涼宮ハルヒの選択 - Endless four days - 1週目 1日目


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7 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/08(土) 13:40:23.30 ID:J4dircPH0

プロローグ


僅かな暇も与えまいとひっきりなしに飛び込んでくる非常識的出来事は
容赦なく俺の自由な時間を蹂躙し強奪し、それはもう暴虐の限りを尽くしていたのだが、
その元凶たる我がSOS団団長涼宮ハルヒは俺とは脳内構造が真逆のようで、
状況の不可思議性に1マクロの猜疑心も抱くことなく日々を愉しんでいた。
時は金なりと古人は言った。が、それは大きな間違いである。何故かって?
俺がハルヒに搾取された時間を換金したらそれこそ零が幾つあっても足りないに違いなく、
例えその金額をハルヒに提示したところで、消費分が還ってくることは未来永劫ありえないからだ。

―――――
―――――――――
――――――――――――――

なーんて長ったらしい口上を垂れていたのが、昔の俺なんだよな。
昨年の春から、俺がため息をつく機会はめっきり減っていた。
別に聖人君子の如き強靱かつ柔軟な精神力を手に入れたわけではない。
周りの環境が変化し、自然と俺の心の湖が波立たなくなっただけのこと。
宇宙人による異空間転送も、超能力者共による拉致も、未来人と時間を超えたことも、
いつも事件の渦中にいた神様が、俺を振り回していたことも……

今ではもう、遠い昔の記憶だ。
俺は至って平凡な毎日を送っている。

三年の春。俺たちは、受験期を迎えようとしていた。

9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/08(土) 13:42:31.33 ID:J4dircPH0

「でさー、今度街の方に新しいカフェオープンするらしいんだけど」
「宿題終わってねえんだ、見せて見せて!」
「じゃあ今日は久々に歌いにいきますか」

HRが終わり、教室が喧噪に包まれる。
俺はそれをぼうっと眺めていた。ハルヒというと授業が終わるやいなや

「ちょっと用事あるから!」

と一言残して教室を飛び出していき、その消息は未だ不明である。
ちょっとニュースのリポーターっぽく言ってみたものの、
ハルヒの失踪など日常茶飯事なので、誰の関心も引くことはできないだろうが。

「さて、と―――」

首の骨をならして立ち上がる。時間はまだ3時過ぎ。
これからどうしようか?

>>38

38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2007/12/05(水) 19:05:46.30 ID:uLe3zonzO

 

10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/08(土) 13:45:09.49 ID:J4dircPH0

空白=睡眠という解釈


寝るか。特にすることもないし。
俺は立ち上げた腰をまた椅子に沈ませて、睡眠をとることにした。
受験期に突入した男子高校生が放課後机に突っ伏して寝るのもどうかと思う。
が、昨日のお花見大会での疲れが若干残っていたようで、
俺は至極スムースに夢の世界へと誘われた。

――――――――――――――――――――――――

「……さい……きなさいってば!」

声が聞こえる。耳慣れた団長様の声。
細く細く目を開けてみれば、憮然とした表情でこちらを見下すハルヒいた。
結構怒ってるな、これは。

俺は目を

1、閉じたまま眠っているフリをした
2、開けて謝った
>>56

56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/05(水) 19:16:08.41 ID:ZeR9wZkz0

おちんちんMAXする

12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/08(土) 13:46:48.44 ID:J4dircPH0

と、俺がどう反応しようかと迷っていた時だった。
ドクン、と心拍が跳ね上がり、下腹部に血液が収束していく。
くそ、何故こんな時に俺の愚息は元気MAXになりやがるんだ――!!
言葉による目覚ましをあきらめたのか、俺の横ほおをぺちぺちとしてくるハルヒを意識しないようにして、
なんとか血気だった下半身を鎮めようと集中する。この時点で俺の意識は覚醒度100%な訳だが、
冷静にハルヒと向き合える自信はない。ていうかこの意味不明な状況をハルヒに悟られてみろ。
羞恥で死ぬ自信があるぜ。

「どうしたの? なんかあんた変よ?」

が、ハルヒというと俺の異変に感づき始めたようで、残された余裕はもう僅か。

「……よ、ようハルヒ」

咄嗟ににへら笑いを顔面に貼り付けて、俺は面をあげた。

「……………」

不審者を見つめるような視線。俺の心はもうずたずただが、ひとまずあの異常事態には気づかれていないようだ。

「起きたら色々文句言ってやろうと思ってたんだけどね。
 いいわ、帰りましょ。もうこんな時間だし」

ふと教室の時計を見れば針はちょうど6時を指していた。3時間も寝てたのか、俺。

「早くしないと置いてくわよ。昇降口で待ってるからね」

すぐ行く、と返して俺は帰宅準備を進めた。窓の外には、既に夜の帳が降りていた。

16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/08(土) 13:50:38.18 ID:J4dircPH0

――――――――――――――――――――――――――――

昇降口には、ハルヒ一人の姿しかなかった。他の部員に関して尋ねてみると
ぶっきらぼうな口調で「先に帰ったわ」とのこと。
長門と古泉が二人っきりね。美形の超能力者にめらめらと殺意が沸いたが、
ま、あいつがいくら話題を振りまいたところで長門からまともな返答をもらえるとは思い難い。
古泉の困惑した表情が目に浮かぶね。いい気味だ。
……えー、誤解なきように断っておくが、これは決して長門に対する恋愛感情故の嫉妬ではなく、
なんと比喩すればいいのか迷うが、つまり娘に対する保護精神みたいなモノと思ってもらえばいい。

「さっきからずっとブツブツ呟いてるけど、端から見てたらものすっごく気持ち悪いわよ」
「なんでもない。忘れてくれ」

そして俺と言えば、結局ハルヒと二人で下校していた。
この辺りは良い感じに外灯が少なく、道を通る車もまばらで雰囲気は満点だ。
がしかし、その雰囲気が役立つのは仲むつまじいカップルに対してだけで、
俺とハルヒにとってはまとわりつくような薄暗さでしかない。
にしても―――今日のハルヒはやけに静かだな。

「…………」
「…………」

ハルヒが一方的に喋りまくるのを、飛ぶ口角泡を躱しつつ話の内容を聞き流しつつ相づちを打ってやり過ごすのが
これまでの下校風景だった。そりゃ機嫌悪いときはぶすっと押し黙ってるハルヒだが、今朝挨拶を交わしたときから
今の今まで、ハルヒは普段通りだったはずなのだが。

ここは

1、俺から話題を振ってみる。
2、黙って歩を進める  >>67までに多かった方

65 名前:ポニーテール仮面[] 投稿日:2007/12/05(水) 19:51:13.20 ID:ipQNly280

キョンはハルヒを選ぶべき。キョンにはハルヒを幸せにする義務がある。私と言う固体もハルヒたちには幸せになってほしいと望んでいる。

と言うわけで2

66 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2007/12/05(水) 19:51:23.79 ID:VVLrfLSXO



67 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2007/12/05(水) 19:52:26.92 ID:Cc4X4NaQ0

1かな。

18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/08(土) 13:55:40.45 ID:J4dircPH0

口を開きかけて、閉じた。沈黙を破ろうとして意気込んだのはいいが、肝心の話題が見当たらない。
尤もハルヒが興味を示すような話題を俺が提供できた試しはなく、

「どーでもいいわ。そんなこと」

と一蹴されて、現在同様、沈黙に帰結するに違いないが。
二年前の入学式当日に比べれば、ハルヒは確かに"普通"の女の子に近づいたと言える。
が、根はまだまだ世界の不思議を追い求める爆弾女。嵐の前の静けさ、というやつなんだろう。
いやはや、こうして前もってハルヒの暴発を予知できるとは、俺も随分と適応したもんだ――
と楽観的思考を並べてみたところで、それ如何に虚構じみているかは、俺が一番よく知るところなわけで。
伏せがちな目に、若干引き結ばれた唇。薄闇に浮かんだ色は、元気溌溂なハルヒのそれよりも、くすんで見えた。
その様子は、俺に二年前のハルヒの独白を連想させて、

「なあ、ハルヒ……「ねえキョン。あんたは今、楽しい?」

掛けた言葉は、ハルヒの言葉にかき消された。
今が楽しいか、だって?

「そうだな。刺激がないと感じることもあるが、俺は十分に楽しいと思ってるぜ」

正直に思ったことをいってみる。俺が鈍いことは俺自身が一番よく知ってる。
ハルヒの質問の真意を深読みする必要もないだろう。

「ふーん。そうなの、それならいいんだけど」

ハルヒは意味深な表情で、返事と言うよりは独り言を言うように呟いた。
首を傾げる俺と、また無言状態に逆行したハルヒ。結局分岐路で別れるまで、俺たちは黙ったままだった。

19 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/08(土) 13:58:04.72 ID:J4dircPH0

見慣れた街並みを通り過ぎ。俺は安全無事に帰宅した。
飛びついてきた妹に淑女の嗜みを諭しつつ、家族との団欒的夕食を終えて、
一日の疲労を洗い落とすようにゆっくりと湯船につかり、ほくほくと湯気を上らせながら自室に籠もる。
春の晩は涼しく、熟睡には申し分のない気温である。俺は今日は早めに寝ようとベッドに潜り込み、

「キョンくーん、電話だよー」

という妹の呼びかけで、うつらうつらとした微睡みから引きずり出された。
時刻はもう丁度いい具合になっており、夜更かしをする気がないやつならベッドに潜り込む時間である。
やれやれ。少しはこっちの身のことも考えてほしいもんだ。

「もしもし――」

電話をかけてきたのは
>>75

自由記入「     」

75 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/05(水) 20:32:08.58 ID:XpZHBCRpO

佐々木

23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/08(土) 14:01:42.51 ID:J4dircPH0

「やあ、久しぶりだね。僕の推量が正しければ、君は微睡んでいた頃合いだ。
 まず睡眠の邪魔をしてしまったことで君の気分を害してしまったことを、謝罪しなければいけないね」

この俺のモノローグとタメをはれるほどに長広舌、そして一人称が「僕」でありながら、
声質は紛れもない女性のモノであるという特徴を踏まえて、相手はまず間違いなく佐々木である。

「はぁ、別に謝らなくてもいいからさ……名前くらい名乗ったらどうなんだ」

分かっていても聞いてやる。

「――相変わらず底意地が悪いなあ、君は。
 やっぱり起こしてしまったことを根に持っているのかい?」
「いいや。それで夜分遅くに何用だ?」
「いや、特に用件はないんだよ。久々に旧友の声が聞きたくなってね。昔はよくとりとめもない話をしたものだ。
 それとも何かな?君は親友の電話を無碍に切り捨て布団を被ると言うのかい?」
「分かった分かった。雑談でもなんでもしてやるよ。正直、そこまで言うほど眠くなかったしな」

教室で3時間も寝だめしていたことは内緒である。
佐々木は俺の返事を快諾と解釈したのか、「くっくっ」とうれしそうに喉を鳴らして、

「そうそう、君とはまだウッティン博士の提唱したM理論の考察について煮詰めていなかったね――」

ハルヒとはまた別ベクトルにぶっとんだ話題を持ち出して来やがった。

―――――――――――――――――――――――――――――――――

「というわけさ。興味深い話だろう? 僕の知識欲はもうこれまでにないほどそそられてね」
「あー、俺もそう思う」

一時間後。佐々木の脳内源泉は、枯渇することをしらぬかのように話題を噴出し続けていた。いい加減、子機を持つ腕が痛くなってきたぜ。

24 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/08(土) 14:03:43.96 ID:J4dircPH0

しかし佐々木から電話という事態は結構レアである。
例を挙げれば長門が微笑を零すくらいに(俺の表情判別眼は二年の間に爆発的進化を遂げた)珍しい。
佐々木の話が小休止に入ったところを見計らい、俺からも何か尋ねてみることにした。

「なあ佐々木」
「うん?」


1、もう眠いからまた今度にしようぜ
2、自由記述「             」

>>84

84 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2007/12/05(水) 21:04:03.96 ID:uLe3zonzO

 

25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2007/12/08(土) 14:06:32.37 ID:J4dircPH0

先ほどと同じく空白=睡眠という解釈で

思考が、纏らない。言葉を掻き集めようとしているのに、まるで指から抜け落ちるように
文章が完成しない。不自然に思えるほどの眠気を感じた俺は、なんとか

「おやすみ……」

と子機に投げかけてから、睡魔に屈服した。

『――おやおや――もう寝てしまうのかい?』

とぎれとぎれに、佐々木の声が聞こえる。
話し込むうちに消灯しベッドに寝ころんだ状態になっていたので、
後は切ボタンを押すだけなのだが。睡魔はもう、俺に僅かな身動ぎも許しちゃくれなかった。

『――少し無理を――せていた――だね――』

もし。もし俺があと、数秒起きていられたならば。
普段とは違う佐々木の、

『おやすみ―――キョン』

慈しむように柔らかい女性の声が、聞こえただろう。

――――――――――――――――――――――――――――――――



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