世にも奇妙ならき☆すた


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594 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 20:31:55.46 ID:vU3YJUq50

勝手に>>415の褌を借りてみる
スマン!!

『インターネット』 小早川ゆたか

ある日、ゆたかはこなたに進められたホームページを見ていた。
そこはなんとも愛らしい画像が集められたサイトで、彼女もそこをちょっと気に入ってたのだが……
『三日後 オ前ヲ 迎エニイク    逃ガサナイ』
「何……これ?」
その一文を前に、ゆたかが凍りついた。
突然画面が暗くなって、その文章からまったく動かなくなったのだ。
「ヒッ……!」
何か嫌な物を感じた彼女は、そのままベッドで布団を被った。


「田村さん……それ、ホント?」
「ええ、マジにヤバイみたいッスよ。この前、隣の高校でも一人行方不明になったみたいッス」
学校にて、昨日のメールについて友人に話してみたら、田村にとんでもない事を聞かされた。
いつの間にかデスクトップに表示されるテキストドキュメント、それを開いたら三日後にいなくなると言うのだ。
それを聞いたゆたかの身体は震え始める。
「大丈夫……、ゆたかは私が」
すぐ近くで、またよからぬ妄想の世界へダイブするひよりを傍らに、休み時間終了のチャイムが鳴った。

595 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 20:44:10.84 ID:vU3YJUq50

その放課後……
(すっかり暗くなっちゃった……)
季節は冬、五時を過ぎればあっという間に太陽はその姿を地平線へと隠してしまう。
今日はみなみもひよりも、部活や委員会やらでいない。
よって彼女は一人で帰宅しているのだが……
「―――――――ヒッ!!」
背後から何かが近づいてくる気配。
それだけで臆病な少女は震え上がる。
周りを見ても自分しか居ない……
一瞬だけ振り向いて、すぐに彼女は駆け出してしまう。
もしかしたら普通の人なのかもしれないが、もうゆたかにそんな事を確認する余裕は無かった……

596 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 20:48:27.24 ID:vU3YJUq50

次の日もまた同じ目にあった。
昨日の事もあり、一人だけで学校を抜け出す。
校門を出てしばらく走ってから、誰かと一緒に居た方がよかったのではと思ったが、もう遅かった。
立ち止まったところで肩を強く捕まれる。
「放して!」
そのまま振り払う。
ようやく駅に着く頃には膝が震えている。
身体に無理をさせてしまったためだろう、その場でモドしてしまった。

597 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 21:00:03.10 ID:vU3YJUq50

「ゆたか、何があった?」
「何でも無いよみなみちゃん……」
さらに次の日、つまりあの文章を見てから三日後……。
ゆたかはみなみの顔を見る事も無く席に着いた。
──────やっぱり本当だった。
先日、先々日の恐怖がゆたかの判断力を奪っていた。
(みなみちゃんを……巻き込んじゃいけない)
あまりに純粋な少女であるが故に、狂気を持った今……それは見当違いの方向へと進む。
(何が来たって、私は負けない……)
ゆたかは、家から持ってきた出刃包丁がカバンにあるのを確認した。

598 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 21:00:18.81 ID:vU3YJUq50

放課後、グラウンドではまだ陸上部が声を上げているが、すっかり日が暮れてしまっている。
ゆたかは未だに学校の廊下で佇んでいた。
いざ『アレ』との対決になった場合、暗闇では不味い。
本能的にそれを感じ取った。
だから灯りのあるここに陣取っていたのだが……。
「!?っ」
頼りの灯りが突如として全て消えた。
「……………………!!」
あまりもの恐怖に声も出せない。
もう、自分にやってくるであろう何かに立ち向かおうなんて気は何処かに離散してしまった。
(助けて……!!)
後ろに近づいてくる気配を感じながら、ゆたかはそれだけを思う。
(助けて……、怖い、怖いよ……!!)
頭を抱えて蹲っても、恐怖から自分を守る存在は見当たらない。
暗闇の中、彼女はただひたすら震える。
やがて肩に手を置かれた瞬間────
「イヤアアアアアアア!!」
咄嗟の生存本能、ゆたかはカバンの中から取り出した包丁を横に振るった。

600 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 21:01:37.23 ID:vU3YJUq50

「あ、そういえば……」
原稿にペンを入れながら、ひよりは思い出す。
「そういえば、あの話がウソだって言ってなかった!!」
そのまま机に突っ伏してしまう。
幾らなんでも、『子供が何人も死んだ』っていうのは悪趣味すぎた、と自己嫌悪に落ちいったのだ。
それは、数日前ゆたかに話した悪趣味なウソ。
ゆたかを見守るみなみと言う構図があまりに微笑ましかったが故の悪乗りだった。

夜の学校にて……、
「ゆたか……」
みなみは今朝のゆたかの表情を思い出す。
白い顔に刻まれた深い隈……精神的にまいっているのが見て取れた。
先日、先々日と彼女の背中を追って、機会があれば話を聞いてあげたいと思った。
悩みがあるなら力になってあげたいと思った。
誰よりも大切な友達……、
「あ……!」
曲がり角を曲がると、老朽化のためか電灯が消えた廊下。
その真ん中にゆたかが蹲っている。
声をかけるのも忘れ、彼女はゆたかへと駆け寄る。
それは、誰よりもやさしかったが故。
親友を救ってあげたいという行動だった……。


再び電灯の点った廊下で、ゆたかはその殆どが紅く染まった、緑色の髪の毛を見下ろしていた……

世にも
奇妙な
らき☆すた  

601 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 21:04:21.63 ID:vU3YJUq50

白石「呪いや悪霊より怖いのは悪意を持った人間だとは言います。
  ですが、それ以上に恐ろしいのは悪意の無い人間なのかもしれません」


※『いんたーねっと』では無く『インターネット』なのは、別物だからと思っといてください

634 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 22:22:35.92 ID:vU3YJUq50

入浴後、岩崎みなみはその髪をタオルで拭きながら、鏡に己の身体を移す。
身体を伝う雫は何処にひっかかる事も無く重力に合わせて床に落ちていった。
「ふぅ……」
女性の身体は26まで成長すると言うが、それでも成長期と言われる時期は終わった。
もう将来に期待しても無駄なのだと思うと、どうしてもため息が漏れてしまう。

部屋に戻って窓を開けると、天気の神様は彦星と織女に気を使ってくれたようだ。
今日は七月七日の金曜日、つまり七夕。
みなみは窓辺に飾られた小さい葉竹を見やる。
「……………………」
ぶら下げた短冊に書かれた文章、こんな物をもし誰かに見られたら……ゆかりさん辺りにはネタにされるだろうと思う。
実際に願いが叶うなんてありえないのも分かっている。
だが何時からか、毎年恒例となった事を止める事はできなかった。

『胸がみゆきさんくらい大きくなりますように』

638 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 22:30:19.37 ID:vU3YJUq50

「ふぅ…………」
二度目、今度はさっきよりも大きなため息。
貧乳がステータスだと自身を持てるこなたが羨ましい。
高身長で胸だけが無い……こんな自分に一体何の価値がある?
その上、お世辞にも愛想も良いとは思っていない。
女としての魅力が何一つ無い、そう言った想いが彼女を締め付けていた。

「今年で最後にしよう……でも……」
彼女は再びペンを執って、短冊にその達筆な文字をつなげていった。

『ゆたかのように、笑顔を出せるようになりたい』
『田村さんのように、絵がうまくなりたい』

どうせ叶わないのだ、この位願ったってバチは当たるまい。
再び短冊をぶら下げる。
毎晩寝る前にホットミルクを飲むのが彼女の習慣だったが、それをするつもりもおきない。
みなみはベッドに入ると、そのまま眠りへと落ちていった……。

639 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 22:36:09.68 ID:vU3YJUq50

やけに寝苦しい……。
太陽はまだ昇りきってはいないのに、目を覚ましてしまった。
「う〜ん……胸が苦しいよう……」
………………、自然と出てきたその言葉に本人が不自然を覚える事は無い。
なんとなく、パジャマがキツイような気がする。
そう思って胸をさすってみると……
「あれ? ふぇ?」
女の子のような愛らしい声があがる。
普段のみなみからは考えられない。
だがそれ以上にありえない事としては……。

「こ、これって……!」
パジャマを脱ぐと、みなみはかがみに自分の姿を映した。
そこには、かつての平原など何処にも存在しない……。
富士山、いや! ヒマラヤ山脈!!

「ふぇ―――――!?」

緊張感0をぶっちぎってマイナスな悲鳴が、岩崎家に響いた。

『吸収』 岩崎みなみ

645 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 23:12:03.65 ID:vU3YJUq50

「あらー、よかったじゃないの」
数分後、母親に報告した結果がコレだった。
「良くないよお母さん、服とか困ってるんだから><」
「それだったら後でお母さんが買いに行ってあげるから。それにみなみ、前より明るくて可愛いわよ」
「へ?」
そう言われて、ようやく胸以外の変化に気づく。
「まるでゆたかちゃんみたいよ、今のみなみ」
「まさか……」
ようやく思い出した……昨日、短冊にこめた願い事。
それが叶ったのだろうか? いや、まさか。でも……

今、みなみは胸に包帯を巻いている。
そうする事で自分の胸を少しでも目立たせないようにした。
本来なら、母親と一緒に下着を買いに行くまで外へ出たくは無いのだが……。

「チェリー、おいで!」
「ワン♪」
片手にスケッチブックを持ち、みなみは愛犬チェリーを正面に見据える。
チラチラと正面を見ながら、しかし面白いくらいに筆が進んだ。

……20分後。
「すごい……」
驚きながらも、その表情には明るい笑顔。
チェリーの方も飼い主の上機嫌が嬉しいのかワンワンと尻尾を振ってくれた。

646 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 23:12:57.65 ID:vU3YJUq50

スケッチブックの中には、もはやもう一匹のチェリーと言って良いほど、細かく模写された犬の姿があった。
「やっぱり願いが叶ったんだ!」
胸、笑顔、絵……普段の自分には存在しない物が一晩で手に入った。
ダメ元にやった事で、積年の苦労がついに報われた。
これ以上に嬉しい事など、ゆたかと一緒に居たときを除けば存在しない。

満面の笑みを浮かべながら、チェリーと一緒になって、まるで少年のように庭を駆け回った。
そこには、周りから『クールでカッコいい』と評された彼女の姿は何処にも無かった。
…………ゆかりにしっかり見られてたりするのは、後のお話。

「ぜぃ……ぜぇー……」
「そんなに汗かくまで、何してたの」
「うん、ちょっと、庭で……」
おかしい……普段の自分ならこの程度でヘバッたりはしないはずだ。

654 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 23:41:13.31 ID:vU3YJUq50

「とりあえず、少し休んだら早く服を買いに行くわよ。何時までも包帯で誤魔化すわけにはいかないんだから」
「うん、分かった……」
そう言った時。
「────痛っ!」
歯に突然走った痛み。
思わず頬を押さえてしまう。
「どうしたの?」
「う、ううん。何でもないよ」

痛み自体は最初だけで、終われば最初から何も無かったかのように収まった。
(何だったんだろう……?)
一瞬、嫌な予感が頭をよぎったが、とりあえず考えるのは後にした。

時々歯の痛みが訪れる事を除けば、それからの二日間、彼女は晴れ晴れとした気持ちだった。
チェリーに心から笑いかける事ができたり、色々な物を書いてみるのも良かった。
ただ、こなたとかがみが二人きりで歩いていたのを偶然見かけ、妙な妄想に走ってしまったのは困り物だったが……。
最初は違和感があった身体も、慣れたもので、二日もすればむしろ誇らしくすら思える。

この胸を見られたら、みんな驚くだろう。
豊胸手術だとかそんな風に思われるかも……。
早く学校に言って、ゆたかに笑顔を見せてあげたい。
田村さんに、自分の絵を見せてあげるのもいいかもしれない。
早く明日にならないだろうか?
日曜日の夜、彼女はまるで遠足を翌日に控えた小学生と同じ状態になっていた。

655 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 23:43:38.19 ID:vU3YJUq50

長かった夜を終えて、彼女は真っ先に学校へと向かった。
周りの視線なんて細かい事だ。
早くゆたかに会いたい、ゆたかは何処だろう?
登校中も大げさなくらいキョロキョロとあたりを見渡す。
通学中は見つけられなかったが、教室にゆたかの姿はあった。

「ゆたか!!」
椅子に座って俯いているゆたかに、みなみは駆け寄った。
教室がザワめいた気がしたし、ひよりが居ないのも気になる。
だが、それ以上に不自然な事が一つだけ……。

「おはよう……」
みなみの、ゆたかと笑顔で話し合えると言う希望はその瞬間打ち砕かれた。
「ゆたか……?」
普段だったら、自分に心優しい笑顔を浮かべてくれた小さな親友。
それが今、彼女の表情はまるで氷のようになっていた。
綺麗な緑色の瞳が自分を見るときも、その形を変える事は無い。
口元が、最低限の挨拶をした後動く事も無い。
無表情、完璧なまでの。

667 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 23:57:42.92 ID:vU3YJUq50

「ゆた…か……?」
「何」
「私……何か、したかな?」
「いや、別に」
眩暈がした。
どうしたと言うのだろう? 何も無いのなら、何でそんな顔をするんだろう?
考えても答えが導き出せない。

気がついたらトイレに駆け込んでいた。
気分が悪い……吐き気も動悸も止まらない。
何か悪い物が自分の身体を流れている。
苦痛に耐えてそれを必死に出そうとするが、上手くいかない。

ゆたかの表情を思い出すと、再び酔っ払い物がこみ上げる。
彼女の表情は、かつての自分を連想させた。
(かつての私!?)
ようやく、一つの答えを導き出す。

(まさか……まさか……!)

668 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/10(木) 23:58:58.51 ID:vU3YJUq50

吐き気を堪えて、ポケットから携帯を取り出す。
震える親指でプッシュするのは、田村ひよりの番号。
今朝からずっと姿を見ない彼女の……。

数回のコールの後、意外にもアッサリと繋がった。
『あ、もしもし? 岩崎さんスか……?』
「う、うん! 田村さん……今日学校には……」
『え、あ。心配かけちゃったみたいッスね……』
ゆたかのような、無言状態では無いが……それでも口調が明らかに暗い。
明らかに重たいものを背負っている、それが読み取れた。
『実はちょっと、悩みがありまして……』
「悩み? 言ってくれる?」
『い、いえ……たいした事じゃあないッスから』
「お願い、言ってみて!」
普段の彼女だったら、ここまで余計な詮索はしないだろう。
だが今回は勝手が違った。
自分の考えが外れている事を祈り、彼女は拝み倒す。
そして、帰ってきた返答は、
『ええ……実を言うと。突然絵が、書けなくなっちゃって……』
みなみは、携帯を落としてしまった。

677 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 00:15:46.15 ID:qKEBHENc0

『それで、ちょっとスランプから抜け出すために家でデッサンの練習を……あれ、もしもし? もしもーし?』

歯が痛い……。
頭痛と連動しているかのように。
フラフラとさ迷って、向かっていたのは三年生の教室。
「………………」
元々の身長が相まって、得に目立つ事は無い。
もうすぐ授業が始まる、だがどうしても確かめねばならない事がある。
確かめなくても答えは分かっている。
それでも……。

歯の痛みが耐え切れないほど大きくなり、頬に手を当てながら壁に寄りかかる。
丁度その時、
「岩崎さん……?」
彼女の目の前には高良みゆきが立っていた。
みゆきは、バツが悪そうな顔をしながら、胸の前で腕を組んでいる。
そして、そのままソソクサと立ち去ってしまった。
もうその理由を考える必要も無い。

酷くなる頭痛と吐き気、動悸。
それでも彼女は一つの結論を導き出した。

(奪っちゃったんだ、私が)

679 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 00:17:42.69 ID:qKEBHENc0

気が遠くなりそうだった。
短冊によってかなえられた願いは、無償によって叶えられた物では無い。
誰かの長所を奪い、自分の長所としてしまったのだ。
ゆたかの笑顔、田村の画才、みゆきの体系。
それを全て奪ってしまったのだ。

みなみはゆたかの笑顔が好きだった。
ひよりのように、何かに打ち込むのに憧れた。
みゆきの胸に、嫉妬した。
だが断じてそれを強奪したりはしたくなかった。
強奪、自分のやった事はまさにそれだ。
無意識だったなんて言い訳にならない。

答えが確定した瞬間、みなみの全身に重い物が圧し掛かった。

(私……なんて……馬鹿な…事……)
そう思った瞬間、
「──────ゥゥ!!」
みなみの心臓が強烈なほど締め付けられる。
気がついたら、リノリウムの床が頬に触れている。
苦しい、息ができない……。
視界が暗転する……。

682 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 00:18:06.35 ID:qKEBHENc0

とてつもない苦痛に表情を歪ませる。
だが、気絶する事もできない。
それはみゆきの虫歯、ひよりの妄想癖と同じ。
ゆたかの笑顔が自分の物になった瞬間、彼女の病弱さもみなみの物になってしまったのだ。

「クァ………ぁァぁ………」

ようやく手に入れた笑顔。
その笑顔の代償は、この苦痛に満ちた表情だった……。

688 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 00:37:30.76 ID:qKEBHENc0

世にも
奇妙な
らき☆すた

白石「世の中、何の苦労もせずして成長できるなんて。
   そんな都合のいい話あるはずありません。
   結局のところ、努力するしか無いんですよ。
   え、これ? いえいえ、何でも無いんです」

『あきら様より人気者になりたい』


白石「おや……話にはまだ続きがあるようです」


みなみが目を覚ましたら、そこは保健室だった。
先ほどの息苦しさ、苦痛は全て治まっている。
傍らでベッドに突っ伏しているのは……あの見慣れた桃色の髪。
見間違えるはずも無い。
寝かしておくべきだろうかと考えたが、ゆたかは自分から目を覚ましてくれた。

まだ目が覚めきっていないのだろうか?
擦っている目元には涙の後がよく見て取れた。
「おはよう……ゆたか……」
「──────ッ!!」

689 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 00:39:21.68 ID:qKEBHENc0

弱弱しい力で自分の胸に飛び込んできた。
何も声を出さず、みなみはその頭を撫でる。

─────今はまだ泣いてるけど、後できっと笑顔を見せてくれるだろう


自宅にて、みなみは自分の短冊をその葉竹から外した。

(思えば、私は馬鹿だったんだ……。
胸だとか、笑顔だとか、そんな物持って無くてもいい。
みんなが居てくれれば……)

彼女はその短冊を、窓から捨てる。
もしゆかりに拾われでもしたら災難だが、そなっても丁度いい天罰だろう。

みなみは、自分の胸を撫でた。
「フゥ…………」
そしてため息。

だが、そのため息がこれまでと違う意味であるのは言うまでも無い。

上昇気流に乗ってどこまでも流れていく短冊。
それに寄り添うように、三つの短冊が追いついてきた。
そこにはそれぞれ、こんな事が書かれてた。

690 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 00:40:10.65 ID:qKEBHENc0

(私が馬鹿でした……。自分の苦しみを、他人に押し付けるなんて……)
『岩崎さんのような肩のこらない胸がほしいです。それと、虫歯に強い歯がほしいです』
(みなみちゃん……ゴメンネ、私がこんな卑怯な事願っちゃったから)
『みなみちゃんのように身体が強くて、カッコいい人になりたいです』
(いやー、保健室ではいい物見せてもらったッス、これで次の新刊はOKッスね!)
『ネタの神様〜〜〜ヘルプミーッス!』

それを知るものは、誰もいない。

世にも
奇妙な
らき☆すた

白石「結局、自分が短所だと思っている事も他人にとっては羨ましかったりするんですよ。
   自惚れも困りますけど、もうちょっと自分に自身を持つ大切さを知ってほしいものですねぇ
   ん、あきら様の短冊……どれどれ」

白石「……………………」

691 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 00:41:23.01 ID:qKEBHENc0

他人の褌を借りたリベンジとして書いてみましたが……
結局オチが決められず……二段オチに……orz
ダラダラと長くなりましたが、ひより編とあやの編楽しみにしてます……

855 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 17:56:47.35 ID:qKEBHENc0

教師「じゃあ、この問題できる奴いるかー?」
あやの「あ、ハイ……」
かがみ「ハイ!」
教師「よーし柊」
あやの「………………」
半分ほど上げていた手を、そのまま静々と下ろした。


『目立たない女』 峰岸あやの


朝の教室にて、先に席についているみさおに挨拶をする。
あやの「あ、おはようみさちゃん」
みさお「………………」
あやの「みさちゃん?」
みさお「………………」
あやの「 み さ ち ゃ ん !!」
みさお「ウオワ!!」
ゴチンッ
驚いたみさおは椅子から転げ落ちて床に頭をぶつけた。
あやの「あ、だ、大丈夫!?」
みさお「アイテテテ……なんだよ、あやのか。いきなり脅かすなよぉ」
あやの「え、脅かすって? さっきからずっと……」
みさお「へっ? わ、悪い。ぜんぜん気付かなかったゼ……」
あやの「……………………」

856 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 17:57:15.06 ID:qKEBHENc0

あやの(私って地味なのかなぁ)
家に帰ってからそんな事をずっと考える。
確かに自分は目立つ方では無い、みさおのように活発でも無ければ、
かがみのように勉強が大得意と言うわけでも無い。
でもまさか、ファミレスの店員にまで……。
ピッ
『今朝、××銀行に包丁を持った男が押し入り……』
テレビを付けると、ちょうどニュースが流れていた。
『大人しい人で……、まさかあんな事をするなんて』
あやの(………………………)
次々と流れていく顔写真、それをボンヤリ見ながら、
あやの(私も、何か事件起こせばああやって注目されるのかなぁ)

あやの(って、ダメよ! そんな事考えちゃ!!)
一瞬頭に浮かんだ不穏な考えを打ち消す。
元々目立つ事はそんなに好きでも無のだ、どうも思い詰め込みすぎたかもしれない。


朝の教室にて……
あやの「おはよう、みさちゃん」
みさお「おっ」
教室の入り口で声をかけると、みさおは駆け寄ってきてくれた。
それだけの事がなぜだか嬉しい。
スタスタスタ……
あやの「みさちゃん……?」
そのまま素通りされてしまった。
みさお「おはよー柊! あれ、チビッ子も?」
かがみ「おっす」

857 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 17:57:47.55 ID:qKEBHENc0

こなた「うん、珍しく早く学校来ちゃったからね。みさきちの顔でも見ようかと」
まるで自分の存在など無いかのように、談笑を始めてしまう。
あやの「ねぇ、ちょっと!!」
どれだけ声を荒げても、誰一人として自分を振り返る事は無かった。

あやの「──────?」
なぜだろう? 気がついたら、あやのは商店街に居る。
先日恋人と一緒に歩いた街……そこに──
あやの「あっ!?」
とんでもない物を見かけた。
みさおの兄と、先日言い寄ってきた女が腕を組んで歩いているのだ。
あやの「みさ兄さん!」
あやのは恋人の名前を叫ぶが……
ビッチ「ねぇみさ兄さん、何か聞こえた?」
みさ兄「え、いや。別に?」
あやの「イヤァ──────」

860 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 18:00:14.18 ID:qKEBHENc0

ガバッ
あやの「………………夢!?」
ベッドの中で、あやのは目を覚ました。


あやの「………………はぁ」
登校中も、今朝の事が気になって仕方が無い。
ホントにただの夢だったのだろうか?
あやの「あ、みさちゃ────」
道端でみさおを見つけ、駆け寄ろうとするが──
ドンッ
お婆さん「あっ」
あやの「あ、ごめんなさい……」
お婆さん「いいんですよ……アイタタタタタ」
あやの「あの、スイマセン……」
お婆さん「いやいや、いいんですよ……。それより、○○病院はどちらか、ご存知無いでしょうか……?
     急ぎの用事があるのですが迷ってしまって……」
ここからかなり遠い……。
だがぶつかってしまった負い目がある。
でも……、とあやのはみさおの方向を見たが。
みさお「いやーこんな所で柊と会うなんて奇遇だなぁ」
あやの「…………ええ、私も学校の前に用事があったんで。案内しますね」

861 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 18:01:17.76 ID:qKEBHENc0

お婆さんを案内した帰り道。
あやの「………………学校サボっちゃった……なんて言い訳しよう」
それとも、どうせ自分の事なんて気にもされてないのだろうか?
そんな事を思い信号の前で佇んでいると……。
視界に一匹の黒猫が入ってきた。
キィィィィ!!
あやの「──────!!」
その猫に対し、乗用車がまっすぐ突っ込んでくる。
あやの「危ない────!!」
反射的に駆け寄った時にはもう遅かった。
猫はあやのをみるやいなや、すぐに逃げてしまう。
そして車道に飛び出してしまったあやのの身体は無残にも……。
ドンッ!
まるで綿のように跳ね飛ばされ、地面に叩き付けられた。


バイト「朝刊でーす」
翌朝の新聞、そこには一面にデカデカと載っている記事がある。
よほど大きな騒ぎがあったのだろう。
一人の女子高生が猫を助けようとして死亡、そんな記事は何処にも載っていなかった……。

862 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 18:02:32.93 ID:qKEBHENc0

みさお「あやのー、今日も来たぞって兄貴!? スマン!!」
みさ兄「うわ、ちょ、みさお待て!!? 参ったなー完璧に見られたよ……」
あやの「アハハ……///」
○○病院にて、あやのはその元気な姿を見せていた。
彼女は足の骨を折ったものの、命に別状は無かったのだ。
みさ兄「まったく……お前も案外無茶する奴だったんだなー」
あやの「ごめんなさい……」
みさ兄「まぁ、何はともあれ無事でよかったよ」
あれから毎日、みさおやみさ兄だけで無くかがみやこなた達も見舞いに来てくれた。
不謹慎ながら、そうしてると自分も大事にされていると分かって嬉しくもあった。
あやの(やっぱ、目立ちたいとか、そんな事を思っちゃダメなんだよね)
この事件は、とりあえず自分への天罰として受け止めよう。
あやのはそう思った。


お婆さん「お〜よしよし」
女性「おばあちゃん、抱きかかえすぎよ。私にも少しくらい」
お婆さん「ダメだね、女性さんはまだまだ若すぎるからこうやってお手本を見せてあげるのさ
     ひ孫の顔を一番乗りで見れたんだから、もういつお迎えが来ても悔いは無いよ〜よしよし」
女性「でも驚いたわねー、おばあちゃんが一番先にお見舞いに来てくれるなんて」
お婆さん「ああ、その事なんだがね、あんたにも是非見習ってほしい女の子の話が──────」

863 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 18:03:00.82 ID:qKEBHENc0

一枚の新聞の一面。
それにはこんな記事が載っていた。
『あわや大惨事!! 黒猫で大型トラックの燃料漏れ気付く!!
────運転手の話によれば、黒猫がトラックの下にもぐりこんでいたので、追い払おうとした所
ガソリンのにおいが────』


世にも
奇妙な
らき☆すた


白石「『目立ちたい』。『自分は誰からも必要とされていないのか?』
   そんな事を思っている人はいるでしょう。
   ですが、自分の何でも無いと思っている行動が、他の運命を大きく作用する事もあるのです。
   そこからまた、奇妙な物語が生まれるのかもしれません。」

870 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/11(金) 18:10:54.32 ID:qKEBHENc0

白石「いかがでしたでしょうか? 今回、奇妙な物語に巻き込まれた少女の話は?
   ですが、一度物語に巻き込まれてしまった少女が、今後は平穏な人生があるとも限りません。
   もしかしたら……『また会う事もあるかもしれません』」

白石……笑みと共に退場
画面暗転



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