涼宮ハルヒの殺人


メニュー
トップ 作品一覧 作者一覧 掲示板 検索 リンク SS:みくる「わたしの靴箱に何か入ってる……?」

ツイート

1 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 00:18:51.73 ID:Hs0vtnk20

ハルヒ「我がSOS団は、犯人を探し出すわよ!」

放課後、例の如く部室に集合したぼくたちは、涼宮さんの晴れ晴れしい笑顔の元で下された宣言を聞かされた。

キョン「おい、一体何の犯人だ。ちゃんとわかりやすく言えよ」

彼はいつものように面倒くさそうに涼宮さんの提案に反応する。
まあ、ぼくにしてみれば閉鎖空間さえ発生しなければ、多少の厄介ごとには付き合うことも厭わない。

3 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 00:20:00.32 ID:Hs0vtnk20

ハルヒ「キョン、あんたちゃんとニュース見てるの?最近このあたりで起こっている連続殺人を知らないんだなんて!」
キョン「連続殺人?」
長門「今月に入ってから被害者は十二人にも及ぶ。通り魔の犯行と思われる殺人事件」
キョン「ああ、あの事件のことか……」

4 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 00:20:37.13 ID:Hs0vtnk20

彼はさらに面倒くさそうな面持ちになった。
まあ、わざわざHRで事件について注意事項があったくらいだ。
近隣の学校の通学路は保護者や警察による厳戒態勢がしかれており、物々しい雰囲気が漂っている。
当然、彼も知っていたはずで、知らないような素振りを見せたのは要するに涼宮さんに対するささやかな抵抗だったわけだ。

7 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 00:21:48.32 ID:Hs0vtnk20

キョン「で、その犯人を一介の高校生である俺たちが捕まえるってのか?馬鹿馬鹿しい」
ハルヒ「何言ってるのよ!あたし達のすぐ近くで凶悪な殺人事件が起きているのよ!それを黙って見てろっての!?」
キョン「黙って見てるも何も、そんなのは警察の仕事だろうが……」
ハルヒ「甘いわね、キョン!我々SOS団は世界を大いに盛り上げるために存在してるのよ!それは即ち、世界平和のために
    存在してると言っても過言じゃないってことなのよ!」

いや、過言だし意味がわからん……と言う彼をよそに、涼宮さんは再び「名探偵」の腕章を付け、やる気満々だ。
やれやれ、ぼくも少し気が滅入ってきそうだ。

8 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 00:23:07.44 ID:Hs0vtnk20

みくる「でも、どうやって犯人を探し出すつもりなんですか?」
ハルヒ「だから、今度の休日の不思議探索は犯人の手がかりを捜す大捜査に変更するのよ!
    きっとこの町のどこかに、犯人を特定できる何かがあるはずよ!警察よりも先に見つけ出すのよ!」

いつものようにむちゃくちゃなことを言ってますが、まあ彼女への突っ込みは彼に任すとして……
こちらはこちらで、涼宮さんの退屈しのぎの為のお膳立てをしなければならない。
この事件への興味がいつまでも涼宮さんの中で持続する保障などないし、いずれはいっこうに事件の真相に迫れない苛立ちで
閉鎖空間が発生させてしてしまうだろう。
ならば、涼宮さん自身に事件の真相を掴んでもらい、解決に導くという手順を踏んでもらうしかない。

10 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 00:24:33.49 ID:Hs0vtnk20

キョン「おい、古泉」

翌日の昼休み、部室へ行くと彼が待ち構えていた。
まあ、なんとなく用件は想像がつく。

古泉「なんでしょうか?」

キョン「今回も機関の仕業か?」

いきなり核心をついてくる。
彼に対しては遠まわしに説明して反応を見るのが好きなのだが、有無を言わせぬ迫力にぼくは即座に結論を言う。

12 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 00:27:19.09 ID:Hs0vtnk20

古泉「半分正解……ってところですかね」

キョン「半分正解?どういうことだ」

古泉「つまりあなたはこう言いたいのでしょう?今回の殺人事件も、涼宮さんを楽しませるための余興……つまり、いつぞやの
   孤島や雪山で我々機関が行ったような寸劇であると」

13 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 00:28:57.04 ID:Hs0vtnk20

キョン「……そうだ。そもそもこんなに都合よく身近で殺人事件なんぞ起こってたまるか。
    それもハルヒが興味を持つような連続殺人がだ。
    ニュースを見ても手がかりなし、殺された人間の身元も死体の顔が潰されていたことによって不明。
    こんな猟奇殺人にハルヒが興味を持つのは必至だ。
    これもお前たちの組織が大掛かりに仕組んだ架空の殺人事件なんじゃないのか」

14 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 00:30:56.47 ID:Hs0vtnk20

古泉「なるほど、あなたが疑うのはもっともです。しかし、先ほども申し上げた通り、それは半分正解です」

キョン「だから、半分正解とはどういうことなんだ」

古泉「我々機関が、この殺人事件を暇つぶしの小道具として使う方針という点では、あなたの考え通りです。
   彼女は連続殺人がテレビで報道されてから、まったく閉鎖空間を発生させていません。
   我々はすぐに彼女が事件に興味を持ったと確信し、既に事件に関する情報を収集中です」

15 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 00:32:25.22 ID:Hs0vtnk20

キョン「なんだ、つまり……」

古泉「ええ、今回は我々が催した殺人劇ではないということです。というわけで、涼宮さんに事件を解決していただくためにも、
   事件の真相をいち早く暴く必要があります。この事件の犯人が、単なる通り魔だとしても、涼宮さんに興味を持たれてしまった以上、
   涼宮さんの手によって犯人には捕まってもらいます」

キョン「おいおい、そんなことができるのかよ」

古泉「それはわかりませんが、尽力はいたしますよ。もちろん、涼宮さんの身の安全が第一ですがね。
   犯人を突き止めたことで彼女が殺されでもしたら、それこそ世界の終わりです」

16 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 00:33:59.58 ID:Hs0vtnk20

ぼくの話が気に入らなかったのか、彼は顔をしかめる。

キョン「あんまり殺されるとかそういうことを言うなよ。それに、実際に被害者が出ている事件を暇つぶしの道具にするだなんて、
    気分が悪い。ハルヒもハルヒだぜ。まったく、不謹慎すぎる」

彼の言うことはもっともだ。
これは実際に起こっている殺人事件。
それを利用してゲームをしようとしているのだ、普通の人間なら、不快感を持つのが当然だ。

18 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 00:36:57.56 ID:Hs0vtnk20

しかし……、ぼくは……。

古泉「あなたは、この事件の真相を知りたいとは思わないのですか?」

キョン「思わない。そりゃあ、犯人は捕まって欲しい。自分に被害が及ばないとは言い切れんしな。
    被害者やその遺族だって浮かばれない。
    だが、ハルヒのように率先して犯人を突き止めようとは断じて思わん」

19 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 00:38:48.80 ID:Hs0vtnk20

思った通り、彼は事件についてはあまり関心がないような素振りを見せる。
実際犯人を突き止めようなどとは思っていないだろう。
しかし、気にはなっているはずだ。
――何故なら、彼はこの事件が、涼宮ハルヒの能力によって引き起こされたという可能性を疑っている。
疑いつつも、その考えを否定し続けているのだろう。
涼宮ハルヒは本気で人の死を望むような人間ではないと。
それに関してはぼくも同じ気持ちだった。
この事件が起きるまでは。

20 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 00:40:06.02 ID:Hs0vtnk20

ハルヒ「いよいよこの日がやってきたわね!」
いよいよ休日恒例の不思議探索、もとい殺人事件の捜査が始まった。
まあ、その前に、いつもの如く最後に集合場所へとやってきた彼が、罰金という形で皆に食事を奢るはめになったわけだが。
ハルヒ「とにかく怪しい人間や物を見つけたらすぐに携帯で知らせること!いいわね!」
いつものようにクジでグループ分けをした結果、涼宮さんと朝比奈さんと彼が同じグループ、ぼくと長門さんが同じグループになった。

21 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 00:41:02.84 ID:Hs0vtnk20

古泉「わかりました。それでは長門さん、行きましょうか」

長門「…………」

ぼくと長門さんは、とりあえず図書館へと向かった。
どうせ捜査といってもいつもと変わらず、ただその辺りをブラブラするだけ。
それならば、長門さんが行きたい場所へ行ったほうが有意義というものだ。

25 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 00:43:07.92 ID:Hs0vtnk20

長門「古泉一樹」
図書館へ向かう道すがら、珍しいことに長門さんから話かけてきた。

古泉「なんでしょうか?」

長門「事件に関する見解を聞きたい」

事件といえば、もちろんぼくたちが捜査している(つもり)の連続殺人についてだろうが、
長門さんからそういう話をふってくるとは。

26 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 00:44:27.30 ID:Hs0vtnk20

古泉「僕自身の見解で構わないのでしょうか」

ぼくがそう言うと、長門さんはしばらく黙る。
そして、

長門「できれば、あなたの組織の見解についても聞きたい」

その一言で、ぼくはすべてを察知した。
長門さんは、この事件の真相を知らない、いや、知ることが出来ない。
単なる通り魔の犯行であるならば、長門さん――情報統合思念体が真相を知ることなど造作もないはずだ。
だとすれば……

27 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 00:45:50.54 ID:Hs0vtnk20

古泉「事件に関して、組織では、涼宮ハルヒの能力によるものと見ています」

長門「同意する。事件の真相はわたしにも把握できない。情報統合思念体でも不可能。
   よって涼宮ハルヒの能力によって発生した事件である可能性が高い」

28 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 00:46:58.74 ID:Hs0vtnk20

これで確信できた。
連続殺人の黒幕は、涼宮ハルヒ。
やはり彼女の「殺人事件が身近に起きて欲しい」という願いが具現化した結果が今回の事件だ。
しかし、そうは言っても彼女は探偵として事件を解決したいのだ。
となれば、彼女自身がでっちあげた犯人は、必ず存在するはず。
その人物を探し当てれば、事件は解決、万事OK。
ただし、何度も言うように涼宮さん自身が犯人を見つけるというのが絶対条件だが。
はは、それならわざわざ機関が全力をあげて捜査する意味がなかったかな。

29 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 00:50:14.31 ID:Hs0vtnk20

古泉「道理で、機関の捜査網にもひっかからないはずです。
   ということは、八百長なしで涼宮さんの推理力、捜査力に頼るしかないということですか」

長門「あくまでこれは涼宮ハルヒが『連続殺人の犯人を捕まえる』ことを主眼としたゲーム。
    当然、犯人の手がかりは残されているはず」

なるほど。しかし、それはあくまで涼宮さんが見つけるという形でしか発見されないだろう。
また警察が有力な情報を入手できないように、このゲームはバランスが取られているはず。
プレイヤーである我々SOS団以外に、事件の真相に迫れる存在はいないのだ。
と、そうこうしているうちに、いつの間にか図書館の前まできていた。

31 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 00:52:49.45 ID:Hs0vtnk20

長門「ここからは別行動」

古泉「え?何故です?」

長門「…………」

長門さんは無言で、そのまま図書館へと入っていった。
やれやれ、嫌われたものだ。
別行動と言われた以上、のこのこと付いていくわけにもいかない。
ぼくは適当にその辺りをぶらぶらすることにした。

32 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 00:54:18.01 ID:Hs0vtnk20

事件について整理しよう。
被害者は十二名。
いずれも女性で、殺害方法に統一性はなし(中にはバラバラ死体や、性別の判断が困難なまでに焼かれた死体まであった)。
ただし、比較的損傷の少ない死体は、すべて顔面が潰されており、身元確認はほぼ不可能。
性的な暴行の痕跡があるものも一つあることから、少なくとも犯人は男であると言えよう。
これらが、主にニュースなどで報じられている事件の概要。
機関による捜査によれば、さらに妙なことに、被害者に該当し得る行方不明者も存在しないということが判明している……。

33 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 00:56:51.77 ID:Hs0vtnk20

(これは、涼宮ハルヒの良心による処置の可能性がある。つまり、被害者は初めから存在しない。
 死体は、涼宮ハルヒの能力によって生み出された小道具に過ぎない……この考え方であれば、犯人ですら実在しない可能性も……)

34 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 00:57:49.59 ID:Hs0vtnk20

いや、いや、そうではない。
あくまで涼宮ハルヒは架空の殺人事件ではなく、本物の殺人事件を体験したいはずなのだ。
でなければ、いくらなんでも、事件発生にまで至らないだろう。
そんなことをせずとも、機関主催のミステリゲームが恒例行事として行われるのだから。
これはあくまで仮説のひとつとして、犯人も被害者も現実に存在していると考えるべきだ。

35 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 00:59:23.96 ID:Hs0vtnk20

ハルヒ「ああ!!もう!!見つからないわねぇ!!」
捜査終了。
結局、今日は収穫なしだったらしい。
しかし、涼宮さんの作り出した事件ならば、なんらかの手がかりを得るのは時間の問題だろう。
ぼくとしては、涼宮さんの仕業であると確信できただけでも大収穫といえるが。
ハルヒ「そこら中に警官がいて、隅々まで捜査できなかったし!なんなのよ、もう!」
キョン「しかたないだろうが。警察はそれが仕事なんだ。
    休日とはいえ、殺人鬼が潜んでいるかもしれない街中を警備してくださっている。
    感謝こそすれ、鬱陶しがることないだろ」
ハルヒ「うるさいわね、バカキョン!!今日は解散!!」
彼女による解散宣言がなされた以上、一旦解散しなければならない。
あくまで『一旦』だが。

36 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 01:01:05.07 ID:Hs0vtnk20

キョン「まったく、なんなんだ、古泉」
みくる「大事な話って……やっぱり涼宮さんには聞かれちゃいけないことですよね……」
長門「…………」

古泉「ええ、少し、今回我々が置かれている状況を整理してみようと思いまして」

ぼくは掻い摘んで説明した。
涼宮ハルヒの願望が事件を引き起こした原因であることを。
ただし、被害者も犯人も実は存在しない……という例の仮説を添えてだ
(そうしなければ、また彼に文句を言われるだろうし)。

37 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 01:02:20.67 ID:Hs0vtnk20

キョン「そうか……長門があの時メールで知らせてくれたのはそういうことだったのか」

メール?
……ふむ、長門さんはぼくと話し終わった後、図書館で彼にメールしていたのか。
別行動を提案したのは、メールを打つ姿をぼくに見られたくなかったからだろうか。
案外可愛いところがあるなぁ。

38 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 01:05:02.13 ID:Hs0vtnk20

みくる「と、ということは、誰も死んでないんですね!よかったぁ……」

朝比奈さんは、素直に被害者が存在しないという点について喜んでいる。
無邪気なものだ。

長門「…………」

長門さんはいつもの無表情だが、おそらくぼくと同様に、被害者が存在しなかったなどとは思っていないだろう。
しかし、ここでそれを言ってしまうほど、彼女も空気が読めないわけではない。

39 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 01:07:50.01 ID:Hs0vtnk20

キョン「実際に人が死んでないとは言っても、嫌な感じだ。ニュースにまでなって、とんだ迷惑だぜ」

古泉「これが涼宮さんの望んだシチュエーションである以上、彼女が飽きるか、
   満足のいく結果が得られるまで殺人は起き続けるでしょうね」

キョン「……そろそろ本題に入ったらどうなんだ。
    そんなことを言うためにハルヒ抜きで集まったわけではないだろ」

古泉「お見通しでしたか。そうですね、朝比奈さん、あなたに聞きたいことがあるのですか」

みくる「ふぇ?あたしにですか?」

古泉「はい、さきほども話したとおり、涼宮さんのあずかり知らぬところで犯人にたどり着くことは不可能なのです。
   機関は事件の情報をろくに集めることが出来ず、長門さんも事件の全貌が見えないと言っています。
   朝比奈さんにも、何かしらの制限がかけられているのではないですか?」

たとえば、この事件の結末がどうなるか、未来人である朝比奈さんには知る手段がある。
未来の仲間……たとえば朝比奈さん(大)から情報を得ることもできるだろう。
まあ、あの朝比奈さん(大)がそう易々と教えてくれるわけがないが。

40 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 01:08:41.41 ID:Hs0vtnk20

古泉「どうなんですか?」

みくる「えっと、ちょっと待ってください……え?」

古泉「どうしたんですか?」

朝比奈さんの顔から血の気が引いていく。
みくる「嘘……、連絡が……つかない……」
キョン「あ、朝比奈さん!?連絡がつかないって、未来と通信ができないってことですか?」

予想通り。
どうやらこの事件、一筋縄ではいかないようだ。

41 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 01:10:00.50 ID:Hs0vtnk20

みくる「ふぇぇぇぇん……、どうしようどうしよう。このままじゃあたし……あたし……」

泣いている朝比奈さんと、必死で慰めている彼。
ぼくも何か声をかけるべきかと迷っていると、長門さんに話しかけられた。

42 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 01:14:42.94 ID:Hs0vtnk20

長門「あなたは、何がしたい」

長門さん?

長門「あなたの目的と、事件の関連について訊ねている」

目的?何を言ってるんだ。

古泉「おっしゃる意味がよくわかりませんが。僕はこれまでと同じように、閉鎖空間が発生しないように……涼宮さんの力で
   世界が崩壊しないように尽力するのみです。それ以外に目的などありませんよ」

長門「そう……」

意味不明なことを言って、あっさり引き下がる。
一体何なんだ。

43 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 01:15:38.05 ID:Hs0vtnk20

長門「さっきの質問は忘れたほうがいい。他に、古泉一樹には言わなければならないことがある」

今度はなんだ。

長門「朝比奈みくるが未来との通信手段を失ったのと同様に、わたしも情報統合思念体とリンクできなくなった」

古泉「そ、それは本当なんですか?」

44 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 01:17:23.86 ID:Hs0vtnk20

これは予想外だ。
朝比奈みくるは未来人であるという特性上、能力のほとんどが封じられると考えていたが、まさか長門有希にまで……。
となると、ぼくの能力にも制限がかけられているのかもしれない(元々制限つきの能力ではあるが……)。
そういえば、最近閉鎖空間が発生していない。
いや、正確には、発生していることに気づかないだけだとしたら?

46 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 01:19:45.34 ID:Hs0vtnk20

古泉「僕の超能力も、封じられている可能性があると?」

長門「それは断言できない」

長門さんは、もう用は済んだとばかりに朝比奈さんのほうへと向かっていく。
朝比奈さんを見ると、だいぶ落ち着いたようで、目を真っ赤にしながらも気丈に振舞っている。

47 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 01:20:40.02 ID:Hs0vtnk20

古泉「今回はいつにも増して大変なことになりそうだ……」

ぼくは呟く。
そして、それは最悪な形で現実のものとなった。
翌日、涼宮ハルヒが物言わぬ死体として発見されたのだ。

50 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 01:25:34.66 ID:Hs0vtnk20

涼宮ハルヒを世界の創造主と考えていた機関にとって、彼女の死は、世界の死を意味していた。
しかし、現実はそうではなかった。
涼宮ハルヒが死んでも、世界は終わらない。
まるで今までの不可思議な現象が嘘のように、彼女はただの人間として死を迎えたのだ。

51 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 01:26:48.12 ID:Hs0vtnk20

キョン「くそ……何でこんなことに……」
みくる「ぐすっ……ぐすっ……涼宮さん……」
長門「…………」

放課後の部室。
皆が皆、悲しみにくれている。
なんだかんだ言っても、みんな涼宮さんのことが好きだったのだ。

キョン「おい!!古泉!!」

いきなり怒号を飛ばす彼は、ぼくの胸倉をいきなり掴みかかってきた。

キョン「これはどういうことだ!!どういうことなんだよ!?」

涙を滲ませている彼。
涼宮さんが彼に好意を抱いているのと同様に、彼が涼宮さんに好意を抱いていたのは知っていたが……。

52 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 01:27:52.75 ID:Hs0vtnk20

キョン「おい!!なんとか言えよ!!ハルヒが死んだんだぞ!!この殺人事件は、ハルヒが生み出したんだろ!!
    だったらなんで、あいつ自身が死ぬ必要があるんだ!!」

彼は取り乱している。
今にもぼくを殴り飛ばすような勢いだ。
今の彼に何を言っても無駄かもしれないが、とりあえずぼくの見解を述べることにした。

53 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 01:29:40.28 ID:Hs0vtnk20

古泉「今回、涼宮さんが亡くなったことは非常に残念ではありますが……これが涼宮さんの願いであるとすれば……」

キョン「!!」

彼は、そのままぼくを壁に打ち付ける。

キョン「ハルヒが……ハルヒが死を願ったから、殺されたとでもいうのか!!」

古泉「そうとしか……考えられません。一連の殺人事件は、彼女が殺人鬼に殺されるための下準備……。
   心の底で死を願っていた彼女は、しかし自殺する勇気はなかった。そこで、事件に巻き込まれる形の死が……」

キョン「うるさい!!!!!!!!!!!」

55 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 01:30:35.93 ID:Hs0vtnk20

彼はぼくを殴る。
抵抗する気は初めからない。
彼女を失って誰より悲しいのは、彼なのだから……。

56 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 01:31:09.66 ID:Hs0vtnk20

みくる「や、やめて!!キョンくん!!」

朝比奈さんが必死に止め、ぼくは解放される。
口の中がずたずただ。
血が出ている。

キョン「……くそお!!!」

彼はそのまま泣き崩れる。
気持ちはわかる。
しかし、ぼくは泣けない。
泣きたくても、泣けない。
ぼくがこんなに薄情な人間だったなんて。

57 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 01:31:49.34 ID:Hs0vtnk20

長門「あなたは、悲しくない?」

ぼくの気持ちを見透かしたように、長門さんが、ぼくに問う。

古泉「悲しいはず……なんですが、どうしてか……」

長門「泣くことができない?」

コクリ、と頷く。
やれやれ、いつもの長門さんみたいな頷き方だ。

58 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 01:33:09.89 ID:Hs0vtnk20

葬式は無事終了した。
葬式によって、ぼくはようやく涼宮さんが死んだのだということを実感する。
同時に、普通の生活に戻れるのだという安堵感さえ抱いてしまう。
涼宮さんが死んだことで、機関は解体された。
超能力を失っていたこともわかった。やはり事件が発生した頃からぼくたちは普通の人間に戻っていたのだろう。
長門さんや朝比奈さんも同様だ。
情報統合思念体と完全に切り離されてしまった長門さん、TPDDを再び失ってこの時間平面上に取り残された朝比奈さん。
二人は互いを慰めあうように、一緒に生活しているらしい。
朝比奈さんは長門さんに苦手意識を持っていたようだが、このような事態になっては瑣末なことだ。

59 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 01:33:56.58 ID:Hs0vtnk20

彼は……涼宮さんの仇を討つかの如く、犯人探しに精を出しているらしい。
噂によれば、鶴屋家の力まで借りて。
だが、ぼくが唱えた「涼宮自殺説」が正しいのだとすれば、それはまったくの徒労であるといわざるをえない。
被害者は、涼宮ハルヒだけ。
犯人は、あえていうならば涼宮ハルヒの自殺願望であろう。

60 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 01:35:50.95 ID:Hs0vtnk20

自殺願望……そう自殺願望だ。
彼女は、自ら命を絶ったも同然なのだ。
彼女の死は彼女が望んだものであり、横からごちゃごちゃ言うべきことでないのだ。
そうだ、悲しむことすら馬鹿馬鹿しい。
残された者を省みず、自殺した女のために涙を流す必要などない。
だからぼくは泣かなかった。
薄情だからではない。

66 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 01:43:03.30 ID:Hs0vtnk20

涼宮さんの死から数ヶ月が経過した。
その間、警察による事情聴取があったり、機関の解体に伴う雑務などで慌しい毎日だった。
彼が相変わらず鶴屋さんとつるんで犯人の調査を続けているのを横目に、ぼくは転校の準備を進めていた。
涼宮さんがいないのならば、もはやこの学校に用はない。
別にこのまま在校してもよかったが、何故か早くこの町から離れなければならないような気がした。
SOS団も解散した今、長門さんたちに別れを言う必要もないと思い、黙って去るつもりであった。
しかし、どこからか転校の話を聞きつけた鶴屋さんによって、急遽お別れ会が行われることになってしまった。

67 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 01:44:19.92 ID:Hs0vtnk20

鶴屋「水臭いじゃないの、一樹くん!!転校するなら、なんで言ってくれないのさっ!!」

相変わらず喧しい人だ。
あんたみたいな人と早く別れたかったからだと言ってやりたかったが、ぐっと我慢する。

古泉「いやぁ、別れをするのが辛くて……」

鶴屋「黙ってどこかへ行かれるほうがもっと辛いよ!!とにかく、部室でお別れパーティーするからっ!!」

やれやれ、どうやら行かなければならないらしいな。
ぼくは早くここから立ち去りたい衝動を抑えて、文芸部の部室へと向かうことにした。

69 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 01:47:46.86 ID:Hs0vtnk20

キョン「来たな、古泉」

部室へ入ってすぐ目に入ったのは、冷ややかな視線をこちらへ向ける彼。
そして、彼の横には朝比奈さんや長門さんもいる。
鶴屋さんは見当たらない。

古泉「わざわざ僕のためにパーティーをしてくださるそうで。ありがとうございます」

キョン「ああ、最後だからな」

キョン「なあ、古泉」

嫌な予感がする。
早く早く、一秒でも早く、ここから逃げたい。

71 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 01:48:37.94 ID:Hs0vtnk20

古泉「なんでしょうか?」

呑気に受け答えしてる場合じゃないだろ、古泉一樹!!

キョン「聞きたいことがあるんだ」

古泉「僕に答えられることであれば、なんなりと」

75 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 01:52:53.74 ID:Hs0vtnk20

キョン「あの連続殺人事件……結局どうなったか知ってるか?」

古泉「……あまり思い出したくありませんが、涼宮さんが被害に遭われて以降、事件は起こってないとか」

キョン「ああ、そうだ」

キョン「だから、この殺人事件は、もしかしたら、ハルヒを殺すことが目的じゃないかって、俺は思っている」

古泉「ま、まさか。何のために、そんな」

キョン「俺もわからん。だから教えてくれ」


キョン「なんで、ハルヒを殺した?」

76 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 01:55:27.74 ID:Hs0vtnk20

―キョンサイド

俺は、古泉が言っていたように、ハルヒが連続殺人を発生させているとはどうしても思えなかった。
ハルヒを観察するプロである古泉が言うのだから、信じようとはした。
しかし、わざわざ存在しないはずの犯人や被害者をでっち上げてまで、
殺人事件が起こって欲しいとハルヒが願うだろうか……。
入学当初のハルヒならばどうだったか知らんが、少なくとも今のハルヒは違う。
以前に比べて、ハルヒは普通の楽しみ方というものを知った。
少なくとも、俺の目にはそう見えた。

79 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 01:56:58.76 ID:Hs0vtnk20

そりゃあ、たまにトンデモ現象を引き起こして、俺たちSOS団を困惑させるのが涼宮ハルヒという女だ。
しかし、いくら探偵になりたいからといって、殺人などという劣悪な行為を望むとは考えられなかった。
自殺などもってのほかだ。
あいつは自分が心の底から楽しめるまで、どんな憂鬱からも立ち直る人間なんだ。
SOS団の仲間を置き去りにすることもしないだろう。
そんなのはハルヒではない。
ハルヒの姿をした別の何かだ。

81 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 01:58:45.26 ID:Hs0vtnk20

キョン「あの死体は、本当に俺たちが知っているハルヒなのか?
    それが俺の着目した点だった。今まで発見された死体には、身元確認が不可能なほどの損傷が見られたのに、
    十三人目の被害者であるハルヒの死体は、綺麗なままだった。
    葬式のとき、棺桶に入っていたハルヒの顔は、ただ眠っているだけのように見えたぜ。
    そして、もうひとつ着目した点。それは死因だ。
    死因について、誰も触れない。不自然だ。俺も、朝比奈さんも、長門も、古泉も、ハルヒの家族さえ
    『涼宮ハルヒが死んだ』という事実のみを受け入れて、死因などの詳しい状況を知ろうともしなかった……」

83 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 01:59:53.14 ID:Hs0vtnk20

キョン「不自然な状況であっても、周りに違和感なく認識させる能力……お前は心当たりがないか?」


涼宮ハルヒの能力……長門さんの情報操作……。

84 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 02:00:48.99 ID:Hs0vtnk20

キョン「この一連の事件は……ハルヒの能力で生み出されたものではないと思う。
    その証拠に朝比奈さんのTPDDは再び消失、長門も情報統合思念体から切り離され、お前も能力を失った」

古泉「それが……涼宮さんの仕業ではないという証拠というのは?」

キョン「わからないか?ハルヒが宇宙人、未来人、超能力者を願った結果、お前たちがSOS団に入ったんだ。
    お前たちが能力を失うという結果をもたらすには、
    宇宙人、未来人、超能力者などいらないとハルヒが強く願う必要があるんだよ。
    あのハルヒが、それを望むとは到底思えない」

85 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 02:01:27.02 ID:Hs0vtnk20

キョン「だから、俺はハルヒの能力が別の人間へと移ったのではないかと考えた」

86 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 02:01:51.73 ID:Hs0vtnk20

そう考えれば、ハルヒが死んだのに世界に異変が訪れないこともとりあえずは筋が通る。
そして、ハルヒの能力を新たに手に入れた者こそが……連続殺人を発生させ、ハルヒすら殺した殺人犯だ。

89 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 02:05:02.42 ID:Hs0vtnk20

古泉「なるほど、お見事です。涼宮さんの能力が移動するという考え……
   機関でも可能性のひとつとして提示されたことはありましたが、
   まさかあなたの口から聞けるとは。僕も驚きましたよ。
   しかし、あなたの考えではその能力の現保有者が犯人ということになりますね。
   何故僕が能力を持っているのだと思うのですか?」


キョン「お前がハルヒの能力を持っている証拠はない」

キョン「でも、お前は」

キョン「殺人のほうで決定的な証拠を残したんだよ」

90 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 02:06:11.66 ID:Hs0vtnk20

古泉「ははあ、どんな証拠ですか?」

古泉は本当に心当たりがないかのように振舞っている。
もしかしたら、こいつは犯人じゃないのか?という淡い期待を抱きそうになるが、それはありえない。
なぜなら……

キョン「今までの殺人事件の被害者の死体の一つから、お前の精液が検出された」


古泉「……は?」

92 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 02:08:04.47 ID:Hs0vtnk20

古泉「な、何を言って……」

キョン「しらばっくれてもダメだ。鶴屋さんの協力で、警察への根回しは済んでるんだ。
    ちょっとお前の髪の毛を失敬して、DNAの照合もしてもらった。
    ハルヒの死体に残されてた精液は、間違いなくお前のだよ」

古泉「ハッタリです!わざわざそんな証拠を残すなんて考えられない!
   それに、そこまで分かっていて警察が動かないということもありえないじゃないですか!」

みくる「古泉君、言いたいことはそれだけですか?」

古泉「あ、朝比奈さん!?」

みくる「あなたのさっきの言葉で、あたしたちはあなたを犯人と断定します」

98 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 02:11:43.64 ID:Hs0vtnk20

―古泉サイド

僕はミスを犯した。
それは彼が言った『ハルヒの死体』に対してまったく疑問を抱かなかったことだ。
彼は最初に『今までの殺人事件の被害者』から精液が検出されたと言ったが、
先ほどは『ハルヒの死体』と言った。
それは普通なら数ヶ月前に殺された涼宮ハルヒのことを思い浮かべるはずだ。
だが、僕は『ハルヒの死体』と『今までの殺人事件の被害者』を区別してないかのような発言をしてしまった。
つまり……

100 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 02:13:48.88 ID:Hs0vtnk20

みくる「あなたは、数ヶ月前、最後に殺された涼宮さん以前の被害者たちも《涼宮さんの死体》であるということを知っていたんです」

今までの被害者たち十二人も、かつて涼宮ハルヒであった者たちだということだ。

105 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 02:15:54.50 ID:Hs0vtnk20

古泉一樹は疲れ果てていた。
涼宮ハルヒが発生させる閉鎖空間内で神人を狩る日々に。
SOS団は確かに楽しいが、それ以上に戦いは苦しい。
実際、ハルヒさえいなければと思うこともしばしばあった。

109 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 02:18:42.18 ID:Hs0vtnk20

そんなある日、古泉の抱えていたストレスはふとしたきっかけで爆発してしまった。
きっかけは、部室でハルヒと二人っきりになったことだ。
長門有希や朝比奈みくる、それにキョンはいっこうに来る気配がなかった。
古泉は、さりげなく部屋の鍵を閉める。
ハルヒはまったく警戒していなかった。
「キョンたち遅いわねー」とパソコンに向かいながら言っているハルヒの後ろに回りこむ。
ハルヒが振り向いたとき、そこには情欲にまみれた男の顔があった……。

112 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 02:21:52.22 ID:Hs0vtnk20

ハルヒを犯した後、古泉は正気に戻った。
しかし、後悔しても遅い。
犯されたハルヒは、今すぐにでも世界を崩壊させるかもしれなかった。

114 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 02:22:40.46 ID:Hs0vtnk20

ハルヒ「ぐすっ……古泉……くん……なんで、なんで……」
古泉「すみません……その……僕涼宮さんのことが好きだったもので……」

苦しい言い訳だった。
実際はただ苛立ちと性欲の赴くまま彼女を襲ったのだ。
今更そんなことを言って、許されるわけもない。
古泉一人がこの世から消えるだけなら、まだ僥倖ともいえる最悪の状況。
しかし……

115 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 02:23:33.20 ID:Hs0vtnk20

ハルヒ「責任……取ってくれるの?」
古泉「え?」
ハルヒ「あたし……初めてだったし……グスッ……痛くて……血も出たけど……」


ハルヒ「古泉君のこと……嫌いじゃないし……その……」

117 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 02:25:47.74 ID:Hs0vtnk20

なんだ、これは。
誰だ、これは。
こんなのはハルヒじゃない。
なぜなら、ハルヒはキョンのことが好きで、でも素直になれなくて、それでついワガママを言ってしまったりして、
嫉妬もしたりして、それで……。
違う違う違うちがうちがう違うちがうチガウ違うチガウちがうちがう。

古泉「お前は、誰だ……」

ハルヒ「え……」

古泉「お前はぼくの知っている涼宮ハルヒじゃない!!!!!!!!!」

世界が、光を帯びていく。

そして、世界は、壊れた。

118 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 02:26:26.96 ID:Hs0vtnk20

壊れた世界が再生したとき、僕はいつもの部室にいた。
文芸部を乗っ取って手に入れたSOS団の活動拠点。
そこは何も変わっていないように見えた。
しかし、明らかに変わっている。
僕の足元には、物言わぬ涼宮さんの死体があった。

120 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 02:28:09.52 ID:Hs0vtnk20

とっさに、僕は死体をロッカーに隠す。
一体何がどうなっている?
確かに一度目の前が真っ白になり、世界は崩壊したように感じた。
しかし、また世界は再生され、僕はちゃんと肉体を持ってここに存在している。
だが、何故涼宮ハルヒは死んでいるのか?
思案にふけていると、部室の扉が勢いよく開かれた。

122 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 02:29:18.59 ID:Hs0vtnk20

ハルヒ「あれ?古泉君一人?」


古泉「す、涼宮さん!?」
ハルヒ「何よ、人を幽霊みたいに!それよりまだ誰も来てないの?」
古泉「え、ええ、僕一人です」

123 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 02:30:08.50 ID:Hs0vtnk20

わけがわからない。
今ここに涼宮さんがいるということは、ロッカーの中に隠した涼宮さんの死体は何なんだ!?

ハルヒ「ああ、もう、せっかく面白いこと考え付いたのに……まあいいわ。みんなが揃うまでネットでもしてましょ」

涼宮さんはパソコンを立ち上げ、ネットサーフィンを始めた。

僕は強いデジャビュを感じる。

127 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 02:31:09.36 ID:Hs0vtnk20

いや、まさか。
そんなことがあるはずがない。
僕は必死に自分の中に生まれた考えを取り除こうとする。
しかし、その考えはとても魅力的で、僕の下卑た感情を昂ぶらせる。

古泉「涼宮さん」
ハルヒ「何よ、古泉君。今忙しいんだけど」
古泉「死んでください」

131 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 02:33:09.64 ID:Hs0vtnk20

涼宮さんはほとんど抵抗できずに逝った。
拳はズキズキと痛いが、人を殴り殺すというのは今までに感じたことのない興奮を僕に与えてくれた。

古泉「さて」

僕はロッカーに隠していたもう一つの死体を取り出す。
僕が殴り殺した涼宮ハルヒの死体と違い、こちらは綺麗なままだった。
だが、股には破瓜の証である血が固まっている。この死体は僕が犯した涼宮ハルヒのものだ。

古泉「よし」

僕は、部室の中にあるあらゆるものを使って二つの死体を徹底的に破壊した。
顔は念入りに、ついでに服も脱がせて性別がわからぬほど破壊、破壊、破壊。
そして僕は願う。
新しい世界を。

133 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 02:35:03.96 ID:Hs0vtnk20

―???サイド

古泉一樹は涼宮ハルヒと交わったことにより、その能力を奪い取った。
そして、世界の破壊と再生、涼宮ハルヒの死を望んだ。
それらはすべて実現した。
ただ一つの誤算は、旧世界の涼宮ハルヒの死体が新世界にも現れてしまったこと(しかも死体の損傷などもそのまま)。
その結果、新世界に存在する涼宮ハルヒと、旧世界に存在していた涼宮ハルヒ(死体)が同時に存在してしまったのだ。
まあ、一方は死体であるので、隠し通すことさえできればさほど問題にはならない。
古泉は、心底喜んだ。

136 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 02:38:00.04 ID:Hs0vtnk20

神の力を手に入れた古泉は、もはや普通ではなかった。
どんな凶行に及んでも世界をリセットすれば、すべてなかったことにできる。
古泉はその後涼宮ハルヒを殺害しては、世界を破壊、再生していくということを繰り返した。

140 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 02:41:03.01 ID:Hs0vtnk20

そして、古泉は新しい遊びを試すことにした。
溜まった死体を、連続殺人の小道具にして、探偵ごっこをするのだ。
涼宮ハルヒは喜び勇んで探偵を気取る。
そこへ犯人である古泉が探偵気取りのハルヒを殺す。
古泉にはそれがとても魅力的な殺し方に思えた。
これまで色々な殺し方を試したが、最初に殺したときのような快感は得られなかったのだ。
そこで今回は趣向を凝らし、心底楽しそうなハルヒを一転して地獄に突き落とす仕打ちをすることにした。
その結果……。

142 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 02:42:24.37 ID:Hs0vtnk20

長門「古泉一樹の行動は不可解」

キョン「何がだ」

長門「古泉一樹は世界を改変する能力を持ちながら、この世界を改変できかった。
   しなかったのでない。できなかった」

キョン「どういうことだ」

長門「わたしは、古泉一樹の中にもう一つの存在を感じた」

キョン「もう一つの存在?」

長門「それが何かはわからない。古泉一樹のせいで、わたしはもう普通の人間となってしまったのだから」

キョン「そうか……」

長門「×××……」

キョン「ん?」

長門「呼んでみただけ……」

143 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 02:43:41.86 ID:Hs0vtnk20

ぼくは、逃げる。
そして、生きる。
この世界を改変せず、涼宮ハルヒが死んだ世界を、生きる。
涼宮ハルヒの死を望んだのは、ぼくだ。
すべてを思い出した。
このまま世界の破壊と再生を続けても、きっとぼくは涼宮ハルヒを殺し続ける。
だから、ぼくは逃げなければならない……。

144 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 02:44:13.84 ID:Hs0vtnk20

みくる「待ってくださいよぉ」

みくる「どこに行くんですか?」


古泉「朝比奈……さん」

みくる「勝手なことをしないでください。あなたの力が、あたしには必要なんです」

145 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 02:46:14.83 ID:Hs0vtnk20

みくる「もう、鶴屋さんの家から脱出するなんて……これもあなたの力なんですか?すごいですね」

古泉「……」

みくる「あなたが涼宮ハルヒを殺したことで、あたしの時間に繋がらなくなりました……
    でも、もうそれはいいんです。重要なのは、涼宮さんの力をあなたが持っているということなんですから」

147 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 02:47:03.40 ID:Hs0vtnk20

みくる「あなたと寝れば、あなたの力はあたしのものになるんですよね」

みくる「だから、しましょう……」

154 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 02:50:10.37 ID:Hs0vtnk20

みくる「×××くんは、あたしのもの……これで×××くんはあたしのものだよ……」

一心不乱に腰を振り続ける朝比奈みくるは、うわごとの様に誰かの名前を言っている。

古泉「誰……ですか……それは……」

みくる「…………」

朝比奈みくるは、いぶかしげにぼくを見る。

そして、

朝比奈「あなたこそ、誰なんですか?」

157 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 02:53:54.47 ID:Hs0vtnk20

ごめん、実は一応これで完結なんだ

164 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 02:56:00.20 ID:Hs0vtnk20

というより書き溜め分使い果たした

174 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 03:00:37.94 ID:Hs0vtnk20

続き書くわ

書いてる間に理解不能な箇所の補足する
文章下手でごめんね

179 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 03:04:29.72 ID:Hs0vtnk20

―キョンサイド

キョン「なあ、そろそろ言ってくれてもいいんじゃないのか?」

長門「?」

長門は首を傾げて、俺をまっすぐ見つめる。
思わず魂が吸い込まれてしまいそうな、透き通った瞳。
俺はその綺麗な瞳の奥の、どす黒いものを薄々感じている。

181 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 03:06:45.17 ID:Hs0vtnk20

長門「何を……?」

キョン「お前なんだろ?」


キョン「ハルヒを殺した真犯人は」

182 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 03:09:12.49 ID:Hs0vtnk20

長門「違う。わたしではない」

いつものように淡々と喋る長門。
しかし、どことなく動揺しているようにも見える。
俺が気づいてないとでも思っていたのか。

186 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 03:13:18.91 ID:Hs0vtnk20

伏線回収モードに入ります

189 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 03:19:30.86 ID:Hs0vtnk20

キョン「お前、いつだったか俺と朝比奈さんを放課後に呼びつけたことがあったろ」

長門「…………」

キョン「なんで、そんなことしたんだ?」

192 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 03:22:07.88 ID:Hs0vtnk20

長門「……それは……」

キョン「あの時は、確か数学か物理学かわからんが、適当な小難しい話を
    してただけだったよな。あれは以前朝比奈さん同士を引き合わせない
    ためにやった足止めの方法とそっくりだったぜ」

キョン「お前は、俺と朝比奈さんを部室へ行かせたくなくて、足止めしてたんじゃないのか?」

193 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 03:24:17.37 ID:Hs0vtnk20

キョン「あの時、部室で何が起こっていたのか……
    それは、例の暴行の跡が残っている死体がすべてを物語っているんじゃないのか?」

長門「…………」

195 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 03:25:57.92 ID:Hs0vtnk20

長門「こじつけ。根拠がない」

長門「それに、それではわたしが直接殺したわけではない」

キョン「ま、しかし共犯ではあるな。殺人幇助といってもいい」

197 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 03:29:23.28 ID:Hs0vtnk20

キョン「真相は、正直お前が口を割ってくれなければわからない。
    すべて俺の推測だ。証拠もない。ただ………」

長門が俺を見る目。
その目が怖い。
さっき、長門は俺を本名で呼んだが、それも怖かった。
長門が俺のことをどう思っているか……気づいてはいたが、気づかないふりをしてきた。

200 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 03:34:21.97 ID:Hs0vtnk20

長門「あなたは、勘違いをしている」

キョン「え?」

長門「わたしが、情報統合思念体とリンクができないと思っている。違う?」

キョン「な、何を言ってるんだ。お前がそう言って……」

気づいた。気づいてしまった。

長門「そんなの、わたしが言っただけ。あなたは朝比奈みくるの証言と併せて
    わたしの言葉を信用してしまった。わたしのことを信用していないはずなのに」

長門は哀しみの表情を浮かべる。

202 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 03:37:00.54 ID:Hs0vtnk20

長門「ついでに教える。朝比奈みくるもTPDDを失ってなどいない。
    すべては嘘。何が本当で、何が嘘か。あなたは全然見抜けていない」

キョン「そんな、まさか……」

長門「わたしは……あなたに信用されていなかった……」

長門が、ゆっくりと俺に向かって手をかざす。
ああ、俺は何てことをやっちまったんだ。

203 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 03:41:05.18 ID:Hs0vtnk20

長門「さよなら……」

俺の身体は分解を始める。
すべては長門を信じなかった俺の責任だ。
眠気が、俺を襲った。


長門「……これが、哀しい……という感情?」

208 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 03:48:37.24 ID:Hs0vtnk20

―???サイド

朝比奈さんの力は存外強い。
組み伏せられ、強引にぼくの○○○を自身の中へと誘い、一心不乱に貪っている。

みくる「ねえ、教えて下さいよ」

みくる「ん……あなたは誰なの?」

みくる「なんで、古泉君の姿をしているの?」

209 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 03:51:43.54 ID:Hs0vtnk20

『ぼく』は古泉一樹ではない……。
そんなことはよくわかっている。
何故なら『ぼく』は

213 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 03:55:44.06 ID:Hs0vtnk20

古泉「『ぼく』は涼宮ハルヒですよ」

みくる「え?」

力が緩んだ。『ぼく』は思いっきり朝比奈さんを突き飛ばす。

みくる「きゃっ!!」

朝比奈さんは尻餅をつき、『ぼく』を憎憎しげに睨み付ける。

みくる「ふざけるのもいい加減にしてください」

古泉「ふざけてませんよ。『ぼく』は涼宮ハルヒ。
    いや、正確に言えば涼宮ハルヒの能力そのものです」

214 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 03:58:53.53 ID:Hs0vtnk20

みくる「能力……そのもの……?」

古泉「そうです。『ぼくは』三年前に目覚めた、涼宮ハルヒのもう一つの人格であり、
    能力そのものです。『ぼく』が涼宮ハルヒから乖離し、この古泉一樹に乗り移った
    ことで、古泉はハルヒと同様の力を得たんです」

215 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 04:01:08.65 ID:Hs0vtnk20

みくる「そんなデタラメ……」

古泉「デタラメじゃない……その証拠に、『ぼく』涼宮ハルヒがもたらした
   不思議な現象のすべてを把握している。『ぼく』が彼女の願望を聞き入れ、
   彼女の望むままに環境をいじっているんだから」

216 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 04:03:40.62 ID:Hs0vtnk20

古泉「同時に、『ぼく』は能力のブレーキでもある。
    『ぼく』が覚醒している間は、どんなに願っても能力は発揮されない。
    古泉が世界の改変を行えないのも、そのためですよ」

219 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 04:12:47.40 ID:Hs0vtnk20

古泉「最初にこの身体に入ったとき、古泉は涼宮ハルヒがレイプされたことに関して許すことを願いました。
   その結果、彼女は古泉を許そうとした」

しかし、三年間涼宮ハルヒであったぼくには、彼女のその変化が耐えられなかった。
いくら宿主たる古泉の願いでも……、ぼく、能力のキャンセルを行った。
そこからの記憶は……ない。
おそらく涼宮ハルヒを殺し、古泉の願望をかなえ続けていたのだろう。
記憶が戻ったのは古泉がキョンたちによって追い詰めれ、鶴屋家の牢獄に入れられたときだ。
呆然自失となった古泉の意識を押しのけることで、記憶が戻ったのだろう。

221 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 04:15:49.58 ID:Hs0vtnk20

古泉「つまり、今までの連続殺人事件、犯人は『ぼく』です」

古泉「そして、『ぼく』は涼宮さんの中へと帰ります」

みくる「何……言ってるんですか?……あなたはあたしの中に入るんです!
    そして彼を振り向かせる!!」

226 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 04:26:55.27 ID:Hs0vtnk20

古泉「そんな感情……この世界をリセットすればなくなります」

みくる「なくなりません!彼を想う気持ちはいつでも」

古泉「なくなります。次にリセットすれば、『ぼく』の自我もなくなる。
   『ぼく』がいなくなれば、あなたというキャラクターも元に戻るのだから」

みくる「い、意味がわかりません」

古泉「わからなくていいよ。とにかく『ぼく』は疲れた。
    本当はぱぱっと事件解決して終わるはずだったのが、予想に反してメタ的要素も
    はらみだした」

227 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 04:28:41.98 ID:Hs0vtnk20

古泉「さよなら、朝比奈みくる」

ぼくは世界の破壊、そして再生を願う。
ぼくの手から離れた世界は、おそらくいつも通り、楽しいSOS団のいる愉快な世界だろう……




228 名前:愛のVIP戦士@全板人気トナメ開催中[] 投稿日:2008/06/13(金) 04:30:06.44 ID:Hs0vtnk20

終わりです
文句あるのはわかってる
クオリティが安定してないし
まあでも付き合ってくれた人は乙でした
寝ます
ノシ



ツイート

メニュー
トップ 作品一覧 作者一覧 掲示板 検索 リンク SS:アスカ「バカシンジ!アイス買って来なさいよ!」