには一組の家族が住んでいたそうだ。
だけど、父親が狂ったのか家族を殺害。
そうして今も逃亡中なのだという。
「何でも、その家族はみんな素行が良くなくて、警察の常連だったそうよ」
父親はヤクザの下っ端で恐喝の常連。息子や娘も母親似たような物だったという。
「警察のおじさんの長い話を、真面目に聞いてきたのよ。ほめなさい。称えなさい」
全てが終わったら、考えてやるよ。

63 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 21:47:33.11 ID:jS72HnqG0

「まぁ、みなさん。話を纏めましょう」
目の前の二人組が喧嘩になる前に、古泉が止めた。
「まず初めに舞首の元となるような民話があったんですねぇ」
「恐らく伝承としてではなく、もっと別の、都市伝説の格好で残ていた」
「それに、真実が乗ったんだな」
争い事をしていた首は、ここで殺された人間だった。と言う結論だろう。
私にも異論は無い。つまり一人を除いてみんなだ。

「待ちなさい。何で勝手に結論付けてるのよ」

その一人とは涼宮ハルヒ団長、その人である。

64 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 21:53:55.20 ID:jS72HnqG0

「そういってもな」
「そんな巫山戯た結論で終わり何てね。探偵小説でもないわよ」
「何が不満?」
「良いかしら。良く聞きなさい。何で今になってその都市伝説がわき出てくるのよ」
「だから元々この地域に」
「良い?この事件においては、舞首伝説は今、殺人事件は十数年前、伝承は明治以前よ。元々あった、なんて弱い関連性が元になると思うの?」
「事件ってお前な」
「事件よ。何時かみたいな在り来たりな密室じゃない、それは十数年前に始まって、恐らく関連してるわ」
「何!」
あの、お二人さん……
「何よ!」
「何だよ!」
どういう事なのでしょうか。話だけ、聞かせてくれませんか?


66 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 22:03:50.62 ID:jS72HnqG0

「まず、この噂は湧いて出て来た訳じゃないわ。それは認める。
 けれどね、昭和中期に老人しか知らなかった伝承よ。
 世間一般で有名なトイレの花子さんや口裂け女とはまったく違うのに何で平成になって出てくるのよ」
そりゃ、殺人事件が切欠で
「殺人事件が起きたのも平成初期か昭和後期よ。
それなら、もっとストレートに殺人があったと言う方がインパクトがあるわ。
しかし、みんなその事を避ける用に言わなかった」
「確かに、全く聞きませんでしたね。話としてはありそうなのに」
古泉が言う通りではある。
「そこから導き出されるのは一つよ」
「誰かが意図的に噂を流している」
長門、そこは言わせてやれ

67 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 22:22:34.53 ID:jS72HnqG0

「そう、やっぱりゆきは頭良いじゃない」
意図的、にですか。
それは何故です?
「ここから居住者を離れさせたい」
「そう、見られちゃ困る物があるのよ。あんたどうせ、禄に掃除してないというか入ってすらない部屋も有るでしょ」
え、えぇ下は偶に掃除しますが二階までは手が回らなくて。
「やっぱり、多分そこに何かあるわ」
「つまり、流しているのはその殺人事件の父親か?証拠を見られたくないために、人を近づけないように噂を流した」
「恐らく違うでしょう。もし僕が殺人犯なら、わざわざそんな事せず盗み入るなり、押し込みするなりします」
「もう、前科者ですもんね。回りくどい事する必要ないですからぁ」
顔に似合わず怖い事を言いますね。ミクルさん。
「そう、つまり結論は一つよ」

68 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 22:23:39.38 ID:jS72HnqG0


その結論を聞いたとき、私は心底驚いたと思う。


69 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 22:33:18.93 ID:jS72HnqG0

そんな事、現実にあって良いのか?
「しかし、どうするんですかぁ?警察に行った所でどうしようもないですよぉ」
朝比奈さん、もっと驚いて下さい。
「罠を仕掛ける」
長門は、うんいつも通りだ。
「今度は死人を、引っ張りだしましょう」
古泉は、意味のわからない事を言うし
「よし、名付けて死霊の盆踊り作戦よ」
何だ、そのネーミングセンスは?
俺はため息を付いた。
恐らく同じ心境なんだろう。依頼者もため息を付いてた。

70 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 22:39:46.97 ID:jS72HnqG0

作戦は、しごく単純な物だった。
家が古くなったから、早い内に庭を含めて大改装する。それを近所に言い触らしただけだ。
そして古泉さんのアルバイト先と言う所から数人、厳つい男達を居候に迎えた。
どんなバイトをして居るんだ?あの優男は。
その作戦がどうなったかと言うと、見事に成功した。

71 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 22:40:49.14 ID:jS72HnqG0

 有る昼の事
 怪しい男が一人、私の家の二階の壁をスコップで掘っていた。
 いつもなら、私は学校にいて、家には誰も居ない。つまりは留守だった筈だ。
 その男はひたすら少しの音なんて気にせず壁を壊していたそうだ。
 それを、隠しカメラで見られている事も知らずにだ。
 手当たり次第とも言えるやり方で壁を掘り進め、当たりを見つけたと言う。
 つまりは、白骨。人間の骨だ。服は布きれになっていたとか。
 そこを、屈強な男達に捕らえられ、男達は男を警察に突きだしたんだそうだ
 男は警察を見て、ついに観念したのか全てを自白したんだそうだ。

74 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 22:57:07.26 ID:jS72HnqG0

「あの家で起こった殺人事件は、その男が犯人だったそうですよ」
いつも通り、オセロの白黒を見ながら、古泉は言う。
「あぁ、newsでやってた。何でも、借金が有ったとか」
「えぇ、お金を借りて、返せなくて逆上してやったとか」
朝比奈さん、いつもお茶をありがとうございます。
「そこに、母親の家に行っていた家族が運悪く帰宅、それで次々と殺害」
長門は、珍しくと言うか初めてだろうな。新聞を読んでる。
「そこで、彼は父親を殺人犯に仕立て上げる事を決めたそうです」
男は左官屋だった。それで、父親を壁に塗り込んだ。
「しかし、良く見つかりませんでしたねぇ。壁に死体を入れていたのでしょうぅ?」
「人間は偏見がある物、チンピラとはいえヤクザが殺されるとは思って無かった」
「えぇ、それに逃げた人間を捜すのに、壁の仲を探す事はありませんよ」

75 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 23:08:19.78 ID:jS72HnqG0

「それで旨く逃げおおせたと思ったわけね。実際十数年は何も無かった」
「けれど、そこにあの人がきたわけですねぇ」
「困った男は、幼少の頃父から聞いた伝承を流した」
「嫌がらせなんかも、一部は彼が仕組んだ物だそうです」
「それで困り果てたあんたは、偶然知り合った喜緑さんに相談して、ここを紹介された」
そう言うわけなんです。あ、これお礼の代わりと言ったら何ですが…
「すいません。お茶のお代わりはどうですか?」
すいません。

77 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 23:10:53.32 ID:jS72HnqG0

「しかし、話が上手すぎるんじゃないか?少しくらい噂が出ても良いモンだろ」
人が出来ていた、と言うのも有ったそうですが
「もしかすると、みんな、解っていたのかもしれないわよ」
それは、つまり。
「誰も口にしないけど、みんな解ってる。有るじゃない、そう言う事。そうだとしたら、ヤクザは自分の行いを恨むしかないわ」
かも、しれませんね、

78 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 23:14:34.28 ID:jS72HnqG0


「所で一つ聞きたい事が有るのよ」
「俺もだ」
「実を言うと私も何です」
「僕も一つ」
「私も」

何ですか。

「貴方の名前は何なの?」
「お前の名前は何だ?」
「名前、聞いてませんよね」
「お名前、伺ってませんでしたね」
「名前」

名前ですか。
私の、名前は

79 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 23:15:01.79 ID:jS72HnqG0



おしまい




80 名前:愛のVIP戦士@ローカルルール議論中[] 投稿日:2008/12/04(木) 23:16:03.60 ID:jS72HnqG0

はぁ、思いつきで書き出したら、5時間かかったよ。
もっと決めておけば良かったよ。
あと過疎だよ



ツイート

メニュー
トップ 作品一覧 作者一覧 掲示板 検索 リンク SS:永沢「藤木くん、君は本当にひきょ」