古泉「みんな死ねばいいのに」長門「落ち着いて」


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495 名前:1/3[sage] 投稿日:2008/04/02(水) 20:23:32.29 ID:HNA/ZUY30

結局2次会が終わるまで、奴は姿を現さなかった。
バカ騒ぎが終わり、近くに取ってあったホテルの部屋に二人して何とか転がり込み、
昼間から常時全開で盛り上がりまくったハルヒが豪快にベッドに倒れ込み、
やがて安らかな寝息を立て始めたのを確認した俺は、椅子にどっかと腰を下ろし、ネクタイの結び目をゆるめ、
大きく息をついた…のを、まるで見計らったかのように、部屋の内線電話が呼び出し音を鳴らし始めた。
「はい」
「夜分に恐れ入ります、フロントでございます。お知り合いの方がロビーにいらしてらっしゃいます。
 お名前を伺ったのですが、あいにく『言えばわかる』とのことでして…」
「そうですか、わかりました。あいや、結構です、今降ります。どうもありがとうございます」
そう言って電話を切る。やっと来やがったか。

もはや今日の主役の片割れでもなんでもなくなったただの男が、全身真っ白のタキシードでホテルのロビーに
のこのこ現れるのも奇異な光景だろうが、俺はそんなことは気にしなかった。オートロックの鍵を忘れないように
握りしめてロビーに降りた俺を、奴が待っていた。

496 名前:2/3[sage] 投稿日:2008/04/02(水) 20:23:49.14 ID:HNA/ZUY30

「やあ、式は楽しかったですか?」
「まあな、でもお前がいないもんだから、ハルヒも朝比奈さんも長門も鶴屋さんも、ついでに谷口と国木田の奴
 も寂しがってたぜ」
「申し訳ありません」
なんで来なかったんだよ――とは俺は言わない。かわりに
「いいさ。今日はお前にとっても『記念日』だったんだからな」
「ええ。あなたとは違って、一日なにも考えずに、携帯の呼び出し音も恐れることなく、ただぼうっと過ごせる
 ことが何より幸福な、そんな記念日でしたがね」
「…すまなかったな。お前を『仕事』から解放してやるのに、結局ここまでかかっちまった。これも全部、俺の
 甲斐性が無いせいだ」
「いいえ。終わりよければ全てよし、ですよ。ようやくあなたに『全ての下駄を預ける』ことが出来て、『機関』
 の皆も本当に胸をなで下ろしています」
「やれやれ。随分信用されたもんだな」
「ええ、そりゃもう。とはいえ『機関』はこれで解散というわけではありません。あなたからの要請があれば、
 いつでも推理劇の演出道具一式揃えて駆けつけますよ。ご入り用の際にはぜひ僕に」
そこまで喋った古泉を、俺は遮る。
「いや、断る」
「え?」

497 名前:3/3[sage] 投稿日:2008/04/02(水) 20:24:02.13 ID:HNA/ZUY30

「もういいだろ。俺はお前を、もう『機関』からは切り離して考えたいんだ。助力は歓迎だが、受付窓口は別の
 誰かにお願いしたいね」
「…わかりました。もちろん僕でなくても、新川さんでも森さんでも多丸さんでも裕さんでも一向にかまいませんよ」
そう言って微笑む古泉の顔は、高校の頃のあの顔に貼り付けたようなスマイルと変わらなかった。
「それにしても、その口調にニヤケ面、相変わらずだな。もう不要なんじゃねえのか?」
「ああ、これはもう癖のようなものです。まあ、徐々に直していきますよ。それに『機関』のアルバイト料も
 貰えなくなった今、僕は立派な無職です。就職活動には、この方がなにかと便利でしょう?」
「まあ、そうかもな」
会話がとぎれ、数瞬の沈黙が訪れる。気まずくなったからとか、そういうわけじゃない。自然と俺は右手を差し
出していた。
「改めて、よろしくな」
一瞬面食らったような表情を見せた古泉だったが、すぐにその手を握り返し
「…ああ、よろしく、キョン」
こうして俺はこの日、人生の伴侶と、一人の新たな友人を得た。


こんな駄文でも少しでも救えてたらいいのだが(´・ω・`)



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