涼宮ハルヒが大学生になったんだってさ


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765 名前: すくつ(神奈川県)[] 投稿日:2007/04/26(木) 10:22:34.20 ID:TKXiiL4H0

ホラ、SOS団の活動時間だぞ。いつまで寝てるんだ?団長が寝坊なんて罰金モノだぞ。
何でそんなに手が冷たいんだよ。何でそんなに気持ち良さそうに眠ってるんだよ。


「…えぅぅ、…えぅぅぅぅぅぅ…涼宮さぁん…」

朝比奈さんも何か言ってあげてくださいよ。何で泣いてるんですか?
ほらハルヒ。お前が寝てばっかりだから、朝比奈さんも存外困ってるぞ。
そろそろ本当に起きた方がいいんじゃないか?

「…何故でしょうね。…本当に、本当に何でこんな事になったんでしょうね」

おい古泉。お前も何か言ってやれ。
いつもの胡散臭い笑顔はどこに仕舞い込んだんだ。やたらと神妙な顔になるのは危険が迫った時だけでいいぞ。
今はその顔は自重だ、自重。 とりあえず笑え。 笑え。
ハルヒ、お前は副団長まで困らせる気か? なぁ、起きろよ。

766 名前: すくつ(神奈川県)[] 投稿日:2007/04/26(木) 10:26:57.01 ID:TKXiiL4H0

「…」

長門。お前も何か言ってくれ。今日くらいは怒っていいぞ、もう30分も予定時刻に遅刻しているからな。

「貴方は」

ん?どうした長門。服の袖が伸びるから離してくれ。
なぁ、起きてくれよ。ハルヒ。もう活動時間だって、言ってるだろ。

「貴方は今、泣いていい」

…うるさい。うるさい。
起きろ、ハルヒ。起きろ、起きろ。 …後生だから、起きてくれよ!

「泣いていい」

ハルヒ、これは嘘ってお前の口から言ってくれよ。
これがドッキリなら喜んで許すからさ。だから、だから…!

「…泣いて、いい」

長門の一言で俺の視界は滲んで、熱い雫が止めど無く頬を流れ始める。
嘘と思いたかった。夢だと信じたかった。この出来事を忘れたかった。
だが、ハルヒの手の冷たさは紛れも無い現実。避けようも無い、ただの事実がそこにはあった。

天気は快晴。少しだけ夏の香りが残った空気を肺に吸い込み、ゆっくり吐き出してみる。
うん、俺はちゃんと生きている。
世界はいつも通り動いていて、いつも通り美しい。

今日のSOS団の活動内容は、涼宮ハルヒの葬式へ参加する事だった

767 名前: すくつ(神奈川県)[] 投稿日:2007/04/26(木) 10:28:19.73 ID:TKXiiL4H0

なぁ、ハルヒ。

もし俺が、お前を愛せたあの時の気持ちでずっといる事が出来たのなら
お前を傷つける言葉もずっと知らずに済んだのかな


俺はな、ハルヒ。


お前から俺へ伝える「大嫌い」ってのか、「大好き」って気付いてたんだぞ
お前の事さ、大好きだったんだぞ


あのな、あのな。ハルヒ。


俺はな、お前の事が大好きなんだ。
…大好きなんだよ、だいすき、なんだよ


だからさ、ハルヒ。


もう一度くらい、笑ってくれてもいいんじゃないか?

768 名前: すくつ(神奈川県)[] 投稿日:2007/04/26(木) 10:29:26.39 ID:TKXiiL4H0



769 名前: すくつ(神奈川県)[] 投稿日:2007/04/26(木) 10:30:59.42 ID:TKXiiL4H0

「…って言う夢を見たの」

「講義をサボった理由がそれか? 全く、なんちゅう内容だ。 お前を溺愛してる俺…これはまた随分と恥ずかしい夢を見たな」

「うるさいわね! 見ちゃったモンは仕方が無いでしょ!」

「んで、講義をサボって家で不貞寝。 丁度講義が終わる頃合を見計らって俺を呼び出したという事か」

「そうよ。悪い?」

「……」

「わ、悪かったわね! こんなどうでもいい理由で休んだりして!」

「…い〜や、悪くない。 ハルヒ、ちょっとこっちに来い」

「ん? …ひゃうっ!ちょ、何いきなり抱きついてるのよこの馬鹿キョン!」

「目、脹れてるぞ。 そんな悲しい夢なんか見るな。 ホラ、俺はここにいるじゃないか。 だから、泣くなw」

「…うん。…その、来てくれてありがと」     「気にするな」

770 名前: すくつ(神奈川県)[] 投稿日:2007/04/26(木) 10:31:42.52 ID:TKXiiL4H0

「…でさ、キョン。 アンタたまには私に料理作ってよw 」

「何でいきなり呼び出された上にお前に料理を作らにゃならんのだ」

「肉じゃがとかいいわねw あ、それにふろふき大根とか食べたい気分かもw」

「…はいはい。了解しました」

771 名前: すくつ(神奈川県)[] 投稿日:2007/04/26(木) 10:33:04.53 ID:TKXiiL4H0

「あのさ、キョン」

「ん? 何だ?」

「SOS団、楽しかったわよね」

「まぁな」

「…SOS団は不滅だけど、アンタはずっと私の隣にいなさい。 こ、これは、団…」

「団長命令です、ってか」

「な、何で勝手に先読みしてんのよ!」

「言われずともそのつもりだ。 俺はお前に存外惚れてるみたいだからな。 ずっと、ずっと隣にいるつもりなんだが、嫌か?」

「…嫌ってワケじゃないけど。その、その、存外照れるわねw」

「安心しろ。 俺も同じだから。顔から火が出ないのが不思議なくらいだぞ」

「…へへ。 バ〜カw」

「…やれやれ」

772 名前: すくつ(神奈川県)[] 投稿日:2007/04/26(木) 10:34:41.54 ID:TKXiiL4H0

ま、俺とハルヒは同じ大学に通いながら結構うまくやれてる。少なくとも俺個人としてはそう思ってるぞ。
皆はバラバラになってしまったが、距離と心は別物だ。俺たちは、今も心の海で繋がってる。
…なんてクサい台詞も言ったりしてみたが、要するにSOS団は不滅だって事だ。いつか会えるだろし、きっと、いつでも会える。

あの日常はかけがえのないもので、いつも振り返れば目映いくらいに輝いている。
だからこそ俺は立ち止まらずに歩いて行けるんだ。
思い出は優しいから甘えてはいけない、と言ったのは何処の誰だったか。 そう、振り返ってばかりじゃ先へ進めない
SOS団は過ぎ去りし大切な思い出。
その思い出が背中にあるからこそ、今はただ大切な人が隣にいるこの瞬間を大切に生きてみようと思う。

なぁ、ハルヒ。

ジョン・スミスは存外お前の事が大好きみたいだ。
こんな俺だが、とりあえず全力でお前を幸せにしてやるからな。


隣で眠ってる愛しい団長様の寝顔を一人占めしながら、不覚にもそんな事を考えてみたりしたわけだ。
こりゃ俺も存外救えないな、全く…。

773 名前: すくつ(神奈川県)[] 投稿日:2007/04/26(木) 10:35:48.65 ID:TKXiiL4H0

愛は忍耐強い。愛は情け深い。ねたまない。愛は自慢せず、また高ぶらない。
礼を失せず、自分の利益を求めず、いらだたず、恨みを抱かない。不義を喜ばず、真実を喜ぶ。
すべてを忍び、すべてを信じ、すべてに耐える。

───愛は決して滅びない。(Love never fails)



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