ハルヒ「古泉君、あんたウザいわ」


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103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/07(月) 18:53:56.27 ID:FO3d2UbD0

ハイパー殺伐古泉書けたよー\(^o^)/

―――――

放課後、部活も終わって全員解散した……と思っていたのだが、
忘れ物を取りに来た時、それは起こった。


「古泉君、あんたウザいのよ」
「……はあ」

ドアを開ける前に踏みとどまるのは朝比奈さんのお陰で習慣になっていて、
部活が終わった後なのに俺は馬鹿だな、と思った。
だから別に部室に入ってはいけないという理由も無かったのだが、
そうだな、この場合、とりあえず入るべきではないと判断しておこうか。
自分でも何を考えているのかよく解らないが、俺は足音を潜め、薄い壁に耳を向けた。

104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/07(月) 18:54:12.79 ID:FO3d2UbD0

「何そのニヤケ面。バッカじゃないの」
「すみません」
「あんたあたしの事馬鹿にしてんの? 大体ね、いつもいつも……」

これは……何かあったんだか何だか知らんが、ハルヒが古泉に噛み付いているというのは理解出来た。
勘の良いハルヒのことだ、古泉の普段の態度に不満でも出てきたんだろう。

「まあまあ涼宮さん、落ち着いて」
古泉はというと、意外にも余裕に満ち溢れた声だった。
流石の古泉でもハルヒが怒ったら焦るだろうと思っていたが、
うん、この様子ならどうせ古泉もいつもの事だと楽観視してるんだろう、大した事じゃなさそうだ。

105 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/07(月) 18:54:28.86 ID:FO3d2UbD0

「ふざけるんじゃないわよ!!」
俺がドアを開けた瞬間その怒声が聞こえ、目に入った光景は……、
ハルヒにネクタイを掴まれていた古泉が、その拳によって殴り飛ばされる瞬間だった。

俺は吹っ飛ぶ古泉と、物凄い形相をしたハルヒを黙って見ている事しか出来ない。
床と古泉の衝突音、と、古泉が本棚に頭を打ち付けた音がやけに大きく聞こえた。
しかもばらばらと大量に本が落ちてくる。うわ、泣きっ面に蜂だな。
呻き声を上げてもがく古泉を救出し、ハルヒを見上げた。

106 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/07(月) 18:55:07.22 ID:FO3d2UbD0

「っ……キョン……!?」

夕日のせいで血色を帯びているようにも見えたハルヒの顔だったが、
実際よく見ると、間違いなく顔面蒼白だった。
目を見開いて俺の顔を凝視している。まさか俺が戻ってくるとは思っていなかったらしい。

「古泉、平気か?」
古泉は古泉で、口元を歪めながらハルヒを睨み付けていた。
えらく挑戦的だな、なるほど、さっき余裕そうだったのは実際馬鹿にしていたんだな。
だが。

「ハルヒ、皆が居ない時を見計らって人を殴るなんてみっともないと思わないか」
「!!」
一瞬泣きそうに歪んだ顔はすぐ背けられ、
「……帰る!!」
ハルヒは鞄を乱暴に鷲づかみにし、まるで姿を見られた家鼠のように高速で走り去ってしまった。

107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/07(月) 18:55:27.31 ID:FO3d2UbD0

「…………おい、古泉。何やらかしたんだ」
責任は両方にありそうだ。ここは釘を刺しておくべきだろう、特に古泉は立場が危うくなりそうだしな。
しかし古泉は未だに笑顔だった。
「いえ、ね。少し……不愉快な事を言われたもので、皮肉を言ったらバレてしまいました」
喉の奥で声を震わせている。こら、何がおかしいんだ。


笑い声が止まり、暫く沈黙が流れる。
やがて、自分の後頭部を擦りながら目を閉ざし、唇を開いた。

「どうして、人の言う事をいつもはいはい軽く同意するのかと聞かれました」
それだけ言って、また黙り込む。

108 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/07(月) 18:55:49.44 ID:FO3d2UbD0

「お前……まさかそれで腹が立ったなんて言わないよな?」
「……ふふっ。……僕は言ったんです。
 『涼宮さんには逆らう気が起きませんから』と」

何とも微妙な台詞だな。ハルヒはどういう意味で取ったんだろうか。

「逆らったら怒りそうだ、そう言われたと思ったそうで、いつの間にか口論に」
「もうちょっと別な言い方なら良かったんだろうな……」

思わず溜息が出た。


「一度怒り出すと、何と言おうがいちいち反応しますね、あの人は」

……くすくす笑い出す古泉が、何だか不気味に見えた。

109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/07(月) 18:56:03.13 ID:FO3d2UbD0

「しかし、もうちょっと気を付けた方が良かったんじゃないか?
 怒られても笑ってたんじゃ、そりゃ相手もエスカレートするだけでさ……
 苦労するのはお前だって事は」
「あなたは」

言おうとしていた事が遮られる。


「そこまで解っていて、あなたは何故涼宮さんを怒らせるような真似をするんでしょうね」

110 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/07(月) 18:56:59.81 ID:FO3d2UbD0

古泉が喋り終わってすぐ、部室に虚ろな笑い声が響く。
表情は笑っている人間のものとは到底思えない。


いつまで笑い続ける気なのか。いつになったら笑い終わるのか。

睨み付けられている以上、俺はその場から動けず、ただ、早く古泉が帰ろうとしてくれないか。
それだけをずっと祈っていた。


一旦終?

127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/04/07(月) 19:20:45.23 ID:FO3d2UbD0

友情版(>>109の続き)

「しかし、もうちょっと気を付けた方が良かったんじゃないか?
 怒られても笑ってたんじゃ、そりゃ相手もエスカレートするだけでさ……」
「笑っているのが僕の仕事だと思っているのでね。あなたは気にしないで下さい」

やっといつものような如才ない笑顔に戻ったかと思えば、さっさと立ち上がって鞄を持ってしまった。
「待てよ」

ドアへと向かう足音が止まる。

「ハルヒはただ、お前の意見も尊重してやりたかっただけだと思うぞ。
 殴ったのはどうかと思うが……、俺もお前の肯定ばっかの態度はどうかと思うし」


今度の笑い声は、短く柔らかかった。

「まあ、たまには」

たまには、なんだよ。


歩いて行ってしまう古泉を追いかけようと、
俺は急いで忘れ物を探し、鞄に突っ込んだ。


友情編終わり



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