らき☆すたでSAWのゲームが行われるようです


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トップ 作品一覧 作者一覧 掲示板 検索 リンク SS:コナン 「聞こえてるかバヤリース」

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1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/23(日) 23:54:04.12 ID:LYm8NL19O

私は見ている。

四人を見ている。

闇の中で。

閉じ込められた四人の女を。

四方を壁に囲まれ、否応なく死のゲームを目の当たりにする哀れな彼女達を。

これから、どんな狂おしい悲鳴を私に聞かせてくれるのか。

私は胸を躍らせている。

2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/23(日) 23:59:55.50 ID:LYm8NL19O

「かなた…どうして…どうして逝っちまったんだ…」

悲しい声が聞こえる。お父さんの声だ。

泉そうじろうは今日も仏壇の前で手を合わせている。

娘の泉こなたは、父親の悲しい後ろ姿を、ただ黙って見ていた。

「お父さん…。」

沈黙を破ってこなたが口を開く。

「私がついてるよ…私は何処へもいかないよ…。」

4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/24(月) 00:05:47.43 ID:TsySYMjTO

そう言うとこなたは静かに、そうじろうの肩に手を置いた。

小さくて、それでいて暖かな優しい手を…。


「こなた……。」

そうじろうはこなたの手の上に自分の手を重ねた。

ペンダコが出来た、ザラザラした手…。

「こなた…ごめんな…本当にごめんな…。」

そういうとそうじろうは突然こなたの手首を握り、乱暴に引っ張った。

こなたは突然の出来事になすすべもなく床へと倒れた。

「え…?え…?お父…さん…?」

こなたが困惑の表情で父親を見上げた。
父親はこなたを床に押しつけると馬乗りになった。

5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/24(月) 00:07:40.92 ID:TsySYMjTO

そうじろうの目頭から垂れた涙が、こなたの困惑した顔を濡らす。

「ごめんな…本当にごめんな……父さん…もう我慢出来ないんだ…。」


そういうとそうじろうは乱暴にこなたの服を捲り上げた。

こなたは悲鳴を上げた。

7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/24(月) 00:11:03.48 ID:TsySYMjTO

「お父さん!!」

件の悪夢から、こなたは覚醒し、飛び起きた。

目覚めると、そこは暗闇だった。
寒い寒い暗闇。
ここが自分の家では無い事は明白だった。


「あれ……?」

湿ったコンクリートに臥している自分に、こなたは混乱した。


「こなた…?こなたなの?」

聞き慣れた声がした。友人の柊かがみの声が。

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/24(月) 00:18:53.11 ID:TsySYMjTO

「かがみ!…ここどこなの…?怖い…怖いよかがみ。」

こなたが泣きそうな声を上げた。

「私にも…分からない…。」

「お姉ちゃぁん…。暗いよ…怖いよ…。」

こなたのすぐ近くで声が聞こえた。
柊つかさの声が…。


「つかさ!つかさ!大丈夫!?」

かがみが声を張り上げた。

「お姉ちゃぁん…助けてよ…」
声の調子だとつかさは既に泣いていた。


「待ってて…今明かり付けるから。」

かがみがそういうと、ジャリジャリと砂利を踏むような足音がして、しばらく何かを手探りで探すような音がした。

そして、電灯のスイッチを探り当てたのだろう…カチリと鋭い音がして、こなたの目の前が真っ白になった

11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/24(月) 00:22:04.59 ID:TsySYMjTO

眩しい光が皆の目を射た。

手をかざして遮っても、目が痛い。


しばらく耐えていると、徐々に視界が利いてきた。

そして、部屋の隅に腰かけるかがみの姿と中央で蹲っているつかさの姿が目に入った。

19 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 00:27:50.98 ID:TsySYMjTO

「つかさ!こなた!」

かがみは目を輝かせて二人を見つめた。

「お姉ちゃぁん!」

姉の姿を確認するやいなや、つかさはかがみに抱きついた。


「ここどこなの?私家に帰りたいよ…。」

かがみの胸に顔を埋めながら、つかさが言った。

「心配ないよ…ここから出よう…。」

かがみがつかさの頭を撫でながら優しく呟いた。


「こなた…みゆきをお願い…。」

こなたは後ろを振り返った。
気を失っているのだろうか…みゆきは壁にもたれかかったまま動かなかった。

「みゆきさん…しっかりして!」


こなたが慌ててみゆきに駆け寄る。

20 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 00:32:28.91 ID:TsySYMjTO

こなたはみゆきを揺さぶる。
すると、気の抜けたような声でうめいた。

良かった…生きてる…。

こなたはみゆきの手を引くと、起こそうとした。


みゆきの体が壁から離れるのと同時にガシャリと何かが落ちた。

それは真新しいテープレコーダーだった。

「…大丈夫です…一人で立てますから…」

みゆきはそういうとこなたの手を無理矢理引き剥がして、立ち上がった。

22 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 00:38:23.82 ID:TsySYMjTO

こなたはみゆきの体から落ちたテープレコーダーを拾い上げると三人の所へ戻った。


「みゆきさん…これ、落ちたよ。」


「……私…そんなの知りません…。」

みゆきはそう言うとうつ向いて、頭を上げようとしなかった。


「それ…どうしたのよ。」

つかさの頭を撫でながらかがみが尋ねた。

「みゆきさんが立った時に落ちて…」


「だから、私は知りません!」


うつ向いたまま、みゆきが声をあらげた。

「とりあえず…再生してみましょう…。」


かがみはこなたからテープレコーダーを受け取ると、おもむろに再生ボタンを押した。

25 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 00:47:00.25 ID:TsySYMjTO

不快なノイズが暫く響き、そして機械的なしわがれ声が聞こえて来た。

「まずはようこそ…お前らは、ここがどこだか分からないだろう。だから教えてやる…この牢獄でお前らは死ぬ。」


捕われて、監禁された四人の少女が、じっとテープに耳を澄ます。
さぞ哀れな画だろう


「泉こなた、柊かがみ、柊つかさ…そして高良みゆき……お前らは今日、自分の死を見るか、それとも上手く切り抜けるかな…?
全てを…何一つ見逃さず、そして何一つ見捨て無いように…生き残るチャンスがあるかもしれない…。お前らは何を救い、そして何を見捨てる?……全てはお前ら次第だ。」


あとはサーッというノイズのみ。

テープは終わった。
四人には言葉が見当たらない。

27 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 00:52:52.45 ID:TsySYMjTO

「どゆ…こと…?」

涙で濡れた目でつかさが尋ねた。


「お姉ちゃん…私達…しんじゃうの?」


「馬鹿…死ぬわけないじゃない!」

かがみが激昂して、言葉を遮る。

「き…きっとタチの悪い悪戯よ!こんなの全然怖くないんだから!」


かがみはそう言うと、古びた鉄の扉を開けて、部屋を出た。

「待ってよかがみん!。」


こなたとつかさがそれに続く。

みゆきは、ゆっくりと部屋を見渡すと三人の後に続いた。

29 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 00:55:38.51 ID:TsySYMjTO

三人は暫く無言で薄暗いコンクリートの通路を歩いていくと、目の前に鉄の扉を見つけた。


「出口かな…。」


「分からない…とにかく入ってみましょ。」

かがみが鉄の扉を開けて部屋の中へと足を踏み入れた。

32 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 01:02:53.10 ID:TsySYMjTO

その部屋はとにかく異常で、残酷で、狂っていた。


部屋の中央に置かれたガラスのケースの中に誰かが閉じ込められている。

柊かがみと同じクラスの日下部みさお…。


ケースの上部には電光のタイマーと黄みがかったドロリ液体が並々と注がれた水槽がぶらさがっていた。


タイマーは既に3分を切っていた。

「みさお!みさお!どうしてここに!」


かがみが血相を変えてケースに飛び付く。

それを尻目にみゆきは落ち着いた様子で床に落ちていたテープを拾い上げ、レコーダーに入れて再生した。

35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/24(月) 01:13:58.08 ID:TsySYMjTO

「やあ、みんな…ゲームをしよう。君らの目の前にいる哀れな少女…日下部みさおを救いだす事だ。やる事は簡単だ…部屋の奥にある三リットルと五リットルの水差しできっかり4リットルに図った水を秤に置けばいい…それでケースは開く。
時間は残り少ないはずだ…もし失敗すれば、この少女の頭上に酸が降り注ぐ…。彼女の運命は君達に委ねられている。…では、ゲーム開始。」


「柊…オレどうなってんだ…助けてくれよ…柊!」


テープを聞いたみさおが泣きじゃくりながら言った。

39 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/24(月) 01:21:11.62 ID:TsySYMjTO

「大丈夫…すぐに何とかするから…」


かがみはそう言うと、部屋の奥に置かれた水差しを手に取った。
目の前には水が入った水槽が置かれている。

「これで四リットルを作ればいいのよね…でもどうやって…。」


「五リットルの水差しに、きっかり四リットル汲めばいいんじゃないのかなぁ…。」


こなたがボソリと呟いた。


「駄目よ。憶測でそんな事しちゃ…。」


「かがみさん…私がやります…。」


今まで黙っていたみゆきが突然口を開くと、横からかがみの水差しを奪った。

41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/24(月) 01:26:22.99 ID:TsySYMjTO

「最初に三リットルの水を五リットルの水差しに注いだら、再び三リットルの水を汲みます。」


みゆきが冷静に水を汲んでいく。
もう時間は一分を切っていた。


「早く!早く!助けてくれ!」


みさおが狂ったように泣き叫んでいた。


「そして、三リットルの水を五リットルの方に入れます。すると三リットルの方にきっかり一リットル残ります。
五リットルの水を捨てて、一リットルの水を入れます。そして三リットルの水差しから水を注げば…四リットルになります。」

46 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 01:35:13.64 ID:TsySYMjTO

「早く!それを秤に置いて!」


かがみがみゆきから水差しを取り上げると、秤に置いた。

するとケースが開き、中からみさおが転がるように飛び出て来た。

その直後、水槽が傾き、酸を真下にばら蒔いた。

酸独特の酸っぱい悪臭が漂う。


「みさお!大丈夫?」

かがみが倒れ臥すみさおに駆け寄った。

その刹那、みさおが手を振り払った。

手にはナイフが握られている。


ナイフがかがみの制服を切り裂き、中に着ている下着が露になった。

50 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 01:39:57.66 ID:TsySYMjTO

「あああ!」


みさおは狂乱状態にあった。手に持ったナイフを狂ったように振り回していた。


「お姉ちゃぁん…」

つかさが怯えたように泣き出した。


「やだ!何よ!」


かがみは突然のみさおの狂行に驚き、ただ後退る事しか出来なかった。

「止めてよ!止めて!」

こなたが涙を堪えて必死で声を張り上げたが、みさおには届かなかった。

54 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 01:47:10.88 ID:TsySYMjTO

と、突然みゆきがかがみとみさおの間に割って入ると、みさおの手を掴み、激しく揉合った。

三人はただそれを見ているしかなかった。


みゆきがみさおの頬を思い切り張った。

「キャウッ!」


みさおが床に倒れて悲鳴を上げた。

「みゆきさん…」


こなたが呆然と、息を切らすみゆきを凝視した。

そこにいつものみゆきの姿は無かった。


みゆきは倒れてうめいているみさおの胸を思い切り蹴り上げた。

みさおは動物めいた声を上げて動かなくなった。

64 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 01:57:47.38 ID:TsySYMjTO

「みゆき…あんた…。」

不安そうに見つめるかがみを尻目に、みゆきは動かなくなったみさおのスカートのポケットをまさぐった。


そして、ポケットからテープレコーダーが出てきた。

すぐさまみゆきがそれを再生する。


「やあ…みさお。ゲームをしよう。」


先程と同様、ノイズの後に機械的なしわがれ声が聞こえて来た。


「私はお前の秘密を握っている…お前が夜な夜な街に出て、何をしてるかを…。
お前は弱い老人を狙ってひったくりをしていたね。それが堕胎の為の手術費を稼ぐ為とは聞いて呆れる。倒れた怪我で一生寝たきりになった老人もいるそうじゃないか…。
お前は罪を償う必要があるようだ。」

67 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 02:04:58.43 ID:TsySYMjTO

「これから、ある人物がお前を助けにくるはずだ…。
簡単なパズルだ…誰にでも解ける…。
ゲームはその後だ。お前は助けに来たそいつらをそこにあるナイフで殺せ。さもなくば、お前の罪は世の中を駆け巡る事になるだろう。果たしてお前は血を見る事が出来るかな…?ではゲーム開始。」


誰も何も言わなかった…いや、言えなかった。

まさか…みさおがそんな事を…。


「どうやら…みさおさんは負けたようですね…。」


みゆきが冷たい声で呟いた。

「ゆきちゃん…止めて…止めて…。」

つかさの顔は涙でぐじゃぐじゃになっていた。

73 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 02:14:20.91 ID:TsySYMjTO

「さあ…起きて下さい…みさおさん…あなたは負けました。」

みゆきがみさおの髪の毛を引っ張ると、無理矢理起こさせた。

みさおは相変わらず動かない…。
口から血が垂れている…。

「みゆき…止めて。」

かがみが怯えた表情で言った。

「起きて下さい…さあ、早く…。」

みゆきがみさおの体を左右に揺さぶるが動かない…。

様子がおかしい…。

みゆきはみさおの口の中に手を入れると、無理矢理こじ開けた。

途端に血が大量に口から溢れ落ちた。
舌を咬んだようだ。

「いやだ…もう嫌だよ…。」

こなたがその場にヘニャリと座りこんだ。

「…もう死んでますね…。先をいそぎましょう…。」

みさおの亡骸を打ち捨てるとみゆきは三人にそう促した。

81 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 02:25:44.25 ID:TsySYMjTO

みゆきを先頭に再び通路を歩く…だが四人に会話は無かった。

冷たく、暗いコンクリートの通路を歩く…。
そこに希望は無かった。


「ねぇ…みゆき…。」


「なんですか…かがみさん。」


「アンタ…さっきからおかしいわよ…絶対おかしい。」


歩きながらかがみがみゆきに話かけた。

「…そうですね…。」

「何か企んでるんだったら…許さないわよ…。」

「そうですか…。」

みゆきが突然歩を止め、かがみの方を振り返った。
「私だって…私だって…。」

下を向いたままみゆきが呟く。

84 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 02:32:19.90 ID:TsySYMjTO

突然みゆきがかがみに掴みかかると、先程出来た胸の切れ目に手を差し込み、乳房を掴む。


「いや…ちょっ……止め!止めて…。」


突然の事に驚いたかがみがかすれた声で言った。


みゆきはかがみを壁に押し付けた。


「私だって…助かりたくて必死なんですよ…助けて…!」


「ゆきちゃん…お姉ちゃんを離して!」


つかさがみゆきの腕を掴むが、すぐに振り払われた。


「…助けて下さい…」

ささやくようにそう言うとみゆきはかがみの乳房から手を離した。

そして、踵を返すと、再び歩き始めた。
かがみは顔を赤らめながらブラジャーを直した。

88 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 02:40:53.31 ID:TsySYMjTO

かがみはブラジャーを直しながら歩き始めた。

相変わらず顔は赤い。
「かがみん…大丈夫…?」


こなたが心配して、かがみの肩に手を置いた。

「ンッ…!」

途端にビクッと体を震わせて、手を振り払った。


「大丈夫…大丈夫だから…触らないで…。」

かがみがうつ向いたまま足早に歩いて行ってしまった。

90 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 02:43:37.18 ID:TsySYMjTO

四人が暫く進むと、再び、扉が現れた。

みゆきは躊躇いもなく、扉を開いた。


そこにはやはり哀れな犠牲者が一人…。

赤い髪をした小柄で可愛らしい、あどけない少女。

小早川ゆたか…。

100 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 02:58:20.92 ID:TsySYMjTO

彼女もやはり異常な状況下に置かれていた。

彼女は観音開きの棺桶のような箱に全裸で入れられていた。

開かれた蓋にはおぞましいトゲがびっしりと付いてい。これが閉まればゆたかはひとたまりもないだろう。


彼女は天井から張られた紐を赤らんだ顔で必死で噛み締めて、何かに耐えていた。


その何かとは毛も生え揃わない陰部に取り付けられたローターだった。

ひわいな機械音をたてて振動するローターは彼女の陰核を無情にも刺激し、口から紐を引き矧がさんと彼女を責める。

110 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 03:08:38.50 ID:TsySYMjTO

白い絹のような太ももに愛液が垂れる。

顔を歪めて必死で耐えているが、相当辛そうだ…。


「ゆーちゃん!」


こなたが叫び声をあげて、ゆたかの元へと走りよる。

ゆたかはわめき声を上げて、近付くなというふうに首を横に振った。

「ゆーちゃん…。」


こなたが立ち止まり、ゆたかを見つめた。


ゆたかは辛そうに笑顔を作ると、気丈にもこなたに微笑みかけた。

私は大丈夫だよ…お姉ちゃん…。


紐を必死で噛み締め、ローターの快感に必死で耐えるゆたかの精一杯の強がりだった。


「ゆーちゃん…こんな時にまで…強がりなんて…しなくていいのに…。」


こなたは唇を噛み締め、必死で涙を堪えた。

114 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 03:17:27.77 ID:TsySYMjTO

みゆきはゆたかの方を見向きもせずに、淡々とテープを拾い上げると、それを再生した。


「やあ、皆…ゲームをしよう。
いま死にひんしているこの可愛らしい少女は実に無垢でいい子だ…。
だが、その天使の命もお前ら次第だ。今彼女が閉じ込められている珍妙な装置はアイアンメイデンという拷問用具だ。蓋を見ればわかると思うが、閉じれば彼女は死ぬ。
今彼女が口に加えている紐は蓋に連動している。彼女が力尽き、口から離してしまうと、蓋が閉じる仕組みだ。


117 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 03:25:41.67 ID:TsySYMjTO

「このテープを再生したきっかり2分後に、彼女に取り付けられたローターのスイッチが強になり、彼女を強烈な快感が襲うだろう。
そうなれば口から紐が離れるのも時間の問題だ。
それまでに彼女の前に置かれている水槽に8リットル以上の液体を入れろ。
勿論ここに水は…ない。前の部屋に戻って水を汲んだり、無理矢理助け出そうなんて不正をしても駄目だ。私はお前らを監視している…。では、ゲーム開始。」

122 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 03:31:35.52 ID:TsySYMjTO

こなたは改めて水槽を見た。

水槽の真ん前にはご丁寧にも強化ガラスで囲われたカメラが設置されていた。


「どうしよう…八リットルの水なんて無いよ…このままじゃ、ゆーちゃんが…。」


「液体って…おしっこ…とか…?」

つかさが不安そうにモジモジと手を擦り合わせながら言った。

液体と言ったらそれしかない…後は吐冩物か…血……。

127 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 03:38:21.63 ID:TsySYMjTO

「おしっこを…貯めなきゃ…」
こなたがスカートに手をいれて、パンツを脱ぎ始めた。

アニメに触発されたのだろうか、白と緑の縞パンが足を滑り落ちた。


「わ…私がやるわ…」


かがみが相変わらず頬を染めながら、パンティーを脱ぎ、スカート一枚になった。


そして水槽の上を跨ぎ、屈んだ。

135 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 03:44:31.53 ID:TsySYMjTO

「クッ……。」


カメラを前に恥辱に顔を歪ませながら、かがみは水槽に向かって放尿した。

チョロチョロと、恥ずかしい音を立てて、尿が徐々に水槽に貯まっていく…。


全てを出しきり、かがみは恥ずかしそうに、水槽から離れると、今度はこなたが水槽に跨り、排尿を始めた。


黄色い液体がしぶきを飛ばしながら水槽に貯まっていく。

「つかさとみゆき…あんたたちも…。」

141 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 03:49:37.75 ID:TsySYMjTO

「あ……うん……。」


つかさが躊躇いがちに熊さんがプリントされてるパンツを脱ぐと、排尿するこなたの隣へと恥ずかしげに歩いて行った。


チョロッ…チョロッ…と残尿を出しきり、こなたが水槽を離れた。

間ぱついれずにつかさが水槽に跨る。

しかし、なかなか出ない。


「お姉ちゃぁん…出ない…。」

146 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 03:55:36.52 ID:TsySYMjTO

「つかさ…早く…!」


かがみがつかさの頭を撫でながら言った。


「そんな事言ったって…出ないよぉ…。」

つかさが再び泣き出した。


パンツを脱ぎ終えたみゆきがため息をつくと、つかさに近づき、おもむろにつかさの股間に手を伸ばした。


「やっ…ゆきちゃん…止めっ!」

つかさのクリトリスを摘みあげ、尿道に無理矢理小指をねじ込んだ。


「あああああっ!!」


つかさは悲鳴を上げた。

151 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 04:03:46.99 ID:TsySYMjTO

悲鳴を上げているつかさの尿道が無理矢理押し広げられ、つかさの尿道から血の混じった尿がほとばしった。


「あああああ…お姉ちゃぁん!」

つかさは泣きながら放尿した。


「ちょっとあんた!何してんのよ!」

かがみが怒りに声をあらげた。


つかさが出し終わると、今度はみゆきが怒鳴るかがみを無視して水槽に跨り、躊躇いもなく放尿した。


水槽から離れたつかさはその場にへたり込み、股間を押さえて泣きじゃくった。

157 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 04:11:21.63 ID:TsySYMjTO

みゆきが出し終えたが、まだ八リットルには及ばないようだ。

他に何か…液体を入れるしか…。


みゆきが出し終えて、水槽から離れた直後、既定の時間に達し、ローターのスイッチが強へと入れ変わった。

ひわいな音が更に大きくなる。


「ングッ…ンンンンンッ…ッ!」

ゆたかの顔が快感に歪み、口元が危うくなる。


「ゆーちゃん!ゆーちゃん!」


こなたが涙に濡れた目でゆたかを見つめた。

161 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 04:19:41.16 ID:TsySYMjTO

「まだ液体が必要な様ですね…。」


みゆきが淡々とそういうと、今度はこなたに近づいていった。

みゆきはこなたの腕を掴むと水槽の前に引きずっていった。


「離して!離せっ!」

こなたが必死で抵抗する。


「液体…血が必要ですよね。」


みゆきがこなたの腕を引っ張りながら呟く。


ゆたかはその様子を快感に顔を歪ませて見ていた。

172 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 04:28:46.96 ID:TsySYMjTO

みゆきはこなたを水槽のまえに膝間つかせると、アホ毛を引っ張って喉を露にした。


「みゆき!止めて!」


かがみが止めに入るが、みゆきがみさおから奪ったナイフをつきつけられ、黙り込む。


「血が必要ですよね…だから絞り取るしかない…。」


「みゆきさん…私…し…死にたくない…。」


こなたが震える声で命乞いをした。

そしてゆたかと目が合う。

ゆたかの目に涙が貯まっている。

180 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 04:37:08.63 ID:TsySYMjTO

みゆきがナイフを喉に当て、今まさに真一文字にこなたの喉を切り裂こうとしていた。


ゆたかと目があったこなたは、もう諦めていた。

ゆーちゃんが助かるなら仕方ないよね…。でも…死ぬのは悲しいな…。

こなたは、無理矢理口を歪ませて笑顔を見せた。いや…笑顔などという生温いものではなく、死の恐怖に怯えて尚、ゆたかを激励するせめてもの餞。


ゆたかはそれに答えて笑顔を作り、そして紐を離した。

197 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 04:45:08.78 ID:TsySYMjTO

その瞬間、肉を叩いたような鈍い音が響き、蓋が完全に閉じた。

中にゆたかを残して…。


「ゆーちゃん!ゆーちゃん!」


みゆきの手から離れたこなたがアイアンメイデンに飛び付き、蓋を開けようと躍起になったが、固く閉ざされた蓋は二度と開かなかった。


中からは無情にもローターの機械音だけが響いていた。


こなたを助けるためにゆたかは自分の命を投げ捨てたのだ…。

かがみがみゆきに近付くと、思い切り頬を張り上げた。

「ヒトデナシ…人殺し!」

「ああでもしないと、助けられませんよ。」

頬を押さえながらしたり顔でそういうと、みゆきはさっさと部屋を出ていった。

219 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 04:55:46.50 ID:TsySYMjTO

「こなた…行こ…いつまでも悲しんでいられないでしょ…ね。」

かがみがローゼンメイデンに取り付いて泣きじゃくるこなたの肩に手を置いて慰めた。


「ゆーちゃんが…死んじゃった…あたしのせいで…死んじゃったんだ…アタシが…アタシが血を注いでればゆーちゃんは助かったかも知れないのに…。」


「馬鹿!こなたの馬鹿!ゆたかちゃんはアンタを守るために死んだのよ!なのにアンタはそれを反故にする気!?」


「…かがみん…。」


「アンタは私が守る…。絶対に死なせるもんか!」


かがみはこなたの肩に手を回すと、抱擁した。

227 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 04:58:06.88 ID:TsySYMjTO

ごめん、間違えた。


ローゼンメイデン→アイアンメイデン


ヤッベ、俺ヤッベ。

243 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 05:07:39.38 ID:TsySYMjTO

かがみは痛みにすすり泣くつかさをおんぶしながら、みゆきの後に付いていった。


みゆきは相変わらず無言のまま通路を歩いて行った。


「かがみん…ありがとう…。」

こなたが後ろをチョコチョコと歩きながら呟いた。


「当たり前でしょ…友達なんだから…。」

かがみが息を切らせながら言った。

つかさは相変わらず泣いていた

27 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 20:14:38.19 ID:TsySYMjTO

「また…つきましたよ。次はここです。」


みゆきが鉄の扉を前にして呟いた。

かがみはつかさをおぶりながら、みゆきの眼前まで近付くと、うるんだ目でみゆきを睨みながら言った。


「あんた…次につかさやこなたに何かしたら許さないからね。」

みゆきはかがみを馬鹿にしたように一瞥すると、躊躇いも無く扉を押し開けた。

29 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 20:17:28.58 ID:TsySYMjTO

そこではやはり例外なく、次の犠牲者が死のゲームを待っていた。
決して避けられない死のゲームを…。

「そんな…まさか……」


一足先に部屋へと足を踏み入れたみゆきが、眼前に広がる光景に初めて絶句し、恐怖した。


みゆきの目の前には、ぐったりした様子の岩崎みなみが腕を鎖で吊されていたからだ。

まだ膨らんでもいない、小柄な乳房に、牛の搾乳器を大きくしたような、ガラス製のおぞましい器具が取り付けられ、その先端から伸びたチューブがみなみの後ろに設置された機械へと繋がっていた。

32 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 20:20:50.06 ID:TsySYMjTO

何かの拷問用具だという事は明らかだった。


「ああっ…ああっ…!」


みゆきが半狂乱になりながら、みなみへと駆け寄り、助け出そうとするが、かがみに腕を捕まれて止められた。


「よく見なさい…あの子の足元の水溜まり…電気が流れてる…下手に動けば感電死するわよ…。」

吊されたみなみのすぐ下には確かに、足首程の深さの水溜まりがあり、電極が触れてる部分から時折スパークが上がっている。
生憎ゴム製の長靴は誰も持ち合わせてはいない。

「助けてあげて下さい!誰か!助けてあげて!」

みゆきが今までの態度とは考えられない程に取り乱し、しきりにかがみの腕を取り、助けを乞う。
無理もない…今まで、姉妹のように接して来ていたのだ…。

33 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 20:23:48.43 ID:TsySYMjTO

かがみはそれを振り払うと、例の如く床に落ちていたテープを拾い上げ、レコーダーにセットした。


あの耳障りなしわがれ声がスピーカーから響く。

36 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 20:26:43.22 ID:TsySYMjTO

「やあ、諸君。ゲームも佳境に入って来たが、順調に助けて来れたかな?
さて、ゲームをしよう。今、お前らの目の前に吊されている娘が見えるだろうか…。彼女に取り付けられた、器具は吸引器…真空の力を利用する事で肉を吸引し、脂肪を集め、豊胸に使ういわば美容器具だ。だが今回は…すこし改造させてもらった…。
このテープが終わると同時に機械が作動し、彼女の肉と脂肪が吸引され、しまいには肋骨や内臓までもを粉々に砕いて吸引する事だろう。
だが助ける方法はある。
…部屋の隅に布がかけられた、とある物が見えるだろ?
その布を取ってみてほしい。」

38 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 20:29:57.17 ID:TsySYMjTO

四人が一斉に布がかけられた、とある物の方を向いた。
今まで気付かなかったが、ゆっくりと呼吸をするように、かすかに揺れていた。


かがみが恐る恐る近付くと、一気に布を引き剥がした。


そこには小早川ゆたかや岩崎みなみと同じクラスの田村ひよりが椅子の手すりに腕を固定され、猿轡を噛まされた状態で座っていた。

椅子の下から伸びた鉄製の筒が、スカートの中まで伸び、そこから血が滴っている。

ひよりは苦痛に顔を歪ませながらこちらに顔を向け、しきりに助けを求めた。

42 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 20:35:04.25 ID:TsySYMjTO

「お気づきだろうか…彼女の膣に挿入されているのはショットガンの銃身だ…このテープが終わった2分後には彼女の胎内でこれが炸裂し、内臓をズタズタにしてしまうだろう…。その前にどちらか一方を殺せ。そうすれば機械は止まる。
ゲームを成すための銃はひより君の膝の上に置かせてもらった………だが慎重に選べ…二人にはそれぞれ違うヒントを吹き込んでおいた……どちらを助けるかによってお前らの生死は決定する…。何もしなければ勿論二人は死ぬだろう。…ではゲーム開始。」

46 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 20:40:39.51 ID:TsySYMjTO

テープが終わると同時に、みなみに取り付けられた機械が不快なモーター音を立てて吸引を開始し、ひよりのショットガンに、鋭い金属音とともに散弾が装填された。


ひよりが短い悲鳴を上げて、体をこわばらせ、今まで意識を失っていたみなみが苦痛の絶叫を上げた。

狂乱状態のみゆきが、なりふり構わずひよりの膝に飛び付くと、置かれてあったリボルバー式の拳銃を手に取った。
弾倉には、弾が一発だけ込められていた。

48 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 20:43:40.16 ID:TsySYMjTO

みゆきはすぐさま撃鉄を上げると、ひよりに銃口を向けた。

ひよりがうめき声を上げながら首を横に振った。


「待って!撃たないで!他に助ける方法が…あるはずよ…。」


かがみがみゆきの後ろで声を張り上げた。


そうしている間にも、みなみの胸の肉は吸引され、痛々しい青紫色に変色してきていた。

みゆきは涙をながしながら、ひよりに銃口を向け続けた…。

52 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 20:50:41.56 ID:TsySYMjTO

みなみの胸の肉が裂け、血が吹き出し始めた。
みなみの絶叫はさらにおおきい物になる。

ひよりと三人はその様子を怯えた目で見つめるしかなかった。

「私…知ってるんです……何が正しくて、何が間違ってるか…。」

みゆきが突然口を開いて幾分か落ち着いた様子で言葉を発した。
だが銃口はひよりに向けられたままだ。


「私には…彼女にあわせる顔なんてない…それに…もう助からない…知ってるんです…。」

60 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 20:58:35.52 ID:TsySYMjTO

ひよりに挿入されたショットガンのタイマーが無情にも、カチカチと時を刻み続けた。

もう時間は20秒を切っていた。


「私は罪を清算する為なら、何だってやります…殺されてしまっても…仕方ありません。」


ひよりと三人はみゆきの言葉をただ黙ってきいていた。


「だから……だから!」


みゆきが急に銃口を、ひよりから離すと、怒鳴りながら、銃を別の方向へと向けた。

「だから…こんな事はもうたくさん!」


みゆきはそう叫ぶと引金を引いた。

狭い室内に銃声が響き渡った。

66 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 21:06:14.10 ID:TsySYMjTO

銃から放たれた銃弾は、目にも止まらぬ早さで空気を切り、そしてみなみの額に命中した。


みなみの後ろの壁に、彼女の脳味噌が芸術を描いた。

彼女は一瞬痙攣すると、だらりと脱力し、動かなくなった。


それと同時にひよりを拘束していた器具が外れた。

ひよりは苦痛に顔を歪ませながら、膣の奥深く…子宮口まで到達していた銃口を無理矢理抜き取り、椅子から転がるように崩れた。

助かった事への安心感からか、はたまたみなみが死んだ事への悲しみなのか…ひよりは猿轡をしながら号泣していた。

71 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 21:12:39.43 ID:TsySYMjTO

「みゆき…あんた……。」


かがみがみゆきに何と声をかければ良いのか分からなかった…。

みゆきは相変わらず下を向いて、おし黙っていた。


こなたが、ひよりにかけよると猿轡を解いてやった…。


「ひよりん…大丈夫…?」

こなたはひよりに肩を貸してやり、汚い床から立たせてやった。


「先輩……死んじゃいますよ…」


ひよりがむせび泣きながら言った。

77 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 21:22:07.40 ID:TsySYMjTO

「死ぬって…何が…?」

手をモジモジさせながらつかさが不安げに尋ねた。


「ジグソウからの伝言で、先輩達には作用の遅い毒が注射されてるんす…このままだと先輩方は確実に死んでしまいます…。」


「そんな……なんで…。」


「その毒を中和する解毒剤の有りかを知ってるのは…ゆたかちゃんだったんです…だから先輩方がゆたかちゃんを助けて…解毒剤をてにしてるものとばかり…思っていました…。」

「お姉ちゃぁん…私達しんじゃうの…?」

つかさが再び泣き言を言い始めた。


かがみも相当参ってる様子で、額に手を当てて、壁に寄りかかっていた。

89 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 21:32:46.86 ID:TsySYMjTO

「かがみ…どうしよう…ゆーちゃん死んじゃったんだよ…かがみん…どうしよう。」


こなたが壁に寄りかかるかがみの肩を掴み、不安げな表情を浮かべながら尋ねた。

「……分からない…どうしていいかなんて…分からない…」


かがみがぼそりと呟いた。


「かがみん…私死にたくなよ…かがみん…どうしよう…。」


「うるさい……うるさいわね!!なんでいつも私なのよ!私だって辛いのに…なんで…なんで…寄ってたかって…私…悪くないのに…。」


今まで気丈に振る舞っていたかがみがついに両手で顔を押さえて泣き出した。

102 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 21:46:47.25 ID:TsySYMjTO

「お姉ちゃん…」

つかさは泣き崩れるかがみをただジッと見つめていた。


誰も何も言わなかった…。

聞こえるのは、かがみのすすり泣く泣き声と、みなみの額から垂れる血が、ポツポツと水面を叩く音だけ…。


「ごめん…かがみん…本当に…ごめんなさい…。」


こなたがかがみに手を差し延べた。
しかしかがみはそれを振り払うと、手の甲で涙を拭いながら部屋を出ていってしまった…。


何かが徐々に壊れていった…それは強くて、信じられない程に脆い物だった。

108 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 21:54:56.34 ID:TsySYMjTO

それはいつも通りの、何のへんてつも無い…退屈な一日の筈だった…
そう…退屈な一日の…。


「…立木…白石……泉……いずみ〜?…なんやアイツまた遅刻かいな…。」

泉こなたと柊つかさの担任の黒井ななこは、今日も、平凡な一日を過ごす筈だった…。

「そういやぁ、柊もおらへんなぁ…泉が遅刻するのはいつもの事やけど、柊が遅刻するのは珍しいなぁ…。」

113 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 22:01:05.87 ID:TsySYMjTO

「まあ、ええわ…もしアイツラが来よったら、後で職員室にくるように……。」


「黒井先生…お電話が入っております…至急職員室まで起こし下さい。」


そこまで言った所で放送が入り、ななこはそそくさと教室を後にした。

電話が来たという事は、どうせ泉が仮病使って病欠する旨でも連絡して来たのだろう…。


アイツ……今日こそガツンと言ったらんと…。

ななこは、意気揚々と受話器を手に取った。

118 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 22:08:55.42 ID:TsySYMjTO

ななこは電話を取るや否や大声で言った。


「泉!もう仮病は通用せんで!何回目やと思っとるんや…遅れてもいいから、はようこ…。」


「……黒井…ななこだな。」


予想外にも、電話の相手が男だったのでななこは少々驚いて赤面した。

あちゃー…まちごうた…。


「ああ…えろうすんません…いやぁ、ウチの生徒とまちごうてしまいまして…。」


「泉こなた…だな。彼女は預かった。それから柊つかさ、高良みゆきも…。」


「……え…?」


「コイツラは預かった…と言ったんだが…?」

123 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 22:17:05.92 ID:TsySYMjTO

「失礼ですが…どなたですか…?」


「お前が生理の日に夜な夜な…街に出て、塾帰りの少年達に何をしているか知ってる者だ。…よくも無垢な少年達にあんな真似が出来たもんだな。
欲求不満の捌け口に使うとは…教師失格だな。」


それを聞いた途端にななの顔が青ざめた…。


どうしてそれを……。

131 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 22:24:34.97 ID:TsySYMjTO

「一体なにが…望みなんや…。」


「…今から俺が指定する場所に行って簡単なゲームをするだけだ。それに勝てばお前の学校の生徒を解放して、お前の罪は水に流してやろう……いいな…。」

勿論ななこに拒否権は無かった…。


「……はい…。」


ななこはそれに従った。

136 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 22:37:29.95 ID:TsySYMjTO

…通路にて…。

五人は互いに距離を取って薄暗い通路を歩いて行った。

誰も口を開かない…気だるい沈黙が辺り包む。


先頭を歩くみゆきは相変わらず、うなだれたままだ…。
そしてかがみは未だにすすり泣いていた。


私達の友情ってこの程度の物だったの…?こんなのって…あんまりだよ…。

こなたはうなだれた頭を上げるとつかさの方を向いた。

いつもの気丈な姉の弱い一面を目の当たりにしたショックからだろうか…やはり表情は重かった…。

148 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 22:51:46.12 ID:TsySYMjTO

暫く進むと、その先は突き当たりになっていた。

突き当たりにはやはり鉄の扉がある…。


だが、あけるのは躊躇われた…。
また…この先には悲劇が待ち構えているかもしれない…。


みゆきは軽く深呼吸をすると、鉄の扉をゆっくりと開けた。


途端にかび臭い、湿った空気が中から漏れて来る…。


だが予想に反し、部屋の中には何も無かった。
四方をコンクリートで囲み、天井からの裸電球だけが唯一の明かりの殺風景な何も無いへや…。

みゆきがズカズカと中へ入ると、何かを拾い上げた。

カセットテープ…

155 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 23:02:23.63 ID:TsySYMjTO

例のごとくみゆきがそれをレコーダーに入れて再生する。


「ようこそ。この部屋がゲームの一つの区切りだ…。だが生憎、解毒剤のありかは分からないようだな…だから私から特別にヒントをやろう…。
解毒剤は四人のうちの一人の体内に隠しておいた…勿論解毒剤を手に入れる為にはその一人に犠牲になってもらわなくてはならないんだが…。小早川ゆたかを助けたはずなら、誰かは分かっているはずだ…。だが助けられなかった場合は…。」


みゆきはそこで耐えられなくなって、テープを止めた…。

恐怖の為か、目を見開き、肩で息をしていた。

他の四人も同様に、混乱し、恐怖し、今にも泣き叫びそうだった…。

なんて…なんて残酷な話であろうか…

173 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 23:20:41.19 ID:TsySYMjTO

みゆきが震える指で、ゆっくりと…再び再生ボタンを押した。


「最後の一人になるまで、殺し合うしかないだろうな…もし最後の一人の体内の中に入っていたら……その時は…ご想像にお任せしよう…今まで得てきたヒントを最大限に活用する時がきたのだ…。それでは…ゲーム開始。」

あとは無音…。

みゆきは相変わらずテープレコーダーを握りしめて震えていた。


この疑心暗鬼の極限状態で四人は、ついに真のゲームを体験しているのだ…。


いつ何時…誰に襲われるやも知れない…裏切られるかもしれない…。


本当のゲームが始まった。

188 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 23:33:11.56 ID:TsySYMjTO

ひよりは何とか四人を落ち着かせようと、出来るだけ声のトーンを押さえて言った。


「高良先輩…気をしっかり持つっす…きっと探し出す方法があるはずっす…。」


だがみゆきからの返事はなかった…。


「高良先輩…。」


ひよりがみゆきの肩に手をかけようとした、その刹那…みゆきが振り向きざまに手を振り払った。


裸電球に照らされ、赤黒い銀色の光がギラギラと反射する。

あっけにとられていた、ひよりの喉から鮮血がほとばしる。

みゆきの手にはナイフが握られていた。

191 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 23:39:32.42 ID:TsySYMjTO

「がっ……ガハッ…!なんで…?」


ひよりは反射的に喉元を押さえると、止血を試みた。


だが血が後から後から出てきて止まらない。

目を見開いて後退るひよりの腹に、みゆきはナイフを突き入れた。


「…ア"ッ…待って……ゴホッ…嫌だ…よ」


みゆきはひよりを押し倒すと馬乗りになり、所構わずメッタ刺しにした。

204 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/24(月) 23:50:28.80 ID:TsySYMjTO

「アッ…カハッ……ハッ…」


ナイフを突き入れられるごとに、ひよりの口からか弱い息遣いが漏れた。


そしてみゆきはナイフを下腹に刺すと、徐々に腹を切り開いていった…。


「ンンンンン…。」


もはや悲鳴すらあげられないのか、ひよりは小さなうめき声を上げると、力尽きた…。

みゆきは全身を返り血で真っ赤にしながら切り開いた腹の中に手を突っ込み、解毒剤がないか探った。


だがあるのは生暖かい臓器と溢れでた血と胆汁のぬめりだけだった。


「…私だけは…私だけは生き残ってやる…絶対!」

みゆきはナイフを持ち直すと三人の方を向いた。

しかし、そこはもぬけの殻だった。
既に三人は逃げ出したようだ…。


みゆきは素早く立ち上がると、三人を追いかけるべく走り出した。

217 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/25(火) 00:06:22.47 ID:BQskxjIFO

かがみはつかさと手を繋ぎながら必死で走った。


こなたも後につづく。

もう何も考えられなかった。
すこしでも思考を展開すれば確実に狂ってしまう。

だが今の状況は確実に狂気以外の何物でもなかった。


昨日まであんなに仲が良かった友達が、今やナイフを振り回し、自分達を殺そうとしている…。


そんな狂った状況のなか、こなたはふ、と思った。


これはジグソウのゲームでも何でもなく、みゆきさんが仕組んだ自作自演の殺人ショーなのではないか…。


それでみゆきさんに関わる全ての不可解な行動に合点がいく。

最初のテープレコーダーしかり、みなみを殺した時もしかり…。

それに本当は毒なんて仕込んでないんじゃ…。

231 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/25(火) 00:23:33.47 ID:BQskxjIFO

そんな事を考えている内に、後ろから高笑いが聞こえて来た。


みゆきが迫ってきている。


「あっ!」


その時、こなたが何も無い平坦な地面で転んでしまった。

「こなた!」

慌てて戻ろうとする、かがみをつかさが押し留め、走り出した。

こなたは急いで追い付こうと、立ち上がった…。途端に足首に激痛が走る。

どうやら足をくじいてしまったようだ。

「待ってよ、つかさ!かがみ!怖いよ、助けてよ。」

こなたは必死で走り出そうとするが、到底無理だった。

囮に使われた…なんで…どうして…。

こなたは暗闇の通路に一人取り残された。

247 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/25(火) 00:35:47.72 ID:BQskxjIFO

「つかさ…かがみ…酷いよ…。」


こなたは足を引きずりながら手探りで移動した。

徐々に背後の足音が大きくなって来ている。


みゆきが近付いて来ているのだ…。
こなたは足の激痛に声が出ないように歯をくいしばりながら、壁にそって移動を続けた。


この静かな通路で少しでも音を立てたら…終りだ。


こなたは手近にあった扉に入ると、みゆきが見逃してくれる事をひたすら祈り、ドアの隙間から通路の様子を伺った。

256 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/25(火) 00:44:46.84 ID:BQskxjIFO

暫くして、全身をひよりの血で真っ赤にしたみゆきが、通路の暗がりから姿を現した。

そして扉の前で急に立ち止まり、直立の姿勢のまま、目をギョロギョロと動かし、辺りの様子を探っていた。


こなたは思わず声が出てしまわないように口を手で押さえ、再度ドアの隙間から通路の様子を伺った。


前を向いていた仏頂面のみゆきがこちらに向き直り、ただじっとこちらを見つめていた…。

265 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/25(火) 00:49:44.12 ID:BQskxjIFO

「………フッ…」


あまりの出来事にこなたは思わず息を漏らしてしまった。


途端にそれを察知したみゆきがこちらに近付いて来る。

269 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/25(火) 00:54:37.60 ID:BQskxjIFO

止めて……こないで…みゆきさん…。


こなたは暗闇の中で蹲り、必死で祈った。

ガタン、とみゆきが扉に手をかける音がした…


その時、通路の奥から何か重い物をを倒したような音が聞こえた。


静寂が辺りを包んだ…。

そして扉の向こうからパタパタとみゆきの足音が聞こえ、徐々に遠ざかって行った。


きっとかがみとつかさが注意を引いてくれたんだ…。

こなたは暗闇で蹲りながら、胸をなでおろした。

278 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/25(火) 01:10:10.64 ID:BQskxjIFO

埼玉県…郊外のとある廃工場地下…。


黒井ななこは指定された場所へとやって来た。

そこは寂れた廃工場群の一画で、滅多にひとが訪れないへんぴな場所だ。


わざわざ自分に探りをいれて、脅すとは一体何が目的なのだろうか…。

金だろうか…いや…体も要求されるかも…。

ななこは内心不安で仕方が無かった。


工場の地下はひんやりと湿った空気が漂い、血のような不快極まりない錆の臭いがした。


暫く地下を歩いていると、急に鉄の扉が開き、腕を捕まれて、無理矢理部屋に入れられた。

282 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/25(火) 01:16:33.94 ID:BQskxjIFO

「ちょ…ちょっと…!分かったから離してや!」

ななこは腕を振り払うと改めて、その人影の姿を見つめた。

黒いローブを被っていて、人相までは把握できなかった。


「私は知ってるぞ…お前の罪を…。」


その怪しげな人物はそう言うと、ポケットから写真を取り出した…。

そこには、夜道で少年に声をかけるななこの姿が写っていた。

そして二人は手を繋ぐと、公園まで歩いていき、トイレの中へと消えて行く過程が移し出されていた。

290 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/25(火) 01:22:44.22 ID:BQskxjIFO

次の写真では血まみれの手をハンカチで拭きながら、トイレから足早に出てきたななこの姿が…。


「自らの快楽の為に罪もない少年を去勢したね……同一の事件がここ二年で連続して9件…酷いもんだ…なぁ、黒井先生。」


黒いローブの人物がななこに詰め寄る。
その人物からはむせかえるような錆の臭いがした。


「一体…何が望みなん……?」


ななこは顔を引き釣らせながら尋ねた。


「まずは服を脱げ…」

301 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/25(火) 01:32:53.18 ID:BQskxjIFO

「……分かった…言うとおりにするさかい…ばらさんといて…お願いや…。」


そういうとななこはスーツを脱ぎ、ワイシャツのボタンを一つずつ外していった。

27歳と…本人は年を気にしているが、それを感じさせない、引き締まった、裸体が露になる…。


「下もだ…。」

ななこは恥ずかしげに小さくうなづくと、ズボンとパンティを躊躇いがちに脱いだ。


「こ…これでええんやろ……次はどないしたらええの?」


「そこにあるベッドに寝ろ…」


全く予想通りの言葉が帰って来た。

ななこは言う通りにした

315 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/25(火) 01:45:26.31 ID:BQskxjIFO

ななこは裸体をベッドに横たえると、目を瞑った…。

これから何をされるのか…。もはや想像がつく。

案の定、生温い手が下腹部に置かれた。
そしてそこを撫で回す。
その手がヘソ、みぞおち、と徐々に上に登って来て、乳房に到達し、形の良い乳房を鷲掴みにしてこねくりまわす。

気色悪い快感にななこは必死で耐えた。

「な…なぁ、後生やから…早く…終らせて…。」

「ああ…いいとも。」
人影がそう言うと、ななこの首筋に鋭い痛みが走った。

「イタッ…何?」

驚いて目を開けたななこの目に飛び込んできたのは、注射器…麻酔か何かを注射されたようだ…。
途端にななこの意識がもうろうとし、そして、完全に意識を喪失してしまった。

その人物は暫くななこをみつめてから、ローブをななこの脇に脱ぎ捨てた。

「ゲームを楽しめ、黒井ななこ…」

人影はそう言うと、部屋から出ていき、二度と戻っては来なかった。

338 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/25(火) 02:03:44.24 ID:BQskxjIFO

通路にて…


かがみは呆然と立ち尽くすつかさを尻目に、通路に放置されていた、大きめの本棚を倒した。

途端にホコリと物凄い轟音をあげながら、本棚は盛大に床に倒れた。


「これでいいわ…後は逃げるだけよ…。」

そういうとかがみは通路の奥へと再び走りだした。

依然としてつかさは不機嫌そうな表情をしていた。


「こんな事してもどうせこなちゃんは助からないよ。」

つかさがボソリと呟いた。


「前から、あんまり好きじゃなかったな…こなちゃん…。」

362 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/25(火) 02:17:28.36 ID:BQskxjIFO

こなたは暫く、様子見の為に、暗闇の中で蹲っていた。

かがみとつかさの陽動のお陰で、難を逃れたが、またいつ帰って来るかも分からない…


あの体格差だ…もし対峙したとして、こなたではみゆきに到底敵わないだろう…。

下手に動かない方がいい。


こなたは改めて、その部屋を見回した。

一寸先も見えない闇だ…。

だがよく目を凝らすと、徐々に部屋の詳細が見えて来た。

部屋の中央の椅子に誰かが座っていた。


こなたは戦慄した。

382 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/25(火) 02:32:09.37 ID:BQskxjIFO

「だれ…?だれかいるの…?」


恐怖に震える声でこなたが尋ねた。


「こなたサン……どしてココに…。」

タンが絡んだような具合の悪そうなのを除けば、聞き覚えのある声が聞こえて来た。


この声は……パティ…。


「パティ…パティなの…?」


「そです…パトリシアマーティンでス。」

声を発する度に相変わらずゴボゴボと不快な音が混じる…様子がおかしい。

399 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/25(火) 02:39:58.61 ID:BQskxjIFO

「パティ…なんか変だよ…?そっちに…行くね…。」


こなたはそっと立ち上がるとパティの元へとゆっくり歩いて行った。


「ダメッ……見ないでクダサイ…ワタシ…ハダカなので恥ずかしいですネ…。」


恥ずかしがっているのか…こなたが近寄る事をタンが絡んだ声でかたくなに拒む…。


「パティ…怪我してるの?」


「チョット…ほんのチョットです…。」


そう言った直後、パティはまるで末期の結核患者のような湿っぽいせきをして、何かを吐き出した。

臭いから察するに、それは血だった。

410 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/25(火) 02:49:03.69 ID:BQskxjIFO

こなたは急いで、パティの元へと駆け寄った。


そして暗闇の中で目を凝らし、パティを見つめ、ショックのあまり絶句した…。


全裸で椅子に座っているパティの体の至るところに裂傷や切傷が散在し、手足はほぼ全部の指の爪が剥がされ、椅子の手すりと、床に五寸釘で打ち付けられていた…。


顔にも切傷が多数あり、一番酷いのが、目を黒くて太い糸で縫いつけられていた事だった…。
狂ってる…拷問を受けた事は明らかだった…。

「パティ…どうして…こんなに……。」


「…こなたサン……だから近付いてほしくなかったんです…ワタシこんな姿アナタにみられたくなかったですネ…。」

421 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/25(火) 02:57:36.49 ID:BQskxjIFO

「どうして…どうしてこんな目に…」


こなたが泣きそうなこえで呟いた…。

「ワタシが馬鹿でした…実はワタシ、日本での学費を稼ぐ為に出会い系で援助交際をしてました……ある日…出会い系でココに呼び出されました…。そこで怪しめばよかったのに…馬鹿なワタシね…。」


パティが苦しそうにあえぎながら続けた。


「ココで黒いローブを来た人に援助交際をしてる事をバラされたくなかったら…服を脱げ言われました…だから…ワタシ言う通りにしたら、イキナリ何かを注射されそうになりました…。」

433 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/25(火) 03:06:22.09 ID:BQskxjIFO

「そんな事されたくない……ワタシ抵抗しました…抵抗して、その人の顔思い切り殴りました…そしたら、その人本気で怒って、色々な機械の実験台にワタシされました…。すごく…すごく痛かった…。」


パティがおえつを堪えてむせび泣いているのが分かった……。


「さっき…その人来て、私に何か注射していきました……ワタシもう助からない……キット死ぬ…。」


こなたはパティにかけるべき言葉が見つからなかった…。

445 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/25(火) 03:15:28.88 ID:BQskxjIFO

「パティ…きっと大丈夫だよ…助かるよ…。」


こなたがパティの頭を撫でると、目から涙のように流れる血を拭ってやった。


「だって…だってさっきから血が後から後から込み上げて来て…止まらない…苦しい……もう駄目ですネ…。」

パティが再び湿っぽい咳とともに、吐血した。

458 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/25(火) 03:24:51.38 ID:BQskxjIFO

パティはゼェゼェと苦しそうにあえぐと、見えない目でこなたの方を向いて言った。


「最期に……アイツからの伝言でス…血の一滴は酒より重い……。」


苦しげにそう言い終えると、さっきよりも更に激しく咳込み、血を吐き出し続けた…。


そして苦しげに悶えると、そのまま動かなくなった…。

パティは拷問道具の実験台に使われた挙げ句に伝言板のように使われて死んでいった…。


犯人が誰であれ、許されるべきではない…。

こなたは、パティの亡骸に、落ちていたシートを被せてやった。

693 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/25(火) 20:49:10.98 ID:BQskxjIFO

「ごめんね…パティ…後で…必ず迎えに来るから…。」

部屋を出る前にこなたは再びパティの方を振り返った。

シートを被ったパティの亡骸は、暗闇の中で寂しそうに佇んでいた。


こなたは目に溜った涙を拭うと、扉を開けて通路へと出ていった。


「あら…こなたさん…そこに隠れてらしたんですか…?」


怪しい韻を含む聞き慣れた声に、こなたはゾッとした。

702 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/25(火) 21:20:13.78 ID:BQskxjIFO

通路の暗闇の奥に、血にまみれた、みゆきがナイフを片手に立っていた。


「解毒剤が必要なんですよ…こなたさん…。」


みゆきがナイフをひけらかしながら言った。

「みゆきさん…これはみゆきさんが全て仕組んだ自作自演の殺人ショーなんでしょ…?」

「どうして…そう思われるのですか…?」


みゆきがこなたに少しずつ近付きながら尋ねた。

こなたはみゆきから距離をとるために後ずさった…。


「今回の件…みゆきさんに不可解な点が多すぎる…。おかしいよね…みゆきさん…。」


こなたは後退りながらも力強い目でみゆきを見つめながら言った。

711 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/25(火) 21:32:50.43 ID:BQskxjIFO

「まずカセットテープの件…あれはみゆきさんのポケットから出てきたし、、みなみを殺した時も何かを知ってるかのような口ぶりだったよね…。」


こなたがみゆきを追求する…。みゆきはこなたの鋭い追求に眉一つ動かさず、こなたを追い立て、隙を伺う。


「一連の件は私が犯人だと…そう言いたい訳ですか…?」


「そう……みゆきさんはパティを始め、ゲームの材料にしようと思ったけど、抵抗されたために、逆鱗に触れてしまった…だから材料にはせずに自らの手でいたぶって殺した。」

716 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/25(火) 21:44:14.94 ID:BQskxjIFO

「ビデオで監視してたのも、ゲームの過程をスナッフとして売るか…それとも欲望の捌け口として使うか…でしょ…?」


みゆきはクスリと笑うとさげすんだようなニヤケ顔でこなたを見つめた。


「これはこれは……とんだ名探偵が近くにいたもんですねぇ…素晴らしい発想力です…感心しちゃいますよ…本当に…。」


「あたしは絶対に許さない…許さないよ、みゆきさん…。」


こなたは後退りしながらも気丈な態度でみゆきに接した…と、足を引きずっていたこなたが、再び廃材に足を取られて尻餅をつく形で転んでしまった…。


「ッッ…!」


すかさずみゆきが距離をつめる。

725 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/25(火) 21:52:34.89 ID:BQskxjIFO

「あああ……や、やめっ…!」


それまで気丈な態度だったこなたの糸が切れ、今や恐怖に捕われ、何も出来ない、足をくじいた少女へと戻ってしまった。


みゆきはこなたの肩を掴むと乱暴に床に押し倒し、馬乗りになった。


「止めてよ…みゆきさん…止めて…お願い…。」


こなたが涙目になりながら必死で命乞いをした。

735 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/25(火) 22:07:12.90 ID:BQskxjIFO

「解毒剤が必要なんです…どうしても必要なんです!」


みゆきがナイフを振り上げて、こなたの胸を一突きにしようとした、その刹那、みゆきは激しい咳に襲われ、口元を押さえて激しく咳込んだ…どうやらパティと同じ毒を注射されたようだ…。


こなたは手元にあったコンクリート片を手に取ると、それで思い切りみゆきを殴りつけた。


みゆきは短い悲鳴を上げて倒れた。


こなたは慌てて起き上がると、後ろも確認せずに、足を引きずりながら駆け出した。

751 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/25(火) 22:27:30.73 ID:BQskxjIFO

暫くして…


汚い床に横臥していたみゆきはムクリと起き上がると辺りを見回し、頭の激痛に悲鳴を上げた。


こなたの一撃による鮮血が彼女の額を伝う。


みゆきはゆっくりと起き上がると、怒りに震える手でナイフを握りしめた。


「殺してやる!必ず殺してやるぞ、泉こなた!」


みゆきはそう叫ぶと、軽く咳をして、こなたの後を追った。

774 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/25(火) 22:44:40.63 ID:BQskxjIFO

みゆきは壁に手をつきながら、暗い通路を手探りで移動した。


息が荒い…体内に着実に毒が浸透していた。


と、その時、通路の奥からささやき声が聞こえてきた…。

何者かがヒソヒソと会話をするような声だ…。

みゆきはそのまま、声がする方へと手探りで進んで行った。

779 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/25(火) 22:54:53.10 ID:BQskxjIFO

それは鉄製の扉から聞こえて来ているようだ…。

みゆきは、辺りを警戒しながらゆっくりと扉を開けて、中の様子を伺った…中は、先程ゲームが行われた、小早川ゆたかの部屋だった…。


みゆきは扉に体を滑り込ませるように中に入った。


相変わらず、不気味なアイアンメイデンが部屋の中央に鎮座している…。


ささやき声はどこから聞こえるのだろうか…みゆきは目を凝らして部屋を見渡した。

795 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/25(火) 23:07:15.51 ID:BQskxjIFO

…どうやら…ささやき声はアイアンメイデンの中から聞こえて来ているようだった…。


しかし…中には、鋭い針で全身を貫かれた小早川ゆたかの死体があるはずだ…。


死体が喋るはずがない、そう完全に死んでいる死体ならば…。


まさか…ゆたかが生きているのだろうか…そんな、そんなはずはない…!

819 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/25(火) 23:23:43.45 ID:BQskxjIFO

相変わらず鉄の処女からはささやき声に混じって、ローターの音が響いている。


鉄の処女の上部には丁度ドアの郵便受けと同じ位の覗き窓がもうけられていた…。


みゆきは恐る恐る、アイアンメイデンに近付くと、覗き窓から薄暗い内部の様子を覗いた…。


中には全身を針で貫かれ…笑顔が顔に張り付いたまま死んでいる小早川ゆたかの姿があった…。


しかし、ささやき声はやはりこの中からしている…。

みゆきは更に目を凝らした。
するとゆたかの血で濡れた床に何かが落ちていた…。


それは…テープレコーダーだった…。


スピーカーからはジグソウの説明が流れており、それがささやき声に聞こえたのだ…恐らくボリュームを調節して内容を悟られないようにしたのだろう…。

だがみゆきにはこのフレーズだけははっきりと聞こえた。


「では…ゲーム開始…。」

849 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/25(火) 23:44:57.92 ID:BQskxjIFO

やられた……こなたにはめられた……。


解毒剤を求めるあまり、いつもの冷静で聡明な判断を欠いたみゆきの負けだった。


みゆきは慌てて後ろを振り返った。

…丁度こなたが何かを振り払う瞬間だった。
あっけに取られたみゆきが何かを払いきったこなたの手に握られた物を見た…。


それは、どこからか拾ってきたガラスの破片であった…。

868 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/25(火) 23:58:21.84 ID:BQskxjIFO

こなたは涙目になりながら、血が滴るガラスの破片を下ろし、改めてみゆきを見た。


みゆきは丁度ひよりがしたように目を見開いたまま、血がとめどなく流れる喉を手で押さえていた。


そして軽い咳とともに血を吐き出し、その場に崩れ落ちた。


「皆が味わった苦しみを…味わえ…。」

倒れ臥し、苦しそうにあえぐみゆきを、こなたはさげすみの目で見下ろした。


みゆきはヒューヒューと喉笛の切り口から空気を漏らしながら、スカートのポケットに手を入れて、何かを取り出し、そして、床に突っ伏すと動かなくなった

884 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/26(水) 00:13:42.47 ID:1dZoOmN/O

それは…みゆきの血で汚れたテープだった…

「なに……これ………。」

こなたは不安そうな表情で、みゆきの手からテープをもぎ取った。

こなたはアイアンメイデンに仕掛けたテープレコーダーを棒で苦労して取り出すと、テープを入れて再生した。


「やあ、みゆき…ゲームをしよう…。」

それはジグソウから高良みゆき個人に宛てられた死のゲームへの招待状だった…。

907 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/26(水) 00:30:42.91 ID:1dZoOmN/O

「お前は私の思考、価値観、そして理念を十二分に理解した…良き理解者であると、私は思っている…だからこそ私はお前を試したい…。」


突然のことにこなたは、衝撃を受け、その場にへたり込んだ…今まで自作自演の殺人ショーの主催者だと思っていた、みゆきがまさか…滑稽で哀れな演者の一人だったなんて…。


テープは無情にも続く…。


「お前はこのゲームが終わるまで、他の三人がゲームを円滑に進める為の監視役と案内役を務めてもらう…。無事に務めきれれば、お前を晴れて私の真の理解者として認めてやろう…。」

946 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/26(水) 00:48:57.02 ID:1dZoOmN/O

「…途中で予期せぬ事態が起こるだろう…だが、落ち着いた対処する必要がある…落ち着いて対処してこそ私の真の理解者だ。期待してるぞ…。ではゲーム…開始。」


予期せぬ事態…まさにそれはゲームの材料にみなみが使用された事…そして…全員に毒を注射した事…。

ジグソウからの突然の困難な試練に対してみゆきが異常にうろたえた事にも説明がつく…。


こなたはそこを動かなかった…いや動けなかった…。
事態がどんどん複雑になり、予測不可能な悪い方向へと向かっている…。

こなたは脇に落ちていたガラスの破片を再び握り締めた…。

982 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/26(水) 01:07:52.84 ID:1dZoOmN/O

……今から少し前…。


つかさとかがみは薄暗い通路を迷走し、必死にみゆきの追撃から逃れようとしていた。


「お姉ちゃ……も…駄目…走れないよ…。」

かがみに手を引っ張られたつかさが、苦しそうに言った。


かがみ当人も息が苦しくて今にも倒れそうだった…。

忌まわしい毒の効用が現れてきたのだろうか…。


「とりあえず…隠れてやりすごそう…行こ、つかさ。」

21 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/26(水) 01:30:31.67 ID:1dZoOmN/O

かがみはつかさの手を引くと、手近にあったドアから部屋の中へと足を踏み入れた。


そこは小さい事務室のような所で、ジグソウによる手は加えられてはいなかったが、長い間放置されていたために、くち果てていて酷い有り様であった。


つかさとかがみはそこで寄り添うようにして、互いに身を寄せ合った。


「こなちゃん…どうなっちゃったんだろ…」


かがみの背中に手を回しながらつかさがボソリと呟いた…。

25 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/26(水) 01:37:44.06 ID:1dZoOmN/O

「……きっと…きっと逃げおおせて…無事なはずよ…。」


かがみが優しくつかさに言った…。

「それ…困る…すごく困るよ…せっかくこなちゃんを囮にしたのに…。」


つかさがいつもの調子でサラリと信じられない事を言った。

「あんた…今なんて…」


「私が足をかけて、こなちゃんを転ばせたの…こなちゃん、足くじいてたみたいだったし…」

54 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/26(水) 01:54:58.34 ID:1dZoOmN/O

「アンタ……。」


かがみは絶句してつかさを見つめた。

つかさは無表情のままかがみを見つめ返した…。


「お姉ちゃん…ごめんね……本当にごめん…。」

そう言うとつかさは近くに転がっていた鉄の筒を手に取り、それでかがみのみぞおちを思い切り突いた。


突然のつかさの襲撃に、かがみはなすすべなど無かった。

みぞおちに強烈な一撃を食らったかがみは毒の効用とあいなって激しい呼吸困難に襲われた。


しゃっくりのように体をひくつかせながら、かがみが床に倒れた。

77 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/26(水) 02:05:31.11 ID:1dZoOmN/O

「あ……かっ……ふぁ……はぁ…。」


虚ろな目で涎を垂らしながら、体をひくつかせるかがみの口から時折、赤ん坊のような酷く弱々しいこえが漏れる。


つかさはニコニコと笑いながら、体をひくつかせて苦しむかがみを見つめた。


「私も…解毒剤が必要なんだ…ごめんね、お姉ちゃん…。」

そういうとつかさは部屋の壁からたれさがっていた電気コードを抜き取り、それをかがみの首にまいた。


かがみは涎を垂らしながら虚ろな目でつかさを見た。
だがつかさに、その視線は届かなかったようだ。

131 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/26(水) 02:55:10.87 ID:1dZoOmN/O

「お姉ちゃん…痛くないようにしてあげるね…」


つかさはそういうと、かがみの首を電気コードで思い切り締め上げた。

「アゥ…ガフッ…はッ……。」


呼吸困難で苦しむかがみにつかさは更に追い打ちをかけた。

かがみが電気コードを取ろうと躍起になって首をひっかくが、力が入らない手ではどうしようもなかった…。

次第にかがみの虚ろな目が血走っていき、先程まで、必死で守って来た妹に、首を締められたかがみは遂に失禁し始めた。

155 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/26(水) 03:08:13.10 ID:1dZoOmN/O

「カハッ……ハッ…あァ…ァ…。」


電気コードを外そうと躍起になっていたが、とうとう力尽き、動かなくなった。


それでもつかさは暫くの間かがみの首を締め上げて完全に息の根を止めた。


つかさは電気コードをゆるめると、窒息して動かなくなったかがみの服を捲り、腹をさすった…。

「ここに…あるかもしれないんだよね…。」

333 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/26(水) 20:30:41.58 ID:1dZoOmN/O

つかさは事切れてもなお暖かい、かがみのお腹をさすり、子宮のあたりを触診するように手で押した。


「ここら辺かなぁ……。」


つかさはうわ言のように、そう呟くと、辺りを見回して、何か切開する道具を探した。

辺りにはくち果てた廃材か、何十年も前に打ち捨てられた事務用品ぐらいしかない…。

339 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/26(水) 20:39:28.96 ID:1dZoOmN/O

つかさは仕方なく、先の尖った材木の破片を拾い上げると、かがみの子宮の辺りにゆっくりと差し入れた。


材木はかがみの下腹部にプツリと侵入すると、さらに奥まで傷口を押し広げんと進んでいく。


「双子なのに…自分だけ優等生でお姉さん面して……お姉ちゃんもあんまり好きじゃなかったな…。」


つかさはかがみの下腹部に刺し入れた材木をノコギリでも引くかのように激しく上下に突き動かした。


ブツブツと生々しい音がして、傷口が広がっていく…。

345 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/26(水) 20:50:13.49 ID:1dZoOmN/O

丁度、手が入る位まで傷口を広げると、つかさは下腹部に手をねじ込んだ。


さらにブツブツと皮が裂け、血が傷口から溢れでてくる。


切開せずに、解毒剤のアンプルか何かを体内に隠すには、直接口に繋がってる消化器系の胃か、肛門か、膣の中ぐらいしかないだろう。

腸をズルズルと引っ張り出したりもした、口の中も隅々まで調べた、まだ何の異物も受け入れた事の無い、膣の中に鉄の筒を押し入れてグリグリと中の様子を調べたりもした。

だが、くまなく探してもそれらしき物は見つからない…。


どうやらかがみの体内には入っていないようだ。


とすると…こなちゃんかゆきちゃんか…私…。


と、不意に事務室のドアが探るように、ゆっくりと開けられた。

つかさは材木の破片を握り締めて身構えた。

349 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/26(水) 21:00:01.92 ID:1dZoOmN/O

ドアがゆっくりと開けられ、人影がのっそりとした様子で室内に入ってくる。


つかさは薄暗闇に目を凝らして、その人影を見つめた。

それは全てに疲弊したような、虚ろな目をしたこなただった…。

制服が血で真っ赤に汚れ、手には乾きかけの血のりで赤黒く濁ったガラスの破片が握られていた。


つかさはとっさに考えた。


今なら先制攻撃が出来る……だが相手は、いくら自分より背が小さいこなただったとしても、格闘技の精通者…。

反撃を喰らい、やられてしまう可能性もある。

ここは確実に悲劇の犠牲者を演じ、こなたの隙を見て奇襲をかける方が得策だろう…。

つかさはわざとらしく顔を歪めると、顔を両手で覆い、時々鼻をすすりながらしゃくり上げ、泣いている振りをした。

360 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/26(水) 21:11:58.64 ID:1dZoOmN/O

つかさは顔を覆いながら耳を澄ませ、足音でこなたの出方を伺った。


こなたの、ズルズルと足を引きずるような足音がかがみの亡骸のすぐそばで止まり、ガラスの破片が床に落ちる音がした。


つかさは泣き真似を続けながら、覆っている手の間からチラリとこなたの方を覗き見る。


やはりこなたはかがみの側に呆然と立ち尽くしていた。足元にガラスの破片が転がっている。

「つかさ……かがみが……。」


弱々しくかすれたこなたの声が聞こえた。


今だ…

「こなちゃあん!!」


つかさは、まるで助けを待っていたかのようにこなたに抱きついた。

365 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/26(水) 21:18:21.37 ID:1dZoOmN/O

「つかさ……かがみが…。」


「…ゆきちゃんが……ゆきちゃんが来て…お姉ちゃんを……。」


つかさが鼻をグズグズと鳴らしながら言った。

こなたはつかさを受け入れるように、背中に腕をまわして来た。
つかさは心の中で勝利を確信した。

「つかさ…大丈夫だよ。かがみの敵は取って来たよ。」


つかさは鼻をグズグズさせ、泣く真似をしながらポケットに手を滑り込ませた。

なかには尖った材木が入っている。

374 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/26(水) 21:26:34.00 ID:1dZoOmN/O

「つかさ…ここから逃げよう…そうすれば助かる道はきっと開ける…。」

こなたがつかさをギュッと抱きしめながら言った。

つかさはこなたに悟られないように、材木をゆっくりと握り締めた。


「こなちゃん…ありがとう……。」

そう言いかけた所で、急につかさを強烈な不快感が襲った。

肺と心臓が見えない手で握り潰される様な得も言えぬ激痛と違和感…。


つかさは耐えきれずに、演技を中断し、激しく咳き込んだ。やはり毒が回って来ている。
もう時間が無い…茶番は終りだ…。


「つかさ…大丈夫…?」


こなたの気遣いの言葉に返事をするように、つかさはこなたの脇腹に思い切り材木を突き入れた。

380 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/26(水) 21:36:43.46 ID:1dZoOmN/O

思い切りやったせいか、材木はこなたの脇腹の中程で折れてしまった。

こなたはびっくりして、つかさを突き飛ばして尻餅をついた。


傷口を中心に制服に血がにじんでいる。


つかさは使い物にならなくなった材木を放り投げると、先程かがみを殺害するのに使用した電気コードを拾い上げた。


「つかさ……どうして…?」

まさかの奇襲に、こなたは驚いて尻餅をつきながらつかさの方を向いた。

毒の作用だろうか、つかさの青白くなった顔が一層凄味をもって、こなたの事を見据える。


「こなちゃん…ごめんね…でも、私こなちゃんの事大嫌い…。」

つかさはこなたの顔を蹴り上げた。

390 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/26(水) 21:45:58.74 ID:1dZoOmN/O

顔を思い切り蹴り上げられたこなたは、仰向けに倒れてしまった。

中が切れたのだろうか…口から一筋の血が垂れた。


「…痛い…もう止めてよ…つかさ…。」


こなたが肘を床につけて、体を起こした。


両手に巻き付けた電気コードをひけらかすようにこなたにニジリ寄る。


こなたは肘を床につけ、仰向けのまま、体を引きずるように手だけでズルズルと後退った。

だが、つかさはすぐに追い付くと、こなたのお腹に突き刺さった材木を足で更に押し入れた。


「うぁ……。」


こなたが苦痛のうめきをあげた。

こなたがだいぶ大人しくなったのを確認すると、つかさはこなたの胸の辺りにドスンと馬乗りになった。

つかさの尻がこなたの胸を圧迫し、呼吸が苦しくなる。

405 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/26(水) 22:03:15.77 ID:1dZoOmN/O

つかさは素早くこなたの首に電気コードを巻き付けると、思い切り力を入れて締め上げた。


か細い首に電気コードが食い込む。


「つ…つかさ……。」


こなたもかがみと同じように首をひっかいて、何とかコードを解こうともがいた。


だが一旦食い込んだ電気コードなどそう簡単に解けるはずもなくジリジリとこなたの意識をかすめ取っていく。


つかさは更に手早くやるために、首を絞めながら、尻でこなたの胸をズンズンと押し付け、圧迫し、肺の空気を絞り出そうとした。

414 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/26(水) 22:13:21.57 ID:1dZoOmN/O

つかさのプニプニとした柔らかい尻が、こなたの胸の上で跳び跳ねて、残酷にも窒息させようとする…。


こなたの意識が途切れ途切れになる。

目が白眼を向き始め、息を求め、あがくように舌が口から飛び出た。


つかさはうすら笑いを浮かべながら、こなたの窒息顔に接吻しそうな程に顔を近付け、間近でこなたが苦しむ様を堪能した。


「こなちゃん…苦しい…?ねぇ…苦しい?」


つかさは飛び出たこなたの舌先をチロチロと舐めながらたずねた。

424 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/26(水) 22:21:24.82 ID:1dZoOmN/O

こなたは口をパクパクさせた。

どうやら何かを繰り返し口ずさんでるようだ。

「え…?聞こえない…どうしたの、こなちゃん…。」

つかさは相変わらずうすら笑いを浮かべていた。

「……れ……。」

「え…?なに?」

つかさがこなたの口に耳を向けた。

「……ば…れ…。」

こなたは床に落ちていたガラスの破片に手を伸ばした。

「く…た…ばれ…。」
こなたはそう言うと力を振り絞ってガラスの破片を握り締め、横に振り払った。

パツッ、と音がしてこなたの首に巻き付いていた電気コードがまっぷたつにちぎれた。

427 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/26(水) 22:27:31.25 ID:1dZoOmN/O

コードの呪縛から解放されたこなたは、唖然とするつかさを思い切り突き飛ばすと、喉を押さえてしきりに咳き込んだ。


「キャッ!」


今度はつかさが短い悲鳴を上げて仰向けに倒れた。


こなたは床に手を突くと、くじいた足を労りながら、ゆっくりと起き上がろうとした。


しかし後ろから突進してきたつかさがこなたを再び床へと打ち倒した。

二人は床の上で激しく揉合った。

442 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/26(水) 22:37:59.59 ID:1dZoOmN/O

二人は互いに有利になろうと相手の胸ぐらを掴み合い、頬を張りあった。


つかさが再びこなたの上に馬乗りになると、今度は手で首をしめあげた。


「こなちゃんのくせにぃ!」


こなたは顔をしかめさせながらも、スカートの中に隠していたみゆきの折りたたみナイフを取り出すと、つかさの太ももに突き刺した。


つかさは金切り声を上げた。

449 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/26(水) 22:42:14.82 ID:1dZoOmN/O

こなたはつかさが手を離すまで何度もナイフを太ももに突き刺した。

つかさが悲鳴を上げながら涙を流しついに喉から手を離した。

その期を逃さずに、こなたはつかさの背中に膝で蹴りを入れると横に押し倒し、今度はこなたが馬乗りになった。


そして手に握られたナイフをつかさの胸に突き立てんと力を込めた。


だかつかさは泣きながらも必死でナイフを押し留めた。

457 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/26(水) 22:49:10.39 ID:1dZoOmN/O

「ごめんなさい…こなちゃん…ごめんなさい…。」


つかさは両手でこなたの手首を掴みながら必死で命乞いをした。

こなたは更に力をこめんと、ナイフの柄にもう片方の手を添えて、つかさの胸に向かってナイフを押し込んだ。

徐々にナイフの刃がつかさの胸へと降りていく。

そして切っ先がつかさの制服の胸の辺りにまで到達した。

465 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/26(水) 22:56:30.71 ID:1dZoOmN/O

切っ先が胸に触れ、それが徐々につかさの胸の皮膚を突き破らんとしていた。
つかさはうわ言のように懇願し続けた。

「止めて…本当に…お願い、止めて止めて止めて………ア"アッ…アハッ…。」


遂に切っ先が皮膚を突き破り、徐々につかさの胸へと埋まっていく。


つかさは体を小さく痙攣させながら、なすすべもなく刺さっていくナイフを見つめた。


つかさの両手から力が抜けていく…。


こなたはそのままゆっくりとナイフをつかさの胸へと埋めていった。


そしてナイフが柄までつかさの体内に入った頃には、時折うめき声を上げて小さく痙攣をしていたつかさは目を見開いて動かなくなっていた。

478 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/26(水) 23:04:46.50 ID:1dZoOmN/O

終わった……。


こなたはつかさからナイフを抜き取ると、首を押さえて再び咳き込んだ。


これで…終わったんだ……。

こなたはつかさの服を捲ると、先程みゆきにしてきた時のように、ナイフを腹に突き立て、下腹部まで切り裂いた。


つかさの柔らかいお腹はたやすくナイフを受け入れた。


そして…解毒剤がある事を祈りながら、切口に手を入れた…。

501 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/26(水) 23:19:09.34 ID:1dZoOmN/O

「あれ…?あれ…?」

こなたもつかさがかがみにしたのと同様に内蔵を切り刻んでくまなく解毒剤を探した。

だが、無情にも解毒剤は無かった…。

と、すると……?

出来れば考えたく無かった…起こって欲しく無かった事が現実味をおびて来る。

解毒剤は私の体内に…あるの……?

人生最悪の事実が目の前に突きつけられた…。

そして…取り出す方法は……?


「嫌だ……いやあああああ!」

こなたはナイフを取り落とすと半狂乱になって叫んだ。

「ねぇ……かがみ…助けてよ!手伝ってよ…私…出来っこないよ…!」

こなたがかがみの死体に取り付くと、何とかして起こそうと必死になって飛び出た内臓をかき集めて、腹に押し込み、体を揺さぶる…。

当然…返事は返ってこない…。

524 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/26(水) 23:40:00.12 ID:1dZoOmN/O

「かがみん…ここから助けてよ!……一人にしないでよ…かがみん…」

だが、頼りのかがみは天井をドロリとした視線で仰ぐばかりだった


こなたは床に手をつくと、泣き出した。


幻想的な現実なら現実じゃないかもしれない。


現実が幻想なら現実は無いのかもしれない…。


そしてこなたは再び顔を上げた。


そこには黒いローブをはおり、フードを目深に被った人物が、こなたを見下すように立ち尽くしていた。

いま、全ての現実が一つになろうとしていた。

552 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/27(木) 00:01:33.61 ID:+sknUr0BO

その人物はこなたに拳銃を向けると、重い口を開いた。


「泉こなた……答えを聞こう…時間は10分だ…。」


その人物はそう言うと、反対側の壁によりかかった…。

「答えを待とう…」


拳銃を向けたままそう言うと、微動だにせず、ただじっとこちらを凝視していた。


つまり…あと10分で…こういう事なのだろうか……。


こなたは服を捲ると、自分の腹を露にした。
そして即席の外科医になるべく、ナイフをてに持ち、腹へと当てる…。

だが意思に反して、腹が反抗するかのように熱くなり、ナイフを拒む…。


無理だよ…そう叫びたかった…この理不尽なクイズゲームに対して…。

どうするべきか?どうする?


このままでは私は死んでしまう…解毒剤が無い限り…そして、ここから出られない限り…。

563 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/27(木) 00:10:56.43 ID:+sknUr0BO

こんな、死体に埋もれた部屋で、自分まで死体になるなんて真っ平だ。
死んでも嫌だ。


てことは、このナイフで自分の体を切り裂き、解毒剤を見つけなければならない。


やるしか…生き延びる道はない…。


だが、いつ…?時間はない…。もう五分を切った。


こなたは壁にもたれた。部屋全体が、視野に入る。
そこには二人の友人の死体とガラスの破片、そしてゲームの主催者…。


こなたは…ナイフを逆手にもつと、自分の腹に向けてナイフを振り上げた。


「それが…答えか…?」


機械的なしわがれ声で、ゲームの主催者は言った。


こなたは無言でうなづくと、思い切りナイフを突き入れた。

576 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/27(木) 00:18:03.19 ID:+sknUr0BO

「ンアアアッ!…クッ……。」


脇腹の傷の脇に新たにナイフを突き入れ、そして横に引いて傷口を広げる。


「ああっ!」


あまりの激痛に、こなたは気絶しかけた…だが、なんとか気を取り戻すと、歯をくいしばり、手を傷口に押し込んだ。

自分の臓物のヌメヌメした感触と激痛があいなり、こなたは嘔吐した。

出てきたのは黄色くて苦い胃液と胆汁…。

600 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/27(木) 00:26:50.05 ID:+sknUr0BO

激痛に悶えながら、散々体内をこねくり回した…血が後から後から出てきて止まらない…。


解毒剤なんて……どこにも…ないじゃん……。

こなたはついに激痛に耐えきれずに、床に倒れてしまった…。

目が霞む……そして妙に寒い…典型的な失血性のショック症状だった…。


肩で息をしながら、こなたは黒いローブの人物を見た。

やはり微動だにせずにこちらを凝視するばかりだった…。


もう駄目だ…どんなに頑張っても…みつかりっこないよ…次第にこなたの意識が薄れていく…。

656 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/27(木) 00:58:58.85 ID:+sknUr0BO

ゲームの主催者は腕時計を見て、ため息をつくと、息も絶え絶えのこなたの近くまで歩み寄り、そして言った。


「時間切れだ…。率直に言う…このゲームはお前の負けだ…。私は最初に言った筈だ…。全てを見逃さず…そして全てを見捨てるな…と。」


「じ…じゃあ…解毒剤は…。」


「確かに体内にあるとは言ったが……腹の中にあるとは言ってない…。」


そう言うと、そのゲームの主催者は地面に広がる、こなたの血をすくい上げると、それをジャムか何かを舐めるかのように口に含んだ。

「実はお前にだけ…解毒剤を注射したんだ…。」


「じゃあ…あたしの血が……解毒剤…?そんなの……分かりっこ無いよ……。」


しかしゲームの主催者は首を横に降った。


「みさおのヒントは…?」

717 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/27(木) 01:35:44.82 ID:+sknUr0BO

「……え…?」

こなたは虚ろな目をゲームの主催者へと向けた…。

「このゲームのルールは全てを見逃さず…全てを見捨てるな…みさおにはこう吹きこんだ……。
四人の中で、もし一人異端者が現れれば、それは光への鍵…何が起きようとも最後まで鍵を失わず、四人で道を歩み、四人で答えを出せ……。
全てを見捨てなければ、見逃さなければ、こんな事にはならなかった…他の三人が、異端者のお前を見逃さず、私に差し出せば、それで助かった…。お前の血は言わばベースだ。」

こなたはその時初めて、ゆたかの身をていした犠牲と笑顔の意味を理解した…。

皆を助けられるのはお姉ちゃんなんだよ…。だからここで死んじゃいけない…。

「ベースって…何?」
主催者は無言のまま、みゆきのナイフを手に取ると、自分の腕を切った。
血がにじみ出て、滴り落ちて、こなたの血と混じり合う…。
「血は水よりも…酒よりも濃い物だな…こなた。」

734 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/27(木) 01:58:37.37 ID:+sknUr0BO

私はこなたを見つめていた…。

もう虫の息で、いつ死んでもおかしくない…。

私は罪を清算させたかっただけだ…私は…私は…。


渋谷…ラブホテル街にて…。
「おじさん…ありがとう…すっごく気持ち良かったよ…。」
つかさはブラジャーを着けながら、一際明るい声で言った。
私は椅子に座り、煙草をふかしていた。
「なあ…つかさちゃんは…こんな事をして罪の意識を感じないかい…?」
「え…?どうして…?だって、お金も弾んでくれるし…それに気持ちいいし…。」
つかさは熊さんがプリントされたパンツをはきながらそっけなく答えた。
「じゃあ…罪を清算したいとは…思ったことはあるかい…?」
「んーん…無いよ…。」
「そうか……。」
つかさは制服を着終えると、テーブルにおかれた三万円を掴み取り、さっさと出ていってしまった…。

756 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/27(木) 02:11:06.67 ID:+sknUr0BO

……三軒茶屋のとある喫茶店にて…。

私はコーヒーをすすりながら、隣のテーブルに座っていたカップルの話を盗み聞きしていた。

「冗談じゃないわよ!アンタが生でって言ったからやらせてあげたんでしょ!責任とりなさいよね!」


柊かがみはいらついた様子で、相手の男に詰め寄る…。


「責任って…一体どうすれば…?」


「堕ろすから…お金頂戴…!だからわざわざ田都線まで乗り過ごして、こんな所にまで来て話をしてるんじゃない!」


「わ…分かったよ…。払うよ…。」
男はそう言うと、下を向いたまま黙ってしまった。


「じゃあ…明日までに頼むわね…。」


かがみはそう言うと、店から出ていってしまった…私は再びコーヒーをすすった…。

776 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/27(木) 02:23:22.50 ID:+sknUr0BO

……秋葉原のとある本屋…。


私は見ていた…大きめのトートバッグを肩にかけて、落ち着かない様子で店内を徘徊する田村ひよりを…。


彼女はBL系の漫画の棚まで来ると辺りをキョロキョロと見回し始めた。ここはレジから離れており、尚且つ監視カメラの死角になる場所だ…。

そして、一瞬の隙をつき、棚に陳列された商品を掴み取ると、トートバッグへと入れた…。

皆は…店員でさえも、彼女の常習化された鮮やかな手口を見ては居なかっただろう…私を覗いて…。


彼女は私の視線に気がつくと小走りで店を後にした…。


私はいつまでも彼女を目で追っていた

804 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/27(木) 02:35:38.19 ID:+sknUr0BO

……成城学園前の住宅街…。


私は見ていた……岩崎みなみを…

みなみは深夜にも関わらず、ニット帽を目深にかぶり、黒のジャンパーにジーンズという、一見すると男のようないでたちで、住宅街を歩いていた。


私は彼女から少し距離を置いて歩いていた。

彼女の前方から、会社帰りのOLらしき女性が歩いて来た。
ベージュのスーツを来た、何処にでもいるような普通のOL。


みなみはOLを見るやいなや、急に走り出すと、ポケットから手を出して、何かを振り上げた。
それは重そうなネイルハンマーだった…。


OLは悲鳴を上げる間もなく、襲いかかられ、何度か殴られた…。

OLが地面に倒れ伏すと、みなみは後ろも振り返らずに、走って闇夜に消えて行った。


OLは頭から血を流して、ピクリとも動かなかった…。


私は警察が来る前に、その場から立ち去った。

836 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/27(木) 02:55:47.15 ID:+sknUr0BO

………そして…埼玉県のとある民家……。
私は見ていた…泉こなたを…。

私は妻の仏壇の前で悲しむフリをしていた。
案の定…こなたは私の様子を不憫に思い、慰めの言葉をかけて来てくれた…。

突然妻に先立たれ、男手一つで自分を育ててくれた私への同情…。
私はこなたを試して見たくなった…。

私はこなたを床へ押し倒すと、服を捲って、お世辞にも大きいとは言えない乳房を露にした……しかし、こなたは嫌がるどころか、私に微笑みかけた…。

「お母さんが居なくて、お父さん寂しいんだよね……いいよ…私でよければ…。」

そういうと、こなたは私にキスをして来た。
耐えられなかった…実の娘は私に父親としての尊敬の情ではなく、一人の男としての同情しか持ち合わせていなかった。
親をコケにするのか…。
私はキスを舌で受け入れながら、気付かれないように、こなたの首筋に注射をした。

こなたはすぐに意識を失った。

861 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/27(木) 03:05:23.99 ID:+sknUr0BO

「終わりましたか…。」

後ろから声がした…私は振り返った。

高良みゆきが既に意識を失った小早川ゆたかを抱き上げていた。

「ゆーちゃんは…?」

私は尋ねた…。


「案の定…淵野辺駅前で買っていたのはエクスタシーでした…今エクスタシーをオーバードースして、意識を失っています…。」

「そうか…。」

私はため息をついた。

「ご苦労様…君には本当に感謝してるよ…。」

彼女はそれを聞いて微笑むと、ゆたかをソファーへとそっと寝かせた。


私は彼女に気付かれないように、そっと粉薬を口に含んだ。それを口の中で飲み込まないように気をつけながら唾液と混ぜ合わせた。

870 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/27(木) 03:10:22.12 ID:+sknUr0BO

そして彼女に背後から近付くと、腕をつかんで抱き寄せ、ディープキスをした。


初めは驚いていた彼女もそれを受け入れ、舌を絡ませてきた。


私は粉薬を混ぜ合わせた唾液を彼女の口の中に流し込んだ…。
彼女はそれを何の躊躇いもなく、味わい、飲み込んだ。

そして彼女は抱擁され、舌をもてあそばれて、気付かぬ内に意識を失っていた。


私は彼女の口から舌を出すと、口の中の唾液を全て床に吐き出した。


皆…皆…うまくいく…全ては罪を清算するために…。

903 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/27(木) 03:37:36.40 ID:+sknUr0BO

「血だよ…こなた…。」

私はフードを脱ぐと、素顔を露にした。

「お…父さん……。」
こなたのびっくりした顔と言ったら無かった。
そして携帯電話を取り出すとボイスチェンジャーを取り付けて、瀕死のこなたの前で電話をかけた。

暫くして、電話口に誰かが出た。

こなたの担任の黒井ななこ…。

そして、ななこに、ここに来る旨を伝えると、電話を切った。

「お父さんはまだまだやらなくちゃいけないことがあるから、犯人役が必要だろ…?
その一番の適任者がお前の担任だ…去勢だけでは物足りなくなった彼女はついに自分の生徒を使って殺人ショー…麻薬をうってラリって寝てる所に警察が突入…
そこにこのローブと犯行現場の写真を置いておく…その為に寒い中、豪徳寺の公園で写真を撮ったんだよ…犯行現場のね…。
最初はパティにしようと思ったんだが…騒がれてつい…な…」

911 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/27(木) 03:44:58.35 ID:+sknUr0BO

「そんな…酷…いよ…お父…さ…ん…。」

こなたは弱々しくそう言うと、咳き込んだ。
顔が死人のように青白い…。

まだ脈はあるが、このままだと確実に失血死するだろう…。


「罪をつぐなうべき物は大勢いる…お前もな…だがお前は罪を償いきれなかった……
お前の罪は別の形で償ってもらおう…ゲームオーバー。」


私は立ち上がると、踵を返して部屋を出た。そして、ドアを施錠すると鍵穴で鍵を折った…。

まだやる事が残ってる…。


「待って…置いて…かないで…死んじゃうよ…お父さん…お父さん……。」

悲痛なこなたの叫びは誰にも聞かれる事なく、暗い地下通路に響き渡っていた…。

928 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/27(木) 04:01:21.09 ID:+sknUr0BO

数日後…。


「この痛ましい事件の被害者、泉こなたさんの自宅で営まれている通夜の会場までやって来ました〜うるうる…
この事件の犯人とされている、彼女の担任の黒井ななこ容疑者は、昨年から多発している連続児童殺傷事件の犯人として、今日未明に再逮捕されたそうです!…小神、心外、プンプン!」


私は見ていた。小神あきらを。
私が喪主を務める、この葬式会場に厚かましくやってきて、場違いなリポートをしている、日テレのワイドショー「こってり!」のリポーター、小神あきらを…。


カメラが止まるやいなや彼女は態度を急変させた…。

943 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/27(木) 04:11:35.05 ID:+sknUr0BO

「あ〜疲れた…あ〜しんどい…ちょっと、白石…水持って来て〜。」


「はい、あきら様…。」


白石と呼ばれたADらさき男が急いで小神あきらに水を渡した。


「なにこれ…私はエビアンしか飲まないのよ!…何でよりにもよってヴィッテルなのよ!バカじゃないの?何度言ったら分かるのよ…ホンットーに使えないわね…!」


そういうと彼女はペットボトルを白石と呼ばれたADに投げつけた。
ペットボトルが額に当たり、白石の額から鮮血がにじみ出て来た。


「申し訳ございません…あきら様…。」


「アンタ次にこんな事したらクビだからね。覚えておきなさい!」


…何と鉄面皮で傲慢な女だろうか…罪を償う必要があるだろう…。

私はいつまでも彼女を睨んでいた…。

948 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/27(木) 04:27:31.40 ID:+sknUr0BO

「あの〜泉さんのお父様ですよね…」

不意に話かけらる、私は慌てて前を向いた。
そこには髪をカチューシャでとめた何とも可愛らしい女の子が立っていた。

「はい、そうですが…」

「私…泉こなたさんの知り合いの峰岸あやのと申します…本日は心よりお悔やみ申し上げます…。」

「ありがとう。多分こなたも友達が来てくれて嬉しいんじゃないかな…」

949 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/27(木) 04:28:29.56 ID:+sknUr0BO

「ありがとう。多分こなたも友達が来てくれて嬉しいんじゃないかな…」

そう言った途端にあやのは急に泣き出してしまった…。

「私の友達…泉さんと一緒に…皆死んでしまって…。」

あやのが喪服のポケットからハンカチを取り出すと、目を拭った。
その刹那を…私は見逃さなかった…彼女の手首には刃物で切った様な跡がびっしりと残されていた。真新しい傷もある…。

彼女の罪を清算してやらねば…。

「峰岸さん…家に入って…こなたに線香を上げてくれないかな…。」

ビデオカメラを片手に私への独占取材を虎視眈々とねらう小神あきらの熱い視線を背中に受けながら、私は静かに微笑んだ。




974 名前: ◆g4b7GjYsgg [] 投稿日:2007/12/27(木) 04:40:24.53 ID:+sknUr0BO

皆様本当にありがとうございました。
前半は良かったんですが、後半に少々息切れが生じてしまい、クオリティが低くなってしまいました。本当にごめんね…もし挽回のチャンスがあるなら是非とも挽回させて頂きたい。

皆様投下間隔長くて本当に申し訳ありません、雑な文章になっちゃって本当に申し訳ありません…こんな夜遅く朝方まで本当に申し訳ありません。


9ヶ月ぶりの作品だったので未熟な点諸々をお許し下さい。


エンディングテーマはfear factoryでBite the hand that bleeds



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