こなた「世界は、なんてことないのである」


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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/10(日) 23:32:25.70 ID:yq7w93gu0

こなた「今、何してた?」
かがみ『……急に電話を掛けて来たと思ったら、いきなりそれか?』

こなた「ザ・コア見てなかった?」
かがみ『あたしは見てないわね』

こなた「聞いておくれよ、ラストシーンのカットが酷かったんだって」
かがみ『だからあたしは見てないの! じゃあ切るからね』

こなた「かがみんが冷たい……」
かがみ『え? だってあんたがこんな夜更けに電話なんてするから』

こなた「ぐすっ……もういい……」
かがみ『ちょ、ちょっと待ち――』


ピッ


こなた「ニヤニヤ」

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/10(日) 23:39:03.71 ID:yq7w93gu0

こなた「やっぱりラットのシーンをカットするってのは有りえ無いよね」
そうじろう「もうね、物理学をやってる俺に言わしてもらえばこの映画は有り得ないわけ」

こなた「お父さん物理学やってたっけ?」
そうじろう「ああ、高校でやった」

こなた「自由落下の公式とか覚えてる?」
そうじろう「ググレカス」

こなた「駄目なお父さんの代表格を目の当たりにした気分だよ」
そうじろう「お父さんに向かってそんな――」


『ある―晴れーた日ーのことー』


こなた「お、かがみんからだ。3分間も悩んでたのかー」

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/10(日) 23:44:00.98 ID:yq7w93gu0

通話に応じるのも面白そうだけど、
このまま放置するのも面白いかもしれない。

どうしようかな?


A.「お父さんごめんよ」
  かがみからの通話に応じ、部屋へと戻った。

B.「そんな事よりさ、ゲームでもやろうよ」
  電話をそのままにしておき、父と格闘ゲームに勤しむことにした。


>>6

6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/10(日) 23:45:28.95 ID:Cv6VA3tEO



7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/10(日) 23:51:46.98 ID:yq7w93gu0

「お父さんごめんよ、友達からだからさ」

言いつつ立ち上がる。

「お、おい! 俺はちゃんと公式を覚えてるぞ!」
「わかってるよー」

居間を後にしたところで、
「もしもーし、かがみー?」
通話に応じつつ階段を足早にのぼる。

「え、あれ? さっきとは態度が違わない?」
「違わないよん」

部屋の扉を閉めると同時に、軽やかに返す。
すると電話口の相手はやや尖った口調で、

「まーた騙したな」

溜息を吐いている。

「気のせいだって。でも心配してくれるかがみん可愛いよかがみん」
「はいはい、じゃあ切るからね」

「ちょっと待ってよー、もう少し話そうよー」
「はぁー……まぁいいけど」


◆そうじろうの好感度が下がりました。

8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/10(日) 23:54:48.73 ID:yq7w93gu0

何についての話題を切り出すべきか?


A.ドラマについての話題だな

B.明日の学校についての話題だな

C.つかさについての話題だな


>>10

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/10(日) 23:56:05.41 ID:RHFRzsHw0



13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 00:03:18.73 ID:lifi4Ckf0

こなた「ねぇねぇ、つかさは今どうしてる?」
かがみ『つかさ? つかさは……どうしてるんだろ? 今、あたし部屋にいるし』

こなた「ここでちょっとした賭けをやらないかい?」
かがみ『賭け?』

こなた「つかさが寝ているか起きているかにチョココロネ一個」
かがみ『ふーん、だったらあたしはつかさが寝てるに一票』
こなた「本当にそれでいいの?」

私はすぐさま階下へと急ぐ。

かがみ『いいわよ、大抵この時間は寝てるはずだし』
こなた「本当に……本当にそれでいいの?」

固定電話を手に取り……

かがみ『やけに引っ張るわね、何を企んでいるのよ?』
こなた「じゃあ、かがみは”つかさが寝ている”に張ったんだね?」

電話を掛ける。

かがみ『張った張った、言い訳なしでいいわね』
こなた「おk」

かがみ『それじゃあ様子を見てくるわね』

15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 00:09:51.24 ID:lifi4Ckf0

”携帯電話”の口を塞ぎ、”固定電話”の受話器を耳に充てる。

こなた「もしもーし、つかさ?」
つかさ『……んー? こなちゃん……?』
こなた「悪いんだけど、ちょとだけ起きててよ!」
つかさ『ふぇ……?』

『ガチャ』

かがみ『うわ、つかさ何してんのよ!?』
つかさ『お姉ちゃんこそなにー?』
かがみ『なんでアンタが起きてるの? って、あれ……誰からか電話?』
つかさ『こなちゃんからだけど……』

かがみ『こなたっ!』
かがみ『こなたっ!』

こなた「うわっ、ステレオかがみん……」

かがみ『こんな下らない事に策を用いないでよ!』
かがみ『こんな下らない事に策を用いないでよ!』

こなた「あはっ」

かがみ『あはっ、じゃないの! 切るからね!』
かがみ『あはっ、じゃないの! 切るからね!』

こなた「おやすみ、つかさにありがとうって伝えといてね」

そして電話は切れた。

17 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 00:14:29.87 ID:lifi4Ckf0

かがみとの駆け引きを終え時計を見ると、時刻は11時半過ぎとなっていたようだ。

こんな遅い時間にちょっとやり過ぎちゃったかな。

微妙に後悔する。

さて、このまま寝るのもいいけれど……
何かに勤しんでもいい頃合いだよね。


何をしようかな?


A.やっぱり明日に備えて早めに寝よう。

B.ネットゲームでもやってみるかな。

C.お父さんと遊ぼう。

>>19

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 00:15:13.01 ID:g2qAnWzcO



23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 00:24:00.60 ID:lifi4Ckf0

そういえばレバ剣が欲しかったんだよね。
折角入手する為のアドバイスも貰ったんだし、いざ実践あるのみだ。

緩い決意を抱きつつ、パソコンのパワーボタンを押しこむ。
するとファンが静かに廻り出し、画面に光が灯る。

この待ち時間って、どうしてこんなにも長く感じるのかねぇ?

無駄にマウスとディスプレイの位置調整を行っていると、
御馴染のSEが鳴り響いてきた。

すぐさまJaneとIEを数個立ち上げ、ネットゲームクライアンを立ち上げる。

何となく左端にJaneが無いと落ち着かない、というのは私だけではないはずだ。


なんて心で呟きつつ、ゲームにログインする為のIDとpassを入力していった。

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 00:32:52.73 ID:lifi4Ckf0

すぐさまフレンド検索。

”nanakon”

はい出ました、このセンスの無いネーミングセンス。
これは言うまでも無く黒井奈々子先生のキャラクターだ。

『nanakon:おっす、遅かったなー』

うわ、ログインして10秒と立たずにtellが来てるよ。

『konakona:おいすー、こんばんはでござんす』

即座に仮想現実での挨拶を交わす。

『nanakon:今日は何するつもりやー?』

どうやら文面から察するに、先生は体力が有り余っているようだね。
付き合うとなると深夜コースだよこりゃ。


※フレンド検索 = 知り合いがオンラインか調べる機能
※tell = 個人間で交わすチャット

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 00:33:38.80 ID:lifi4Ckf0

A.「実はレバ剣が欲しくて狩りにでも勤しもうかと」
  先生にとことん付き合う気で返答した。

B.「少しだけチャットしに来ましたー」
  そこそこに留めておく意思を示した。

C.「寝る前に様子を見に来ただけでして」
  すぐ落ちる(ログアウト)気満々で答えた。

D.「うはwwwww先生暇人wwwwwwww」
  煽ってみた。

>>28

28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/11(月) 00:34:35.86 ID:kgf8ud2O0

A

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 00:40:28.38 ID:lifi4Ckf0

『konakona:実はレバ剣が欲しくて狩りにでも勤しもうかと^^:』

先生に触発されて、私も俄然やる気が湧いて来たような。

『nanakon:フォースの出番やな>w<b』

その顔文字とセリフ好きだよね、先生。

『konakona:遺跡100周する気で行きましょう』
『nanakon:おkkwwwwwwwwwwwww』

うお、先生に草が生え始めた。
これは相当にキてるようだ。


これは長い夜になりそうだ……


◆このまま進めるとネットゲームの描写を行う事になります。

A.この後の描写はカットして明日の朝へと移る。

B.このまま続ける。

>>32

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/11(月) 00:41:35.26 ID:kgf8ud2O0

BBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBBB

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 00:49:45.21 ID:lifi4Ckf0

『コナタ:うはwwwwwwwwガンガン行こうぜwwwwwwwwww』
『ナナコ:自重wwwwwwwwwザラキはやめとけwwwwwwwwwww』

やたらハイテンションなまま、アイテムショップで道具を買い揃える。

『ナナコ:あ、こっちにはソルアトマイザー(状態異常回復薬)売ってないわ』
『コナタ:俺だと買えるっぽいんで渡しますよ』

『ナナコ:thx!』
『コナタ:こら、金寄越せw』

『ナナコ:レバ剣出たらあげるからそれ払いで』
『コナタ:構わん、続けろ』

その調子のまま戦闘エリアへと向かった。

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 00:58:18.49 ID:lifi4Ckf0

先生はやたら倒れる事が多い。

そもそも後衛であるはずの魔法タイプのキャラクターなのに、
戦士タイプの私よりも前線へ出て剣を振りまわすからだ。

『フォースの出番やな』、というのは真っ赤な嘘で、その実態は単なるネタキャラである。


『ナナコ:あかん、またやられてもうた!』
『コナタ:デスペナきつくないですか?』

『ナナコ:かまへん、派手に散ってなんぼや』
『コナタ:今起こしますよ……』

『ナナコ:あ、ヤバス! そこトラップある!』

先生のチャットによる制止よりも早く、私のキャラクターが凍りついていた。
そのままペチペチと成す術無く殴られ続け……

『コナタ:\(^o^)/』
『ナナコ:\(^o^)/』

『コナタ:やはり二人では辛いみたいですよー』
『ナナコ:おっし、んならフレを呼ぼうかb』

こうして夜は更けていった……

※デスペナ = デスペナルティ (キャラクターが死亡すると経験値を引かれる)
※フレ = フレンド (協力してくれる知り合い。主にギルドメンバーなど)

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 00:59:35.95 ID:lifi4Ckf0

――ジリリリリリリ!


うるさっ……

何処からだ……?

頭元からか。

「んっと、よっらしょ……」


――ジリリリリン……。


よし静かになったようだ。

それじゃオヤスミ……

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 01:04:45.49 ID:lifi4Ckf0

「しまった!?」

布団を蹴飛ばして頭元を見遣る。

時刻は8時5分。

なんで目覚ましが鳴らなかったんだ……?

いや、そんな事を考えている場合じゃ無い。
原因の究明は後に回そう。


それより、この時間だとどう考えてもギリギリ……ではなく遅刻する可能性の方が高い。


それを悟ると同時に、飛び起きて着替えを済ませ家を飛び出した。


◆黒井先生の評価が上がった。

46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 01:10:02.91 ID:lifi4Ckf0

起きぬけの疾走は辛い。

特に朝方とはいえ夏休みを間近と控えた7月の気温。
温め始められた夏の大気からは纏わりつく様な熱気が伝わってくる。

さらには日差しも強い。
見上げれば快晴のようだ。


お父さん、何で起こしてくれなかったんだよぅ。


昨夜の自分の行いを少しばかり悔いながら、アスファルトの上を走り抜けていった。

54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 01:19:32.99 ID:lifi4Ckf0

時刻は8時40分。

「おはようございまーす……」

朝読書なるもので静まり返っている教室の扉を遠慮がちに開く。

と、クラスメイト達の視線が私の元へ集まってくる。

直後に、キッ、と黒井先生からの視線を感じた。

私は即座に頭を下げて謝意を表す。

すると今度は左手を使って『席につけ』と返された。


なんで先生は元気なんだろうか……


なるたけ足音をたてないようにして、私は座り慣れた席へと着いた。


何度遅刻しても、この居心地の悪さは変わらないものだ……

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 01:30:24.65 ID:lifi4Ckf0

朝読書からホームルームへと移行した流れは番狂わせも無く終了となり、

「泉ー、ちょっと来ぃーやー」

これまた予定調和的にお呼びが掛かった。

わざわざ教壇に呼ぶんだもんなぁ、皆の視線が痛いよ。
見回すとつかさは心配そうな顔で、みゆきさんは和やかに微笑みを返してくれた。

私は彼女らに僅かばかりの後押しを貰い、
「すみません、寝坊です」
遅刻理由は? と訊ねられる手間も与えずに回答した。

「これで今学期何回目やー?」
先生が出席簿をヒラ付かせている。
「貴様は今までに食べたパンの数を――」
「い・ず・み?」
「えっと、覚えてません……」

「まぁ、ウチにも原因の一部があるにせよ高校生なんやからの責任は持とうな?」
「ういっす」
「特別日直や」
「心得てます」

「ほな、今度からは気ぃつけてな。あんまりやり過ぎると内申に響くし」
「有難いお言葉!」

武士のような潔さを見せ、その場をやり過ごすこととなった。

◆黒井先生の評価がちょっぴり下がった。

58 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 01:37:27.99 ID:lifi4Ckf0

「こなちゃんおはよー、また遅刻しちゃったの?」

つかさがパタパタと駆け寄ってくるなり、やはり心配そうな顔を向けて来た。

「ちょっと遊びすぎちゃってさ。あ、それよりも昨日は遅くに電話しちゃってごめんね」
「電話……?」

つかさは呟きながら首を傾げて、
「こなちゃんと?」
机に乗り出すようにして訊ね返してきた。

「履歴に残ってない?」
「着信履歴……んっと……あ、ホントだー」

どうやら寝惚けていたらしい。

「不思議だよねー」

そして彼女は明るく笑った。

63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 01:45:48.08 ID:lifi4Ckf0

「お忙しそうですね……お身体にはお気をつけください」

頃合いを見計らっていたのか、
今度は和やかに微笑みながらみゆきさんが声を掛けてくる。

「そんな大げさなもんじゃないよ、ただの夜更かしが祟っただけだし」
「睡眠不足ですか……」

みゆきさんが一瞬だけ俯く。

これは……何か出るな。

そして頬に手を当ててから、
「成長ホルモンというものは寝ている間に分泌されるそうです。
 特に、大体夜の10時頃から午前2時くらいにその傾向が躊躇に見られまして……」

うぉぉ……悪気は無いんだろうけど……悪気は無いんだろうけど……
みゆきさんに言われると色々とグサリと来る。

「あ、ありがとうみゆきさん」

やや強引に話を終結へと持って行った。

65 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 01:55:22.64 ID:lifi4Ckf0

こなた「あれ、そういえばかがみん来ないね」

みゆき「朝の時間は短いですし、お忙しいのではないでしょうか?」

つかさ「そう言えばお姉ちゃん、朝から機嫌が悪かったような……」

こなた「へー、ヒステリックだねー」

つかさ「賭けがどうとか言ってたような……」

こなた「へ、へー……」

みゆき「泉さん?」


どうしようかな?


A.「かがみの様子を見てこようかな」
  隣のクラスへと向かった。

B.「なんでもないよ」
  そのままこのクラスに居ることにする。

>>67

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 01:55:57.76 ID:g2qAnWzcO



74 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 02:03:01.70 ID:lifi4Ckf0

「かがみの様子を見てこようかな」

席を立ちつつ踵を返す。

「気を付けてねー」
「くれぐれも、用心なされますように」

背後からは二人が何らかのフラグを立てようとしているような……
いや、気のせいだよね。

という訳で、軽く振り向いて挨拶代りに一言。
「無事に帰ってきたら、俺、つかさと結婚するんだ……」

これでバッチリ!

人生はフラグ管理が重要なのさ。


◆何らかのフラグが立ちました。

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 02:06:37.04 ID:lifi4Ckf0

隣の教室の扉の前へ立つと、
中からは私のクラスと何ら変わりのない喧噪が漏れきていた。

さてと、どうしようかな?


A.普通に教室へ入り、かがみの元を目指す。

B.「かがみー!」
  いつも通りに声を掛ける。

C.「かーがみん!」
  ちょっと砕けた感じはどうだろうか?

D.「かがみ様ー!」
  崇め奉る。

>>80

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 02:07:46.00 ID:g2qAnWzcO



82 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 02:17:09.07 ID:lifi4Ckf0

両手を使い扉を厳かに開き候。

「かがみ様ー!」

某、申させて頂きまする。

ガタッ!

とここまで聴こえるほどの音で立ち上がる人物。

うお、来てます来てます、両掌をグーに握りしめて来て――

「ぐわっ」

私が呻き声を上げてもそのまま廊下の壁に押し付けられ、
「恥ずかしいからその呼び方はやめろって言ってるだろ!」
かがみが息をと同時に声を荒げている。

「いやー、なんとなくそう呼びたくなっちゃってさー」
「頼むからやめろ、恥ずかしいから」

ちらりとかがみの背後を窺ってみる。
どうやら、みさきちと峰岸さんがこちらの様子を窺っているようだ。

83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 02:18:52.48 ID:lifi4Ckf0

私は即座に考え――


A.「ごめんごめん、どうしてるかなーって思って様子を見に来たんだよ」
  そのままの目的を告げた。

B.「おー! 今日も活きがいいお嬢さんだねぇ! もっと熱くなれよ!」
  八百屋と修造を足した感じに答えた。

C.みさきちに向けてニヤリ。
  不敵な笑みを送った。


>>85

85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 02:19:21.02 ID:SKfwEoCg0



89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 02:28:26.68 ID:lifi4Ckf0

「おー! 今日も活きがいいお嬢さんだねぇ! もっと熱くなれよ!」
さぁかがみ、今こそ熱くなるんだ!

「はぁ?」
困惑いっぱいの表情を返される。

「伝わってこない、伝わってこないよ! さぁ、もっと熱く、諦めんな!」
来い!どんと来い!

「ちょ、ちょっと! 人が見てる!」
「聞こえない、聞こえないよ! もっと大きく! もっともっと強く!」
「うるさいわね!」
「もっと! もっともっと!」
「いい加減にしなさい!!」

かがみの声が廊下中に響き渡った。
やや遅れて『なさいっ!』と語尾が木霊となって返ってくるほどに。

「そう! 今終わった! 君のうるさいという気持ちは今――もぐぁっ!」
「黙れ」

平坦な声と共に、口にハンカチを突っ込まれ物理的に黙らせられる。

「もう帰れ」

かがみは怖いほどに静かな口調で告げると、ツカツカと歩き去って行った。


◆かがみの評価がそれなり下がった。

94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 02:35:24.09 ID:lifi4Ckf0

こなた「……」

つかさ「こなちゃん?」

こなた「……」

みゆき「何かあったのでしょうか?」

こなた「かがみん凶暴」

つかさ「え?」

みゆき「わたくし達には計り知れない”何か”があったのかもしれません」


キーンコーンカーンコーン


つかさ「良く分からないけど、元気出してねっ」

みゆき「ファイトです」

こなた「ありがと……」

95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 02:41:24.53 ID:lifi4Ckf0

一時間目の授業中だというのに早くも眠い……

黒板に描かれている幾何学模様が霞んで見えるよ。

あー、えっと教科書何ページ?

92ページか、えっと今やっているのは――


むおっ、今一瞬意識が飛んでたな。

これは不味いぞ、気を抜くと一瞬で持って行かれそうだ。


あー、やっぱり夜更かしなんてするもんじゃないよ。


なんて何度も自認した筈なのに止められないのは何故だろうね?

夜だとテンションが上がるっていうか、夏だと涼しいからっていう――


にゃっ、また意識が飛んでた。

いかんいかん、寝たらいかん。

雪山だと思え、ここを雪山だと思え……

97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 02:46:41.10 ID:lifi4Ckf0

休み時間。

こなた「何故か休み時間になると目が覚めるよねー」

つかさ「その気持ち、わたしも分かるよー」

みゆき「不思議ですよね」

こなた「チャイムに覚醒効果があるとか?」

つかさ「だとしたら、授業中にもチャイムを鳴らせば……」

みゆき「思いもよらない着眼点ですね」

こなた「今度、生徒会にでも提案しとこうよ」


一同「……」


こなた「……足りないね」

つかさ「うん、その、なんていうんだろう、足りないね」

みゆき「その、アレですよね」

こなた「うん、ボケを拾ってくれる役割的な……ね」


そんなこんなで昼休みまで過ごしていった。

99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 02:56:57.00 ID:lifi4Ckf0

昼休み。

かがみ「おーっす!」

こなた「キター!」
つかさ「待ってたよー!」
みゆき「お待ちしてましたー!」

かがみ「うわ、やけにグイっと食いついてくるわね」

つかさ「細々とした事情があるんだよー」
かがみ「取り敢えずその餓えたような眼はやめなさい」

こなた「いやぁー、やっぱりベストメンバーが揃わないと駄目だねぇ」
かがみ「何の事だか……。あ、ほい、こなた」

こなた「むお?」
かがみ「チョココロネ、約束してたでしょ?」

こなた「あーそういえば」
かがみ「忘れてたのかよ、全くだらしないんだから……」

こなた「でも助かったよ、お弁当作る暇が無くってさー」
かがみ「また遅刻か」
みゆき「そうですね」

かがみ「ほんっと、こなたはだらしないんだから……」
つかさ「わたしもちょっと胸が痛いような……」

105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 03:11:45.28 ID:lifi4Ckf0

かがみ「って事は、アンタまた特別日直なの?」
こなた「そうなるねー」

かがみ「アンタしか任命されないんだから、こなた日直にでも改名すればいいのにね」
こなた「ハッハッハ」

かがみ「威張るな。……それでどんな事をやらされてんの?」

こなた「日直の仕事範囲で無い雑用やら連絡係やら……まあ黒井先生の手先だね。
     それから放課後にはクラスの観察日誌を書かされたり配布プリントの印刷を任されたり……」

かがみ「へぇー……」

こなた「どうかしたの?」

かがみ「いや、別に。大変そうだなーって」

みゆき「わたくしで宜しければ、お力添えしますよ?」
つかさ「わたしも手伝うよー」

こなた「二人は優しいねー」

チラッ

かがみ「な……なによ?」
こなた「……」

かがみ「わかったわよ、手伝えばいいんでしょ?」

108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 03:15:22.57 ID:lifi4Ckf0

私は――


A.「ありがとうかがみん!」
  素直に返答した。

B.「べ、別に手伝って欲しいとかそういうんじゃ……!」
  しかし素直になれなかった。

C.「いや、いいよ。手を煩わせるのもなんだしさ」
  やんわりと断った。


>>109

109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 03:15:55.92 ID:g2qAnWzcO



112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 03:26:12.39 ID:lifi4Ckf0

こなた「ありがとうかがみん!」

かがみ「うわ、素直なこなたは気持ち悪いわね」

こなた「……」
つかさ「お姉ちゃん……」
みゆき「かがみさん……」

かがみ「じょ、冗談よ! しょうがないわね、手伝ってあげましょう!」

こなた「かがみさまぁー」
かがみ「その呼び方はやめろ、そして抱き付くな」

つかさ「二人ってそうしてると姉妹みたいだね」
かがみ「実の妹であるアンタが言ってどうすんのよ」

みゆき「わたくしも混ぜて頂きたいものです」
かがみ「みゆきまで……」


かがみ「……なんだか今日は調子が狂うわね」
こなた「皆餓えてたんだよ、かがみんのツッコミに」

かがみ「あたしってそんな役割だったのか……」


そんなこんなで昼休みの時間も過ぎ去っていった。

114 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 03:32:28.17 ID:lifi4Ckf0

6時間目の授業は地理だ。
チェルノブイリの原発がどうとかいう話を老教師が熱心に語っている。

赤い森とゴーストタウン。

なんだか神秘的な響きだけれど、
現地に住む人達にとっては忌々しさの象徴みたいなものなのだろうか。

熱心にノートへと書き取っていく。

そういえば、不思議と午後になると眠気が引くんだよなぁ。
なんでだろ?

んー……

っとと、期末テストが近いんだから真剣に聞いておかないとね。

119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 03:46:15.94 ID:lifi4Ckf0

放課後になるとクラスメイト達が蜘蛛の子を散らすように出払っていく。
その中で私とみゆきさん、つかさ。
蜘蛛の子とは入れ違いに入って来たかがみで一つの机を囲む。

「それじゃ、ちゃっちゃと片付けちゃいましょ」

かがみが髪を指で巻きながら口早に言った。

課せられた仕事は明日配る予定のプリントの印刷、それと観察日誌。
あとは教室の簡単な掃除だ。
流石に日誌を任せる訳にはいかないので、

「私は日誌を書くから、プリントの印刷を頼んじゃっていいかな?」

皆を見回す。

「それじゃ、そっちはあたしとつかさに任せて。みゆきは掃除を頼むわね」

かがみが的確な指示を下し、それぞれの仕事へと取り掛かって行った。

122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 03:55:30.89 ID:lifi4Ckf0

うーん、観察と言ってもなぁ。

『今日は晴れでした。皆もいつもと変わりなく元気でした。
 私が遅刻する以外には特に事件といったことも起きずに平和だった』

まる……っと。
って、10行まであと8行も足りないよ。

「風の中のすーばるー」

なんだこの凛々しい声は!?
思わず顔をあげる。

「あっ、すみません。一人で掃除をしているとつい……」

みゆきさんが照れるように、はにかんでいた。

「そうだ! みゆきさん、ちょっとだけいいかな?」
「なんでしょう?」

ホウキと塵取りを両手に、ゆっとりとした小走り。

「えっと、これなんだけど……」

123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 03:58:37.97 ID:lifi4Ckf0

私は日誌の内容を見せつつ――


A.「どうしたら上手く書けるのかな?」
  と訊ねた。

B.「どうすれば面白く書けるのかな?」
  と訊ねた。

C.「みゆきさんなら、どのように書く?」
  と訊ねた。


>>125

125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/11(月) 03:59:58.75 ID:TEQOXlSr0

B

126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 04:12:55.23 ID:lifi4Ckf0

「どうすれば面白く書けるのかな?」

率直な意見を求めてみる。

「そうですね……面白く、ですか?」

頬に手を当てて、視線を落とすお決まりのポーズだ。

これは……来る!

みゆきさんは一休さん並の黙考時間を掛けて、
「例えば、伏線を張ってみるというのは如何でしょうか?」
ピンと指を立てた。

「伏線?」
「一番最後の部分へ向けて、それへの糧となる要素を散りばめておくんです」

ちょっと難しいような。
ゲーム以外ではあんまり文字媒体の読み物を目にしないからなぁ。

「えっと、例えば?」
「例えるならば、これは観察日誌な訳ですが、
 別の見方をすれば泉さんは特別日直というある意味での”罰”としてこれを書かれている訳ですよね?」

指をくるりと回しているみゆきさんへ向けて、そっと頷く。

こういう事を語るときのみゆきさんは、とても活き活きしていて見ているだけで面白いから困る。

128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 04:30:01.68 ID:lifi4Ckf0

みゆきさんは快活に続けていく。

「つまり、これを書く意味としてはクラスの観察という目的の他に、泉さん自身への戒めの意がある訳です。
 端的に言えば、最終的にそこへと自然に話を持っていければいい訳ですね」

うんうん。

「この場合、泉さんが犯してしまった失態は遅刻ですのでそれを使います。
 えっと、原因は夜更かしですよね?」
「ネトゲだよ」
「ネトゲ……?」
「夜更かしです」

わかりました、とみゆきさん。

「こういう流れはどうでしょうか?
 夜更かしが発端となり遅刻してしまいクラスへと到着しました。
 クラスの皆はいつもと変わらずにいたのに、私だけが何だか慌てているような気分です。
 そんな皆を見ていると、どうやら私は軽率だったのかなと感じました。
 生活態度を改めてバッチリ行こうぜ、いぇい!」

いぇい、の所でガッツポーズ。

「コホン。えっと、即席ですが如何でしょう?」
「いい、凄く良いよ!」

みゆきさんに文字を書かせると人が変わる。
不覚にも新たな萌え要素を発見した瞬間だった。

◆みゆきさんに萌え要素”文学少女”が追加されました。

130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 04:45:12.05 ID:lifi4Ckf0

その後もなんやかんやあって、以下の文章を書き上げることが出来たのだ。


『昨日私は、レバ剣欲しさに夜遅くまでネットゲームをやっていました。
 そのために今朝は起きられず、あまつさえ遅刻という失態を踏みました。
 クラスへと来た時には既に朝読書の時間で、
 皆はというと真剣な面持ちで本を読んでいました。
 直後、黒井先生から黒い視線が・・・!
 この空気、ただごとではないぞ!
 瞬間的に頭を下げた直後、先生が一片の情すら含まぬ表情で手を振っている。
 そういう事ですか!
 即座に理解、直後に着席。
 焦る気持ちと逸る体を抑え付け、慌てて取り出した本へと目を落とし読み進めていく。
 落ち着いて過ごす為にある朝読書という時間・・・なのに!
 くっ・・・何故、私はこんなにも疎外感を覚えなくてはならんのだ。
 その気持ちは放課後となった今でも消える事はない。
 いや、今後一生消えることはないだろう。
 私は生活態度を改め、後生、夜更かしはしないと誓ったのであった。』


「あれ……」

なんか違わない?
みゆきさんの様子を窺う。

彼女も無言のまま首を捻っていた。

131 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 04:55:00.10 ID:lifi4Ckf0

かがみ「ほーい、こっち終わったよー」
つかさ「こなちゃん達はどう?」

こなた「うん、一応終わった」
みゆき「はい、一応終わりました」

かがみ「なんか釈然としない返事だな」

こなた「それより、皆ありがとね」

かがみ「崇め奉っていいわよ」

こなた「かがみさまぁー」

かがみ「……やっぱり前言撤回するわ」

つかさ「もうすぐ6時だね、久しぶりにこんな時間まで残っちゃったかも」
みゆき「わたくしは楽しかったので構いませんよ」

かがみ「それじゃあ帰ろうか」

こなた「そだね、おつかれさま!」

つかさ「おつかれさまー」
みゆき「お疲れ様です」
かがみ「おつかれさま」

134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 05:13:18.64 ID:lifi4Ckf0

まだまだ明るい空の元を、四人で肩を並べ歩いて行く。

「冬だと、今の時間でも暗いのにねぇ」

つかさがのほほんとしている。

「今だと大体8時くらいまで太陽が出てるんだっけ?」

かがみが誰へともなくの疑問を口にすると、

「6月下旬が夏至ですからね、今の時期が一番日照時間が長いようですよ」

それにみゆきさんが答える。


なんだろうね、この感じ。
見事に調和が取れているとでもいうのかな?

うーん、上手く言葉には出来ないんだけれど……

「では、わたくしはここで」

考えているうちに、みゆきさんが遠慮がちに頭を下げていた。
都心から通っている彼女は私やかがみ、つかさよりも早く別れる事となるからだ。
なので私は、

「また明日ね!」

大きく手を振って、彼女を見送ることにした。

137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 05:26:08.24 ID:lifi4Ckf0

「ただいまー」

言いつつ玄関で靴を脱いでいると、

「おうこなた! お帰り!」

エプロン姿のお父さんが……ああ、今日はお父さんが食事番か。
ともなればメニューは、

「カレー?」
「甘いな」

腕組み仁王立ちで首を振っている。
しかし君のレパートリーの少なさに定評があるのを私は知ってるのだよ。

「うどん」
「ブー」

「焼肉」
「そんな金はねェ!」

「湯麺」
「お前に食わせるタンメンはにぇ!」

うわ、酷い顔だ。
直視するに耐え兼ねる。

「おい、顔を逸らすなよ顔を……お前が振ったんだぞ……なぁこなたぁー……」

お父さんは、なんか必死だった。

139 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 05:37:00.21 ID:lifi4Ckf0

ゆたか「あ、おかえりー」

こなた「ただいまー……って、結局カレーじゃん!」

そうじろう「だって一発目から当たってるのは悔しいし? チキン入ってるから正確にはチキンカレーだし?」
こなた「子供ですか」

そうじろう「お、おい! 親に向かってそんなこと言うもんじゃないぞ!」
ゆたか「そ、そうだよお姉ちゃん」

こなた「む……」

お父さんがいつの間にか、ゆーちゃんを味方につけているとは。

こなた「まぁいいけどさ、それで何か手伝うことはある?」
そうじろう「皿でも並べておいてくれ」
ゆたか「それなら私がやります」

こなた「いや、私がやるよ」
ゆたか「ダメだよ、私がやるから」

こなた「いやいや、私が」
ゆたか「だめだめ、私が」

そうじろう「……じゃあ俺が」

こなた「どうぞどうぞ!」
ゆたか「どうぞどうぞ!」

そうじろう「……」

141 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 05:51:35.75 ID:lifi4Ckf0

「なにこれ……」

思わずそう口にせずにはいられない、御飯の噛み応え。
お粥と御飯の中間点あたりだろうか?

嫌にねっちゃりするんですけど。

「美味しいなあ……」

見苦しい感想だねお父さん。
作り笑顔なんでしょ? 顔、引き攣ってるよ?

「……」

ゆーちゃんは無言。
嘘を吐けない彼女にとって、それが精一杯の優しさなんだろうな。

「ねぇお父さん、また”アレンジ”した?」
「いや……」

思いっきり目が泳いでいる。
そのまま無言で観察を続けていると……

「ちょっとだけ」

それも嘘なんでしょ、だって視線を合わせようとしないもんね。
やれやれ、明日の朝食当番である私にまた一つ課題が増えちゃったよ。

溜息ついでに、駄目な大人の代表格だな、
という言葉はねっちゃりとした御飯ぽいものと一緒に静かに飲みこんでおいた。

142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 06:01:23.62 ID:lifi4Ckf0

変に重苦しい空気の中での夕食を済ませ、
テレビから流れてくるお笑い芸人の威勢によってようやっと和やかムードが拡がって来た頃合い。

私は少々手持無沙汰となっていた。

台所ではゆーちゃんが洗い物を済ませているし、
お父さんは居間で熱心に本を……って、”クッキングパパ”という事はまたも次のアレンジへの布石かよ。


さて、どうしようかな。


A.「ゆーちゃん、手伝おうか?」
  暇だったので加勢に回った。

B.「お父さん、何してんの?」
  今後の食の安全の為にも探りを入れよう。

C.「誰かに電話を掛けるのもいいかもしれない」
  携帯電話を取り出した。

>>144

144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 06:03:24.92 ID:G4UfJZI90



145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 06:20:04.46 ID:lifi4Ckf0

「ゆーちゃん、手伝おうか?」

暇だったので流し台の隣に立った。

「え、別にいいよー」
予想通り遠慮される。

「だが、断る!」
手早く布巾を掴み、積まれていた食器を拭き上げて行く。

「それじゃあゆーちゃんは洗って頂戴な。
 濡れた手で食器を拭くのは面倒だろうし、私はこっちをやるからさ」

「うん、それじゃあお願いするね」

カチャリ、カチャリ。

まるで機械のように正確な早さと力強さで洗い立ての食器が積まれていく。
それを片っ端から拭き続ける。

と、ここまで来て気付いた。

「よくよく考えると、今夜はカレーだったから丸皿3枚とスプーン、コップだけだね」
「あっという間に終わっちゃったよね」

もしかして、私ってあんまり意味がなかった?

「ありがとうお姉ちゃん!」

そんな心境を知ってか知らずか、ゆーちゃんは楽しげに食器をしまっていた。

146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 06:32:16.27 ID:lifi4Ckf0

「あ、そうだ!」
その小さな背中を呼び止める。

「なんですか?」
ゆーちゃんがくるりと振り返る。


「ちょっとした思い付きだけどさ」


A.「崇め奉っていいわよ」
  凛とした声で言ってみた。

B.「えーと、その……えへへ」
  頼りなさげに、微笑んでみた。

C.「わたくし事ですが……」
  優しげな口調で語りかけてみた。

D.「もっと熱く! 熱くなれよ!」
  そうだ、熱くなるんだ!


>>148

148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 06:36:13.97 ID:1EKP/XS60



150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 06:47:27.32 ID:lifi4Ckf0

「もっと熱く! 熱くなれよ!」
腹の奥底から声を絞り出す。

「ひぇっ」
ゆーちゃんがピクリと震えた。

「どうした、もっと熱く!」
届け、この想い!

「は、はい……」
「足りないよ、もっと! もっとだ!」

「は、はい! 頑張ります!」
「もっと、もっと出来る! 諦めんな、もっと出来る!」

「はい! 出来ます!」
「よし、今生まれた気持ちを大事にするんだぞ!」

「はい、大事にします!」


……なにやってるんだろう、そして何をやらせてるんだろう私は。
時々、自分のことがわからなくなるよ。
でもね、こんな馬鹿な事にも真面目に付き合ってくれる、
ゆーちゃんみたいな妹分が居てくれて本当に幸せだと実感したよ。


◆ゆーちゃんの持ち芸に”熱血修造”が追加されました。
◆ゆーちゃんの評価が上がった。

151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 06:54:56.74 ID:lifi4Ckf0

そしてお風呂も済ませ、夜の10時。
私は今、自室に居る。

外は静かだしテレビも点けていない。
その室内へと聴こえてくるのはカエルの鳴き声だけだ。

さてと――


A.今日は早めに寝ようかな。

B.テレビでも見ようかな。

C.ネットゲームでもやってみるかな。


>>152

152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 06:57:13.71 ID:1EKP/XS60



154 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 07:02:19.97 ID:lifi4Ckf0

よっし、まだ寝るには早い。
ともなればネトゲに勤しむのも一興というものだ。

慣れた手つきでパソコンのパワーボタンを押しこむ。
聴き慣れたファンの音が静かに辺りを包み、画面に光が灯る。

うーむ、やっぱりこの立ち上げ時間って長く感じるんだよねぇ。

これまた無駄にマウスとディスプレイの位置調整を行っていると、
御馴染のSEが鳴り響いてきたのだ。

すぐさまJaneとIEを数個立ち上げ、ネットゲームクライアンを立ち上げる。

何となく左端にJaneが無いと落ち着かない、というのは私だけではないはずだ。
うん、大事なことなんで二回目の確認だね。

なんて心で呟きつつ、ゲームにログインする為のIDとpassを入力していった。

156 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 07:12:40.03 ID:lifi4Ckf0

やはりログイン直後にフレンド検索。

”nanakon”

黒井先生、最近ログイン率高いよなー。

『ナナコ:おーっす』

激しく既視感。

『コナタ:こばわー ノ』

返答を返す。

『ナナコ:直後、黒井先生から黒い視線が・・・!』
『コナタ:あ、それは・・・』

観察日誌の中の一文だ。

『コナタ:どーでした?結構頑張って考えたんですよー』

少し間が空いてから、

『ナナコ:まぁ、他人を観察するのではなく、自身を観察するという着眼点は評価する』
『コナタ:^^』

『ナナコ:せやけど、やけにウチが怖い人間に見えんのは気のせいか?』
『コナタ:^^;』

確かに、ちょっとだけ自覚していたので言い返せないな。

158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 07:19:22.88 ID:lifi4Ckf0

『ナナコ:ところで、今日はこれからどうするんや?』

『コナタ:そうですねー』


A.「実はレバ剣が欲しくて狩りにでも勤しもうかと」
  昨日達成できなかったので、とことんやり込むつもりの返答をした。

B.「先生と少しだけチャットでもと思って」
  早めに落ちる意を示した。

C.「寝る前に様子を見に来ただけですよ」
  目的は達成したので、ゲームを止めた。

D.「先生wwwwwwテラコワスwwwwwwww」
  何となく草を生やしてみた。


>>160

160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 07:24:50.18 ID:3ZI2pkS60



161 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 07:37:47.85 ID:lifi4Ckf0

『コナタ:先生と少しだけチャットでもと思って』
『ナナコ:ほぉー』

『コナタ:それでどうだったんですか、観察日誌は?』
『ナナコ:それが聞きたかったんかい』

『コナタ:だって、みゆきさんにコツを教えて貰いながら四苦八苦して書いたんですよー?』
『ナナコ:正反対な二人が手を組んだから、こんな纏まりの無い結果になったんやな』

『コナタ:これは酷い言いようだ』
『ナナコ:冗談や、冗談』

『ナナコ:まあまあやな、当たり障りのない物を書かれるよりは些かマシや』
『コナタ:ウホッ』

『ナナコ:そしてなによりも、今夜お前が夜更かしする気が無いということが分かって安心した』

『ナナコ:まさかまた夜更かししてるようじゃ、文面に書かれてたのは嘘って事になるからな』

危なっ……特大地雷を踏みかけていたのか……

『ナナコ:明日は遅刻せんようにな、そろそろ進路も考えださなあかん時期やし生活態度は改めとき』
『コナタ:了解ッス!』

『ナナコ:そいじゃなー ノシ』


それだけを告げると黒井先生はログアウトしていった。

……もしかすると、私が来る場合に備えて待っていたのだろうか?

163 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 07:48:14.19 ID:lifi4Ckf0

先生が居なくなったのでゲームからログアウトし、パソコンにシャットダウン命令を下す。
そのディスプレイの電灯が消えるよりも早く、部屋の電灯を消し、私はベッドへ飛ぶようにして寝転んだ。

そしてぼんやりと、仰向けになって天井を眺めてみる。

今日も一日、色々なことがあったような……
得てしていつもと変わりなく何も無かったような……

そんな一日だったと思う。

もっと何かでかいことをやるべきなのだろうか?
いや、それが何なのかはわからないけどさ。

ところで、今日やるべきことは他に何かあったっけ?
特になかったはずだ。

では、明日は何をしようか?
特に思い付かないな。


ま、それはまた明日考えればいいか。


今日がどんな一日だったのかは正直、自分にもわからない。
けれどもこれだけは言える。


「悪い日では、なかったはずだ」

そう呟いたあと、私はゆっくりと目を閉じた。

165 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 07:49:56.40 ID:lifi4Ckf0

               −1日目終了−

172 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 08:10:20.00 ID:lifi4Ckf0

・現時点でのキャラクター評価メモ

そうじろう −1
黒井先生 +1.5 (書き忘れたけど、最後のチャットの下りで+1してる)
かがみ −2
ゆたか +1

・特技的な何か

みゆき 『文学少女』
ゆたか 『熱血修造』


※評価が下がっても別に殺伐とはしない、はず
  あくまでも、なんてことない日常なんです

230 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 18:45:16.26 ID:lifi4Ckf0

それは朝のホームルーム直後の出来事だった。

「かがみ様−!」

この間の抜けたような声は……!?
聴こえて来た教室入口方面を目で探る。

……やっぱり、ちびっ子だ。

「またこなたか」
私と談笑を交わしていた柊が、突如低い声で呟き勢い良く席を立った。

「柊、ちょっと顔が怖いぜー?」
私が言うと鋭い視線をこちらへと滑らせ、
「すぐにカタしてくるから日下部は耳を塞いでて頂戴」
「お、おう……」

柊が両手を強く握りしめて歩いて行く。
その背中からは無言のプレッシャーがひしと伝わってくるような。

「あやのー、柊が怖いよぅ」
「いつもの事だから、ね?」

どうしてそんなに余裕しゃくしゃくなんだよぅ。

232 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 18:54:55.16 ID:lifi4Ckf0

お、柊がちびっ子を廊下の壁に押し付けたようだな。
そのまま何やら言葉を交わしているみたいだけど、ここまでは聞こえないみたいだ。

気になるぞ。
ちょっと見やすい位置に移動したほうがいいなー。

私があやのを引っ張って先導しようとすると、
「あんまりこういう事はしないほうがいいと思うんだけど」
ちょっとだけ困った顔を見せつつも付いてきてくれた。

「頼むからやめろ、恥ずかしいからやめろ」

ちびっ子を押さえ付けた柊がそう言った直後――

一瞬だけちびっ子と目が合った。

「いま、あいつが私を見てニヤッとしたような……」
「気のせいよ、意識しすぎだって」

あやのが何故か爆笑している。
一般的な人で見るとそれは微笑んでいるくらいなんだろうけど、
あやのと長年付き合ってきた私には、それが彼女にとっての爆笑に類するものだという事くらいわかる。

「何が面白いんだよー」
「全部、かな」

くすくすと笑うあやのの隣で、私は柊とちびっ子の顛末を窺っていた。

236 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 19:05:46.41 ID:lifi4Ckf0

「なかなか良いシャウトだったぜー」
教室に戻って来た柊の肩に手を回す。
「うるさい」
払われた。

褒めたつもりなんだけどなー……。

「触らぬ神に祟りなしよ、みさちゃん」
あやのがそっと囁いてくる。
「巫女だけに本当に神通力でも持ってたりして」
同じように返す。

「持ってないわよ」

地獄耳は持っているようだなー。


――キーンコーンカーンコーン


「ほら、席へ戻りなさい」
柊に手の甲で払われる。

「柊が冷たいよぅ」
こういう時はあやのに縋るしかないのだ。
「2時間目にでもなれば元に戻るから大丈夫よ」
よしよし、と撫でられて解散となった。


アップダウンの激しい柊は、あやのの言葉通り次の休み時間には笑っていた。

237 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 19:13:12.61 ID:lifi4Ckf0

               − 2日目 −

239 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 19:23:43.43 ID:lifi4Ckf0

――ジリリリリリリ!


む……目覚まし……?

えっと……6時20分か。

ちょっと早かったかな?

でも今日は私が朝食当番だし、起きなきゃね。

「んっ……とぉ……!」

ゆるりと伸びをしてから身を起こし、
そのまま何となく気が向いたのでカーテンを開け放ってみる。

外はまだ幾許かぼんやりとした明るさのようだが、
空は青一色に染まっていた。

街の向こう、遠くに霞む山々を眺めながらちょっとだけ考える。

今日一日、いい日でありますように……

なんてね。

240 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 19:34:02.35 ID:lifi4Ckf0

「あれ、ゆーちゃん?」

キッチンコンロの前で鍋と格闘していた背中に声を掛ける。

「お早うございます!」

うるさっ。
と仰け反ってしまいそうなくらいに元気な返答。

「朝御飯は私が――」
「任せてください!」

やけに積極的なゆーちゃんだな。
欠伸をしつつその様子を窺っていると、

「もっと熱く……もっと熱く……」

火力最高の鍋を真剣な面持ちで黙視している。

って、
「それ味噌汁じゃないの? 吹きこぼれちゃうって!」
「もっと来い! もっともっと来い!」

どうやら、ゆーちゃんは新たな何かに目覚め始めているようだった。

244 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 19:42:49.65 ID:lifi4Ckf0

折角の熱意に冷や水を浴びせるのも忍びなかろうね。

という事でバーニング味噌汁はゆーちゃんに任せることとして、
問題はこっちのベチャベチャの御飯をどう調理するかだ。

電気ジャーで炊いたのに何故か生に近く硬い部分と緩い部分が混在する、
そんな不思議料理を作ってしまうお父さんも凄いが、
これを上手く処理出来れば私はさらに凄いということになる。

そんな方程式を頭の中で組み立ててみた。


さて――


A.「チャーハン作るよ!」
  火を通せばイケるはずだ。

B.「逆に考えるんだ、いっそ御粥にすればいいのだと」
  逆に考えた。

C.「甘んじてこのまま食べよう」
  それも一つの考えさ。

>>247

247 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 19:44:11.25 ID:LlLE2yZuO



253 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 19:59:37.96 ID:lifi4Ckf0

「チャーハン作るよ!」

即座に用意したフライパンを燃え滾る火にかざす。

一瞬のタイムロスさえも許されない。
料理はリアルタイムに進行しているのだ!

右手で冷蔵庫を開け瞬時に左手で卵、
ソーセージ、ネギ、使い掛けのニンジンスティックを強引に掴み――

そのまま俎板へと移行!
刻みあげろ。

「バター、引き終わりました!」
「でかしたぞ、ゆーちゃん!」

言い終わるより早く具材をぶち込む。

「よし、一旦退避!」
「はい!」

具材類を皿に上げ、代わって解き卵を鍋に引き、

「米だ!」
「どうぞ!」

流れるように、ねっちゃりしたものを投入する。


そんなこんなで料理は続き……

255 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 20:13:27.77 ID:lifi4Ckf0

「美味しいね……」
ねっちゃりとしたものから、団子状の何かに進化した物を口へと運びつつ呟く。

「……」
ゆーちゃんは無言。
嘘を吐けない彼女にとって、それが精一杯の優しさなんだろうな。

次に味噌汁を啜ってみる。

「……」
コトリ。
無言で器をその場に置いた。

日本における朝の食卓は静かである。
その一言で全ての説明がつくこの状況。
なかなかに貴重な一時を過ごしているのかもしれない。

「おはよう」

そんな折、目を擦りながらお父さんが食卓へ顔を出してきた。
すぐさま用意してあった席へと着き、

「いただきます」
一口の後、
「なにこれ……」

「なぁこなた、また”アレンジ”した?」
「まさか……」

私は自然を装いつつ目を逸らした。

256 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 20:15:45.37 ID:lifi4Ckf0

◆ゆーちゃんの評価がちょっぴり下がった。

◆そうじろうはこなたに親近感を抱いたようです。

258 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 20:28:13.04 ID:lifi4Ckf0

「それじゃ、行ってくるねー」
「行ってきます」

「気を付けてなー」

お父さんに見送られ、ゆーちゃんと二人敷居を跨ぐ。
視界が開けたので何と無しに空を見上げると、
起きぬけに見た時よりも雲が増えているように感じられた。

「今日、雨が降ったりしないかな?」
「えっとぉ、降水確率10%くらいだったような」

やや上を見上げるようにしながら答えが返ってくる。

「じゃあ、大丈夫だね!」
「うん、大丈夫だよ!」


A.「と見せ掛けて、やっぱり傘を持って行こう」
  くるりと180度ターンした。

B.「うん、きっと大丈夫!」
  ゆーちゃんを信じた。


>>260

260 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 20:29:52.68 ID:jStWwipZ0

A

262 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 20:43:42.82 ID:lifi4Ckf0

「と見せ掛けて、やっぱり傘を持って行こう」
鮮やかに身を翻して再び敷居を跨ぐ。
そして下駄箱の隣にある傘立てから大きめの傘を二つ抜き取った。

「紺と黒、どっちがいい?」
「どちらかと言えば、紺のほうが」

はい、と紺の傘を手渡す。

「こういう事ってさ、前フリをすると結構当たったりするんだよね」
「えーと……あ、何となくわかるような気がするかなぁ」

「あの迷った時に、もし傘を持ってきてれば……って事が良くあるでしょ?」
「あー、あるかも。でも悔しくて、余計に印象に残っているだけかもしれないね」

ゆーちゃんが、えへへ、と笑ったあと、

「でも雨の中を走るのも……」

何かを吟味していた。

268 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 20:56:36.65 ID:lifi4Ckf0

校門を越え、学内敷地へと入ってすぐの事だ。
ふと、見知った人影が目に付いた。

どうやらその人物は、一本の木を見上げているようだった。

まだ登校する生徒達がピークを迎える時間には程遠い。
そんな時間だというのに、何故ここに?

いや、いつも早いのかもしれないな。
遅刻常習犯の私が知る由もないだけでね。

私はゆーちゃんに目配せすると、その人物の背後からそっと忍び寄り……

「おはよーっ――」

270 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 21:10:11.80 ID:lifi4Ckf0

「――みゆきさん!」
大声で肩にしがみ付きながらの挨拶。

「わっ!?」
飛び退くように振り返る彼女。

「にひひ」
「……びっくりしましたぁ」
笑う私の後ろから、
「お早うございまぁす」
ゆーちゃんが遠慮がちに頭を下げていた。

「ごめんごめん、ついつい驚かせてみたくなっちゃってさ」
「わたくし、心臓が止まってしまいそうでした……。
 あ! うっかりしてました、お早うございます」

即座に笑顔を取り戻す対応力の高さは凄いよなぁ。
なんてことを考えてみる。

そういえば、ゆーちゃんとみゆきさんを合わせたらどうなるんだろう……
歩く萌え要素+歩く萌え要素。
いや、掛け算?


……どうなるんだろうか?

271 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 21:16:56.02 ID:lifi4Ckf0

「今日はお早いのですね」
みゆきさんの声によって思考を遮られた。

「ちょっと背を伸ばそうかと思ったからさ、昨日は夜更かししなかったのだよ!」
親指を立てて答える。

「そうだ、みゆきさんはこんな時間にこんな所で一体なにを?」
返す刀で当初の疑問を口にしてみる。
「えっと……わたくしは大体、いつもこの時間帯に学校へは来ていますが……」

「そうなんだ、まぁ私は大抵が遅刻か、遅刻寸前だしね」
「それは少し不味いのではないでしょうか?」
「うー、わかってらぃ……黒井先生にも言われたばかりだから気を付けるよ」
視線を逸らす私を見てか、みゆきさんは柔和に微笑んでいた。

それから少しだけ間を置いて、

「最近になって知ったのですが……」
「え?」
急に語り出す彼女に、少しばかり意表を突かれる。

「この木、星桜の木と呼ばれているらしいですね」
「……へぇー、名前なんてあったんだ」
相槌を打ちつつも、何故急にそんな事を言い出すのだろうか、という方が気に掛かった。

274 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 21:31:18.28 ID:lifi4Ckf0

桜の木……だけど、今の時期はただの新緑樹と化しているよね。

思わず聞き返す。
「でも何故そんな話を?」

ゆーちゃんと言葉を交わしていたみゆきさんが振り向き、
「と、仰られますと?」

首をかしげ、頬に手を当てている。
その和やかな仕草を堪能しつつも私は続けていく。

「いや、普通は木の名前を調べたりはしないかなって。
 そもそも、ただの木を立ち止まってまで見上げている人なんて、そうそういないと思うしさ」
「そうでしょうか?」

「いや、わかんないけど……普通はそうだよ」
「普通、ですか。でしたら、わたくしは普通では無いのかもしれませんね」

口元に手を当ててクスクス、と上品に笑う彼女。
それが何処となく楽しそうにも見える。

なので私も明るく、
「みゆきさんは変わってるよ、いい意味で。それも主に萌え要素的な意味で、ね?」
その場で三人、笑い合っていた。

287 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 23:38:49.68 ID:lifi4Ckf0

はらり、ひらり、舞う葉の中で、
ゆらり、きらり、揺れる思い出。

『というフレーズを思い付いたのですが如何でしょう?』

『どうしたのさ?』
『実は昨日、こなたさんの日誌の件で、
 文章を読むのと書くのではまた違った楽しみ方があるのだと実感致しまして。
 拙いながらも勉強を始めてみたのですよ』
『文学少女みゆきさんか、ひよりん辺りと組ませてみたいような』
『田村さんと、ですか?』
『水と油な感じだろうけどさ』
『はい?』

『いやいや、こっちの話だよ。それよりそろそろ教室に行かない?』
『いえ、わたくしはもう少しここで』
『そっか、それじゃまた後でね』


「お姉ちゃん?」
ゆーちゃんに声を掛けられて我に返った。
自身の下駄箱に手を掛けた状態で、先程の出来事を反芻していたのだ。

「あ、それじゃあね」
咄嗟にゆーちゃんへ小さく手を振る。
「うん、熱く頑張ってくるね!」
元気一杯に返し、彼女はパタパタと喧噪を残して去って行った。

292 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/11(月) 23:54:21.56 ID:lifi4Ckf0

「うわっと」

教室の扉を開いた瞬間、反対側からも同じように開かれ進路を塞がれた。

「ごめん、泉」

その反対側から顔を出してきたのは白石だった。

「なんで朝っぱらからコントみたいな真似をしてるんだろう」
「すまん、ぼーっとしてて……」

と言いつつも大きな欠伸を見せている。

「眠そうだねー。もっと寝てから、開講ギリギリに登校すればいいのに」
「そうなると起ききれる自信がないんだ」

「徹夜したとか?」
「まあ、色々あったから……」

今にも色が抜け落ちそうなくらいに翳っているような。
あまり手を煩わせるのも気の毒だ。

「生きろ」
「サンキュー、顔でも洗ってくる」

そのままフラフラと消えて行った。
まるで風景に溶け込むように……

というのは誇張表現だけどね。

295 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 00:07:08.01 ID:OHsOIPqh0

うーむ暇だ。

現在の時刻は8時5分。
まだ後25分ばかりのフリーな時間がある。
私のクラスの生徒達は1〜2割程度しか登校してきていないようだ。

うちのクラスが他と比べて自堕落なのかどうかは分からないが、
少し早く来るだけでこうも寂しい状態にあるとは思わなかった。

ガランとした静かな教室に若干、新鮮な気持ちを抱くも、
それ以上に暇を持て余してしまう。

つかさの席には鞄が掛けられていないし、
つまりそれは、かがみもまだ居ないということを示しているんだよね。


こういう時はどうするべきだろうか?


>>298 (暇つぶしの方法をフリー指定)

298 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 00:09:37.36 ID:iA16WWPe0

便所飯

299 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 00:20:14.55 ID:OHsOIPqh0

そうだ、便所飯だ。
これがこの状況に置ける最適解とも言える選択に違いない。

私はそう強く確信した。

さてと、それでは弁当を持って……


なんてこった、弁当が無い!


そう言えば、弁当を作っていないぞ。
まさかあのベッチャリ炒飯を持ってくる訳にも行かなかったので、
今日は購買部からパンでも手に入れて食べようと思っていたのだ。
そもそも弁当を作ってくる日の方が珍しいんだし。

しかしこのままでは、ああ、このままでは。

絶望に打ちひしがれた私の目の前が暗くなっていく……

ほっぷ すてっぷ かーるるいす。


ざんねん!!
わたしの ぼうけんは ここで おわってしまった!!


という具合にレトロなアドベンチャーゲームごっこを繰り広げているうちに、
朝読書の時間になっていたようだ。

301 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 00:33:16.57 ID:OHsOIPqh0

ホームルーム後、1校時目開始までの合間の時間。
その僅かな隙間でさえも彼女はやってくる。

「おーっす、こなたー!」
「柊かがみである」

「何なのよ一体」
「アドベンチャーゲーム風のモノローグっぽくやってみた」

「いつにもまして意味不明だな」
「まあね」

「威張るな」
ハンドタオルでピシッと頭をハタかれた。

「それで、何か?」
聞いてみる。
「うーん、別に何かってほどじゃないんだけどさ……」

かがみがチラリと教室前方入り口を見た気がしたので、
私はその視線の先を追ってみた。


みさきちだった。

304 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 00:51:41.91 ID:OHsOIPqh0

みさきちと目が合った途端、壁の影に身を隠される。

「やっぱり尾けられてたか……」

かがみが額にタオルをあてて溜息を吐いてみせた。
えーっと、

「どういうこと?」
「あたしが聞きたいわよ」

どういうこと?

と、今度はみゆきさんかつかさに話を振ろうと思ったが、
彼女等は彼女等で何やら熱心に語り合っていたので自重しておいた。
ならばこのまま話を進めるしかない。

「端的に言うと、原因は私にあると?」
「そうかもしれないし、そうでないかもしれないの。
 というか、それを確かめる為にここへ来たのよ。
 まあ確定したようだし、あたしは教室に戻るから」

「ゆっくりしていってよ」
「そういう訳にはいかないわよ、それに直にチャイムも鳴るだろうし」

かがみは口早に言うと、
「じゃあね」
颯爽と踵を返していった。

362 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 12:28:48.12 ID:OHsOIPqh0

「それでね、それでね」

隣からつかさの声が聞こえてきたので、それに耳を傾けてみる。

「わたし時々、頭が痛いような気がする時があるの。
 これってドーミャクリューがどうとかってことらしくて……」

つかさが耳慣れない単語をたどたどしく発音。
すると今度はみゆきさんが、
「今も痛いんですか?」
やんわりと訊ねている。

「えっとね……どうだろ、たぶん痛いかも」

おいおい、自分の体なんでしょうが。

「雨でも降るのではないでしょうか?」
「うーん、その時にも頭が痛くなる気がするけど、今日は晴れてるよ?」

何の話なのだろうか、
「どうしたの?」
割って入ってみる。

つかさがまん丸な瞳をこちらへと向けて、深刻そうに告げた。

「実は昨日、テレビで見たんだけどぉ……」

364 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 12:42:53.99 ID:OHsOIPqh0

「頭がね……えっとここらへんかな?」

つかさが自分の頭へと指を差し、
「なんとなーく痛いような痛くないような気がするの」
さらに不確かになっていた。

「それで?」
とりあえず先を聞いてみることにしよう。
「それでね、そういうのはドーミャクリューの原因なんだって」

理論と推論をすっとばしての結論。
流石はつかさだ。

「それ、何処で手に入れた知識?」
「昨日やってたカテーの医学、という番組で……」

そのテレビ番組なら私も知っている。
一般家庭に潜む病気の危険性を検証している番組だったはずだ。
私の記憶によれば世界のナントカさんによる、
「そのまま放って置くと、大変なことになりますよ」
がキャッチコピーだったような。

膝の痛み、息切れ、頭痛、発疹 = 死亡フラグ

そんな方程式が、ちらりと目にした番組内容と共に頭の中を過った。
全てを回避するには、まるでスペランカー並に慎重なフラグ管理が必要になるじゃないか。

「つかさ、病は気からだよ」

私が軽く肩を叩いて、その場はお開きとなった。

367 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 12:57:14.92 ID:OHsOIPqh0

一時間目、国語。
壇上ではやたら張り切った口調で、若い男性教師が芥川龍之介作の羅生門について語っている。
この教師はやたら話が脱線するようで、
現に今も羅生門の物語内容を越えて時代背景から当時の様子へと飛躍している。

この人は歴史の教師としてもやっているんじゃなかろうか?
私がそんな事を考えつつノートに書き取っていると……

「それじゃ泉、4行目からだ」
「へ?」

「暗がりの中に佇む老婆の気持ちになって読んでくれ。
 あ、下人の台詞は先生がやるから読まなくていい」
「は、はい」

彼なりの居眠り対策として、こうやって不意に当ててくるのだ。
そしてその第一対策要員となる私は度々その餌食となっている。

私は教科書を確認しつつゆっくりと立ち、
「えっと……、この髪を抜いてな、この髪を抜いてな、鬘にしょうと思うたのじゃ」
正直、自分の声では老婆の雰囲気には到底及びそうも無い。

若干恥じらいながらもそのまま読み進めて行くと、

「では、己が引剥ぎをしようと恨むまいな」

やたらドスを利かせて教師が語り出していた。

その後は教師が勝手に読み進め始めたので、私はおずおずと元に直り、
彼の臨場感溢れる一人演劇をそれなりに楽しむこととなった。

368 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 13:08:08.09 ID:OHsOIPqh0

二時間目も終わり、休み時間が訪れた。
ジョジョにクラスのコンディションも調子付き始めたのか、室内は喧噪で溢れている。

「お姉ちゃん、珍しく来ないんだね」

つかさがのんびりと教室入口方面を探っている。
彼女の言うとおり、かがみは一時間目の合間に顔を出さなかったのだ。

「冷静に考えれば、毎時間別のクラスから訪問してくるのも変だけどさ」
私が僅かばかりの皮肉を込めて言うと、
「それは確かに言えるのかもしれませんね」
みゆきさんが口元を押さえて笑った。


どうしようかな?


A.「びびっと様子でも見てくるよ」
  隣のクラスへと歩き出した。

B.「これはこれで新鮮だよね」
  そのまま、みゆきさん達と話し続ける。

>>370

370 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 13:13:05.04 ID:tddMYjZtO

A

371 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 13:20:24.54 ID:OHsOIPqh0

「びびっと様子でも見てくるよ」
言いつつ席を立つ。

「気を付けてねー」
「くれぐれも、用心なされますように」

またも背後から二人の声。
隣のクラスに行くだけなのにさ。

だから私は身軽に振り返って両掌を空へと向けた。

「大丈夫、あるわけないだろ。伝説なんて嘘っぱちさ」

洋画を吹き替えたような調子でそれを口にすると、
人波を掻き分けるように進んでいった。


◆何らかのフラグが立ちました。

373 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 13:28:23.87 ID:OHsOIPqh0

そしてやって来ましたかがみのクラスとの境界。

閉められた扉についている小窓から中の様子を窺うと、
着席したままのかがみが峰岸さんとみさきち相手に談笑していのが見えた。

クラス全体の様子も私のクラスと同様、
活気に満ちているのが壁一枚越しにも伝わってくる。


さてと――

A.普通に教室へ入り、かがみの元を目指す。

B.「かがみー!」
 扉を開け、 その場からいつも通りに声を掛ける。

C.「かーがみん!」
  いや、ちょっと砕けた感じはどうだろうか?

D.「かがみ様ー!」
  やはり崇め奉っては?

E.「まあ、邪魔するのもアレだしね」
  敢えて自重し、そのままクラスへと戻った。

>>375

375 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 13:29:57.14 ID:vUDSXRzF0



376 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 13:41:23.98 ID:OHsOIPqh0

ガラリ。

「かーがみん!」

直後、三人同時からの視線を浴びた。
そのなかで私はかがみに視線を絞り、ひらひらと手招きをしみてる。

峰岸さんが口に手を当て笑い、みさきちがかがみに何かを言った後、
かがみは立ち上がりキビキビとした動作で廊下まで歩いて来た。

「なーに、どうしたの?」

ハンドタオル片手に、多少うんざりとした様子が伝わってくる。


A.「珍しくかがみんが来なかったからさ、みんな心配でね」
  そのままの意を告げた。

B.「暇だったから様子を見に来たんだよ」
  軽やかに告げた。

C.「気合いだァー!」
  そうだ気合いなんだ!


>>378

378 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 13:44:06.89 ID:06xyqikL0



380 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 13:57:05.42 ID:OHsOIPqh0

「気合いだァー!」

体全体に燃え滾ってくる意志を抑えきれず、
全てを音エネルギーに換えて吐き出した。

「うわっ、またかよ! ちょっと落ち着け、人が見てる!」
かがみが慌てているが、それは気合いが足りないからだ!

「気合いだ! 気合いだ! 気合いだ! 気合いだ!」
来い!
来るんだ!

「うるさいっ!」
「おい! おい! おいィー!」

「いい加減にしなさい!」

――なさいっ、なさいっ、なさいっ……

かがみの声が木霊を生み学校全体に響き渡っていった。
伝わったきたよ、その想い!

「よーし! 北京でもこの調子で――もぐぁっ!」
「だから黙れ、二度目だぞ」

冷酷な表情と声と共に、口の中にハンドタオルを突っ込まれた。

「教室に戻れ」

虫を見るような眼で睨みつけると、ツカツカと席に戻って行ってしまった。

382 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 13:59:02.92 ID:OHsOIPqh0

◆かがみの評価がやっぱり下がった。
◆かがみのタオルツッコミのレベルが上がった。
◆”何らかのフラグ”の回収に成功しました。 (連続記録:2回)

384 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 14:10:18.89 ID:OHsOIPqh0

「お姉ちゃんどうだった?」

心配そうなつかさに口から引き抜いたハンドタオルを手渡し、
「これが返事」
短く返答した。

「えっと……あ、ちょっと湿ってる」
タオルをまじまじと眺めていたつかさが呟く。
「湿ったタオル……英語にするとウェット……これはつまり……」
何やらみゆきさんが深読みを始めているようだ。

「何だかどっと疲れちゃったよ」

一日の気力消費量の許容限界までもを使い果たした私は、
がっくりと席にもたれ、頭から机の上へと崩れ去った。


何やってるんだろうね、私。

386 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 14:19:23.10 ID:OHsOIPqh0

なんやかんで昼休みとなったので、
私は授業が終わると同時に購買部へと向けて走っていた。

お弁当を持って来ていないのでパンを手に入れなくちゃならない。
しかし同様の思考形態を持つ輩はごまんと居る。
ともなれば、人が込み入ってしまう前に先駆けて動くべし!

という理由からだ。

実際問題として、ライバル達も廊下を駆けている。

ちょっとした運動会だよ全く。
それにしても若干いつもより激しいような気がするけど……

387 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 14:26:56.44 ID:OHsOIPqh0

新発売『竜太サンド』

しょぼいプラ広告がデカデカと飾られていた。

なるほど、皆コレに釣られて……
ならばこんなに混んでいるのも納得できる……

訳が無い。

先ずどこからツッコむべきなのだろうか。

誤字からか?
それとも販売戦略からか?

大体、こんな物に釣られる人間なんて――


「竜太サンド……」


ぼそりと低い声が聞こえたので思わず振り向く。


みなみちゃんだった。

389 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 14:40:32.59 ID:OHsOIPqh0

かっこいいみなみちゃんが何故?
これは究明しなければなるまい。

「おっはー」
「あ、先輩」

みなみちゃんは虚を衝かれたのか一瞬だけ驚いてみせたあと、
無駄の感じられない動作で会釈していた。

「みなみちゃんも、お弁当わすれちゃったの?」
「いえ、竜太サンドの噂を聞いていたのでゆたかと食べようかと……」

「竜田じゃないの?」
という私の疑問に、
「竜太サンド一丁!」
タイミング良く販売員のおばちゃんが答えていた。

「本当に竜太なのかよっ!」
とりあえず言っとか無ければならない気がしたのでツッコんでおいた。

おっとと、こんなことをしている場合ではない。
早く買い求めないと目当てのチョココロネが売り切れちゃうよ。

そう考え私が群衆の中へ切り込む隙を探っていると、

「あの……」

再びみなみちゃんが口を開いていた。

392 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 14:50:16.66 ID:OHsOIPqh0

「どうしたの?」
「いえ、その……大した事ではないと思うんですが……」

些かの戸惑いと躊躇が伝わってくるような。

「話してみてよ」
なので先を促してみる。

みなみちゃんはその後、俯き気味に考える仕草を見せてから、
「ゆたかが変なんです」
真剣な眼差しを向けて来た。

嫌な予感がする。
まさかゆーちゃんの身に……

「何かあったの!?」
思わず声が大きくなる。
するとまたも、みなみちゃんがビクッと肩を震わせた。

「いえ、その……ゆたかが積極的というか、何と言えばいいのか……」

なーんだ。
修造熱か。

しかし些細なジョークさえも真に受けてしまいそうな彼女にとって、
それは大問題なのかもしれない。

393 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 14:54:46.04 ID:OHsOIPqh0

どうしようかな?


A.話に付き合ってみる。

B.面白そうなので静観する事にして、軽く励ましたあとに教室へと戻る。


>>395

395 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 14:57:50.16 ID:06xyqikL0



396 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 15:10:50.90 ID:OHsOIPqh0

「あー、ゆーちゃんのアレね」
「はい、アレです」

「大丈夫だよ、気にしないでいいから」
「そうなんですか……?」

みなみちゃんは切れの良い目で懇願にも似た表情をみせている。
どうやら私の言葉を真摯に受け止めてくれているようだ。

可愛いねぇ。
可愛いねぇ。

私がどこぞのお笑いコンビを思い浮かべていると
「でも」
短く空想に割って入られ、
「熱い熱いって言ってるみたいで……」
またも伏し目がちに語尾が小さくなっていく。

ちなみに彼女と私では結構身長差がある為に、
彼女の伏し目がちな姿勢は私と話す場合の常態なんだよね。

まあ、どうでもいいけどさ。

「みなみちゃん」
私は短く言葉を切って相手の注意を惹きつけると、

「もっと熱くなれよ……」

耳元でそっと囁いた。

401 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 15:25:46.33 ID:OHsOIPqh0

早くも三度目になる驚きを、僅かな表情の変化で見せたみなみちゃん。
石のように固まってしまった彼女をその場へ残し、私は人並みの中へ出陣した。

ぐわっ、押さないで。
ちょ、ちょっと頭の上に何か載ってるよ。
ちょ、潰れる……潰され……
ぐお……昨日見た映画に出て来た人物、サージの気分を味わっているようだ……

「はぁはぁ……おばちゃん、チョココロネ頂戴な……」

予め取り出しておいた小銭をテーブルに叩きつける。
するとおばちゃんは無駄に溜めたあと、

「あるよ」
カウンター下から取り出してきた。

「あ、竜太サンドは?」
またも溜めてから、

「あるよ」
「二つちょうだい」
「ほらよ」
手渡されたので代金を支払う。
というか、そんなに言葉を溜めるからお客が一向に掃けないんだよ……。

内心呟きつつ人込みから脱出し、
「ほいみなみちゃん、元気だしなよ?」
竜太サンドを一つ差し出してから教室を目指す事にした。

途中ふと振り返ってみても、みなみちゃんは依然として固まったままのようだったけどね。

411 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 16:58:02.16 ID:OHsOIPqh0

教室へ戻ると、
つかさ、みゆきさんに続いてかがみの姿も見つけた。

「昼休みはやっぱりこっちなんだ」
「日頃の習慣というものよ」

当然、といった具合の返答。
それを見届けながら私は席へ着き、机の上にパンを置く。

「竜太サンド……?」

みゆきさんが怪訝に窺っている。

「新発売らしいよ、みなみちゃんも釣られて買いに来てたみたいだしさ」
「竜田じゃないのー?」
つかさが数分前の私と同じ反応をしたので、
「これが正式名称っぽかった」
ちょっぴり自慢げに答えてみた。

413 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 17:08:11.54 ID:OHsOIPqh0

かがみ「そうそう、それでアンタに言う事があるんだけどさ」
こなた「私?」

かがみ「お前だお前、他に誰が居る」
こなた「それでなんなのさ」

かがみ「あの訳のわからない芸はやめてくれ」
こなた「はて……?」

かがみ「つかさ、ハンカチ持ってる?」
つかさ「あるよー」
こなた「冗談だよ冗談、わかってるって」

みゆき「あのー、お恥ずかしながら、どのような芸なのか少々興味があるのですが……」

かがみ「テニス馬鹿よ」
みゆき「テニス馬鹿?」

こなた「レスリング馬鹿だよ」
みゆき「レスリング馬鹿?」

つかさ「そう言えば、もうすぐオリンピックだね」
みゆき「なるほど、時事を元にしているのですね」


こなた&かがみ「いや、合っているようで合ってないから」

414 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 17:17:07.66 ID:OHsOIPqh0

こなた「でも、ゆーちゃんにはウケたんだよ?」
かがみ「ゆたかちゃんが?」

こなた「そうそう、ついでに深く影響を与えちゃったみたい」
かがみ「へぇ……周りに迷惑が掛かっていなければいいけど」

こなた「……」
かがみ「なぜ黙った」

こなた「さっき購買部でみなみちゃんと会ったんだけどさ」
かがみ「うん」

こなた「ゆたかが変だって言ってた」
かがみ「ほら見なさい、どう転んでも周りに迷惑が掛かってるじゃないの」

こなた「いやでも案外、明日にはみなみちゃんも……」
かがみ「とても想像出来ないわよ」

こなた「世の中とは裏切りの連続である」
かがみ「格言っぽく言っても駄目、とにかく恥ずかしいんだからやめて頂戴」

こなた「肝に銘じておきます」
かがみ「よろしい」

417 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 17:34:48.93 ID:OHsOIPqh0

つかさ「あ、教室にとんぼが入ってきてる」
かがみ「赤とんぼ?」
みゆき「そうですね、でも季節にしては少々早いので珍しいと思います」
こなた「あ! 小学校の頃とかさ、とんぼが入ってきたりすると盛り上がらなかった?」

かがみ「ハチが入ってきたりすると、授業内容以上に気を取られたりね」
つかさ「たまに犬なんかも」
こなた「犬だと先生が必死に追いかけたりするんだよね」
みゆき「賢いので、飼い主の方を探しに来ていたのかもしれませんね」

みゆき「えっと、とんぼで思い出したのですが……」
こなた「これは知識の泉が湧き出す予感!」

みゆき「そろそろ旧盆の季節ですね」
かがみ「7月15日だよね」

こなた「かがみが即答するとは」
かがみ「あまり神社の娘を舐めない方がいいわ」

つかさ「すごーい」
かがみ「アンタも同類でしょうが」

みゆき「それで、盆というものには色々伝えがありまして……」

420 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 17:50:39.97 ID:OHsOIPqh0

わたくし事ですが、実はわたくし、おばあちゃんっ子でして……

え、意外ですか?
そうでもないですよ、持っている知識の半分は祖母から授けられたようなもので――

あ、それです、所謂おばあちゃんの知恵袋というものですね。
つかささんは物知りなんですね。

コホン。
それで昔、わたくしが祖母が住む地方へと遊びにいった時のことです。

わたくしは祖母と二人で夕焼けの小道を歩いておりまして……
えっと、そこはまだこちらの街中のように舗装などされていなくて、
両側が田んぼに囲まれていたんですね。

なので季節がら水田に植えられた稲が揺れていたのですよ。
まだ青々としてはいましたが、夕陽に焼けて赤く染まっていたのをハッキリと覚えています。

そこでは沢山の赤とんぼが飛びまわっていまして……


その時ふと、祖母が呟いたんです。

422 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 17:58:47.93 ID:OHsOIPqh0

「ちょ、ちょっと待って」
突然、かがみがみゆきさんの話の腰を折った。
「はい?」
みゆきさんは首を傾げている。

私は黙って竜太サンドを口へ運んでいる。
っていうかこれ、変な味だなぁ。

「語り口調というか雰囲気というかさ、なんか嫌な感じがするんだけど」
「と、仰られますと?」

「その、なんと言っていいのかは分からないけど……」
かがみが眉間に皺を寄せてから、
「実はおばあちゃんは、その時既に病院で……なんてのは無しよ?」

「……」
「何故黙った!?」

「それで、祖母が呟いたんです」
「おーい!」


みゆきさんの話は続く。

428 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 18:22:42.29 ID:OHsOIPqh0

「赤とんぼが飛んでいるでしょう?
 毎年、お盆の季節になると忙しなく飛び交うけれど、
 これはどうしてだかわかるかい?」

少し考えてはみましたが、
結局、わからない、と首を振って伝えました。

「お盆の季節にはね、御先祖さまが帰って来るんだよ。
 でも、体が無いでしょう?
 だから代わりにとんぼの姿を借りて、それぞれの家へ帰りつこうとしているんだよ」

そんなこと有り得ないよ。
わたくしはその時、そういう意味合いの言葉を口にしたはずです。

「どうしてだい?」

ヒカガクテキだと思うからです。

「科学だとか何だとか、そういうのも大事なのかもしれないよ。
 けどね、昔々から続いている”伝え”には、何らかの起源があるものだとおばあちゃんは思うんだ。
 なんせ科学というものが無い時代から用いられてきた薬草や風習なども、
 今になって効果が裏付けられていたりするでしょう?
 昔の人は感覚的に何かを見ることが出来たのかもしれない、という気がするんだよ」

祖母はゆっくりとした口調でわたくしに伝えました。
その後、わたくしは何かを言ったような記憶があるのですが、その内容までは覚えていません。

「今夜は満月だね」

そして、ニヤッと笑っていました。

431 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 18:35:40.55 ID:OHsOIPqh0

「……」
一同は固唾を飲んでみゆきさんの次の言葉を待っている。

何故、おばあちゃんは笑った?
満月の意味は?
みゆきさんが忘れていた言葉とは?

いや、そもそも私は子供の頃ロープをぶん回してトンボを撃ち落としていた訳であるが、
これが今になって祟られてしまう、というのは時効だろうか?

伏線を確認しつつ状況を整理していく。
つかさはぎゅっと、かがみの裾を掴んでいるようだ。
逆にかがみはそのつかさの手を握っている。

「それで……」
みゆきさんが静かに口を開いた。


「これで、終わりです」

「へ?」
一同の言葉が重なった。
「えっと、満月の話とかは関係ないの?」
かがみだ。

「元々、満月の日に御先祖様が参られるという伝えがありまして、
 そのあと、その起源について祖母が語ってくれたのですよ」

「なら変な所で話を切るな!」
かがみがつかさを払って立ち上がっていた。

434 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 18:58:38.58 ID:OHsOIPqh0

「けれども、わたくしは……」

みゆきさんがゆっくりと席を立ち、窓際へと向かっていく。
そして手早く教室のカーテンを開いた。

夏といえど直射日光を嫌う生徒がカーテンを閉めていた為だ。
みゆきさんは、すみません、と頭を下げている。

「けれどもわたくしは、
 最近になって祖母の言葉が偽りではないのかもしれないと思っているんです」

席へと戻って来たみゆきさんが続けた。

「どうして?」
私が訊ねる。
「色々な考え方があるのだと思います。
 例えば供養という習慣は亡くなってしまわれた方の為にではなく、
 残された方の為に執り行われるものだという考え方です」

「気持ちの整理とか……かな?」
つかさが口を挟んだ。
お家柄、私が思う以上に彼女はそういう事には詳しいのかもしれない。

435 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 19:02:48.70 ID:OHsOIPqh0

「ですが、やはりわたくしは、祖母が仰っていた事を信じたいと思いますよ」

みゆきさんが似たような内容をもう一度繰り返している。
開け放った窓の方を向いているままでだ。

その言葉を受けた私は、何と無しに訊ねていた。

「おばあちゃんは……?」

かがみの問いに対する反応が気に掛かっていたからだ。
彼女は若干躊躇うように口を結んだあと、


――亡くなりました、もう一年も前のことです


窓から飛び去って行く赤とんぼを眺めながら、みゆきさんは静かに微笑んでいた。

442 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 20:11:37.69 ID:OHsOIPqh0

6時間目。

「悪いけど」
半袖にショートパンツ姿のかがみがボールを弾ませ、
「手加減はしないからね」
トン、と左手にボールを乗せた。

「自信満々だねお姉ちゃん……」
かがみの様子を窺いながらのつかさが、私に耳打ちしてくる。
「怖いですね」
みゆきさんは全く以って緊張感の無い笑顔である。

自陣コート内に居るのは、
私、つかさ、みゆきさん、他二人。

相手コートに居るのは、
「負けるのは嫌いなのよね」
自信満々なかがみと、
「お手柔らかにね」
柔和に会釈する峰岸さんに、
「覚悟しろよ、ちびっ子ー」
オマケでみさきち。
そして他二人。


授業は体育。
競技内容は、ドッジボールだ。

444 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 20:22:21.31 ID:OHsOIPqh0

作戦はどうするべきか――


A.『ガンガンいこうぜ』
  攻めこそ最大の守りなり。

B.『いのちだいじに』
  攻めることより防御に徹し、隙を窺う。

C.『いろいろやろうぜ』
  思い付く限り奇を衒え。


>>446


役割はどうするべきか――

A.私がシュート役を担い、極力かわす。

B.みゆきさんにシュート役を任せ、彼女を極力かばう。

C.つかさにシュート役を任せ、彼女を極力かばう。

>>448

446 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 20:23:24.43 ID:iA16WWPe0



448 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/12(火) 20:24:01.37 ID:eX8pVg+W0

C

449 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 20:35:40.76 ID:OHsOIPqh0

「みんな、集まって」
声を掛けて五人で円陣を組む。

「いい、極力奇を衒ったような動きをしよう」
「きをてらうって?」

疑問だらけといったつかさに、
「思い付く限り色々やっちゃってよ。
 踊ってもいいし叫んでもいい、むしろドッジボールじゃなくなってもいいからさ」
「えっと……難しい注文だね」

「面白い作戦だとは思いますよ」
みゆきさんは余裕の表情だ。
私は続ける。

「それからシュート役はつかさに任せるから、つかさにパスを回そう。
 つかさは投げたら背中を見せてもいいからすぐに下がってね。
 そうなると狙われるだろうから、代わりに他の人が極力つかさを庇うようにすれば戦いやすいはずだよ」

「わかった」
仲間の女生徒二人が了解した。

先程かがみが口にしたように、生憎私も勝負事になると燃えるタチでね。
この勝負、易々と負けるつもりはないよ。

そう考えつつ、かがみに向けて挑戦的な笑みを送った。

452 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 20:45:29.59 ID:OHsOIPqh0

「それじゃあ、どっちが先攻かをジャンケン決めるわよ」
かがみが口にするが、
「いいよ、ただし私はグーを出すからね」
動揺を狙う。

この勝負、一見運否天賦にも見える。
しかしその実態は読み合いと駆け引き!
弱者は落ち、強者は生き延びる!

「なによ?」
「べっつにー」

かがみはそっと口元を歪めてから手を差し出した。

「それじゃあ行くわよ、ジャーンーケーン――」


A.かがみは私を信じるはずだ。
  なのでチョキを出した。

B.かがみは私を信じないはずだ。
  チョキに変えると読みグーを出すだろうから、私はパーを出す。

>>455

455 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 20:46:57.29 ID:Jj7QgElO0



460 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 20:54:30.69 ID:OHsOIPqh0

「「ジャーンーケーンー――」」

かがみは私を信じるはずだ。

「「ポンッ!」」

私の手はチョキ。
対する相手はグー。

「なん……だと……」
私はその場に崩れ落ちた。

その私の頭にポンッと手を置き、
「アンタの日頃の行いが良ければ、信じてあげれたのにね」
小悪魔的な冷笑を残して自陣へと戻って行った。


しまった、私としたことが自身の行いまでは計算外だったか。
しかしホシは取られてしまったが、勝負はまだこれからだ。

再び立ち上がり、仲間の元へと駆け戻った。

462 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 21:05:02.62 ID:OHsOIPqh0

「えー、これより1セットマッチ、
 柊かがみオールスターズ VS B組Kチーム を開始致します!」

マイク片手に白石が声を上げると、
「ちょ、ちょっと待ってよ! 何なのよそのチーム名は!?」
かがみが怒鳴っている。
「あ、折角だから柊の名前で登録しといたぜぇー」
その肩にみさきちが手を置いていた。
そして直後、払われていた。

「きゅー……」
声にならない呻きをあげている彼女に若干同情の念を抱いてしまいそうだ。
頑張れ、みさきち。

「むっ! 覚悟しろよちびっ子!」
ところが視線が合った途端にこれなのだ。
ライバル意識でも抱かれているのだろうか?

かがみが周りから集まる視線を気にしながら、
「はぁー、調子狂うわねまったく」
再びボールを地面と手の間でバウンドさせている。

「そんじゃまー」
「始めるわよ!」


――ピッ!


短い笛の音が鳴り響いた。

464 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 21:19:09.06 ID:OHsOIPqh0

陣形はシュート役のつかさを後ろに下げ、
私を含めたそれ以外のメンバーが一歩前へと出ている。

それぞれのメンバーはシュートの軌道を読みやすくする為、
各自均等に距離を空け位置取っているのだ。

所謂ハンターシフトの形に近い。

ちなみに某RPGゲームで覚えた陣形でもある。


ダンッダンッダンッダンッ――


”敵”が地面を踏み鳴らし助走を付けている。
やはりシュート役はかがみか。
突っ走りタイプの彼女がその役を担うことは、考えるまでもない。

「にゃっ!」

短く息を吐きつつ、全力で投げられたボールが迫ってきた。
狙いは……迷い無く私かよ!

A.取る

B.避ける

C.アクロバティックに避ける

>>466

466 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 21:21:23.28 ID:KNPNGGW+0

A

467 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 21:29:24.17 ID:OHsOIPqh0

ここは取るしかない。
私は壁役の一人なのだ。

腹部をきっちり狙うように飛んでくるボールを、
軽く後ろに跳び退きながら両手がガッチリと掴みにかか――

「あっ!」

取りこぼしたボールが弾かれ後方空高く浮いた。
不味い、力の差では敵いそうにない。

あれが地面へと落ちたら……

振り向く。

「あ、ボールだ」

つかさが掴んでいた。
というより、様子から察するにたまたま出していた手に収まったという具合にも見えるが、
まあこの際どうでもいい。

「つかさ、いけっ!」

背中を見せているかがみへ向けて、私は叫んだ。

469 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 21:41:05.72 ID:OHsOIPqh0

トントントン、と間延びしたような助走のあと、
「お姉ちゃん、ごめんねぇー」
宣言しちゃったよ!

すぐさま俊敏な反応を見せたのはみさきちだった。
かがみを庇うように射角を塞ぎにかかっている。

そういえば、あの子は運動部なんだっけ?
思わぬ伏兵が居たものだね。

「よいしょー」
和やかに放たれたボールは大きな弧を描き、外野側へと飛んで行った。
こちらを振り向いたかがみが、またも慌てて逆を向く。

「任せんしゃい!」
外野の仲間がすぐさまかがみへ向けてボールを投げ返す。

「そぉい!」
素早く相手側の仲間がそれを庇ったようだが……


トンットン……


ボールは地面へと落ちていた。
つかさ自身も予期しない騙し討ちとは、正に効果は絶大だったようだ。
現に本人もキョトンとしているし。

こなたチーム 残り5人
かがみチーム 残り4人

471 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 21:49:44.95 ID:OHsOIPqh0

「なかなかの作戦じゃない」

かがみが不敵に笑っているが、それは勘違い甚だしい。
でも面白そうなので、
「計画通り」
ニヤリと笑い返しておいた。

その後かがみにキッと睨まれたかと思うと、
何やら敵チームで集まって会話している。

作戦でも煉っているのだろうか?
というか、今さらそれをやるという事は何も決めていなかったのか?

程無くして散会すると、みさきちがボールを受け取ったようで、
「行くぜーちびっ子ー」
助走をつけて走って来た。

472 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 21:53:54.23 ID:OHsOIPqh0

敵の狙いは――


A.「私だ」
  シュートに備える。

B.「別の人だ」
  カバーに備える。

C.「パスだ」
  パスに備える。


>>474

474 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 21:55:35.90 ID:n9GZAzp10

A

477 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 21:57:12.22 ID:OHsOIPqh0

※ ちなみに、こなたが倒れると能動的な行動(選択肢)を取れなくなる為
   試合は強制的に終了となります

480 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 22:07:37.13 ID:OHsOIPqh0

きっと私を狙ってくるはずだ。
腰を落として身構える。

みさきちは線を越えて飛びあがりボールを振り被ると――

ボールを持っていない!?

「オーライ!」

何故かかがみがボールを持っていた。
跳び上がって振りかぶった時に後ろに回していたのか?


直後みさきちと同じように浮いた体制から、かがみがボールを放ってきた。


即座に備える。


が、狙いは私ではない、隣だ!

ボールの軌道を追った時、
足元を抉るようなシュートに仲間の一人が打ち取られていた。


こなたチーム 4人
かがみチーム 4人

484 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 22:16:08.62 ID:OHsOIPqh0

みゆきさんが相手陣に転がっていくボールを抑えた込んでいた。

厄介だ。

みさきちの運動力はもとより、
かがみとのコンビネーションがそれに拍車を掛けている。

あんな高度なパスを回す相手も相手だが、
それを受け取るかがみもかがみだ。

どちらかを切り崩さなければ、勝ち目は無い。
作戦を練り直してみよう。


チームとしての作戦は――


A.このまま続行する。

B.シュート役を交代する。


>>485

485 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 22:16:38.66 ID:G0eFjVKT0

B

489 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 22:24:22.67 ID:OHsOIPqh0

つかさの第一投目を見て分かった。
彼女は攻め役としては向いていない。

ラッキーボールで相手を仕留められたものの、
相手が警戒をしてしまった後ではそれが有効とは成り得無い。

ともなれば、人選の交代を行うべきだ。


A.私が投げる。

B.みゆきさんに頼む。

C.もう一人の仲間に任せる。


>>502

502 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 22:27:55.60 ID:06xyqikL0



506 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 22:34:20.97 ID:OHsOIPqh0

やはり、信じられるのは自分の腕だ。

「ねぇ皆、作戦を変えよう」
「どうします?」

「私がつかさの代わりに投げるから、今度はつかさが前に出て」
「わたし? うん、わかった。頑張るよ!」

つかさが張り切って両手でガッツポーズを決めている。

「ボールです、頼みますね」
みゆきさんから手渡される。

「それじゃあ、気を引き締めていこうね!」


「「「「おーっ!」」」」

507 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 22:36:46.40 ID:OHsOIPqh0

誰を狙うか――


A.やはり、リーダー役のかがみだ。

B.そのアシストであるみさきちだ。

C.伏兵かもしれない峰岸さんだ。

D.残りの女生徒だ。

E.外野へ廻し、任せるべきだ。

>>509

509 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 22:38:11.60 ID:4jUSsSUeO



510 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 22:43:58.06 ID:OHsOIPqh0

そのアシストであるみさきちだ。
彼女の能力は厄介なので、早めに潰しておく必要がある。

私の両手には若干大きいボールの握りを確かつつ、
考えをまとめた。


そのまま目標を見据えて徐々に速度を上げて走っていく。


体育館の床がギシリと軋む感覚を足裏で感じながら……


――ダンッ


右足で床を踏みしめて全力で放った。

512 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 22:50:47.56 ID:OHsOIPqh0

「よっとと……へへ、よゆーだぜぇー」

みさきちは難なくキャッチしていた。
駄目だ、どう転んでも私の直接的な力では彼女に勝てそうもない。

「楽勝らくしょー」
みさきちは、くるくると指の上でボールを回している。

器用な奴め。

などと考えていたら、
「日下部! さっさとカウンターを掛けなさいよ!」
かがみに怒鳴られていた。

いいぞ、もっとやれ。

考えつつ後ろへ下がる。

カウンターを掛けられていたら危なかったかもしれない。
どうやら命拾いしたようだ。

514 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 22:58:14.62 ID:OHsOIPqh0

「わかったって、そう怒るなよー……」

みさきちが呟いたあと、再びこちら側へと駆けてきている。

私は皆の後ろ側へ居るので直接的に狙われる心配は無い。
その代わりに、能動的にキャッチに向かう事も出来ない。

ともなれば、可能なのは指示を下すくらいだ。


みさきちが地面を踏み鳴らした。
今度は線を越えずに自陣から地に足を付けた状態でシュート体制に入っている。


私は――

A.「飛べ!」
  仲間に飛ぶように指示を下した。

B.「キャッチして!」
  仲間に掴むように指示を下した。

C.「かがみに気を付けて!」
  またも変則のシュートを予期し、注意を促した。


>>517

517 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 22:59:48.02 ID:DC7/v6PV0

B

519 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 23:08:44.19 ID:OHsOIPqh0

「キャッチして!」
仲間に掴むように指示を下した。


「せぇっ!」


直後、気合いと共にみさきちの豪速球。
またも地面スレスレ、足元を抉るような軌道を描いている。

かがみの入れ知恵なのかアスリートのセンスの為か、
嫌な所を狙ってきやがるもんだ。

ドスッ

と鈍い音が響いた。
それにより私は、仲間の一人が討ち取られた事を認識した。
さらにボールが跳ね返って行く……

「待って待ってぇー」

が、シュートに備えていたつかさが何とかそれを阻止してくれたようだ。


こなたチーム 残り3人
かがみチーム 残り4人

521 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 23:14:01.39 ID:OHsOIPqh0

並のシュート力じゃ通じない。
逆に、相手のシュートはまともな手段では取れない。

バランスブレイカーなみさきち相手じゃ成す術はないのだろうか?

いや、きっとまだ手はあるはずだ。
諦めるのは実際に負けてからでいい。

「はい、こなちゃん」
「ありがと」

明るく笑うつかさからボールを受け取ったけど……


A.「みんな、なんとか頑張ろう」
  このまま続ける。

B.「みゆきさん、頼むよ」
  シュート役をみゆきさんに変える。


>>525

525 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/12(火) 23:16:27.63 ID:O14jd5xW0

B

529 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 23:25:26.25 ID:OHsOIPqh0

「みゆきさん、頼むよ」
言ってからボールを手渡す。

「わたくし、ですか?」
受け取りつつも首を傾げている。

「私じゃどうにも駄目のようだし、あと頼れるのはみゆきさんしかいないよ」
「わたしもこういうのは苦手だし、がんばってね、ゆきちゃん!」
つかさも応援しているようだ。

「ええと、それでは善処してみます」
ボールを両手で掴んでマジマジと眺めている。


そう、もうみゆきさんに賭けるしかないのだ。
彼女はこの3人の中でも一番体格が良いし、運動神経も良いほうである。

ともなれば、これが現時点で考えられる最善の策のはずだ。

そしてシュート役を譲ったという事は、私がフリーに動く事が出来る。

”まともな手段で勝てない”のならば、
そうでない手段を取ればいい。

奇を衒うとすれば……

532 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 23:35:57.85 ID:OHsOIPqh0

みゆきさんが投げる直前に――


A.「あ、UFOだ!」
  あさっての方向を指差し注意を引く。

B.「みさきちってさ、影薄いよね!」
  みさきちの心理的動揺を誘う。

C.「みさちゃーん!」
  馴れ馴れしく呼びかける。

D.「かがみさまぁー! こっち向いてー!」
  かがみの心理的動揺を誘う。

E.「かがみん、好きだーっ!」
  告白してみる。

F.「あっち向いて二人で前ならえ」
  アルゴリズム体操だ!

G「イヤッホゥ!」
  テンションをあげてみる。

>>540

540 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 23:38:40.11 ID:cZtQwOdu0

E

547 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 23:45:12.53 ID:OHsOIPqh0

「みゆきさん、かがみを狙って」
そっと耳打ちすると、
「わかりました」
彼女もそっと返してくる。


ダンッ、ダンッ、ダンッ、ダッ――


助走をつけたみゆきさんが鋭く地を蹴った。
流れるように鮮やかな動作を以って中空で大きく振り被り豪快に――


今だ!

「かがみん、好きだーっ!」


――投げた!

550 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/12(火) 23:55:30.42 ID:OHsOIPqh0

振り向いた!


みさきちが。

「って、お前じゃない!」
思わず口に出してしまった。


――ドゴォッ!


突如、砂袋をコンクリート製の地面に叩き付けたような音が聞こえ、
ボールが宙を舞っていた。

「しまった!」

かがみが取り損ねて弾いたのだ。

これは貰った!

と思った矢先、
「あらら……っと」
峰岸さんが地面スレスレでフォローしていた。


あちら側に人数が多かった為、すんでの差で仕留めそこねてしまったようだ。
もう少しかがみんが策に乗ってくれれば……と悔いても仕方がない。

551 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 00:01:03.52 ID:xw/ECno40

「峰岸、みゆきを狙って!」

すぐさま、かがみが声を上げていた。


カウンターだ!


要領が良いのか長年の付き合いからか峰岸さんは即座に意図を理解し、
早くもみゆきさんの背を追う形で迫ってきている。


不味い、ここでみゆきさんを失ったら――


A.「つかさ、みゆきさんを庇って!」
  後方に居るつかさに声を掛けた。

B.「私が取るから、みゆきさんは避けて!」
  ボールの軌道を読み、割って入った。


>>555

555 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 00:02:45.28 ID:VMvq/P8EO

B

560 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 00:12:16.29 ID:xw/ECno40

「私が取るから、みゆきさんは避けて!」

咄嗟に叫ぶ。
と同時に割って入る。

大丈夫、かがみのシュートは捕れなかったけど、
峰岸さんのシュートならば私にも取れるはずだ。
それに投げる相手自身も突貫の指示に焦っているはず。


「ふんっ!」


息と共に峰岸さんがシュートを放った。

かがみに比べ些か見劣るが油断は出来ない。
高さは私の腹部あたり。

良し!
みゆきさんの足元を狙ったのが私にとって都合のいい方に働いている。

「んっしょ!」
横っ跳びしつつ体全体を使ってガッチリと掴みとる。
今度は弾いたりするものか。

そのまま地面を転がり、立ち上がる。

「何とか、無傷で済ませる事が出来たね」

仲間達を見回しつつ、ほっと胸を撫で下ろした。

561 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 00:21:23.58 ID:xw/ECno40

「へぇー、頑張るわねー」
かがみがニヤリと笑い、
「でも、動揺を誘うのなら日頃の行いを改めるべきだわよ」
パタパタと胸元を仰いでいた。

「敵に回すとこんなにも厄介な相手だとは思わなかったよ。
 普段は頼りないのにさ」

皮肉を込めて返す。

「大丈夫、こなちゃん?」
「大したことないよ」
つかさに右手をヒラ付かせてみせる。

と、ここで視線を感じたので振り向いた。


みさきちだ。


睨むようにこちらを窺ってきている。
これは……何かに使えるのかもしれない。

568 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 00:40:33.17 ID:xw/ECno40

これが巻き返しを図れる最後のチャンスとなるかもしれない。

3つの作戦を立てよう――


1.シュートをどう打つか?

A.みゆきさんに任せる。
B.一か八か相手の変則シュート真似て、みゆきさんを囮に私が投げる。
C.一か八か相手の変則シュート真似て、私を囮にみゆきさんが投げる。
D.さらに改良を加え、私→みゆきさん→つかさの順で投げる。

>>575

2.誰を狙うか?

A.かがみだ。
B.みさきちだ。
C.峰岸さんだ。
D.残りの女生徒だ。

>>582

575 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/13(水) 00:47:59.87 ID:JBNpf1Cq0

A

582 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 00:51:24.93 ID:SQf4Hmqo0



569 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 00:41:06.08 ID:xw/ECno40

3.私がとるべき行動は?


A.「かがみさまぁー! こっち向いてー!」
  とにかく叫んでみる。

B.「かーがみん、またデートしようね!」
  甘い声を出す。

C.「みさちゃーん、どうしたのぉー?」
  変声で挑発する。

D.「みさちゃーん、愛してるー!」
  一か八かだ。

>>590

590 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 00:53:28.77 ID:pfoDXYG50

D

600 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 01:12:09.40 ID:xw/ECno40

「たぶん、これが巻き返しを図れる最後のチャンスかもしれないよ」
つかさとみゆきさんを交互に窺う。
「仰られる通り、少々旗色が悪いようですしね」
流石のみゆきさんも微笑みが絶えていた。
「でも、まだ諦めるには早いと思うよ?」
つかさは未だ持前の明るさを保っているようだ。

「がんばって! 諦めんな! もっと熱くなれよ!」
外野からは既に退場した女生徒二人の声援が飛んできている。

いや、違う。

いつの間にやらギャラリーが集まってきていた。
試合が長引いているせいだろうか?

でも、そんなもの関係無いね。
「それじゃあみゆきさん、頼んだよ」
意志と共にボールを手渡す。
「どうしましょうか?」
「全力で投げていいよ、カバーは私とつかさでやるからさ」
「うん、そうだね!」
つかさも気合い十分のようだ。

「あ、でもあの人を狙って貰えるかな?」
「どうしてですか?」

「なんとなく、かな。今まで狙っていなかっただけに、虚を衝けるかもしれないしさ」
「……なるほど、わかりました」

みゆきさんは頷くと、強い光を帯びた眼差しでボールを見つめていた。

603 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 01:25:24.66 ID:xw/ECno40

一歩、一歩……

みゆきさんが自陣ギリギリの位置まで下がっていくのが、床の振動で伝わってくる。
私とつかさは自陣真ん中、少し前の辺りで相手の様子を窺っている。


……振動が止まった。


そして、


ダッダッダッダ……


力強く唸るような足音が近づいてくる。
それは風のように私達の間を走り抜けて行き、
やがて自陣ギリギリから飛びあがって――


どうやらみゆきさんは捨て身覚悟で挑むようだ。
私はそれを見届けつつ、


「みさちゃーん、愛してるー!」


全霊を込めて叫んだ。

607 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 01:39:41.51 ID:xw/ECno40

みさきちが私のほうを振り向いた。
その振り向いた彼女に、かがみが何か叫ぼうとしている。


みゆきさんは、相手コート3分の1程度まで跳び込み――


相手チームのメンバーが、それを見上げてた。


――シュートを放った。


かがみとみさきちが、その軌道を目で追っていくのがゆっくり見える。
正に虚を衝かれたという具合の表情がこちらまで伝わってくる。

ボールは、やや後ろの位置に佇んでいた女生徒の脚元へと向かい……

そのまま相手が反応する間も与えずに見事に命中し、跳ね返った。


ころころとこちらへ転がり来るボール。

「みさお、捕って!」
かがみが声を上げると、
「お、おう!」
みさきちが即座に反応を示して捕球し……


そして、自陣に逃げ帰る暇も無く、みゆきさんは討ち取られてしまった。

612 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 01:53:41.37 ID:xw/ECno40

その後は、あっけ無かった。

みゆきさんという攻撃の要を失った時点で、私達の負けは決まっていたのかもしれない。
しかしそれでも諦めなかった。
諦めきれなかった。


みさきちのシュートを何とか跳び上がってかわした。
今までの行動パターンから、足元を狙う事は解り切っていたからだ。

一旦地面でバウンドしたそれは……

しかしそれを目で追った所で、
捕球を行ってくれる人物が居ないのだ。


何故なら、自陣にはもう、私一人しか居ないのだから。


圧倒的手詰まり。
どうしようもない。

やがて外野から廻されたパスをかがみが受け、

「これで……決まりッ!」

掛け声と共に放たれたボール。


それが決勝球となった。

696 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 13:49:58.06 ID:xw/ECno40

「ちっくしょー!」

コート中央に大の字で寝そべり、天を仰いだ。

負けだ、それも完璧に。

不意に視界の端から、
「惜しかったですね」
みゆきさんが微笑みながら見下ろしている。
「だいじょーぶー?」
つかさも膝を折って私の顔を覗き込んでいた。

「ごめん、勝てなかったよ」
二人へ苦みを含ませた笑みを送る。

「うーうん」
つかさは首を振ってから、
「わたしなんて、転んじゃったしね」
えへへ、と気恥ずかしそうに下を出している。
「べちゃっ、と見事な音がしましたからね」
みゆきさんも口元に手を当てていた。


そんな二人の遥か背後。
体育館の天井。
これって、よくよく考えると高いんだなぁ……


ぼんやりとそんな事を考えていた私だったが、その視界を新たな影が遮った。
不敵な笑みを携えたままの、柊かがみだった。

701 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 14:09:56.97 ID:xw/ECno40

「どうやら、あたしの方が上だったようね」

垂らした左肘に右手を携え、軽く息を乱している。
私も軽く目を閉じて息を整えた後、

「負けたよ、完璧にね」

大きく息を吐きつつの返答をした。

「あんたにしては素直じゃないの」
「かがみか日下部さん、そのどちらかすらも落とせなかったしね」

自然と、再び苦笑いしてしまった。
対して、かがみも顔に掛かった髪を手で払って、同じように返してくる。

「あたしと日下部、それに峰岸も居たんだし、パーフェクトでいけるかと思ったんだけどね」
みゆきさんの方へと視線を滑らせ、
「みゆきがあんな馬鹿力を持ってるとは思わなかったわ」
ハハッ、と快活に笑ってみせた。
みゆきさんは照れたのか困ったのかという曖昧な表情で頬に手をあてているようだ。

「ほら」

かがみが腰を曲げて手を差し出してくる。


私はもう一度だけ苦笑いを見せてから、その手に指を絡めた。

705 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 14:22:55.62 ID:xw/ECno40

かがみに引き起こされてから背中を払っていると……

「しっかし、何てことをしてくれたのよ」

かがみが先程の様子とは打って変って、
狼狽一杯の表情を見せていた。

「どうしたのさ?」
「どうした、じゃないでしょ? アレを見てみなさいよ」

言って指差した方向に居たのは……

「日下部さん?」
みさきちが峰岸さんに縋るようにして何やら捲し立てているけど。
「それがどうかしたの?」
かがみに視線を戻す。

「アンタが余計な事を言うから、日下部があんなになっちゃってるのよ」
「何か言ったっけ?」

試合に必死だったので、あまり内容を憶えてないよ。

「はぁー……あの子は真に受けやすいからなー……」
俯き君に頭を振る様子から察するに、結構深刻なのかもしれない。

「まあいいわ。授業時間も残り短いし、また後でね」

そのまま軽く後ろ手に振りながら、
重い足取りで自身の仲間の元へと帰って行った。

708 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 14:39:06.28 ID:xw/ECno40

それから少し時間が飛んで、帰りのホームルームとなる。

壇上で忙しなく立ち位置を変えつつ激を飛ばしているのは、
紛れもなく3年B組の担任教師、黒井ななこ先生だ。

「いいか自分らー? 夏休みを制す者は受験を制すって言うんやー!」

今日はいつにも増して気合が入っているように見受けられる。

「やけど、受験を制すにはまず目標を定めなあかん。
 目標と言うのはつまるところ進路の事や。
 目標無くして努力は有り得へんからなー!」

進路……
そういえば、まだ明確には決めていない。

もう、そんな時期なのだろうか?

709 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 14:40:03.03 ID:xw/ECno40

「まだそんな時期やない思とる奴がおるやろー?」

ぎくっ。

「おらんのかァー?」

居ません。

「せやけど掻き込み時である夏休みを目前に控えた今やからこそ、
 曖昧でもええ、それぞれが先を見据えることが大事やと思う」

そして机に静かに両手を置いたあと、
「先生は自分ら皆に、ちゃんと希望通りの道へと進んで貰いたいんや」
話を締めくくりに掛かる。


心無しか、先生の視線の先に見据えられているのが私だったような……

そんな気がした。

711 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 14:57:54.29 ID:xw/ECno40

放課後。

「おーっす」
予定調和で放課直後に教室へとやってくるかがみによって、
帰宅時間がやって来たのだと実感させられる。

「おーっす」
つかさがオウムのように返し、
「では、帰りましょうか」
みゆきさんが鞄を両手で携えている。

「ほら、こなた行くわよー」
「あ、うん」

返事を返し、教室後ろのロッカーに向かう。

「……傘?」
「そだよ、雨が降るだろうしね」

畳んだままの黒傘を杖に見立ててくるりと回してみせた。

「ふーん、確かに朝よりは曇っているけどさ」

かがみが軽く片足立ちするようにして窓の外を窺っている。
私もそれに倣い、夏の日差しが厚い雲に遮られているのを見取っていた。

712 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 15:02:06.61 ID:xw/ECno40

なんとなく推理でもしてみよう。

何故私は、雨が降ると思っているんだっけ?

その根拠は――


>>714

(フリー指定)

714 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 15:03:49.18 ID:o4mCeAJzO

かがみんのツインテールの色艶

718 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 15:23:07.44 ID:xw/ECno40

もう分かったよね?
雨が降るかどうか、それを探る方法は簡単だね。

「ふむふむ……」
かがみんのツインテールを手に取りまじまじと眺めていく。
丹念な手入れ行っているのか、さらりと滑るようで柔らかな手触りが感じられるぞ。

「ちょ! 何やってんのよ!?」
「はいはいリラーックス」
かがみんの宥め、ずいっと眼前へ持って来て舐めるように探りを掛けていくと……

むっ――

「あれれぇ〜?」

みゆきさんとつかさも私の様子に釘付けとなった。
今だ。

「かがみお姉ちゃんの髪、若干湿ってるよぉ?」
「はぁ?」

「それに、光の反射率と発色がいつもより鈍いよぉー?」
「余計なお世話よ!」


直後、頭上からの重い衝撃を感じた。
がっくりと膝から下の力が抜けて行く……
私は暗くなっていくその視界の中で、せめて犯人の顔でも見てやろうと目を凝らしてみた。
しかし虫食いのように黒く蝕まれていく世界に一片の光すらも見つけることは出来ず……
私の意識は、闇の中へと飲みこまれていった。

719 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 15:23:48.98 ID:xw/ECno40

               −名探偵コナタン−

               『ツインテールの呪』

                    終

724 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 15:29:34.47 ID:xw/ECno40

「なーにやってんのよ?」
うんざりと言った様子でかがみが溜息を洩らしている。

「いや、なんとなく」
うん、それ以外に理由はないよ。

「はいはい、全く……一人でも騒がしい奴だなお前は」
「それほどでもー」

「威張るな」
ピシッ、と汗ふきタオルで頭をハタかれた。

「いやいや、でも雨は降るにチョココロネを賭けてもいいよ」
「もう賭けはやらないわよ、アンタなら天をも欺きそうだしね」

「まあね」
「威張るな」

ピシッ。

730 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 15:46:32.14 ID:xw/ECno40

玄関から中央通りへと出た時、やはり空は黒ずんでいた。
辺りの光量が晴れの日のそれとは明らかに違うと一瞥で解るほどの暗さだったのだ。

「うわぁー、こりゃホントに降るってくるかもねー」
かがみに続き、
「傘を持って来てないよぉー」
つかさも見上げて眉を潜めている。

「夏の空模様は気まぐれですしね」
みゆきさんは変わらずに、やんわりと解説している。
言いつつもさり気無く鞄の中から折りたたみ傘を出しているし……
こいつ、出来るな。

しかしどうやら、つかさの頭痛は案外頼りにはなるようだ。
そして昨晩のカエル、さらに朝方のフラグ。
降水確率10%を50%程度まで引き上げるには十分な要素だろう。

「って事で、どうするかい?」
皆を窺う。

「まぁ、なんとかなるでしょ?」

かがみのあっさりとした結論によって、私達は歩き出した。

733 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 15:54:55.03 ID:xw/ECno40

なんとかならなかった。


「ちょっと、狙った様に降って来たわよ!」
「かがみんがフラグを立てるからだよ」

校門から数百メートル程度歩いてから降って来たのだ。

大粒の雨粒は渇いた地面を黒点として染め始め、
その音と雨足が見る間に勢いを増していく。

「つべたっ!」
つかさが首筋を押さえていた。

「これはこれは……」
みゆきさんは既に傘を差して余裕の表情。

私も慌てて傘を差し――


A.「つかさっ、こっちにおいで!」
  声を掛けた。

B.「かがみっ、こっちにおいで!」
  声を掛けた。

>>737

737 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 15:57:45.62 ID:OuL7u/CI0

「私はいいから二人とも早く入って!」で

742 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 16:07:35.51 ID:xw/ECno40

「私はいいから二人とも早く入って!」

つかさに傘を手渡し、すぐさまその中にかがみを押し込む。

「ちょ、ちょっとアンタはどうすんのよ!?」

かがみが色々な意味で心配そうな眼を向けてきたが、
私は夏の大気による洗礼を全身に浴びつつ、

「もっと来い! もっともっと来い! そんなもんじゃないだろォ!?」

それに負けないように精神力で耐え始めた。

「こなちゃん……大丈夫……?」
つかさまでもが心配そうに呟き、
「主に頭が」
かがみが余計なひと言を付け加えている。

「へへっ……あたいの事は気にするな……娘によろしくな……」

やはり洋画を翻訳したような口調で想いを伝える。

怒ったような空から降り注いでくる大量のエネルギーが、
相対的に私の体力を奪っていく……

やがて私の意識は揺れ動く夏の大気の中に……

747 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 16:16:48.27 ID:xw/ECno40

「あ、やっぱ無理! 冷たい! 雨嫌い!」

咄嗟に鞄で傘を作るが、
まるで滝と化していた雨足をそんなものじゃ防ぎきれる訳も無い。

「泉さん、こちらへどうぞ!」
すぐさまみゆきさんの元へと駆けよる。

「ありがと」
「いえ、構いませんよ」

豪雨を楽しむように笑っていた。

その笑顔を見ていると、この人は世界がひっくり帰っても笑い続けていそうだな、
なんて思ってしまう。

隣の傘からは、
「ひぇー、靴の中がー」
早くもつかさが音を上げているようだった。

「ほら、もうちょっと寄りなさいよ!」
かがみも大分慌てているようである。


みゆきさんはと言うと、またもその様子を見ながら微笑んでいた。

763 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 17:36:42.33 ID:xw/ECno40

「ねぇ、みゆきさん……」

私は、ふと引っ掛かるような感触を覚えた。
二人のほうを見つめているみゆきさんの眼に、何か別の色が宿っているような……
そういう気配が感じ取られたからだ。

「はい?」
その視線をこちらへと向けられる。
「どうかしたの?」

こういう曖昧な質問の仕方は如何なものかと、口に出してみてから気付いた。
しかしみゆきさんは一瞬だけ黙考したものの、すぐに考えを纏めたようだった。

「ええと……お二人共の仲が、とても良く見えたものでして。
 いつからあの調子だったのかなと思いを馳せていたのですよ」

まさか、ひよりんと同類項的な素質が……
などと一瞬だけ過ぎった愚考は、あらぬ形へ話が展開したことで否定された。

「ホームルームで黒井先生が仰られていましたよね。
 そろそろ進路を決める時期だと……
 その話を受けて、わたくしは考えていたのですが……」

「みゆきさんも、まだ決めてないの?」

「いえ、わたくしは医師を目指そうかと考えておりますので。
 明確に何処へ進学するか、と言われるとまだ決めかねてはいますけれど」

妙に歯切れが悪いような。
そんな感覚。

765 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 17:48:09.89 ID:xw/ECno40

そのまま口を挟むのも憚られる様な空気の中で、
隣の傘からは相対的に明るい声が聞こえてきている。

やがて雨足が一瞬だけ弱くなった瞬間、みゆきさんが口を開いた。


「もう、わたくし達は三年生なんですね」


ぽつり、とか弱い雨粒のように振られた言葉。
私はその言葉を受け、その真意を探る。

それから程無くして私は答えた。

「それはつまり――」


A.「私達が、もうすぐ陵桜学園を卒業するということ?」
  皆がこの場所から離れてしまうのだと実感した。

B.「将来の進路に不安があるということ?」
  みゆきさん自身の進むべき道に迷いがあるのだと感じた。

C.「時間の流れは早いものだということ?」
  過去を思い返しているのだと悟った。

>>770

770 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 17:50:22.35 ID:qxbltWlP0



779 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 18:03:31.21 ID:xw/ECno40

「私達が、もうすぐ陵桜学園を卒業するということ?」

言葉にしたのと同時に、
私は、皆がこの場所から離れてしまうのだと実感した。

みゆきさんは頷いているのか俯いているのか判別に困る様子で、
「そうですね……直に皆さんとは離れ離れになるのでしょうね」
それきり押し黙ってしまった。


ザァー……


辺りの物音、草の揺れる音、虫の鳴き声。
それら全てを掻き消してしまうほどに鋭い雨音。

その中を、たった一つの傘を頼りに二人連れで歩いて行く。

叩きつけるような激しい音の為か、
物理的に体温を奪いに掛かる雨の為か、
漠然とした煽情感や焦燥感を覚えてしまう。

その重苦しさを紛らわそうと、私は再び口を開いた。

781 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 18:15:39.23 ID:xw/ECno40

「良く言われている事かもしれないけれど、
 別れがあれば出会いもあるんじゃないの?」

直後これはちょっと不味いかなと思い、

「それに卒業して日本全国……あいや、むしろ世界規模で散らばっても、
 私達が二度と会えなくなるという訳じゃないでしょ?」

やや口早に捲し立てる。
その私の話を清聴していたみゆきさんは暫く考えていたようだ。
ようやくして軽い笑みを取り戻した。

「出会い、ですか……」

そこで何か思い付いたようにピクリと動き、

「そういえば、泉さんとつかささんはどのようにして御近付になられたのですか?」

珍しく興味を示す面持ちを向けられた。

783 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 18:27:50.83 ID:xw/ECno40

「そりゃーアレだよ、長い話だよ」

「と、仰られますと?」

首を傾げるいつもの仕草。
両手が埋まっていなければ、きっと頬に手を当てているんだろうな。

私はあの日の風景を思い出しながら、それを言葉へと変えていく。

「あたいがね、駅を歩いていたのさ。
 するってぇとどうだい?
 可愛い嬢ちゃんが怖いあんちゃんに絡まれているじゃねぇかい!?」

身振り手振りを交えて行く。

「思わず割って入っちまってね、言ってやったんだよ。
 ひとつ、人の世の生き血を啜り。
 ふたつ、不埒な悪行三昧。
 みっつ、醜い浮き世の鬼を……退治てくれよう、桃太郎!
 ってね!」

なんだか乗って来た!

みゆきさんは期待の眼差しを見せ、
「それで……?」
先を促される。

786 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 18:37:16.61 ID:xw/ECno40

「いや、まあ相手は外国人でね、全く通じ無かったよ……」

「……」


沈黙。


「がっ!」

再びみゆきさんが興味を示した。
私は続けて行く。

「色々あってね、外国語でわぁわぁ喚いていたからさ、
 私が会得していた古流武術を駆使してやっつけちゃったのさ」

拳をぎゅっと握ってみせる。
ちなみに本来は古流武術では無く、合気道なんだけどね。
力の無い私にゃ空手やテコンドーでは身を守るには頼り無いし、何より痛いの嫌だし。

「それでその助けた相手が、つかささんだったと?」
「そうだね、元々同じ制服を着ていたから目に付いたんだし。
 時期的には肌寒い季節だったから1年生の秋くらいだったかな?」

うわ、そうやって考えてみると懐かしいなぁ。
もうあれから2年も経っていたのか。

788 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 18:49:57.03 ID:xw/ECno40

そうだ。
1年の時、私は皆とは別のクラスだったのだ。
しかしその後つかさを通してかがみと知り合い、
かがみを通してみゆきさんと……

あれ?

そうなると一つの疑問点が浮かび上がってくる。

「みゆきさんとかがみは、どうやって知り合ったの?」

この二人が一番仲が良いのは知っていたが、
その理由までは聞いた事が無かった。

……というか訊き難いしさ。

ならば、そこに何やら秘密があるのかもしれない。

みゆきさんがやや目を細めている。
先程の私がしたように、過去の映像を思い返しているのかもしれない。


私は彼女の言葉を期待の眼差しを向けて待っていた。

789 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 19:03:22.90 ID:xw/ECno40

「わたくしとかがみさんが知り合ったのは、陵桜学園入学式の日ですよ」

さらりと事実を述べられる。

「え、入学初日?」

思わず聞き返すが、

「はい」

やんわりとした返事。

「わたくしはその時、満開の桜の木の下に居たのですが……
 あ、桜の木の名前は御存知でしょうか?」

「もちろんだよ」


名前は――


>>792 (名前は何?)

792 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 19:12:00.78 ID:VPdObCJR0

じゅげむ

794 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 19:27:43.25 ID:xw/ECno40

そう。

「じゅげむ、だね?」
自信満々の面持ちで告げると、
「そう、じゅげむですね」
同じく自信満々に返される。

「それでわたくしはその”じゅげむ”の下に居た訳ですが、
 どうも背中がチカチカするなと思いまして……
 注意深く観察を続けましたところ、なんとイガイガの付いたトゲゾーが……っておい!」

みゆきさんが軽く身を引いて見せた。

「ちょっと、フリが長いね」
「そうでしたか、まだまだ勉強不足のようです」

みゆきさんが小さな咳を一つ。

「えっと、もう入学式での話は終わりにしましょうか?」


A.「そうしようか」
  そのまま話を打ち切った。

B.「いや、やっぱり気になるから続けてよ」
  続ける事にした。


>>796

796 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 19:29:04.62 ID:0LzCkfQgO



799 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 19:46:09.38 ID:xw/ECno40

私は記憶の底を気合いで探り始めた。

気合い → 熱血 → 修造 → ゆーちゃん → 星桜の木

「星桜の木、だったよね?」
自信満々に答える。
「そうです、星桜の木ですね」
みゆきさんも頷いている。

そうだ、今日の朝方みゆきさん自身から聞かされたのだ。
その時隣にゆーちゃんが居たのも覚えている。

私が確認していると、
みゆきさんが空を見上げるように眺めた。
いや、もしかするとその眼に映っている光景は……

「もうはっきりとは思い返せませんが、当時は色々と不安だったんですよ。
 陵桜学園へと通われている皆さんの多くが地元からの繋がりがある中で、
 遠くから通うこととなったわたくしには他に知り合いなど居りませんでしたので」

少し悲しげな表情。

「みゆきさんは、なんで陵桜学園に通おうと決めたの?」
「ええと……」
少しの間のあと、
「母がこの学園の卒業生でして……それで、ですね」

本当に、それだけ?
などと詮索するべきでないことくらい、私にだって解る。

803 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 20:07:46.75 ID:xw/ECno40

「皆さんが喜々とした表情で談笑を交えつつ新しい校舎へ向かい歩いている中で、
 わたくしはその時、星桜の木を見上げていました」

具体的に何を考えていたのか、ということまでは覚えてはいませんが。
と、薄く笑っていた。

「そして……
 そのわたくしに声を掛けてくださったのが、かがみさんでした」

そこで不意にみゆきさんが声を出して笑った。
なんだろうか。

「どうしたの?」

すると彼女は口元を押さえながら、

「いえ、大した事ではありませんが。
 ただ、今も初めて会った時も、かがみさんという方の印象は変わらないものだと思いまして」

また笑っていた。

「あ……そろそろお別れのようですね」
話している間に、いつもの岐路までやって来ていた。

「では、この話はまた今度、よく思い出してからということで」

それぞれにやんわりとした別れを告げて、みゆきさんと私達は別れた。
私はその場で前日と同じように、彼女に向かって手を振っていた。

806 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 20:18:58.56 ID:xw/ECno40

「かがみ、もうちょっと詰めなよ!」
「いや、無理だろこれ!?」

私達三人は互いに体を密着させるようにして歩いていた。

何故か?

答えは簡単だ。
みゆきさんが居なくなったために、
雨を凌ぐ傘が一本となってしまった為だ。

「っていうかアンタ、さっきは”あたいの事は気にするな”なんて言ってたじゃない!」
「あれはジョークだよ、かがみのツッコミ待ちだったんだよ」

と二人でど突き合いを繰り広げると、

「ひゃー、押さないでー」

押し出されたつかさが悲鳴を上げて戻ってくるのだ。
先程からこれのルーチンワークと化している。

「うわ、もうセーラー服まで濡れちゃってるよ」
「ならアンタは観念して外へ出なさい、あたしは頭だけでも守り抜くわ」
「押さないでー」


そんなこんなな帰路だった。

809 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 20:30:55.40 ID:xw/ECno40

「ただいまー……」

全ての力を使い果たして家へと辿り着いた時、
私は頭から爪先まで全身ずぶ濡れだった。

背の高いかがみが傘を持っていた為、
横から殴りつけてくるような雨を凌ぐには事足りず、
そうしているうちに面倒になってそのまま二人に傘を譲ってしまったのだ。

そして今、私は玄関に居る。

水を吸ったスポンジのように次々と髪から滴り落ちてくる水滴のを感じつつ、
廊下を窺いながらどうしたものかと立ち尽くしていた。

やがて階段から、トントントントントン……

と小気味良いリズムの足音が聞こえて来たかと思うと、

「あ、お姉ちゃん!」

その人物は目を輝かせていた。
言うまでも無く、ゆーちゃんだ。

「やっぱり、傘なんて使わないんだね!」

何やら間違った尊敬を浴びせられつつも、最早反論する気力すら湧かなかった私は、
タオルを持って来て貰うまでその場で呆然とすることとなった。

812 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 20:46:46.72 ID:xw/ECno40

お風呂を沸かし、冷え切った体と心を温めているうちに夕飯時となっていた。

「今日は私が作ったんだよ!」

ゆーちゃんがパタパタと踊るようにエプロンをはためかせているけれど、
私の心は別の意味で躍動しそうである。

主に冒険心的な意味で。
危険な未開の地を探索する藤岡隊長の気分だよ。

恐る恐る、コンロ上に陳列されている鍋を覗き込みに掛かる。

すると、大きな鍋の中には……

「ロールキャベツ?」
「頑張って作ってみたんだよ」

言いつつ隣に開かれたまま置いてあった調理本を指差していた。

なるほど、ゆーちゃんならお父さんと違って本の内容を遵守して作るだろう。
だったとしたら普通にいい出来に違いない。

ただ、ロールキャベツは挽肉を使っているだけあって生焼けが怖いけど。
私が中学生の時なんて調理実習でクラスメイトが実際に病院に運ばれちゃったくらいだしさ。


……まあ、その時はその時ということで。

814 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 20:57:10.49 ID:xw/ECno40

家族と共に食卓を囲む。

並べられていた料理は各自に、

ちゃんとしたように見える白御飯。
ちゃんとしたように見えるミネストローネ。
ちゃんとしたように見えるサラダ。

の三品。
そしてテーブル中央にロールキャベツが6個。

見た目だけならば割としっかりとした洋風料理といった具合である。


が、ここでゆーちゃんは期待を裏切らない。

「実は、ロールキャベツの中に1個だけ”アレンジ”を加えてみました」

さらりと言ってのけている。
すぐさま父が敏感に反応し、

「えと、どういうことかな、ゆーちゃん?」
目をパチパチと瞬かせていた。

我が家における”アレンジ”は、所謂ハズレだと我々親子が実証済みである。
どうやら気を引き締めて掛からねばなるまい。

815 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 21:01:02.61 ID:xw/ECno40

              ―― 実 食 ――


――は時間の都合上省略されました。続きを読むにはMUSCLE!MUSCLE!と書き込んでも無駄です。

821 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 21:15:29.65 ID:xw/ECno40

夕食を終えた。
総評から言えば、純粋に美味しかった。
むしろ舌なめずりするほどの出来栄えだったと言えよう。

だがしかし、まさかあんな事になるとは……
そしてアレが、アレンジの在り処を示す手がかりだったとは……

さらに遅れて来た客……


で、なんやかんやがあって、今私はベッドの上に寝転び天井を眺めている。

時刻はまだ夜の10時ではあるが、
今日は身体を使い切った為か既に非常に眠い。

夜更かししても明日は土曜日で休みなんだし問題は無いんだけど……

どうしようかな。

そういえば、今日の深夜にはらっきー☆ちゃんねるがあるんだっけ。

823 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 21:27:34.27 ID:xw/ECno40

うーん、どうしようか。

そうそう、今日も一日、色々なことがあったような……
得てしていつもと変わりなく何も無かったような……

そんな一日だったと思う。

何かもっと、印象に残るような事をするべきなのだろうか?
それが何なのかは思い付かないけどさ。

ところで、今日やるべきことは他に何かあったっけ?
特になかったはずだ。

では、明日は何をしようか?
特に思い付かないな。


ま、それはまた明日考えればいいか。


今日がどんな一日だったのかは正直、自分にもわからない。
けれどもこれだけは言える。


「悪い日では、なかったはずだ」


そう呟き、私はそのまま眠りに落ちて行った。

826 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 21:28:47.96 ID:xw/ECno40

               − 2日目終了 −

830 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 21:36:01.45 ID:xw/ECno40

◆2日目のザッピング(主観視点移動)を行います。


A.『C組の日常』
  日下部みさおに移る。

B.『ゆーちゃんの熱血生活史』
  小早川ゆたかに移る。

C.『桜の日の出来事』
  高良みゆきに移る。


>>835-840 (多数決)

835 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/13(水) 21:37:57.72 ID:9Qq/pYoMO

B

836 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 21:37:59.07 ID:Tcvn4dmH0

C

837 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 21:38:04.99 ID:CdsRdc3i0

B

838 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 21:38:10.94 ID:W5t2V9Q5O

Cだ

839 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 21:38:25.72 ID:CdsRdc3i0

B

840 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/13(水) 21:38:28.68 ID:ZenG4tl8O

B

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 00:06:10.20 ID:j5V0qBaL0

               −ゆーちゃんの熱血生活史−

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 00:07:03.58 ID:j5V0qBaL0

今日はこなたお姉ちゃんと一緒にいつもより早く登校しました。
お姉ちゃんは殆ど毎日遅刻すれすれなので、こういう日は珍しいんです。

学校へ着くと、途中で高良先輩とお姉ちゃんが話し込んだりしていました。

私も負けじと隙を窺って高良先輩に、
「もっと熱くなるといいですね」
と話し掛けてみましたが高良先輩は満面の笑みで、
「わたくしは暑いのは苦手なのですが……小早川さんはお元気なのですね」
と牽制球を放ってきました。

この人は出来る。
そう確信した瞬間でした。

それでも諦めずに頑張って熱意を伝えようとは思ったのですが、
「でも何故そんな話を?」
お姉ちゃんが何やら会話を再開してしまったので私は闘志を抑えこみました。

行く時は行く。
引く時は引く。

これは臨機応変なお姉ちゃんを見て学んだことです。

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 00:17:21.38 ID:j5V0qBaL0

高良先輩との一合を終えて、お姉ちゃんと一緒に玄関に来ました。
でも時間が早かったのか、まだ他の人達の姿は無いようです。

私は可能な限り素早く上履きに履き替えると、
お姉ちゃんの元へと向かいました。


驚きました。


お姉ちゃんが自分の下駄箱に左手を当てて、俯き加減に固まっていたのです。

まるで隙がありません。
精神統一というものでしょうか。
溢れ出る熱気を完璧に抑えこんでいるのです。

「お姉ちゃん?」
その凄さに驚いたあまり思わず声が漏れてしまいました。

するとお姉ちゃんはジャガーのように俊敏な動作で振り向き、
「あ、それじゃあね」
にこやかに手を振ってくれました。

その姿がやけに神々しかったため、
「うん、熱く頑張ってくるね!」
全力で返事をしてしまいした。

でもよくよく考えるとちょっと恥ずかしかったので、私はその場から素早く離れることにしたのです。

13 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 00:22:17.45 ID:j5V0qBaL0

いつもより早い朝の教室はとても静かでした。
静かすぎて耳鳴りがするほどです。

見渡しても席はがらんと空いたままで、
みなみちゃんも田村さんも、パトリシアさんも居ません。

手持無沙汰とはこういうことを言うのだと、私はこの時身を持って学びました。

こうも静かであれば行えることはただ一つしかありません。
そうです、精神統一です。
早速こなたお姉ちゃんに追いつこうという目論見のもとにです。

日々の努力は重要だと思います。

と思ったのですが、
やはり朝から飛ばす必要も無いのかなと考えなおしたので、
そのまま席に着いて少し早い朝読書の時間となりました。

20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 00:31:03.75 ID:j5V0qBaL0

それから数分後、まだ静けさの残る朝の教室でのことです。

「おはよう、ゆたか」

なんということでしょう。
みなみちゃんの挨拶はまるで、
真冬の寒空の下に1時間と20分くらい放置され続けた鉄屑のように冷たいのです。

でも大丈夫。
その為に私がいます。

「おはよう!」

静かな教室にビリリとした残響が拡がりました。
みなみちゃんの体もピクリと震えます。

「え、と……」

そんな困惑の表情を見せた所で、その手に乗せられる私ではありません。

「もっと熱く! 熱くなれよ!」


私は力技で掛かりました。

するとそれきりみなみちゃんは黙り込んでしまったので、
私も釣られて黙り込んでしまいました。

不覚というものです。

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 00:42:53.33 ID:j5V0qBaL0

一時間目、国語。
おじいさんな先生が、何やら詩集の紹介をしていました。

「おう、なつだぜ。おれは、げんきだぜ」

なかなか良いリズムだと感じました。
けれども先生には申し訳ないのですが、
今の私にとって重要なのはみなみちゃんを熱く滾らせる事なのです。

冷たく凍てついた彼女の心を温水プール並にまで……

いけません、私とした事がついつい目標が小さくなってしまいました。
お姉ちゃんならきっとこういうはずです。


―― 一瞬で個体から液体をすっ飛ばして昇華させてやんよ


そうです、物質の相転移の応用です。
これは人間の心にも適用可能な理なのだと、私は研究対象に選んでいます。
むしろ既に証明を始めています。


「おう、あついぜ。おれは、がんばるぜ」


その時、おじいさんな先生の声が聴こえてきました。
それはまるで静けさの中にあって、心へと染み込んで来るような”熱さ”。

また一つ、勉強させて頂きました。

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 00:52:15.02 ID:j5V0qBaL0

結局その後の休み時間もお互いに隙を窺ったまま身動きが取れず、
二校時目をまるまる作戦を立てる時間に使う羽目となりました。


でも、時間を置いた事で幾許か冷静になる事が出来たのです。


そうです、物事は光があれば陰があるのです。
つまり熱さとは、同時に冷たさでもある訳です。

これは先ほどの国語の先生から学んだ手法です。

みなみちゃんに力の熱さで敵わないのであれば、
静けさを含ませた熱さで訴えればいいのです。

偉い人は言いました。

敵を知り、己を知れば百戦危うからず。

その通りなのです。
相手の性質を読み、それに呼応した策を用いてこそなのです。

それから私はみなみちゃんの一挙手一投足でさえ見逃さないように集中し、
二時間目の授業時間をフルに”観察の時間”として有効活躍していました。

27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 01:02:45.11 ID:j5V0qBaL0

二時間目。
休み時間。

VS みなみちゃん(2試合目)


試合開始を告げるチャイムが鳴り終えるより早く、私は席を立ちました。

同時にみなみちゃんも席を立ちます。

そう、彼女は私が一定距離内に入ろうとすると、
その射程圏外まで即座に離れようとするのです。

逆に私が離れようとすると、物陰などからそっと窺ってきます。

これは正に付かず離れずといった様子で、
安全圏から相手の消耗を見定め、疲れ切ったところでトドメを刺しにくるという、
非常に狡猾で恐ろしい戦術です。

流石は冷静なみなみちゃん。
私とは対極にある期待の新星だけはあります。

ですがこちらにも策があるのです。
伊達にこなたお姉ちゃんと共に暮らしている訳ではありませんから。

29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 01:10:37.45 ID:j5V0qBaL0

「くっ……寒い……」

がっくりと肩膝をつきます。
まるでみなみちゃんの冷気にやられた手負いの獅子といった……

獅子は言い過ぎました、狼でした。
謙遜は熱さの儀のうちの一つです。

とにかく私は肩膝をつきました。
そうです、これは演技なのです。

こなたお姉ちゃんが風邪を引いたフリをして学校を休み、
その時間を修業に充てるという兵法を応用した戦術です。


その時、背後に気配を感じました。
同時に、冷えぴたに熱を奪われる様な感覚。


間違いない、みなみちゃんです。


私の演技を警戒しつつ、死角から様子を見ているのでしょう。
ここで下手に動いたりすれば――


――間違いない、やられる。

32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 01:19:25.53 ID:j5V0qBaL0

「ゆたか、大丈夫?」

肩にそっと手が掛けられました。

「大丈夫だよ、みなみちゃん」

すぐさまその手に私の手を絡めます。


――よし、これでもう相手は逃げられない。


そのままそっとみなみちゃんに凭れ掛ると……
見せかけ!

「もっと熱くなれよ……」

耳元で静かに囁きました。
同時に、みなみちゃんが肩を震わせるのも伝わってきました。


その後みなみちゃんは硬直したまま聞かざるの守りに入ってしまったので、
なんとなく隣で騒がしかった田村さんを私の味方につけました。


◆田村ひよりが仲間に加わった。

36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 01:29:16.97 ID:j5V0qBaL0

三時間目はまたもみなみちゃんが距離をとってしまい、
そのまま昼休みとなりました。

この長い時間の間に決着を……

と思った時には、既にみなみちゃんの姿が消えていました。

何処へ行ったのでしょう?

見回してみてもわかりません。
仕方がないので世界を大いに盛り上げる修造団(仮)の、
第一メンバーである田村さんに尋ねてみます。

「みなみちゃん見てませんか?」
「え、見てないッスけど……」

とここで田村さんが考えるような仕草を見せました。
もしかすると心当たりがあるのかもしれません。

期待してすぐのことです。

「そういうことッスか! 小早川さんもついに!
 ええ協力しましょう! うおぉ、燃えて来たッスーッ!!」

凄まじい熱意です。
やっぱり田村さんを味方にする事が出来て正解だと感じました。

40 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 01:40:02.56 ID:j5V0qBaL0

結論から言うと、田村さんは駄目な人でした。
早くもお互いの熱血性の違いを感じ、解散の危機が見え隠れしているようです。


ところで現在の問題はみなみちゃんです。


みなみちゃんは何故かその後も帰って来ず、
ようやく姿を現したのは昼休みを終えるチャイムと同時にでした。

何故か手には”竜太サンド”と書かれたパンらしきものを携えています。
というよりこれ、竜田サンドの誤植じゃないんですか?

まあいいです。

やがて5時間目も終わりましたが、
またもみなみちゃんの消えるフェイントに阻まれて結局その日は終局となりました。

寂しかった私は無駄に料理の勉強へと熱意を向け、
シミュレーションによって早くもロールキャベツとミネストローネの作り方を習得しました。

始まったばかりですが、まだまだ熱血への道のりは遠いようです。


おわり。

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 01:49:45.07 ID:j5V0qBaL0

「よっし、出来た!」

私は本日分の日記をようやくして書き上げることができた。
何やら文体に面白さが無いけれど、まあまあいいと思う。
ちなみに、事実を多少拡大解釈しているのは自分だけの秘密だ。

「んんー…・…」

軽く伸びをして素早く時計を見遣ると、時刻は11時11分。

ぞろ目だ。
これは熱い。

などと感動している場合ではない。
こなたお姉ちゃんに熱い日記の書き方についてアドバイスでも貰おう。

思い立つと同時に立ち上がり、すぐさまお姉ちゃんの部屋の扉をノックする。


……返事が無い。


「お姉ちゃん、入るよー?」
言いつつ扉をゆっくり開く。

そのまま静かに中の様子を窺ってみると、
お姉ちゃんはベッドの上で掛け布団を蹴飛ばして眠っているようだった。


私はそっと布団を掛け直すと、そのまま部屋へと戻ることにした。

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 01:55:04.15 ID:j5V0qBaL0

◆2日目のザッピング(主観視点移動)を行います。


A.『C組の日常』
  日下部みさおに移る。

B.『桜の日の出来事』
  高良みゆきに移る。

C.ザッピングをやめて3日目に移る。


>>45-50 (多数決)

45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/14(木) 01:56:53.34 ID:gdQ0VK4m0



46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 01:57:37.99 ID:17+O91HN0



47 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 01:57:53.04 ID:B1ecemaqO

A

48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/14(木) 01:58:29.53 ID:bw73iO/t0

B

49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 01:58:32.32 ID:17+O91HN0



50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 01:59:14.98 ID:4E6iwRlM0



66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 02:53:15.06 ID:j5V0qBaL0

風は無い。
人影も無い。
迎えられるのは、静寂に満ちた校舎のみ。

先程、門を通った時に時計台で確認したが、
時刻はまだ7時半を僅かに過ぎた程度だった。
つまり、開講までは小一時間の猶予があることを意味している。

七月と言えどこの時間帯であれば十分に涼しい。
意図的に激しい運動さえしなければ、まず汗を掻く事すらないだろう。


そして私は今、この静けさの中で一人、星桜の木を見上げている。


母から聞いた話に寄れば、
星桜は陵桜学園の校舎が建てられる以前からここにこうして在ったのだという。

しかし私にとってそれは些細な事である。

重要なのは、あの日私がここに居たという事。
忘れられないのは、あの日の出来事。
桜の花びらが舞い散っていた、入学式の日の光景。


それらに感慨を覚えつつ、一度桜の根を見下ろし、再び新緑を見上げたとき。


ざっと、突風が吹き荒れ――

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 02:53:39.98 ID:j5V0qBaL0

               −桜の日の出来事−

69 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 03:05:42.03 ID:j5V0qBaL0

はらりひらりと舞い踊り、
静かに落ち行く薄紅の葉。

それを見つめる私の胸中は、不安で一杯だ。

ここでは上手くやれるのだろうか。
それともまた、昔のように孤独な日々を過ごすのだろうか。


いや、悩んでいても仕方が無い。


そうならない為に努力を重ねてきたのだから。
そう、わざわざ東京都から遠く離れたこの学園へと入学を希望したのもその内の一つだ。

形から入ればいいと思い、敬語の使い方も勉強した。
柔らかな物腰を身に付ける為、日々の仕草にも気を配ってきた。

大丈夫。
きっと大丈夫だから。

70 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 03:12:15.69 ID:j5V0qBaL0

歩き出す。

でも、最初はどうすればいいのだろう。
こちらから笑いかけるべきか、はたまた自然に話しかけるべきか。
いいや、きっと不安なのは皆一緒のはずだ。
だから、こちら側から先手を打つべきだ。

考える。

でもどうやって……。
笑いかけると言ってはみるも、実際にそれをやると不自然すぎる。
はたまた自然に話し掛けると言えど、具体的に何を話せばいいのだろうか。
昔のように相手を傷付けてしまわないだろうか。

そして、立ち止まる。

誰しもが連れ立って忙しなく校舎の中へと吸い込まれていくなかで、
私は一人、桜木の元に留まっている。


ゆらりゆらりと風に振られる花びら。
それを見つめる私の胸中は、不安で一杯だ。

73 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 03:28:57.15 ID:j5V0qBaL0

散々悩んだけど、やっぱりこれは決めれない
なので安価で決める

>>76


A.みゆきさんのイメージを保つように努める

B.みゆきさんのイメージを壊しても構わない

76 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 03:33:33.64 ID:9tQWMrIL0

B

77 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 03:44:29.42 ID:j5V0qBaL0

「ねぇ、ちょっと」
不意に隣から声が聞こえた。
「あなたも新入生?」

凛とした声。
私はその方へと視線を向ける。
その声の主の両眼は、私を真っ直ぐに捉えていた。

「あ、俺?」
意思とは無関係に口がそう動いた。

「そうよ、あなたに聞いてるの……って俺? え、あんた男なの!?」
”俺”はないだろう、落ち着け自分。
”私”だ。そう、何度も練習したじゃないか。

「いえ、私……も新入生です。お恥ずかしながら、先ほどは少し言葉を噛んでしまいました」
「どんな噛み方だよおい」
間髪入れずに返されたその意見には、全面的に賛同せざるを得ない。

さらに相手は続ける。
「でも、”わたくし”……ねぇ。テレビ以外では初めて聞いたけど、あなたにはとても似合う気がするわ、うん」
言いつつニヤリとした笑みを返される。
面白そうな人だなと考えていると、
「面白そうな人だよね、アンタ」
逆にそう言われた。

「私も今、そのように考えていました」
「あ、あたしは普通でしょ!」
「すみません」
「いやその……別に謝らなくてもいいけど……」

78 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 03:54:51.29 ID:j5V0qBaL0

訪れる沈黙。
その空気に耐えられなくなったのか、彼女が答える。

「あなた何組? あたしはA組だけど」
「あ、私と一緒ですね」
「おー! 同じクラスかー」
「そうですね」
軽やかに笑う彼女。

「あ、そうだそうだ忘れてたわ」
「なんでしょうか?」
左手を口にあて、コホン、とあからさまに咳をする。

「自己紹介がまだだったわね」
「そういえば……その通りですね」
「えーっとでは、あたしから」
軽く息を吸い、一呼吸置く。

「はじめまして、こんにちは。あたしは……って何笑ってんのよアンタ!」
私は笑っていた。
理解したからだ。
彼女も相当に緊張していたのだという事を。
おそらく自己紹介の練習を何度も重ね、その常套句として『はじめまして、こんにちは』を用いていたのだろう。
と、相手を窺うと拳を握り締めていた。

流石に気の毒になったので、
「すみません」
と頭を下げることにした。

80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 04:02:29.98 ID:j5V0qBaL0

「べ、別に頭を下げなくたっていいわよ……」
小さく呟いたあと、溜息と共に彼女は続けた。

「あーもう、適当にいくわよ。あたしは柊かがみ、かがみでいいわ」
「わかりました。よろしくお願いしますね、かがみさん」

「かがみでいいって」
「いえ、こちらのほうが呼び易いので」

「そう、じゃあそれでいいわ」
「そうさせて頂きます」

「……いやに丁寧な口調だよね、あなた」
「癖なものでして」

頬に手を当て、微笑んでみせる。

「それじゃあ、次はあなたね」
「はい、えーっと……」

言いつつ私は視線を外し、さらりと辺りを眺めてみる。
花びらが、はらりひらりと散っていく。

81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 04:17:19.56 ID:j5V0qBaL0

私は咄嗟に考えついた。
相手を真似ればいいのだと。

「はじめまして、こんにちは。高良みゆきと申します。これからよろしくお願いします」
「くくっ……」

かがみさんは笑いを堪えている。

「笑うなよ」
「え、あ、ごめん……みゆきさん」

しまった、油断すると昔の口調に戻ってしまう。
慣れるまでは気を引き締めていなければならないようだ。

私は取り繕うように続けた。
「あ、いえいえ構いませんよ。それから私の事はみゆきと呼んでください」
「わかった。よろしくね、みゆき」

「はい、よろしくお願いします」

言いつつ、会釈を交わした。

83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 04:24:59.62 ID:j5V0qBaL0

「そういえばあなた、どうして陵桜学園を選んだの?」
「えっ……」

どう答えるべきか。
そのような質問を受けるとは予期していなかった。

焦り視線を滑らせた先に、星桜の木が目に留まる。
そういえば……。

「えっと、私の母がここの卒業生でして、それで私も」
「お母さんが卒業生だから? ……へぇ、有るようで無い、面白い理由なのね」

若干驚いているように見受けられた。
それも当然だろう、今それを考えついた自分にとっても不自然に感じられるのだから。
つまりは仮初の嘘なのだ。

しかし今重要なのはそこではない。

「あ、あの」
「なに?」

首を傾げられる。

「私の”地”が乱雑だという事は内密に……」

かがみさんがまたも笑いを堪えてから、

「はいはい。分かったからよろしくね、みゆき」

やはり堪え切れずに噴き出していた。

84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 04:32:59.82 ID:j5V0qBaL0

互いの紹介が終わったあと、教室へ向けて歩き出す。
勿論、同じ教室へ向けてだ。

その道中、彼女がぽろりと一言零していた。

「初日で知り合えるとはいい縁よね! みゆきとは3年間同じクラスでいられるといいなっ!」
私も嬉々として答える。
「そうですね、きっとそうなると思いますよ」

やがて辿り着いた新しい教室。
私はその扉の前で立ち止まって考える。

中に居るのは共に三年間過ごす大勢の仲間達。
既に幸先の良いスタートを切れた気がする。

「なーにやってんの、立ち止まっちゃってさ。ここでしょ? あたしが開けるよ?」

その声を聞き、私は確信した。
きっと、いい学生生活が送れるはずだと。
いや、そうしてみせるのだ。
この私自身の手で。


私は扉を、力一杯開いた。

85 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 04:46:23.26 ID:j5V0qBaL0

ざわっ――


吹き抜けた風が、新緑の葉を数枚浚って行った。
私は靡く髪を左手で押さえ、もう一度星桜を見上げる。


かがみさんはあの時の約束を固く守り、未だ口を閉ざしてくれている。
しかし最近、どうも皆を騙しているのではないか、という思いに度々駆られてしまう。

今では最早意識せずとも語れるように、演技が地となりつつある。


けれども、それでいいのだろうか?


今は良くても、またも中学を卒業した時のように、高校を卒業してしまえば独りに……


そう、ならないだろうか?


星桜の木を見上げる私の胸中は、やはり不安で一杯だ。

87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 05:03:35.07 ID:j5V0qBaL0

その最中のことだ。


「おはよーみゆきさんっ!」

突然背後からの聞き慣れた声。
と共に小柄な何かに抱きつかれる。

「わっ!?」

思わず飛び退く。
こんな時でさえ演技出来てしまう自分が少々憎い。
それともこれは、”地”なのだろうか?

そのような私の心中など意にも介さないといった様子で、
「にひひ」
泉さんが意地らしく笑っていた。

「……びっくりしましたぁ」

言っている間に、泉さんの後ろから出て来た小早川さんが、
「お早うございまぁす」
見ているだけで和むような可愛らしい動作で会釈していた。

「ごめんごめん、ついつい驚かせてみたくなっちゃってさ」
泉さんの言葉に、
「わたくし、心臓が止まってしまいそうでした……。
 あ! うっかりしてました、お早うございます」」

私は慌てて返しつつも、未だ晴れない気持ちで微笑んでいた。

88 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 05:09:50.33 ID:j5V0qBaL0

◆2日目のザッピング(主観視点移動)を行います。


A.『C組の日常』
  日下部みさおに移る。

C.ザッピングをやめて3日目に移る。


>>89-91 (多数決)

89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/14(木) 05:11:58.15 ID:bdAnfmv20

A

90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 05:13:31.25 ID:9tQWMrIL0

C

91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/14(木) 05:14:26.28 ID:sOSQ3pVP0

A

94 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 05:37:38.17 ID:j5V0qBaL0

               − C組の日常 −

95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 05:38:45.28 ID:j5V0qBaL0

ホームルームが終わると、すぐさま柊が席を立った。
その左手にはハンドタオルが握られている。

また隣のクラスへ行くのか?

「あやの、柊が立った! 柊が立ったぞ!」
「赤ちゃんが初めて立ったような言い方はしないの」

そんなつまらないこというなよなぁ。

「ほら、尾けるぞー」
「……尾行している自覚はあるのね」

「ほらほら、行こうぜー」
その袖を引っ張る。

あやのは暫く考えていたけど、

「私はやめておくね」

断られちまった。
そんな手でゴメンネ、ってされてもなー。

まぁいいか。

96 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 05:47:44.87 ID:j5V0qBaL0

隣の教室。
つまりはちびっ子の教室だな。

扉が開けっ放しとなっている入口から、中の様子を窺う。

……む、柊がちびっ子と何やら話しているぞ。

ちょっとここまでは聴こえないないなぁ。
でも気になる。

お、柊がちびっ子の頭をハンドタオルで叩いてる。
いいぞもっとやれ。

なんていう感じで夢中になんていたら……


またもやちびっ子と目が合ってしまった。


勘付かれたか!?

慌てて身を隠す。
なかなかに鋭い奴だな。

しょうがない、今日の所は手を引いておいてやるか。

97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 05:58:43.35 ID:j5V0qBaL0

私の教室へと戻ってくる。

「どうだった?」

あやのが悪戯っぽく笑いながら訊ねて来たので、
「ちびっ子に勘付かれちまったぜー」
最終的な状況だけを伝えた。

「あらあら」
言葉とは裏腹にあやのは楽しそうだな。

そうやって二人で話し込んでいると、

「うぃーっす、ただいまー」

柊が手で挨拶をしながら帰って来ていた。

「なぁなぁ、何やってたんだ?」

率直に訊ねると、

「いちいち詮索するな」

ちびっ子と同じようにハンドタオルでハタかれちまった。

98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 06:11:51.70 ID:j5V0qBaL0

二時間目の休み時間のことだ。
私とあやのは、柊の席を囲んで3人で談笑していた。

「っていうかさ」
柊が私の方を向いて、
「気になるなら自分から行けばいいじゃん」
キッパリと口にしている。

「どこにだよ?」
「こなたの所よ」

おいおいそりゃ勘弁してくれよ。
「何となく、それは無理っぽい気がするんだよなー」
「……面倒な奴だな、お前は」

柊が腕組みして首を振っている。
っておい、何であやのは笑ってんだよー。

その時だった。

教室の扉が開いたかと思うと、
「かーがみん!」
おなじみの声が響き渡ってきた。

おいおい、あやのがとうとう爆笑しはじめたぞ。
どうなってんだ。

私は入口に居る人物をちびっ子だと確認すると、
「おいおい、またお呼び出しのようだぜー」
皮肉を込めるように柊に伝えた。

99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 06:21:08.62 ID:j5V0qBaL0

それから十数秒後。

「気合いだ! 気合いだ! 気合いだ! 気合いだ!」

まーたちびっ子が叫び始めた。
それに応じるかのように柊も怒鳴っていきやがて、

「いい加減にしなさい!」

の一言でちびっ子どころか、うちのクラス中までもを黙らせていた。

おお、素晴らしい声だ。
応援団なんかに居てくれたら重宝されそうだぞ。

その後もやっぱり口を閉じなかったちびっ子に柊がタオルを突っ込むと、
足早にこっちへと戻って来る。

「素晴らしいシャウトだったぜー」
すぐさま柊の肩に手を回す。
「うるさい」
やっぱり払われた。


「なぁあやのー、私嫌われてんのかなー?」
「毎回タイミングが悪いだけよ」

あやのはどうしていつも余裕なんだよぅ。

101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 06:36:15.10 ID:j5V0qBaL0

ここで一気に時間が飛んで6時間目のドッジボール。

試合も中盤を迎えたころ、
4対3でこっちが優勢といった状態になっていた。

まあ、私と柊とあやのが居る時点で当然だけどなー。

それにしてもさっきから、
ちびっ子の奴が下らない策を次々と立てては試している。
スポーツで勝負してんだから正々堂々やれってのにさ。


その相手の様子を窺うと、柊妹と何やら言葉を交わしているようで……


あ、また目が合っちまったよ。


しかし今は別に隠れる必要もないだろー。
コートの上なんだからなー。

104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 07:28:14.72 ID:j5V0qBaL0

何やら相手チームが深刻そうな面持ちで作戦を立てたかと思うと、
高良って奴がボールを持って全力で突っ込んできやがった。

そんなに突っ込んじゃ、どう考えても自殺行――


その時だった。

「みさちゃーん、愛してるー!」

え……この声はちびっ子……?

思わず目を合わせる。
やはりちびっ子だ。

その瞬間、全てが繋がった。

最近、やたら目を合わせようとしてくるあいつ。
そして私のクラスにわざわざやってくるという事実。

それはこれの予兆だったのだ。

道理で、柊が頻繁に隣のクラスへ行く訳だ。
私と近い関係にある柊に、あいつは相談していた。
そうに違いない。

しかし困った、相手は女だぞ? っていうか、こんな状況でそんな事言うのか?

やばい、どうしよう……
あいつ怖ぇ……

105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 07:29:02.18 ID:j5V0qBaL0

その後は取り敢えず試合を終わらせたけど、
もはやそんなものどうだって良かった。

「あやの、助けてくれ。ちびっ子が俺のこと好きだってよ!?」

頼れるのはあやのだけしかいない。
しかしあやのは半笑いしつつ、

「……え、逆じゃないの?」

なんて訳のわからないことを言ってやがる。

「何言ってんだよ、あいつの言葉聴いてなかったのか!?」

縋りつくように揺する。

「ちょ、ちょっとやめてよ。だってみさちゃん、最近やたらあの子を気にしてたから……」
「知らねーよ! そんなの知らねー!」

「だって柊ちゃんもそうじゃないかって」
「そんなんじゃねー! 頼むから助けてくれぇー!」


その後、相手コートから戻って来た柊が事実を伝えて止めに入るまで、
私はあやのに縋り続けていた。

107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 07:34:11.76 ID:j5V0qBaL0

               − 次の日 −

108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 07:36:07.01 ID:j5V0qBaL0

――ジリリリリリリ!


ん……目覚まし……?

えっと……7時か。

今日は土曜日だから、ちょっと早かったかな……?

でも今日はかがみ達と遊びに行く予定があるし、それに備えて起きなきゃいけない。

「よい……っしょお……!」

ゆるりと伸びをしてから身を起こし、
そのまま何となく気が向いたのでカーテンを開け放ってみる。

外では既に太陽がさんさんと輝いており、
空は澄み切った青一色に染まっていた。

その街の向こう、遠くにくっきりと見えている山々を眺めながらちょっとだけ考える。


今日一日、いい日でありますように……


なんてのは、都合が良すぎるかな?


こうしていつも通り、私の一日は始まるのである。

109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 07:36:55.81 ID:j5V0qBaL0

               − 世界は、なんてことないのである −

                    『”つづく”というEND』

                         完

112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 07:45:13.46 ID:j5V0qBaL0

あーもう無理
3日落ちに間に合わなかったのも悔しいけど、もう色々と無理だわ

寝たら落ちるだろうから先に書いておくけど、
たぶんかなり不評だと思われる『桜の日の出来事』について

あれは元来、”存在しなかった筈の選択肢”を選んで派生した物語なので、
”無かったもの”、或いは”パラレルワールド”として各自でいいように解釈してください
パラレルってのは過去に書いたものって意味ですね

という訳で長々とお疲れ様でした
マジでずっと付き合ってくれた人には敬意を表します
それから絵師の人も感想考える余裕がなくてすまんかった、感謝してる

じゃあもう寝ます、乙

117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 07:50:35.26 ID:j5V0qBaL0

ああそうだ、これも一応書いとく
>>110
念の為だけど、これは投げっ放しでなくて正規END (”完”がついているのがその証拠)
もともと長い物語の一部分だけを切り取って綿密に書くってのが試みだったしね
日常から始まり日常へ終わるというイメージで一つ頼む

勿論、選択肢によって変わる場合もある筈だけどね


それじゃあ皆さんありがとうございました

164 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 21:12:55.84 ID:j5V0qBaL0

3日目はアレで当初の予定通りと言えば通りなんだけどね

別解みたいな感じで続けられない事もないけど、流石にぶっ通しで疲れちゃったってのと、
明日が15日だから別のネタを書きたいなってのもあるからね

169 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 21:41:50.78 ID:j5V0qBaL0

今の状態は400mを全力疾走した後な感じで、凝った物を書く集中力が持ちそうにないんだ

別の話というのは、元々この物語には昔書いた物語のボツネタが各所に散らばってて、
その中でもみゆきさんの盆に関する話に由来したものを時期的に書きたいなってね

しかし世界観自体が対極的に違う上に、
学校であった怖い話のパロディだから首が跳んだりする可能性が高い
だからこの物語では絶対に使わない

ついでに、そのネタは乗っ取りで書いててすぐにスレが落ちたんで、
改めて書くのか、或いは俺に書けるのか自体も不明だけどと保険を掛けとく

170 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 21:44:29.12 ID:j5V0qBaL0

どこか見たい部分やシチュエーションなんかがあったら列記しててみて

今からアイスでも買いに行ってくるから、書けそうであれば善処はしてみる

176 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 22:28:47.08 ID:OkyMgLDw0

つかさののんびりな一日とか見たい気がする

186 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/14(木) 23:53:22.52 ID:j5V0qBaL0

朝。
カーテン越しの明るい光。
それが薄暗い部屋の中を温かに染め上げている。

眠い。
今しがた目が醒めたばかり。
だから虚ろに布団の中からドアノブを眺めている。

外からは野鳥の声。
しかし小鳥のような可愛らしいものではない。
カラスだ。


今日は土曜日。
脇にある目覚まし時計は、7時15分を指している。

そう、土曜日だ。
当然、学校も休みなのだ。


だからこのまま……
このままもう一度目を閉じても……

192 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/15(金) 00:11:23.61 ID:RtcEt1PG0

「危ないっ!」

がばと布団を蹴飛ばし、
同時に両手を突き出しつつ身を捻ってベッドから起き上がった。

「はぁはぁ……」

荒れた息を整える。

もう少しで屈してしまうところだった。
土曜日という甘い響きと、朝という眠気にだ。
ついでに起き抜けの頭痛もある気がするけれど、それは些細な要因にすぎない。

何れにせよそんなんじゃ駄目だ。

今日は土曜日。
されど、7月のうちの……いや、1年のうちの1日でしかない。

惑わされるな。
長い目で見ろ。

そうだ、熱くなれ。
真夏の太陽のように、もっともっと熱くなるんだ、私。

196 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/15(金) 00:23:58.67 ID:RtcEt1PG0

なんとなく、お姉ちゃんの様子でも見に行ってみよう。

そう思い立った。

なのでイソイソといったように扉を両手で開き、
まだ静けさの中にある廊下を忍び足で歩いていく。

この静けさ……
家族はまだ起きてはいないのかな?

なんだか新鮮だ。

そんなことを考えながら、お姉ちゃんの部屋をノック。

コンコン、と小気味の良い音が響いた。

……返事はない。

そっと扉を開く。

中の様子を窺ってみると、
お姉ちゃんはベッドの上に丸くなって寝ているようだった。

私は暫くその寝顔を眺てから、
再び、そっと扉を閉めた。

202 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/15(金) 00:44:55.84 ID:RtcEt1PG0

階下への道を辿りつつ、これからやるべき事を思い浮かべてみる。

早く起きてはみたけれど、特に思い付かない。
うーん、どうしよう。

人の気配の無い居間まで来て頭を捻ってみても、
やはり今一つ思い付かない。

なので、なんとなくテレビを点けてみた。


『今日の夜から明日6時に掛けて、
 ベルセウス座流星群の活発な活動が期待されているようです。
 杜王プラネタリウム館、館長の空丈さんによると、
 この流星群の活動時期が普段より1月ほど早く、何かの前触れでは?
 などと冗談を仄めかしておられましたー』


女性リポーターの明るい声が漏れてくる。
昨晩、チャンネルがニュース番組のままになっていたんだろう。

リポーターの声は明るい調子のはずなのに、
それが却ってしんとした室内の様子をより一層引き立たせてくるように感じられる。


ちょっと寂しい、かな。


私は首を傾けながらも、その内容に目を通していた。

203 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/15(金) 00:47:04.57 ID:RtcEt1PG0

ふと見上げて気付いたんだけど、今夜は満月なのか

205 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/15(金) 00:56:51.54 ID:RtcEt1PG0

いや、ここで負けちゃいけない!
気力と熱意があればどうとでもなる!

そうだ、何しよう。
何か、何か……


あ、朝食を作ればいいんだ。


こんな初歩的なことを見落としているなんて。
私とした事がうっかりしていた。

普段は結構しっかりしているだけに、
これはやっぱり起き抜けのせいなのかな?


……さて、それじゃあ何を作ろうか。

208 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/15(金) 01:12:41.10 ID:RtcEt1PG0

冷蔵庫の中を確認してみる。
ひんやりとした冷気に当てられながらも覗くと、
材料はふんだんに用意されているようだった。

肉、卵、ベーコンにハムその他もろもろ。
野菜室にもキャベツ、もやし、小松菜、それにフルーツ類。
冷蔵庫隣のダンボール箱の中には大根やじゃがいも等もある。

これは燃えて来た!
この情熱を全て注ぎ込んで、豪勢な朝食で優雅な朝を演出する!
それで家族もハッピー私もハッピー!

「私は出来る! もっともっと出来る!」

そう口にして掌を握ってみる。
けれどもやっぱりちょっと恥ずかしくなって辺りを見回した。

大丈夫、誰も見ていないね。

211 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/15(金) 01:30:01.23 ID:RtcEt1PG0

沸騰させたお湯にコンソメを溶かし、塩と砂糖と薄口醤油を少々。
そこにキャベツとタマネギ、短冊切りのニンジンを入れてコトコトと煮込んでいく。

これに後からベーコンともやしを加えれば、私の得意料理の一つ、野菜スープの出来上がりだ。
手間も掛からずに栄養もあるから自分でもお気に入りのレシピだったりする。

鍋からは良い音と匂いが漂ってきている。

その香りの中で、ポン酢とみりんとサラダ油、砂糖と後は適せんの調整を始めていく。
これはドレッシング。
トマトサラダの為。

あ、御飯は炊いてあったんだっけ?

思いつつ電子ジャーの蓋を開くと、若干水分を失った白飯が2合分ほど残っていた。

……まぁ、何とかなるよね。

212 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/15(金) 01:36:31.20 ID:RtcEt1PG0

料理行程も進み、
次はベーコンエッグにでも取り掛かろうかと思っていた時のこと。

ガラリ。

扉を開けて入って来たのはお姉ちゃんだった。

エプロン姿の私を見るなり、驚きをありのままに表現してみせている。
私が早く起きていたことがそんなに意外なのだろうか?

取り敢えず、

「気合いだー!」

と返答しておいたら、それきり大人しくなったようだ。

あ、いけない!
余所見していた間に温めていたフライパンから煙が……

214 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/15(金) 01:48:16.82 ID:RtcEt1PG0

お姉ちゃんによると、
今日は偶然にも私とお姉ちゃんの二人だけしか居ないらしい。
出払っているのは諸般の用事によってなのだそうだ。

困っちゃったね。

予定が狂って二人分には多い朝食を、互いに囲む。
いつもより活気が少ないので、
些か味気ない気がするのはやっぱり否めない。

けれどもお姉ちゃんは人一倍口数が多いので、
テレビにツッコミを入れながら実質二人分くらいの役割を担ってくれている。

私は朝食を味わいながら、それに耳を傾けていた。

215 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/15(金) 01:57:21.63 ID:RtcEt1PG0

食事が終わりを迎えた頃に、
お姉ちゃんが疑問を投げかけて来た。

どうやら、先ほどの『気合いだー!』が引っ掛かったらしい。

「昨日テレビでやってたよ、ポジティブに行こうって番組で」

その物真似を加えつつ全力で伝えていると、
お姉ちゃんはが溜息ついでに首を振っていた。

私がテレビに影響されやすい、とのことだ。
でも私は、その一言で切り捨てられるのに納得がいかない。

「病は気からって友達に言われたよ?
 それにプラシーボがどうとかってテレビでも言ってたみたいだし」

そうだ、科学的にも証明されているのだ。
現に頭痛をあまり感じないような気がするし。

けれどもお姉ちゃんは私の心意気とは裏腹に、
苦笑いついでにまたも溜息をついていた。

217 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/15(金) 02:05:45.62 ID:RtcEt1PG0

お姉ちゃんの携帯が鳴った。
ちょっとごめんね、と言ってから通話に応じている。

電話の相手は誰なのだろう?

何となく予想はつくけれど。

そのまま様子を眺めていると、
お姉ちゃんは笑い声を振り撒いたりうんざりしたり、はたまたツッコミを入れたり……
コロコロと豊かに変わりゆく表情がとても面白い。

いつも通り、学校でのお姉ちゃんだ。

となると電話の相手はあの人しかいないよね。


「こなちゃんから?」


私が言うと、お姉ちゃんは笑顔で頷いていた。

218 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2008/08/15(金) 02:07:19.08 ID:RtcEt1PG0

               − テレビっ子なわたし −

                     終



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