長門「わーるどわいど、らぶ」


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1 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 00:43:04.90 ID:LnLNGfmN0

長門「さむたいむ、あいむしんきんぐすめーにんぐおぶらいふ」

キョン「どうした長門。歌っているのか?」

長門「どこかで、一度しか聞いたことが無い。どこかは、解らない」

キョン「ずいぶん曖昧なんだな」

長門「昨晩、眠りに付く直前、私の記憶の中から発掘された」

キョン「へぇ………………」

長門「…………………」

2 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 00:45:16.16 ID:LnLNGfmN0

長門「さむたいむ、あいむしんきんぐすめーにんぐおぶらいふ」

キョン「しかし、ずいぶん舌足らずだな、今日のお前は」

長門「舌足らずなわけではない。この歌に関する記憶が曖昧。
   記憶と音程のバランス、舌運びを修正しながら歌っていった結果が、この状態」

キョン「まだ明らかに足りないんだろうな。英語歌詞、だよな」

長門「…………おそらく」

4 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 00:46:24.51 ID:LnLNGfmN0

キョン「さむたいむ、あいむしんきんぐすめーにんぐおぶらいふ」

長門「さむたいむ、あいむしんきんぐすめーにんぐおぶらいふ」

キョン「さむたいむ、あいむしんきんぐすめーにんぐおぶらいふ」

長門「さむたいむ、あいむしんきんぐすめーにんぐおぶらいふ」

キョン「………………?」

長門「………………難解」

6 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 00:49:08.61 ID:LnLNGfmN0

キョン「息抜きしながら考えたらどうだ。ほら、コーラ」

長門「………………」ゴクゴク

キョン「さむたいむ、sometime、だよな?」

長門「………………」ゴクゴク

キョン「あいむしんきんぐ、i'm thinking? I am thinking?」

長門「………………」ゴクゴク

キョン「………………?」

長門「………………ケフッ…………」

7 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 00:50:05.37 ID:LnLNGfmN0

長門「………………」ゴクゴク

長門「………………」ゴクゴク

長門「………………」ゴクゴク

長門「………………」ゴクゴク

長門「………………?」カラッポ

長門「………………」クイクイ(キョンのすそ引っ張る)

キョン「ん、おかわりか?」

8 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 00:51:01.57 ID:LnLNGfmN0

自動販売機前

長門「………………」

10分前

キョン「ほら、これで買ってきなさい」

長門「………………」

長門「………………70円…………」

10 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 00:52:41.83 ID:LnLNGfmN0

キョン「あ、間違えた。ほら、120円。お、俺にだって間違えはあるんだよ……」





ガコン

ガコガコ

カシュッ ゴクゴク

長門「………………ケフ……」

11 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 00:54:33.74 ID:LnLNGfmN0

放課後

キョン「どうだ長門、またゲームセンター、寄ってくか?」

長門「今はあの歌の方が気がかり。個人的な理由で申し訳ないと思っているが、
   あの歌の歌詞を全て思い出す方に、今は力を注ぎたい」

キョン「そんなに大切な歌なのか?」

長門「それならば、私は忘れないはず」

キョン「だよなぁ…………」

長門「………………」

12 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 00:56:51.29 ID:LnLNGfmN0

長門「………………もし」

キョン「…………ん?」

長門「……もし、私が突然姿を消したとしても…………」

キョン「…………」

長門「あなたは…………私という固体のことを……」

キョン「なんてこと聞いているんだお前は。らしくない。そんな当たり前のことを聞くな」

長門「当たり前…………」

キョン「忘れるはずが無いだろうに。何を居ているんだ、長門」

長門「………………………………………………そう」

14 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 00:57:37.49 ID:LnLNGfmN0

          さむたいむ、あいむしんきんぐすめーにんぐおぶらいふ

17 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 00:59:50.66 ID:LnLNGfmN0

長門「明日もまた、学校。朝早く起きるために、就寝」

ガサゴソ

モゾモゾ

モフモフ

長門「……………………」


-----------------------------------------

キョン「忘れるはずが無いだろうに」

-----------------------------------------

長門「………………」

長門「………………眠れない」

21 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 01:03:11.13 ID:LnLNGfmN0

 あなたがかつて居た場所には
 今は私が座って、ただじっとあなたの帰りを待っています
 帰らないと解っていても、私はあなたの居た場所で
 ずっと、ずっとどんな長い時間でも待ち続けると
 そう自分に約束したからです

 あなたは今は別の誰かの居場所になっていて
 あなたは誰かの居る場所に自分の居場所を作っている
 私はそれを遠くで見つめながら、ずっと涙を流して待っている

 私にも、涙なんてあったのだと、最近何度も、何度も思い知らされる

 深い恐怖の中で、私はあなたの帰りを、じっと、長い間待っています。

23 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 01:05:35.90 ID:LnLNGfmN0

目が覚める
夢を見ていた。

長門「…………午前5時」

窓の外には、水彩絵の具を延ばしたかのような群青色の空

長門「…………起床する」


長門「……………………?」

長門「あん…………AND?」

長門「……………………?」

24 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 01:07:30.98 ID:LnLNGfmN0

長門「さむたいむ、あいむしんきんぐすめーにんぐおぶらいふ」

長門「あんどぁい…………」

長門「あいきゃんどぅー」

長門「あんどぁい、はぶんこしだー、わー、あいきゃんどぅー」

長門「あんどぁいはぶんこしだーわーあいきゃんどぅー」

長門「……………………」

長門「……………………」コクッ

26 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 01:09:40.57 ID:LnLNGfmN0



キョン「よっ。おはよう長門」

長門「……………………」コクッ

キョン「ほらこれ。昨日のゲームセンタで遊んだときにもらった景品。お前にやるよ」

長門「……………………ねこ?」

キョン「かわいいだろう?」

長門「……………………」

キョン「大事にしてくれよ?」

長門「……………………」コクッ

28 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 01:13:07.49 ID:LnLNGfmN0

キョンの教室

キョン「さむたいむ、あいむしんきんぐすめーにんぐおぶらいふ……」

キョン(メロディーも怪しいことながら、長門の普段は聞けないかわいらしい
    舌足らずな発音で聴いたこの言葉。この役で本当にあっているのか?)

 - sometime i am thinking meaning of life -

キョン「これ、本当にあっているんだろうな?オレのこんな発音ですらすらと……」

ハルビン「あったり前でしょ!! 私を信じなさいよ!!」

キョン「信じられないから聞いてるんだよ……」

29 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 01:15:34.09 ID:LnLNGfmN0

キョン(にしたって、こんな簡単な英語歌詞、長門が叩き出せないなんて……)

キョン「ちなみにこれ、日本語でなんて読むんだ?」

ハルビン「『私はたまに、人生の意味というものを考えている』、かしらね……」

キョン「本当か?」

ハルビン「信じられないの?」

キョン「信じられないな。お前が日本語翻訳なんて」

31 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 01:17:15.36 ID:LnLNGfmN0

キョン(人生、か。人生?)

キョン(そういえば、長門って人間じゃないんだっけ)

キョン(あいつとって、俺らの人生というものは、何なんだろうな)

キョン(対有機生命ry…………インターフェース生?)

キョン(……………………うそくせー)

33 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 01:20:38.48 ID:LnLNGfmN0

長門「…………私の、人生?」

キョン「考えたことは、あるか?」

長門「…………私は、涼宮ハルヒを……」

キョン「そうじゃなくってだな……」

長門「………………?」

キョン(自分の人生を考える、か。こいつ、
    今まで自分のたった一つの自分の使命以外に、何かここに存在する意味を考えたことはあるのか?)

長門「…………それで、あの歌詞がわかったと」

キョン「ああ、そうだった。たしか、『sometime i am thinking meaning of lifeだ』」

長門「……………………あなたの今の質問は」

キョン「ふと疑問を感じただけさ」

34 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 01:23:05.52 ID:LnLNGfmN0

長門「…………思い出したことがある」

キョン「ん?」

長門「あんどぁいはぶんこしだーわー、あいきゃんどぅー」

キョン「……………………」

長門「……………………」

キョン(長門は可愛いなぁ…………)

長門「……………………?」

35 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 01:25:38.64 ID:LnLNGfmN0

キョン「あんたと半分こしたいわ、あいきゃんどぅー?」

長門「日本語ではない」

キョン「解っている。ただ、今回もオレ、テスト散々だったしなぁ。役に立てるか……」

キョン「>>32正直、http://www.almostdeadbydawn.com/haruhi13.htmlだもんなぁ」

長門「…………?」

長門「……………………」チラッ

長門「……………………ッッ!!!!」

36 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 01:28:10.64 ID:LnLNGfmN0

キョン「…………どうしたもんか」

長門「……………………」ガクガクガク

キョン「…………どうするか」

長門「……………………」ブルブルブル

キョン「…………グスッ……」

長門「……………………」グスッ

37 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 01:31:36.45 ID:LnLNGfmN0

長門「あんどぁいはぶんこしだーわー、あいきゃんどぅー」

キョン「And i ……かな。前述の歌詞が正解なら、『そして』、とかそういう感じか」

長門「あんどぁいはぶんこしだーわー、あいきゃんどぅー」

キョン「問題はここだ。あんどぁいはぶんこしだーわー。想像も付かない」

長門「あんどぁいはぶんこしだーわー」

キョン「何か、長門が歌詞をより思い出すきっかけを……」

長門「………………」カシュッ

キョン「ん、そういえば、この歌詞って、いったいなぜ……」

長門「………………」ゴクゴク

キョン「長門、この歌詞を思い出したときの状況を思い出してくれ」

長門「………………ケフ」

38 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 01:34:36.71 ID:LnLNGfmN0

長門「…………夢を見たと思う」

キョン「夢?」

長門「…………そう……夢

キョン「どんな?」

長門「覚えていない」

キョン「何とか思い出せないのか?」

長門「私自身、何度も思い出そうとしている。けれど、思い出せない」

キョン「なぜなんだ。夢を思い出すなんて…………」

長門「………………」

キョン「………………」

長門「………………」

キョン「…………自分も昨日見た夢は覚えていないであります」

長門「………………」

キョン「き、機嫌直してくれよ…………」

長門「……………別に」

39 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 01:36:20.55 ID:LnLNGfmN0

長門「…………少しだけなら」

キョン「ほ、本当か!? もしかしたら、それがこの歌のヒントになるかも」

長門「目が覚めた後、私にあったのは、喪失感」

キョン「喪失感?」

長門「うまく言語化できない。ただ、私はそう感じた」

キョン「…………?」

40 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 01:37:51.54 ID:LnLNGfmN0

キョン「…………どうだ、気晴らしに、放課後はどこか行かないか?」

長門「…………どこへ?」

キョン「そうだなぁ…………」


古泉「安価で決めてみます。ためしに、>>43で」

41 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 01:38:04.43 ID:LnLNGfmN0

古泉「ヒトも居ないのに」

43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/21(月) 01:38:17.04 ID:SwwUwTUo0

早稲田大学

50 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 01:42:39.97 ID:LnLNGfmN0

キョン「早稲田大学に行ってみるか。あそこなら、色々と頭のいいヒトがいるだろ」

長門「その人たちに会って、あなたはどうするつもり?」

キョン「学のいい連中なら、長門の(かわいい)舌足らずな発音でも、さらっとといちまうよ」

長門「……現段階の私の発音した歌詞は、英訳化するには余りにも情報不足。
   前回よりも発音が十分ではないため、英訳化するのは早稲田大学の人間でも不可能と思われる」

キョン「そ、そうだよな。じゃぁ、どうするか…………」


古泉「んっふ。安価で選べる項目を出していませんでした。
   『図書館』『CDショップ』『ゲームセンター』
   この三つの中から、デートコースを選んでください
   本当に、申し訳ありません」

51 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 01:43:14.13 ID:LnLNGfmN0

古泉「んっふ。今度は安価を出していませんね。>>57で」

57 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/21(月) 01:49:04.29 ID:hS802QsC0

倉敷マスカットスタジアム

59 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 01:53:51.43 ID:LnLNGfmN0

長門「倉敷マスカットスタジアム…………」

キョン「…………行きたいのか?」

長門「………………別に……」

キョン「…………寄り道せずに帰るか」

長門「…………本を読めばいい」

キョン「…………じゃぁ、長門の部屋で本でも読むか」

長門「………………」コクッ

61 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 01:56:36.08 ID:LnLNGfmN0

キョン「メロディってどんなのだっけ?」

長門「〜〜♪〜〜♪〜〜♪」

キョン「メロディだけ聞いていると、なんか、ずっと聞いていたくなるな」

長門「さむたいむ、あいむしんきんぐすめーにんぐおぶらいふ」

キョン「こっちもずっと聞いていたいな。しかし、メロディを改めて聞いてみると、俺もどこかで……」

長門「私たち二人が同じ状況にある時点で、耳にしたのかもしれない」

キョン「それはありえるな。SOS団の活躍中なら、他の人たちも知っているかも。明日聞いてみるか」

長門「………………」

62 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 01:57:24.51 ID:LnLNGfmN0

彼が帰った後の部屋

長門「………………」

長門「………………」

長門「………………」

長門「………………喪失感」

63 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 02:01:18.11 ID:LnLNGfmN0

長門「さむたいむ、あいむしんきんぐすめーにんぐおぶらいふ」

 - sometime i am thinking meaning of life -

長門「わたしは、ときおり人生の意味というものを考えている」

長門「わたしは、涼宮ハルヒを監視するために、情報総合思念体から……」


-----------------------------------------

キョン「忘れるはずが無いだろうに」

-----------------------------------------

長門「私は…………」

長門「…………エラーの発生。対処。休息をとる必要がある」

ガサガサ

モゾモゾ

モフモフ

長門「………………私は、もし彼が突然居なくなったら…………」

64 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 02:05:53.83 ID:LnLNGfmN0

 あなたの姿は見えているのに
 私はあなたの姿に手を差し出すけれど
 あなたの姿は幻で、ただ手だけが宙ぶらりん
 狭い部屋で涙を流すのにも飽きた

 あなたが誰かのために存在するというのなら
 私はあなたのために存在する事だって出来るのに

65 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 02:08:12.17 ID:LnLNGfmN0

午前10時

長門「………………ん……」

長門「………………」チラッ

午前10時

長門「………………ッッ!!!!!!??」ガバッ

長門「……ッッ!!ッ!!」オロオロ

長門「………………」ジワリ

68 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 02:12:53.44 ID:LnLNGfmN0

学校 昼休み

キョン「今朝はどうしたんだ?」

長門「…………一時的な疲労蓄積のため、身体が余分に休息を取ったと思われる」

キョン「寝坊したのか!? お前が!?」

長門「…………違う。身体的な反応。生物学的にも当然の……」

キョン「それを寝坊というんだよ」

長門「睡眠時間としては、先日眠れなかった時間分を考慮すると当然の……」

キョン「………………」

長門「……………………おそらく、朝倉涼子が目覚ましを止めたに違いない。
   起床時、目覚まし時計は止まっていた」

キョン「…………」

長門「…………」

69 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 02:15:48.96 ID:LnLNGfmN0

キョン「…………ック……」

長門「…………」ドキドキ

キョン「……クックック……ハハハ……」

長門「…………(さすがに朝倉涼子の名前を出したのは、名案)」

キョン「アッハハハ!! 長門、お前大分人間味出てきたぞ!!アッハハハ!!!!」

長門「…………(人間、味?)」

長門「………………ペロッ」

70 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 02:23:47.37 ID:LnLNGfmN0

キョン「何か、他に思い出した歌詞はあるか?」

長門「…………今朝、あわてていて確認は出来ていなかったけれど」

キョン「あわてていて?」

長門「…………ゆっくり思い出したほうが確実になると思い、頭の中で反復していた」

キョン「どんなものなんだ?」

長門「…………そうあい…………」

キョン「相愛?」

長門「…………まいてぃーまいん」

キョン「99?お笑いの?」

長門「そう……あいふぇーるあふれくしょん……なーいこなとぅーびー……まいてぃーまいん」

キョン「……………ぬぅ」

長門「さむたいむ、あいむしんきんぐすめーにんぐおぶらいふ」

長門「あんどぁいはぶんこしだーわーあいきゃんどぅー」

長門「そうあいふぇーるあふれくしょんなーいこなとぅーびーまいてぃーまいん」

キョン「んー、わりと最近聞いた気が……ついこの間……」

71 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 02:25:42.15 ID:LnLNGfmN0

キョン「これって、サビかな?」

長門「おそらく、違う」

キョン「普通最初に思いだすのは、サビだと思うがな」

長門「サビ部分を聞いた記憶は酷く曖昧。けれど、…………」

キョン「なんだ?」

長門「あなたと聴いた気がする」

キョン「…………んむぅ?」

長門「むしろ、あなたが、聞かせてくれた、と…………」

キョン「お、オレが!?」

72 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 02:27:45.94 ID:LnLNGfmN0

長門「いつだったか、あなたといたときだと思う」

キョン「歌を聞くなら、図書館とかじゃないし、んー?」


------------------------------------------------------


キョン「やっぱ、他のみんなにも聞いてみるか」

長門「………………」

キョン「どうしたんだ、長門?」

長門「…………理由はわからない。けれど……」

キョン「けれど?」

長門「私という固体が、それを拒否している」

キョン「…………なんでまた?」

73 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 02:32:01.91 ID:LnLNGfmN0

長門「理由はわからない。けれど、あなたが昨日もそれを提案したとき、
   私には、『喪失感』が残った」

キョン「喪失感?」

長門「私には解らない。なぜ、こうも最近エラーが多く発生するのか」

長門「なぜ私には、これほど大きな喪失感があるのか」

長門「なぜ私には、…………」

-----------------------------------------

キョン「忘れるはずが無いだろうに」

-----------------------------------------

74 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 02:32:14.83 ID:LnLNGfmN0

キョン「長門?」

長門「…………私も、……」

キョン「…………」

長門「……あなたを、忘れない」

キョン「長門…………」

長門「絶対に…………」


それからの長門は、ずっと黙ったままだった。

77 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 02:35:10.47 ID:LnLNGfmN0

夜 キョンの家

妹「キョーンくーん。それなんてうたー?」

キョン「いやそれが、まったく解らないんだよな。困ったことに」

妹「ふーん。でも、いいね、それー」

キョン「だよな。なんか、落ち着くんだよな」

そんな時、落ち着かない携帯電話の着信音。相手は、ハルビン。

ハルビン「ちょっとキョン!!今すぐゲームセンターに来なさい!!」

キョン「なぜオレが放課後のゆっくりした時間を、お前のために時間を削って
    ゲームセンターにまで行かなけりゃならんのだ」

ハルビン「いいから来なさい!!クレーンゲームでぬいぐるみ取りすぎちゃったのよ!!」

こいつは、なんて能天気な野郎だ。

79 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 02:37:32.62 ID:LnLNGfmN0

そのときだった。

〜〜♪〜〜♪〜〜♪

キョン「……これは……!!」

ハルビン「ちょっとキョン!!聴いているの!!」

キョン「ハルビン!! お前今どこに居るって行った!!」

ハルビン「え?……だから、その、ゲームセンターに……」

キョン「今すぐ行くから待ってろ!! 後で餃子おごってやる!!」

ハルビン「ホント!!?? 絶対中国産よ!!」

キョン「今の時期は無い!!!!」

81 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 02:40:39.01 ID:LnLNGfmN0

自転車で大急ぎでゲームセンターに着いた。
ハルビンは入り口で手を振っていたが、今はそれどころではなかった。

キョン「ハルビン、お前さっきドコで電話したんだ!?」

ハルビン「え、ドコって、だからこの……」

キョン「ゲームセンターの中のどこかって聞いているんだ!!」

ハルビン「な、何怒っているのよ!!??あの一角よ。ほら、あの一角!!」

キョン「あの一角って、あそこは…………」

そうだ。一回だ。たった一回、そこで長門と……。

キョン「これ、とっておけよ」

ハルビン「何よこれ?」

キョン「うちの冷凍庫に眠っていた中国産餃子」

ハルビン「うわっ!! ラッキー!!」

83 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 02:41:40.53 ID:LnLNGfmN0

 失い続ける辛さよりも、私はたった一度の大きな失いを選ぶ。
 一度の大きな痛みなら、いつか回復するかもしれないから。

85 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 02:43:23.54 ID:LnLNGfmN0

眠ってしまった。時刻はまだ7時。一時間程度眠っていてしまったらしい。
体を起こし、窓の外を見る。ビルの隙間の向こう側で、真っ赤に燃える太陽が、
布地に涙をしみこませるかのように、ゆっくりと、世界にしみこんだ。
空には星がいくつか見えた。ポケットには、彼にもらったネコの、キーホルダー。

87 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 02:44:35.15 ID:LnLNGfmN0

長門「さむたいむ、あいむしんきんぐすめーにんぐおぶらいふ」

長門「あんどぁいはぶんこしだーわーあいきゃんどぅー」

長門「そうあいふぇーるあふれくしょんなーいこなとぅーびーまいてぃーまいん」

長門「あんなかんじーおーまいめもりーず おーじゃすまぁーいる」

そうだ。この後、この後に、サビがやってくる。これは、これはきっと……。

90 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 02:48:44.47 ID:LnLNGfmN0

長門のマンションを見上げる。明かりはついていない。どこかに行ってしまった?
時刻は8時。この時間、長門の外出は考えにくい。だとしたら、まだ部屋に居るのだろうか。
いくらあいつでも、あの時間に電気をつけないで居るのは不自然だ。本も読めないであろうし。


キョン「sometime i am thinking meaning of life」

キョン「And i have to consider waht i can do」

キョン「so i feel affliction, I'm gonna to be mighty mind」

キョン「But i can leave all my memolies on your smile」

キョン「ネットカフェで調べたら、すぐに出てきたぜ……」

91 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 02:51:31.28 ID:LnLNGfmN0

キョン「でもなぜなんだ? お前みたいなやつが、なぜこの歌を忘れちまったんだ?」

キョン「あの時この歌を選曲したのは……」

キョン「お前じゃないか、長門…………」

---------------------------------------------------

長門「私には解らない。なぜ、こうも最近エラーが多く発生するのか」

長門「なぜ私には、これほど大きな喪失感があるのか」

---------------------------------------------------

キョン「長門……お前まさか……」

キョン「…………自分で、記憶を?」

93 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 02:55:01.01 ID:LnLNGfmN0

・・・・・・・・・・・・・・

「このうたは?」

「ああ、なんかよさげなタイトルだな」

「…………これに……」

「それじゃ、その白いボタンを押すんだ。あとは、さっき教えたとおり、
 ボタンを押すだけだ。長戸なら、簡単だと思うが」

「ルールは把握した。問題は無い」

・・・・・・・・・・・・・・

長門「…………喪失感」

長門「なぜ私には、喪失感を抑えるように、出来ていないのだろう」

長門「……エラー。排除。エラー、蓄積。エラー、排除」

長門「…………わたしは、この歌を……」

94 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 02:57:43.79 ID:LnLNGfmN0

長門「…………私にとって、特別な……」

長門「…………図書カード」

長門「…………ネコの、キーホルダー」

---------------------------------------------------

キョン「ほらこれ。昨日のゲームセンタで遊んだときにもらった景品。お前にやるよ」

---------------------------------------------------

長門「ここには…………」

95 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 02:59:42.28 ID:LnLNGfmN0

長門「思い出したい。私は、この歌を思い出したい」

長門「…………エラー、無視。エラー蓄積、無視。」

長門「エラー、エラー、エラー、エラー…………」

長門「……………無視」


〜〜♪〜〜♪〜〜♪

96 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 03:03:27.74 ID:LnLNGfmN0

さむたいむ、あいむしんきんぐすめーにんぐおぶらいふ

あんどぁいはぶんこしだーわーあいきゃんどぅー

そうあいふぇーるあふれくしょんなーいこなとぅーびーまいてぃーまいん

あんなかんじーおーまいめもりーず おーじゃすまぁーいる

長門「……………あいこーゆー」

長門「……………あいにーどぅー」

長門「あいうぉんとふぃーにゆあらーぶ」

長門「あーいきっしゅー、あいたっちゅー、あーいぎーびゅおーまいらーぶ」

長門「あーいらーびゅ、あーいむふぉーゆ、あーいぎーぶふぉーゆおーまいらぶ」

長門「あーいおーるうぇーず、みしゅとびーうんゆーおーたーむ」

長門「………………………………わーるどわいど、らぶ……」

97 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 03:05:51.04 ID:LnLNGfmN0

Sometimes i am thinking meaning of life.
And i have to consider what i can do.
So i feel affliction,i'm gonna to be mighty mind.
But i can leave all my memolies on your smile.

I call you I need you I want feel your world
I kiss you I touch I give you all my loves
I love you I'm for you I'll be for you all my life
I allways wish to be with you long time.

99 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 03:08:24.26 ID:LnLNGfmN0

キョン「ここに居たのか」

長門のマンションの近くの公園。ベンチに座った長門が、そこに居た。

長門「……思い出した」

キョン「オレもだよ。デモなんで、長門はこの歌にこだわっていたんだ?」

長門「…………この歌は、あなたと聞いた曲」

キョン「そうだけれども、なぜ、お前はこの一曲に拘っていたのかっていうのを聞いているんだ。
    オレと聞いた曲なんて、実際色々あるだろう」

長門「この曲は、特別……」

キョン「……?」

101 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 03:10:53.97 ID:LnLNGfmN0

次の日

古泉「それはきっと、その曲の和訳に、意味があるのではないでしょうか?」

キョン「和訳に?」

古泉「そうです」

私は、ときおり人生の意味というものを考えている。
そして、何が出来るかを考えなきゃいけない。
とても悩んでるんだ。強い心を持つつもりでいるよ。
けど私は君の笑顔に、全ての記憶を預けることだって出来る。

君を呼ぶよ。君が必要なんだ。君の世界を感じていたい。
キスをして、触れて、私の愛の全てを君に捧げよう。
愛してる。君のために、私の人生の全てを君のために。
君と少しでも長く一緒にいたいって、いつも思ってるんだ。

古泉「冒頭に出てくる、『人生の意味というものを考えている』。
   長門さんは、まずここに、疑問を持ったのだと思います。」

103 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 03:15:00.39 ID:LnLNGfmN0

古泉「長門さんの人生というのは、涼宮さんの監視。それだけです」

キョン「それだけではないだろう」

古泉「そうですね。あなたを含め、僕たちと出会うまでは」

その言葉を聴いて、鈍感なオレだって少しは頭の中に考えがよぎったさ。
あいつは、今自分自身を見つめなおしている時期なんじゃないだろうか。
毎日を生きていく中で、ハルヒの監視だけではなく、SOS段としての活動。
学園生活、日常生活が、あいつが少しずつ変わり始めてきている。

古泉「『そして、何が出来るかを考えなきゃいけない。 』
   彼女は今まさに考えているんです」

キョン「でも、それだけか? オレには、長門が自分からあの歌の記憶を消したように見える。
    疑問を持ったなら、解決を優先じゃないのか、あいつの場合」

古泉「それは、彼女の思考です。僕らの知る由ではありません」

キョン「結局、何も解らないな」

104 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 03:17:00.76 ID:LnLNGfmN0

古泉(おそらく、本当の理由は、あの歌が『ラブソング』だということでしょうね。
   彼と遊びに行った先で、偶然彼女が見つけた、演奏した曲。
   隣に居る彼とそのラブソングを聴いた長門さんの中に
   何かが芽生えているとしたら?
   『私の人生の全てを君のために』長門さんは、このフレーズをどう思ったのでしょう。
   一人の人間に対する愛。それがどれほど大きいのか、宇宙人の彼女は、
   それが解らないで居るのでは?)

105 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 03:18:36.22 ID:LnLNGfmN0

古泉(たて続けに起きるエラー。それがエラーではなく、感情なのだとしたら。
   一曲のラブソングにこめられた愛の言葉が、彼女の心に響いたのだとしたら。

   そして、その感情を抑えても、結局、自分の奥底に眠る感情が、
   抑えきれずあふれたのだとしたら、長門さん。あなたはこの後、どうするつもりですか?)

108 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 03:21:30.07 ID:LnLNGfmN0

放課後、活動を終えた俺たちは別れ、それぞれ家に帰ることになった。
ただ、オレと長門だけは、家に帰らずある場所に向かっていた。

キョン「どうだ長門、一曲プレイしていかないか?」

長門「…………」コクッ

ゲームセンターの音楽ゲームコーナー。小銭を握り締めていた長門が、ふと俺を見上げる。

キョン「どうしたんだ?」

長門「……50円玉」

キョン「なんだ、長門も間違えているじゃないか」

長門「…………偶然」

110 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 03:24:59.63 ID:LnLNGfmN0

『DJ TROOPERS!!』

キョン「長門、あの曲は8thカテゴリという場所にあってだな……」

長門「部活中にインターネットを介して調べておいた。問題は無い」

キョン「ず、ずいぶん手が早いんだな」

サラサラとターンテーブルを回して画面を動かす長門。すぐに、目的の曲を見つけ出した。

『World Wide Love』
 作曲者、MTO

オプションをひとつもつけないでプレイするのが、長門らしい。

111 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 03:27:29.82 ID:LnLNGfmN0

流れるメロディ。ギターの音色。少し曇ったような、
それでも何か優しさに包まれるような男性ボーカル。
長門は真剣にその曲をプレイしていた。プレイ時間がいつもの何倍にも遅く感じる。
じっくりと耳に浸透していく曲。まるで、布地に水滴がゆっくりと吸収されていくような。

長門「………終了した」

キョン「そっか………って、うぉ、AAA……」

長門「規則に沿ったプレイをしただけ。問題ない」

キョン「そ、そっか。そうだよな。長門だものな。」

112 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 03:31:06.22 ID:LnLNGfmN0

長門「聞いて欲しい」

ゲームセンター内で流れるさまざまな音にかき消されそうな長門の声。
注意して聞いていないと、スグに聞き逃してしまいそうだ。
オレは長門に近づいて、ゆっくりと次の言葉を待った。

長門「私は、あなたと離れることがあっても、あなたを忘れない」

キョン「…………そっか」

長門「私は、今、私という固体であるこの時を、あなたとすごしたいと思っている」

キョン「…………そっか」

長門「あなたが必要。あなたが見えなくなったとき、私は何度でも、あなたを呼ぶ。あなたを探す」

キョン「……一度呼んでくれたら、俺はすぐに、長門に会いに行くさ」

114 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 03:36:08.59 ID:LnLNGfmN0

長門「あなたと、少しでも長く、一緒にいたい」

キョン「…………そうだな」

そのまま、オレは長門を抱きしめた。オレの心臓は今にも破裂しそうなくらい
鼓動を鳴らしているのに、頭だけはやたらと冷静だった。
おれだって長門と同じ考えなんだ。ちょっと緊張しているだけで、判断はいつだって正常さ。

キョン「長門……」

そっと、長門の額に口付けをしてみた。長門はオレを見上げ、じっと瞳を覗き込んでくる。

長門「…………私の求めている場所は、それとは違う」

キョン「へ?」

そういうと、今度は長門のほうから、口付けをしてきた。
これがまた、口と口。いうなればキスってものだから驚きだ。
そういえば、歌詞にもあったね。『I kiss you I touch I give you all my loves
』って。
なんだ、長門のほうが、一歩も二歩も、やっぱ上手らしい。


長門「わーるどわいど、らぶ」 終了

122 名前:サボテン[] 投稿日:2008/04/21(月) 03:42:43.70 ID:LnLNGfmN0

皆さん、お付き合いありがとうございました。
即興書きで至らない点もあったと思われます。
それでも、ここまで読んでいただいた皆さんに、ラブを、ラブを。

今回、『World Wide Love』をこのお話に使用したのは、
http://www.konami.jp/am/bm2dx/bm2dx8/songs.htmlこれを見ていてのことでした。

ITが発達した今の世の中、自分がネットで伝えられるものとはなんだろうと考えた結果です。
僕の大スキな長門。僕が常日頃あこがれていて、毎日幸せを感じる『愛』を、
ネットを通じて少しでも多くのヒトに伝えられたらなと思ってのことでした。
半分以上は長門が可愛いからでした。ごめんなさい。みえ張りました。



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