みくる「あわわ・・・キョン君に古泉君・・・男性同士で・・・」


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9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/01(金) 23:02:17.50 ID:QZ0sc76m0

「キョン×古泉君で漫画書くから ちょっとやりなさいよ!」
ハルヒはそう言って、がっしりと俺たちの腕を掴んだ
「は?」
訳が解らん。男同士で何をしろと言うのだ。
思い切り眉根を寄せながら、隣で、いつもの笑顔のまま、少しだけ小首を傾げる古泉と目線をあわせる。
おい古泉、何とか言ってやれ。
「ええと、涼宮さん」
何か言いかける古泉を、ハルヒが制する。
「そう! それよ!! 今の目線で会話する感じ! なによ、アンタ達もうできてるんじゃないの?」

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/01(金) 23:09:08.64 ID:QZ0sc76m0

ハルヒの言うことは、何時も唐突である。
本人は自分の発言で、何もかもを説明したつもりになっているようだが、
凡人の俺からしてみれば、コイツの言葉はあらゆる所が足りていないせいで、全く不可解だ。
「おい、長門」
相変わらず我関せずで本に目を落としている長門に声を掛ける。状況を説明しろ。
長門は無言で、パソコンに目をやる。パソコンの前では、朝比奈さんが顔色を三色に変えながら、画面を見詰めていた。
「はわ…ぶ、ぶーんそううけ…? や、801って、何なんですか〜〜〜〜〜」
泣き顔の朝比奈さんも、俺に又良し。……ではなく、一体何を見ているというのか。
「涼宮さん、具体的に、僕達に何をしろというのですか?」
訳が解らないといった表情を、一瞬でポーカーフェイスに戻し、古泉が尋ねる。
頼むから、無茶振りはするなよ。俺はリアクション芸人じゃないんだ。
そう言うことなら谷口にやらせろ。まったく。

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/01(金) 23:19:56.08 ID:QZ0sc76m0

「だーかーら!」
大声をあげながらハルヒは妙に薄い本を、俺たちの前に突きつけた。
「BLよ! ボーイズラブ!! 最近流行ってるのよ」
「ぼーい…? なんだそりゃ」
目の前の本には、お世辞にも上手いとは言えないような絵柄で、男だか女だか解らん、人のような物が描かれている。
よく見ると、うん? キスでもしてるのか? それにしては身体のバランスが悪い、悪すぎる。
「BL、ボーイズラブの略称。少年や青年など、男性同士の恋愛及び性行為を描いた小説・漫画のこと」
「よく解ってるじゃない有希、そうよ、BLよ! 何でこんな物を世間の女の子は好きになるのかしら、コレって一種のミステリーよね!」
「はあ…」
古泉も、どう返したらいいのか解らないのか、まじまじとぺらい本を眺めている。
「だから決めたのよ! 私も腐女子になってみるわ! いい? これから私…じゃなくてオレは、身体は女でも心は男よ!」
ハルヒはそう宣言すると、どこからともなく漫画道具を取り出す。
大方、漫画研究会辺りからガメてきたのだろう。だが、どうして一人称や性別まで変える必要があるんだ。
「有希、アンタはこれから、一人称を僕にするのよ! みくるちゃんもね」
朝比奈さん、さっきから画面を見たまま固まってますが。
「うふふ、SOS団、始動よ…じゃなくて、始動だぜ!!」

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/01(金) 23:30:46.30 ID:QZ0sc76m0

長門曰く。
ハルヒは、朝からこそこそと、何かの本を交換したり、見せあいをしていた女子数名に興味を持ったらしい。
本来なら彼女達は、ハルヒの関わることのない、大人しめな子達だったらしいのだが
その、いかにも何かを隠している風の態度が、ハルヒの第六感を刺激したのだとか。
で、ハルヒはいつもの通り尊大な態度で、彼女達の所へずかずかと乱入し、結果、必死で隠そうとしていた本
……つまり、俺と古泉が見せられた、同人誌(個人で製作している本のこと:長門談)を奪ってきたのだとか。
彼女達は泣いてハルヒから本を取り返そうとしたのだが、時既に遅し。
持ち前の行動力と調査で、同人誌や腐女子が何たるかを知ったハルヒは、その特殊性に興味を示し
自分も腐女子になる! と、張り切っている。のが、今の現状。
「で、アレか」
長門の説明を聞きながら、俺はちらりと惨劇を横目に見た。
いつもの通り、朝比奈さんにハルヒが愛情表現…と言う名の、羨ましいセクハラをしている。
だが、その様子は何時もと少し違っていた。

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/01(金) 23:38:50.39 ID:QZ0sc76m0

「みくる、相変わらず良い身体してんじゃねぇか。俺の愛人にしてやっても良いぜ!」
激しく胸を揉みしだきながら、ハルヒはすっかり男口調になっている。
「う、ふえええええ…い、痛いです! 痛いですぅ〜〜〜〜」
まあ、確かにあれだけ乱暴に揉まれたら、空気抵抗ありまくりにご立派な胸だって痛いだろう。
面白いぐらいに変形する、朝比奈さんの特盛りはもう少し見ていたい気もするが、流石にこれ以上は目にも毒だ。
「おいハルヒ、止めてやれ」
とりあえず、声だけ掛ける。下手に手を出して、やわらかすいかに指でも触れたら、何が起こるか解らない。
だが、いつもは俺の制止の言葉に、苛立ったような表情を浮かべるハルヒが、今日はにやりと嫌な笑みを浮かべた。
「何だ? キョン、お前俺の男に手を出す気か? 何ならお前も、俺のコレにしてやっても良いんだぜ」
ハルヒは楽しげに、小指を動かす。お前、そんな言葉何処で覚えた。
もう注意をする気もなくなり、俺は視線を外し、代わりに先程から無言のままの古泉に声を掛ける。
「おい」
「はっ…はい!?」

26 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/01(金) 23:47:36.16 ID:QZ0sc76m0

古泉は、普段の表情は何処へ行ったのか。明らかに狼狽した表情で、勢いよく顔を上げた。
手には先程の薄い本が握られている。
ハルヒは、女子から何冊もの同人誌を奪っていたらしく、机の上には数々のそれらがぶちまけられていた。
どうやら古泉は、その中の数冊を読んでいたらしい。
「で、どうだ。それ、感想は?」
俺は読む気も起きないので、とりあえず感想だけ聞いておく。下手に読まされてダメージ何ぞ受けたくもない。
「そ、そうですね……はい」
歯切れも悪く、赤面したまま、古泉は俯く。
「ええと、こんな物を、女性が読んでいるなんて…ちょっと、考えられなかったですね」
オブラートに包んではいるが、要は気持ちの悪いエロ本だったと言うことだろう。
流石の古泉も、平静ではいられなかったようだ。
「そ、その。僕は、こういった行為は、男性と女性の間で行う物だと思っていました」
俺だってそうだ、と言うか、具体的に想像しそうな発言は止めろ。嫌になる。
古泉は、視線を合わせないまま、口の中で何かを呟いていたが、やがてふっと、何かに気付いたかのように顔色を変えた。
「キョン君、涼宮さんは、先程……」
「二人とも! 私から提案があるのよ!!」
ハルヒの声に、古泉の言葉は掻き消された。

30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/01(金) 23:55:10.41 ID:QZ0sc76m0

「アンタ達、デートしなさい!」
ハルヒは、ぐっと足を机の上に乗せ、高らかに宣言した。
さっきまでは楽しげに、男言葉を使っていたのに、もう飽きたらしい。
ってちょっと待て。何でそんなことになっているんだ。
「アタシが身体も男だったら良かったんだけど、そう言うわけにも行かないでしょ! だからキョン!」
びしりと、指が俺の鼻先を掠める。
「古泉君とカップルになって、私に萌を頂戴!」
もう、反論する言葉もない。

長門は、男同士がやけにくっついた表紙の本を、ユニーク、と呟きながら読んでいる。
朝比奈さんは、涙を浮かべたまま『機嫌を損ねないように、お願いします!』と無言で訴えてくる。
古泉は、固まったまま、手に持っていた本を取り落としている。

こうして、俺の最低で最悪なデートが組まれようとしていた。

37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 00:01:45.53 ID:a3nkShRb0

デートをしろ、と言ったものの、ハルヒは具体的なプランを全く練っては居なかった。
どうやら、其所から考えてこその彼氏でしょうが! と言うことらしい。アホか。
俺自身はこんなふざけたハルヒの我が儘に付き合うつもりはなかったのだが、朝比奈さんに
『キョン君、こんな事頼んじゃって、ゴメンナサイ。ぐすん…私も出来るだけ協力しますから』
と、涙目で。綺麗に筋が谷間に落ちていくように頼まれたのだから、断れるはずがなかった。
古泉にも僅かな期待を託したのだが、アイツはさらりと
『神人が出現して、仲間の手を患わせるよりはマシですから』
などと抜かして、この嫌な計画に異論を唱えはしなかった。
まったく、役に立たない奴め。

しかし。何処に行けば良いんだ? 俺はデートなんて知らんぞ?

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 00:05:08.27 ID:a3nkShRb0

デート場所>>50
やること>>55

安価でも良いか? と、言うか、>>1何処に行ったんだ。


50 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 00:11:11.18 ID:VuzIMeFo0

心霊スポット

53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 00:12:21.90 ID:q8O+Jgwt0

幽霊探し

55 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 00:12:34.79 ID:VuzIMeFo0

>>53


63 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/02(土) 00:20:41.73 ID:a3nkShRb0

結局、俺たちは心霊スポットで幽霊を探すことにした。
何故この時期にこんな事をしているのか、それは定かではない。
あわよくば、幽霊にかこつけて逃亡することが目的といえば目的だ。

大丈夫、こっそり後を着けて来るであろう朝比奈さんに、「キョン君幽霊怖いです!」
と抱きつかれたいとか、そんな邪なことは思っていない。

とりあえず、基本は幽霊トンネルだとか、寂れた洋館とかが妥当だが、そんなところあっただろうか。
そうぼんやり考えていると、ハルヒから聞いたのか、鶴屋さんからメールが来た。
『にょろ〜ん、鶴屋だよっ!』

67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/02(土) 00:29:15.91 ID:a3nkShRb0

『心霊スポットなら、めがっさ素敵な場所を知ってるよっ! デートにはもってこいの場所だねっ』
メールには、簡易な地図が添付されていた。バスで少し行けば見えてくる、古い洋館らしい。
『うちが所有してる物件っちゃあ物件なんだけど、色々あって今は手入れもしてないんだよ〜。
鍵は明日持って行くから、良かったら、ついでに中の様子を見ておいてくれたまえ!』
色々あって、の部分が気になるが、まあ、いいだろう。
貴重な休日が潰れるのはきついが、その辺りの責任は古泉に、飯でも奢らせて取って貰うことにする。

さて、嫌がらせをこめて、古泉にメールでもするか。
ついでに、何か持って行かせる物が在れば、それも書き込んでおきたいところだが。どうする?
>>75 古泉へのメール内容と持って行かせる物


75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 00:32:50.82 ID:q8O+Jgwt0

鶴屋さんに良い心霊スポットを教えてもらった事を簡潔に

・手作り弁当
・塩


84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/02(土) 00:39:35.99 ID:a3nkShRb0

『心霊スポットを鶴屋さんに教えて貰った。地図は添付しておいたからな。
あと、結構時間掛かるだろうから、昼飯は弁当で良いか? 作るの面倒だからお前作って持ってこい。
それと、幽霊退治出来るように、塩な。じゃ、また明日。』
こんな文で良いだろうか、とりあえず、送ってみる。
ハルヒの我が儘に付き合ってるんだ、古泉には俺の我が儘に付き合って貰う。
弁当の下りは、まあ。冗談という奴だ。念のために俺も、カロリーメイトくらいは持って行こう。
そうこうしていると、古泉から返信が来た。
『解りました。彼女の提案なら、そうそう酷いことにはならないでしょう。
巻き込んでしまったこと、申し訳ありません。昼食は、僕の方で何とかします。
塩…ですか、古典的ですが、案外効くかもしれませんね。では、失礼します。お休みなさい』
…本当に、弁当作ってくる気なのか? アイツ。

そして、俺の最悪なデートが、始まった。

89 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/02(土) 00:48:34.33 ID:a3nkShRb0

「さあ! ここからがデート本番だぜ。俺とみくると有希は、三十分後に付いていくから、お前ら先に行け」
古びた洋館の戸口で、ハルヒが言い放つ。探険と言うことで、その格好は動きやすい……? 学ランを着ている。
口調も男口調になっており、何というか、完全にかぶれている。ハルヒの中に、また腐女子ブームが来たらしい。
朝比奈さんや長門も、ハルヒに無理矢理着せられたのか、朝比奈さんはブレザー、
長門は下がハーフパンツのセーラーを着せられている。
うん、朝比奈さん。ブレザーでも解るその盛り具合、素敵です。あとは下がスカートなら、猶俺的には嬉しいのですが。
とにかく、とハルヒは高らかに腕を差し上げる。その手にはシャープペンと、大きく『ネタ帳』と書かれたノートが握られている。
「お前達は思う存分いちゃいちゃしやがれ! 吊り橋効果だ吊り橋効果!」
そう言うと、ハルヒは楽しげに、肩から提げていた鞄を漁り、何かを取り出した。
何だ? と思う間もなく、手首に冷たい感覚が走る。がしゃん、という嫌な音が響いた。
「さ、行ってくるんだぜぇキョン!」

洋館内に押し込まれた、俺と古泉の手首には、ごつい銀色に光る手錠がしっかりと、離れられないようにつけられていた。

95 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/02(土) 00:55:50.11 ID:a3nkShRb0

はぁ、と溜息を吐くが、それで手錠は外れるわけでもなかった。
暫くがちゃがちゃと振ってみたり、外そうと引き抜いてみたりしたが、びくともしない。
扉はハルヒによってしっかりと閉められている。ココで三十分まって、ハルヒ達と一緒に洋館を回る…という手もあるが。
「どうしましょう。ココで留まっていては、涼宮さん、怒りますかね」
同じく手錠と格闘してた古泉が、諦めたように呟く。確かに、扉を開けた途端、一歩も動いていない俺たちが目に入れば
ハルヒは烈火の如く怒り出すだろう。俺はまあそれでもかまわんのだが。
ちらりと古泉の方を見ると、困ったように、古泉も此方を見て苦笑した。
「ココでハルヒを怒らせるのは、お前的に問題あるのか」
そうですね、とぼやきながら、古泉は少し躊躇うように、コートの袖口を見ていた。

さて、どうするか。
1 ハルヒを待ってみんなで行く
2 古泉と二人で別の出口を探す


97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 00:56:16.34 ID:umnVq1AG0



98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 00:56:55.18 ID:q8O+Jgwt0



ああ寝ないと駄目だ
明日の朝まで絶対残ってますように

99 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 00:57:11.84 ID:0qNjvFnC0

3 洋館の中でベッドを見つけた二人は・・・

100 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 00:57:53.04 ID:I4rlRRPd0

2だろ

101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 00:58:09.09 ID:hftCAuUyO

2

102 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 00:59:10.33 ID:a5NjFynMO

2

103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 01:00:35.19 ID:q4dzhCoXO




107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/02(土) 01:05:28.43 ID:a3nkShRb0

「よし、別の入り口を見付けるか」
自分に言い聞かせるために、声を出して宣言し、俺は古泉を手錠ごと引っぱった。
古泉は驚いたように、俺に習って身を翻したが一瞬遅く、手が引っぱられたのにつられ、バランスを崩す。
「わ、わ、わ」
「!? 古泉!!」
ぐらりと倒れそうになる古泉を支え……損なって、俺は大きく身体の軸をぶれさせてしまう。
咄嗟に手近にあった階段の手摺りを掴もうとするが、手が滑って、その下にある変な飾りの像を掴む形になった。
助かったと思う間もなく、しっかりとしていたはずの像がいきなり、がこんと音を立ててずれた。
へ、と変な声を出した次の瞬間、鈍い音を立てて足下から地面が消える。
「な、なななななななんだ!!!!」

俺と古泉は、悲鳴を上げることも出来ずに、深い暗闇の中へ落ちていった。

112 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/02(土) 01:16:30.17 ID:a3nkShRb0

「くん…く……キョン……キョン君!!」
肩を僅かに揺さぶられる感覚に、俺は薄く目を開けた。眩しい。頭の中でウェディングベルが大合唱をしている。
ぐっと強く瞼を閉じた後、再びゆっくりと開くと、心配げな顔をした古泉が、俺の顔を覗き込んでいた。
「ん、こい…ずみ?」
よく見ると、眩しいと感じていたのは、携帯の画面から放たれる灯りだったようだ。
俺は、先程の足下が無くなる感覚を思い出しながら、古泉に尋ねる。
「ココは、どこだ? 俺たちは落ちて、それで……?」
「落ちたままです。多分、ここは地下室でしょうね」
古泉は、手持ちの携帯電話で、周囲を照らした。ぼんやりとした光の中に、木製の棚や多量の埃を被った資材が見えた。
自分たちが落ちてきた上を眺めるが、そこはしっかりと隙間無く、板が塞いでいる。
「僕も、確認しました。手を伸ばせば指先は届くんですが、押しても引っ掻いても、こちら側からは開かないようです」
どうなってんだこの屋敷は。そうぼんやり考えながら、手に布の感覚がするのに気が付いた。
どうやら、置きっぱなしだったシーツの山の中に、上手く落下したらしい。怪我はない。
古泉は携帯の画面を見詰めている。圏外の表示が空しく光っている。
時間を見れば、三十分はすっかり過ぎていた、ハルヒ達は今頃何処に居るんだ?

1 兎に角ココから出る
2 助けを待つ


115 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 01:18:04.18 ID:umnVq1AG0



116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 01:18:04.20 ID:8e3Mf1MtO

3 内側からは出られない

117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 01:18:16.57 ID:eE+16le3O



118 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 01:18:19.06 ID:q4dzhCoXO



119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 01:18:45.37 ID:I4rlRRPd0

2

120 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 01:18:52.86 ID:0edkU7+iO

古泉ってキョン君なんて呼ばないよな

121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 01:18:53.08 ID:hftCAuUyO


冒険でしょ

122 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 01:20:24.67 ID:dhyhpW9l0

3そのままシーツの上で

123 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 01:20:32.86 ID:a5NjFynMO

1


126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/02(土) 01:23:44.46 ID:a3nkShRb0

ココで待っていても始まらない。俺は手錠を引っぱって古泉を呼ぶ。
「おい、とにかくココから出るぞ。階段でも見付けて、合流しよう」
「そうですね、こんなところでぼんやりしていたら、涼宮さんの力でどんなことになるのか、解った物じゃないですから」
珍しく真剣な表情で、古泉は頷く。携帯で辺りを照らすと、棚の向こう側に、小さな木製の扉があるのが解った。
あそこからなら、出られるかもしれない。
古泉に視線を送り、今度は下手に転けたりしないよう、手錠を軽く引き、合図をしてから、シーツの山を下りる。
薄明かりの中、手探りで扉を調べると、鍵は掛かっていなかったようで、あっさりと扉は開いた。
さて、もうこの部屋に用事はないだろうか。
何か持っていく価値のある物は、置いてないだろうか。

>>130 部屋の中にある、持って行くべき有益な物


130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/02(土) 01:26:44.61 ID:YjxfVrkC0

刃物


138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/02(土) 01:34:05.44 ID:a3nkShRb0

よく見ると、部屋の隅には大きな鉈が置いてあった。
先が尖った形の、珍しい鉈だ、それも相当古い。持ち手を握り、確かめるためにじっくり眺めていると、妙な気持ちになってくる。
こう、上手くは言えないが、バットと殴り合いをしたくなってくるような鉈だ。
俺は護身のために、その刃物を持って行くことにした。
鉈を持つ俺をちらりと見て、古泉が、ほんの少し嫌そうな顔をした気がしたが、気にせず進むことにした。
武器を持っていると、何となく安心できる気がする。これは、男の心情だろうか。
「あなたが、そう言う物を持っていると、何だか変な気分になりますよ」
携帯で照らしながら木戸を開け、頭上の確認をしつつくぐる古泉の口から、妙な言葉が漏れる。
「そういうの、似合いませんから。いざとなったら僕に渡してくださいね」
俺は、yesともnoとも言わず、扉をくぐった。

先には、煉瓦ばりの狭い廊下が続いていた。

144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/02(土) 01:41:33.76 ID:a3nkShRb0

こつこつと、靴音だけが響いている。
先程から階段を探しているのだが、やけに狭く、長い廊下の先には、何も見えてこない。
途中、幾つか部屋はあったもののどれも使われていない倉庫のようにがらんとしていて、めぼしい物も何も無かった。
梯子か、薄い天井が在れば、破って出て行くことも可能なのかもしれないが、とにかく。
薄暗い部屋と湿った空気に、俺はすっかり参っていた。
もう何個目になるのか解らない部屋を探っていると、不意に、古泉が手錠を軽く引いて俺に合図してきた。
「このランプ、未だ使えそうですよ。ほら、マッチも見付けました」
丁度良い具合に、油も残っている。火を付けると、今まで携帯の灯りしか見ていなかった所為か、随分明るく見えた。
炎の揺らめきに安堵したせいか、ぐうと腹の音が鳴る。
古泉は、おやおやといった風に笑っていたが、継いで自分の腹からも、ぐぅと言う音が鳴るのを聞いて、恥ずかしげに目を伏せた。
「どうしましょう、この辺りでお昼にしますか? 涼宮さん達も、各自で取っているでしょうし」
「そうだな、そうするか」

俺は、適当な場所に古泉と並んで座り
1 古泉の作った弁当を食べる
2 自分で持ってきたカロリーメイトを食う


145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/02(土) 01:42:44.66 ID:2GRfFkt40

1

147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 01:43:18.20 ID:yCtCIuR6O

鉈で手錠壊せないのか?ハルヒが怒るから古泉的にダメそうだが

148 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 01:43:22.01 ID:eE+16le3O

1しかないだろ!

149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 01:44:37.98 ID:Zvf6MLpFO



最初からROMってたけどゲームっぽくて面白い!!

150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 01:45:13.21 ID:hftCAuUyO



151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 01:45:43.02 ID:I4rlRRPd0

1だろどう考えても

ID:a3nkShRb0は素直にすげえな

152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 01:45:46.44 ID:a5NjFynMO

1

155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 01:47:29.37 ID:q4dzhCoXO


>>1
明日まで残ってることを祈る

158 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 01:51:03.84 ID:3tzzI0IT0

1


160 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/02(土) 01:53:32.80 ID:a3nkShRb0

折角のタダ飯を不意にするほど、俺は甘い男じゃあない。
もちろん、貰える物なら、例えそれが古泉手作りの弁当であろうが、何だって食う。
古泉が広げた弁当は、オーソドックスなサンドイッチと、少々のおかずの弁当だった。
正直、これが酷く綺麗な、雑誌に載っているそれこそ女の子が作るような弁当なら、俺も気が引けたというか、ドン引きしたのだが。
古泉の弁当は、意外と男らしい、悪く言えば、見た目的にはちょっと荒が見える、そこそこ手抜きの弁当だった。
卵焼きが綺麗に巻けていなくて、半ばかき卵になっているし、味付けも砂糖より醤油が多めで、個人的には好感が持てる弁当だ。
サンドイッチも、具がはみ出している。古泉自身食べづらいのか、自由な方の手で零さないよう、危なっかしげに食べている。
「どうしましょうか、これ、食べ終わったら」
「どうするって、また探すしかないだろ」
そう言い返しながらも、俺は冷静に考えていた。
この場所を訪れることは、鶴屋さんも承知の上の話だ。
だとしたら、例え今日中に俺たちがココを抜け出せなくても、そのうち彼女か、若しくは長門あたりが見付けてくれるだろう。
……もしかして、動いて無駄な体力消費してないか? 俺たち。
「涼宮さんが」
むぐむぐとハムサンドを咀嚼しながら、古泉がぼやく。
「こうなるように仕向けたんでしょうか」
確かに、その可能性はあるが…。だとしたら、目的は何だ? BLか?
「なあ古泉、俺は読んでないからしらんのだが」
何ですか? と、古泉が口元を拭いながら、此方を見てくる。
「BLって、どうすれば終わるんだ?」

170 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/02(土) 02:02:16.68 ID:a3nkShRb0

「全くよぉ、彼奴ら何処に行ったんだよ。せっっっっかく! このオレが! BL展開をじっくり見てやろうとしてるのに!!」
ハルヒは、ぷりぷり怒りながらも、男口調は崩さないまま屋敷内を探索している。
その後ろを、泣きそうになりながらみくるがちょこちょことついて回っている。
「あっ…あのぉ、迷子になってるって可能性は、ないんですか? ここ、広いですし……」
涙声になっている彼女を鼻で笑うと、ハルヒは腰に手を当てて、特注の学ランを翻す。
下は、ズボンではなくスパッツを穿いており、一見すると男装の麗人だ。
「迷子? どうせなら幽霊に誘拐された方がマシよ! …じゃなくて、マシなんだぜ!!」
ハルヒの発言に、ぴくりと長門の眉が動く。
「幽霊……」
「そうだ! 幽霊に操られて、とっととやることやっちゃって貰いたいもんだぜ!!」
更なるハルヒの暴言に、みくるは顔を真っ青にしながら、ハルヒの腰にしがみついた。
「そ、そ、そ、それは駄目ですぅううううううううう!!」
たゆんたゆんと揺れる胸が、ハルヒの細い腰を挟む。だが、ハルヒは進むのを止めようとしない。
「全く! 見つけ出したらオレの目の前で、たっぷり生BLを見せて貰うんだから!!」

178 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/02(土) 02:11:22.51 ID:a3nkShRb0

先程から、長門はハルヒにばれないよう、こっそりとキョンに連絡を取ろうとしていた。
だが、何者かに―――いや、間違いなくハルヒが、無意識のうちに、それを阻害しているのだろう。
長門は、先日見たBL本の内容を分析、統合し、幾つかの選択肢を脳裏に浮かばせる。
『涼宮ハルヒ、彼女が、あの本を全て見ていたとしたら、この状況で彼らに求められる可能性は、二つ』
1 幽霊にどちらかが身体を乗っ取られ、アッーな展開になる
2 奇妙な生物(触手系)が、彼らを襲う

どちらにせよ、ハルヒの求めることは、彼らの間に何らかの恋愛感情が芽生えることだ。
其所には、彼女なりの屈折した愛情があるのだろうが、その細かい機微まで理解できるほど、長門の感情は発達していない。
『どうする、私。じゃなくて…ボク』
そんな長門を余所に、ハルヒはみくるの鞄の中から、彼女お手製の弁当を見付け、奪い取ろうとしていた。

195 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/02(土) 02:26:18.22 ID:a3nkShRb0

俺の質問に、古泉は面白いほど綺麗に固まった。
硬直が溶けた後も、視線をあちらこちらに彷徨わせ、決して俺の方を見ようとはしない。
「ええっと、ですね。僕も…そのう、余り最後までは……見ていなくて」
「あー…ああ、もう良い、うん。大体解ったから」
古泉のうろたえる姿は、普段とは違っていて、結構退屈しのぎにはなるのだが、かといって詳しく話を聞き出したくもない。
正直、知る必要のない知識は、持っているだけで有害だ。
「す、すいません」
上手く呂律の回らない唇を、何度も擦りながら、古泉は申し訳なさそうに身を縮こまらせた。
コイツがココまで嫌がるのだ。相当な中身だったんだろう。そんなモノを楽しんで見ることの出来る女は、俺だって怖い。
その場の雰囲気を変えるために、俺は別の話題を出すことにした。
「そういや古泉、お前本当に塩持ってきたのか? 塩」
古泉は、救われたとでも言うように、ふっと息を吐き、何時も通りの笑みを浮かべて、手持ちのバッグを俺の方に寄せる。
「持ってきてますよ。とりあえず、家にあったのを一瓶、伯方の塩ですけれど」
本当に持ってきたのか、コイツ。
俺の微妙な表情を察したのか、古泉は慌てたように、瓶を取り出す。
「あ、いえ。幽霊が怖いとかじゃあないんですけれど、言われたのなら持ってくるべきかと思いまし……」
不意に、古泉が言葉を止める。俺は、取り出された瓶を受け取ると、古泉の顔を覗き込んだ。
その表情は、能面のように凍り付いている。

古泉じゃ、ない?
こいつは……

1 朝倉涼子
2 谷口


196 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 02:27:10.66 ID:VuzIMeFo0

朝倉さん

198 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 02:28:00.17 ID:dhyhpW9l0

谷口はねーよ
あしゃくら

199 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 02:28:02.21 ID:qaY9hndGO

急展開だな
朝倉

200 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 02:28:27.22 ID:wiyXDwmBO

涼子さんで

201 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 02:28:47.10 ID:YylIMSsuO

谷口はないなww
あしゃくりゃしゃん

202 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 02:28:50.34 ID:I4rlRRPd0

あえて谷口


209 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/02(土) 02:40:36.79 ID:a3nkShRb0

「朝…く、ら?」
その表情は、見覚えがあった。朝倉、涼子―――だが、どうして?
どうして彼女の表情を、古泉が浮かべている!?
『うふふ、お久しぶりね』
古泉の口から、楽しげな女の声が漏れた。朝倉だ。間違いない。
『涼宮ハルヒ。彼女が、幽霊と聞いて真っ先に思い浮かべたのが私だなんて…意外と、私が消滅したことに、勘付いているのかしら?』
こてん、と、古泉の顔で、朝倉は小首を傾げて見せた。
それは、古泉の取る、何処か間の抜けた仕草とは違い、明らかに狂気を帯びている。
『まあ、どちらでも良いわ。私の役目は只一つ』
ふっと、何も無い空間から、あの。ぎらぎらと光るナイフが取り出された。
『死んで?』

近距離から繰り出される朝倉のナイフを、俺は咄嗟に伯方の塩の瓶で受ける。
すぱっと蓋の部分が綺麗に切れて、天井にぶつかった。
手が繋がれているので、逃げようがない!
俺は、大きくのけぞると、傍らに置いてあった鉈を取り、古泉…いや、朝倉を迎え撃つ。
ナイフと鉈がぶつかり、きらりと火花が散った。不思議だ、俺には格闘の経験も何も無いのに、まるで。
鉈が意識を持ったかのように、滑らかに動く。
『うふふ…器用ね。もしかして貴方、この彼を、殺めてしまいたいの? それとも、彼が貴方を殺めたいと思ってるのかしら?』
朝倉は、楽しげに、大きな動作でナイフを振り回す。
『この躰の持ち主である、古泉一樹は、精神を、私にいとも容易く乗っ取られた。きっと、彼は思ってるんだわ』

『この世界なんて、本当はどうなったって良い。貴方にも死んで欲しいって』

217 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/02(土) 02:49:25.94 ID:a3nkShRb0

「嘘だッ!!」
俺は大声で反論して、鉈を振り回す。
「嘘だ嘘だ嘘だっ!! 古泉が、そんなこと思ってるはずがない!!」
『そうかしら?』
朝倉は、楽しげに嗤ってみせる。
そんなことはないはずだ。古泉は、ハルヒに好意を持っている。いや、少なくとも、嫌ってはいないいはずだ。
だが、冷や汗は止まらない。本当に、100%。古泉が、殺意を抱いていなかったと言い切れるか?
超能力者として、閉鎖空間で戦うことを余儀なくされ、何もかもをねじ曲げられて、それでも笑っていることに。
諦めを感じていなかったと、俺は、言い切れるのか?

『今更ね、お馬鹿さぁん』
朝倉のナイフが、煌めく。
古泉が、笑顔を浮かべて、俺を刺し殺そうとしている。
俺の手は自然に動き
1 伯方の塩を顔面に投げ付けた
2 鉈で身体の中心に斬りかかった


221 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 02:53:47.18 ID:a5NjFynMO

1だろ!

222 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 02:53:49.35 ID:pHeuTq+S0

1wwwww

朝倉と伯方の塩大活躍だなwww


230 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/02(土) 03:03:10.23 ID:a3nkShRb0

俺は、思わず、未だに片手で持ったままだった伯方の塩を、朝倉の顔面に投げ付けていた。
朝倉は、一瞬何が起こったのか解らないようだったが、塩が目に染みたことで状況を理解せざるを得なかったらしく。
『きゃんっ!!』
という悲鳴を上げて、その場に座り込んだ。
尻餅の音が響き、辺りの空気が変わる。張りつめていた空間に、風が吹き込んだ。

古泉は、暫く何が起こったのか解らないようにぼんやりと、女の子のように座ったままだったが、
やがてはっと気が付いたかのように、目を必死で押さえてぱたぱたと涙をこぼし始めた。
「や…やりすぎ…です…いった…いたい………」
成る程、塩は本当に効くらしい。
変なところに感心しながら、俺は古泉の頭を掴み、ぐっと持ち上げた。
眉間に瓶の跡がくっきりと赤くついており、塩まみれになった顔は、染みて痛いのかぼろぼろになっている。
「悪い、やりすぎた」
一応謝っておくが、朝倉が去ったのは俺の御陰なんだと、後で恩を着せておこう。
そう思いながら、腫れ上がる瞼をじっくりと見ていると、風の吹き込んだ方向から、嫌な気配がするのを感じた。
「きょ、キョン……アンタってやつは……っ」
「あわわ…キョン君に古泉君…男性同士で……」
「……ユニーク」
開け放たれた戸口からは、何時から居たのか、ハルヒ達が、嫌そうな顔で、俺と、泣き続ける古泉を眺めていた。

240 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/02(土) 03:14:51.35 ID:a3nkShRb0

結局ハルヒ達は、朝比奈さんの弁当が転がり落ちた先から、この通路に続く階段を見付けたらしい。
で、どたばたする物音を聞きつけて来てみれば、いきなり泣き出す古泉と、その顔を覗き込む俺がいた。
つまり
「キョン…確かにアタ…俺は、古泉君とBLをしなさいって言ったけど、泣かせろとは言ってないぞ」
「ご、誤解ですよね! 何かの…誤解……」
「わた……ボクは、在る程度は理解している」
完全に、誤解されたということだ。

こうして、おれの最悪のデートは、最悪の形で幕を下ろす結果となった。

帰りのバスの中、運転席の近くで、例のぺらい本を読みながら、何があったのかを大声で推論するハルヒ達を無視して、
俺は、一番後ろの座席に座る古泉の隣りに腰を下ろした。
古泉は、こちらを見ることなく、窓の外へ視線を向けている。
「僕は、SOS団の皆さんが、好きなはずです」
古泉が、聞き取れないくらい小さな声で囁いた。
「ですから、彼女の言ったことは、全て嘘だと。言い切りたい」
ですが、と続けかけて、古泉はぐっと、握り拳を作った。その手首には、くっきりと、手錠の跡が残っている。
だが、俺の手に残るそれとは違い、古泉の手首には―――もっと、古い、幾つもの傷跡が、うっすらと見えた。
視線に気付いたのか、古泉は振り向かず、ただ袖口だけを上げて、隠す。
「神人との戦いにも、慣れていない時期はありましたから」
古泉は、それだけ言うと、もう何も話したくはないのか、ふっと目を閉じてバスの揺れに身体を預けた。

252 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/02(土) 03:24:12.00 ID:a3nkShRb0

バスから降りると、ハルヒは長門と朝比奈さんの二人の肩を抱き、俺に向かってべーっと舌を出してきた。
「キョンのバーカ! もう良い! 俺はこれから二人とデートするもんね!! 明日、学校で覚えてろよ!!」
さあ、行くぞ! と、今度は手錠を、自分以外の二人に填めて、鎖部分を引っぱる形で、ハルヒは歩き出した。
朝比奈さんは、この格好でですか〜!? と、泣きそうな顔をしていたが、やがて諦めたのか、俺に向かってぺこぺこと頭を下げる。
長門は、端から諦めていたようで、俺の方をちらりとだけ見ると、すぐにハルヒの後を着いていった。
俺はと言うと、未だに、古泉に掛ける言葉を失っている。
「では、僕も帰りますね」
古泉は、俺が何か言い出すよりも先に、踵を返して歩き始めた。
俺よりも高いはずの身長が、やけに小さく見える。
その背に、俺は、思わず大声で投げかけた。
「俺は、卵のサンドイッチよりも、ベーコンレタスの方が好きだ!」
ぴたりと、古泉の足が止まる。少しだけ震えているように見えたのは、目の錯覚かもしれない。
「そうですか」
振り返る顔も、逆光で上手く見えない。
「なら、今度はそちらを作りましょう、では、また明日、部室で」

260 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/02(土) 03:32:44.82 ID:a3nkShRb0

後日、鶴屋さん曰く
『あの建物? ああ、面白い仕掛け一杯あったにょろ?
 いつかお化け屋敷にでも改造しようと思って、取っておいたんだよね〜。で、どうだった?』
俺の返答
「や、止めた方が良いですよ。あそこ、本物出ます。WAWAWA忘れ物?って、忘れ物取りに来る生き霊が居ますから」

結局、ハルヒの腐女子体験は数日で終わったらしい、が、意外と男の格好をしたハルヒには需要があったらしく
そちら系の女子からは、コスプレだの何だので、お呼びが掛かることもあるそうだ。
朝比奈さんの誤解は、必死に解いた。暫くは疑いの眼差しを向けていた気もするが、とにかく違います言うと、
「そうです…よね?」
と、古泉を見据え、眉を顰めることもあったが、まあ、大丈夫だろう。
長門には、朝倉が出たことを話したが
『あれは、涼宮ハルヒが望んだから、朝倉涼子の形を取ることが出来ただけ。もう、あんな事はないだとうと、思う。ボクは』
とのことだった。

そして、俺と古泉はと言うと、相変わらず部室でゲーム三昧の毎日を送っている。
ただ、一つ以前と違うことはと言えば、罰ゲームに昼食を奢ることが含まれるようになったことと
古泉の昼食が、ベーコンレタスサンドになることが多くなったことだけだ。

【打ち切り】


284 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/02(土) 03:59:09.78 ID:a3nkShRb0

さて、先日の一件で気付いたことなのだが、どうも俺は、古泉が虐められて凹んでいる様を見るのが楽しいようだ。
そう言えば、以前から、ゲームで容赦なく古泉を打ち負かす度に、妙な爽快感があった気もする。

考えてみれば、俺は古泉に殺されかけたも同然なのだから、反撃くらいしたって良いはずだ。
ふむ、まずはどう動くか。

>>290 古泉を虐める方法


290 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/02(土) 04:01:39.19 ID:dhyhpW9l0

トイレに行かせない
部室で(ry


298 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/02(土) 04:08:41.86 ID:a3nkShRb0

ふむ、とりあえず、あのポーカーフェイスを崩してみることから始めるか。
俺は朝比奈さんに頼んで、古泉の傍にある湯飲みが空になったら、すぐにお茶をつぎ足して貰うよう頼み込んだ。
朝比奈さんは、始め え? と途惑っていたが、やがて難しそうな表情で、解りましたと納得してくれた。

後は、古泉が部室に入ったのを見計らって、ドアが開かないように細工をすればいい。
とは言え、細かい作業は苦手なので、手っ取り早く扉を閉めた瞬間に、接着剤を流し込んだだけだが。
まあ、体当たりでもすれば空くし、そこまで焦る古泉を見れたら御の字だ。
古泉は俺の思惑に気付くこともなく、オセロ版の前で茶を飲んでいる。

さあ古泉、俺の復讐を思い知るがいい! そして、いつもスカした顔をしているその表情を歪ませてやる!!
…………って、俺、ちょっと谷口入ってないか?

305 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/02(土) 04:15:19.31 ID:a3nkShRb0

まずは、何時も通り雑談をしながら一局。また一局。
今日は、なるべく長引くように、態とどっこいどっこいの試合をしているので、一つの勝負に掛かる時間が長い。
古泉も、俺が不調なことに気付いたのか、不思議そうに此方を見ている。
頑張れ俺、笑みを零さないようにしろ!

やがて、接戦とはいえ俺の連勝が何回か続いた頃、古泉は、ようやく席を立ち上がった。
「古泉、何処行くんだ?」
奴はにこやかに笑みを崩さない。
「ちょっと休憩しましょう? 僕も、外の空気を吸いたいですし。少し外しますね」
そう言って、ドアノブに手を掛ける、が、開くはずがない。
古泉は、暫くあれ? だのえ? だのと呟いていたが、やがて不思議そうに振り返る。
「あの…このドア、何か開かないんですけれど」
よっしゃあああああああ!!!
心の中で激しくガッツポーズを決めながら、俺は、傍目からは至って冷静に見えるように振る舞う。
「は? 何だって? 錆び付いてんじゃないのか? 放っておけばその内、ハルヒが突っ込んできて開くだろ」
不服そうに、古泉はドアノブから視線を外さない。
「ま、その内空くだろ。きっといつものハルヒの気紛れだ、さ、もう一勝負しようぜ」

311 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/02(土) 04:24:25.72 ID:a3nkShRb0

先程から、椅子の軋む音がしている。
全く盤面に集中できていないのが、手に取るように解り、俺は机の下でぐっと親指を上げた。
古泉の視線は完全に泳いでいる。助けを求めるように、俺を捉えることもあるが、まるで気付いていないように振る舞ってやる。
「おーい、聞いてるか古泉。ハルヒが居ないのが、そんなに不満か?」
「いえ…そんなことは」
俺の質問に答えるのも辛いのか、古泉は明らかに焦っていた。
本当に限界が来たなら、窓から出すなり何なり出来るはずだが、まあ、大抵の人間はやりたがらないな。うん。
長門は、座ったままぴくりとも動かず、『腐女子の生態』という本を読んでいるし
朝比奈さんは、相変わらずお茶くみに勤しんでいる。
まさに八方塞がりだ。
正直、俺がこんな状態になったら、恥も外聞も捨て去って、戸口を蹴り開けるだろう。
だが、古泉にはそれができない。

このまま動きがないのも面白くないので、俺は、更に行動を取ることにした。

>>320 更なる虐め
と、言うか。俺も長門とかを弄る方が書きたい。朝倉さんとか。
古泉の人気に驚愕。


314 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 04:26:23.14 ID:RGB5x7BAO

おもむろに長門のスカートに顔を突っ込んで「古泉、もらせ!俺見てないから!」と叫んで朝倉召喚

320 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 04:33:22.68 ID:RGB5x7BAO

>>314


327 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/02(土) 04:39:29.68 ID:a3nkShRb0

よし!
俺は覚悟を決め、徐に古泉に話し掛けた。
「古泉、お前……もしかして、便所行きたいんじゃないのか?」
俺の言葉に、古泉は驚いたように目を見開き、びくりと身体を震わせる。
朝比奈さんが、ひゃん! っと、素っ頓狂な声を上げて、顔を赤らめ古泉の方を見た。
古泉は、ぽかん、と、こちらを見ていたが、すぐに顔を真っ赤にして、口をぱくぱくさせる。
「そうだな、出ないとそんなに膝をがくがくさせたりしないよな…すまん、俺が無神経だった」
ぱんっと、目の前で両手の平を重ね、頭を下げる。
そして、鞄の中から、もしもの為に用意しておいた、空のペットボトルを取り出した。
「よし古泉、コレを使え! 大丈夫だ、俺は……」
椅子から立ち上がり、長門と向かい合う。俺の影に気付いたのか、長門はふっと顔を上げた。
その頭を軽く撫でて、そして―――。

スカートの中に、頭を突っ込んだ。
「古泉、もらせ!俺見てないから!」

336 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/02(土) 04:46:03.21 ID:a3nkShRb0

場の空気が固まるのが解った。
スカートの中からだが、その雰囲気は手に取るように解る。
ちなみに、長門のスカートの中は、古典的な紺色のブルマだ。
もちろん、長門には予め許可を取っている。でなければこんな行動出来るはずがない。
長門は、最初は俺の作戦を聞いて、責める出もなくこちらをただただ見詰めていたが
俺がこの作戦を行う意味を教えると、しぶしぶ了承してくれた。
もちろん、朝比奈さんにも、俺がこういった行動を取ることは、予め伝えてある。
後は―――。

「ちょっとキョン!! 扉が開かないじゃないの!!!」

鮮やかなハルヒの回し蹴りで、扉が激しい音を立てて開く。
古泉は、ぽかんと、乱入してきたハルヒを見詰めていたが、すぐにさあっと顔面から血の気を引かせて
ハルヒの脇をすり抜けて、全速力で部室から飛び出していった。

さて、どうするか……。
>>340 キョンの行動


340 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 04:49:37.20 ID:xM98LcyxO

てか古泉が可哀想だなwwww見たもの信じたくないだろww
安価なら冷静にいいわけ


342 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/02(土) 04:54:56.23 ID:a3nkShRb0

とりあえず、フォローのために古泉の後を追うことにした。
近くの男子トイレの中、一つだけ、扉が閉まっているトイレをノックする。
「古泉、居るか?」
小の方ではなく、大の方を使う辺り、コイツも繊細なのかもしれん。
「……こんなところで、声、かけないでください」
律儀に返事をしながら、古泉は鼻を啜った。ヤバイ、泣かせたか?
「あーあー…すまんかった、苛めじゃないからな、コレ」
自分でも自分の発言が嘘くさいと思う。だが、単に弄るだけのつもりではなかった。コレは確かだ。
「なあ古泉、今の気分はどうだ? 最低か?」
もたれ掛かるような音が、ドア越しに聞こえる。はあ、と、大きな溜息の音が響いた。
「正直…混乱しています」
そりゃそうだ、あんな状況を見せられて、混乱しない方がおかしいだろう。だが……
「で、俺たちのこと、殺したいくらい嫌いになったか」

びくんと、何かが跳ねるような音が、ドアの向こうで弾けた。

347 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/02(土) 04:59:14.14 ID:a3nkShRb0

「そんなこと……無いです」
古泉は、少しだけ間を開けて答えた。
「こんなコトされたの、初めてですけれど、確かに腹は立ちます。立ちました…でも、そこまでは思いません」
「だろ?」

この間の騒動から、古泉は、何処か遠くを見ることが多くなった。
その表情を、俺やハルヒや、長門や朝比奈さんは、崩したかった。

「だったら、良いじゃないか。誰だって、相手の全部が好きになれる訳じゃないからな
 お前は、お前の感情で、あそこに居れば良いんだ、だろ」

ずるずると、重い物がずり下がるような音がする。
トイレの中で、古泉がどんな表情を浮かべているのか想像しながら、俺は
>>350


350 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 05:01:51.94 ID:zfsdfX8V0

上からのぞく


357 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/02(土) 05:07:50.66 ID:a3nkShRb0

どうしても古泉の泣きべそ顔を拝みたくなり、ぐっと扉に飛びついて、そのまま上から覗き込もうとした。
俺の行動に気が付いたのか、古泉はドアの上に掛けられた俺の手を、必死で剥がそうとしてくる。
「ちょ、止めてください! 男子トイレの覗きとか、何考えてるんですか!!」
「こ、いずみの、アホな顔が…見てみたい…んだ、よっ!!」
「あああああ出ます! 出ますから止めてください!! やーめーてー!」
必死に俺を引き剥がそうとする古泉の、その慌てふためく様が面白くて、何だか笑みが止まらない。
「ちょっとキョン! 大概にしなさいよ!!」
男子トイレに堂々と突入してきたハルヒに、脇腹を蹴られ、その後部室で正座までさせられても、俺の笑みは止まなかった。

トイレから出てきた古泉は、いつもの表情で、でも、ほんの少しだけ目尻が赤く。
俺は、長門のブルマを拝んだだけのことはあると、改めて深く感謝した。

363 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/02(土) 05:16:00.76 ID:a3nkShRb0

結局、罰として一人で部室の掃除を押し付けられた俺は、適当にその辺りの物を片付けながら、
古泉が浮かべたパニックの表情を思い出し、一人笑いを止めなかった。
掃除も大半が終わった頃、不意に、開け放っていたカーテンの間から、青い髪がちらついた。
『で、貴方は彼を許すのね』
俺は、彼女の方を見ずに、荷物を纏める。夕陽に青の髪はとても映えた。
「許すもなにも、アイツが俺たちに許して貰わなきゃならんことをしたか?」
くすくすと、柔らかな笑みが聞こえる。
『貴方、とてもいい人ね。こういうの、シンユウっていうの?』
「さあな」
部室の鍵を握り、俺は彼女―――朝倉の方を、そこで漸く振り返る。
「少なくとも、俺は、アイツのことを、面白い奴だと思ってる。それで充分だろ」
朝倉は、今までで一番綺麗な笑みを浮かべた。
『いいな、そういうの。私も、あの子と……ううん、なんでもないわ。今度変なコトしたら、怒るからね』
そう言って、朝倉は、強い風の中に消えていった。

もちろん、後日罰ゲームの景品として手渡されたサンドイッチの中に、多量の練り芥子が含まれていたことは言うまでもなく
俺は、谷口に毒味させることで、見事な回避を繰り広げたとだけ言っておこう。

【END?】


595 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/02(土) 23:02:12.58 ID:a3nkShRb0

さて、先日の一件で、腐女子からは足を洗ったと思われていたハルヒが、またやらかした。
何をかと、聞かれると。例の同人誌である。
なんやかんやで、ハルヒは俺と古泉を題材にして、その漫画を書き上げてしまったらしい。
本来なら、そうかそうか、捨てろ。寧ろ焼き尽くせ、と言うところだが、そうも行かなくなってしまった。
ハルヒは、切欠となった件の同人誌を奪い取った詫びとして、腐女子の女の子達に
「コスプレでイベントとかいうやつに参加して、この本を売りさばくわ! その代金で貸し借り無しよ!」
という超理論を展開してしまったらしい。
つまり、俺たちSOS団は、同人誌即売会(同人誌を売り買いするイベント:長門談)とかいう物に、強制参加させられることになったのだ。
まったく、どうなってるんだこれは。
もういい、ハルヒお前一人で参加しろ…と、拒否してみたものの、ハルヒの
「別に参加しなくても構わないわよ? でも、その場合この本の中身が、ノンフィクションだって、
 あんたの名前込みで買ってくれる人にばらすだけだけど」
という脅しに負けてしまった。
まったく、どうなってるんだ腐女子の世界というやつは。

とにかく俺は、ハルヒからのコスプレに関するメール攻撃を無視して、別の奴に相談メールを送ることにした。
さて、誰にメールするか?
>>610 メール相手とメールの内容


610 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 23:15:30.21 ID:7ZhkUEBDO

コンピ研部長
腐女子についてkwsk教えてもらう


613 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/02(土) 23:19:16.09 ID:a3nkShRb0

とりあえず、腐女子という物を俺は余り知らんので知ってそうな奴にメールすることにした。
敵を知り、己を知ればなんとやら、の精神である。
『腐女子って何だ?』
まあ、コンピ研で部長をやってるくらいだから、知っているだろう。
暫くすると、返信が来た。件名はない。
『http://blog.livedoor.jp/nankai2000/archives/52976653.html』

よく解らんが、恐ろしい相手だと言うことは解った気がする。
どうする? もっと突っ込んで聞いてみた方が良いのか?
1 もっと詳しく聞く
2 他の奴にメールする(メール相手)


614 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 23:20:27.66 ID:q8O+Jgwt0

2(長門)

615 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 23:21:22.44 ID:dhyhpW9l0

長門に同人誌の内容をkwsk聞いてみる

616 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 23:22:32.34 ID:aappqaP00

2長門

617 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 23:22:39.47 ID:7ZhkUEBDO

1で

618 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 23:23:22.70 ID:a5NjFynMO

2で長門に詳しく聞く
801板伝説www


619 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/02(土) 23:23:41.14 ID:a3nkShRb0

長門にも、メールしてみるか。
もしかしたら、対策か何かを教えて貰えるかもしれない。
俺は淡い期待を込めて、長門にメールすることにした。
しかし、コスプレだとか何だとか言っていたが、もしかしてその中には俺も入っているのか?
率直に言えば、朝比奈さんの可愛らしいお姿は拝みたいが、自分が変な格好をするのは耐え難い。
どうするべきか。こうなれば誰かを生け贄にするか?

>>625 長門へのメール内容
古泉出てないけど良いの?


625 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 23:28:49.40 ID:E0iypXyvO

取り敢えず
小泉には
冗談はスパッツだけにしてくださいよ
と言って貰えれば文句ない


627 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/02(土) 23:33:22.05 ID:a3nkShRb0

俺は、長門の笑顔を思い描きながら、メールを出す。
本文にはちょっとしゃれっ気を入れてみた。うん、我ながら良い出来だ。
『取り敢えず
 小泉には
 冗談はスパッツだけにしてくださいよ
 と言って貰えれば文句ない』
よし、送信っ……と。

長門からの返信は短かった。
『大丈夫、ボクは、理解している』

うん、何をだ。

とりあえず、メールはこの辺りで止めるべきか?
1 長門と未だメールを続ける
2 別の奴にメールする(名前)
3 もう止めて寝る


633 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 23:36:55.28 ID:q8O+Jgwt0




638 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/02(土) 23:41:28.39 ID:a3nkShRb0

このままメールを止めてしまえば、長門との間に深く大きな溝が出来てしまう気がする。
危機感を感じた俺は、長門に、ハルヒの描いた同人誌の中身について聞くことにした。
俺は気色が悪くて読んではいないが、内容によっては、ハルヒを止めなくてはならない。
『長門、ハルヒの描いた、同人誌って奴の中身は、どんな感じなんだ?』
『自分で、読んでみるのが、一番良いと思われる』
珍しく、長門が説明するのを拒んでいる。これは、相当な内容なのか…?

俺の手元には、ハルヒから押し付けられた、やけに煌びやかな、
俺と古泉に似ているようなそうでないような微妙な表紙の同人誌がある。
見本として、無理矢理受け取らされたのだが…

1 読んでみる
2 長門に無理矢理説明させる


639 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 23:42:30.44 ID:WSFY1YPb0

2

640 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 23:43:36.76 ID:dhyhpW9l0



641 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 23:44:43.03 ID:q8O+Jgwt0




647 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/02(土) 23:50:29.84 ID:a3nkShRb0

精神衛生上、俺がこの本を読むのは躊躇われる。こういうのは、女が読む物であって、男が読む物ではない。
そう決定づけて、俺は、長門に説明を求めることにした。
多分長門自身は、何処かで説明を避けたがっている節もあったのだろうが、それを気に掛けていては俺の心が持たん。
『悪いが、読みたくない。言いたくないことは言わなくて良いから、
 俺と古泉がどんな扱いを受けてるのかだけでも教えてくれ』

俺は、長門の返信を待つ。
『性的な接触は、殆どない。あえて言うならば、キ―――』
それ以上の説明は、俺の目が見ることを拒否した。
うん、俺は何も見なかった。明後日のイベントとか言うやつも、俺は初めから誘われなかった。
明日の衣装合わせとか言うやつも、そんな話は知らない。

俺は何も知らなかった、よし、この二日間は寝まくるぞ!!

653 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/02(土) 23:55:51.84 ID:a3nkShRb0

さて、ハルヒからのメールも完全に無視して、睡魔に身を任せたわけだが、悪夢は終わらなかった。
「キョンくん! キョンくーん!! 朝だよ! お客様だよ〜!!」
眩しい朝日と、五月蝿い妹の声に叩き起こされる。
もう少し寝ていたいんだ、寝かせろ。と言いかけて、嫌なフレーズが入っていたことに気付く。
「あ…? 客…?」
誰だ、こんな朝っぱらから?
妹は、とても嬉しそうな顔で、俺のベッドの傍でぴょんぴょんはね回っている。
寝起きにはきついテンションだ。
「あのねーあのねー! SOS団のー…」

1 ハルヒ
2 古泉
3 長門
4 みくる


654 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/02(土) 23:56:37.05 ID:871VvlZ3O



655 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/02(土) 23:56:43.30 ID:WSFY1YPb0

2

656 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/03(日) 00:00:32.93 ID:VOIO3AQq0

2だな

657 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/03(日) 00:01:38.86 ID:5wovFrIW0

2しか選択肢は無い


658 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/03(日) 00:03:32.35 ID:IY3Qjb4K0

茶と茶菓子を出して、部屋から妹を追い出し、俺は古泉と向かい合った。
古泉を見て瞳をキラキラさせていた気もするが、まあ、あの年頃にはありがちな、年上好きだと自分に言い聞かせる。
でないと俺が惨めになるとか、思ってないですから! いや、本当に。
俺は、古泉の持ってきた紙袋に嫌な視線を落としながら、切り出した。
「で、何だよ、こんな朝っぱらから」
苦虫を噛み潰したような表情を見て、古泉も困ったように笑う。
「涼宮さんからのお届け物ですよ、この中から選んで、明日着るように、との御命令です」
古泉は、パンパンに詰まった紙袋を、これ見よがしに持ち上げて見せた。
僕も選ばなければいけないようです、と、漏らす古泉に、同情心が湧く、が。
「お前も大変だな、だからって俺は着ないぞ。行く気もない」
古泉は、途端に、端正な顔からぽろりと、一筋涙をこぼして見せた。

668 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/03(日) 00:10:51.92 ID:IY3Qjb4K0

「僕だって、本当は、こんなことしたくはないんです。でも、こうでもしないと…」
いつもの笑顔のまま、ぽろぽろと、涙だけが溢れていく。
「あの本、見ました? 見てないです、よね。貴方のことですから。
 あんな本を、それも、名前まで公表されて配布されたら…僕は。機関からも…」
古泉の泣き顔なんて、初めて見た。いや、これは違う、明らかに違う、コレは。
「キョンくんのバカーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!!」
ドアが勢いよく開け放たれた可と思うと、いきなり大声を上げて、小さな塊が突撃してきた。
「バカバカバカバカっ!! なんでお友達のお願い聞いてあげないの!? 泣かせるなんて、サイテイっ!!!」
妹は、俺の腹の部分を、自分も涙目になりながら、ぽかすか殴ってくる。
こ、古泉よ。お前、コレが狙いかっ!!!!!
「いえ、良いんです。僕が彼に無理なお願いをしたのが悪いんです、ですから、責めないであげてください」
涙ながらに、嗚咽も籠めて、古泉が儚げな笑みを作る。
コイツの普段の素行を見ていなければ、いや、見ていたとしても、間違いなく騙される程に鮮やかな、泣き顔。
「もう知らないっ!! キョンくんなんてきらいーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」

俺は、結局紙袋の中から、マシな格好を選ぶ羽目になった。

678 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/03(日) 00:21:44.00 ID:IY3Qjb4K0

何とか妹を宥めて追い出し、古泉と二人で、紙袋の中の服を広げていく。
何処かで見たようなアニメの格好やら、全く知らないがやけにかさばる服や、とにかくド派手な衣装やら。
一つ一つ確認していくと、どこから入手したのだか解らない衣服の山が、こんもりと出来上がった。
この中から選べと言うことらしい。大方いつもの通り、脅して掻っ払ってきたのだろう。
ハルヒのやることは、何時も犯罪すれすれだ。いや、寧ろもうブラックゾーンか。
俺は、コスプレというと、何時も朝比奈さんが着ているようなメイド服やら、
ナース・バニーなどを想像していたのだが、どうやら今回は違うらしい。
「何だか、アニメやゲームの登場人物が着ているような格好ですね」
古泉が呆れたように、黒いコートのような服を広げながら呟いた。
確かに漫画の中にしか存在しないような、妙ちきりんな格好が殆どだ。
まあ、俺と古泉に、朝比奈さんやハルヒが着ていたような格好をさせるのは無理がある。
ぶっちゃけるならば、古泉は着てもまだぎりぎり有害ではないかもしれんが、俺が着たらバイオハザード間違い無しだ。
服まみれになった部屋を、踏まないように歩いて古泉の隣まで移動しながら、俺はどうしようかと悩む。

1 自分の衣装を選ぶ
2 古泉の衣装を選ぶ


680 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/03(日) 00:23:04.63 ID:oVLo1Ev3O

1


688 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/03(日) 00:30:22.06 ID:IY3Qjb4K0

古泉も、自分の格好くらい自分で選ぶだろう。
寧ろ、古泉にまともな格好を取られる前に、奪い取るべきだ。
そうかんがえて、俺は古泉に宣言する。
「言っておくが、俺は巻き込まれて無理矢理参加させられる、言わば被害者だ。
 なら、せめてもの権利として、マシな服を先に選ばせてくれる、くらいのサービスはあるよな?」
古泉は、一瞬ぽかん、とした顔をしていたが、すぐにいつもの表情に戻し、そうですねと頷く。
「では、お先にどうぞ。僕は後から選びますから」
とにかく、まともな衣装を選ばなくては…
>>695 キョンの衣装
>>700 古泉の衣装


695 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/03(日) 00:35:12.37 ID:/XBoFSxIO

kskst

696 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/03(日) 00:35:17.73 ID:umnOFNr7O

騎士さま

700 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/03(日) 00:36:49.84 ID:umnOFNr7O

風呂からあがったら急展開だったからとりあえずザザッとかいた
http://imepita.jp/20080203/020240

安価なら短パン


712 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/03(日) 00:42:44.18 ID:IY3Qjb4K0

どうするか、衣装をひっくり返し掻き回しながら、探している内に、さっと、古泉の手が動いた。
「貴方、こういった格好は着ませんよね? だったら僕はコレでも良いですか?」
見ると、何処かの軍服のような格好を引き摺り出している。
畜生! と怒鳴りつけかけたが、よく見ると、その衣装には、物凄く短い短パンと、動物の耳のような物が付いていた。
うん、古泉は、気付いてないのか…?
だとしたらざまあみろだ、うん、コレなら許せる。
俺はなるべく笑顔にならないよう気を付けながら、悔しそうな表情を作ってみせる。
「何でしたら、僕が選んで差し上げましょうか?」
古泉が嬉々として提案してくる。俺は
1 古泉に任せる
2 自分で選ぶ

>>720 キョンの衣装再び


720 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/03(日) 00:46:10.96 ID:VOIO3AQq0



バニー


726 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/03(日) 00:52:39.63 ID:IY3Qjb4K0

「コレなんかどうですか?」
満面の笑顔で、古泉は俺に、バニーガールの衣装を押し付けてきた。
しかも、素晴らしいことに男性用のサイズである。こんな物どこから手に入れてきたんだハルヒ!!
俺は真っ青になりながら、必死で首を振る。着たくない。着るもんかっ!!
「止めろ古泉! ふざけるのもいい加減にしろよ!」
バニーの衣装を押し返しながら、俺は古泉を怒鳴りつけた。
「あのな、俺はハルヒのお守りじゃないんだ! こんな格好出来るか!」
俺の声に驚いたのか、古泉は小さく、あっ…と漏らすと、急に大人しくなった。
「すみません…あの、調子に乗りすぎましたね」
古泉は、ざっと、その場にあった服を纏めると、皺になるのも構わずに、紙袋に押し込めた。
そしてそのまま立ち上がり、ぺこりと頭を下げる。
「申し訳ありませんでした。涼宮さんの方は、僕で何とかします。明日も、大丈夫ですから」
それだけ言って、古泉はドアノブに手を掛けた。

1 古泉を止める
2 自業自得だと見送る

737 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/03(日) 01:03:09.94 ID:IY3Qjb4K0

>>700よ、古泉で萌えたのは初めてだ。何というもえいずみ、どうして女の子じゃないんだ。

「お、おい古泉、誰も出て行けと入ってないぞ!」
慌てて俺は、立ち上がり古泉の肩を掴んだ。古泉の躰は、小刻みに震えている。
コイツは、俺たちとの間に遠慮を感じていたのかもしれない。それなのに、俺は、酷いことを言った。
「悪かったよ…バニーだっけ…? あの水着みたいなのは着たくないが、耳ぐらいなら着けてやるから!」
最大限の譲歩だ、もし、コレで嫌がられたら、その時は。古泉との付き合いを考えなくてはならない。
俺は、ぐっと手に力を込めて、古泉を引き寄せ振り向かせた。
古泉は、震えながら

笑いを堪えていた。

「ふ、ふ…言質は取りましたよ…っ。では、耳だけでも、お願いしますね…っ」
やられた。
そう思う間もなく、古泉はさっと携帯を取りだし、目にも留まらぬ速さでメールを送る。
「涼宮さんにも、貴方が納得してくれたって、メールを送っておきましたから」
楽しげに、僕は耳が垂れてる兎の方が好きですけれど、等と抜かす古泉を見詰めながら俺は、反応出来ないまま。
さっきの古泉の態度が、計算かどうかを必死に考えていた。

748 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/03(日) 01:18:34.09 ID:IY3Qjb4K0

冬だというのに、むわっとした熱気が広がっている。
暖房が効いている、と、言うよりは、人の体温で温もっていると言った方が良いのか。
ここがイベント会場…と、いうやつらしい。
コンピ研部長に言わせれば、イベントは夏と冬の大きな物以外は、人の多さも規模も、それほどの物ではないらしいのだが
それにしても、こう、変な臭いがする。
紙の匂いでもなく、人の臭いというか、汗の臭いというか。少し酔っているのかもしれない。
ハルヒ達は、スペース(机と数脚の椅子で構成される、販売用の場所:長門談)に荷物を置いた後、さっさと着替えに行ってしまった。
俺たちは、帰ってくるまでの間の留守番と、本を並べる作業を、無言で頼まれている。
「で、どうするんだ? 俺は設置とか言われても解らんぞ」
適当にパイプ椅子を広げ、座り込む。古泉も、少し困ったように小首を傾げていたが、やがて携帯を弄り始めた。
「ええと、確か。長門さんから、こういった所でのマナーを教えて貰ったはず、です」
古泉は、声に出して手順を確認し始める。
「まずは、机の上のチラシ類をどけて、テーブルの地肌が見えないように、クロスで隠して、その上に本と値札を…」
俺は古泉の指示通り、なるべく綺麗に見えるように本を並べていく。げ、表紙が目に飛び込んできた。
「あとは、隣のサークルの方に挨拶を…」
隣を見ると、確かに、まあ、あれだ。言っちゃあ悪いが、うん。こう、女の方が、ぺらい本を読みながら座っている。
ど、どうする?

1 古泉に挨拶させる
2 勇気を出して自分で挨拶する


749 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/03(日) 01:19:14.35 ID:UkoUWS+k0




757 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/03(日) 01:28:15.43 ID:IY3Qjb4K0

「おい古泉、お前が挨拶しろ。俺はハルヒ達が着替え終わったか確認してくる」
言うだけ言って、俺は立ち上がり、さっと古泉を、その、まあ、女性らしき人の方へ押し出した。
「わ、ちょ、え?」
古泉が慌てる声が聞こえた気もするが、気にしない。
俺はさっさとその場を離れ、ハルヒ達が向かった更衣室の方へ足を進めた。

ハルヒ達は着替えをすっかり終えて、もう準備万端と言った風情だった。
シンプルなセーラー服だったが、よく似合っている。
ハルヒは髪を二つに結い上げ、長門はリボンのようなカチューシャを着けている。朝比奈さんは眼鏡だ。
「んふふ、可愛いでしょ! らき…何だっけ? とにかく、似合ってるでしょキョン!」
俺はハルヒの言葉に、大きく頷く。
「ああ、似合ってるぞ、現役女子高生って感じだ」
ハルヒは俺の言葉に、かあっと頬を染める。なんだなんだ、暑いのか。
「ば…ばっかじゃない!? もう! アンタも古泉君と一緒に、さっさと着替えてきなさい!」
ハルヒに蹴られ、渋々とスペースに戻る。古泉は…何だ?
隣にいた人が、古泉にやけにべったりとくっついている。古泉の顔色が、目に見えて悪い。
何があったんだ?

1 無視して衣装だけ持って行く
2 割り込んで古泉を連れていく


759 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/03(日) 01:28:58.16 ID:MU1YPgSI0

2


768 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/03(日) 01:38:19.72 ID:IY3Qjb4K0

「おい古泉! 着替えるぞ!!」
俺はなるべく隣の人にも聞こえるようにはっきりと言って、古泉の手を取った。
びくりと、一瞬身体が跳ねたが、すぐに俺だと悟ったのか、腕から力が抜ける。
「あ、はい、今行きます……すいません、失礼しますね」
わざわざ隣の人に声を掛けてから、古泉は立ち上がり、俺の顔を見てやっと頬を緩ませた。
全く、手間の掛かる奴だ。
男子用更衣室まで行く傍ら、俺は何があったのかを問い質したが、古泉は
「ちょっと、話をしていただけですから」の一言で、全てを終わらせてしまった。
こうなると、もう聞き出せない、古泉の笑顔は鉄壁だ。
「とにかく、着替えてこい」
自分の分の、兎耳だけを取り出し、古泉を更衣室に押し込む。
古泉は、ちらりと俺の方を見て、すぐに袋に目線を落とした。どうも歯がゆい。
何があったのか解らない分、どんな行動を取って良いのか、俺も解らん。

1 一緒に更衣室に入る
2 念のため更衣室前で見張っておく
3 無視してハルヒ達の所へ行く


769 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/03(日) 01:38:40.24 ID:GnJY8+9N0

あえて1で


778 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/03(日) 01:47:38.29 ID:IY3Qjb4K0

男の裸を見るつもりはない、が、用心に用心を重ねるのは、凡人が災難を防ぐための唯一の策だ。
俺は、古泉に断って、一緒に更衣室まで入ることにした。古泉は、どこかほっとした表情を浮かべている。

更衣室の中は、無造作に置かれた鞄やら靴やらで、足の踏み場もなかった。オマケに、酸っぱい臭いまでする。
男の体臭ほど嫌になる物は無い、冬場だというのに、地獄だ。
グロッキーになる俺を見かねて、古泉は、一人で大丈夫ですよと言ってくれたが、こうなりゃ意地だ。
それに、古泉の着る服は、どう見ても一人で着られそうな物ではない。
「やけくそだヤケクソ! 手伝ってやるから脱げ!」
適当な鞄の上に、紙袋を置きながら、俺は古泉の服に手を掛けた。古泉は焦ったように、俺の手を払いのける。
「だ、大丈夫です! 自分で出来ますから!! 後ろを…向いていて下さい」
女のようなことを言う奴だ。
折角の行為を無碍にされたことで、俺は少し苛立つ。そんなに俺が必要ないのなら、いっそ出て行ってやろうか。

1 出て行ってハルヒ達を手伝う
2 こっそり覗く


781 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/03(日) 01:48:48.00 ID:m/0sJTnA0

2wwwwww


790 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/03(日) 01:57:04.15 ID:IY3Qjb4K0

※水着になっていたじゃねぇかとかのツッコミは聞かない

古泉は、俺に裸を見られたくないと言った。
まさか女でしたー、等と言うことはないと思う。あんなでかくて気持ち悪い女は嫌だ。
となると…ホクロに毛でも生えているのか。凄い奴。もう乳首とかに凄いのがあるとか。

見てみたい。

俺は古泉に気付かれないよう、身体をずらす。
更衣室なだけあって、壁にはどう見ても安物だが、大きな鏡が置かれていた。
もう少し、横に移動すれば、古泉の身体が映っているのを、見ることが出来るだろう。
面白い物が見えたら、ネタにしてやる。
そう思いながら、ちらりと鏡に映る肌色に期待した。

古泉の背中は、全くホクロなんて無いほど滑らかに広く
何処までも、傷だらけだった。

800 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/03(日) 02:01:43.70 ID:IY3Qjb4K0

見なかったことにしよう。そう思っても、視線は外せない。
浅い物も、深い物も、全てが生々しく浮き上がっている。
今にも血が吹き出そうな、未だ治りきっていない傷もある。

俺はぐっと目を瞑った、何も考えないよう、頭の中を真っ白にする。
何も見ていない、古泉は、何も言わなかった。だから、俺は何も知らない。

「キョン君」
不意に、声が掛かった。
「眠っていたんですか」

811 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/03(日) 02:08:15.85 ID:IY3Qjb4K0

ああ、とも言えずに、俺は努めて平静を装い、目を開けた。
古泉は、いつもの笑顔を浮かべている。
「すいません、起こしてしまったようですね。宜しければ、ですが、ボタンを留めるの、手伝ってくれませんか?」
古泉は、俺が見ていたことに気付いたのだろうか。
相変わらずの表情からは、何も読み取れなかったが、こいつがもし解っていて流そうとしているのなら、
俺は、それに乗るしかない。
「お前、案外不器用だな、何だ。内ボタンか? ハルヒの奴も、めんどくせー服を用意するもんだ」
軽口を叩きながら、俺は奴の服を眺める、軍服だ。戦うための服なんて、らしいじゃないか。
鼻で笑いながら、ボタンを一個ずつ留めていく、古泉はされるがままになっていたが不意に思い出したように、紙袋を持ち上げた。
「そういえば、これ、下はないんでしょ…………」
古泉の言葉が、途中で止まる。紙袋の中には、短パンとハイソックス。ネコミミしか入っていない。
当然だ、予め俺は確認していた。コレを選んだのはお前だ古泉。
「ん? どうした? 着ないのか? お前の今のズボンだと、この上着と似合わないよなぁ」
古泉は、泣きそうな顔で、俺の方を見てきた。

820 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/03(日) 02:21:43.16 ID:IY3Qjb4K0

古泉の格好を見て、ハルヒは「へえ、似合うじゃな……」と言いかけ、下半身に視線をやり言葉を止めた。
朝比奈さんは、ひゃあっと小さく悲鳴を上げた後、真っ赤な顔を指で隠していたが、その間からちらちらと覗いている。
もちろん、長門は無反応だ。
うん、コイツのこんな格好の前では、俺のウサミミも爽やかに霞むだろう。よかったよかった。
「よく…ないです」
思ったことが声に出ていたらしく、古泉は嫌そうに俺の後ろに隠れながら、真っ赤な顔のまままくし立てた。
「こんな格好だって知っていたなら、どうして止めてくれなかったんですか! あ、足を出すのは、好きじゃないんですよ!!」
そうかそうか、だが俺の生足に比べれば、まだマシだ。
色素が薄いせいか、コイツの毛は見えにくいが、俺だとくっきりと、まあ、なんだ、臑毛が解るだろう。
「まあまあ、未だ男の格好なだけマシだろ。あの衣装の中には、明らかに女物の方が多かったじゃないか
 何か機械っぽい葱臭い女物の服やら、弾幕が飛んできそうなピンクのワンピースに比べればマシだ、マシ」
「比較対象がおかしいですよ、それ…」
力なく項垂れる古泉の背を叩きながら、俺はふっと、視線をスペースの方に向けた。
ばっちりと、先程の女の人と視線が合う。
隣の女性っぽい人は、俺の視線に気付くと、にんまりと嫌な笑みを浮かべ、片手で薄い本を振って見せた。
あれは…ハルヒの奴!!
彼女が持っていたのは、ハルヒの出した同人誌だった。

1 ハルヒを問いつめる
2 古泉を連れてスペースから離れる


821 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/03(日) 02:23:52.34 ID:tg9UnEgZ0

ここは2


832 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/03(日) 02:45:10.47 ID:IY3Qjb4K0

俺の見ていた光景を、古泉も見ていないはずがない。
明らかにうろたえ始めた古泉を、もう一度背に隠してから、俺はハルヒに声を掛けた。
「ハルヒ! 俺達ココにいなくても構わないよな? 連絡は携帯にしてくれ」
「え? アンタ達も売り子しなさいよ! 漫画のモデルがリアルに売り子してるなんて素敵じゃない!!」
さあっと、血の気が引く。ハルヒの奴!
「とにかく! 俺たちは、外の空気を吸いたいんだ!!」
思わず怒鳴りつけるように言ってしまい、少し後悔する。だが、背に腹は代えられない。
俺は、フォローの言葉もそこそこに、古泉の手を引いてその場から離れた。

836 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[上手く書き込めない?] 投稿日:2008/02/03(日) 02:48:26.33 ID:IY3Qjb4K0

少し行ったところに、小さな休憩所のような所があった。近くには、自販機もある。
「古泉、何か飲むか? 古泉…」
「どうしてあんな言い方をしたんですか!」
まさか、感謝ならともかく、怒られるとは思っていなかった俺は、言葉を失う。
古泉は青ざめた顔で、小声とはいえ充分に語気の荒い口調で、溜息混じりに吐き出した。
「貴方は、ご自身が涼宮さんに与える影響について、もう少し考えるべきです!」
まるで俺の行動を、全否定するかのような発言に、かあっと、頭に血が上る。
こいつは、助けてやったというのに、何を言い出すんだ!
「だったら、お前、あのままあそこにいて良かったってのか。え? 助けてやったのに礼も無しかよ!」
古泉も、売り言葉に買い言葉と言った風に、ぐっと詰まりながらも言い返してくる。
「そう…そう、です! 僕は慣れていますから、大丈夫なんです。ですから、貴方は彼女を優先すべきであって、僕を優先すべきではない」
口調はどんどん落ち着く反面、静かに、深く落ち込んだ物になる。
「貴方は、この世界と個人の感情を天秤に掛けて、どちらを取るというのですか」
ぐっと、握り締めた掌が、痛々しい。何でだ、何で俺に、そんな選択を迫るんだ。
重たい、重たくて苦しすぎる。
どんっ! と、気が付くと、俺の拳は自販機にぶつかっていた。いや、ぶつけたのか。どちらでもいい。どちらでもよかった。
古泉は俺の様子を見て、小さくすいませんとあやまると、顔を下げたまま動かなくなった。
不意に、携帯が鳴る。
古泉の物だ。
古泉は、慌てたように、慣れない衣装から携帯を探す。ふっとそのストラップが、目に留まった。

1 古泉の携帯を奪い取り、勝手に出る
2 古泉に任せ、話す様を眺める


838 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/03(日) 02:50:54.48 ID:m/0sJTnA0




852 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/03(日) 03:05:04.00 ID:IY3Qjb4K0

俺は、古泉が慣れない服に手間取っているのをいいことに、さっとストラップを引き抜き、携帯を奪った。
どうやら電話ではなく、メールだったようだ。
送り主は…見たことのない女の名前だ。コイツの言う、機関とやらか?
携帯が奪われたことに気付いた古泉が、あせって取り返そうとしてくるのを、適当に流しながら、本文を見る。
……………………小文字やら絵文字やらが乱舞していて全く読めない。
それでも意味の取れるところを、何とか拾い読みしていく内に、背筋に怖気が走りだした。

電波だ、物凄い電波文だ。ハルヒなんて比じゃないくらいの、かっとんだ内容が書かれている。
ちらっと流し読みしただけでも、前世だの、運命の相手だの、ココでは書けないようなピンク単語も
全てがカオスに混じっている。誰だ、こんな文章書いた奴は!!
古泉から携帯を取り上げたまま、俺はゆっくりと問い質した。
「お前…××って、誰だよ」
古泉は、きょとんと一瞬訳が解らない顔をしたが、すぐにさあっと血の気を引かせ、口元に手を当てた。
嫌な予感がする。
「もしかして、あの、さっき隣にいた…人、か?」
頷きはしないものの、古泉の視線は、明らかに宙をさまよっている。無理矢理聞き出されたのか。
何て不運な奴だ…勝手に着信拒否にしてやろうか。
そう何処か頭の遠いところで考えていると、不意に甲高い悲鳴が真後ろで上がった。

女のものだ…女、の。誰だ。
1 ハルヒ
2 隣の女性


853 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/03(日) 03:06:31.66 ID:BtS9preI0

2


862 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/03(日) 03:17:58.26 ID:IY3Qjb4K0

※参考:同人板

其所にいたのは、あの、女の人だった。古泉は彼女の表情を見て、声にならない悲鳴を上げて身体を強張らせる。
怖い、俺も足が震えている。
目が血走り、鼻息も荒い、正直、女性とは思えない迫力。だ。
「きゃあああああああっ!! ●●様!! 何でそんな男と一緒にいるのふじこっこ〜〜〜〜〜〜!!!!!」
辺りにきいんと、彼女の悲鳴が響く。頭がくわんくわんする。
息を荒げて突進してくる彼女を避けることも出来ず、俺は古泉と共に押し潰される形でその場に倒れ込んだ。
「お、おい古泉、大丈夫か!?」
咄嗟の判断で、古泉をサンドイッチの具の位置から、パンの位置になるよう後ろに回したのだが
つまりそれは、俺が具の位置になることに他ならず、結果。凄く、重たい、死ぬ。軽く中身が出る、ぶちまけられそうだ。
俺の背中の上で、女性は未だ叫び続けている。
「ちょ、生がっちゅんふじこ! ●●様受けふじこっこ!!!!」
意味が分からないから早くどけっ!!!
俺は思わず、身体の上に乗っていた肉の塊に、肘鉄をかました。がこっと、綺麗に音を立てて、鳩尾に嵌ったらしい。
重荷は、どさりと音を立てて落ちた。一息吐いて古泉が潰れていないか確認する。
古泉も苦しかったのか、肩で息を吐いているが、無事なようだ。

1 もう一発蹴りを入れる
2 とにかく逃げる


863 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/03(日) 03:19:33.35 ID:BtS9preI0

1


873 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/03(日) 03:28:31.68 ID:IY3Qjb4K0

※腐女子の方ごめんなさい、こんな人ばかりじゃないと信じているが、ネタなので許して欲しい
 ふじこ=何を言っているのだか解らない、聞き取れない、聞き取りたくない言葉

むかつく。何故俺がこんなところで、こんな奇っ怪な生物と押しくらまんじゅうをせねばならんのだ。
そう思うと、もう落ち着いては居られなかった。古泉が止めた気もしたが、そんなのは知らん。
今まで未来人だの宇宙人だの超能力者だのに会ってきたが、ここまで常識を欠いた生き物には出会ったことがない。
人というのは、言葉が通じて話せる相手だと思っていたが、どうやらそれは一部の例外を除いての話だったらしい。
俺は、普段のフェミニスト精神を捨て去って……いや、コレは女じゃない、女じゃないからオールオッケーだ。
ふんっ! と、勢いも荒く、俺は未だに古泉に縋り付こうとする肉塊に蹴りを入れる。
訴えられたって知るもんか! 行くぞ古泉!!
「あ、あ、ちょ、え、ご、ごめんなさいっ!!」
半ばパニックで過呼吸になっている古泉を引き摺り出し、俺は逃走を図った。

1 ハルヒの元へ帰る
2 会場から逃げ出す


874 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/03(日) 03:30:02.76 ID:Z8OqIA+DO

追い付いた!



884 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/03(日) 03:44:06.02 ID:IY3Qjb4K0

驚く人の波を掻き分け、俺は古泉を連れて、何とか建物の外へ出た。
古泉の携帯はひっきりなしに鳴っていたが、電源を切ると、途端に静かになる。
荒い息を落ち着かせながら、古泉の方を見た。古泉も、息切れを起こしながらも、どうにか冷静になったらしい。
思わず、お前の言っていた、「この世界」の人間の中に、あんな化け物も含まれるのかと聞こうとして…止めた。
どんな化け物でも、コイツは守らなきゃならない。どんなに傷を負っても、だ。
それを馬鹿にすることは、無神経な俺でも、出来ない。
「出てきちまったな…再入場とか、出来るのか?」
戻りたくもねーが、と付け加えてから、古泉の方を見る。…しまった。俺はともかく、コイツは、変な格好のままだ。
「さあ…確か、チケットを見せたら、出来るよう、です…が」
そう言って、服をまさぐる内に、自分の格好に気付いたらしく、古泉は慌てて頭に着けていたネコミミを取った。
ああ、と俺も自分の頭に手を置いたが、どうやらさっきの騒動ですっぽ抜けたらしく、兎の耳は何処かへ行っていた。
「きょ、キョン君…これは、その……」
あわあわと人目を気にしだして、必死に生足を隠そうとする古泉に、思わず笑いが溢れる。
コイツのこんな情けない顔、初めて見た。
にやにやを堪える様も目に入らないのか、古泉はしきりに周囲を見渡している。
まあ、もう戻るわけにも行かなくなったし、仕方ないな。
俺は自分の着ていたコートを脱ぐと、古泉に差し出した。
「コレでも着とけ、ハルヒに連絡して、すぐに服持ってきて貰うようにするから。どっかトイレででも着替えりゃいいだろ」
古泉は、差し出されたコートを見詰めたまま、複雑な顔をしている。ああ、また妙なことで悩んでやがる。
さて、どうするか。
>>890 キョンの行動


890 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/03(日) 03:49:11.48 ID:5T4BQLb+O

安価ならにらめっこのあの顔をする


896 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/03(日) 04:00:03.87 ID:IY3Qjb4K0

こんな暗い空気は、吹き飛ばしてなんぼだろう!
空気の読めないことを自覚している俺は、容赦なく空気の読めない行動に出ることにした。
つまり…
「古泉、おい。古泉」
「はい…なんで……ぷひゅっ!!」
俺の顔に、古泉は変な所から空気を漏らしたような音を立てて、表情を崩した。
よし! 変顔成功!!
「ちょ…やめ……………………は、反則……で、」
腹を抱えながら、古泉はその場にしゃがみ込んだ。ふいふいと、妙な息の吐き方をしている。
なんだ、そんなに俺の顔は凄いのか。流石俺の伝家の宝刀だ。
「こーいずみー!!」
更に顔を変形させ、近付ける。もう限界と言わんばかりに、古泉はころころと座り込んだ。
腰を抜かしたのか、立つこともままならない様で、笑い転げている。
何だか、少し気分が楽になって、俺はぽんぽんと、古泉の頭を撫でた。
「とにかく、もう大丈夫だな。ココアでも買ってきてやるから、ちょっと待ってろ」
ぽふぽふと、手触りの良い髪を掻き回し、俺は近くにあった自販機まで移動する。
コインを入れ、ココアを探していると、不意に、持ってきてしまった古泉の携帯の存在を思い出した。

904 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/03(日) 04:06:48.78 ID:IY3Qjb4K0

とりあえず、あのアドレスからの着信は拒否しておいてやろう。
それと、今まで来ていたメールも消して……。
と、其所まで考えて、俺は勝手に古泉の携帯の電源を入れる。
本来ならばプライバシーの侵害という奴なのだろうが、知るか。こんな妄想を見せつけられる、古泉が哀れだ。
俺は適当に携帯を弄り、着信拒否の設定を進める。
―――と、最新の着信履歴に、妙な物があった。非通知設定の電話だ。
あの肉塊からだろうか、とも思ったが、それらしき着信は、きちんと女性の名前で何十件と来ている。
おかしい、何か、嫌な予感がする。
俺は思わず、受信箱の中を見直す。ぎっしりと詰まった××の名前の中に、ぽつりと。
ほんの数分前の受信で、名前欄が「バイト先」になっている物を、見付けてしまった。

どう、する?
>>910


910 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/03(日) 04:10:54.52 ID:8LbLEzoCO

ハルヒのとこへ行き変顔を見せる


916 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/03(日) 04:18:24.74 ID:IY3Qjb4K0

俺は、何も見なかった。
古泉に返そうと思っていた携帯を、もう一度電源を切りズボンのポケットに入れると、
ココアだけ抱えてアイツの元へ戻った。
「ほれ、飲め。飲んだらハルヒの所へ行くぞ」
有難う御座います、と、受け取りながら、古泉は悲しげに眉を顰めた。
「涼宮さんの、ところ、ですか」
さっきの衝撃が、未だ残っているのだろう。だが、何とかしてみせる。
「ああ、長門に連絡して、あの肉塊は何とかして貰うから。つーか、お前が始めに言ったんだろうが、ハルヒ優先だとか」
俺の言葉に、古泉は目を伏せる。疲れたような眼差しが、握ったままのココアに注がれている。
「そう、ですね。戻りましょう。涼宮さんのために」
肩に俺のコートを掛けたまま、古泉はゆっくりと立ち上がった。
そのまま、俺のことを気にも留めずに、もう一度会場に向かって歩き始める。
ずしりと、ズボンのポケットが、重くなった感覚がした。

921 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/03(日) 04:31:36.88 ID:IY3Qjb4K0

※あしゃくらさんかわええええええええ!!! 終わるのかコレ?

あれは、機関からの連絡だったのだろう。多分。
俺が勝手に会場を出て、ハルヒを怒らせたから、あの閉鎖空間が神人だとかが、また出現したのだろうか。
目の前に見せつけられた、直接的な因果関係に、吐き気がした。
俺が出来ることはあまりにも少ない。
「長門さんと、連絡は取れましたか?」
古泉は、急かすように俺の前を歩いていく。俺には丁度良いサイズのコートも、コイツが着ると少し小さい。
だが、その背中には、俺なんか到底及ばないほどの傷がある。
「取れた、受付の人に話は通しておいたみたいだから、そのまま入っても大丈夫だ。アレは、今はスタッフルームで軟禁中だとさ」
心なしか、古泉の雰囲気が和らいだような気がする。
「ハルヒにあったら、お前にした、あの変顔で笑わせてやるよ。で、謝る。それで良いんだろ?」
古泉は返事をしなかった。ただ、必死に、ハルヒのために進んでいる。
重くなる俺の足とは裏腹に、その歩みは速い。ついて行けなくなりそうだ。
ハルヒ、ハルヒ、ハルヒ―――。コイツの中に、それ以外の存在はないのだろうか。

大分落ち着いた会場の中から、ハルヒの目立つ姿を探す。ハルヒは、ふんぞり返ったまま、ふて腐れた表情で、乱暴に同人誌を売っていた。
その隣で、朝比奈さんが泣きそうになりながら、必死に売り子をしている。
「ふぇ、あ、ありがとうございました〜。…! キョン君っ!!」
潤んだ瞳が俺を見付け、縋り付くようにはしゃいだものになる。
「ほら! 帰ってきてくれましたよ!! キョン君!!」
ハルヒは、だがぶすっとした顔を変えないまま、此方をちょっと眺めて、すぐに顔を背けた。
長門は、何も言わず、ただ例の同人誌を眺めている。

>>930 キョンの行動


923 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/03(日) 04:36:34.76 ID:Rk7bHjJwO

古泉がキョンよりハルヒを好きな方が萌えるから困る

安価ならあらかじめ買ってあったココアを渡して機嫌をとる

930 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/03(日) 04:44:18.35 ID:9UcSfVzU0

>>923


933 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/03(日) 04:53:25.50 ID:IY3Qjb4K0

俺は、古泉の分以外に、念のためにともう一つ買っておいたココアを取り出した。
冷たい風に包まれ、程良く温くなっているそれを、ハルヒに押し付ける。
ハルヒは、むっとした顔は変えずに、奪い取るようにココアを取り上げた。
「物で釣る気? 何よ、散々人の計画引っかき回しておいて……」
愚痴りながらも、ココアの缶を開け、口に含む。甘い物は、怒りを和らげると、何処かで聞いた事がある。
後は―――。
「ハルヒ」
「何よ、まだ文句あ……………ぶぶっふーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっ!!!!」
茶色の霧が、勢いよく本の上にぶちまけられる。少し、俺にも掛かった。
ハルヒ自身も、気管に入ったのか、苦しげに机に突っ伏した。よし、変顔成功!
「涼宮さんっ!! 涼宮さんっ!!!!」
慌てて古泉が駆け寄り、背中を必死で撫でる。ハルヒはぜひゅぜひゅ喘ぎながら、
必死で机の上にあった、今は点々と茶色い染みの付いたクロスを引っぱり、俺に投げ付ける。
「きょ、きょ、キョンの馬鹿ーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」
ひゅんひゅんと飛んでくる本を避けながら、俺はハルヒに向かって叫ぶ。
「もう充分だろう!! かーえーるーぞー!!」
ハルヒは聞いていないのか、聞く気がないのか、ひたすらに手元にあった物を投げまくる。
この騒動に、漸く気付いたのか…いや、長門が連絡したんだろう。スタッフらしき人間がハルヒを取り押さえ、
俺たち、強制的に会場から追い出されることとなった。は

939 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/03(日) 05:09:01.40 ID:IY3Qjb4K0

濡れて使い物にならなくなった本を抱えて、ハルヒは頬を膨らましている。
もちろん、俺に視線は向けようとしないが、長門の俺に対する目線が、責めるような物ではなく、
どこか見守るような物に変わっているので、問題はないのだろう。
朝比奈さんはハルヒの機嫌を取るように、必死に本の感想を言っているが…煌びやかな言葉で本音を隠しているのだろう。
どんな内容かは知らんが、ご苦労様である。
俺は、隣りに並ぶ古泉を見て、迷った。携帯を返すべきか、返すにしても、あの、メールは。
多分、あまり宜しくはないであろう表情を浮かべる俺の服の裾を、長門が軽く引く。
「……携帯」
見破られていた。返せ、と言いたいのだろう。古泉は、長門の声が聞こえたのか聞こえていないのか、ただハルヒの方を見ている。
俺は
1 携帯を返した
2 返さなかった


940 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/02/03(日) 05:12:21.99 ID:I+o639BT0




946 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/03(日) 05:23:44.57 ID:IY3Qjb4K0

長門の視線を無視して、俺は古泉の隣りに並んで歩いた。
コイツは、例えこの携帯が無かろうが、また新しい物を買って、それで連絡を取るのだろう。
だったら、その新しい携帯が来るまでの間だけでも、ほんの短い時間であったとしても、解放してやりたい。
重荷を背負うことは出来なくても、仮初めの休息を、与えたい。
長門、それは傲慢か?
「……………………」
長門は何も言わず、俺を見詰めていたが、やがて諦めたように視線を外し、俺の服の裾も離した。
代わりに、俺の手の中に、しわくちゃになった、ハルヒ作のあの本を握らせる。
「……今すぐでなくても、良い。読んで」
長門の言葉が、じわりと重みを持って、俺の中に染み渡った。

家に帰ってからも、俺は、ズボンのポケットに手を入れることすら出来ないまま、ぼんやりとしていた。
色々あり過ぎて、何も言うことが出来ない。
思い立って、長門から押し付けられた本を捲っては見たが、何だか古泉に似た男の顔を見ているだけで、不快になった。
漫画の中でも、そいつはへらへらと笑っている。
そんな古泉似の男と、俺がどうにかしているなんて、気色が悪い。
途中で止めようとして、それでも、何故だかラストが気になり、俺は適当にページを飛ばして、最後の方に手を掛けた。
どこかSOSの部室にも似た、教室の中で、俺と古泉…に、似た奴らは、笑っていた。

953 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/03(日) 05:34:41.07 ID:IY3Qjb4K0

ハルヒの漫画絵は、お世辞にも上手いとは言えない。だが、元々才能はあったのか、表情の違いは、驚くほどに上手かった。
最初の頃と違い、後半の方の古泉は、心の底から笑っていた。
俺の変顔で爆笑したり、擽られて転げ回ったり、頬にキスをしたり。
漫画の中の古泉は、同じ笑顔のはずなのに、くるくると表情を変えている。
これは、ハルヒの見ていた古泉だろうか。団に入った頃から、今までの、ハルヒの中の古泉。

なんだ。
アイツ、きちんと愛されてるんじゃないか。

「は、ははっ……なんだよ、まったく」
胸が苦しくなる。今まで身構えていた気持ちが、どんどん軽くなっていくのが分かった。
古泉は、この本を読んだのだろうか。読んでいないのだとしたら、見せたい。
見せて、そして、一緒にハルヒに文句を付けに行きたい。コイツ、笑顔以外の表情もするんだぞ、と、妙な自慢をしてやりたい。
古泉に連絡を取ろうとして、俺はふっと、携帯の存在を思い出した。そうだ、ココにコイツの携帯があるのなら、連絡も取れないじゃないか。
まいった、と思いながらも、何処か浮き足立っている。心が、跳ねている。
古泉を捜そう。そう思いついて、俺は急いでコートを羽織った。もう夜も近いが、気にしていられない。
何処行くの! と声を上げる妹に、コンビニだ! とだけ返して、もどかしげに靴を履く。
面倒だ! 踵ぐらい踏んでも構わん!

飛び出すように家の門を開けると、そのすぐ前に、
古泉が立っていた。
「あ、え……あの、携帯、知りませんか? 僕の、何処かへ―――」

957 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2008/02/03(日) 05:46:09.30 ID:IY3Qjb4K0

俺は、途惑う古泉の目の前で、アイツの携帯をへし折った。
あっ と、驚いたような声が上がる。俺は、ついでと言わんばかりに、自分の携帯もへし折ると、ぽいっとその場に投げ捨てた。
明日っから暫く困るかもしれんが、今の気分の良さは、それ以上だ。
「読め、読んでハルヒに感想を教えてやれ」
ぐいっと、手に持っていた同人誌を、押し付ける。
古泉は、未だ訳が解らないといった風に、俺と本を交互に見ている。
「で、携帯は無いわけだが、ハルヒが大切なお前としては、今すぐにでも感想を送りたいよな?」
はあ、と気の抜けた声を上げながら、古泉は俺の方を眺めている。
「なら、今から感想を言いに行くぞ、ハルヒの所へ行くまでに、それ、目を通しとけ!」
立ち尽くす古泉の手を取ると、俺は先に立って歩き、いや、走り始めた。
古泉はふらつきながらも、今度は転ぶことなく、俺について走ってくる。
寒いはずなのに、何故か、ぽかぽかする。
「古泉!! 手、離すなよ!!」
振り向かず、叫ぶ。顔にびゅうびゅうと当たる風が、冷たくて心地良い。
一呼吸置いて、古泉は、ぎゅっと。
強く俺の手を握りかえしてきた。
「解りました! あなたも、離さないで下さいね!!」

どう見られているのだろうか、今の俺たちは。
もしかしたら、ハルヒの描いた漫画の中の登場人物のように、カップルに見えるのだろうか。
だが、そんなことはどうでも良かった、今夜は空気が澄んでいて、星が綺麗で、俺はハルヒに言いたいことが山ほど在る。

握った手を離さないよう、もう一度力を込めながら、ぱたぱたと靴の踵を鳴らし、俺は。
俺たちは、ハルヒ目指して走り始めた。

【END】



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